説明

中皮腫診断剤および中皮腫診断キット

【課題】中皮腫とErc/MPF/mesothelinとの関係を明らかにし、中皮腫の診断を行うことのできる診断剤等を提供すること。
【解決手段】配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識する抗体を含有することを特徴とする中皮腫診断剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中皮腫診断剤および中皮腫診断キットに関し、更に詳細には、中皮腫の早期診断に用いることができる診断剤およびキットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アスベストに暴露された経験をもつヒトが高頻度で中皮腫を発病することは社会問題にまで発展している。中皮腫は悪性のものと良性のものが存在するが、悪性中皮腫患者の多くは、アスベストへ暴露歴を有し、アスベスト曝露から30−35年という長期潜伏期間を経て悪性中皮腫を発症している。このため、今後中皮腫患者が増加する可能性は否定できない。
【0003】
また、中皮腫は早期発見の難しい疾患であり、現在中皮腫はMRIやCT等を用いた方法により診断がされているが、これらの方法では早期診断が難しく、中皮腫と診断された時点で既に病気が進行していることが多いのが問題となっている。それだけに本疾患の早期診断が切に望まれているわけであるが、しかしながら現在では未だ有効な早期診断マーカーが見つけられていない。
【0004】
現在まで中皮腫に関連するマーカーとしては、Erc、MPFおよびMesothelinと呼ばれるタンパク質が発見されている。その経緯は次のようなものである。
まず、1994年、ヤマグチ(Yamaguchi)らにより、ヒト膵臓癌細胞HPC−Y5上清から、MPF (Megakaryocyte potentiating factor)と呼ばれるタンパク質が精製されたこと(文献1)、さらに1995年、コジマ(Kojima)らにより、ヒト膵臓癌細胞HPC−Y5のcDNAからMPFがクローニングされたことが報告された(文献2)。
【0005】
その後、チャン(Chang)らは、中皮細胞、卵巣癌および中皮腫の表面に発現する40kDaのエピトープに反応するモノクローナル抗体K1を作製し、該抗体を用いて、その抗原タンパク質をコードする遺伝子を探索したところ、69kDaのタンパク質をコードする1884bpのオープンリーディングフレーム(open reading frame)を持つ遺伝子を単離した。そしてさらに、チャン(Chang)らは、当該69kDaタンパク質が前記40kDaタンパク質の前駆体であり、該69kDaタンパク質がホスファチジルイノシトール特異性ホスホリパーゼ(PI−PL)の作用により切断され、細胞表面に40KDaタンパク質が発現することを明らかにした。そしてチャン(Chang)らは、その69kDaタンパク質をMesothelinと名づけたが(文献3)、後に上述のMPFとMesothelinは同一のタンパク質であることが明らかとなった。
【0006】
一方、ショラー(Scholler)らは卵巣癌細胞を免疫して作製したモノクローナル抗体OV569が認識するタンパク質を検索した結果、Mesothelinの膜結合領域と同じ配列を有する、分子量42−45kDaのタンパク質であることを発見し、可溶性メソセリン(Soluble member of mesothelin)と呼んだ。このタンパク質は途中にフレームシフト変異を起しており、その結果、C末領域のGPIアンカー部分が異なる配列になってしまうために可溶性になることが判明した。さらに、OV569と同じタンパク質を認識する別のモノクローナル抗体4H3を用いてサンドイッチEIA(Sandwich EIA)の測定系を構築し、患者血清を測定した結果、健常人に比べて、卵巣癌患者では高い値を示した(文献4)。さらにロビンソン(Robinson)らはこの測定系を用いて中皮腫患者の測定を行い、健常人に比べて高い値を示すことを報告している(文献5)。
【0007】
本願発明者である樋野らは、長年にわたる疾患モデル動物の研究を通じて、腎癌発症モデルEkerラットの原因遺伝子を探索してきた。その結果、正常腎組織に比べてEkerラット腎癌由来細胞株において高発現を示す遺伝子を発見し、その中の1つをErcと命名した。さらに、ラットErcのヒトホモログを探索した結果、ヒトにおいてはMPF がラットErcに対して56.1%の相同性を有することを明らかにした(文献6、7)。
【0008】
以上の経緯等から、(1)ヒトErc、MPFおよびMesothelin(以下、これらを「Erc/MPF/mesothelin」という)は、全長622アミノ酸からなる糖タンパク質であり、290−295アミノ酸にRPRFRR配列を有することから、フリン(Furin)様プロテアーゼでプロセッシングを受けて31kDaと40kDaフラグメントに開裂する、(2)40kDaフラグメントのC末側領域はそのC末端にGPIアンカー領域を含むことから細胞膜に結合した形で残り、N末側の31kDaフラグメントは可溶性タンパク質として分泌される(以下、これを「31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin」という)、(3)また細胞膜上に結合した40kDaフラグメントのC末側もホスファチジルイノシトール−スペシフィックホスホリパーゼC(phosphatidiylinositol-specific phospholipase C:PI-PLC)処理によって細胞から放出されること、等が考えられている。
【0009】
これらの異なるアプローチによって同定されたErc/MPF/mesothelinは、正常の中皮細胞および中皮腫に強く発現しているのみならず、中皮腫患者血液中にも存在することが報告されている。
【0010】
しかしながら、これらの知見は中皮腫においてどのようなタイプのErc/MPF/mesothelinが分泌されているのかは明らかではなく、早期診断マーカーを示唆するものとは言い切れなかった。
【非特許文献1】Yamaguchi N, Hattori K, Oh-eda M, Kojima T, Imai N, Ochi N. A novelcytokine exhibiting megakaryocyte potentiating activity from a human pancreatictumor cell line HPC-Y5., J Biol Chem. 1994 Jan 14;269(2):805-8.PMID: 8288629
【非特許文献2】Kojima, T.; Oh-eda, M.; Hattori, K.; Taniguchi, Y.; Tamura, M.;Ochi, N.; Yamaguchi, N. : Molecular cloning and expression of megakaryocytepotentiating factor cDNA., J. Biol. Chem. 270: 21984-21990, 1995. PubMed ID :7665620
【非特許文献3】Chang, K.; Pastan, I. : Molecular cloning of mesothelin, adifferentiation antigen present on mesothelium, mesotheliomas, and ovariancancers., Proc. Nat. Acad. Sci. 93: 136-140, 1996. PubMed ID : 8552591
【非特許文献4】Scholler, N.; Fu, N.; Yang, Y.; Ye, Z.; Goodman, G. E.; Hellstrom,K. E.; Hellstrom, I. : Soluble member(s) of the mesothelin/megakaryocyte potentiatingfactor family are detectable in sera from patients with ovarian carcinoma.,Proc. Nat. Acad. Sci. 96: 11531-11536, 1999. PubMed ID : 10500211
【非特許文献5】Robinson BW, Creaney J, Lake R, Nowak A, Musk AW, de Klerk N,Winzell P, Hellstrom KE, Hellstrom I.Soluble mesothelin-related protein-A bloodtest for mesothelioma.Lung Cancer., 2005 Jul;49 Suppl 1:S109-11. PMID: 15950789
【非特許文献6】Hino O, Kobayashi E, Nishizawa M, Kubo Y, Kobayashi T, Hirayama Y,Takai S, Kikuchi Y, Tsuchiya H, Orimoto K, et al.Renal carcinogenesis in theEker rat., J Cancer Res Clin Oncol. 1995;121(9-10):602-5. PMID: 7559744
【非特許文献7】Yamashita Y, Yokoyama M, Kobayashi E, Takai S, Hino OMapping and determination of the cDNA sequence of theErc gene preferentially expressed in renal cell carcinoma in the Tsc2 genemutant (Eker) rat model., Biochem Biophys Res Commun. 2000 Aug18;275(1):134-40. PMID: 10944454
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、中皮腫とErc/MPF/mesothelinとの関係を明らかにし、中皮腫の診断を行うことのできる診断剤や診断キットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinに注目し、鋭意研究した。その結果、培養細胞を用いた実験系では、通常の培養状態においても31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinは培養上清中に検出することが可能であり、この切断は体内においても恒常的に起こっていると解された。実際、後述するように、この31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを検出することのできる測定系を構築することによって、健常人血液中においてもこのものが一定量存在することを明らかにした。更に、本願発明者らはErc/MPF/mesothelinの分解が起こるときは、まずN末側で切断されることにより31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinの血中への放出が起こり、その後何らかの刺激によって40kDaのC末側Erc/MPF/mesothelinが分泌されるという順序で起こると判断した。
【0013】
従って、健常状態で一定量存在する31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを測定することで、より早期にErc/MPF/mesothelinの異常を検出すること、すなわち、中皮腫の進行状況をより早期に診断可能になることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識する抗体を含有することを特徴とする中皮腫診断剤である。
【0015】
また、本発明は配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識する第1の抗体を含有する第1の試薬と、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識する抗体であって、第1の抗体と異なるエピトープを認識する第2の抗体を含有する第2の試薬とを組み合わせてなることを特徴とする中皮腫診断キットである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の中皮腫診断剤および中皮腫診断キットは、31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを測定することができるので、中皮腫の進行状況をより早期に診断することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の中皮腫診断剤(以下、「本発明診断剤」という)に含有される31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識する抗体(以下、「抗31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体」という)は、31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを特異的に認識する抗体であれば特に限定されず、その起源について特に制約はなく、ヒト由来のものでなくても良い。また、抗31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体としてはポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれでもよい。
【0018】
抗31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体は、31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinあるいはそのフラグメントペプチドを抗原として使用し、公知の方法、例えば「続生化学実験講座、免疫生化学研究法」(日本生化学会編)等に記載の方法に従って調製することができる。
【0019】
この抗31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体の製造において、抗原として使用される31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinあるいはそのフラグメントペプチドとしては、ヒトErc/MPF/mesothelinのアミノ酸配列(Accession No. AAV87530)の1〜295番目(配列番号1)、好ましくは35〜295番目の全部あるいは一部と一致するポリペプチドを合成機で合成したもの、あるいは前記アミノ酸配列の全部あるいは一部をコードするcDNA(Accession No. AY743922)を常法によりベクターに組み込み、このベクターを用いて大腸菌等の宿主微生物もしくは培養細胞を形質転換し、形質転換した大腸菌等の宿主微生物・培養細胞を培養して産生させて得られるリコンビナントタンパク質やポリペプチドを、アフィニティーカラムやニッケルカラム等で精製したもの等が挙げられる。
【0020】
また、前記アミノ酸配列の全部あるいは一部をコードするcDNAに一致するポリヌクレオチドはラットErc/MPF/mesothelin cDNA等のほ乳類由来のErc/MPF/mesothelin cDNAをプローブとしてヒト腫瘍細胞株等のcDNAライブラリーからクローニングすることによっても得られる。
【0021】
具体的に、抗31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体を、調製する手順を示せば次の通りである。すなわち、ポリクローナル抗体として抗31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体を調製するには、まず、ヒト31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinのcDNA配列(Accession No. AY743922)をコードするポリヌクレオチドをPCR法により作製する。次いで、これをpGEX等のベクターに組み込み、このベクターを大腸菌等の宿主微生物に導入し、LB培地等で培養してポリペプチドのリコンビナントタンパク質を産生させる。次いで、得られたリコンビナントタンパク質を抗原とし、これをリン酸ナトリウム緩衝液(PBS)に溶解し、更にこれらとフロイント完全アジュバントまたは不完全アジュバントあるいはミョウバン等の補助剤と結合した後、これを免疫原として哺乳動物などを免疫する。
【0022】
免疫される動物としては当該分野で常用されたもの、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ、ニワトリ等のいずれをも使用することができる。また、免疫の際の免疫原の投与法は、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射のいずれでもよいが、皮下注射または腹腔内注射が好ましい。免疫は1回または適当な間隔で、好ましくは1週間ないし5週間の間隔で複数回行うことができる。
【0023】
最後に、常法に従い、免疫した動物から血液を採取し、この血液から血清を分離し、この血清中から31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識するポリクローナル抗体を得ることができる。
【0024】
また、モノクローナル抗体として31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識する抗体を調製するには、モノクローナル抗体調製の常法に従い、上記リコンビナントタンパク質で動物を免疫して得た免疫細胞と、ミエローマ細胞とを融合させてハイブリドーマを得、当該ハイブリドーマの培養物から抗体を採取することによって得ることができる。
【0025】
かくして得られた抗31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体は、必要により標識ないし固相化して、本発明の本発明診断剤に適した形にすることができる。このうち標識は、西洋わさびペルオキシダーゼ(以下、「HRP」という)、アルカリフォスファターゼ等の酵素、フルオレセインイソシアネート、ローダミン等の蛍光物質、32P、125I等の放射性物質、化学発光物質などの標識物質を結合することにより行われる。また、固相化は、適切な固相に抗31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体を結合させることにより行われる。固相としては、免疫化学的測定法において慣用される固相のいずれをも使用することができ、例えば、ポリスチレン製の96穴マイクロタイタープレート、アミノ基結合型のマイクロタイタープレート等のプレートや、各種のピーズ類が挙げられる。抗31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体を固相化させるには、例えば、抗体を含む緩衝液を担体上に加え、インキュベーションすればよい。
【0026】
また、本発明の中皮腫診断キット(以下、「本発明キット」という)は、必要により標識ないし固相化した抗31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体を使用して常法に従って作製すればよい。具体的に、抗31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体を2種使用して本発明キットを作製する場合には、31kDa分泌型Ercを認識する第1の抗体を含有する第1の試薬(例えば、固相化抗体)と、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する31kDa分泌型Ercを認識する抗体であって、第1の抗体と異なるエピトープを認識する第2の抗体を含有する第2の試薬(例えば、標識抗体)を組み合わせて使用すればよい。
【0027】
上記のように作成された本発明診断剤および本発明キットは、これに含まれる抗31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体により、中皮腫患者血清中の31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinの存在やその量を検出することができるものである。
【0028】
本発明診断剤および本発明キットを用いた具体的な31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinの存在や量の測定方法としては、放射性同位元素免疫測定法(RIA法)、ELISA法(E. Engvall et al., (1980): Methods in Enzymol., 70, 419-439)、蛍光抗体法、プラーク法、スポット法、凝集法、オクタロニー(Ouchterlony)、イムノクロマト法等の、一般の免疫化学的測定法において使用されている種々の方法(「ハイブリドーマ法とモノクローナル抗体」、株式会社R&Dプランニング発行、第30頁−第53頁、昭和57年3月5日)が挙げられる。
【0029】
これらの測定方法は種々の観点から適宜選択することができるが、感度、簡便性等の点
からはELISA法が好ましい。より具体的な、31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinの測定について、ELISA法の一つであるサンドイッチ法を例にとってその手順を説明すれば次の通りである。
【0030】
まず、工程(A)として、本発明の31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識する抗体を担体に固相化し、次いで、工程(B)として、抗体が固相化されていない担体表面を抗31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体と無関係な、例えばタンパク質により、ブロッキングする。更に、工程(C)として、これに各種濃度の31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを含む検体を加え、31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinと抗体との複合体を生成させた後、工程(D)として、標識した31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体を加え、これに31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinと抗体との複合体を結合させ、最後に工程(E)として、標識量を測定することにより、予め作成した検量線から検体中の31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinの量を決定することができる。なお、工程(A)と工程(D)に用いる抗体は逆の場合でも測定が可能である。
【0031】
具体的に工程(A)において、31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識する抗体を固相化するために用いられる担体としては、特別な制限はなく、免疫化学的測定法において常用されるものをいずれも使用することができる。例えば、ポリスチレン製の96穴マイクロタイタープレートあるいは、アミノ基結合型のマイクロタイタープレートが挙げられる。また、上記抗体を固相化させるには、例えば、上記抗体を含む緩衝液を担体上に加え、インキュベーションすればよい。緩衝液としては公知のものが使用でき、例えば10mMのPBSを挙げることができる。緩衝液中の上記抗体の濃度は広い範囲から選択できるが、通常0.01〜100μg/ml程度、好ましくは0.1〜20μg/mlである。また、担体として96ウェルのマイクロタイタープレートを使用する場合には、300μl/ウェル以下で20〜150μl/ウェル程度が望ましい。更に、インキュベーションの条件にも特に制限はないが、通常4℃程度で一晩のインキュベーションが適している。
【0032】
また、工程(B)のブロッキングは、工程(A)で抗体を固相化した担体において、後に添加する検体中の31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinが抗原抗体反応とは無関係に吸着される部分が存在する場合があるので、それを防ぐ目的で行う。ブロッキング剤としては、例えば、BSAやスキムミルク溶液や、ブロックエース(Block−Ace:大日本製薬製(コードNo.UK−25B))等の市販のブロッキング剤を使用することができる。具体的なブロッキングは、限定されるわけではないが、例えば抗原を固相化した部分に、ブロックエースを適量加え、約4℃で、一晩のインキュベーションをした後、緩衝液で洗浄することにより行われる。
【0033】
更に、工程(C)において、31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを含む検体を固相化した抗体と接触させ、この固相化した抗体で31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを捕捉し、固相化した抗体と31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinとの複合体を生成させる。この複合体を生成させるための条件は限定されるわけではないが、4℃〜37℃程度で約1時間〜1晩の反応を行えばよい。反応終了後、緩衝液で担体を洗浄し、未反応のタンパク質等を除去させることが好ましい。この反応に用いる緩衝液としては、10mMのPBS(pH7.2)および0.05%(v/v)のTween20の組成のものが好ましい。
【0034】
また更に、工程(D)において、固相化した抗体に捕捉された31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinの別のエピトープを認識する標識抗体を加え、固相化した抗体−31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin−標識抗体の複合体を形成させる。この反応終了後、緩衝液で担体を洗浄し、未反応のタンパク質等を除去させることが好ましい。この反応に用いる緩衝液としては、前記したものが使用される。この工程(D)において使用される標識抗体の量は、固相化した抗体に対して約5,000〜10,000倍、好ましくは最終吸光度が1.5〜2.0となるように希釈された量である。希釈には緩衝液を用いることができ、反応条件は特に限定されるわけではないが、4℃〜37℃程度で約1時間行い、反応後、緩衝液で洗浄することが好ましい。以上の反応により、固相化した抗体−31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin−標識抗体の複合体を結合することができる。
【0035】
最後に工程(E)において、固相化した抗体−31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin−標識抗体の複合体の標識物質と反応する発色基質溶液を加え、吸光度を測定することによって検量線から31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinの量を算出することができる。
【0036】
上記標識抗体の標識物として、酵素であるペルオキシダーゼを使用する場合には、例えば、過酸化水素と3,3',5,5'−テトラメチルベンジン(以下「TMB」という)を含む発色基質溶液を使用することができる。発色反応は、限定されるわけではないが、発色基質溶液を加え約25℃で約30分間反応させた後、1〜2Nの硫酸を加えて酵素反応を停止させことにより行うことができる。TMBを使用する場合、発色は450nmの吸光度により測定する。一方、標識物として、酵素であるアルカリホスファターゼを使用する場合には、p−ニトロフェニルリン酸を基質として発色させ、2NのNaOHを加えて酵素反応を止め、415nmでの吸光度を測定する方法が適している。なお、既知の濃度の31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを添加した反応液の吸光度により予め作成しておいた検量線を用いて、検体中の31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinの濃度を算出できる。
【0037】
上記で説明した31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinの測定方法を実施するには、本発明の31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体を含む第1の試薬と、31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識する他の抗体を含む第2の試薬とを含有する31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinの測定キット(以下、「本発明キット」という)を利用することが好ましい。
【0038】
なお、本発明キットは常法により作製することができる。具体的には、本発明の31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin抗体と、他に、希釈用緩衝液、標準物質、基質用緩衝液、停止液、洗浄液等を組み合わせればよい。
【0039】
一方、具体的に本発明キットによる中皮腫の診断に用いられる検体は、特に制限はなく、例えば全血、血清、血漿、尿、リンパ液等の体液を挙げることができる。この検体中の31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin量を、本発明診断剤を用いたサンドイッチ法、RIA法、ネフェロメトリー法、免疫比濁法等の免疫測定法における公知の手段により測定し、その量が健常者の平均値より有意に高いと判断される場合には中皮腫と診断することができる。検体中の31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin量を健常者の平均値より有意に高いと判断する指標の例としては、健常人血清群で得られた31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin量の平均値+3x標準偏差の値、好ましくは健常人血清群で得られた31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin量の平均値+5x標準偏差の値を統計学的なカットオフ値として用いることが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【実施例】
【0040】
以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約を受けるものではない。
【0041】
実 施 例 1
31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin断片に対するモノクロー
ナル抗体の作製:
(1)免疫用抗原の作製
配列番号2で表される全長のヒトErc/MPF/mesothelin cDNA(Accession No. AY743922)を鋳型として、配列番号1で表される31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinのアミノ酸配列の35番から295番目までのN末側領域を、以下に示したプライマーNo.5’−3およびNo.3’−3を用いた、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)により増幅させた。次に上記で得られたオリゴヌクレオチドのN末側領域にGST(Glutathione S-transferase)タグをコードする配列を、またC末側領域にヒスチジン(Histidine)タグをコードする配列を付加して、これらGST−31kDa分泌型mesothelin−His領域を、pGEX−6P−1(Amershambiosciences社製)に挿入し、発現ベクターとし、これを大腸菌に組み込んで融合タンパク質として発現させた。
プライマーNo.5’−3(配列番号3):
5’−ACGGGATCCAGGACCCTGGCTGGAGAGACA−3’
プライマーNo.3’−3(配列番号4):
5’−AAGCTCGAGCCGCCGGAACCGCGGCCGGA−3’
【0042】
この大腸菌を5mLのアンピシリンを加えたLB培地で37℃一晩振盪培養した。これをさらに1,000mLのLB培地に加えて37℃4時間振盪培養し、500Mのイソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)を1mL加え3時間振盪培養した。このようにして得た培養液を4℃で6,000rpm、15分間遠心分離し、沈殿をリン酸緩衝塩化ナトリウム液(PBS)で2回洗浄した。その後、1mMのEDTA、1%のTritonX−100を加えた20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)20mlを加え、−20℃で一晩放置した。そして、この液に対し30秒間の超音波処理を4回行って菌体を破壊し、目的のタンパク質を抽出した後、4℃で10,000rpm、30分間遠心分離し、上清を得た。この上清からグルタチオン−セファロースビーズ(Glutathion-sepharose beads:Amershambiosciences社製)を用いてGST−31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin−Hisタンパク質を精製した後、プレシジョンプロテアーゼ(PreScission Protease:Amershambiosciences社製)処理によりGST部分を切断、除去した31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin−Hisを抗原とした。
【0043】
(2)モノクローナル抗体の作製
免疫用抗原として、上記(1)において得られたタンパク質を用い、1週間、または2週間おきに50μl(50μg)を投与し、マウスを免疫した。抗原は初回免疫のみにフロイント完全アジュバントと混和し、二回目からはフロイント不完全アジュバントと混和した。免疫化されたマウスの脾単球細胞と融合パートナー、X63−Ag8−653をポリエチレングリコール仲介細胞融合に付し、文献(J. Immunol. 146:3721-3728)に述べた方法によりハイブリドーマを選択した。選択は、固定化された31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinに反応する細胞を選択することにより行った。
【0044】
上記のようにして選択した細胞を無血清培地のGIT培地(和光純薬)で細胞の80%が死滅するまで抗体を産生させた。次いでこの培地から遠心(1,000rpm、15min)により細胞を取り除いた後、硫酸アンモニウムを50%飽和状態にして4℃で一晩静置し、沈殿を遠心(1,000rpm、30min)により回収した。更にこの沈殿を2倍に希釈したバインディングバッファー(binding buffer:Protein AMAPS IIkit製)に溶解させた後、プロテインAカラム(Pharmacia-Amersham製)にIgGを吸着させた。その後、PBS透析を一晩行って抗体を精製し、31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識する抗体を得た。そしてこの抗体を7E7と名付けた。
【0045】
(3)ウエスタンブロッティングによる7E7抗体の特異性の確認:
次に、(2)で得られた7E7抗体が31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識することを確認するために、7E7抗体を用いてCOS−1細胞に強制発現させたErc/MPF/mesothelinタンパク質等について、常法(例えば、「分子生物学基礎実験法」、南江堂)に従いウエスタンブロッティングを行った。
【0046】
ウエスタンブロッティングの結果を図1に示した。サンプル1はヒトErc/MPF/mesothelin全長のcDNAを導入したCOS−1細胞の溶解液、サンプル2はヒトErc/MPF/mesothelin全長のcDNAを導入したCOS−1細胞の培養上清、サンプル3はベクターのみ導入したCOS−1細胞の培養上清、そしてサンプル4、5、6はそれぞれ、HeLa細胞、MKN−28細胞、NRC−12細胞の培養上清をサンプルとしたもので、それぞれのサンプルは2−メルカプトエタノール(2Me)を加えて還元状態とした(図1中、ヒトErc/MPF/mesothelinは「hERC」と表記)。そして、さらにサンプル4、5、6についてはhERCおよびβアクチンのRNA発現をRT−PCR法により確認した。
【0047】
この図1によると本抗体がErc/MPF/mesothelinを強制発現させたサンプルについて、71kDa全長型Erc/MPF/mesothelinおよび31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinの発現部位にバンドを有することが確認され、本抗体がErc/MPF/mesothelinに対し反応性を有することが確認された。
【0048】
実 施 例 2
31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin断片に対するポリクロー
ナル抗体の作製:
(1)免疫用抗原の作製
ヒトErc/MPF/mesothelinの内部配列に相当する下記のアミノ酸配列(配列番号1の282〜295)を有するペプチドは、HPLCクロマトグラフィー精製した状態の品をシンペップ(Synpep Corporation)社より購入した。なお、当該ペプチドはC末側にシスティン(C)を付けたペプチドである。このペプチドをポリクローナル抗体作製のための抗原とした。
CRQPERTILRPRFRR
【0049】
(2)ポリクローナル抗体の作製
(1)で作製したペプチド100μgとフロイント完全アジュバントを等量混合してエマルジョンを作製し、これをウサギに免疫した。免疫1週間後に、抗原100μgとフロイント不完全アジュバントを等量混合してエマルジョンを作製し、ウサギに追加免疫し、以後同様の操作を各週の間隔で3回行った。その後、免疫原に対する力価上昇を、抗原ペプチドを固相化したELISA法で確認した後、全採血を行い1,500rpmで15分間の遠心により抗血清を分離し、抗原ペプチドを結合させたアフィニティーカラムを用いて抗原特異精製を行い、ポリクローナル抗体を得た。そしてこの抗体を4−2抗体と名づけた。
【0050】
(3)ウエスタンブロッティングによる7E7抗体の特異性の確認
次に、(2)で得られた4−2抗体が31kDa-分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識することを確認するために、4−2抗体を用いてCOS−1細胞に強制発現させたErc/MPF/mesothelinタンパク質等について、前述のように常法に従いウエスタンブロッティングを行った。ウエスタンブロッティングの結果を図2に示した。サンプルは上記7E7抗体の試験で用いたものと同じである。この図によると本抗体がErc/MPF/mesothelinを強制発現させたサンプルに対して反応性を有することが確認された。
【0051】
実 施 例 3
ELISA測定系の作製:
(1)標準物質の作製
上述した抗体作製時に用いた抗原タンパク質(31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin−His)を基準にして、COS−1細胞で発現させた31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinの濃度を測定し、ELISA測定系の標準物質とした。
【0052】
(2)ポリクローナル4−2抗体とHRPとの結合物の作製
実施例2で得られた4−2抗体とHRPとの結合物は以下のように作製した。必要量のHRPを蒸留水に溶かし、NaIOで酸化させた後、pH4.4の1mM酢酸緩衝液に一晩透析した。また、4−2抗体の1−10mgもpH9.5の0.1M炭酸緩衝液に一晩透析した。これらの透析した4−2抗体とHRPを抗体1mgに対してHRPが0.4mgになるように混合し、室温で2時間反応させた。次いで、これにNaBHを加え氷中で2時間反応させた後PBSに一晩透析した。更に、この反応物をゲル濾過し、4−2抗体とHRPとの結合物を作製した。
【0053】
(3)ELISA測定系の作製
上記実施例で得られた抗体を用いたサンドイッチELISA法の構築は以下のようにして行った。まず、10μg/mlの7E7抗体を100μlずつ96wellのELISA用プレートに加えた。次いで、これを4℃で一晩反応させた後、1%BSA/PBS/NaN溶液にてブロッキングを行い、サンドイッチELISA用プレートとした。また、上記(2)で作成した4−2抗体とHRPとの結合物を標識抗体とした。
【0054】
適当に希釈した標準物質および検体を各ウェルに添加し37℃で1時間反応(1次反応)、洗浄後、HRP(horseradish peroxidase)標識した4−2抗体を加え4℃、30分間反応(2次反応)、洗浄後、テトラメチルベンジジン(Tetra Methyl Benzidine (TMB))を含む基質液を加え室温30分間放置、反応停止液(1NのHSO)を加え反応停止後、波長450nmでの吸光度を測定し、標準物質から作成した検量線を用いて検体中の31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin濃度を算出した。
【0055】
図3に代表的な検量線の作成例を示した。また、図4に本測定系を用いて測定した培養細胞の培養上清中の31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin濃度を示した。更に、図5に健常人血清中の31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin濃度を示した。健常人血清中の健常人血清の平均値は7.66ng/ml、ヘパリン添加血漿10.60ng/ml、EDTA添加血漿11.77ng/mlであった。
【0056】
実 施 例 4
ELISA測定系の作製:
実施例3で作製したELISA測定系を用いて、中皮腫患者血清3例(検体No.1〜3)および健常人血清13例(検体No.4〜16)中の31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinの濃度を次のようにして測定した。
【0057】
血清サンプルは採取後すぐにPBSで16倍に希釈し、そして実施例3に記載の方法に従って測定を行った。そして希釈サンプルの吸光度から31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin濃度を求め、更に、その濃度から原液濃度(16倍)へ換算した。この測定結果を表1に示した。
【0058】
この結果、健常人においては31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelin濃度は3.02〜29.22ng/mLの範囲を示し、平均値は7.80ng/mLであったのに対して、中皮腫患者血清中には、健常人(検体数13、平均値7.80ng/mL)と比較して31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinの濃度が高値であることが判った。
【0059】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の診断剤および診断キットは、31kDaの分泌型Erc/MPF/mesothelinを測定することができるので、中皮腫の診断に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、モノクローナル抗体7E7のウエスタンブロッティングによる特異性試験の結果を示す(ここでレーン1はヒトErc/MPF/mesothelin全長のcDNAを導入したCOS−1細胞の溶解液、レーン2はヒトErc/MPF/mesothelin 全長のCDNAを導入したCOS−1細胞の培養上清、レーン3はベクターのみ導入したCOS−1細胞の培養上清、レーン4、5、6はそれぞれ、HELA細胞、MKN−28細胞、NRC−12細胞の培養上清をサンプルとした結果を表す)。
【図2】図2は、ポリクローナル抗体4−2のウエスタンブロッティングによる特異性試験の結果を示す(ここでレーン1はヒトErc/MPF/mesothelin全長のcDNAを導入したCOS−1細胞の溶解液、レーン2はヒトErc/MPF/mesothelin 全長のcDNAを導入したCOS−1細胞の培養上清、レーン3はベクターのみ導入したCOS−1細胞の培養上清、レーン4、5、6はそれぞれ、HELA細胞、MKN−28細胞、NRC−12細胞の培養上清をサンプルとした結果を表す)。
【図3】図3は、実施例3で作製したELISAキットによる検量線(STD Curve)を示す。
【図4】図4は、実施例3で作製したELISAキットによる各種細胞株培養上清の測定例を示す(ここで、O−128は胃癌由来、O−3は胃癌由来、COS−1はサル腎臓癌化由来、HT−29は大腸癌由来、HelaS3は子宮頚癌由来、SMOV−1は卵巣癌由来、HPC−Y9は膵癌由来、PC−9は肺癌由来、KatoIIIは胃癌由来、MKN−1は胃癌由来、MKN−28は胃癌由来、MKN−45は胃癌由来、MKN−74は胃癌由来、OKAJIMAは胃癌由来)。
【図5】図5は、実施例3で作製したELISAキットによる健常人血清(Serum)、ヘパリン添加血漿(Heparin−p)、EDTA添加血漿(EDTA−p)の測定例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識する抗体を含有することを特徴とする中皮腫診断剤。
【請求項2】
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識する第1の抗体を含有する第1の試薬と、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する31kDa分泌型Erc/MPF/mesothelinを認識する抗体であって、第1の抗体と異なるエピトープを認識する第2の抗体を含有する第2の試薬とを組み合わせてなることを特徴とする中皮腫診断キット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−71849(P2007−71849A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265154(P2005−265154)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年(平成17年)7月15日 「日本経済新聞(夕刊)」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年8月1日 「日経バイオテク」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年8月15日 日本癌学会発行の「第64回 日本癌学会学術総会記事」に発表
【出願人】(399032282)株式会社 免疫生物研究所 (14)
【Fターム(参考)】