説明

中空薄板式固体電解質燃料電池

【目的】 固体電解質型燃料電池の大形化と大出力化を可能にする。
【構成】 酸化剤極を薄板状で貫通口12を有する基体管20で構成し、この片面に固体電解質21と燃料電極22を形成し、その反対面にインタコネクタ23を形成して単位発電セル27を構成する。これにより、極板の大形化を可能にするとともに、出力密度を高め、かつ発電電流が薄板状の電極を垂直に流れるようにして内部抵抗を小さくする。このように単位発電セル20を薄板状とすることで、積層により発電モジュールを形成可能とし、その積層に際して基体管20を発電セルの支持体とすることにより機械的強度を高め積層数を増加させる。以上により、大出力化,大形化を実現する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体電解質燃料電池の発電セルと発電装置の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体電解質燃料電池(以下、「SOFC」と略称で示す)は、一般に酸素イオン電導性を有する固体物質を電解質として使用し、1000℃近辺という高温で使用される。このため、使用材料が限定され、電解質のみならず各電極、集電体等のほとんど全てに固体材料が用いられ、例えば電解質にはイットリア(Y23)を混ぜたジルコニア(ZrO2)(以下YSZと略す)、また燃料極にはニッケルとジルコニアのサーメット、酸化剤極にはLaSrMnO3やLaCoO3等のぺロブスカイト系結晶構造の酸化物導電材料が使用されている。
【0003】このような材料のイオン電導性、電子電導性は小さいので、電池を組み立てた際の内部抵抗を小さくするため各材料の薄膜化が行われている。特に、材料の中では抵抗の大きい電解質については、薄膜化が必要不可欠である。これと併せて、高温で動作させることで電導性の向上を図っている。このように、SOFCにはセラミックが使用されるが、これらは材料自体が脆いうえ、電池として所定の特性を得るために薄膜化して使用される。従って、このような部材の組合わせによって構成されるSOFCの電極部は非常に機械的強度が弱い。
【0004】従来のSOFCの構造例としては、例えば平板型と称されるものがある。図8はその構造を示す断面図であって、1は、単位発電セルである。単位発電セル1は、固体電解質2の薄膜,および該固体電解質2の両側に位置する酸化剤極3,燃料電極4で構成された積層膜8と、インタコネクタ5および該インタコネクタ5の両側の酸化剤電極と同じ材質の膜6,燃料電極と同じ材質の膜7で構成された積層膜9を積み重ねることによって構成されている。前記インタコネクタ5は、各単位発電セル1を電気的に接続する部分である。このように単位発電セル1が構成され、これが前記インタコネクタ5を介して複数個直列に接続されてモジュール10が組み立てられている。なお、11は燃料通路であり、12は酸化剤通路である。
【0005】燃料電池の出力は、単位発電セルあたり0.7〜0.8Vなので、モジュールから所定の電圧を得るためには、所定の数の単位発電セルを積層する必要がある。平板型の単位発電セルの積層にあたっては、一般的に、薄膜化された各材料を積み重ねた状態のままで一括して焼成する方法が採られ、これによってモジュールが作製されている。また、単位発電セル1を積層したモジュールを構成するためには、燃料ガス、酸化剤ガスの供給と排出のために、モジュールの側面に各発電セルの流路11,12に連通する各ガスの供給と排出のための流路が必要であるが、平板型SOFCでは、積層膜8や9の端部においてこれらの流路の気密を確保した上でガスの給・排気口が取り付けなければならない。
【0006】また、図9の外観図に示す単位発電セル1は、従来のSOFCのうち、円筒型と呼ばれるSOFCに用いられているものである。この従来例は、図のように、多孔質チューブ13の上に燃料電極4、固体電解質2の薄膜、酸化剤極3、インタコネクタ5の順に各材料を積層して単位発電セル1を構成するものである。このSOFCにおいては、燃料ガスと酸化剤ガス(空気)を単位発電セル1の外と多孔質チューブ13内を貫通する酸化剤通路12に流すことによって発電が行われる。通常、このような単位発電セル1はインタコネクタ5によって電気的に接続されるように縦に積み重ねられて使用される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の技術によるSOFCにおいては、以下のような問題点があった。
【0008】まず、図8の平板型SOFCでは、積層にあたっては、各単位発電セルの積み重ね面には曲がり等が無く、精度良く仕上がっている必要があるが、焼結によってこのような形状的特性を得ることは難しい。一方、先に述べたように、固体電解質2は、抵抗を減少させるために薄膜化されているため、積層膜8の機械的強度は弱い。従って、この様な積層膜8や9を多数積み重ねようとしても、材料強度が不十分なために圧縮・剪断に弱く、積み重ね枚数に制限が生じ、大きな出力電圧を持ったモジュールを得ることが困難であった。また、一般的に平板型のSOFCは、各材料を積み重ねた状態のままで一括焼成して構成する方法によって作製されるが、この時各材料の熱膨張率は必ずしも同一ではないので焼成中や焼成後にクラックが発生するなどの問題があり、作製そのものも非常に困難であった。さらに、単位発電セル1を積層した発電モジュールを構成するためには、燃料ガス、酸化剤ガスの供給と排出のために、モジュールの側面に各ガスの供給と排出のための流路が必要であるが、SOFCでは酸化物固体が使用されているため、平板型では特に積層膜8や9の端部においてこれらの流路の気密を確保した上でガスの給・排気口を取り付けることは難しいという問題があった。
【0009】また、図9の円筒型SOFCでは、円筒型の単位発電セルが縦に積み重ねられて使用されるため、機械的強度の点では改善が図られる。しかし、例えば、(1)発電電流が矢印Iのように電極面に沿って流れるため、電流の通路が長くなり、内部抵抗が大きくなること、また、(2)円筒型の構造で出力密度の向上を図るには多孔質チューブの長さを増すことになるが、製造上長さと管径の細さには限度があり、出力密度にも限界が生じる。というような問題点があった。
【0010】本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、平板型SOFCが内在している、多層積層が難しく大出力化が望めないということや、円筒型SOFCにおける、内部抵抗が大きくなることと、出力密度が小さいこと、等の問題点の解決を図った中空薄板式固体電解質燃料電池を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の中空薄板式固体電解質燃料電池においては、酸化剤電極と燃料電極が電解質を介して配置され、燃料ガスと酸化剤ガスを供給することで発電する固体電解質燃料電池において、どちらか一方の電極材料によって、板状で内部に一端からこれに相対する他端に向けて貫通口を有する中空状の基体を形成し、該基体の片面に電解質層を配置し、該電解質層の上面に他方の電極を形成し、このような電解質と電極を設けた片面の反対側の面にインタコネクタを形成することで発電セルを構成し、該インタコネクタを介し前記発電セルを複数接触させて積層することによって構成することを特徴としている。
【0012】
【作用】本発明の中空薄板式固体電解質型燃料電池では、発電セルの一方の電極を薄板状で貫通口を有する中空筒状の基体とすることにより、発電セル自体の極板の大形化を可能にして出力密度を高めるとともに、発電電流が薄板状の電極を垂直に流れるようにして内部抵抗を小さくする。また、発電セルを薄板状とすることにより、積層時に基体を発電セルの支持体として積層の際の機械的強度を高め、発電セルの積層数を増加させている。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。図1,図2,図3,図4,図5(a),(b)は本発明の実施例における単位発電セルの構造例を示す図である。図1,図2,図3,図4は本発明の単位発電セルの外観を示し、図5(a)は図1,図2,図4R>4におけるA−A′の断面を、図5(b)は図3におけるB−B′の断面を表している。
【0014】このうち図1,図2,図3における単位発電セル27の各構造例では、酸化剤電極材料によって、薄板状で内部に一端からこれに相対する他端に向けて貫通口12を有する中空状の基体管20を作製し、その酸化剤電極基体管20の片方の表面に固体電解質21、燃料電極22の各層を順に形成している。そして、燃料電極22を設けた面の反対側の面にインタコネクタ23を設置している。酸化剤電極基体管20の材料としては、酸化剤電極に通常用いられるLaSrMnO3やLaCoO3等が使用でき、この材料によって押出成形等により作製される。固体電解質21と燃料電極22の各層は、いずれも溶射法により薄膜として形成することができ、各材料としてはYSZ、ニッケルとジルコニアをそれぞれ用いる。これら各層の厚みは、いずれも50〜200μmで形成する。
【0015】なお、本実施例では、固体電解質21を形成した面の反対側にインタコネクタ23を設けるが、この層の形成にあたっても溶射によって、Ni−Al23やLaCrO3等の還元雰囲気下で安定な物質の層を形成するだけで良い。また、固体電解質21の層とインタコネクタ23が設けられた部分以外については、ガスの透過を防止する必要があるので、Al23等からなるガス不透過性被膜24で覆う。また、各層の形成にあたっては、溶射だけでは無く所定の薄膜性能(薄さ、緻密さ等)が得られれば、CVD法、テープキャスティング法、スラリー塗布法等の適用が可能である。
【0016】図1,図2,図3の構造例の違いは、固体電解質21または燃料電極22の配置の差異による。まず、図1の単位発電セル27の第1の構造例では、固体電解質21およびその上面に形成される燃料電極22は、共に酸化剤電極基体管20の貫通口12の方向と交叉する方向に横長となる短冊形状として複数配列する。次に、図2に示す単位発電セル27の第2の構造例は、上記第1の構造例において、固体電解質21を連続的に一つの層として形成し、その層上に第1の構造例と同一形状の横長の燃料電極22を複数配列・形成したものである。さらに、図3の単位発電セル27の第3の構造例は、上記第2の構造例において酸化剤電極基体管20の片面に連続的に形成した固体電解質21の層上に酸化剤電極基体管20の貫通口12と同じ方向に縦長の短冊形状の燃料電極22を複数配列・形成したものである。これらの構造例の場合、酸化剤電極基体管20の貫通口12が酸化剤ガスの通路となり、燃料電極22の周囲がモジュールに組み立てられた際に燃料ガスの通路となる。
【0017】なお、本発明では基体管を酸化剤電極材料だけでは無く、燃料電極材料によっても製造することを可能としている。図4は、燃料電極を基体に使用した発電セルの第4の構造例の外観を示す。本構造例は、図1に示す第1の構造例の発電セルにおいて電極層を置き換えたものであって、25は燃料電極基体管、21は固体電解質、23はインタコネクタ、24はガス不透過性被膜、26は酸化剤電極である。
【0018】この第4の構造例では、基体管の材料として燃料電極材料のニッケルとジルコニアの混合物を使用する。そして、この燃料電極材料で作製された燃料電極基体管25の片方の表面に固体電解質21の層を形成し、さらにこの固体電解質21上に重ねて酸化剤電極26の層を形成する。これら2層の形成にあたっても先に述べたような、CVD法、テープキャスティング法、スラリー塗布法、溶射法等が適用できる。その他、インタコネクタ23や不透過性被膜24の形成については、第1〜第3の構造例の単位発電セルの作製と同様である。なお、11は燃料電極基体管25の貫通口であり、燃料ガス通路である。また図例では、固体電解質21および酸化剤電極26の配置を第1の構造例の固体電解質と燃料電極の配置と同様にしているが、第2および第3の構造例の配置と同様にしても良い。
【0019】本発明では次に、このように作製した単位発電セル27を組み合わせて所定の出力を持った発電モジュールを構成する。図6は、本発明における発電モジュールの組み立て例である。この図は、酸化剤電極材料で作製した酸化剤電極基体管20を使用した単位発電セルを積層して構成した例である。図において、27は基体管20,固体電解質21,燃料電極22,インタコネクタ23から成る単位発電セル、30は固定板、30−1は溝、31は分離板、31−1は分離板に設けた貫通口、32は外容器、33は酸化剤ガス供給口、34は燃料ガス供給口、35は前室、36は燃焼室、37はガス排出口、38は導電性スペーサ、39は導線、40はシール剤である。モジュールの構成にあたっては、単位発電セル27を固定板30に載せた後、分離板31を貫通させ、この様な状態で外容器32の内部に収納している。固定板30には単位発電セル27の取付用に溝30−1が設けられており、単位発電セル27はこの溝に嵌合され、その嵌合部にはガスの気密性を確保するため、ホウケイ酸ガラス等の非導電性ガラス融体からなるシール材40が満たされる。
【0020】一方、単位発電セル27が分離板31を貫通する部分の構造は、単位発電セル27の上端の水平方向の位置を固定するとともに、貫通口31−1により燃料ガスの排出が行えるようになっている。固定板30への単位発電セル27の取付け部分、および分離板31と単位発電セル27の貫通部分の詳細図は図7に示す通りである。未反応の燃料や反応生成物である水蒸気は、分離板31に設けられた貫通口31−1の隙間から燃焼室36に導かれる。このような形状とすることによって、熱膨張により単位発電セル27の寸法変化が生じても、固定板30部における気密性を確保しておくことができ、一方、未反応燃料や反応生成物は反応部から燃焼室36に排出させることができる。また、図6に示すように、単位発電セル27はニッケルフェルト等の導電性スペーサ38を介して組み立てられ、この状態で各セルの面同士が接触するので各単位発電セル27は電気的に直列接続することができる。
【0021】本発明のSOFCの動作にあたっては、従来のSOFCと同様、上記発電ブロックを1000℃等の温度条件下に設置し、各ガスを供給するだけである。酸化剤ガスは、外容器32の下部に設けられた酸化剤ガス供給口33から供給され、各単位発電セル27の内部の貫通口12を通過しながら反応し、その後の残ガスが燃焼室36に達する。従って、基体管20のうち固体電解質21の層の下部に位置した部分が酸化剤電極として作用する。一方、燃料ガスは外容器32の側面に設けられた燃料ガス供給口34から、内部に供給されて反応する。図では、燃料ガス供給口34が外容器32の左側面に表示されているが、ガスと燃料極との接触を向上させる観点から紙面の表側(または裏側)の位置に設けることも可能である。供給された燃料ガスは各単位発電セル27間の隙間に流入して反応することになるが、各単位発電セル27間には多孔性の導電性スペーサ38が設けられているので、燃料ガスの燃料電極22への拡散は支障無く行われる。ここで、反応で消費されなかったガスは燃焼室36に導かれて、やはり反応で残った酸化剤ガスと混合し燃焼する。そして、このような燃焼後の高温ガスは、ガス排出口37から外部に排出される。
【0022】一方、図4に示した燃料電極材料を基体に使用した単位発電セルを用いた場合にも、上述の組み立て法が適用できるが、この場合、単位発電セルの外側は酸化雰囲気なのでインタコネクタとしては、酸化雰囲気下で安定なLaCrO3を用いる。この点が酸化剤電極を基体に用いた単位発電セルと大きく異なる点であり、その他の層の薄膜形成法については酸化剤電極を基体に用いた単位発電セルの例と同様である。なお、本単位発電セルを使った場合、図6のモジュールの組み立てに使用する導電性スペーサ38としては酸化雰囲気下で安定な物質が必要であるので、この場合LaCrO3を繊維状にして作製した不織布や白金メッシュ、さらには炭素繊維から作製する不織布等を用いる。
【0023】先に述べたように、SOFCは1000℃前後の温度で使用されるため、セルと外容器の壁等の各部の材料は比較的大きな熱膨張を起こす。このような使用状態で発電部の気密を確保するためには、各部分を強固に固定し発電部全体が一体となるような構造にする必要があるが、このためには、各部分の熱膨張率差を限りなく一致させる必要があった。しかし、本実施例では、中空状の基体管20で発電セル27を作製し、これを外容器内に収容した固定板30と分離板31によって組み立てる構造としている。各単位発電セル27は固定板30によって支えられただけの状態にあり、またその固定部も非導電性のガラス融体でシールされているだけである。このガラス融体は、1000℃という高温では軟化状態にあり、また、各単位発電セル間には柔軟性のある導電性スペーサ38が配置されている。従って、熱膨張による寸法変化を受容し易く、発電部内に温度分布が生じ各セルに熱膨張差が発生してもこのような影響による発電セルの破壊を有効に防ぐことができる。
【0024】以上述べたように本実施例においては、基体管20(または25、以下同じ)が発電セル27全体の支持板として働いて、機械的強度を高くすることができるので、多数の単位発電セル27を積層しても高い機械的強度を有することができる。また、発電電流は薄板状の基体管20を垂直に流れるので従来の円筒型のSOFCにみられるような電流の横流れを防止することができ、内部抵抗を小さくすることができる。さらに基体管20の形状が薄板状であるため、従来の円筒型の基体管に比べて極板の寸法を大きくすることができ、出力密度を高めることができる。
【0025】これらのことにより、積層して作製した電極を多数積み重ねてモジュールを形成する従来の平板型SOFCの問題点、即ち、(1)積層構造の電極は材料強度が不十分なために圧縮・剪断に弱く、積み重ね枚数に制限が生じ大きな出力電圧を持ったモジュールを得ることが困難であること。(2)一般的に、平板型SOFCは各材料を積み重ねた状態のまま一括して焼成する方法によって作製されるが、この時各材料の線膨張率は必ずしも同一ではないので焼成後にクラックが発生するなどの問題があり、作製そのものも非常に困難であったこと。および、多孔質チューブ上に固体電解質薄膜、各電極等を積層した円筒型SOFCの問題点、即ち、(1)発電電流が電極面に沿って流れて電流の通路が長くなるため、内部抵抗が大きくなること。(2)製造上チューブの長さと細さには限度があり、出力密度にも限界が生じること。といった従来のSOFCが内在していた種々の問題点を一気に解決することが出来る。
【0026】なお、本発明では、発電セルとしては中空状であれば良く特に外形や中空部の形状や大きさ等を限定するものではない。同様に、固定板、分離板、外容器の形状等に関しても何ら制限を加えるものではない。また、各電極、固体電解質等の材料に関しても、本発明では限定するものでは無く、基本的に従来の平板型SOFCで使用されている材料が適用可能である。また、基体管は押出成形で作製するだけでなく、テープ成形で作製したグリーンシートやプレス成形で作製した薄板の組み合わせによっても得ることができる。なお、ガスの供給方法に関しても特に制限するものでは無い。このように本発明は、その主旨に沿って種々に応用され、種々の実施態様を取り得るものである。
【0027】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の中空薄板式固体電解質燃料電池では、発電セルの一方の電極を薄板状で貫通口を有する中空筒状の基体とすることにより、寸法の大きな極板の作製が容易になり、出力密度を高め、大出力化が可能になる。また、発電電流が薄板状の電極を垂直に流れるので電流の横流れがなくなり、内部抵抗を小さくすることができる。また、発電セルを薄板状とすることにより、積層時に基体が発電セルの支持体となって積層の際の機械的強度を高め、発電セルの積層数を増加することができる。
【0028】これにより、本発明は、平板型SOFCが持つ欠点、即ち、極板の機械的強度が弱く積層枚数に制限が生ずるばかりか、寸法の大きな極板の作製も困難でありSOFCそのものの大出力化が出来なかったという欠点、および、円筒型SOFCの持つ欠点、即ち、内部抵抗が大きいことと、出力密度にも限界があると言う欠点を解消し、大形SOFCを容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を構成する単位発電セルの第1の構造例を示す外観図
【図2】上記実施例を構成する単位発電セルの第2の構造例を示す外観図
【図3】上記実施例を構成する単位発電セルの第3の構造例を示す外観図
【図4】上記実施例を構成する単位発電セルの第4の構造例を示す図
【図5】(a),(b)は上記単位発電セルの構造例における断面図
【図6】上記実施例のモジュールの組み立て例を示す断面図
【図7】(a),(b)は上記実施例における単位発電セルの取り付け部分の詳細図
【図8】従来の平板型SOFCの構造を示す断面図
【図9】従来のSOFCを構成する円筒型の単位発電セルの外観図
【符号の説明】
12…貫通口、20…酸化剤電極基体管、21…固体電解質、22…燃料電極、23…インタコネクタ、24…ガス不透過性被膜、25…燃料電極基体管、26…酸化剤電極、27…単位発電セル、30…固定板、30−1…溝、31…分離板、31−1…貫通口、32…外容器、33…酸化剤ガス供給口、34…燃料ガス供給口、35…前室、36…燃焼室、37…ガス排出口、38…導電性スペーサ、39…導線、40…シール剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 酸化剤電極と燃料電極が電解質を介して配置され、燃料ガスと酸化剤ガスを供給することで発電する固体電解質燃料電池において、どちらか一方の電極材料によって、板状で内部に一端からこれに相対する他端に向けて貫通口を有する中空状の基体を形成し、該基体の片面に電解質層を配置し、該電解質層の上面に他方の電極を形成し、このような電解質と電極を設けた片面の反対側の面にインタコネクタを形成することで発電セルを構成し、該インタコネクタを介し前記発電セルを複数接触させて積層することによって構成することを特徴とする中空薄板式固体電解質燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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