説明

中継コネクタ

【課題】小型で簡単な操作で基板10に同軸コネクタ22を電気的接続させ、また取り外せる中継コネクタを提供する。
【解決手段】導電材のメインブロック20に、穿設した貫通孔20aに誘電体部材22bを挿入して外郭GND22aを固定し反対側の面より芯線22cを突出して同軸コネクタ22を固定する。基板受け部26bを有する導電材のGNDブロック26が、メインブロック20に対してガイドピン24とガイド孔26aで、芯線22cが突出した面と平行な直線方向に相対移動する。芯線22cと基板受け部26bとの間の距離を接近分離させて、その間に基板10を差し込むとともに挟む。基板10を挟んで、端子電極12を芯線22cに、GND電極16を基板受け部26bとGNDブロック26とメインブロック20を直列に介して外郭GND22aにそれぞれ電気的接続する。もって、基板10を、同軸コネクタ22に電気的接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の検査等のために、基板の表面に設けられた端子電極に同軸コネクタの芯線を電気的接続するとともに基板の裏面に設けられたGND電極に前記同軸コネクタの外郭GNDを電気的接続する中継ネクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高周波回路基板等の設計製作において、設計途中でその特性評価を行う必要がある。そこで、基板の表面端部に設けられた端子電極に同軸コネクタの芯線を電気的接続するとともに、基板の裏面端部に設けられたGND電極に同軸コネクタの外郭GNDを電気的接続して、端子電極から得られる高周波信号に基ずいて特性評価がなされる。従来の同軸コネクタを基板に電気的接続する構造を、図25および図26を参照して簡単に説明する。図25は、従来の同軸コネクタを基板に電気的接続する構造を示す図である。図26は、従来の基板に同軸コネクタを接続する前の分解斜視図である。図25および図26において、基板10の表面端部に設けられた端子電極12、12…に同軸コネクタ(一例として、SMA型コネクタ)14、14…の芯線14a、14a…が半田付けにより電気的接続され、また基板10の裏面端部に設けられたGND電極16に同軸コネクタ14、14…の外郭GND14b、14b…が半田付けにより電気的接続される。
【0003】
図25および図26に示す従来の構造にあっては、同軸コネクタ14、14…を基板10に電気的接続する際の半田付け作業が煩雑である。また、同軸コネクタ14、14…を基板10から取り外す際の半田を溶融する作業も煩雑である。しかも、半田付けおよび半田を溶融する際に、同軸コネクタ14の構成部品である樹脂部材からなる誘電体部材に熱が加わり、誘電体部材の変形および電気的特性変化を生ずる虞があり、繰り返して使用できる回数が限られていて経済的でない。
【0004】
そこで、半田付けすることなしに同軸コネクタを基板に電気的接続する技術が、USP5017865号公報に示されている。この技術を簡単に説明すれば、導電材からなるブロックに同軸コネクタの外郭GNDを固定するとともに、このブロックの一面から電気的に絶縁状態で同軸コネクタの芯線を突出させ、さらにブロックのこの一面に沿って移動し得る導電材からなる移動部材を設けて構成される。そして、移動部材に基板を搭載した状態で、この移動部材を芯線側に移動させ、基板の表面端部に設けられた端子電極を芯線に当接させて電気的接続を得るとともに、基板の裏面端部に設けられたGND電極が移動部材に搭載されているのでこの移動部材とブロックを介して外郭GNDに電気的接続が得られる。半田付けすることなしに、同軸コネクタを基板に電気的接続することができる。
【特許文献1】USP5017865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のUSP5017865号公報に示された技術にあっては、基板を搭載する移動部材を、同軸コネクタの芯線側に移動させる構造が複雑であり、装置全体としてかなり大きなものとなっている。より小型で、基板に対してより簡単に同軸コネクタを取り付けおよび取り外しのできるものが望ましい。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、小型であるとともに簡単な操作で基板に同軸コネクタを電気的接続できるとともに、簡単に取り外すことのできるようした中継コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明の中継コネクタは、基板の表面端部に設けられた端子電極に同軸コネクタの芯線を電気的接続するとともに前記基板の裏面端部に設けられたGND電極に前記同軸コネクタの外郭GNDを電気的接続する中継ネクターであって、導電材からなるメインブロックに穿設した貫通孔に誘電体部材を挿入して前記メインブロックの一面に同軸コネクタの外郭GNDを固定するとともに前記メインブロックの反対側の面より前記誘電体部材から剥き出された芯線を突出させ、基板の端部を載せる基板受け部を有する導電材からなるGNDブロックを前記メインブロックに対してガイド部材により前記芯線が突出した面と平行な直線方向に相対移動し得るようになし、前記メインブロックと前記GNDブロックの前記相対移動により前記芯線と前記基板受け部との間の距離を接近分離させてその間に前記基板を差し込めるとともに挟めるようになし、前記芯線が突出する面で前記基板受け部と前記接近分離方向の反対側で前記芯線に接する絶縁カバーを配設し、前記メインブロックと前記GNDブロックを電気的接続して構成されている。
【0008】
そして、弾性部材により、前記メインブロックと前記GNDブロックを前記芯線と前記基板受け部の間を接近方向に弾性付勢し、前記弾性部材の弾力で前記基板を前記芯線と前記基板受け部の間で挟むように構成しても良い。
【0009】
また、前記芯線と前記基板受け部で前記基板を挟んだ状態で、前記メインブロックと前記GNDブロックの相対移動を規制する移動規制手段を設けて構成しても良い。
【0010】
また、前記GNDブロックに導電材からなる板バネを固定し、この板バネを前記メインブロックに対して前記接近分離方向に摺動自在に弾接させて、前記GNDブロックを前記メインブロックに電気的接続するように構成しても良い。
【0011】
また、前記メインブロックまたは前記GNDブロックの一方に前記接近分離方向にガイドピンを立設するとともに他方に前記接近分離方向に前記ガイドピンが挿入されるガイド孔を穿設して、前記ガイド部材を構成しても良い。
【0012】
また、前記メインブロックまたは前記GNDブロックの一方に前記接近分離方向に貫通させてガイド孔を穿設するとともに他方側から前記ガイド孔にガイドネジを挿通して前記一方側にその先端部を螺合させて、前記ガイド部材を構成しても良い。
【0013】
また、前記メインブロックに前記芯線に対して前記基板受け部と反対側に操作部材を配設し、前記操作部材と前記メインブロックの間に弾性部材を縮設して前記操作部材を前記メインブロックに対して分離方向に弾性付勢し、前記操作部材と前記GNDブロックを連結部材で連結し、前記操作部材を前記弾性部材の弾力に抗して前記メインブロック側に押圧移動させると前記芯線から前記基板受け部が分離方向に相対移動するようになし、前記操作部材を前記弾性部材の弾力に抗して押圧して前記芯線と前記基板受け部との間を開いてその間に基板を差し込み、前記操作部材の押圧を解放して、前記弾性部材の弾力によって前記芯線と前記基板受け部の間で前記基板を挟むように構成しても良い。
【0014】
また、前記メインブロックと前記GNDブロックの間に弾性部材を縮設して、前記メインブロックと前記GNDブロックを分離方向に弾性付勢し、この弾力により前記芯線と前記基板受け部との間を拡げた状態としてその間に基板を差し込めるようになし、前記弾性部材の弾力に抗して前記メインブロックと前記GNDブロックを接近方向に相対移動させて前記芯線と前記基板受け部の間で前記基板を挟むように構成しても良い。
【0015】
また、前記メインブロックと前記GNDブロックの間に弾性部材を張架して、前記メインブロックと前記GNDブロックを接近方向に弾性付勢し、前記弾性部材の弾力に抗して前記メインブロックと前記GNDブロックを分離方向に相対移動させて、前記芯線と前記基板受け部との間を開いてその間に基板を差し込み、前記分離方向の力を解放して、前記弾性部材の弾力によって前記芯線と前記基板受け部の間で前記基板を挟むように構成しても良い。
【0016】
また、前記芯線の先端部を軸方向に前記絶縁カバーから突出させて構成しても良い。
【0017】
また、前記中継コネクタの横幅を、前記同軸コネクタの横幅の寸法と同じに構成しても良い。
【0018】
また、前記GNDブロックの前記基板受け部に、前記芯線に対向して前記芯線の外形と略同じ幅の溝を設けて構成しても良い。
【0019】
また、前記GNDブロックに、前記芯線の突出先端よりも前記基板を差し込む手前側に突出させてガイド部を設け、前記ガイド部に前記基板受け部に連なるとともに前記基板を差し込む手前側が前記相対移動方向で前記芯線の突出する高さから離れる斜面を設けて構成しても良い。
【0020】
さらに、前記ガイド部を、前記相対移動方向で前記芯線側から見て、頂角が90度の二等辺三角形に構成しても良い。
【0021】
そしてまた、前記メインブロックに配設した枠体により前記操作部材に対して前記メインブロックと反対側に押さえレバーを揺動自在に配設し、前記押さえレバーの第1揺動位置で前記操作部材を前記弾性部材の弾力に抗して前記メインブロック側に押圧移動させて押圧状態とし、前記押さえレバーの第2揺動位置で前記操作部材の押圧を解除して解放状態とするように構成しても良い。
【0022】
そしてさらに、請求項15記載の中継コネクタを1つの台座に複数台固定するとともに、複数台の前記中継コネクタの前記同軸コネクタの芯線と前記基板受け部の間に1枚の前記基板の辺部を挿入でき、しかも挿入された前記基板の前記辺部の表面端部に設けられた複数の前記端子電極に前記中継コネクタの前記芯線がそれぞれに臨むように配設して構成しても良い。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の中継コネクタにあっては、メインブロックとGNDブロックの相対移動により芯線と基板受け部との間の距離を分離させてその間に基板を差し込むとともに、相対移動により芯線と基板受け部との間の距離を接近させてその間に基板を挟むことができる。同軸コネクタの芯線が基板表面に設けた端子電極に当接されて電気的接続され、また基板裏面に設けたGND電極が基板受け部を有するGNDブロックからメインブロックを介して同軸コネクタの外郭GND電気的接続される。もって、簡単に、基板を同軸コネクタに電気的接続させることができる。また、相対移動により芯線と基板受け部との間の距離を分離させて、その間に差し込まれている基板を簡単に簡単に取り外しすることができる。しかも、芯線に接して基板受け部と反対側に絶縁カバーが配設されているので、芯線と基板受け部との間に基板を挟んだときに、芯線が曲がるようなこともない。
【0024】
また、請求項2記載の中継コネクタにあっては、弾性部材により、メインブロックとGNDブロックを芯線と基板受け部の間を接近方向に弾性付勢して、その弾力で基板を芯線と基板受け部の間で挟むようにしたので、弾力を適宜に設定することで、基板を適正な一定の力で挟むことができる。もって、当接する力が一定となり、電気的接続が安定する。
【0025】
また、請求項3記載の中継コネクタにあっては、芯線と基板受け部で基板を挟んだ状態で、メインブロックとGNDブロックの相対移動を規制する移動規制手段を設けているので、基板を挟むための弾性部材等の必要がなく、構造が簡単である。
【0026】
また、請求項4記載の中継コネクタにあっては、GNDブロックに導電材からなる板バネを固定し、この板バネをメインブロックに対して弾接させて、GNDブロックをメインブロックに電気的接続しているので、GNDブロックとメインブロックを確実に電気的接続することができる。
【0027】
また、請求項5記載の中継コネクタにあっては、メインブロックまたはGNDブロックの一方に接近分離方向にガイドピンを立設するとともに他方に接近分離方向にガイドピンが挿入されるガイド孔を穿設して、接近分離方向が直線方向となるように相対移動を規制するガイド部材を構成しているので、その構成が簡単である。
【0028】
また、請求項6記載の中継コネクタにあっては、メインブロックまたはGNDブロックの一方に接近分離方向に貫通させてガイド孔を穿設するとともに他方側からガイド孔にガイドネジを挿通して一方側にその先端部を螺合させて、接近分離方向に相対移動を規制するガイド部材を構成しているので、その構成が簡単である。
【0029】
また、請求項7記載の中継コネクタにあっては、操作部材を弾性部材の弾力に抗してメインブロック側に押圧移動させると、操作部材と連結部材で連結された基板受け部が芯線から分離方向に相対移動して、芯線と基板受け部との間を開いてその間に基板を差し込むことができる。そして、操作部材の押圧を解放すれば、弾力によって芯線と基板受け部の間で基板を挟むことができる。
【0030】
また、請求項8記載の中継コネクタにあっては、メインブロックとGNDブロックの間に弾性部材を縮設して、メインブロックとGNDブロックを分離方向に弾性付勢しているので、この弾力により芯線と基板受け部との間が開いている状態で基板を容易に差し込むことができる。そして、弾力に抗してメインブロックとGNDブロックを接近方向に相対移動させることで、芯線と基板受け部の間で基板を挟むことができる。
【0031】
また、請求項9記載の中継コネクタにあっては、メインブロックとGNDブロックの間に弾性部材を張架して、メインブロックとGNDブロックを接近方向に弾性付勢しているので、弾性部材の弾力に抗してメインブロックとGNDブロックを分離方向に相対移動させて芯線と基板受け部との間を開いて基板を差し込むことができる。そして、分離方向の力を解放すれば、弾力によって芯線と基板受け部の間で基板を挟むことができる。
【0032】
また、請求項10記載の中継コネクタにあっては、芯線の先端部を軸方向に絶縁カバーから突出させているので、基板を挿入する際に、突出している芯線の先端部に端子電極が臨むようにすることで、容易に位置合わせすることができる。
【0033】
また、請求項11記載の中継コネクタにあっては、中継コネクタの横幅が同軸コネクタの横幅の寸法と同じに形成されているので、同軸コネクタを基板に配設できる最大の密度で、本発明の中継コネクタを基板に配設することが可能である。
【0034】
また、請求項12記載の中継コネクタにあっては、GNDブロックの基板受け部に、芯線に対向して芯線の外形と略同じ幅の溝を設けているので、芯線に押圧されて基板が挟まれた状態で、基板が溝に入るように僅かに変形することで基板の厚さ方向の圧縮が軽減され、基板の受ける力が分散されて、全体としての変形が少なくなる。しかも、溝の両側の縁部に基板のGND電極が、確実に当接されて電気的接続がなされる。
【0035】
また、請求項13記載の中継コネクタにあっては、基板を差し込む手前側に突出させて設けたガイド部の斜面に沿って、基板の縁部を差し込むことで、容易かつ確実に基板を芯線と基板受け部の間に差し込むことができ、作業性に優れている。
【0036】
さらに、請求項14記載の中継コネクタにあっては、ガイド部を、相対移動方向で芯線側から見て、頂角が90度の二等辺三角形に構成しているので、基板の隅部に対して、本発明の中継コネクタを90度異なる向きで2つ隣接して配設しても、互いに邪魔になるようなことがない。
【0037】
そしてまた、請求項15記載の中継コネクタにあっては、押さえレバーを第1揺動位置とすれば、操作部材を弾性部材の弾力に抗してメインブロック側に押圧移動させて押圧状態として、芯線と基板受け部との間の距離を分離させてその間に基板を差し込むことができる。また、押さえレバーを第2揺動位置とすれば、操作部材の押圧を解除して解放状態として、芯線と基板受け部との間の距離を接近させてその間に基板を挟むことができる。
【0038】
そしてさらに、請求項16記載の中継コネクタにあっては、1つの台座に複数台固定された請求項15記載の中継コネクタにより、1枚の基板の辺部の表面端部に設けられた複数の端子電極に、複数の中継コネクタをそれぞれに電気的接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の第1実施例を図1ないし図4を参照して説明する。図1は、本発明の中継コネクタの第1実施例の外観図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は左側面図である。図2は、図1のA−A断面矢視図である。図3は、図1の分解斜視図である。図4は、図1の中継コネクタで基板を挟んだ状態の縦断面図である。図1ないし図4において、図25および図26と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0040】
図1ないし図4において、本発明の中継コネクタの第1実施例にあっては、導電材からなるメインブロック20に貫通孔20aを穿設し、この貫通孔20aに裏側の面から同軸コネクタ(一例として、SMA型コネクタ)22の外郭GND22aより突出された誘電体部材22bを挿入し、裏側の面に外郭GND22aをネジにより固定するとともに、メインブロック20の表側の面より誘電体部材22bから剥き出された芯線22cを突出させる。ここで、誘電体部材22bの端面は、メインブロック20の表側の面とほぼ同じまたは若干引っ込んだ位置にある。また、芯線22cが突出する軸方向は、メインブロック20の表側の面に対して、垂直方向である。そして、メインブロック20に、表側の面と平行なガイドピン24、24が立設される。導電材からなるGNDブロック26には、ガイドピン24、24が挿入されるガイド孔26a、26aが穿設されており、これらのガイド孔26a、26aにガイドピン24、24を挿脱自在に挿入させることで、メインブロック20に対してGNDブロック26が表側の面と平行な直線方向で相対移動できるように構成される。さらに、GNDブロック26には、芯線22cに臨んで基板受け部26bが設けられ、相対移動により芯線22cに基板受け部26bが接近分離方向に移動できるようになされる。ここで、ガイドピン24、24とガイド孔26a、26aでガイド部材が構成されている。また、メインブロック20の表側の面で、基板受け部26bと接近分離方向で反対側に、芯線22cに接して絶縁カバー28がネジにより固定される。この絶縁カバー28は、芯線22cを軸方向先端側から見て、基板受け部26b側が開いた浅いコ字状であり、芯線22cに基板受け部26bと反対側の一部分のみが接している。さらに、芯線22cの先端部が、軸方向に絶縁カバー28から少し突出するように設定されている。
【0041】
さらに、操作部材30に貫通穿設した移動範囲規制貫通孔30a、30aに移動範囲規制ネジ32、32を軸方向に所定範囲で移動自在に貫通させ、その先端側をメインブロック20のGNDブロック26を配設したのと反対側に螺合させて、操作部材30をメインブロック20に対して、所定範囲で接近分離方向に相対移動できるように配設される。ここで、GNDブロック26の芯線22cに対する接近分離方向と、操作部材30がメインブロック20に接近分離する方向は、ほぼ並行である。しかも、操作部材30とメインブロック20の間に、弾性部材としての弾性バネ34、34が縮設されて、操作部材30がメインブロック20から分離方向に弾性付勢される。そしてまた、操作部材30とGNDブロック26が、連結ピン36、36…により連結部材38、38で連結される。この連結部材38、38は、操作部材30の接近分離方向の移動に伴い、GNDブロック26を接近分離方向に移動させるものであれば良い。そしてさらに、GNDブロック26には、導電性を有する板バネ40がビスで固定され、接近分離方向に相対移動するメインブロック20に摺動自在に弾接するよう配設される。なお、この第1の実施例の中継コネクタの横幅Wは、同軸コネクタ22の横幅の寸法と同じ、例えば12.7mmに設定されている。
【0042】
かかる構成の第1実施例の中継コネクタにあっては、操作部材30を弾性バネ34、34の弾力に抗してメインブロック20に接近方向に押圧すると、連結部材38、38で連結されたGNDブロック26がメインブロック20に対して相対移動して、基板受け部26bが芯線22cから分離方向に移動され、基板受け部26bと芯線22cの間が開かれる。そこで、この芯線22cと基板受け部26bの間に基板10を位置合わせして差し込む。そして、操作部材30の押圧を解放すれば、弾性バネ34、34の弾力により操作部材30がメインブロック20から分離方向に移動され、これに伴い基板受け部26bが芯線22cに接近方向に移動する。もって、図4に示すごとく、芯線22cと基板受け部26bの間で、基板10を挟むことができる。ここで、基板10の差し込みは、表面端部に設けられた端子電極12を絶縁カバー28から突出する芯線22cの先端部に臨むように配設することで、基板10を芯線22cに容易に位置合わせすることができる。この基板10が挟まれると、端子電極12が芯線22cに当接して電気的接続がなされるとともに、基板10の裏面端部のGND電極16が、基板受け部26bを有するGNDブロック26と板バネ40とメインブロック20を直列に介して外郭GND22aに電気的接続される。もって、基板10の端子電極12とGND電極16が、同軸コネクタ22に電気的接続される。ここで、絶縁カバー28が配設されていることで、芯線22cと基板受け部26bで基板10を挟んだ際に、芯線22cを曲げる方向に作用する力が絶縁カバー28に作用し、芯線22cが曲がるようなことがない。しかも、絶縁カバー28は芯線22cに対して、接する部分が小さく、誘電体部材22bから突出した芯線22cの表面積の大部分が空気に晒されており、絶縁カバー28を配設することによるインピーダンスの変化が少なくて足りる。そして、再び、操作部材30を弾性バネ34、34の弾力に抗してメインブロック20に接近方向に押し圧すれば、芯線22cと基板受け部26bの間が開いて、容易に基板10を取り外すことができる。しかも、第1実施例の中継コネクタにあっては、その横幅Wが同軸コネクタ22の横幅と同じ寸法に設定されているので、基板10に同軸コネクタ22を単体で並べて配設する場合と同様に、高い密度で配設することが可能である。
【0043】
次に、本発明の第2実施例を図5ないし図8を参照して説明する。図5は、本発明の中継コネクタの第2実施例の外観図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は左側面図である。図6は、図5のB−B断面矢視図である。図7は、図5のC−C断面矢視図である。図8は、図5の分解斜視図である。図5ないし図8において、図1ないし図4および図25と図26と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0044】
図5ないし図8において、本発明の中継コネクタの第2実施例にあっては、導電材からなるメインブロック20に貫通孔20aを穿設し、この貫通孔20aに裏側の面から同軸コネクタ22の外郭GND22aより突出された誘電体部材22bを挿入し、裏側aの面に外郭GND22aをネジにより固定するとともに、メインブロック20の表側の面より誘電体部材22bから剥き出された芯線22cを突出させることは、第1実施例と同様である。また、突出した芯線22cに接して、メインブロック20の表側の面に絶縁カバー28がネジにより固定されることも、第1実施例と同様である。さらに、メインブロック20に対してGNDブロック26が表側の面と平行な直線方向で相対移動できるように構成され、このGNDブロック26には、芯線22cに臨んで基板受け部26bが設けられ、相対移動により芯線22cに基板受け部26bが接近分離方向に移動できるようになされることも、第1実施例と同様である。そしてさらに、GNDブロック26には、導電性を有する板バネ40がビスで固定され、接近分離方向に相対移動するメインブロック20に摺動自在に弾接するよう配設されること、およびこの第2の実施例の中継コネクタの横幅Wが同軸コネクタ22の横幅と同じに設定されていることも、第1実施例と同様である。しかしながら、第2実施例にあっては、ガイド部材の構成が第1実施例と異なる。すなわち、GNDブロック26には、接近分離方向にガイドネジ貫通孔26c、26cと移動調整ネジ貫通孔26dがそれぞれ穿設され、メインブロック20と反対側の面から、ガイドネジ貫通孔26c、26cを貫通してガイドネジ42、42がメインブロック20に螺合され、また移動調整ネジ貫通孔26dを貫通して移動調整ネジ44がメインブロック20に螺合される。さらに、ガイドネジ貫通孔26c、26cに挿入されるとともにガイドネジ42、42に遊嵌して弾性部材としての圧縮バネ46、46が、GNDブロック26とメインブロック20の間に縮設される。これらのガイドネジ貫通孔26c、26cとガイドネジ42、42により、メインブロック20に対してGNDブロック26を接近分離方向に移動できるように規制するガイド部材が構成されている。さらに、移動調整ネジ44の螺合の程度により、メインブロック20からGNDブロック26が分離し得る距離が規制されている。
【0045】
かかる構成において、圧縮バネ46、46の弾力により、メインブロック20からGNDブロック26が分離した状態にあり、芯線22cと基板受け部26bの間が開いた状態にある。そこで、この芯線22cと基板受け部26bの開いている間に、基板10を差し込んで、移動調整ネジ44を締め付け方向に回転させ、メインブロック20を圧縮バネ46、46の弾力に抗してGNDブロック26側に接近させて、芯線22cと基板受け部26bの間を狭めて、基板10を挟む。すると、基板10の端子電極12に同軸コネクタ22の芯線22cが電気的接続され、基板10のGND電極16が基板受け部26bと板バネ40およびメインブロック20を直列に介して同軸コネクタ22の外郭GND22aに電気的接続される。もって、本発明の第2実施例の中継コネクタにあっても、移動調整ネジ44により、圧縮バネ46、46の弾力に抗してメインブロック20をGNDブロック26側に接近させることで、簡単に基板10の端子電極12とGND電極16を同軸コネクタ22に電気的接続させることができる。そして、移動調整ネジ44を緩む方向に回転させれば、基板10を簡単に取り外すことができる。この移動調整ネジ44の締め付けにより、基板10を芯線22cと基板受け部26bの間に挟んだ状態を保持する場合は、この移動調整ネジ44が移動規制手段として作用する。なお、この第2実施例にあっては、移動調整ネジ44の締め付けに代えてメインブロック20を圧縮バネ46、46の弾力に抗してGNDブロック26側に押圧して、芯線22cと基板受け部26bの間に基板10を挟むようにしても良い。この場合は、押圧を開放するだけで、基板10を簡単に取り出すことができる。
【0046】
また、本発明の第3実施例を図9ないし図12を参照して説明する。図9は、本発明の中継コネクタの第3実施例の外観図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は左側面図である。図10は、図9のD−D断面矢視図である。図11は、図9のE−E断面矢視図である。図12は、図9の分解斜視図である。図9ないし図12において、図1ないし図8および図25と図26と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0047】
図9ないし図12において、本発明の中継コネクタの第3実施例にあっては、メインブロック20と同軸コネクタ22とGNDブロック26と絶縁カバー28および板バネ40の構造は、ほぼ第2実施例と同様である。しかるに、第3実施例が第2実施例と相違するところは、以下の点にある。まず、GNDブロック26には、接近分離方向にガイドネジ貫通孔26c、26cが穿設されるが移動調整ネジ貫通孔26dは穿設されていない。そして、ガイドネジ貫通孔26c、26cにメインブロック20と反対側の面から貫通するガイドネジ42、42が、メインブロック20に螺合されるが、位置調整ネジ44は設けられていない。これらのガイドネジ貫通孔26c、26cとガイドネジ42、42により、メインブロック20に対してGNDブロック26を接近分離方向に直線方向で移動できるように規制するガイド部材が構成されている。さらに、メインブロック20のGNDブロック26側の面とGNDブロック26のメインブロック20側の面に、それぞれ対向するようにバネ挿入孔20b、20b、26e、26eが穿設され、それぞれに弾性部材としての引っ張りバネ48、48の両端が挿入され、しかも止めピン50、50…により両端の抜けが止められる。なお、引っ張りバネ48、48の弾力により、GNDブロック26とメインブロック20が接近方向に弾性付勢される。
【0048】
かかる構成において、引っ張りバネ48、48の弾力に抗して、メインブロック20とGNDブロック26を分離方向に引き離して、芯線22cと基板受け部26bの間を拡げる。そして、この芯線22cと基板受け部26bの拡げた間に、基板10を差しこみ、引き離す方向の力を解放すれば、メインブロック20とGNDブロック26が引っ張りバネ48、48の弾力で接近して、芯線22cと基板受け部26bの間を狭めて、基板10を挟む。もって、本発明の第3実施例の中継コネクタにあっても、引っ張りバネ48、48の弾力により挟んで、簡単に基板10の端子電極12とGND電極16を同軸コネクタ22に電気的接続させることができる。そして、再度、引っ張りバネ48、48の弾力に抗して、メインブロック20とGNDブロック26を分離方向に引き離して、芯線22cと基板受け部26bの間を拡げることで、基板10を簡単に取り外すことができる。
【0049】
さらに、本発明の第4実施例を図13ないし図16を参照して説明する。図13は、本発明の中継コネクタの第4実施例の外観図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は左側面図であり、(d)は右側面図である。図14は、図13のF−F断面矢視図である。図15は、図13のG−G断面矢視図である。図16は、図13の分解斜視図である。図13ないし図16において、図1ないし図12および図25と図26と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0050】
図13ないし図16において、本発明の中継コネクタの第4実施例にあっては、メインブロック20と同軸コネクタ22とGNDブロック26と絶縁カバー28および板バネ40の構造、さらにGNDブロック26に穿設されたガイドネジ貫通孔26c、26cに挿入貫通したガイドネジ42、42がメインブロック20に螺合されて、ガイド部材が構成されていることは、ほぼ第3実施例と同様である。なお、第4実施例にあって、第1実施例の弾性バネ34、34や第2実施例の圧縮バネ46、46や第3実施例の引っ張りバネ48、48に相当するバネが設けられていない。そして、第4実施例にあっては、メインブロック20にGNDブロック26に摺接するセットビス用舌部20cが設けられ、GNDブロック26にはこのセットビス用舌部20cを接近分離方向の移動に対して摺動自在に受け入れる凹部26fが設けられる。さらに、セットビス用舌部20cに芯線22cとほぼ平行方向に螺合して相対移動を規制する移動規制手段としてのセットビス52が螺合により設けられ、その先端部がGNDブロック26の凹部26fの底面に当接している。
【0051】
かかる構成において、セットビス52をGNDブロック26から引き離す方向に螺合を緩めた状態で、メインブロック20とGNDブロック26を分離方向に適宜に引き離して、芯線22cと基板受け部26bの間を拡げる。そして、この芯線22cと基板受け部26bの拡げた間に、基板10を差しこみ、メインブロック20とGNDブロック26を接近させて、芯線22cと基板受け部26bの間を狭めて、基板10を挟む。この状態で、セットビス52の螺合をGNDブロック26に押し込む方向に締め込み、メインブロック20とGNDブロック26を固定する。もって、本発明の第4実施例の中継コネクタにあっても、セットビス52の適宜な設定で、簡単に基板10の端子電極12とGND電極16を同軸コネクタ22に電気的接続させることができる。そして、再度、セットビス52を緩めて、メインブロック20とGNDブロック26を分離方向に引き離して、芯線22cと基板受け部26bの間を拡げることで、基板10を簡単に取り外すことができる。
【0052】
さらにまた、本発明の第5実施例を図17ないし図20を参照して説明する。図17は、本発明の中継コネクタの第5実施例の外観図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は左側面図である。図18は、芯線に押圧されて基板が挟まれた状態の基板の変形を示す図であり、(a)は第5実施例における基板の変形を示し、(b)は第1実施例における基板の変形を示す。図19は、芯線に押圧されて基板が挟まれた状態の高周波損失特性を示す図であり、(a)は第5実施例における高周波損失特性を示し、(b)は第1実施例における高周波損失特性を示す。図20は、基板の隅部に対して、第5実施例の中継コネクタを90度異なる向きで2つ隣接させて配設した図である。図17および図20において、図1ないし図16および図25と図26と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0053】
図17に示す本発明の中継コネクタの第5実施例にあっては、GNDブロック26の基板受け部26bに、芯線22cに対向して突出方向に芯線22cの外形と略同じ幅の溝26gが設けられている。また、GNDブロック26に、芯線22cの突出先端よりも基板10を差し込む手前側に突出させてガイド部26hが設けられ、このガイド部26hに基板受け部26bに連なるとともに基板10を差し込む手前側が相対移動方向で芯線22cの突出する高さから離れる斜面26iが設けられている。さらに、ガイド部26hが、相対移動方向で芯線22c側から見て、頂角が90度の二等辺三角形に構成されている。
【0054】
かかる構成において、GNDブロック26の基板受け部26bに基板10を差し込み、芯線22cに基板10が押圧されると、図18(a)に示すごとく、基板10が溝26gに入るように僅かに変形することで基板10の厚さ方向の圧縮が軽減され、基板10の受ける力が分散されて、全体としての変形が少なくなる。しかも、溝26gの両側の縁部に基板10のGND電極16が確実に当接されて、確実な電気的接続がなされる。なお、第1実施例のごとく、基板受け部26bに溝26が設けられない状態では、図18(b)に示すごとく、基板10が厚さ方向に大きく圧縮されて基板10の両側が浮き上がり、GNDブロック26に基板10のGND電極16が少ない当接面積で当接し、確実な電気的接続が得られない。この結果、図19(a)に示す第5実施例の高周波損失特性のごとく、図19(b)に示す第1実施例の高周波損失特性に比較して、5GHz〜10GHzで高周波損失特性の改善がなされている。
【0055】
さらに、第5実施例にあっては、基板10を差し込む手前側に突出させて設けたガイド部26hの斜面26iに沿って、基板10の縁部を差し込むことで、容易かつ確実に基板10を芯線22cと基板受け部26bの間に差し込むことができ、作業性に優れている。また、ガイド部26hを、相対移動方向で芯線22c側から見て、頂角が90度の二等辺三角形に構成しているので、図20に示すごとく、基板10の隅部に対して、本発明の第5実施例の中継コネクタを90度異なる向きで2つ隣接させて配設しても、互いに邪魔になるようなことがない。
【0056】
そしてまた、本発明の第6実施例を図21ないし図24を参照して説明する。図21は、本発明の中継コネクタの第6実施例の分解斜視図である。図22は、第6実施例の中継コネクタの押さえレバーを第1揺動位置とした側面図である。図23は、第6実施例の中継コネクタの押さえレバーを第2揺動位置とした一部切り欠き側面図である。図24は、本発明の第6実施例の中継コネクタを1つの台座に複数台配設して、1枚の基板の辺部の表面端部に設けられた複数の端子電極にそれぞれ電気的接続できるようにした応用例を示す斜視図である。図21ないし図24において、図1ないし図20および図25と図26と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0057】
図21ないし図23に示す本発明の中継コネクタの第6実施例にあっては、第1実施例または第5実施例の中継コネクタ82のメインブロック20を下から両側を抱えるように板金からなりコ字状に折り曲げられた枠体60が配設され、スペーサ62を介して皿ネジ64でメインブロック20に固定される。スペーサ62は、皿ネジ64の頭部の厚みを吸収して、下面を平らにするために用いられている。そして、枠体60の両側のコ字状のアーム部の先端部が操作部材30を越えた上方まで伸ばされ、操作部材30の上方で、枠体60のアーム部の先端部に、操作部材30の操作移動方向と直交する揺動支軸66が配設される。この揺動支軸66に押さえブロック68が揺動自在に配設される。この押さえブロック68にレバー部材70が孔72に挿入されたネジ74により固定される。押さえブロック68は、揺動支軸66と直交する断面が略長方形であって、その隅部が丸められた形状である。その長方形の略中心位置に、揺動支軸66が貫通している。そして、押さえブロック68とレバー部材70で、押さえレバーが構成されている。さらに、枠体60のアーム部の先端部にストッパ76がネジ78,78により固定され、レバー部材70の揺動範囲を規制するとともに、枠体60のアーム部の先端部が開くのを規制している。
【0058】
かかる構成において、図22に示すごとく、レバー部材70を立てた第1揺動位置では、ストッパ76により揺動が規制されるとともに、押さえブロック68の揺動支軸66から遠い辺が操作部材30に当接した状態で、操作部材30を弾性バネ34、34の弾力に抗して移動させ、もってGNDブロック26を下げて、基板受け部26bと芯線22cの間を離して、その間に基板10の辺部の挿入を許容する状態とする。また、図23に示すごとく、レバー部材70を横にした第2揺動位置では、押さえブロック68の揺動支軸66から近い辺が操作部材30に臨む状態で、操作部材30は弾性バネ34、34の弾力によりメインブロック20から離れて、GNDブロック26を上げて、基板受け部26bと芯線22cの間を近接させ、その間に挿入された基板10の辺部を狭持して、基板10のの表面端部に設けられた端子電極12に芯線22cを弾接させて電気的接続した状態となる。
【0059】
レバー部材70を第1揺動位置と第2揺動位置に切り換えることで、中継コネクタ82を基板10を狭持した状態と、基板10の挿入を許容する状態とに、適宜にその動作状態を設定することができる。押さえブロック68の断面長方形の形状寸法を、基板10の挿入と狭持に適したものに設定することは勿論である。しかも、レバー部材70を立てた第1揺動位置で、押さえブロック68の操作部材30に当接する面を平面とすることで、第1揺動位置を簡単に維持することのできる構造とすることができる。さらに、押さえブロック68とレバー部材70とで、押さえレバーを構成しているので、必要により摩耗しやすい押さえブロック68のみを交換することができ、管理ならびに修理が容易である。また、押さえブロック68をレバー部材70に固定するネジ74を挿入した孔72に、ドライバー等の細い棒を差し込んでこのドライバー等をレバー部材70の延長用部材として用いれば、より小さな力でレバー部材70を操作することができる。
【0060】
さらに、図24に示す応用例にあっては、1台の台座80に複数台の第6実施例の押さえレバーの設けられた中継コネクタ90、90…が、それぞれにスペーサ84、84…を介してネジ64と同様な固定ネジ86、86…で固定される。台座80に固定された複数台の中継コネクタ90、90…は、GNDブロック26、26…の基板受け部26b、26b…と同軸コネクタ22、22…の芯線22c、22c…の間に、1枚の基板10の辺部が挿入でき、しかも挿入された基板10の辺部の表面端部に設けられた複数の端子電極12、12…にそれぞれ中継コネクタ90、90…の芯線22c、22c…が臨むように配設されている。なお、台座80には、基板10の挿入を案内する仮置き台88が設けられ、基板10の辺部がGNDブロック26、26…の基板受け部26b、26b…と同軸コネクタ22、22…の芯線22c、22c…の間に確実に案内されるようになされている。そして、台座80をグランド電極とし、スペーサ84、84…および固定ネジ86、86…を導電部材で形成し、または枠体60、60…およびスペーサ84、84…を導電材で形成するならば、中継コネクタ82、82…のGNDブロック26、26…が、1つの台座80のグランド電極に電気的接続される。また、スペーサ84、84…および固定ネジ86、86…を絶縁部材で形成し、または枠体60、60…および固定ネジ86、86…を絶縁部材で形成するならば、中継コネクタ82、82…のGNDブロック26、26…を、台座80のグランド電極から電気的に遮断された状態とすることもできる。
【0061】
かかる構成の応用例にあっては、全ての中継コネクタ82、82…のレバー部材70、70…を第2揺動位置とした状態で、基板10を挿入し、電気的接続を必要とする端子電極12、12…に臨む中継コネクタ82、82…のレバー部材70、70…を第1揺動位置とすれば良い。レバー部材70、70…を第1揺動位置と第2揺動位置に維持することができるので、検査内容に応じて基板10に設けられた端子電極12、12…の全てまたは一部を適宜に電気的接続させることができる。
【0062】
なお、上記実施例において、メインブロック20に対してGNDブロック26を直線状で接近分離方向に移動を規制する機構は、実施例の構造に限られず、あり溝等を用いて適宜に形成しても良い。そして、基板10のGND電極16が搭載される基板受け部26aが設けられたGNDブロック26をメインブロック20に電気的接続する構造は、上記実施例のごとき板バネ46を用いたものに限られず、フレキシブルな電線で電気的接続させても良く、確実な導通が得られればいかなる構造であっても良い。さらに、第1実施例ないし第3実施例において、弾性部材としてコイルバネを用いているが、これらに限られず、板状のバネ等が用いられても良い。さらにまた、第4実施例において、セットビス52に代えて、メインブロック20とGNDブロック26の相対移動を規制する他の構造の移動規制手段を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の中継コネクタの第1実施例の外観図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は左側面図である。
【図2】図1のA−A断面矢視図である。
【図3】図1の分解斜視図である。
【図4】図1の中継コネクタで基板を挟んだ状態の縦断面図である。
【図5】本発明の中継コネクタの第2実施例の外観図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は左側面図である。
【図6】図5のB−B断面矢視図である。
【図7】図5のC−C断面矢視図である。
【図8】図5の分解斜視図である。
【図9】本発明の中継コネクタの第3実施例の外観図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は左側面図である。
【図10】図9のD−D断面矢視図である。
【図11】図9のE−E断面矢視図である。
【図12】図9の分解斜視図である。
【図13】本発明の中継コネクタの第4実施例の外観図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は左側面図であり、(d)は右側面図である。
【図14】図13のF−F断面矢視図である。
【図15】図13のG−G断面矢視図である。
【図16】図13の分解斜視図である。
【図17】本発明の中継コネクタの第5実施例の外観図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は左側面図である。
【図18】芯線に押圧されて基板が挟まれた状態の基板の変形を示す図であり、(a)は第5実施例における基板の変形を示し、(b)は第1実施例における基板の変形を示す。
【図19】芯線に押圧されて基板が挟まれた状態の高周波損失特性を示す図であり、(a)は第5実施例における高周波損失特性を示し、(b)は第1実施例における高周波損失特性を示す。
【図20】基板の隅部に対して、第5実施例の中継コネクタを90度異なる向きで2つ隣接させて配設した図である。
【図21】本発明の中継コネクタの第6実施例の分解斜視図である。
【図22】第6実施例の中継コネクタの押さえレバーを第1揺動位置とした側面図である。
【図23】第6実施例の中継コネクタの押さえレバーを第2揺動位置とした一部切り欠き側面図である。
【図24】本発明の第6実施例の中継コネクタを1つの台座に複数台配設して、1枚の基板の辺部の表面端部に設けられた複数の端子電極にそれぞれ電気的接続できるようにした応用例を示す斜視図である。
【図25】従来の同軸コネクタを基板に電気的接続する構造を示す図である。
【図26】従来の基板に同軸コネクタを接続する前の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
10 基板
12 端子電極
14、22 同軸コネクタ
14a、22c 芯線
14b、22a 外郭GND
16 GND電極
20 メインブロック
20a 貫通孔
20b、26e バネ挿入孔
20c セットビス用舌部
22 同軸コネクタ
22b 誘電体部材
24 ガイドピン
26 GNDブロック
26a ガイド孔
26b 基板受け部
26c ガイドネジ貫通孔
26d 移動調整ネジ貫通孔
26f 凹部
26g 溝
26h ガイド部
26i 斜面
28 絶縁カバー
30 操作部材
30a 移動範囲規制貫通孔
32 移動範囲規制ネジ
34 弾性バネ
36 連結ピン
38 連結部材
40 板バネ
42 ガイドネジ
44 移動調整ネジ
46 圧縮バネ
48 引っ張りバネ
50 止めピン
52 セットビス
60 枠体
62,84 スペーサ
64 皿ネジ
66 揺動支軸
68 押さえブロック
70 レバー部材
72 孔
7478 ネジ
76 ストッパ
80 台座
82 第1実施例または第5実施例の中継コネクタ
86 固定ネジ
88 仮置き台
90 第6実施例の押さえレバーの設けられた中継コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面端部に設けられた端子電極に同軸コネクタの芯線を電気的接続するとともに前記基板の裏面端部に設けられたGND電極に前記同軸コネクタの外郭GNDを電気的接続する中継ネクターであって、導電材からなるメインブロックに穿設した貫通孔に誘電体部材を挿入して前記メインブロックの一面に同軸コネクタの外郭GNDを固定するとともに前記メインブロックの反対側の面より前記誘電体部材から剥き出された芯線を突出させ、基板の端部を載せる基板受け部を有する導電材からなるGNDブロックを前記メインブロックに対してガイド部材により前記芯線が突出した面と平行な直線方向に相対移動し得るようになし、前記メインブロックと前記GNDブロックの前記相対移動により前記芯線と前記基板受け部との間の距離を接近分離させてその間に前記基板を差し込めるとともに挟めるようになし、前記芯線が突出する面で前記基板受け部と前記接近分離方向の反対側で前記芯線に接する絶縁カバーを配設し、前記メインブロックと前記GNDブロックを電気的接続して構成したことを特徴とする中継コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載の中継コネクタにおいて、弾性部材により、前記メインブロックと前記GNDブロックを前記芯線と前記基板受け部の間を接近方向に弾性付勢し、前記弾性部材の弾力で前記基板を前記芯線と前記基板受け部の間で挟むように構成したことを特徴とする中継コネクタ。
【請求項3】
請求項1記載の中継コネクタにおいて、前記芯線と前記基板受け部で前記基板を挟んだ状態で、前記メインブロックと前記GNDブロックの相対移動を規制する移動規制手段を設けて構成したことを特徴とする中継コネクタ。
【請求項4】
請求項1記載の中継コネクタにおいて、前記GNDブロックに導電材からなる板バネを固定し、この板バネを前記接近分離方向に摺動する前記メインブロックに弾接させて、前記GNDブロックを前記メインブロックに電気的接続するように構成したことを特徴とする中継コネクタ。
【請求項5】
請求項1記載の中継コネクタにおいて、前記メインブロックまたは前記GNDブロックの一方に前記接近分離方向にガイドピンを立設するとともに他方に前記接近分離方向に前記ガイドピンが挿入されるガイド孔を穿設して、前記ガイド部材を構成したことを特徴とする中継コネクタ。
【請求項6】
請求項1記載の中継コネクタにおいて、前記メインブロックまたは前記GNDブロックの一方に前記接近分離方向に貫通させてガイド孔を穿設するとともに他方側から前記ガイド孔にガイドネジを挿通して前記一方側にその先端部を螺合させて、前記ガイド部材を構成したことを特徴とする中継コネクタ。
【請求項7】
請求項1記載の中継コネクタにおいて、前記メインブロックに前記芯線に対して前記基板受け部と反対側に操作部材を配設し、前記操作部材と前記メインブロックの間に弾性部材を縮設して前記操作部材を前記メインブロックに対して分離方向に弾性付勢し、前記操作部材と前記GNDブロックを連結部材で連結し、前記操作部材を前記弾性部材の弾力に抗して前記メインブロック側に押圧移動させると前記芯線から前記基板受け部が分離方向に相対移動するようになし、前記操作部材を前記弾性部材の弾力に抗して押圧して前記芯線と前記基板受け部との間を開いてその間に基板を差し込み、前記操作部材の押圧を解放して、前記弾性部材の弾力によって前記芯線と前記基板受け部の間で前記基板を挟むように構成したことを特徴とする中継コネクタ。
【請求項8】
請求項1記載の中継コネクタにおいて、前記メインブロックと前記GNDブロックの間に弾性部材を縮設して、前記メインブロックと前記GNDブロックを分離方向に弾性付勢し、この弾力により前記芯線と前記基板受け部との間を拡げた状態としてその間に基板を差し込めるようになし、前記弾性部材の弾力に抗して前記メインブロックと前記GNDブロックを接近方向に相対移動させて前記芯線と前記基板受け部の間で前記基板を挟むように構成したことを特徴とする中継コネクタ。
【請求項9】
請求項1記載の中継コネクタにおいて、前記メインブロックと前記GNDブロックの間に弾性部材を張架して、前記メインブロックと前記GNDブロックを接近方向に弾性付勢し、前記弾性部材の弾力に抗して前記メインブロックと前記GNDブロックを分離方向に相対移動させて、前記芯線と前記基板受け部との間を開いてその間に基板を差し込み、前記分離方向の力を解放して、前記弾性部材の弾力によって前記芯線と前記基板受け部の間で前記基板を挟むように構成したことを特徴とする中継コネクタ。
【請求項10】
請求項1記載の中継コネクタにおいて、前記芯線の先端部を軸方向に前記絶縁カバーから突出させて構成したことを特徴とする中継コネクタ。
【請求項11】
請求項1記載の中継コネクタにおいて、前記中継コネクタの横幅を、前記同軸コネクタの横幅の寸法と同じに構成したことを特徴とする中継コネクタ。
【請求項12】
請求項1記載の中継コネクタにおいて、前記GNDブロックの前記基板受け部に、前記芯線に対向して前記芯線の外形と略同じ幅の溝を設けて構成したことを特徴とする中継コネクタ。
【請求項13】
請求項1記載の中継コネクタにおいて、前記GNDブロックに、前記芯線の突出先端よりも前記基板を差し込む手前側に突出させてガイド部を設け、前記ガイド部に前記基板受け部に連なるとともに前記基板を差し込む手前側が前記相対移動方向で前記芯線の突出する高さから離れる斜面を設けて構成したことを特徴とする中継コネクタ。
【請求項14】
請求項13記載の中継コネクタにおいて、前記ガイド部を、前記相対移動方向で前記芯線側から見て、頂角が90度の二等辺三角形に構成したことを特徴とする中継コネクタ。
【請求項15】
請求項7記載の中継コネクタにおいて、前記メインブロックに配設した枠体により前記操作部材に対して前記メインブロックと反対側に押さえレバーを揺動自在に配設し、前記押さえレバーの第1揺動位置で前記操作部材を前記弾性部材の弾力に抗して前記メインブロック側に押圧移動させて押圧状態とし、前記押さえレバーの第2揺動位置で前記操作部材の押圧を解除して解放状態とするように構成したことを特徴とする中継コネクタ。
【請求項16】
請求項15記載の中継コネクタを1つの台座に複数台固定するとともに、複数台の前記中継コネクタの前記同軸コネクタの芯線と前記基板受け部の間に1枚の前記基板の辺部を挿入でき、しかも挿入された前記基板の前記辺部の表面端部に設けられた複数の前記端子電極に前記中継コネクタの前記芯線がそれぞれに臨むように配設して構成したことを特徴とする中継コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−171801(P2008−171801A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286924(P2007−286924)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)