説明

中間転写体及び該中間転写体を用いた画像形成装置

【目的】 転写電圧の変更をすること無く、環境によらない高品質画像を提供可能な中間転写体及び該中間転写体を用いた画像形成装置を提供する。
【構成】 導電性基体11上に導電性離型層12が形成された中間転写体10上が、転写位置Aで像担持体101に、中間転写体10の裏面側に設置されたローラー110によって近接、もしくは、圧接される。ここで、中間転写体10の導電性基体11に転写電圧を印加することによって、像担持体101からトナーが中間転写体10上に転写される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、中間転写体及び該中間転写体を用いた画像形成装置に関する。さらに詳しくは、像担持体上のトナーが転写され、このトナーを記録紙に転写同時定着する中間転写体、及び、該中間転写体を用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の中間転写体としては、特開昭56−164368号公報があった。
【0003】特開昭56−164368号公報に開示される中間転写体は、基体として金属ベルトを用い、表面にシリコーンゴム、フッ素ゴム等の転写層が、裏面に樹脂層が形成された構成である。このような構成を有する中間転写体は、搬送性、記録紙への転写定着性に優れるという利点がある。また、上記公報に開示される中間転写体は、像担持体上のトナーを粘着もしくは圧力で中間転写体に転写するのに最適な構成である。
【0004】ところが、像担持体上には、いわゆる、飛散トナー、かぶりトナーも付着している。これらトナーの大部分は逆極性に帯電したトナーであり、非画像部に付着している。粘着もしくは圧力で像担持体上のトナーを転写すると、これら不要なトナーまで中間転写体に転写される。不要なトナーは記録紙まで転写され、従って、このようにして形成した画像は品質が悪くなるといった欠点があった。それに対し、静電的な転写を行うと、逆極性に帯電しているトナーは、中間転写体には転写されず、像担持体に残留する。そこで、静電的な転写が行える中間転写体が望まれる。特開昭56−164368号公報に開示される中間転写体を静電的な転写に用いると(転写層の詳細記載がないので詳細は推定する)、転写層の厚み分だけ転写電圧が多く必要であり、また、転写を繰り返すに従い、転写層に電荷が蓄積され、最後には静電的に転写を行うことが不可能となる。
【0005】このような課題を解決可能な中間転写体が、特開平1−74571号公報に開示されている。
【0006】特開平1−74571号公報に開示される中間転写体は、中間転写体上の帯電電荷の減衰時定数を中間転写体の回転周期より小さく設定することより、中間転写体上の残留電荷を除去することなしに画像形成を繰り返し安定的に行うことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特開平1−74571号公報に開示される中間転写体は、導電性というよりはむしろ抵抗性の範疇まで抵抗値が規定されている。抵抗性の中間転写体を用いた場合、その抵抗値は環境(特に湿度)によって変動し易い。抵抗値が環境によって変動する場合、転写電圧を環境に応じ(つまり、中間転写体の抵抗値に応じ)制御しないと、転写効率、転写特性が環境に応じ変化してしまうといった課題が生じる。さらに、中間転写体の抵抗値が高いと、最適転写(転写効率が高く(〜95%)、転写によるトナー飛散等がない転写)に必要な転写電圧が高くなってしまうと言った課題があった。
【0008】本発明は、上記課題を解決するものであって、その目的は、環境によって抵抗値変動がない中間転写体及びそれを用いた画像形成装置を提供することにある。他の目的は、転写電圧の変更をすること無く、環境によらない高品質画像を提供可能な中間転写体及びそれを用いた画像形成装置を提供することにある。他の目的は、最適転写に必要な転写電圧を低下可能な中間転写体及びそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、像担持体上のトナーが転写され、このトナーを記録紙に転写同時定着する中間転写体において、導電性基体上に導電性離型層が形成された構成であることを特徴とする。
【0010】本発明は、像担持体上のトナーを中間転写体に転写する手段と中間転写体上のトナーを記録紙に転写同時定着する手段とを有する画像形成装置において、導電性基体上に導電性離型層が形成された中間転写体と、該中間転写体の導電性基体に電圧を印加する手段とを有することを特徴とする。
【0011】
【実施例】以下図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。
【0012】図1は、本発明に係わる中間転写体の部分断面図である。
【0013】中間転写体10は、導電性基体11と、導電性離型層12とからなる。なお、導電性離型層12が形成されている面がトナーが転写される面である。
【0014】ここで、導電性基体11としては、ローラー状、フィルム状、シームレスフィルム状があり、材質としては、1)アルミニウム、ニッケル、ステンレス、真鍮等の金属、合金、2)ポリイミド、ポリアラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフィド等ガラス転移温度が200℃以上、もしくはガラス転移を示さない樹脂中に下記物質群A)より選ばれる導電剤を少なくとも1種含有したもの、3)セラミック中に下記物質群A)より選ばれる導電剤を少なくとも1種含有したもの、4)上記1)〜3)の混合物、が挙げられる。なお、物質群A)は、A)カーボンブラック(例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック)、金属酸化粉(例えば、ITO粉、SnO2 粉)、金属、合金粉(例えば、Ag粉、Al粉)、塩(例えば、四級アンモニウム塩)、導電性を有する樹脂(例えば、ポリアセチレン、ポリピロール)である。
【0015】導電性離型層12は、上記物質群A)より選ばれる導電剤と、下記物質群B)より選ばれる離型剤との混合、分散、相溶物からなる。ここで、物質群B)は、B)PTFE、PFA等のフッ素樹脂、フッ素樹脂と下記物質群C)より選ばれる樹脂との混合物、シリコーン樹脂であり、物質群C)は、C)エポキシ、フェノール、ポリイミド、ウレタン、アクリル、スチレン、ポリエステル、シリコーン等の結着樹脂がある。
【0016】必要に応じ、導電性離型層12には、分散剤が添加されていても良い。つまり、導電性離型層12 は、導電性とトナーに対する離型性とが要求される。
【0017】また、導電性基体11の応用例としては、5)ポリイミド、ポリアラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフィド等ガラス転移温度が200℃以上、もしくはガラス転移を示さない樹脂基体、もしくは、セラミック基体表面(表面とは、導電性離型層が形成される側を指す)に導電層が形成されたもの、がある。
【0018】ここで、中間転写体10の抵抗値であるが、本発明者が鋭意検討した結果、抵抗値Rが、概ね108Ωcm2以上であると、環境によって(特に湿度)その抵抗値Rが1桁以上変動することが判った。特に、低温低湿(略してLL)環境(10℃、30%RH)下では、抵抗値Rが1桁以上上昇する。後述するように、最適転写を行うためは、抵抗値Rの変動に伴い、転写電圧の変更が必要となる。環境によらず安定な抵抗値Rを得ることができる抵抗値R範囲を、転写電圧の変更なしに最適転写ができる抵抗値R範囲と言い換えても良い。この値であるが、概ね107Ωcm2以下であることが判った。なお、本発明で言う導電性とは、107Ωcm2以下の抵抗値を指す。
【0019】なお、抵抗値R測定は、常温常湿(略してNN)環境(20℃、50%RH)下で、1cm2の電極を中間転写体10の表面に荷重1kgで押しつけ、導電性基体11、もしくは、導電性基体11の導電層と電極との間に電圧0.01〜1Vを印加し、その時に流れる電流値を測定することによって行った。
【0020】特開平1−74571号公報に開示される中間転写体の抵抗値は、固有抵抗値ρで規定されているが、本発明で言う中間転写体の抵抗値Rは、膜厚方向の実効的な抵抗値で規定される。と言うのは、転写時に電極から中間転写体を通しトナー近傍へと流れる転写電流は、抵抗値Rと転写電圧とで決定される。抵抗値Rは、固有抵抗値ρと膜厚との積であり、固有抵抗値ρのみでは決定できない(例えば、ρ=1012Ωcmであっても、膜厚1μmであればR=108Ωcm2、膜厚1cmであればR=1012Ωcm2となる)ためである。
【0021】図2は、本発明に係わる他の中間転写体の部分断面図である。なお、図1と同一構成要素には同一符号を付けてある。以降の図においても同様である。
【0022】中間転写体10は、導電性基体11上に中間層13が形成され、さらに中間層13上に導電性離型層12が形成されている。なお、導電性離型層12が形成されている面がトナーが転写される面である。
【0023】ここで、中間層13は耐熱性を有する物質で構成される。ここで言う耐熱性とは、ガラス転移温度が200℃以上、もしくはガラス転移を示さないことを指す。中間層13の一例を挙げるならば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性層がある。さらに、ポリイミド、ポリアラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフィド等の樹脂層でも良い。
【0024】また、中間層13は、導電性離型層12の導電性基体11への密着性を向上させるための層(いわゆる、下塗り層)も含まれる。密着性向上のためには、前述の耐熱性が少々犠牲になっても構わない。
【0025】中間層13が絶縁性、もしくは、抵抗性である場合、導電性基体11と導電性離型層12との良好な電気的接続を得るために、接続部材14が付加される。図3にこの様子を示す。接続部材14は、画像形成に直接関係しない箇所、例えば、図3のように中間転写体10の端部、または、中間転写体10周上の端部等に付加される。良好な電気的接続とは、中間転写体10の抵抗値Rが107Ωcm2を言う。ここで、前述のように、中間転写体10の抵抗値Rとは、中間転写体10の表面と導電性基体11、もしくは、導電性基体11の導電層との間の抵抗値である。
【0026】次に、上述の中間転写体10を用いた画像形成装置について説明する。
【0027】図4は、本発明に係わる画像形成装置の概略図である。なお、図4においては、図1で示す中間転写体10を用いた場合で説明をする。
【0028】少なくとも、接地されたアルミニウム基体上に、700〜800nmに感度を有する感光層が形成された像担持体101が、画像形成開始信号を受けて、図示していない搬送手段によって矢印方向に回転を始め、帯電器102によって像担持体101の表面が均一に帯電される。図示していないレーザー光源から出射されたレーザー光103により画像に対応した潜像形成が開始され、現像器104よりトナーが像担持体101上に現像される。
【0029】ここで、像担持体101の感光層は、有機光導電体、無機光導電体、有機、無機の複合型光導電体が使用でき、潜像を形成する手段(ここでは、レーザー光103を用いているが)が発生する光の波長域に感度を有せばよい。また、像担持体101は、円筒状でなくてもフィルム基体上に感光層が形成されていても良い。帯電器102は、例えば、コロトロン、スコロトロン、ローラー式、ブラシ式が使用でき、像担持体101の帯電極性は、用いる感光層の特性に合わせば良い。現像手段104は、公知である手段、例えば、2成分磁気ブラシ現像手段、1成分磁気ブラシ現像手段、1成分ジャンピング現像手段、1成分圧接現像手段等が適用できる。
【0030】トナーは、ポリエステル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂等の結着樹脂中に、色材を分散した、粒径5〜20μmの粒子であって、必要に応じ、金属石鹸、ポリエチレングリコール等の界面活性剤(分散剤)、電子受容性の有機錯体、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸、第四級アンモニウム塩、ピリジウム塩等の帯電制御剤、ポリプロピレンワックス等の離型剤、タルク等の充填剤、SiO2、TiO2等の流動性向上剤が内添、もしくは、外添される。各トナーは、各現像器内で均一に混合、分散され、所定電荷に帯電される。現像器内にキャリアと共に混合しても良い。トナーの帯電極性は、像担持体101の帯電をマイナスにし、反転現像を行う場合、マイナスとなる。
【0031】図示していない搬送手段によって像担持体101と同一周速度で矢印方向に回転する中間転写体10上が、転写位置Aで像担持体101に、中間転写体10の裏面側に設置されたローラー110によって近接、もしくは、圧接される。ここで、中間転写体10の導電性基体11に転写電圧を印加することによって、像担持体101からトナーが中間転写体10上に転写される。
【0032】ここで、導電性基体11に転写電圧を印加する方法としては、ローラー110を導電性で構成し、ローラー110に転写電圧を印加する方法、転写位置A近傍に限らず適当な位置に導電性基体11に接する導電性部材を配置し、導電性部材に転写電圧を印加する方法等がある。
【0033】なお、中間転写体10は、転写電圧印加によって、全体が転写電圧と同電圧になるから、導電性基体11に転写電圧を印加しなくとも、トナーが付着していない、もしくは、画像形成に関係しない導電性離型層12に直接転写電圧を印加しても良い。この場合、図3に示す中間転写体10において、接続部材14を付与しなくとも良い。また、上述のように、中間転写体10全体に電圧が印加されるので、中間転写体10に接触する部材、もしくは、接触しそうな部材は、絶縁対策を施す必要がある。特に、筺体と中間転写体10とは、確実に絶縁を施す必要がある。さらにつけ加えると、メンテナンス等で筺体を開ける場合は、中間転写体10に印加される転写電圧がオフ(筺体と同電位、接地)される機構、もしくは、転写電圧がオフされないと筺体が開けられない機構が安全上必要である。
【0034】また、転写電圧は、トナー像が中間転写体10に転写終了後オフされても、中間転写体10上のトナーが記録紙120に転写定着終了後にオフされても良い。なお、前者の場合においても、トナーは中間転写体10に静電気力(この場合、主に鏡像力)で付着しているので、移動中にトナー飛散を起こすことはない。
【0035】トナーが形成されていない(非画像部)箇所では、中間転写体10からトナー層を介さずに像担持体101へ電流が注入される。転写電圧が概ね500V以上であると像担持体101が転写電圧による帯電を受け、次回の画像形成時に、いわゆるメモリーによるカブリ現象が生じた。また、像担持体101にピンホール等の欠陥(部分的に膜厚の薄い箇所等)があると、そのピンホールに電流が注入され、ジュール熱による像担持体の劣化、破損が生じるので、転写電圧は低い方が望ましく、また、万が一のことを考えて、転写電流の制御を行うことが望ましい。トナーの帯電極性がマイナスの場合、転写電圧は、概ね、50〜500V、望ましくは、100〜300V、さらに望ましくは、150〜250Vである。また、転写電流の制限を行う方法には、像担持体101のアルミニウム基体表面に抵抗層を形成する方法がある。抵抗層の抵抗値は108〜1014Ωcm2が望ましい。一例を挙げるならば、アルミニウム表面の陽極酸化(アルマイト処理)により、厚み10μm、抵抗値109Ωcm2のアルマイト(Al23)層を形成すれば、転写電流の遮断に効果があり、転写電圧400V、転写電流制御なしでも、像担持体の劣化、破損を生じることがないことが確認された。このような処理を施した像担持体は未処理の像担持体より寿命が大幅に向上した。
【0036】なお、転写電圧は、トナーの帯電量、トナー現像量に依存するので、最適値は、状況によって変化することは言うまでもない。が、通常のローラー転写方式による画像形成装置(例えば、Japan Hardcopy ’91講演予稿集27〜30ページ参照)の転写電圧に対し、本発明の中間転写体を用いた画像形成装置の転写電圧は、1/2〜1/10で良いことが判る。
【0037】さらに、上述のローラー転写方式による画像形成装置では、記録紙、及び、転写ローラーの抵抗値が環境によって変動する。また、特開平1−74571号公報に開示される中間転写体も抵抗性であるので、環境によって抵抗値が変動し易い。そのため、環境に応じ転写電圧を変化させる必要がある。ところが、本発明の画像形成装置では、中間転写体10が導電性であり、抵抗値Rの環境依存性が極小さい。従って、転写電圧を環境に応じ変化させる必要がない。
【0038】画像の先端(中間転写体10上のトナー像先端とは限らない)が転写定着位置Bに到達する前までに、記録紙120が図示していない給紙カセットから排送され、中間転写体10上の画像の先端と記録紙120の先端の位置が合うように、記録紙120が転写定着手段130に挿入される。
【0039】転写定着位置Bでは、(図4の)右側から、加圧ローラー132、記録紙120、中間転写体10、加熱ローラー131という構成となる。そして、転写定着手段130は、加熱ローラー131と加圧ローラー132とからなり、加熱ローラー131は所定温度に保持され、加熱ローラー131と加圧ローラー132とは、所定荷重で加圧されている。中間転写体10の背面側に加熱ローラー131が配置される方が望ましい。加熱ローラー131内部にはランプ133が配置され、図示していない温度検出器で検出される温度に応じ、加熱ローラー131の表面温度が概ね一定になるよう、ランプ133への電力供給が制御されている。加熱ローラー131と加圧ローラー132との加圧力は、線圧で10g〜10kg、望ましくは、50〜300gである。加熱ローラー131の熱によってトナーは、tg以上、望ましくは、軟化温度Mp(以降単にMpと略す)以上に加熱され、ゴム化、もしくは、軟化し、記録紙120に濡れ、加圧力によって記録紙120に浸透し、トナーと記録紙120が接着力を持つ。中間転写体10上のトナーは記録紙120に転写、定着される。
【0040】ここで、加熱ローラー131は、アルミニウム、ニッケル、ステンレス等の金属や合金、ポリイミド、ポリアラミド等の耐熱性樹脂、セラミック等からなる円筒状ローラーからなる。加熱ローラー131表面にシリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性ゴム層が形成されていても構わない。加圧ローラー132は、金属ローラー、金属芯金の回りに耐熱性ゴムを被覆したローラー等からなる。
【0041】転写定着手段130の他のバリエーションとして、1対の加圧状態の加熱ローラー、非接触型の加熱手段、1対の加圧ローラーの適当な組み合わせがある。
【0042】記録紙120に画像が転写定着された後、図示していない剥離手段によって、記録紙120が中間転写体10より剥離される。
【0043】トナーを中間転写体110に転写後、像担持体101は図示していない光源より出射される除電光105、クリーニング手段106が動作し、像担持体101上に残留したトナー、電荷の除去が行われる。さらに、必要に応じ、トナーを記録紙121上に転写同時定着後、中間転写体10は図示していないクリーニング手段、除電手段によって中間転写体10上に残留したトナー、電荷の除去が行われる。
【0044】ここで、除電光105は、像担持体101の感光層が感度を有する波長域の光でよく、例えば、LEDランプがある。クリーニング手段106の一例としては、ブレード式クリーニング装置がある。像担持体101に残留したトナー、電荷の除去が可能であれば、除電光105、クリーニング手段106の配列は任意である。また、除電光105は、複数回像担持体101に照射されても構わない。例えば、クリーニング手段106に対して、上流側、下流側双方に除電光発生装置、もしくは、除電光経路を配置し、除電光105を照射しても構わない。
【0045】以上の工程によって、記録紙上にトナー画像を得ることができる。
【0046】なお、本発明は、本実施例のみに限定されない。
【0047】例を挙げるならば、本発明は、モノクロ画像形成のみに限定されず、モノカラー、マルチカラー、フルカラー画像形成に広く応用できる。
【0048】例えば、フルカラー画像形成の場合、像担持体上に形成されたトナーを逐一中間転写体に静電転写し、中間転写体上でトナー像を重ね、一括して記録紙に転写定着することでカラー画像を記録紙上に得ることができる。この場合、中間転写体の周長は、使用する最大記録紙の長さ以上が必要となる。
【0049】また、像担持体として、導電性基体上に誘電層が形成されたものを用い、イオンフロー帯電器にて潜像を形成しても良い。
【0050】以下に、本発明について、さらに詳細に説明する。
【0051】(実施例1)中間転写体として、図2に示す構成で抵抗値Rが異なる中間転写体a〜fを準備した。具体的には、導電性基体11として導電性が付与されたポリイミドシームレスフィルム(厚み75μm、抵抗値10Ωcm2)を用い、その上に中間層13としてポリイミドフィルムとPTFEとの密着性を向上させる層を0.1μm塗工し、その上に、導電性離型層12として、導電性付与剤(カーボンブラック)の添加量を変え、種々の抵抗値を持つPTFE層を塗工・焼成を繰り返し厚み50μmとした。準備した中間転写体a〜fの抵抗値Rを表1に示す。なお、抵抗測定はNN環境下で行い、接続部材14は付与しなかった。表中、抵抗値Rを単にRと略して記載した。
【0052】表1に示す中間転写体a〜fを図4に示す画像形成装置に用いて、環境を変えて画像形成を行った。なお、画像形成条件を以下に示す。環境を変えて画像形成を行った場合の画質評価を行った結果を併せて表1に示す。
【0053】環境 :LL、NN、HH(高温高湿、30℃、70%RH)
プロセス速度:3cm/sec現像手段 :1成分圧接現像手段、現像バイアス250Vトナー :1成分絶縁性非磁性トナー、軟化点129℃、体積平均粒径8μm、平均帯電量−12μC/g転写電圧 :400V記録紙 :ゼロックス社製、4024紙転写定着手段:加熱温度150℃、加圧力200g/cm
【0054】
【表1】


【0055】結果より、環境に依存せず、常に良好な画像を得るには、中間転写体の抵抗値Rが107Ωcm2以下、望ましくは、5×106Ωcm2であることが判る。なお、中間転写体dは、転写電圧を500Vまで上昇させるとLL環境下での転写不良が改善された。しかし、中間転写体e、fは、転写電圧を500Vにしても転写不良の目ざましい改善は見られなかった。なお、表1で言う転写不良とは、転写電圧が低いことによりトナー転写効率が悪い現象を言う。
【0056】なお、表1には示さなかったが、中間転写体a、bは、転写電圧を200Vとしても、環境によらず良好な転写、画像形成が可能であった。つまり、中間転写体の抵抗値Rが低い程、転写電圧を減ずることが可能である。
【0057】以上のことから、中間転写体の抵抗値Rは、107Ωcm2以下が必要であることが判った。
【0058】(実施例2)中間転写体gとして、図3に示す構成の中間転写体10を準備した。導電性基体11としてニッケル製のシームレスフィルム(厚み50μm、抵抗値10-3Ωcm2)を用い、その上に中間層13として厚み100μmのシリコーンゴム層を、その上に、導電性離型層12として、導電性が付与されたシリコーン樹脂を厚み30μmに塗工した。準備した中間転写体gの抵抗値Rは1015Ωcm2であったので、接続部材14をニッケルと表面のシリコーン樹脂との間に付与した。接続部材14を付与した後の中間転写体gの抵抗値Rは103Ωcm2となった。なお、接続部材はアルミニウム箔、接着部材は導電性接着剤でニッケルとシリコーン樹脂各々に接着した。
【0059】中間転写体gを図4に示す画像形成装置に用いて、実施例1で示す画像形成条件で画像形成を行ったところ、全ての環境下で良好な画像を得ることができた。また、転写電圧を200Vとしても良好な転写を得ることができた。
【0060】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明は、像担持体上のトナーが転写され、このトナーを記録紙に転写同時定着する中間転写体において、導電性基体上に導電性離型層が形成された構成であるから、環境によって抵抗値変動がない中間転写体を提供可能になった。転写電圧の変更をすること無く、環境によらない高品質画像を提供可能な中間転写体を提供することが可能になった。転写電圧の低電圧化が図られる中間転写体を提供可能になった。さらに、紙種によらない高品質画像を提供可能な中間転写体を提供することが可能になった。
【0061】また、本発明は、像担持体上のトナーを中間転写体に転写する手段と中間転写体上のトナーを記録紙に転写同時定着する手段とを有する画像形成装置において、導電性基体上に導電性離型層が形成された中間転写体と、該中間転写体の導電性基体に電圧を印加する手段とを有するから、環境によって抵抗値変動がない中間転写体を用いた画像形成装置を提供することが可能になった。転写電圧の変更をすること無く、環境によらない高品質画像を提供できる画像形成装置が提供可能となった。転写電圧の低電圧化が図られる画像形成装置を提供可能になった。さらに、紙種によらない高品質画像を提供できる画像形成装置を供可能になった。
【0062】さらに、本発明の中間転写体及び該中間転写体を用いた画像形成装置は、記録紙へのトナーの転写、定着工程を一緒とすることができるので、装置の簡略化、小型化が図られた。記録紙の搬送経路が直線的、かつ短くできるので、記録紙のジャム発生頻度の低減され、また、ジャム時の処理が簡単となった。
【0063】本発明の中間転写体及び該中間転写体を用いた画像形成装置をモノクロに限らず、プリンター、ビデオプリンター、ファクシミリ、複写機、ディスプレー等の画像形成装置に応用すれば特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係わる中間転写体の部分断面図である。
【図2】 図2は、本発明に係わる他の中間転写体の部分断面図である。
【図3】 図3は、図2に示す中間転写体の電気的接続を得るために接続部材の接続を行った例を示す図である。
【図4】 図4は、図1に示す中間転写体を構成要素として含む画像形成装置の概略図である。
【符号の説明】
10 中間転写体
11 導電性基体
12 導電性離型層
13 中間層
14 接続部材
120 記録紙
130 転写定着手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 像担持体上のトナーが転写され、このトナーを記録紙に転写同時定着する中間転写体において、導電性基体上に導電性離型層が形成された構成であることを特徴とする中間転写体。
【請求項2】 導電性基体と導電性離型層との間に中間層が形成され、導電性基体と導電性離型層とが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1記載の中間転写体。
【請求項3】 像担持体上のトナーを中間転写体に転写する手段と中間転写体上のトナーを記録紙に転写同時定着する手段とを有する画像形成装置において、導電性基体上に導電性離型層が形成された中間転写体と、該中間転写体の導電性基体に電圧を印加する手段とを有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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