説明

乗員保護装置用制御装置

【課題】乗員保護装置用制御装置における車種に応じた装備有無データの書き込みにおける書き込みエラーを確実に防止し、信頼性の高い乗員保護装置用制御装置を提供する。
【解決手段】外部の検査装置3から入力される所望する一つの車種についての装備有無データが、不揮発性メモリ2に予め記憶された複数の車種毎の装備有無データのいずれかに一致していると判定された場合に(S204)、その一致した装備有無データが不揮発性メモリ2の制御用装備有無データ書込領域に書き込まれ、制御用装備有無データ書込領域に書き込まれた装備有無データに基づく乗員保護装置の動作制御が行われることとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の衝突時などにおいて、乗員の保護を図るエアバッグ装置に代表される乗員保護装置の制御装置に係り、特に、信頼性の向上等を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両乗員の保護を図る乗員保護装置は、運転者保護のためのいわゆるエアバッグ装置のみならず、近年は、さらなる安全性の向上等の要請から、側面衝突から乗員を保護するサイドエアバッグや、衝突発生の際にシートベルトのたるみ解消するようにしたプリテンショナー等、様々なものが提案、実用化されていることは良く知られているところである。
【0003】
上述のような乗員保護装置は、車両の規模、構成に応じて適宜装備されるものであり、全ての種類の乗員保護装置が常に車両に搭載される訳ではない。
かかる状況にあって、そのような乗員保護装置の起動などを制御する乗員保護装置用制御装置は、装置の低価格化等の観点から、種々の乗員保護装置の組み合わせに対して対応可能に、いわゆる共通化されることが多い。
【0004】
このような共通化の手法としては、例えば、車両の動作制御を行う制御装置に、車種に応じて必要となる制御用のデータを予め不揮発性メモリに記憶させておき、外部装置から車種を特定するコードを制御装置へ入力し、制御装置においては、その入力コードに対応する不揮発性メモリに記憶されている制御用のデータを読み出し、所定の領域に書き込みすることで、その書き込まれた車種に対応した制御が行われるようにする方法等が提案、実用化されている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−211447号公報(第3−6頁、図1−図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来の方法にあっては、外部から制御装置へ入力されたコードが、送信された本来の正しいものであるか否かの判定は行われていない。したがって、例えば、外部から制御装置へコードを入力する際に、ノイズ等の何らかの原因によりコードにエラーが発生し、偶然にも存在する他のコードに変化する可能性が考えられるが、この場合、制御装置は、本来の所望された車種とは異なる車種に対応した制御が実行されるよう制御データの書き込みが行われることとなるため、従来方法にあっては、十分な信頼性が確保できないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、乗員保護装置用制御装置における車種に応じた装備データの書き込みにおける書き込みエラーを確実に防止し、信頼性の高い乗員保護装置用制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る乗員保護装置用制御装置は、
車種毎に異なる乗員保護装置を構成する各種の装備の有無が、所定のデータ設定によって、所望する一つの車種について特定されることで、その車種の乗員保護装置の動作制御が可能となるよう構成されてなる乗員保護装置用制御装置であって、
前記乗員保護装置用制御装置は、不揮発性メモリを有し、前記不揮発性メモリには、複数の車種における乗員保護装置の各種の装備の有無に対応する装備有無データが予め記憶されると共に、前記複数の車種の中の所望する一つの車種についての前記装備有無データが書き込まれる制御用装備有無データ書込領域が確保されてなる一方、
当該乗員保護装置用制御装置は、外部から入力される前記所望する一つの車種についての装備有無データが、前記不揮発性メモリに記憶された複数の車種毎の装備有無データのいずれかに一致した場合に、当該一致した装備有無データが前記制御用装備有無データ書込領域に書き込まれ、当該制御用装備有無データ書込領域に書き込まれた装備有無データに基づく乗員保護装置の動作制御が可能となるよう構成されてなるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来と異なり、乗員保護装置用制御装置に書き込まれる装備有無データが、本来の正しいものである場合にのみ書き込みがなされるようにしたので、動作の信頼性の高い乗員保護装置用制御装置を提供することができる。
また、誤った装備有無データの書き込みが防止されるので、従来と異なり、誤った装備有無データが書き込まれることにより、装置の故障診断処理において、本来なされるべきで無い故障判定結果が出力され、それに対する対応処理を採る必要がなくなるため、保守、整備作業の効率化を図ることができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態における乗員保護装置用制御装置の構成例を示す構成図である。
【図2】図1に示された乗員保護装置用制御装置の電子制御ユニットにより実行される本発明の実施の形態における乗員保護装置用制御装置の装備有無データ書き込み処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】図2に示されたフローチャートにおける受信データ有効性判定処理のより具体的な処理手順を示すサブルーチンフローチャートである。
【図4】電子制御ユニットの不揮発性メモリに記憶される車種毎の装備有無データの例を説明する説明図である。
【図5】図4に示された車種毎の装備有無データを16進表示に変換した場合のデータを表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図5を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における乗員保護装置用制御装置の構成例について、図1を参照しつつ説明する。
本発明の乗員保護装置用制御装置は、電子制御ユニット1を用いて構成されたものとなっている。
【0012】
この電子制御ユニット1は、例えば、公知・周知の構成を有してなるマイクロコンピュータ(図示せず)を中心に、図示されない種々の記憶素子を有すると共に、後述する各種の乗員保護装置の駆動回路4,6,8へ必要な制御信号を出力するインターフェース回路(図示せず)等を主たる構成要素として構成されたものとなっている。
本発明の実施の形態における電子制御ユニット1は、特に、上述した記憶素子とは別個に、後述する装備有無データの記憶のための不揮発性メモリ(図1においては「EEPROM」と表記)2が設けられたものとなっている。
【0013】
かかる電子制御ユニット1は、複数の車種における乗員保護装置の動作制御に対応可能に構成されたものとなっている。
すなわち、まず、乗員保護装置を構成する装備として如何なるものを設けるかは、車種によって異なり、電子制御ユニット1は、車種に応じた、装備有無データ、すなわち、乗員保護装置を構成する装備として如何なるものが設けられるかを特定するためのデータが、不揮発性メモリ2の所定の領域に予め記憶されている(詳細は後述)。
【0014】
そして、製造ラインで外部接続される検査装置(図1において「INS」と表記)3から、決定された車種に応じた装備有無データが電子制御ユニット1に入力されるようになっている。
しかして、電子制御ユニット1においては、受信された装備有無データが、詳細は後述するように正常なデータであると判定された場合に、上述した不揮発性メモリ2に別途確保されている制御用装備有無データ記憶領域(図示せず)に、その受信された装備有無データが書き込まれ、電子制御ユニット1は、その装備有無データを読み取り、その装備有無データに対応した、すなわち、その装備有無データで特定される車種に対応した乗員保護装置の動作制御が実行されるようになっている。
【0015】
図1に示された構成例において、電子制御ユニット1には、運転席用スクイブ駆動回路4を介して、乗員保護装置としての装備である運転席用エアバッグの第1段目スクイブ5a及び第2段目スクイブ5bが接続されたものとなっている。
また、電子制御ユニット1には、前席助手席用スクイブ駆動回路6を介して前席助手席用エアバッグの第1段目スクイブ7a及び第2段目スクイブ7bが接続されたものとなっている。
【0016】
さらに、電子制御ユニット1には、リトラクタ用スクイブ駆動回路8を介して運転者プリテンショナー付リトラクタ用のスクイブ9a及び乗員プリテンショナー付リトラクタ用のスクイブ9bが接続されたものとなっている。
また、電子制御ユニット1には、前席右側用衝撃センサ10a及び前席左側用衝撃センサ10bの信号が入力されるようになっていると共に、運転者用バックルスイッチ11a及び乗員用バックルスイッチ11bのオン・オフ信号が入力されるようになっている。
このような本発明の実施の形態における乗員保護装置の各装備は、後述するように車種1に対応した装備となっている。
【0017】
図2には、電子制御ユニット1により実行される本発明の実施の形態における乗員保護装置用制御装置の装備有無データ書き込み処理の手順が、フローチャートに示されており、以下、同図を参照しつつ、その内容について説明する。
まず、電子制御ユニット1と検査装置3が相互に接続され、動作状態とされると、電子制御ユニット1において、最初に、検査装置3から装備有無データの書き換え要求があるか否かが判定され(図2のステップS100参照)、書き換え要求がなされたと判定されると(YESの場合)、検査装置3からは、予め特定された車種の装備有無データが送信開始され、電子制御ユニット1へ入力されることとなる。
【0018】
電子制御ユニット1においては、装備有無データの受信が完了したか否かの判定が、受信完了と判定されるまで繰り返され(図2のステップS150参照)、受信完了と判定されると、受信されたデータの有効性判定処理が行われることとなる(図2のステップS200参照)。
次いで、上述のステップS200における受信データ有効性判定処理において、受信データが有効と判定されたか否かが判定され(図2のステップS250参照)、受信データは有効ではなかったと判定された場合(NOの場合)には、検査装置3へ対して、無効データが受信された旨の所定の通知信号が送出されて、一連の処理が終了されることとなる(図2のステップS400参照)。
【0019】
一方、ステップS250において、受信データは有効であったと判定された場合(YESの場合)には、その一致した装備有無データが、不揮発性メモリ2に予め確保された制御用装備有無データ記憶領域に書き込まれることとなる(図2のステップS300参照)。
次いで、検査装置3へ対して一連の処理が正常に終了した旨の通信信号が送出されて、電子制御ユニット1による一連の処理が終了されることとなる(図2のステップS350参照)。
【0020】
図3には、図2のステップS200における受信データ有効性判定処理の具体的な処理手順の例が、サブルーチンフローチャートに示されており、以下、同図を参照しつつ、その内容について説明する。
また、図4には、装備有無データの例を説明する説明図が、図5には、車種毎の装備有無データを16進法で表示した例を説明する説明図が、それぞれ示されており、以下の図3の説明において適宜用いることとする。
【0021】
まず、最初に、以下の説明において、本発明の実施の形態における電子制御ユニット1は、6種類の車種における乗員保護装置の動作制御に対応可能に構成されたものであると仮定する。
かかる前提の下、最初に、図4に示された装備有無データ例について説明すれば、この例における装備有無データは、4バイト構成となっており、1バイトは8ビット構成とされている。
そして、第1バイト(図4において「♯1」と表記)は、概ね、種々の衝撃センサの有無設定用に、第2バイト(図4において「♯2」と表記)は、概ね、種々のエアバッグ用スクイブの有無設定用に、第3バイト(図4において「♯3」と表記)は、概ね、種々のプリテンショナー用のスクイブの有無設定用に、最後に、第4バイト(図4において「♯4」と表記)は、概ね、種々の乗員検出センサ及び種々のスイッチ類の有無設定用に、それぞれ用いられるものとなっている。
【0022】
なお、図4において、それぞれのバイトを構成するデータビット(Date Bit)の内、「0」と表記されたビットが最下位ビットであり、「7」と表記されたビットが最上位ビットである。
例えば、図4に示された例の場合、第1バイトのビット”0”(最下位ビット)は、車両前部右側用衝撃センサの有無を定めるビットであり、同じく第1バイトのビット”1”は、車両前部左側用衝撃センサの有無を定めるビットとなっている(「Function」と表記された欄参照)。
また、第1バイトのビット”6”、ビット”7”は、共に予備ビットとなっており、例えば、オプションで何らかのセンサ等が装備される場合などに対応できるようにしてある。
【0023】
なお、図4において、第1バイトの他のビット、及び、第2バイト乃至第4バイトのそれぞれのビットが、如何なる装備の有無を規定するかについて、個々の詳細な説明は省略することとする。
また、図4において、「××××」、「△△△」、「×△×」の表記は、具体的な装備の記載を省略する意味であり、これらの記号自体に何らかの特別な意味を与えるものではない。
かかる装備有無データは、本発明の実施の形態においては、検査装置3から電子制御ユニット1へ送出される場合、第1バイトから順にシリアルデータとして送出されるものとなっている。
【0024】
この例においては、6つの車種を、「車種1」、「車種2」、「車種3」、「車種4」、「車種5」、「車種6」と区別することとする。
図4において、「Predefined Data (車種)」と表記された欄における「1」〜「6」の表記は、車種1〜車種6を、それぞれ意味するものである。
ここで、図4に示された装備有無データ例の内、車種1を例に採り、その内容について見てみると、まず、第1バイトは、最上位ビット側から”00000011”と設定されている。ここで、ビットが”1”に設定される場合は、図4に「Function」の欄の対応する装備有りを、また、ビットが”0”に設定される場合は、図4に「Function」の欄の対応する装備無しを、それぞれ意味する。
【0025】
したがって、車種1の第1バイトは、車両前部右側用衝撃センサ、車両前部左側用衝撃センサが装備されることが設定されたデータとなっており、これは、図1における車両前部右側用衝撃センサ10a及び車両前部左側用衝撃センサ10bが設けられていることに対応する。
次に、車種1の第2バイトは、最上位ビット側から”00001111”と設定されており(図4参照)、運転席エアバッグ用第1段目スクイブ、運転席エアバッグ用第2段目スクイブ、前席助手席エアバッグ用第1段目スクイブ、及び、前席助手席エアバッグ用第2段目スクイブが設けられることが設定されたデータとなっている。かかるデータ設定は、図1において、運転席用エアバッグの第1段目スクイブ5a及び第2段目スクイブ5bが、並びに、前席助手席用エアバッグの第1段目スクイブ7a及び第2段目スクイブ7bが、それぞれ設けられていることに対応するものである。
【0026】
次に、車種1の第3バイトは、最上位ビット側から”00000011”と設定されており(図4参照)、運転者プリテンショナー付リトラクタ用スクイブ及び乗員プリテンショナー付リトラクタ用スクイブが設けられることが設定されたデータとなっている。かかるデータ設定は、図1において、運転者プリテンショナー付リトラクタ用のスクイブ9a及び乗員プリテンショナー付リトラクタ用のスクイブ9bが、それぞれ設けられていることに対応するものである。
【0027】
最後に、車種1の第4バイトは、最上位ビット側から”00001100”と設定されており(図4参照)、運転用バックルスイッチ及び乗員用バックルスイッチが設けられることが設定されたデータとなっている。かかるデータ設定は、図1において、運転者用バックルスイッチ11a及び乗員用バックルスイッチ11bが、それそれ設けられていることに対応するものである。
図4において、車種2〜車種6についても、上述した車種1の場合と同様に解釈することができるものである。なお、それぞれの詳細な説明は、省略することとする。また、図4に示された種々の装備は、あくまでも一例であり、これに限定される必要は無いもので、任意に設定されるものである。
【0028】
上述の車種1の装備有無データは、16進表示では、図5に示されたように、第1バイトは、”03”、第2バイトは、”0F”、第3バイトは、”03”、第4バイトは、”0B”となる。なお、図5において、”0x”は、以下に続く数値が16進法に基づくものであることを意味する表示である。
なお、図5における車種2乃至車種6の16進表示のデータも、車種1の場合同様に、図4に示された2進表示の装備有無データを変換したものである。
本発明の実施の形態においては、不揮発性メモリ2の所定の領域に、車種1〜車種6のそれぞれの装備有無データが、例えば、図5に示されたような16進数で、予め記憶されたものとなっている一方、検査装置3から電子制御ユニット1へ入力される装備有無データも、同様に16進の形式で入力されるようになっている。
【0029】
次に、図3を参照しつつ、受信データ有効性判定処理の具体的な処理手順について説明する。
電子制御ユニット1により処理が開始されると、最初に、配列オフセット変数Nが”0”に初期設定される(図3のステップS202参照)。
配列オフセット変数Nは、車種を区別するために用いられる変数であり、N=0が車種1に、N=1が車種2に、N=2が車種3に、N=3が車種4に、N=4が車種5に、N=5が車種6に、それぞれ対応するものとなっている。
【0030】
配列オフセット変数Nの初期設定が行われた後は、検査装置3からの受信データがN番目の配列データと等しいか否かが判定されることとなる(図3のステップS204参照)。
すなわち、このステップS204の処理が、最初の実行である場合、N=0であるので、不揮発性メモリ2の車種1の装備有無データ(図5参照)が読み出され、受信されたデータと一致するか否かが判定されることとなる。
そして、ステップS204において、受信データと不揮発性メモリ2から読み出された装備有無データとが一致すると判定された場合(YESの場合)には、受信データ判定結果は、有効であるとされ(図3のステップS206参照)、先の図2に示されたメインルーチンへ戻ることとなる。
【0031】
一方、ステップS204において、受信データと不揮発性メモリ2から読み出された装備有無データとが一致していないと判定された場合(NOの場合)には、N=N+1が実行されて、配列オフセット変数Nの値が一つ繰り上げられることとなる(図3のステップS208参照)。
次いで、上述のようにして新たに求められたNが、所定の最大値Nmaxを超えたか否かが判定される(図3のステップS210参照)。
ここで、Nmaxは、車種の数−1として設定されるもので、本発明の実施の形態においては、N=5である。
【0032】
しかして、ステップS210において、Nは、所定の最大値Nmaxを超えたと判定された場合(YESの場合)、すなわち、換言すれば、N=6となった際には、受信データが、いずれの車種の装備有無データとも一致しなかったことになるため、受信データ判定結果は、無効とされ、先の図2に示されたメインルーチンへ戻ることとなる。
【0033】
一方、ステップS210において、Nは、所定の最大値Nmaxを超えていないと判定された場合(NOの場合)には、先のステップS204へ戻り、直近のステップS208の実行により算出された新たなNに対応する車種の装備有無データが、不揮発性メモリ2から読み出され、その装備有無データが受信されたデータと一致するか否かの判定が行われることとなり、以下、上述したと同様の処理が繰り返されることとなる。
例えば、ここで、N=1の場合、車種2の装備有無データが不揮発性メモリ2から読み出され、受信データとの一致の有無が判定されることとなる。
【0034】
このように本発明の実施の形態においては、装備有無データが正しいものである場合にのみ不揮発性メモリ2の制御用装備有無データ書込領域に書き込まれ、乗員保護装置の動作制御が実行されることとなり、装置の信頼性の向上が図られるものとなっている。
また、誤った装備有無データが制御用装備有無データ書込領域に書き込まれることが無いので、装置の故障診断処理において、誤った故障診断結果が出力されることが防止されるものとなっている。
【0035】
すなわち、例えば、左右の側部エアバッグ用スクイブが無しとされるべきところ、装備有りとする装備有無データが不揮発性メモリ2の制御用装備有無データ書込領域に書き込まれた場合、乗員保護装置用制御装置において装置の故障診断が行われる際には、左右の側部エアバッグ用スクイブが有りとして故障診断が行われることとなる。ところが、実際には、左右の側部エアバッグ用スクイブが接続されていないため、本来であれば、左右の側部エアバッグ用スクイブについては故障診断の対象とされることがなく、何らの診断結果も出力されないにも関わらず、故障との診断結果がなされてしまうこととなる。これは、使用者等に本来不要な対応を招くこととなるが、本発明の実施の形態における乗員保護装置用制御装置にあっては、そのような事態の発生を回避することができるものとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0036】
乗員保護装置用制御装置における車種に応じた装備有無データの書き込みが、誤り無く行われるようにしたので、高い信頼性の求められる乗員保護装置用制御装置に適用できる。
【符号の説明】
【0037】
1…電子制御ユニット
2…不揮発性メモリ
3…検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車種毎に異なる乗員保護装置を構成する各種の装備の有無が、所定のデータ設定によって、所望する一つの車種について特定されることで、その車種の乗員保護装置の動作制御が可能となるよう構成されてなる乗員保護装置用制御装置であって、
前記乗員保護装置用制御装置は、不揮発性メモリを有し、前記不揮発性メモリには、複数の車種における乗員保護装置の各種の装備の有無に対応する装備有無データが予め記憶されると共に、前記複数の車種の中の所望する一つの車種についての前記装備有無データが書き込まれる制御用装備有無データ書込領域が確保されてなる一方、
当該乗員保護装置用制御装置は、外部から入力される前記所望する一つの車種についての装備有無データが、前記不揮発性メモリに記憶された複数の車種毎の装備有無データのいずれかに一致した場合に、当該一致した装備有無データが前記制御用装備有無データ書込領域に書き込まれ、当該制御用装備有無データ書込領域に書き込まれた装備有無データに基づく乗員保護装置の動作制御が可能となるよう構成されてなることを特徴とする乗員保護装置用制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−156986(P2011−156986A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20889(P2010−20889)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.INS
【出願人】(000003333)ボッシュ株式会社 (510)