説明

乱流条件下で反応混合物にシクロヘキサノンオキシムを混合することによってカプロラクタムを調製する方法

本発明は、混合装置を用いてカプロラクタムと硫酸を含む反応混合物にシクロヘキサノンオキシムを混合することによるカプロラクタムの調製方法に関し、この装置は、反応混合物がそれを通って流れることのできる管と、管の周りに配設されて管に対して開口するチャンネルとを備え、前記方法は、反応混合物に管を通過させるステップと、1個または複数の前記チャンネルを通して反応混合物中にシクロヘキサノンオキシムを供給するステップとを含み、Re>5000(Reはρ・V・D/η)である。ρ=管に供給される反応混合物の密度(kg/m)、V=反応混合物の速度、VはW/A、Wは管に供給される反応混合物の流量(m/s)、Aは管の断面積(m)、D=管の直径(m)、η=管に供給される反応混合物の粘度(Pa・s)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプロラクタム、硫酸、場合によって遊離SOを含む反応混合物にシクロヘキサノンオキシムを混合することによってカプロラクタムを調製する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カプロラクタムはシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位によって調製することができる。それらのベックマン転位は、シクロヘキサノンオキシムをカプロラクタム、硫酸、および場合によって遊離SOを含む反応混合物に混合することによって行うことができる。その方法では、硫酸および任意選択的な遊離SOは触媒作用を行ってシクロヘキサノンオキシムをカプロラクタムへ変換する。
【0003】
米国特許第3601318号は、望ましい純度のカプロラクタムを得るためには混合条件が重要であると述べている。工程流体が流れることのできる管を備える混合装置が開示され、その管は流れ方向に見てスロートに狭まり、スロートを越えると広がる。複数のチャンネルが管の周りに配設されて管中へ開口し、そのチャンネルを通して原料液体を工程液体へ混合することができる。混合装置は、液体が実質上乱流なく全体的にかつ完全に混合しなければならない条件に特に適している。それらの条件の1つは、硫酸またはリン酸またはポリリン酸の存在下における環状ケトオキシムのベックマン転位であると述べている。
【0004】
我々は、米国特許第3601318号に記載された混合装置を使用して、すなわち層流条件下で、カプロラクタムを調製すると収率が低くなることを見出した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は収率を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、混合装置を用いてカプロラクタムと硫酸を含む反応混合物にシクロヘキサノンオキシムを混合することによるカプロラクタムの調製方法を提供する本発明によって達成され、前記混合装置は、(i)反応混合物がそれを通って流れることのできる管と、(ii)管の周りに配設されて管の中へ開口するチャンネルとを備え、前記方法は、反応混合物を管に通過させるステップと、1個または複数の前記チャンネルを通して反応混合物中にシクロヘキサノンオキシムを供給するステップとを含み、Re>5000(Reはρ・V・D/ηで定義されるレイノルズ数)である。式中、
ρ=管に供給される反応混合物の密度(kg/m)である。
V=反応混合物の速度、VはW/Aで定義され、Wは管に供給される反応混合物の流量(m/s)であり、Aは前記チャンネルが管に対して開口するレベルでの管の断面積(m)である。
D=前記チャンネルが管に対して開口するレベルでの管の直径(m)である。
η=管に供給される反応混合物の粘度(Pa・s)である。
【0007】
本発明によって大きなレイノルズ数を与えたときに収率が増加することが見出された。さらに、高い純度が達成される。
【0008】
この方法は、米国特許第3601318号の主要流れが層流である点で米国特許第3601318号とは区別される。層流に相当するレイノルズ数は2100を超えない。
【0009】
本発明によれば、Re>5,000である。Reの値を増加させると、さらに収率の増加が有利に達成される。好ましくはRe>10,000、さらに好ましくはRe>15,000、さらに好ましくはRe>20,000、さらに好ましくはRe>25,000である。実施上の理由から、Reは通常<100,000である。
【0010】
本発明による望ましいReの値は、ρ、V、D、ηの適切な組合せを選択することによって有利に達成することができる。
【0011】
本発明によれば、反応混合物を管に通過させる。液体を通過させることのできる任意の適切な管を用いることができる。管は一般に円筒形状を有することが好ましい。管は、流れ方向に見て、第1部分でスロートへ狭まり、場合によってスロートを越えた第2部分で広がることが好ましい。チャンネルは管の第1部分、スロート、または第2部分へ開口することが好ましく、スロートへ開口することが最も好ましい。本明細書に用いられるスロートは、最も小さな断面積を有する、第1部分を越える管の部分(流れ方向に見て)を指す。第1部分が狭まる角度(第1部分の壁と管の軸の間の角度)は5°を超えることが好ましい。第2部分が広がる角度(第2部分の壁と管の軸の間の角度)は5°を超えることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、チャンネルが管の周りに配設される。チャンネルはシクロヘキサノンオキシムを反応混合物中へ供給することのできる任意の適切な開口とすることができる。チャンネルは任意の適切な直径を有することができる。このチャンネルの直径は少なくとも2mmであることが好ましい。これはチャンネル閉塞の危険性を低減する。管の周りに配設されるチャンネルの数は変えることができ、例えば2〜32とすることができ、4〜24が好ましい。混合装置は供給室を備えることが好ましく、前記供給室は管の周りに配設され、供給室からチャンネルが管に対して開口する。供給室はシクロヘキサノンオキシム源に接続され、シクロヘキサノンオキシムは供給室からチャンネルを経て管中へ供給することができる。
【0013】
本発明によれば、シクロヘキサノンオキシムはカプロラクタム、硫酸、および場合によってSOを含む反応混合物中へ供給される。その結果、シクロヘキサノンオキシムはベックマン転位によってカプロラクタムへ変換される。その変換はほとんど瞬間的に行われることが知られている。
【0014】
反応混合物は、カプロラクタム、硫酸、および任選択的にSOを含む。(nSO3+nH2SO4)/ncapで定義される比率Mは、1〜2.2であることが好ましく、さらに好ましくは1.1〜1.9であり、式中、nSO3=反応混合物中のSOの量(モル)であり、nH2SO4=反応混合物中のHSOの量(モル)であり、ncap=反応混合物中のカプロラクタムの量(モル)である。反応混合物はSOを含むことが好ましく、SO含有量は少なくとも1重量%であることが好ましく、さらに好ましくは少なくとも2重量%であり、さらに好ましくは少なくとも4重量%のSOであり、さらに好ましくは少なくとも6重量%のSOであり、さらに好ましくは少なくとも8重量%のSOであり、さらに好ましくは少なくとも10重量%のSOであり、さらに好ましくは少なくとも12重量%のSOである。実施上の問題から、反応混合物中のSO含有量は通常20重量%未満であり、例えば18重量%未満であり、例えば17重量%未満である。本明細書に用いられるSO含有量は、反応混合物の重量に対するSOの重量を指す。好ましい実施形態において、Mは1.0〜1.4であり、好ましくは1.15〜1.4であり、反応混合物のSO含有量は少なくとも2重量%であり、さらに好ましくは少なくとも4重量%のSOであり、さらに好ましくは少なくとも6重量%のSOであり、さらに好ましくは少なくとも8重量%のSOであり、さらに好ましくは少なくとも10重量%のSOであり、さらに好ましくは少なくとも11重量%のSOである。1.0〜1.4のMの値、好ましくは1.15〜1.4のMの値は、SO含有量の値の増加と組み合わせて、後続の中和の間に比較的少量の硫酸アンモニウムが生成されるという利点を有し、SO含有量の値の増加とともに収率の増加が見出される。本明細書に用いられるMの値およびSO濃度および反応混合物の温度は、特にシクロヘキサノンオキシムを反応混合物に供給した後に得られる反応混合物の値、特に混合装置を出る反応混合物の値を指す。
【0015】
Mの値およびSO含有量は任意の適切な方法で得ることができる。好ましい実施形態において、方法は、反応混合物の循環を維持するステップと、硫酸とSOを含む混合物、例えば発煙硫酸またはカプロラクタム、硫酸、およびSOを含む混合物を循環反応混合物に供給するステップと、循環反応混合物の一部を引き抜くステップとを含む連続工程である。硫酸とSOを含む混合物の量、そのSO含有量、および循環反応混合物に供給されるシクロヘキサノンオキシムの量は、Mおよび反応混合物のSO含有量が好ましい値を有するように選択することができる。発煙硫酸は任意の適切なSO濃度、例えば18〜35重量%のSOとすることができる。
【0016】
反応混合物中の温度は任意の適切な値を有することができる。好ましくは、反応混合物中の温度は50〜130℃であり、70〜120℃が好ましい。
【0017】
管に供給される反応混合物の流量、および反応混合物中に供給されるシクロヘキサノンオキシムの流量は、任意の適切な値とすることができる。好ましくはw/Wの比は<0.1であり、w/W<0.05であることが好ましく、式中、w=前記1個または複数のチャンネルを通して反応混合物中に供給されるシクロヘキサノンオキシムの流量(m/s)であり、W=管を通過する反応混合物の流量(m/s)である。小さなw/Wの比の値を用いることによって収率と純度が向上することが見出された。w/W<0.04が有利であり、w/W<0.03が好ましい。w/Wには特に下限はない。実際上はw/W>0.01とすることができる。
【0018】
反応混合物中に供給されるシクロヘキサノンオキシムおよび反応混合物の速度は任意の適切な値とすることができる。好ましくはv/Vは0.1〜30であり、式中、v=反応混合物中に供給されるシクロヘキサノンオキシムの速度(m/s)であり、V=前記チャンネルが管に対して開口するレベルでの反応混合物の速度であり、VはW/Aで定義され、式中、Wは管の中に供給される反応混合物の流量(m/s)であり、Aは前記チャンネルが管に対して開口するレベルでの管の断面積(m)である。v/Vの比は<15とすることができ、例えば<10であり、例えば<5であり、例えば<2であり、例えば<1.8であり、例えば<1.5である。v/Vの比は>0.2とすることができ、例えば>0.5である。
【0019】
好ましいv/Vの値は任意の適切な方法で選択することができる。好ましい実施形態において、混合装置は1個または複数のクロージャーを備え、1個または複数のチャンネルをクロージャーで閉鎖可能である。チャンネルの各々がクロージャーで閉鎖可能であることが好ましい。クロージャーとして、チャンネルを閉鎖し開放することのできる任意の適切なクロージャー手段、例えばプラグを用いることができる。好ましくは、クロージャーまたはプラグはチャンネルに対して補完形状のチップを有して使用される。クロージャーまたはプラグはチャンネルに対して補完形状のチップを有することが好ましい。これはチャンネルを閉鎖する有効な方法である。
【0020】
好ましい実施形態において、(i)混合装置と、(ii)反応混合物を冷却するための冷却器と、(iii)反応混合物が混合装置から冷却器へ流れ、かつ冷却器から混合装置へ戻ることのできる接続回路とを備える循環系が提供され、方法は、反応混合物を混合装置から冷却装置へ、かつ冷却器から混合装置へ戻して循環させるステップを含む。反応混合物は任意の適切な方法で循環を維持することができる。循環系は(iv)反応混合物の循環を維持するポンプを備えることが好ましい。ポンプは、反応混合物の流れ方向に見て、混合装置の下流、および冷却器の上流にあることが好ましい。この配置によって高いレイノルズ数の達成が容易になることが判る。
【0021】
好ましい実施形態において、方法は、収集容器中に管を出る反応混合物を収集するステップを含む。すべてのシクロヘキサノンオキシムが変換されていなければ、収集容器中でシクロヘキサノンオキシムの追加の変換を行うことができる。収集容器は管を出る反応混合物を受容するように構成されることが好ましく、方法は、管を出る反応混合物を収集容器中に収集するステップを含む。好ましくは、循環系は収集容器を備え、収集容器は反応混合物の流れ方向に見て、ポンプの上流にあることが好ましい。これは高いレイノルズ数を達成するのを容易にすることが判る。
【0022】
好ましい実施形態において、混合装置は調節可能なクロージャーを備え、管は反応混合物の流れ方向に見てクロージャーの下流の点で収集容器の壁を貫通して導かれる。この実施形態では、収集容器の利点が達成される一方で、クロージャーを簡単な方法で操作することができる。したがって、他の態様において、本発明は装置も提供し、前記装置は、(a)(i)第1の液体が流れることのできる管と、(ii)それを通して第2の液体を第1の液体に加えることができ、管に対して開口する、管の周りに配設されたチャンネルと、(iii)1個または複数のチャンネルに結合した調節可能なクロージャーとを備える混合装置と、(b)管を出る第1液体を収集するための、壁を有する収集容器とを具備し、管は反応混合物の流れ方向に見てクロージャーの下流の点で収集容器の壁を貫通して導かれる。
【0023】
管は流れ方向に見て第2部分を越える第3の部分を備えることができ、前記第3部分は第2部分と接続され、方法は管の第3部分を通って管の第2部分を出る反応混合物を含む。
【0024】
本発明による方法は連続工程であることが好ましい。
【0025】
好ましい実施形態において、方法は(a)(i)発煙硫酸と(ii)シクロヒキサノンオキシムを、カプロラクタム、硫酸、およびSOを含む第1反応混合物中に供給するステップと、(b)(iii)第1反応混合物の一部と(iv)シクロヘキサノンオキシムを、カプロラクタム、硫酸、およびSOを含む第2反応混合物中に供給するステップとを含み、前記シクロヘキサノンオキシムを第1反応混合物中に供給するステップ、および前記シクロヘキサノンオキシムを第2反応混合物に供給するステップは本発明による工程によって行われる。さらに好ましい実施形態において、方法は、(v)第2反応混合物の一部および(vi)シクロヘキサノンオキシムを、カプロラクタム、硫酸、およびSOを含む第3反応混合物中に供給するステップをさらに含み、前記シクロヘキサノンオキシムを第3反応混合物に供給するステップは本発明による工程によって行われる。
【0026】
第1反応混合物、第2反応混合物、および/または前記第3反応混合物は循環を維持することが好ましい。
【0027】
第1反応混合物、第2反応混合物、および場合によって第3反応混合物は、カプロラクタム、硫酸、SOを含む。(nSO3+nH2SO4)/ncapで定義されるモル比M(式中、nSO3=反応混合物中のSOの量(モル)であり、nH2SO4=反応混合物中のHSOの量(モル)であり、ncap=反応混合物中のカプロラクタムの量(モル)である)は、各反応混合物によって異なることが好ましい。本明細書に用いられる第1、第2、第3反応混合物中のモル比は、それぞれM(1)、M(2)、M(3)と呼ばれる。本明細書に用いられる第1、第2、第3反応混合物中のSO濃度は、それぞれCSO3(1)、CSO3(2)、CSO3(3)と呼ばれる。本明細書に用いられるSO濃度は、反応混合物の重量に対する重量%で与えられる。本明細書に用いられる第1、第2、第3反応混合物中の温度は、それぞれT(1)、T(2)、T(3)と呼ばれる。本明細書に用いられるMの値、SO濃度、および温度は、特に反応混合物中へシクロヘキサノンオキシムを供給した後に得られる反応混合物、特に混合装置を出る反応混合物の値を指す。
【0028】
好ましいMの値およびSO濃度は、シクロヘキサノンオキシムを異なる段階で適切な量供給することによって、および適切なSO濃度の発煙硫酸を適切な量加えることによって得られる。
【0029】
M(2)はM(1)よりも小さいことが好ましい。M(3)はM(2)よりも小さいことが好ましい。
【0030】
好ましい実施形態において、M(1)は1.2〜2.2であり、好ましくは1.4〜1.85であり、さらに好ましくは1.5〜1.7である。好ましくは、CSO3(1)は3〜20重量%であり、4重量%よりも高いことが好ましく、6重量%よりも高いことが好ましく、8重量%よりも高いことがさらに好ましく、10重量%よりも高いことがさらに好ましく、12重量%よりも高いことがさらに好ましい。増加したCSO3(1)の値は、第2反応混合物に発煙硫酸を加える必要なく第2反応混合物中のCSO3(2)を高く保つことができる利点を有する。CSO3(1)は18重量%とすることができ、好ましくは17重量%未満である。好ましくはT(1)は50〜130℃であり、70〜130℃が好ましく、70〜120℃がさらに好ましい。
【0031】
好ましい実施形態において、M(1)は1.0〜1.6であり、1.1よりも高いことが好ましく、1.2よりも高いことがさらに好ましく、1.5未満であることが好ましく、1.4未満であることがさらに好ましい。好ましくは、CSO3(2)は0.5〜20重量%であり、1重量%よりも高いことがさらに好ましく、2重量%よりも高いことがさらに好ましく、4重量%よりも高いことがさらに好ましく、6重量%よりも高いことがさらに好ましく、8重量%よりも高いことがさらに好ましく、10重量%よりも高いことがさらに好ましく、12重量%よりも高いことがさらに好ましい。驚くべきことに、上記範囲内のM(2)で増加したCSO3(2)の濃度は、顕著に高い収率になることが見出された。好ましくはT(2)は70〜130℃であり、80〜130℃が好ましく、80〜120℃がさらに好ましい。
【0032】
好ましい実施形態において、M(3)は1.0〜1.4であり、好ましくは1.1〜1.35であり、さらに好ましくは1.15〜1.35である。好ましくは、CSO3(3)は0.5〜18重量%であり、1重量%よりも高いことが好ましく、2重量%よりも高いことが好ましく、4重量%よりも高いことがさらに好ましく、6重量%よりも高いことが好ましく、8重量%よりも高いことがさらに好ましく、10重量%よりも高いことがさらに好ましく、12重量%よりも高いことがさらに好ましい。驚くべきことに、上記範囲内のM(3)で増加したCSO3(2)の濃度は、顕著に高い収率になることが見出された。好ましくはT(3)は70〜130℃であり、80〜130℃が好ましく、80〜120℃がさらに好ましい。
【0033】
発煙硫酸は任意の適切な方法で反応混合物に供給することができる。すべての発煙硫酸を第1反応混合物中に加えることが好ましい。第1反応混合物中に供給されるシクロヘキサノンオキシムの量は、第2反応混合物中に供給されるシクロヘキサノンオキシムの量よりも多いことが好ましく、可能であれば、第2反応混合物中に供給されるシクロヘキサノンオキシムの量が第3反応混合物中に供給されるシクロヘキサノンオキシムの量よりも多いことが好ましい。第1、第2反応混合物、可能であれば第3反応混合物に供給されるシクロヘキサノンオキシムの総量の60〜95重量%が第1反応混合物中に供給されることが好ましい。第1、第2反応混合物、可能であれば第3反応混合物に供給されるシクロヘキサノンオキシムの総量の5〜40重量%が第2反応混合物中に供給されることが好ましい。可能であれば、第1、第2反応混合物、第3反応混合物に供給されるシクロヘキサノンオキシムの総量の2〜15重量%が第3反応混合物中に供給されることが好ましい。
【0034】
シクロヘキサノンオキシムの1容量部を少なくとも10容量部の反応混合物に連続的に導入することが好ましく、少なくとも20容量部の反応混合物に導入することがさらに好ましい。
【0035】
好ましくはw1/W1<0.01であり、w1/W1<0.05であることが好ましい。好ましくはw2/W2<0.01であり、w2/W2<0.05であることが好ましい。好ましくはw3/W3<0.01であり、w3/W3<0.05であることが好ましい。式中、w1、w2、w3=それぞれ1個または複数の第1チャンネル、第2チャンネル、第3チャンネルを通して供給されるシクロヘキサノンオキシムの流量(m/s)であり、W1、W2、W3=それぞれ第1管、第2管、第3管を通過する反応混合物の流量(m/s)である。
【0036】
本発明による連続工程は、第1反応混合物の一部を第2反応混合物中に供給するステップを含むことが好ましい。本発明による連続工程は、第2反応混合物の一部を引き抜くステップを含むことが好ましい。本発明による連続工程は、第2反応混合物の一部を第3反応混合物中に供給するステップを含むことができる。本発明による連続工程は、第3反応混合物から一部を引き抜くステップを含むことができる。
【0037】
第2反応混合物および/または第3反応混合物の一部は任意の適切な方法で引き抜くことができる。カプロラクタムは、第2または第3反応混合物から、既知の方法、例えばアンモニアによる中和、および得られるカプロラクタム含有水性相の精製によって回収することができる。
【0038】
本発明によれば、シクロヘキサノンオキシムが反応混合物中に供給される。反応混合物中に供給されるシクロヘキサノンオキシムは、例えば7重量%未満の水を含むことができる。反応混合物中に供給されるシクロヘキサノンオキシムは、2重量%未満の水含有量を有することが好ましく、1重量%未満がさらに好ましく、0.2重量%未満がさらに好ましく、0.1重量%未満がさらに好ましい。水含有量の低いシクロヘキサノンオキシムの供給は、高いSO含有量の反応混合物を達成する有効な用法であるので、有利である。
【0039】
2重量%未満の水含有量のシクロヘキサノンオキシムを得る1つの方法は、水含有量の高いシクロヘキサノンオキシムを例えば不活性ガスで乾燥することである。2重量%未満の水含有量のシクロヘキサノンオキシムを得る好ましい方法は、
(a)有機溶媒中に溶解したシクロヘキサノンオキシムを含む有機媒体を調製するステップと、
(b)シクロヘキサノンオキシムを前記有機媒体から蒸留によって分離するステップとによってシクロヘキサノンオキシムを得る方法である。
【0040】
有機溶媒中に溶解したシクロヘキサノンオキシムを含む有機媒体の調製は、反応ゾーン中で、シクロヘキサノンオキシムの溶媒でもある有機溶媒中のシクロヘキサノン溶液の流れをリン酸塩で緩衝した水酸化アンモニウムの水性溶液と対向流で接触させ、反応ゾーンから前記有機溶媒に溶解したシクロヘキサノンオキシムの有機媒体を引き抜くステップによって行われる。シクロヘキサノンオキシムを調製するこの方法に使用する特に適した有機溶媒は、トルエンとベンゼンである。トルエンを有機溶媒として使用することが好ましい。リン酸で緩衝した水性反応媒体は、水酸化アンモニウム合成ゾーンとシクロヘキサノンオキシム合成ゾーンの間を連続的に循環することが好ましい。水酸化アンモニウム合成ゾーン中で、硝酸イオンまたは酸化窒素の水素による触媒還元によって水酸化アンモニウムが形成される。シクロヘキサノンオキシム合成ゾーン中で、水酸化アンモニウム合成ゾーン中で形成された水酸化アンモニウムはシクロヘキサノンと反応してシクロヘキサノンオキシムを形成する。次いでシクロヘキサノンオキシムは、水酸化アンモニウム合成ゾーンへ循環される水性反応溶媒から分離することができる。前記有機溶媒に溶解した形成されたシクロヘキサノンオキシムを含む有機媒体は、反応ゾーンから引き抜かれ、蒸留して1重量%未満、さらに0.1重量%未満の水含有量のシクロヘキサノンオキシムが回収される。
【0041】
得られる反応混合物からのカプロラクタムの回収は既知の方法で行うことができる。好ましくは、ベックマン転位の最終段階で得られる反応混合物が水中のアンモニアで中和され、これにより形成された硫酸アンモニウムはカプロラクタム溶液から除かれる。カプロラクタム溶液は既知の手順で精製することができる。
【0042】
また、本発明は、本発明による方法を実施する装置を提供し、前記装置は、(i)反応混合物が流れることのできる管と、(ii)シクロヘキサノンオキシムを反応混合物中にそれを通して供給することができ管に対して開口する管の周りに配設されたチャンネルとを備えるシクロヘキサノンオキシムを反応混合物に混合する混合装置と、反応混合物を冷却するための冷却器と、ポンプと、混合装置を出る反応混合物がそれを通って混合装置からポンプへ、ポンプから冷却器(D)へ、および冷却器から混合装置へ戻って流れることのできる接続回路とを具備する。ポンプが混合装置の下流、および冷却器の上流にあるとき、本発明によるレイノルズ数が有利に達成されることが見出された。
【0043】
また、本発明は本発明に係わる方法によって実施する装置を提供し、前記装置は、(i)反応混合物が流れることのできる管と、(ii)シクロヘキサノンオキシムを反応混合物中にそれを通して供給することができ管に対して開口する管の周りに配設されたチャンネルとを備えるシクロヘキサノンオキシムを反応混合物中に混合するための混合装置と、収集容器と、反応混合物を冷却するための冷却器と、反応混合物がそれを通って混合装置から収集容器へ、収集容器から冷却器へ、および冷却器から混合装置へ流れることのできる接続回路とを具備する。特に冷却器へ接続回路を通過する反応混合物の流出口が収集容器の下部にあるとき、例えば収集容器の高さの50%未満であるとき、本発明によるレイノルズ数は有利に達成されることが見出された。
【0044】
好ましい実施形態において、混合装置は1個または複数のクロージャーを備えることが好ましく、1個または複数のチャンネルがクロージャーで閉鎖可能であり、管は、クロージャーが収集容器の外側にあるように収集容器の壁を貫通して展延する。これはクロージャーの使用を容易にする。
【0045】
好ましくは、管は流れ方向に見て第1部分でスロートへ狭まり、管は場合によって第2部分のスロートを越えて広がることが好ましい。これも本発明による高いレイノルズ数の達成を容易にする。
【0046】
他の態様において、本発明はカプロラクタムを調製する装置も提供し、装置は、
(a)第1反応混合物の循環を維持する第1循環系であって、前記第1循環系がシクロヘキサノンオキシムを第1反応混合物に混合するための第1混合装置を備え、前記混合装置が、
(a1)第1反応混合物がそれを通って流れることのできる第1管と、
(a2)シクロヘキサノンオキシムを第1反応混合物中にそれを通して供給することができ第1管に対して開口する第1管の周りに配設された第1チャンネルと、
(a3)1個または複数の第1チャンネルが第1クロージャーで閉鎖可能である1個または複数の第1クロージャーとを備える第1循環系と、
(b)第2反応混合物の循環を維持する第2循環系であって、前記第2循環系がシクロヘキサノンオキシムを第2反応混合物に混合するための第2混合装置を備え、前記第2混合装置が、
(b1)第2反応混合物がそれを通って流れることのできる第2管と、
(b2)シクロヘキサノンオキシムを第2反応混合物中にそれを通して供給することができ第2管に対して開口する第2管の周りに配設された第2チャンネルと、
(b3)1個または複数の第2チャンネルが第2クロージャーで閉鎖可能である1個または複数の第2クロージャーとを備える第2循環系とを具備する。
【0047】
この装置は、段階ごとに混合条件を選択可能にする好ましい実施形態である。好ましい実施形態において、装置は、
(c)第3反応混合物の循環を維持する第3循環系であって、前記第3循環系がシクロヘキサノンオキシムを第3反応混合物に混合するための第3混合装置を備え、前記混合装置が、
(c1)第3反応混合物がそれを通って流れることのできる第3管と、
(c2)シクロヘキサノンオキシムを第3反応混合物中にそれを通して供給することができ第3管に対して開口する第3管の周りに配設された第3チャンネルと、
(c3)1個または複数の第3チャンネルが第3クロージャーで閉鎖可能である1個または複数の第3クロージャーとを備える第3循環系とをさらに具備する。
【0048】
さらに他の装置の実施形態が明細書全体と請求項に記述される。
【0049】
他の実施形態において、本発明はカプロラクタムを調製する方法も提供し、方法は、
(a)第1反応混合物を第1管に通過させて第1反応混合物の循環を維持し、前記第1反応混合物がカプロラクタム、硫酸、およびSOを含むステップと、
(b)シクロヘキサノンオキシムを第1開口を通して第1反応混合物中に供給するステップと、
(c)第2反応混合物を第2管を通して通過させ、第2反応混合物の循環を維持し、前記第2反応混合物がカプロラクタム、硫酸、および遊離SOを含むステップと、
(d)第2反応混合物中へシクロヘキサノンオキシムと第1反応混合物の一部を供給し、前記シクロヘキサノンオキシムが第2開口部を通して第2反応混合物中に供給されるステップとを含む。
【0050】
当該方法は、
(e)第3反応混合物を第3管を通して通過させ、第3反応混合物の循環を維持し、前記第3反応混合物がカプロラクタム、硫酸、および遊離SOを含むステップを含むことが好ましい。
【0051】
本発明による方法のさらに他の好ましい実施形態は明細書全体と請求項に記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
図1は本発明による方法を実施するための好ましい実施形態を示す。
【0053】
図1を参照すれば、混合装置A、収集容器B、ポンプCおよび冷却器Dを備える循環系中に矢印の方向に反応混合物の循環が維持される。混合装置Aは、収集容器B中に開口する管を備える。混合装置Aへはライン1を経て反応混合物、およびライン2を経てシクロヘキサノンオキシムを供給する。混合装置Aを出る反応混合物は、収集容器B中に収集される。反応混合物の一部が収集容器Bからライン3を経て引き抜かれる。反応混合物の他の部分は、ライン4を経て収集容器Bへ収集され、ライン5を経て供給される発煙硫酸(または他の循環系から引き抜かれた反応混合物)と一緒にポンプCへ供給される。ポンプCを出る反応混合物はライン6を経て冷却器Dに流入し、ライン1を経て混合装置Aへ再循環される。
【0054】
図2は混合装置の好ましい実施形態を示す。
【0055】
混合装置Aは、図2に示すように、第1部分101aでスロート101bに狭まり、スロート101bを越えて第2部分101cで広がる円筒形状の管101を備える。管の第2部分101cは第3部分102に接続される。供給室104に接続されたチャンネル103は管101中に開口する。シクロヘキサノンオキシムは供給室104を経て供給され、チャンネル103を経て反応混合物へ供給される。混合装置はクロージャー105を備え、それによってチャンネル103の開放と閉鎖を独立に行うことができる。
【0056】
管は壁110を有する収集容器B中に開口する。混合装置も管101の出口の反対側にバッフル106を備える。
【0057】
図3は、第1循環系と、第2循環系と、第3循環系とを備える3段階を再配置する好ましい設定を示す。第1循環系は混合装置A1と、収集容器B1と、ポンプC1と、冷却器D1とを備え、第1反応混合物はライン1を経て循環が維持される。第2循環系は、混合装置A2と、収集容器B2と、ポンプC2と、冷却器D2とを備え、第2反応混合物はライン11を経て循環が維持される。第3循環系は、混合装置A3と、収集容器B3と、ポンプC3と、冷却器D3とを備え、第3反応混合物はライン21を経て循環が維持される。シクロヘキサノンオキシムと発煙硫酸は第1反応混合物中へそれぞれライン2とライン3を経て供給される。第1反応混合物の一部はライン4を経て収集容器B1から引き抜かれ、第2反応混合物中へ供給される。シクロヘキサノンオキシムはライン12を経て第2反応混合物中へ供給される。第2反応混合物の一部はライン14を経て収集容器B2から引き抜かれ、第3反応混合物中へ供給される。シクロヘキサノンオキシムはライン24を経て第3反応混合物中へ供給される。第3反応混合物の一部はライン34を経て収集容器B3から引き抜かれる。工程は連続的に行われる。
【0058】
以下の特定の実施例は開示の残りを例示するためだけに行うものであって制限するものではない。
[比較実験および実施例]
【0059】
比較実験および実施例において、カプロラクタムの収率(反応混合物に供給したシクロヘキサノンオキシムの量当たりに形成されたカプロラクタムの量)を以下のように求めた。サンプルを流出口111で取り出した。各サンプルの第1部分(0.2g)に濃硫酸(20ml、96重量%)ならびに15gのKSOと0.7gのHgOを加えた。得られる酸性混合物の窒素含有量をケールダール法を用いて求め、そこからサンプル(TN)の第1部分の窒素のモル濃度を計算した。各サンプルの第2の部分をクロロホルムで抽出した。この方法は、カプロラクタムがクロロホルム相中に流入する事実に基づいている。不純物は水相中に留まる。抽出した水性相をその窒素含有量についてケールダール法によって分析し、そこからサンプル(RN)の第2部分の窒素のモル濃度を計算した。収率は以下のように計算される。
【数1】

【0060】
得られたカプロラクタムの品質規格として用いられる290nm(E290nm)での吸収率を以下のようにして求めた。
【0061】
流出口111を出る反応混合物をアンモニアで中和し、得られるカプロラクタム含有水性相を分離した。分離したカプロラクタム含有水性相の吸収率を1cmキュベットを用いて波長290nmで測定した(70重量%のカプロラクタム溶液について計算した)。
[比較実験A]
【0062】
図1および図2に示した設定を用いた。混合装置は次の寸法を有した。101aに狭くなる前のパイプの直径:2600mm、角度α:17°、スロート101bの直径:100mm、角度β:11°。バッフル106は適用しなかった。循環する反応混合物は7重量%のSOを含み、Mは1.6(収集容器Bで測定して)であった。混合器へ供給される反応混合物の粘度は0.18Pa・sであり、密度は1400kg/mであった。収集容器中の温度は115℃であった。冷却器を出て混合器へ供給される反応混合物の温度は75℃であった。反応混合物の流量は時間あたり73mであり、2.5m/sに相当する。スロート中で得られるレイノルズ数は2000である。混合装置には12個のチャンネル(直系3mm)を設けた。シクロヘキサノンオキシムを3個のチャンネルを経て供給した(9個のチャンネルは閉鎖位置である)。シクロヘキサノンオキシムの流量は3トン/hr(ρ=850kg/m)であった。
【0063】
収率は95重量%であった。E290は6.3であった。
[実施例1]
【0064】
混合装置のスロート直径を51mmに変えて比較実験Aを繰り返した。角度α:および角度β:11°を含んで混合器の他の寸法は同じに保った。反応混合物の流量は時間あたり82mであり、11.4m/sの速度に相当する。冷却器を出て混合器へ供給される反応混合物の温度は82℃(粘度は0.12Pa・s)であった。レイノルズ数は6800である。収率は96.7%であることが測定された。E290は3.3であった。実施例は、レイノルズ数が2000から6800に増加することによって収率が増加し、純度が高まることを示している。
[実施例2]
【0065】
反応混合物の流量を83m/sから300m/sに増加させ、シクロヘキサノンオキシムを8個のチャンネルを経て供給し(4個のチャンネルは閉鎖位置である)、シクロヘキサノンオキシムの流量を8トン/hrに変えて実施例1を繰り返した。冷却は収集容器の温度が115℃に保たれるように調整した。スロート中で得られる反応混合物の速度は41m/sであり、レイノルズ数29200に相当する。収率は99.5%であることが測定された。E290は0.43であった。この実施例は、レイノルズ数を6800から29200へさらに増加させることによって収率が増加し、純度が高まることを示している。
【0066】
表1は結果の総括を示す。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明による方法を実施するための好ましい実施形態を示す。
【図2】混合装置の好ましい実施形態を示す。
【図3】第1循環系と、第2循環系と、第3循環系とを備える3段階を再配置する好ましい設定を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合装置を用いてカプロラクタムと硫酸を含む反応混合物にシクロヘキサノンオキシムを混合することによるカプロラクタムの調製方法であって、
前記混合装置が、(i)前記反応混合物がそれを通って流れることのできる管と、(ii)前記管の周りに配設されて前記管に対して開口するチャンネルとを備え、
当該方法が、前記反応混合物に前記管を通過させるステップと、1個または複数の前記チャンネルを通して前記反応混合物中に前記シクロヘキサノンオキシムを供給するステップとを含み、Re>5000(Reはρ・V・D/ηで定義されるレイノルズ数)であり、式中、
ρ=前記管に供給される前記反応混合物の密度(kg/m)であり、
V=前記反応混合物の速度であり、VはW/Aで定義され、Wは前記管に供給される前記反応混合物の流量(m/s)であり、Aは前記チャンネルが前記管に対して開口するレベルでの前記管の断面積(m)であり、
D=前記チャンネルが前記管に対して開口するレベルでの前記管の直径(m)であり、
η=前記管に供給される前記反応混合物の粘度(Pa・s)である、方法。
【請求項2】
Re>10,000である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
w/Wの比が<0.05であり、式中、
w=前記1個または複数のチャンネルを通して前記反応混合物中に供給されるシクロヘキサノンオキシムの流量(m/s)であり、
W=前記管を通過する前記反応混合物の流量(m/s)である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
v/Vの比が0.1〜20であり、式中、
v=前記反応混合物中に供給されるシクロヘキサノンオキシムの速度(m/s)であり、
V=前記チャンネルが前記管に対して開口するレベルでの前記反応混合物の速度であり、VはW/Aで定義され、式中、Wは前記管の中に供給される前記反応混合物の流量(m/s)であり、Aは前記チャンネルが前記管に対して開口するレベルでの前記管の断面積(m)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
v/Vが0.2〜1.8である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記混合装置が、1個または複数のクロージャーを備え、1個または複数の前記チャンネルがクロージャーで閉鎖可能であり、前記方法が、前記クロージャーで閉鎖されるチャンネル数を調節することによってv/Vを選択するステップを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記管が、流れ方向に見て、第1部分でスロートへ狭まり、場合によって前記スロートを越えた第2部分で広がる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
循環系が提供され、前記循環系が、(i)前記混合装置と、(ii)前記反応混合物を冷却するための冷却器と、(iii)前記反応混合物が前記混合装置から前記冷却器へ流れ、かつ前記冷却器から前記混合装置へ戻ることのできる接続回路と、(iv)前記反応混合物の循環を維持するポンプとを備え、前記ポンプが、前記反応混合物の流れ方向に見て、前記混合装置の下流、および前記冷却器の上流にあり、
当該方法が、前記反応混合物を前記混合装置から前記冷却器へ、かつ前記冷却器から前記混合装置へ戻して循環させるステップを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記管を出る前記反応混合物を収集容器中に収集するステップを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記混合装置が調節可能なクロージャーを備え、前記管が前記反応混合物の流れ方向に見て前記クロージャーの下流の点で前記収集容器の壁を貫通して導かれる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(nSO3+nH2SO4)/ncapで定義される比率Mが1〜2.2であり、式中、
SO3=反応混合物中のSOの量(モル)であり、
H2SO4=反応混合物中のHSOの量(モル)であり、
cap=反応混合物中のカプロラクタムの量(モル)である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記反応混合物がSOを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記反応混合物のSO含有量が少なくとも2重量%である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記反応混合物の温度が50〜130℃である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
(i)前記反応混合物がそれを通って流れることのできる管と、(ii)シクロヘキサノンオキシムを前記反応混合物中にそれを通して供給することができ、前記管に対して開口する、前記管の周りに配設されたチャンネルを備える、シクロヘキサノンオキシムを前記反応混合物へ混合するための混合装置(A)と、
前記反応混合物を冷却するための冷却器(D)と、
ポンプ(C)と、
前記混合装置を出る前記反応混合物がそれを通って前記混合装置(A)から前記ポンプ(C)へ、前記ポンプ(C)から前記冷却器(D)へ、かつ前記冷却器から前記混合装置(A)へ戻って流れることのできる接続回路と
を具備する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置。
【請求項16】
(i)前記反応混合物がそれを通って流れることのできる管と、(ii)シクロヘキサノンオキシムを前記反応混合物中にそれを通して供給することができ、前記管に対して開口する、前記管の周りに配設されたチャンネルを備える、シクロヘキサノンオキシムを前記反応混合物へ混合するための混合装置(A)と、
収集容器(B)と、
前記反応混合物を冷却するための冷却器(D)と、
前記反応混合物がそれを通って前記混合装置(A)から前記収集容器(B)へ、前記収集容器(B)から冷却器(D)へ、かつ前記冷却器(D)から混合装置(A)へ流れることのできる接続回路と
を具備する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置。
【請求項17】
前記循環系がポンプ(D)を備え、前記ポンプが前記反応混合物の流れ方向に見て前記収集容器の下流にあり、前記冷却器の上流にある、請求項15または16に記載の装置。
【請求項18】
前記混合装置が、1個または複数のクロージャーを備え、1個または複数の前記チャンネルがクロージャーで閉鎖可能である、請求項15〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記クロージャーが前記収集容器の外側にあるように、前記管が前記収集容器の壁を貫通して展延する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記管が、流れ方向に見て、第1部分でスロートへ狭まり、その管が、場合によってスロートを越えた第2部分で広がる、請求項15〜19のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−513061(P2007−513061A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529860(P2006−529860)
【出願日】平成16年5月17日(2004.5.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005338
【国際公開番号】WO2004/113287
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】