説明

乳幼児用パンツスーツ

【課題】おむつ替えが簡単で、お腹が出ることがなく、また外観上格好も良く、しかも身長の伸びに対応することができる乳幼児用パンツスーツを得ること。
【解決手段】前身頃が左右に分離されて前開きできるようにした上着1の後身頃5の腰部内面側にパンツ6の後股上部7の上縁部を縫着し、前記後股上部7の下縁部にパンツの股部10を接続し、さらに前記股部10の先端にお腹を覆う前股上部12を接続するとともに、前記後股上部7の左右に前股上部係止片13を形成し、その前股上部係止片13の内面に設けられた留め具14を前記前股上部12の先端部の左右に設けられた留め具15に係合するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児用パンツスーツに係り、特に上着にパンツを一体的に接続した乳幼児用パンツスーツに関する。
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】
【0002】
従来、乳幼児用スーツとしては、上半身を包む上着部と下半身を包むパンツがつなぎ合わせられた上下一体型のつなぎ服が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、上記従来の上下一体型のつなぎ服は、外見上見栄えがよくないという考え方があり、上下に分かれたスーツの方が格好がよいと思う親が多く、6ヶ月前後の乳幼児にも上下の服を着せる傾向がある。
【0003】
ところが、上下別々の服は乳幼児が動くことによりパンツがずれ落ちてお腹が出易い等の問題があり、またおむつ替えが面倒である等の問題もある。そこで、上述のように上着部とパンツが一体型でありながらおむつ替えも容易であるとともに、上着の前身頃によりパンツ部を覆う形にして外見上見栄えがよいようにした乳幼児用パンツスーツも提案されている。しかし、これらのものは上着の後身頃とパンツが一体となっているため、後ろから見た場合には必ずしも外見上見栄えがよいとはいえず、しかも、上着の後身頃とパンツがつなぎ合わせられているため、身長の伸びが激しいこの年代の乳幼児に対しては頻繁に上のサイズのスーツに買い換える必要があり、経済的に不都合がある等の問題がある。
【特許文献1】実開平1−78112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような点に鑑み、おむつ替えが簡単で、お腹が出ることがなく、また外観上格好も良く、しかも身長の伸びに対応することができる乳幼児用パンツスーツを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、前身頃が左右に分離されて前開きできるようにした上着の後身頃の腰部内面側にパンツの後股上部の上縁部を縫着し、前記後股上部の下縁部にパンツの股部を接続し、さらに前記股部の先端にお腹を覆う前股上部を接続するとともに、前記後股上部の左右に前股上部係止片を形成し、その前股上部係止片に設けられた留め具と前記前股上部の先端部の左右に設けられた留め具とを係合するようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記前股上部係止片には、前記前股上部の先端部の左右に設けられた留め具に係合する留め具が上下複数個設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、左右に分離されて前開きできるようにした左右の前身頃の重ね合わせ部には、左右の前身頃を留める上下複数段の留め具が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記左右の前身頃の重ね合わせ部に設けられた留め具は、その上方段の留め具がホック等の留め具であり、下方段の留め具が面ファスナの如き留め具であることを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、左右の前身頃を重ね合わせた時内側となる前身頃の面ファスナは横長に形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに係る発明において、前記後股上部の左右に形成された前股上部係止片の外面側隅角部には、前股上部係止片の内面側に反転させることにより前記前股上部係止片の内面側に設けられた留め具を覆うことができる留め具被覆片が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれかに係る発明において、前記パンツの股部が縦方向に伸縮可能な布地によって形成され、前股上部が横方向に伸縮可能な布地によって形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上述のように、前身頃が左右に分離されて前開きできるようにした上着の後身頃の腰部内面側にパンツの後股上部の上縁部を縫着し、前記後股上部の下縁部にパンツの股部を接続し、さらに前記股部の先端にお腹を覆う前股上部を接続するとともに、前記後股上部の左右に留め具を介して前股上部を留めるようにしたので、後身頃の下部によりパンツ部の後部が覆われるとともに前身頃の下部によりパンツ部の前面部が覆われ、外見上、上下別ピースの服を着ているように見え外観上の見栄えをよくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の乳幼児用パンツスーツの外観を示す図であり、上着1は前身頃2、2が左右に分離され前開きでき、しかも左右の前身頃2、2が大きく重なり合うようにしてある。そして上記左右の前身頃2、2を複数のホック3及び面ファスナ4により留めることができるようにしてある。
【0015】
ところで、図2に示すように、上着1の後身頃5の内面には、乳幼児の腰部に対応する位置にパンツ6の後股上部7の上縁部が縫合部8により縫着されている。上記後股上部7の下縁部には後フラットシーマ9によりパンツの股部10が縫合されており、さらにその股部10の先端に前フラットシーマ11によりお腹を覆う前股上部12が逢合されている。上記後股上部7の左右にはそれぞれ前股上部係止片13が突設されており、上記各前股上部係止片13の乳幼児と対向する内面側には上下複数個(図には3個)のホック等の留め具14が設けられている(図3参照)。一方、上記前股上部12の外面側の先端部左右には上記前股上部係止片13に設けられた上下複数個の留め具14と選択的に係合する留め具15が設けられている。
ところで、上記股部10は布地の目が横方向に向き縦方向に伸縮可能な布地により形成されており、一方、お腹を覆う前股上部12は布地の目が縦方向に向き横方向に伸縮可能な布地により形成されている。
【0016】
しかして、乳幼児に上記スーツを着用させる場合には、図2に示すように、前身頃2を左右に開いた後、前股上部係止片13に設けられた留め具14を前股上部12の留め具15から外し、パンツ6の股部10及び前股上部12を後股上部7と同一平面上に拡げ、その上に乳幼児を寝かせた後、図4に示すように、お腹を覆う前股上部12を上方に折り曲げ、乳幼児の身長に応じて前股上部12の留め具15に上記前股上部係止片13に設けられた留め具14を選択的に係合させ(図3(b)参照)、乳幼児にパンツ6を着用させる。そしてその後、前身頃2の複数のホック3及び面ファスナ4を留めることによりスーツの着用を行うことができる。
【0017】
このように、このスーツにおいては前身頃2が左右に前開きできるので、乳幼児への着用が容易であり、着用と同様にしておむつの取替えも極めて容易に行うことができる。また、着用した場合には、後股上部7を介してパンツ6が上着1に連結されているので乳幼児が動いてもパンツがずれるようなことがなく、お腹が出るようなこともない。しかも、図1に示すように前身頃2の下部がパンツ部の前面側を覆うとともに、図5に示すように、後身頃5の下部がパンツ部の後面側を覆う形になるので、全体的に上下別ピースの服を着ているように見え、外観上の見栄えもよくすることができる。さらに、パンツ6の上からズボンをはかせた場合にも、上記ズボンの上部を上着1の内側に収めることができ外観を損なうこともない。
【0018】
また、左右の前身頃2が大きく重なり合うようにし、左右の前身頃を重ね合わせた時内側となる前身頃の面ファスナを横長に形成することにより、乳幼児が大きく動いた場合にも前身頃2が開くようなことがなく、見栄をよくすることができるとともに、乳幼児の大きさにも自由に対応させることができる。
【0019】
さらに、パンツの股部10が布地の目が横方向に向き縦方向に伸縮可能な布地により形成され、お腹を覆う前股上部12が布地の目が縦方向に向き横方向に伸縮可能な布地により形成されているので、乳幼児の身長が伸びた場合にも、前股上部12の留め具15を前股上部係止片13に設けられた下段側の留め具14と係合させることにより対応させるばかりでなく、上記股部10の縦方向の伸縮によりより柔軟に対応でき、体格が大きくなっても前股上部12の横方向の伸縮によって対応できる。また、左右の前身頃2、2が大きく重なり合うようにすることにより、乳幼児が大きく動いた場合にも前身頃2が開くようなことがなく見栄えをよくすることができる。
【0020】
また、前述のように、乳幼児の身長が伸びたときには、前股上部12の留め具15を前股上部係止片13に設けられた下段側の留め具14と係合させることにより対応させるけれども、このような場合には股上部係止片13に設けられた最上段の留め具14には前股上部12の留め具15が係合しないので、その留め具14が乳幼児側に露出し乳幼児に直接接触し、乳幼児に不快感を与える可能性がある。
【0021】
そこで、本発明においては、上述のように前股上部12の留め具15を前股上部係止片13の下段側の留め具14と係合させるようにした場合に、上記最上段の留め具14を被覆する部材が設けられている。
【0022】
すなわち、図3(a)、(b)に示すように、後股上部7の左右に形成された前股上部係止片13の外面側には、留め具被覆片16が設けられている。上記留め具被覆片16はほぼ矩形状をしており、その留め具被覆片16の隅角部が前股上部係止片13の上縁及びそれに隣接する先端縁に縫着されている。そこで、前股上部12の最上段の留め具15を前股上部係止片13の2段目の留め具14と係合させるようにした場合には、図6(a)、(b)に示すように、上記留め具被覆片16を前股上部係止片13の内面側に反転させることにより、前股上部12の留め具15が係合されない最上段の留め具14を覆うようにする。しかして、留め具15が係合されない前股上部係止片13側の最上段の留め具14が露出して乳幼児の皮膚に直接当接することがなく、乳幼児に不快感を与えることを防止することができる。
【0023】
また、前述のように、左右に分離されて前開きできるようにした左右の前身頃の重ね合わせ部には、左右の前身頃を留める上下複数段の留め具が設けられており、その左右の前身頃の重ね合わせ部に設けられた留め具のうち、上方段の留め具をホック等の留め具とするとともに下方段の留め具を面ファスナの如き留め具とすることにより、例えばおむつ替えのような場合には、左右の前身頃に設けられた下方段の面ファスナの如き留め具4のみを外して前身頃2の下方部のみを開くことができおむつ替え等を容易に行うことができ、その際ホックの如き留め具により前身頃2の上方部が必要以上に開くことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の乳幼児用パンツスーツの正面図。
【図2】本発明の乳幼児用パンツスーツのの前身頃及びパンツ部を開いた状態を示す図。
【図3】(a)は後股上部の左右に設けられた前股上部係止片部の拡大図、(b)は(a)のA−A線断面図。
【図4】図2に示す状態からパンツの前股上部を上方に折り畳んだ状態を示す図。
【図5】本発明の乳幼児用パンツスーツの背面図。
【図6】(a)は前股上部係止片に設けられた留め具被覆片を反転させた状態を示す図、(b)は留め具被覆片を反転させた状態の断面図。
【符号の説明】
【0025】
1 上着
2 前身頃
3 ホック
4 面ファスナ
5 後身頃
6 パンツ
7 後股上部
10 股部
12 前股上部
13 前股上部係止片
14 留め具
15 留め具
16 留め具被覆片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃が左右に分離されて前開きできるようにした上着の後身頃の腰部内面側にパンツの後股上部の上縁部を縫着し、前記後股上部の下縁部にパンツの股部を接続し、さらに前記股部の先端にお腹を覆う前股上部を接続するとともに、前記後股上部の左右に前股上部係止片を形成し、その前股上部係止片に設けられた留め具と前記前股上部の先端部の左右に設けられた留め具とを係合するようにしたことを特徴とする、乳幼児用パンツスーツ。
【請求項2】
前記前股上部係止片には、前記前股上部の先端部の左右に設けられた留め具に係合する留め具が上下に複数個設けられていることを特徴とする、請求項1記載の乳幼児用パンツスーツ。
【請求項3】
左右に分離されて前開きできるようにした左右の前身頃の重ね合わせ部には、左右の前身頃を留める上下複数個の留め具が設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の乳幼児用パンツスーツ。
【請求項4】
前記左右の前身頃の重ね合わせ部に設けられた留め具は、その上方段の留め具がホック等の留め具であり、下方段の留め具が面ファスナの如き留め具であることを特徴とする、請求項3記載の乳幼児用パンツスーツ。
【請求項5】
左右の前身頃を重ね合わせた時内側となる前身頃の面ファスナは横長に形成されていることを特徴とする、請求項4記載の乳幼児用パンツスーツ。
【請求項6】
前記後股上部の左右に形成された前股上部係止片の外面側隅角部には、前股上部係止片の内面側に反転させることにより前記前股上部係止片の内面側に設けられた留め具を覆うことができる留め具被覆片が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の乳幼児用パンツスーツ。
【請求項7】
前記パンツの股部が縦方向に伸縮可能な布地によって形成され、前股上部が横方向に伸縮可能な布地によって形成されていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の乳幼児用パンツスーツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−270395(P2007−270395A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98924(P2006−98924)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(391003912)コンビ株式会社 (165)