説明

乳母車の幌

【課題】 幌の開口窓を覆うためのカバー部材にデザイン効果を高めるための工夫を施すことにより、デザイン的に興味を持てる乳母車を提供する。
【解決手段】 乳母車の幌1は、幌布2と、この幌布2に形成された開口窓4と、この開口窓4を覆うカバー部材5とを有する。カバー部材5は、その表面側および裏面側に互いに異なったデザインが施されており、表裏反転した両状態で幌布2に取り外し可能に取り付けられるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乳母車の幌に関し、特に開口窓を有する乳母車の幌に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乳母車の幌は、本来、座席に着座した乳幼児を強い日差しから護るためのものであるが、座席への通気性を高めるために開口窓を設けることが提案されている。
【0003】
開口窓を有する乳母車の幌は、例えば、特表平11−507306号公報(特許文献1)および特開2003−19961号公報(特許文献2)等に開示されている。
【0004】
母親等が乳母車を移動操作しているとき、母親等は座席に着座した乳幼児の様子を時々観察したいが、幌の存在は乳幼児に対する母親等の視界を遮る。この場合、開口窓があれば、母親等は開口窓を通して乳幼児の様子を観察できる。
【特許文献1】特表平11−507306号公報
【特許文献2】特開2003−19961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
幌の開口窓は、必要に応じて開閉できるようにするのが望ましい。そのため、開口窓を覆うためのカバー部材を設けるのが一般的である。
【0006】
本発明の目的は、幌の開口窓を覆うためのカバー部材にデザイン効果を高めるための工夫を施すことにより、デザイン的に興味を持てる乳母車を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、幌布に形成された開口窓と、この開口窓を覆うカバー部材とを有する乳母車の幌であって、次のことを特徴とする。すなわち、カバー部材は、その表面側および裏面側に互いに異なったデザインが施されており、表裏反転した両状態で幌布に取り外し可能に取り付けられるものである。
【0008】
上記構成の乳母車の幌によれば、カバー部材の表裏を反転させることにより、カバー部材の内側に位置する面を観察する乳幼児にとっても、またカバー部材の外側に位置する面を観察する母親等にとっても、デザインの変化を楽しむことができる。
【0009】
一つの実施形態では、カバー部材の表面側の周縁部と幌布とを取り外し可能に接続する第1接続手段と、カバー部材の裏面側の周縁部と幌布とを取り外し可能に接続する第2接続手段とを備える。
【0010】
開口窓には、例えば、メッシュが張られている。また、開口窓は、例えば、当該幌の上面部分に設けられている。このような構成であれば、座席上で幌の内側の図柄を観察する乳幼児にとって、メッシュ地を通して図柄を見ることにより、胎内の環境に似た視界となり、心がより安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図4は、この発明に従った一実施形態を示している。図面に示すように、乳母車の幌1は、幌布2と、幌布2の上面部分に形成され開口縁3によって輪郭が規定されている開口窓4と、この開口窓4を覆うためのカバー部材5とを備える。図示した実施形態では、開口窓4にメッシュ4aが張られている。他の実施形態として、開口窓4に透明シートを張ったり、あるいは単なる開口空間としても良い。
【0012】
カバー部材5は、その表面側および裏面側に互いに異なったデザインが施されており、表裏反転した両状態で幌布に取り外し可能に取り付けられるものである。図1では、カバー部材5の表面側が外側に位置し、図3では、反転して取り付けられたカバー部材5の裏面側が外側に位置している。図示した実施形態では、カバー部材5の表面側は無模様であり、裏面側には花柄模様が施されている。図2では、カバー部材5を幌布2から取り外して、メッシュ4aが張られた開口窓4を露出させている。
【0013】
図4は、カバー部材5と幌布2との接続部分の構造を図解的に示している。幌1は、カバー部材5の表面側の周縁部と幌布2とを取り外し可能に接続する第1接続手段と、カバー部材5の裏面側の周縁部と幌布2とを取り外し可能に接続する第2接続手段とを備える。
【0014】
具体的には、幌布2の開口縁3の内面部分に面ファスナ2aが取り付けられている。それに対応して、カバー部材5の周縁部の表面に幌布の面ファスナ2aに接合する面ファスナ5aが取り付けられ、裏面にも幌布の面ファスナ2aに接合する面ファスナ5bが取り付けられている。上記の第1接続手段は、幌布2の面ファスナ2aと、カバー部材5の表面の面ファスナ5aとによって構成される。また、第2接続手段は、幌布2の面ファスナ2aと、カバー部材5の裏面の面ファスナ5bとによって構成される。なお、図4に示すように、メッシュ4aの周縁部は幌布2に縫合されており、カバー部材5の周縁部は、幌布2とメッシュ4aとの間に位置している。
【0015】
座席に着座している乳幼児は、カバー部材5の内側に位置する面を観察し、乳母車を移動操作する母親等は、カバー部材5の外側に位置する面を観察する。したがって、カバー部材5の表裏に互いに異なったデザインを施しておけば、カバー部材の表裏を反転させることにより、カバー部材の内側に位置する面を観察する乳幼児にとっても、またカバー部材の外側に位置する面を観察する母親等にとっても、デザインの変化を楽しむことができる。
【0016】
なお、図示した実施形態では、幌の上面部分に開口窓を設け、この上面部分にカバー部材を取り外し可能に取付けていたが、開口窓およびカバー部材を取付ける場所を他の位置にしても良い。また、言うまでもないが、カバー部材の表裏に施すデザインとしては、任意のものを採用できる。
【0017】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
この発明は、開口窓を有する乳母車の幌に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】乳母車の幌を示す斜視図であり、カバー部材の表面側部分が外側に位置している。
【図2】カバー部材を取り外した状態の斜視図である。
【図3】カバー部材を反転させてカバー部材の裏側部分を外側に位置させている状態を示す斜視図である。
【図4】カバー部材と幌布との接続構造を図解的に示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1 幌、2 幌布、2a 面ファスナ、3 開口縁、4 開口窓、4a メッシュ、5 カバー部材、5a,5b 面ファスナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幌布に形成された開口窓と、この開口窓を覆うカバー部材とを有する乳母車の幌において、
前記カバー部材は、その表面側および裏面側に互いに異なったデザインが施されており、表裏反転した両状態で前記幌布に取り外し可能に取り付けられるものであることを特徴とする、乳母車の幌。
【請求項2】
前記カバー部材の表面側の周縁部と前記幌布とを取り外し可能に接続する第1接続手段と、前記カバー部材の裏面側の周縁部と前記幌布とを取り外し可能に接続する第2接続手段とを備える、請求項1に記載の乳母車の幌。
【請求項3】
前記開口窓には、メッシュが張られている、請求項1または2に記載の乳母車の幌。
【請求項4】
前記開口窓は、当該幌の上面部分に設けられている、請求項1〜3のいずれかに記載の乳母車の幌。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−8037(P2006−8037A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190930(P2004−190930)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】