乳母車用カバー
【課題】 背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒を備えた乳母車に適した乳母車用カバーを提供する。
【解決手段】 乳母車用カバー10は、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒1を備える乳母車に適用されるものである。乳母車用カバー10は、前後方向に延在する中央カバー部分11と、この中央カバー部分11の両側縁に接続された左右の側面カバー部分12とを有する。各側面カバー部分12には、押棒1を通過させ、この押棒1の回動運動を許容するスリット17が設けられている。
【解決手段】 乳母車用カバー10は、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒1を備える乳母車に適用されるものである。乳母車用カバー10は、前後方向に延在する中央カバー部分11と、この中央カバー部分11の両側縁に接続された左右の側面カバー部分12とを有する。各側面カバー部分12には、押棒1を通過させ、この押棒1の回動運動を許容するスリット17が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乳母車を覆うためのカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乳母車用カバーは、例えば実開平5−32221号公報(特許文献1)や実用新案登録第3094720号公報(特許文献2)に開示されている。これらの公報に開示された乳母車用カバーは、背面押しの状態で固定された押棒を備えた乳母車全体を覆う形状をしており、前後方向に延在する中央カバー部分と、この中央カバー部分の両側縁に接続された左右の側面カバー部分とを有する。乳母車用カバーには、押棒の上端部分を露出させるためのスリットまたは隙間が形成されている。
【0003】
実開平5−32221号公報および実用新案登録第3094720号公報に開示された乳母車は、背面押しの状態で固定された押棒を備える形式のものであり、これらの公報に開示された乳母車用カバーは、この種の固定式押棒を備えた乳母車に適用可能なものである。
【0004】
特開平1−106772号公報(特許文献3)は、回動式押棒を備えた乳母車を開示している。具体的には、その下端部が車体に回動可能に連結された押棒は、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能となっている。
【特許文献1】実開平5−32221号公報
【特許文献2】実用新案登録第3094720号公報
【特許文献3】特開平1−106772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実開平5−32221号公報や、実用新案登録第3094720号公報に開示された乳母車用カバーは、背面押しの状態で固定された押棒を備える形式の乳母車に適用可能なものである。そのため、この乳母車用カバーを、特開平1−106772号公報に開示されたような回動式押棒を備えた乳母車に適用しようとする場合には、押棒を背面押しの状態にして使用しなければならない。言い換えれば、押棒を対面押しの状態にした場合には、乳母車用カバーを適正に使用することができない。
【0006】
この発明の目的は、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒を備えた乳母車に適した乳母車用カバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従った乳母車用カバーは、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒を備える乳母車に適用されるものである。押棒は、その下端部が車体に回動可能に連結される。乳母車用カバーは、前後方向に延在する中央カバー部分と、この中央カバー部分の両側縁に接続された左右の側面カバー部分とを有する。各側面カバー部分には、押棒を通過させ、この押棒の回動運動を許容するスリットが設けられている。
【0008】
上記構成の乳母車用カバーによれば、押棒がスリット内を移動し得るので、乳母車用カバーを乳母車車体上に取付けた状態のままで、押棒を背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能である。
【0009】
好ましくは、スリットには、任意の部位を開閉可能とする開閉手段が設けられている。このような構成であれば、押棒の位置する部分を除く他のスリット部分を閉鎖することができるので、すきま風等がカバー内に入り込むのを防止できる。
【0010】
一つの実施形態では、乳母車用カバーのスリットの一方端は、各側面カバー部分の下端縁にまで延びている。また、他の実施形態では、スリットには、各側面カバー部分の下端縁から上方に延びた縦スリットが連絡している。このようにすれば、押棒を容易にスリット内に位置させることができる。
【0011】
開閉手段の構造としては種々のものが考えられるが、一つの実施形態では、開閉手段は、スリットに沿って設けられたスライドファスナを含む。スライドファスナは、例えば、スリットに沿って設けられたスライドレールと、このスライドレールに沿って移動可能な2個のスライダとを含む。他の例の開閉手段は、スリットに沿って配置された複数の止めボタンを含む。
【0012】
一つの実施形態では、乳母車用カバーは、中央カバー部分に形成された窓と、この窓の縁部に設けられた縁部連結部材とをさらに備える。縁部連結部材は、窓を折り曲げた状態にして、窓の一方の縁部と他方の縁部とを連結して窓を袋状の形態にするものである。より具体的には、縁部連結部材は、窓の一方の縁部に沿って設けられた第1縁部スライドレールと、窓の他方の縁部に沿って設けられた第2縁部スライドレールと、第1縁部スライドレールと第2縁部スライドレールとに沿って移動し、両者を係合させる縁部スライダとを含む。このような構成であれば、乳母車用カバーを使用しないときに、袋状の形態にした窓部材内に折畳んで収納しておくことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、この発明に従った乳母車用カバーは、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒を備えた乳母車に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜図7は、この発明の一実施形態に係る乳母車用カバーを示している。乳母車用カバー10は、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒1を備える乳母車に使用されるものである。押棒1は、その下端部が乳母車車体に回動可能に連結されている。図2および図4においては、押棒1が背面押しの状態になっている。図3では、対面押しの状態にある押棒1を実線で示し、背面押しの状態にある押棒1を2点鎖線で示している。
【0015】
乳母車用カバー10は、乳母車の全体を覆う形状をしており、前後方向に延在する中央カバー部分11と、この中央カバー部分11の両側縁に接続された左右の側面カバー部分12とを有する。中央カバー部分11は、座席の前方に位置する前面部分11aと、上方に位置する上面部分11bと、後方に位置する後面部分11cとを有する。座席内をよく見えるようにするために、乳母車用カバー10の全体を透明なシートで形成するようにしてもよい。
【0016】
図示した実施形態では、座席内を適度な明るさに保つために乳母車用カバー10を着色シートで形成し、中央カバー部分11の全面部分11aに透明シートからなる窓21を設けている。
【0017】
中央カバー部分11と各側面カバー部分12とは、その境界線全長に亘って接続されているが、前方側に位置する前方連結部13および後方側に位置する後方連結部14は、開閉可能とされている。この開閉可能な構造を実現するために、図示した実施形態では、前方連結部13および後方連結部14は、ともにスライドファスナによって構成されている。前方連結部13に位置するスライダ15を上方にスライド移動させれば、図4に示すように、中央カバー部分11の前面部分11aを上方にめくり上げることができる。子供を座席に乗せたり、座席から降ろしたりするときに、前面部分11aをめくり上げて座席の前方を開放する。後方連結部14に位置するスライダ16を上方にスライド移動させれば、中央カバー部分11の後面部分11cを上方にめくり上げることができる。
【0018】
図示するように、各側面カバー部分12には、押棒1を通過させ、この押棒1の回動運動を許容するスリット17が設けられている。スリット17の前方端は側面カバー部分12内の位置にあるが、後方端は側面カバー部分12の下方端縁にまで延びている。
【0019】
スリット17には、任意の部位を開閉可能とする開閉手段が設けられている。
【0020】
図示した実施形態では、スリット17は、スライドファスナによって構成されている。具体的には、スライドファスナは、スリットに沿って設けられたスライドレール18と、スライドレール18に沿って移動可能な2個のスライダ19、20とを含む。前方に位置するスライダ19を前方に移動させればスリット17が開き、後方に移動させればスリット17が閉じる。後方に位置するスライダ20を前方に移動させればスリット17が閉じ、後方または下方に移動させればスリット17は開く。スリット17の後方端が側面カバー部分12の下方端縁にまで延びているので、側面カバー部分12の下方領域を前後に分離することができる。従って、押棒1の縦棒部分を容易にスリット17内に位置させることができる。
【0021】
図2および図3に示すように、2個のスライダ19、20を動かすことにより、スリット17の任意の部位のみを開くようにすることができる。具体的には、押棒1の縦棒部分を通過させる所だけを開き、残りの部分を閉鎖することにより、すきま風等がカバー10内に入り込むのを阻止できる。
【0022】
図5は、中央カバー部分11の前面部分11aに形成された窓21に関連する構造を拡大して示している。図示した実施形態に係る乳母車用カバー10は、窓21の縁部に設けられた縁部連結部材をさらに備える。縁部連結部材は、窓21を折り曲げた状態にして、窓21の一方の縁部と他方の縁部とを連結して窓21を袋状の形態にするものである。
【0023】
図示した実施形態における縁部連結部材は、窓21の一方の縁部に沿って設けられた第1縁部スライドレール22と、窓21の他方の縁部に沿って設けられた第2縁部スライドレール23と、第1縁部スライドレール22および第2縁部スライドレール23に沿って移動し、両者を係合させる縁部スライダ24とを含む。
【0024】
窓21の縁部の一方の端には連結バックルの一方部品となる差込具25が取付けられ、他方の端には連結バックルの他方部品となる受入具26が取付けられている。また、差込具25には、ループ部27が連結されている。
【0025】
乳母車用カバー10を使用しないときには、カバー10を小さく折畳んで袋状の形態にした窓21内に収納する。その状態が、図6に示されている。図6に示す状態では、スライダ24が第1および第2縁部スライドレール22、23を係合させて袋状の形態を維持している。この状態から、図7に示すように、さらに中央を折り曲げて差込具25と受入具26とを連結すれば、折畳んだ状態の乳母車用カバーの大きさはかなり小さくなるので、持ち運びに便利となる。ループ部27を乳母車の車体に連結するようにしてもよい。
【0026】
図8および図9は、この発明の他の実施形態に係る乳母車用カバー30を示している。この実施形態では、乳母車用カバー30の各側面カバー部分に、前後方向に延びるスリット31と、各側面カバー部分の下端縁から上方に延びた縦スリット32とが形成されている。縦スリット32の上方端は、スリット31に連絡している。前後方向に延びるスリット31は、図8に示すように、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒1の回動を許容するものである。また、縦スリット32は、前後方向に延びるスリット31の下に位置する側面カバー部分を前後に分離するので、押棒1の縦棒部分をスリット31内に位置させることが可能になる。
【0027】
縦スリット32を開閉可能にするために、図示した実施形態では、縦スリット32はスライドファスナによって構成される。具体的は、縦スリット32を構成するスライドファスナは、スライドレール33と、このスライドレール33に沿って移動するスライダ34とを備える。
【0028】
前後方向に延びるスリット31の任意の部位を開閉可能とするために、図示した実施形態では、柔らかい蓋部材35と、複数の止めボタン36とが設けられている。蓋部材35はスリット31を覆うことができるようになっており、いずれかの位置にある止めボタン36を止めることにより、所望の部分のスリットを開くことができる。
【0029】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明は、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒を備えた乳母車に適したカバーとして有利に利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施形態に係る乳母車用カバーを示す斜視図である。
【図2】背面押しの状態になっている乳母車にカバーを装着した状態を示す斜視図である。
【図3】対面押しの状態になっている乳母車にカバーを装着した状態を示す側面図である。
【図4】中央カバー部分の前面部分を上にめくり上げた状態を示す斜視図である。
【図5】窓に関連した構造を拡大して示す図である。
【図6】乳母車用カバーを袋状の形態にした窓部材の中に収納した状態を示す図である。
【図7】図6に示す状態から、中央部分を折り曲げてさらに小さくした状態を示す図である。
【図8】この発明の他の実施形態に係る乳母車用カバーを乳母車に装着した状態を示す斜視図である。
【図9】側面カバー部分に形成されたスリットの部分を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 押棒、10 乳母車用カバー、11 中央カバー部分、11a 前面部分、11b 上面部分、11c 後面部分、12 側面カバー部分、13 前方連結部、14 後方連結部、15,16 スライダ、17 スリット、18 スライドレール、19,20 スライダ、21 窓、22 第1縁部スライドレール、23 第2縁部スライドレール、24 縁部スライダ、25 差込具、26 受入具、27 ループ部、30 乳母車用カバー、31 スリット、32 縦スリット、33 スライドレール、34 スライダ、35 蓋部材、36 止めボタン。
【技術分野】
【0001】
この発明は、乳母車を覆うためのカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乳母車用カバーは、例えば実開平5−32221号公報(特許文献1)や実用新案登録第3094720号公報(特許文献2)に開示されている。これらの公報に開示された乳母車用カバーは、背面押しの状態で固定された押棒を備えた乳母車全体を覆う形状をしており、前後方向に延在する中央カバー部分と、この中央カバー部分の両側縁に接続された左右の側面カバー部分とを有する。乳母車用カバーには、押棒の上端部分を露出させるためのスリットまたは隙間が形成されている。
【0003】
実開平5−32221号公報および実用新案登録第3094720号公報に開示された乳母車は、背面押しの状態で固定された押棒を備える形式のものであり、これらの公報に開示された乳母車用カバーは、この種の固定式押棒を備えた乳母車に適用可能なものである。
【0004】
特開平1−106772号公報(特許文献3)は、回動式押棒を備えた乳母車を開示している。具体的には、その下端部が車体に回動可能に連結された押棒は、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能となっている。
【特許文献1】実開平5−32221号公報
【特許文献2】実用新案登録第3094720号公報
【特許文献3】特開平1−106772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実開平5−32221号公報や、実用新案登録第3094720号公報に開示された乳母車用カバーは、背面押しの状態で固定された押棒を備える形式の乳母車に適用可能なものである。そのため、この乳母車用カバーを、特開平1−106772号公報に開示されたような回動式押棒を備えた乳母車に適用しようとする場合には、押棒を背面押しの状態にして使用しなければならない。言い換えれば、押棒を対面押しの状態にした場合には、乳母車用カバーを適正に使用することができない。
【0006】
この発明の目的は、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒を備えた乳母車に適した乳母車用カバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従った乳母車用カバーは、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒を備える乳母車に適用されるものである。押棒は、その下端部が車体に回動可能に連結される。乳母車用カバーは、前後方向に延在する中央カバー部分と、この中央カバー部分の両側縁に接続された左右の側面カバー部分とを有する。各側面カバー部分には、押棒を通過させ、この押棒の回動運動を許容するスリットが設けられている。
【0008】
上記構成の乳母車用カバーによれば、押棒がスリット内を移動し得るので、乳母車用カバーを乳母車車体上に取付けた状態のままで、押棒を背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能である。
【0009】
好ましくは、スリットには、任意の部位を開閉可能とする開閉手段が設けられている。このような構成であれば、押棒の位置する部分を除く他のスリット部分を閉鎖することができるので、すきま風等がカバー内に入り込むのを防止できる。
【0010】
一つの実施形態では、乳母車用カバーのスリットの一方端は、各側面カバー部分の下端縁にまで延びている。また、他の実施形態では、スリットには、各側面カバー部分の下端縁から上方に延びた縦スリットが連絡している。このようにすれば、押棒を容易にスリット内に位置させることができる。
【0011】
開閉手段の構造としては種々のものが考えられるが、一つの実施形態では、開閉手段は、スリットに沿って設けられたスライドファスナを含む。スライドファスナは、例えば、スリットに沿って設けられたスライドレールと、このスライドレールに沿って移動可能な2個のスライダとを含む。他の例の開閉手段は、スリットに沿って配置された複数の止めボタンを含む。
【0012】
一つの実施形態では、乳母車用カバーは、中央カバー部分に形成された窓と、この窓の縁部に設けられた縁部連結部材とをさらに備える。縁部連結部材は、窓を折り曲げた状態にして、窓の一方の縁部と他方の縁部とを連結して窓を袋状の形態にするものである。より具体的には、縁部連結部材は、窓の一方の縁部に沿って設けられた第1縁部スライドレールと、窓の他方の縁部に沿って設けられた第2縁部スライドレールと、第1縁部スライドレールと第2縁部スライドレールとに沿って移動し、両者を係合させる縁部スライダとを含む。このような構成であれば、乳母車用カバーを使用しないときに、袋状の形態にした窓部材内に折畳んで収納しておくことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、この発明に従った乳母車用カバーは、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒を備えた乳母車に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜図7は、この発明の一実施形態に係る乳母車用カバーを示している。乳母車用カバー10は、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒1を備える乳母車に使用されるものである。押棒1は、その下端部が乳母車車体に回動可能に連結されている。図2および図4においては、押棒1が背面押しの状態になっている。図3では、対面押しの状態にある押棒1を実線で示し、背面押しの状態にある押棒1を2点鎖線で示している。
【0015】
乳母車用カバー10は、乳母車の全体を覆う形状をしており、前後方向に延在する中央カバー部分11と、この中央カバー部分11の両側縁に接続された左右の側面カバー部分12とを有する。中央カバー部分11は、座席の前方に位置する前面部分11aと、上方に位置する上面部分11bと、後方に位置する後面部分11cとを有する。座席内をよく見えるようにするために、乳母車用カバー10の全体を透明なシートで形成するようにしてもよい。
【0016】
図示した実施形態では、座席内を適度な明るさに保つために乳母車用カバー10を着色シートで形成し、中央カバー部分11の全面部分11aに透明シートからなる窓21を設けている。
【0017】
中央カバー部分11と各側面カバー部分12とは、その境界線全長に亘って接続されているが、前方側に位置する前方連結部13および後方側に位置する後方連結部14は、開閉可能とされている。この開閉可能な構造を実現するために、図示した実施形態では、前方連結部13および後方連結部14は、ともにスライドファスナによって構成されている。前方連結部13に位置するスライダ15を上方にスライド移動させれば、図4に示すように、中央カバー部分11の前面部分11aを上方にめくり上げることができる。子供を座席に乗せたり、座席から降ろしたりするときに、前面部分11aをめくり上げて座席の前方を開放する。後方連結部14に位置するスライダ16を上方にスライド移動させれば、中央カバー部分11の後面部分11cを上方にめくり上げることができる。
【0018】
図示するように、各側面カバー部分12には、押棒1を通過させ、この押棒1の回動運動を許容するスリット17が設けられている。スリット17の前方端は側面カバー部分12内の位置にあるが、後方端は側面カバー部分12の下方端縁にまで延びている。
【0019】
スリット17には、任意の部位を開閉可能とする開閉手段が設けられている。
【0020】
図示した実施形態では、スリット17は、スライドファスナによって構成されている。具体的には、スライドファスナは、スリットに沿って設けられたスライドレール18と、スライドレール18に沿って移動可能な2個のスライダ19、20とを含む。前方に位置するスライダ19を前方に移動させればスリット17が開き、後方に移動させればスリット17が閉じる。後方に位置するスライダ20を前方に移動させればスリット17が閉じ、後方または下方に移動させればスリット17は開く。スリット17の後方端が側面カバー部分12の下方端縁にまで延びているので、側面カバー部分12の下方領域を前後に分離することができる。従って、押棒1の縦棒部分を容易にスリット17内に位置させることができる。
【0021】
図2および図3に示すように、2個のスライダ19、20を動かすことにより、スリット17の任意の部位のみを開くようにすることができる。具体的には、押棒1の縦棒部分を通過させる所だけを開き、残りの部分を閉鎖することにより、すきま風等がカバー10内に入り込むのを阻止できる。
【0022】
図5は、中央カバー部分11の前面部分11aに形成された窓21に関連する構造を拡大して示している。図示した実施形態に係る乳母車用カバー10は、窓21の縁部に設けられた縁部連結部材をさらに備える。縁部連結部材は、窓21を折り曲げた状態にして、窓21の一方の縁部と他方の縁部とを連結して窓21を袋状の形態にするものである。
【0023】
図示した実施形態における縁部連結部材は、窓21の一方の縁部に沿って設けられた第1縁部スライドレール22と、窓21の他方の縁部に沿って設けられた第2縁部スライドレール23と、第1縁部スライドレール22および第2縁部スライドレール23に沿って移動し、両者を係合させる縁部スライダ24とを含む。
【0024】
窓21の縁部の一方の端には連結バックルの一方部品となる差込具25が取付けられ、他方の端には連結バックルの他方部品となる受入具26が取付けられている。また、差込具25には、ループ部27が連結されている。
【0025】
乳母車用カバー10を使用しないときには、カバー10を小さく折畳んで袋状の形態にした窓21内に収納する。その状態が、図6に示されている。図6に示す状態では、スライダ24が第1および第2縁部スライドレール22、23を係合させて袋状の形態を維持している。この状態から、図7に示すように、さらに中央を折り曲げて差込具25と受入具26とを連結すれば、折畳んだ状態の乳母車用カバーの大きさはかなり小さくなるので、持ち運びに便利となる。ループ部27を乳母車の車体に連結するようにしてもよい。
【0026】
図8および図9は、この発明の他の実施形態に係る乳母車用カバー30を示している。この実施形態では、乳母車用カバー30の各側面カバー部分に、前後方向に延びるスリット31と、各側面カバー部分の下端縁から上方に延びた縦スリット32とが形成されている。縦スリット32の上方端は、スリット31に連絡している。前後方向に延びるスリット31は、図8に示すように、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒1の回動を許容するものである。また、縦スリット32は、前後方向に延びるスリット31の下に位置する側面カバー部分を前後に分離するので、押棒1の縦棒部分をスリット31内に位置させることが可能になる。
【0027】
縦スリット32を開閉可能にするために、図示した実施形態では、縦スリット32はスライドファスナによって構成される。具体的は、縦スリット32を構成するスライドファスナは、スライドレール33と、このスライドレール33に沿って移動するスライダ34とを備える。
【0028】
前後方向に延びるスリット31の任意の部位を開閉可能とするために、図示した実施形態では、柔らかい蓋部材35と、複数の止めボタン36とが設けられている。蓋部材35はスリット31を覆うことができるようになっており、いずれかの位置にある止めボタン36を止めることにより、所望の部分のスリットを開くことができる。
【0029】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明は、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒を備えた乳母車に適したカバーとして有利に利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施形態に係る乳母車用カバーを示す斜視図である。
【図2】背面押しの状態になっている乳母車にカバーを装着した状態を示す斜視図である。
【図3】対面押しの状態になっている乳母車にカバーを装着した状態を示す側面図である。
【図4】中央カバー部分の前面部分を上にめくり上げた状態を示す斜視図である。
【図5】窓に関連した構造を拡大して示す図である。
【図6】乳母車用カバーを袋状の形態にした窓部材の中に収納した状態を示す図である。
【図7】図6に示す状態から、中央部分を折り曲げてさらに小さくした状態を示す図である。
【図8】この発明の他の実施形態に係る乳母車用カバーを乳母車に装着した状態を示す斜視図である。
【図9】側面カバー部分に形成されたスリットの部分を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 押棒、10 乳母車用カバー、11 中央カバー部分、11a 前面部分、11b 上面部分、11c 後面部分、12 側面カバー部分、13 前方連結部、14 後方連結部、15,16 スライダ、17 スリット、18 スライドレール、19,20 スライダ、21 窓、22 第1縁部スライドレール、23 第2縁部スライドレール、24 縁部スライダ、25 差込具、26 受入具、27 ループ部、30 乳母車用カバー、31 スリット、32 縦スリット、33 スライドレール、34 スライダ、35 蓋部材、36 止めボタン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その下端部が車体に回動可能に連結され、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒を備える乳母車用カバーであって、
前後方向に延在する中央カバー部分と、この中央カバー部分の両側縁に接続された左右の側面カバー部分とを有し、
前記各側面カバー部分には、押棒を通過させ、この押棒の回動運動を許容するスリットが設けられている、乳母車用カバー。
【請求項2】
前記スリットには、任意の部位を開閉可能とする開閉手段が設けられている、請求項1に記載の乳母車用カバー。
【請求項3】
前記スリットの一方端は、前記各側面カバー部分の下端縁にまで延びている、請求項1または2に記載の乳母車用カバー。
【請求項4】
前記スリットには、前記各側面カバー部分の下端縁から上方に延びた縦スリットが連絡している、請求項1または2に記載の乳母車用カバー。
【請求項5】
前記開閉手段は、前記スリットに沿って設けられたスライドファスナを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の乳母車用カバー。
【請求項6】
前記スライドファスナは、スリットに沿って設けられたスライドレールと、前記スライドレールに沿って移動可能な2個のスライダとを含む、請求項5に記載の乳母車用カバー。
【請求項7】
前記開閉手段は、前記スリットに沿って配置された複数の止めボタンを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の乳母車用カバー。
【請求項8】
前記中央カバー部分に形成された窓と、
前記窓の縁部に設けられた縁部連結部材とをさらに備え、
前記縁部連結部材は、前記窓を折り曲げた状態にして、窓の一方の縁部と他方の縁部とを連結して窓を袋状の形態にするものである、請求項1〜7のいずれかに記載の乳母車用カバー。
【請求項9】
前記縁部連結部材は、前記窓の一方の縁部に沿って設けられた第1縁部スライドレールと、前記窓の他方の縁部に沿って設けられた第2縁部スライドレールと、前記第1縁部スライドレールと前記第2縁部スライドレールとに沿って移動し、両者を係合させる縁部スライダとを含む、請求項8に記載の乳母車用カバー。
【請求項1】
その下端部が車体に回動可能に連結され、背面押しの状態と対面押しの状態とに切換え可能な押棒を備える乳母車用カバーであって、
前後方向に延在する中央カバー部分と、この中央カバー部分の両側縁に接続された左右の側面カバー部分とを有し、
前記各側面カバー部分には、押棒を通過させ、この押棒の回動運動を許容するスリットが設けられている、乳母車用カバー。
【請求項2】
前記スリットには、任意の部位を開閉可能とする開閉手段が設けられている、請求項1に記載の乳母車用カバー。
【請求項3】
前記スリットの一方端は、前記各側面カバー部分の下端縁にまで延びている、請求項1または2に記載の乳母車用カバー。
【請求項4】
前記スリットには、前記各側面カバー部分の下端縁から上方に延びた縦スリットが連絡している、請求項1または2に記載の乳母車用カバー。
【請求項5】
前記開閉手段は、前記スリットに沿って設けられたスライドファスナを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の乳母車用カバー。
【請求項6】
前記スライドファスナは、スリットに沿って設けられたスライドレールと、前記スライドレールに沿って移動可能な2個のスライダとを含む、請求項5に記載の乳母車用カバー。
【請求項7】
前記開閉手段は、前記スリットに沿って配置された複数の止めボタンを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の乳母車用カバー。
【請求項8】
前記中央カバー部分に形成された窓と、
前記窓の縁部に設けられた縁部連結部材とをさらに備え、
前記縁部連結部材は、前記窓を折り曲げた状態にして、窓の一方の縁部と他方の縁部とを連結して窓を袋状の形態にするものである、請求項1〜7のいずれかに記載の乳母車用カバー。
【請求項9】
前記縁部連結部材は、前記窓の一方の縁部に沿って設けられた第1縁部スライドレールと、前記窓の他方の縁部に沿って設けられた第2縁部スライドレールと、前記第1縁部スライドレールと前記第2縁部スライドレールとに沿って移動し、両者を係合させる縁部スライダとを含む、請求項8に記載の乳母車用カバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2006−224711(P2006−224711A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37735(P2005−37735)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】
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