乳量計
【課題】 乳の液面、更には乳量を正確に検出するとともに、乳量計における多機能性及び発展性を高める。
【解決手段】 送乳ラインLmの中途に接続し、流入口2iから流入する乳Mを貯留可能な計量容器部2と、この計量容器部2の内部に貯留される乳Mの液面Muを検出する液面検出部3と、計量容器部2の流出口2eを開閉可能な弁機構部4と、少なくとも液面検出部3が液面Muを検出したなら弁機構部4を開閉制御する制御系5を備える乳量計1を構成するに際して、液面検出部(第一検出部)3よりも下方の位置に、計量容器部2の内部に貯留される乳Mの少なくとも電気伝導度を検出可能な電極6p,6qを用いた第二検出部6を配設する。
【解決手段】 送乳ラインLmの中途に接続し、流入口2iから流入する乳Mを貯留可能な計量容器部2と、この計量容器部2の内部に貯留される乳Mの液面Muを検出する液面検出部3と、計量容器部2の流出口2eを開閉可能な弁機構部4と、少なくとも液面検出部3が液面Muを検出したなら弁機構部4を開閉制御する制御系5を備える乳量計1を構成するに際して、液面検出部(第一検出部)3よりも下方の位置に、計量容器部2の内部に貯留される乳Mの少なくとも電気伝導度を検出可能な電極6p,6qを用いた第二検出部6を配設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搾乳機により搾乳した乳を送る送乳ラインの中途などに接続して乳量を測定する乳量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搾乳機により搾乳した乳を送る送乳ラインの中途などに接続して乳量を測定する乳量計は、特許文献1で開示される乳量計が知られている。
【0003】
同文献1で開示される乳量計は、乳量測定の誤差要因となる泡の発生や液面の波立ちを低減し、泡や波の影響を可及的に回避して乳量測定精度を高めることを目的としたものであり、送乳ラインの中途に接続し、流入する乳を一時的に貯留可能な計量容器部の内部に配し、かつ貯留される乳の低位置の液面を検知する低位置電極部及び高位置の液面を検知する高位置電極部を有する液面検知部と、計量容器部の下部に設けた流出口を開閉可能な弁機構部と、弁機構部を制御する制御系を備える乳量計であって、円筒状の周面部を有する計量容器部における縦方向中間部に括れ部を形成することにより、括れ部よりも下側に、当該括れ部から内壁面に沿って流れ落ちる乳を放射方向に拡散させる容器下部を備えるとともに、容器下部に有する底面部から低位置電極部及び高位置電極部を起設した構成を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−38737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1で開示される従来の乳量計は、次のような解決すべき課題が存在した。
【0006】
第一に、この種の乳量計は、乳を計量容器部内に一時的に貯留し、一定量の乳を順次送り出す測定方式のため、貯留される乳の液面を正確に検出することが要求される。したがって、液面の有無を判定するための乳の電気伝導度(又は電気抵抗)を検出する電極を用いた検出部を備えているが、液面は、通常、泡を多く含むとともに、波打等による液面変動が発生するなど、必ずしも検出部にとって良好な検出環境にあると言えるものではなく、乳の電気伝導度を正確に検出し、液面の有無を的確に判定する観点からは更なる改善の余地があった。
【0007】
第二に、乳の電気伝導度を正確に検出(測定)することは、液面の有無を検出するのみならず、乳の特性及び品質等の情報を得る観点からも重要となるが、検出部は、上述のように、液面の有無の検出が主な目的となるため、乳の特性及び品質等に係わる情報を得る観点からも必ずしも望ましい測定環境にあるとは言えず、乳に係わる各種情報を正確に取得し、多機能性及び発展性を高める観点からも更なる改善の余地があった。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した乳量計の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するため、送乳ラインLmの中途に接続し、流入口2iから流入する乳Mを貯留可能な計量容器部2と、この計量容器部2の内部に貯留される乳Mの液面Muを検出する液面検出部3と、計量容器部2の流出口2eを開閉可能な弁機構部4と、少なくとも液面検出部3が液面Muを検出したなら弁機構部4を開閉制御する制御系5を備える乳量計1を構成するに際して、液面検出部(第一検出部)3よりも下方の位置に、計量容器部2の内部に貯留される乳Mの少なくとも電気伝導度を検出可能な電極6p,6qを用いた第二検出部6を配設してなることを特徴とする。
【0010】
この場合、発明の好適な態様により、計量容器部2は、円筒状に形成し、上部に流入口2iを設け、縦方向中間部に中間口2mを設け、下部に流出口2eを設けることにより、中間口2mよりも上側を気液分離室Rsに構成し、かつ中間口2mと流出口2e間を計量室Rmに構成するとともに、中間口2mを開閉可能な第一バルブ4u及び流出口2eを開閉可能な第二バルブ4dを有する弁機構部4と、気液分離室Rs内の乳Mの液面Muを検出可能な第一検出部3と、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な第二検出部6とを設けて構成できる。一方、第一検出部3と第二検出部6は、計量容器部2の一部を構成し、かつ当該計量容器部2に対して取付可能となる台座部11に一体に設けた検出ユニット12として構成できるとともに、必要により、台座部11には、乳Mの温度を検出する乳温センサを含む第三検出部9を一体に設けることができる。また、第一検出部3は、計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させ、又は計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、気液分離室Rs内の乳Mの液面Muを検出可能な電極3p,3qにより構成できるとともに、第二検出部6も、計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させ、又は計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な電極6p,6qにより構成できる。さらに、気液分離室Rsには、内壁面下部から内方に突出し、流入口2iから流入した乳Mの流れを規制する少なくとも一つ以上の乳流規制部13…を設けることができるとともに、第一バルブ4uの下面及び/又は第二バルブ4dの上面は、第一バルブ4uと第二バルブ4d間における泡Mbの滞留を防止可能な少なくとも傾斜面4us,4dsを形成できる。なお、流出口2eの内径Deは、中間口2mの内径Dmよりも大きく選定できる。他方、制御系5には、第二検出部6から検出する乳Mの電気伝導度により、少なくとも乳Mの特性を含む乳Mの情報を得る処理機能を設けることができるとともに、第二検出部6から検出する乳Mの電気伝導度により、少なくとも乳Mの有無を検出する検出機能を設けることができる。
【発明の効果】
【0011】
このような構成を有する本発明に係る乳量計1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0012】
(1) 第一検出部3よりも下方の位置に、計量容器部2の内部に貯留される乳Mの少なくとも電気伝導度を検出可能な電極6p,6qを用いた第二検出部6を配設してなるため、乳Mが計量容器部2に貯留される際には、最初に第二検出部6が乳Mに浸かり、この後、時間を経過して第一検出部3が浸かることになる。したがって、第二検出部6は、第一検出部3よりも深い位置における、泡Mbや波の影響を受けない電気伝導度を時間的な余裕を持って検出可能となり、乳Mに対する正確な電気伝導度、更には乳Mの特性及び異常乳等の品質等に係わる正確な情報を取得できる観点から最適となる。
【0013】
(2) 第二検出部6は、第一検出部3に対して、深い位置における乳Mの電気伝導度を時間的な余裕をもって検出できるため、乳Mの正確な電気伝導度を確実に検出できる。したがって、第二検出部6により検出される正確な電気伝導度により、第一検出部3において液面Muを検出する際の閾値(Sr)を牛体単位で補正し、第一検出部3により液面Muを検出する際の最適化を図れるなど、乳Mの液面Mu、更には乳量を正確に検出できるとともに、第二検出部6の検出と第一検出部3の検出の時間差から得られる乳流速度に基づく搾乳終了時期の予測等にも利用できるなど、乳量計1の多機能性及び発展性を高めることができる。
【0014】
(3) 好適な態様により、計量容器部2を円筒状に形成し、上部に流入口2iを設け、縦方向中間部に中間口2mを設け、下部に流出口2eを設けることにより、中間口2mよりも上側を気液分離室Rsに構成し、かつ中間口2mと流出口2e間を計量室Rmに構成するとともに、中間口2mを開閉可能な第一バルブ4u及び流出口2eを開閉可能な第二バルブ4dを有する弁機構部4と、気液分離室Rs内の乳Mの液面Muを検出可能な第一検出部3と、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な第二検出部6とを設けて構成すれば、計量時間の短縮による計量の効率化に寄与できるとともに、計量室Rmと気液混合緩衝室Rdを連携させた最適な態様により実施可能となる。したがって、計量室Rm及び気液混合緩衝室Rdの有する機能の有効性及び確実性をより高めることができるとともに、第一検出部3及び第二検出部6を用いた際の最適な実施形態を実現できる。
【0015】
(4) 好適な態様により、第一検出部3と第二検出部6を、計量容器部2の一部を構成し、かつ当該計量容器部2に対して取付可能となる台座部11に一体に設けた検出ユニット12として構成すれば、小さい部品の組合わせを用いる第一検出部3及び第二検出部6であっても、予め別体のユニットとして構成できるため、取付性の容易化を図ることができるとともに、計量容器部2に対して台座部11を着脱可能(交換可能)に構成できるため、洗浄やメンテナンス(新品との交換等)の容易化を図ることができる。
【0016】
(5) 好適な態様により、台座部11に、乳Mの温度を検出する乳温センサを含む第三検出部9を一体に設ければ、乳量計1の付加価値及び多機能性をより高めることができるとともに、必要となる他のセンサ類も台座部11の変更等により容易かつ低コストに追加することができる。
【0017】
(6) 好適な態様により、第一検出部3を、計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させ、又は計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、気液分離室Rs内の乳Mの液面Muを検出可能な電極3p,3qにより構成すれば、計量容器部2の形状や形態等に応じて第一検出部3の配設位置を選択できるため、設計自由度を高めることができるとともに、特に、第一検出部3を計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させれば、計量容器部2の軸方向から挿入するブラシ等により各電極3p,3qを洗浄する際における洗浄性及び洗浄容易性を高めることができる。
【0018】
(7) 好適な態様により、第二検出部6を、計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させ、又は計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な電極6p,6qにより構成すれば、上述した第一検出部3の場合と同様に、第二検出部6を配設する際における設計自由度を高めることができるとともに、ブラシ等により各電極6p,6qを洗浄する際における洗浄性及び洗浄容易性を高めることができる。
【0019】
(8) 好適な態様により、気液分離室Rsに、内壁面下部から内方に突出し、流入口2iから流入した乳Mの流れを規制する少なくとも一つ以上の乳流規制部13…を設ければ、流入口2iから流入した乳Mが内壁面を螺旋状に流れ落ちる際にも無用に時間が長くなることはなく、乳Mを適切なタイミングにより計量室Rmに供給することができ、円滑かつ安定した乳量測定を行うことができる。
【0020】
(9) 好適な態様により、第一バルブ4uの下面及び/又は第二バルブ4dの上面に、第一バルブ4uと第二バルブ4d間における泡Mbの滞留を防止可能な少なくとも傾斜面4us,4dsを形成すれば、第一バルブ4uと第二バルブ4d間に存在する泡Mbは、浮力により傾斜面に沿って移動し、第一バルブ4uと第二バルブ4d間から容易に外に抜け出ることが可能になる。この結果、泡Mbが第一バルブ4uと第二バルブ4d間に滞留する不具合を解消でき、正確な乳量測定を行うことができる。
【0021】
(10) 好適な態様により、流出口2eの内径Deを、中間口2mの内径Dmよりも大きく選定すれば、計量室Rmに貯留された乳Mを流出口2eから速やかに排出できるため、円滑な乳量測定に寄与できる。
【0022】
(11) 好適な態様により、制御系5に、第二検出部6から得る乳Mの電気伝導度により、少なくとも乳Mの有無を検出する検出機能を設ければ、搾乳終了時に残留する乳Mの有無を検出することにより乳量値を補正し、より正確な乳量測定を実現できるとともに、洗浄終了時には残留水の有無を検出し、残留水が有る場合には排水処理を行うことにより常に良好な衛生状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の好適実施形態に係る乳量計の側面断面図、
【図2】図1中X−X線断面図、
【図3】図1中Y−Y線断面図、
【図4】同乳量計の外観背面図を含む制御系のブロック系統図、
【図5】同乳量計の弁機構部と第二検出部を斜め下方から見た構成図、
【図6】同乳量計の使用説明図、
【図7】同乳量計の動作説明用のフローチャート、
【図8】同乳量計の動作説明用の模式図、
【図9】同乳量計の変更例に係る第一検出部と第二検出部の構成図、
【図10】同乳量計の他の変更例に係る弁機構部の側面断面図、
【図11】本発明の変更実施形態に係る乳量計の側面断面図、
【図12】同乳量計における検出ユニットの外観斜視図、
【図13】同乳量計における検出ユニットの取付構造の抽出拡大断面図、
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0025】
まず、本実施形態に係る乳量計1の構成について、図1〜図6を参照して具体的に説明する。
【0026】
図1及び図4には、乳量計1における乳量計本体1mを示す。2は計量容器部であり、透明又は半透明のプラスチック或いはガラス等の素材より全体を円筒状に形成するとともに、周面部における縦方向中間部の所定位置には、上下二つの括れ部2su,2sdを設け、上側の括れ部2suにより中間口2mを形成するとともに、下側の括れ部2sdにより流出口2eを形成する。これにより、中間口2mよりも上側を気液分離室Rs、中間口2mと流出口2e間を計量室Rm、流出口2eよりも下側を気液混合緩衝室Rd、としてそれぞれ構成する。この際、流出口2eの内径Deは、中間口2mの内径Dmよりも、例えば、5〔mm〕前後大きく選定する。このような内径条件により形成すれば、計量室Rmに貯留された乳Mを流出口2eから速やかに排出できるため、円滑な乳量測定に寄与できる。
【0027】
なお、計量室Rmの容積は、例えば、200〔mL〕程度に選定できるとともに、気液混合緩衝室Rdの容積は、流出口2eから流出した少なくとも一回分の乳量を貯留可能な容積、例えば、計量室Rmの容積の1.5〜2倍(300〜400〔mL〕)程度に選定できる。また、計量容器部2は、複数(例示は四つ)の分割体を組合わせた構造に構成すれば、括れ部2su,2sdを設けた場合であっても、計量容器部2の製造容易化及びメンテナンス(洗浄,交換等)容易化を図ることができる。
【0028】
一方、気液分離室Rsの周面上端付近には、外面から接線方向に突出し、上流側のミルクチューブ66を接続可能な流入口2iを設ける。これにより、流入口2iから気液分離室Rsの内部に流入した乳Mは、気液分離室Rsにおける周面部の内壁面に沿って螺旋状に流れるため、乳Mが気液分離室Rsの内壁面を流れ落ちる際には、流速が小さくなり、乳量測定の誤差要因となる泡Mbの発生や液面Muの波打が大きく低減されるとともに、結果的に乳量計1の小型コンパクト化にも寄与できる。また、気液分離室Rsの下面部Rsdは周面部側が上になる傾斜面に形成する。さらに、気液分離室Rsには、内壁面下部から内方に突出し、流入口2iから流入した乳Mの流れを規制する機能を有する少なくとも一つ以上のプレート状の乳流規制部13…を設ける。例示は、三つの乳流規制部13…を周方向へ等間隔に設けている。このような乳流規制部13…を設ければ、流入口2iから流入した乳Mが内壁面を螺旋状に流れ落ちる際にも無用に時間が長くなることはなく、乳Mを適切なタイミングにより計量室Rmに供給することができ、円滑かつ安定した乳量測定を行うことができる。
【0029】
他方、計量室Rmは、上面部Rmuを周面部側が下になる傾斜面に形成するとともに、下面部Rmdを周面部側が上になる傾斜面に形成する。これにより、計量室Rmの内部は上下がテーパ面に囲まれる形状となるため、計量室Rmに乳Mが貯留される際に計量容器部2(乳量計本体1m)が傾斜した状態であっても空気Aの層が発生することがないとともに、計量室Rmから乳Mが排出される際に計量容器部2(乳量計本体1m)が傾斜した状態であっても乳Mの残留がなくなる。したがって、この傾斜面の傾斜角度は、実際の使用環境に対応して任意に選定することができる。通常、乳量計1(乳量計本体1m)の使用環境における傾斜角度は、大きくても15〔゜〕程度となるため、水平面に対する当該傾斜面の角度は、30〔゜〕程度に選定すれば、実用上は十分となる。
【0030】
このように、上面部Rmuを周面部側が下になる傾斜面に形成し、かつ下面部Rmdを周面部側が上になる傾斜面に形成した計量室Rmを設ければ、実際の使用環境(設置環境)において、乳量計1が傾斜する場合であっても傾斜により発生する測定誤差を排除でき、精度の高い乳量測定を行うことができる。また、ステーにフックを介して吊下げることにより搾乳中に大きく揺れることも多いティートカップ自動離脱装置などにも付設可能になるなど、使用環境(設置環境)の範囲(用途)を飛躍的に拡大させることができ、汎用性及び利便性を高めることができる。しかも、ミルクチューブ等の配管の引き回しを少なくできるとともに、可搬式(移動式)として使用することもできる。
【0031】
さらに、計量容器部2(気液分離室Rs及び計量室Rm)の内部には弁機構部4を配設する。弁機構部4は、流出口2e及び中間口2mに挿通し、かつ上端口を気液分離室Rsの上端に臨ませ、かつ下端口を気液混合緩衝室Rdに臨ませることにより気液分離室Rsと気液混合緩衝室Rdを連通させるパイプシャフト15と、このパイプシャフト15の上端を支持し、かつ当該パイプシャフト15を昇降させる弁駆動部16と、計量室Rm内に位置するパイプシャフト15の外周面上側に設けた第一バルブ4u及び外周面下側に設けた第二バルブ4dを備える。この場合、パイプシャフト15の外周面には糸車状の固定部材17を装着するとともに、この固定部材17の上端面及び下端面にそれぞれゴム等の弾性板を貼着することにより、上側を第一バルブ4uとして構成し、下側を第二バルブ4dとして構成する。これにより、第一バルブ4uは計量室Rmと気液分離室Rs間の中間口2mを開閉可能となり、第二バルブ4dは計量室Rmと気液混合緩衝室Rd間の流出口2eを開閉可能となる。このような弁機構部4を設ければ、パイプシャフト15をバルブ駆動用シャフトと空気抜き用パイプの双方に兼用できるとともに、第一バルブ4uと第二バルブ4dの双方に対するバルブ駆動用シャフトにも兼用できるため、構成の簡略化,低コスト化及び小型化に寄与できる。
【0032】
また、固定部材17の上部(第一バルブ4u)の下面及び固定部材17の下部(第二バルブ4d)の上面には、第一バルブ4uと第二バルブ4d間における泡Mbの滞留を防止可能な少なくとも傾斜面4us,4dsを形成する。例示する上側の傾斜面4usは、周面部側が上になり、下側の傾斜面4dsは、周面部側が下になるように、テーパ状に形成する。このような傾斜面4us,4dsを設ければ、第一バルブ4uと第二バルブ4d間に存在する泡Mbは、浮力により傾斜面に沿って移動し、第一バルブ4uと第二バルブ4d間から容易に外に抜け出ることが可能になる。この結果、泡Mbが第一バルブ4uと第二バルブ4d間に滞留する不具合を解消でき、正確な乳量測定を行うことができる。
【0033】
さらに、弁駆動部16は、パイプシャフト15の上端を支持部材25を介して支持し、かつ気液分離室Rsを閉塞、即ち、計量容器部2の上面部2uに設けた円形の開口部2uhを閉塞して気液分離室Rsの上面部Rsuを形成するダイヤフラム部26と、気液分離室Rsに対して反対側でダイヤフラム部26に臨ませた切換室部Rcを備える。この切換室部Rcは、後述する制御系5(図4)の制御により真空圧又は大気圧に切換えられる。なお、27は切換室部Rcから突出する接続口を示す。さらに、ダイヤフラム部26は、上下に離間した第一ダイヤフラム26uと第二ダイヤフラム26dにより構成し、安定した昇降変位を実現させているとともに、支持部材25は、パイプシャフト15の上端口を閉塞しない形態で形成することにより、第二ダイヤフラム26dの中央下面に結合する。このような弁駆動部16を設ければ、搾乳機64(図6)に使用される真空圧(真空ライン)を利用できるため、構成の簡略化による低コスト化及び小型化に寄与できる。
【0034】
他方、気液混合緩衝室Rdは、上面部Rduを周面部側が下になる傾斜面に形成するとともに、底面部Rddを周面部側が上になる傾斜面に形成し、基本的な形態は計量室Rmと同じになる。したがって、気液混合緩衝室Rdの内部は上下がテーパ面に囲まれる形状となり、気液混合緩衝室Rdから乳Mが送り出される際には計量容器部2(乳量計本体1m)が傾斜した状態であっても乳Mが残留することがなくなる。さらに、気液混合緩衝室Rdの底面中央には、下方に突出し、下流側のミルクチューブ67を接続可能な排出口2tを設ける。
【0035】
また、気液混合緩衝室Rdには、所定流量(第一流量)Qf以下の流量により乳Mを流出させ、かつ計量容器部2の内部の空気Aに混合して送り出す送出口(第一送出口)7fを有する乳送出口部7を設ける。より望ましくは、乳送出口部7に、気液混合緩衝室Rdに貯留された乳量が所定量以下のときに第一流量Qf以下の流量により乳Mを流出させる第一送出口7f及び貯留された乳量が所定量を越えたときにQr以上の流量により乳Mを流出させる第二送出口7sを設け、Qf<Qrの条件を満たすように設定する。計量容器部2の下面部2dは、気液混合緩衝室Rdの底面部Rddとなるため、乳送出口部7は、この底面部Rddの中央から起立する円筒形の緩衝筒8により設ける。この緩衝筒8は上端口が内部に臨むとともに、下端口は排出口2tに連通する。
【0036】
これにより、図1に示すように、緩衝筒8の上端口を、乳送出口部7の第二送出口7sとして機能させることができるとともに、緩衝筒8の周面部に形成した一又は二以上のスリット部8s…、即ち、軸方向に沿った複数のスリット部8s…を形成することにより、乳送出口部7の第一送出口7fとして機能させる。したがって、第一送出口7fは、貯留された乳Mの液面Muが緩衝筒8の上端口の高さ以下の乳Mが流出、即ち、貯留された乳量が所定量以下のときに第一流量Qf以下の流量により乳Mが流出する。この際、第一流量Qf以下の流量は、スリット部8sの開口面積により設定可能であり、スリット部8sの幅は、流出口2eから流入する任意の流入時における乳Mの全量が次の流入時までに少なくとも全て流出させることができる開口面積を設定する。また、第二送出口7sは、貯留された乳Mの液面Muが緩衝筒8の上端口の高さを越えた乳Mが流出、即ち、貯留された乳量が所定量を越えたときにQr以上の流量により乳Mが流出する。この際、Qr以上の流量は、緩衝筒8における円形の上端口の開口面積により設定可能である。
【0037】
このように、乳送出口部7に、気液混合緩衝室Rdに貯留された乳量が所定量以下のときに第一流量Qf以下の流量により乳Mを流出させる第一送出口7f及び貯留された乳量が所定量を越えたときに第二流量Qr以上の流量により乳Mを流出させる第二送出口7rを設ければ、気液混合緩衝室Rdに乳Mが残留しているなどにより、気液混合緩衝室Rdに流入した乳Mの液面Muが、いわば限界レベルを超えた場合であっても、第二送出口7sにより一時的なオーバーフローを速やかに解消できる。また、気液混合緩衝室Rdに、底面部Rddから起立する緩衝筒8を設け、この緩衝筒8の上端口を第二送出口7sとし、かつ緩衝筒8の周面部に第一送出口7fを形成すれば、気液混合緩衝室Rd内に緩衝筒8を追加的に設ければ足りるため、容易かつ低コストに実施できる利点がある。
【0038】
一方、気液混合緩衝室Rdの内部に臨ませたパイプシャフト15の下端口は、緩衝筒8の上端口の真上に位置させるとともに、このパイプシャフト15の下端には傘形カバー15cを設ける。傘形カバー15cは、下方が広がるテーパ状に形成する。このような構成により、緩衝筒8の上端口の上方が傘形カバー15cにより覆われるため、流出口2eから流出した乳Mが乳送出口部7に直接入る不具合を回避でき、流出口2eから流出した全ての乳Mを気液混合緩衝室Rdに一旦貯留し、乳送出口部7から少しずつ流出させる機能を確実に実行できる。また、計量容器部2には、計量室Rmの上面部Rmuから上方に起立し、上端口28uを気液分離室Rsの上端に臨ませることにより計量室Rmと気液分離室Rsを連通させる給気筒部28を設ける。このような給気筒部28を設けることにより、計量室Rmの乳Mを流出口2eからスムースかつ迅速に流出させることができる。
【0039】
他方、計量容器部2には、給気筒部28の内部に臨ませた液面検出部を構成する第一検出部3を付設する。第一検出部3は、図4に示すように、ピン部材により形成した上下一対の電極3p,3qを備え、上側の電極3pは気液分離室Rsの下端付近に配するとともに、下側の電極3qは計量室Rmの上端付近に配する。即ち、この場合、各電極3p,3qは計量容器部2の周面部2wに取付け、この周面部2wから内部内方(略水平方向)に突出させる。これにより、第一検出部3は、電極3pと3q間における乳Mの電気抵抗により乳Mの液面Muを検出することができる。
【0040】
また、第一検出部3よりも下方の位置における計量容器部2には第二検出部6を付設する。第二検出部6は、図4に示すように、計量室Rmの上下方向中間位置(中央付近)に配し、ピン部材により形成した左右一対の電極6p,6qを備える。即ち、この場合、各電極6p,6qも計量容器部2の周面部2wに取付け、この周面部2wから内部内方(斜め下方向)に突出させる。これにより、第二検出部6は、計量容器部2(計量室Rm)の内部に貯留される乳Mの少なくとも電気伝導度を検出することができる。なお、各電極3p,3q,6p及び6qは、それぞれ全体が露出した電極として構成しても検出可能であるが、検出精度を高めるには、後述する図11に示すように、先端部のみを露出させ、他の部位を絶縁素材により被覆することが望ましい。
【0041】
このように、計量容器部2を円筒状に形成し、上部に流入口2iを設け、縦方向中間部に中間口2mを設け、下部に流出口2eを設けることにより、中間口2mよりも上側を気液分離室Rsに構成し、かつ中間口2mと流出口2e間を計量室Rmに構成するとともに、中間口2mを開閉可能な第一バルブ4u及び流出口2eを開閉可能な第二バルブ4dを有する弁機構部4と、気液分離室Rs内の液面Muを検出可能な第一検出部3と、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な第二検出部6とを設けて構成すれば、計量時間の短縮による計量の効率化に寄与できるとともに、計量室Rmと気液混合緩衝室Rdを連携させた最適な態様により実施可能となる。したがって、計量室Rm及び気液混合緩衝室Rdの有する機能の有効性及び確実性をより高めることができるとともに、第一検出部3及び第二検出部6を用いた際の最適な実施形態を実現できる。
【0042】
他方、図4は、乳量計本体1mに接続する制御系5を示す。制御系5は、各種制御処理及び演算処理等を行うコンピューティング機能を有するシステムコントローラ31を備える。したがって、システムコントローラ31に内蔵するプログラムメモリ31pには、乳量測定に係わる一連のシーケンス制御を実行するための制御プログラムを格納するとともに、データメモリ31dには、後述する設定時間Ts等を含む各種設定データが設定される。また、システムコントローラ31の入力ポートには第一検出処理部32及び第二検出処理部33の出力部を接続するとともに、システムコントローラ31の制御出力ポートには電磁三方弁34を接続する。さらに、第一検出処理部32の入力部には、所定の接続ケーブル35により第一検出部3の各電極3p,3qを接続する。第一検出処理部32は、電極3pと3q間に所定の電圧を付与し、電極3pと3q間の電気抵抗(電気伝導度)を検出する。同様に、第二検出処理部33の入力部には、所定の接続ケーブル36により第二検出部6の各電極6p,6qを接続する。第二検出処理部33は、電極6pと6qに所定の電圧を付与し、電極6pと6q間の電気抵抗(電気伝導度)を検出する。なお、37は各種データ等を表示可能な表示部を示す。
【0043】
これにより、制御系5は、少なくとも上述した液面検出部3の電極3p,3qにより液面Muを検出したなら、弁機構部4の第一バルブ4uを閉位置、かつ第二バルブ4dを開位置に切換制御するとともに、所定の復帰条件に従って第一バルブ4uを開位置、かつ第二バルブ4dを閉位置に切換制御する機能を備える。なお、切換室部Rcから突出する接続口27は、真空チューブ38を介して電磁三方弁33のコモンポート33oに接続するとともに、電磁三方弁33の一方の分岐ポート33aは真空チューブ(真空ポンプ)39に接続し、さらに、電磁三方弁33の他方の分岐ポート33bは大気に開放する。したがって、電磁三方弁33を切換制御すれば、上述した切換室部Rcを真空状態又は大気状態に切換えることができる。
【0044】
この場合、第一バルブ4uを閉位置、かつ第二バルブ4dを開位置に切換制御した後、第一バルブ4uを開位置、かつ第二バルブ4dを閉位置に切換制御する所定の復帰条件には、予め設定した設定時間Tsが経過すること,又は流出口2eからの乳Mの排出終了を検出すること,を用いることができる。本実施形態では、予め設定した設定時間Tsが経過することを復帰条件として設定した。このように、所定の復帰条件として、予め設定した設定時間Tsが経過することにより、第一バルブ4uを開位置、かつ第二バルブ4dを閉位置に切換制御を方式を採用すれば、部品点数の削減により、制御の容易化及び低コスト化を図ることができる。他方、所定の復帰条件として、流出口2eからの乳Mの排出終了を検出することにより、第一バルブ4uを開位置、かつ第二バルブ4dを閉位置に切換制御することもでき、この場合、例えば、流出口2eに前述した電極3p…からなる液面検出部3と同様の検出電極部を付設すればよい。所定の復帰条件として、流出口2eからの乳Mの排出終了を検出することにより、第一バルブ4uを開位置、かつ第二バルブ4dを閉位置に切換制御する方式を用いれば、速やかに復帰できるため、計量時間が短くなり効率的な計量を行うことができる。
【0045】
ところで、本実施形態では、第二検出部6を備えるため、この第二検出部6を流出口2eからの乳Mの排出終了の検出に利用できる。この場合、第二検出部6は、流出口2eに付設するものではないため、排出終了を直接検出することはできないが、少なくとも第一検出部3よりも下方に位置するため、第一検出部3の検出を利用するよりも、設定時間Tsを短く設定できる。したがって、設定時間Tsに含ませる余裕時間も短くすることができ、より的確な設定時間Tsを設定できる。
【0046】
また、制御系5には、第二検出部6から得る乳Mの電気伝導度により、少なくとも乳Mの特性を含む乳Mの情報を得る処理機能を設けることができる。これにより、乳Mの特性及び異常乳等の品質等に係わる正確な情報をデータとして得ることができる。さらに、制御系5には、第二検出部6から得る乳Mの電気伝導度により、少なくとも乳Mの有無を検出する検出機能を設けることができる。これにより、搾乳の終了時には、残留する乳Mの有無を検出することができるため、この検出結果により乳量値を補正し、より正確な乳量測定を実現できるとともに、後述する洗浄の終了時には、残留水の有無を検出し、残留水が有る場合には排水処理を行うことにより常に良好な衛生状態を維持できる。
【0047】
このように、本実施形態に係る乳量計1によれば、第一検出部3よりも下方の位置に、計量容器部2の内部に貯留される乳Mの少なくとも電気伝導度を検出可能な電極6p,6qを用いた第二検出部6を配設してなるため、乳Mが計量容器部2に貯留される際には、最初に第二検出部6が乳Mに浸かり、この後、時間を経過して第一検出部3が浸かることになる。したがって、第二検出部6は、第一検出部3よりも深い位置における、泡Mbや波の影響を受けない電気伝導度を時間的な余裕を持って検出可能となり、乳Mに対する正確な電気伝導度、更には乳Mの特性及び異常乳等の品質等に係わる正確な情報を取得できる観点から最適となる。
【0048】
しかも、第二検出部6は、第一検出部3に対して、深い位置における乳Mの電気伝導度を時間的な余裕をもって検出できることから、乳Mの正確な電気伝導度を確実に検出できる。この結果、第二検出部6により検出される正確な電気伝導度により、第一検出部3において液面Muを検出する際の閾値(Sr)を牛体単位で補正し、第一検出部3により液面Muを検出する際の最適化を図れるなど、乳Mの液面Mu、更には乳量を正確に検出できるとともに、第二検出部6の検出と第一検出部3の検出の時間差から得られる乳流速度に基づく搾乳終了時期の予測等にも利用できるなど、乳量計1の多機能性及び発展性を高めることができる。
【0049】
次に、本実施形態に係る乳量計1の使用方法及び動作(機能)について、図1〜図8を参照して説明する。
【0050】
乳量計1における乳量計本体1mは、図6に示すように、ティートカップ自動離脱装置51の背面に取付けることができる。この場合、ティートカップ自動離脱装置51は、前述した制御系5におけるコントローラ31,第一検出処理部32,第二検出処理部33及び電磁三方弁34を内蔵する。なお、ティートカップ自動離脱装置51は、装置本体51mの上面から上方に突出したフック53と、装置本体51mの下面から突出したワイヤガイドパイプ54を有し、このワイヤガイドパイプ54の下端から離脱ワイヤ55が繰り出される。この離脱ワイヤ55の先端は、四つのティートカップ61c…を有するミルククロー61に接続する。したがって、装置本体51mの内部には離脱ワイヤ55を巻取るための巻上機構を備えている。
【0051】
また、Wは、乳量計1を使用する搾乳システムの一例を示す。この搾乳システムWは、レール62に沿って移動する搬送機63を備えており、この搬送機63に搾乳機64を搭載する。そして、搬送機63に備えるアームステー65に、フック53を引掛けることによりティートカップ自動離脱装置51を吊下げる。図6は、乳牛Cに対して搾乳機64により搾乳している状態を示し、乳牛Cには四つのティートカップ61c…が装着されている。搾乳システムWでは、搾乳時に、ティートカップ61c…により搾乳された生乳(乳M)がミルククロー61からミルクチューブ66を介して乳量計本体1mの流入口2iに供給される。さらに、乳量計本体1mを通過した乳Mは排出口2tからミルクチューブ67を介してミルクパイプ68に送られる。したがって、このミルクチューブ66と67が乳量計1を接続する送乳ラインLmとなる。なお、70は真空パイプ、39は真空パイプ70側とティートカップ自動離脱装置51側を接続する真空チューブ(図4)、72はティートカップ自動離脱装置51側とティートカップ61c…側を接続する真空チューブをそれぞれ示す。また、前述したように、電極3p,3qは接続ケーブル35(図4)を介してティートカップ自動離脱装置51(第一検出処理部32)に接続するとともに、電極6p,6qは接続ケーブル36(図4)を介してティートカップ自動離脱装置51(第二検出処理部33)に接続し、さらに、切換室部Rc(接続口27)は、真空チューブ38(図4)を介してティートカップ自動離脱装置51(電磁三方弁34の分岐ポート34o)に接続する。
【0052】
以下、搾乳時における乳量計1の動作について、図8を参照しつつ図7に示すフローチャートに従って説明する。
【0053】
搾乳時(計量時)には、送乳ラインLmにおけるミルクチューブ66に搾乳された乳Mが間欠的に送られるため、乳Mは流入口2iから計量容器部2の内部に流入する(ステップS1)。なお、流入初期では第一バルブ4u及び第二バルブ4dは下降位置、即ち、中間口2mは開、流出口2eは閉になっている。そして、流入した乳Mは、図8(a)に実線矢印で示すように、気液分離室Rsにおける周面部の内壁面に沿って螺旋状に流れる。これにより、良好な気液分離(遠心分離)が行われるとともに、気液分離室Rsの内壁面を乳Mが流れ落ちる際に、流速が小さくなり、乳量測定の誤差要因となる泡Mbの発生や液面Muの波打が大きく低減される。この際、分離された空気Aは点線矢印で示すように、パイプシャフト15の内部を通って気液混合緩衝室Rdの内部に流入する。
【0054】
また、空気Aの分離された乳Mは、乳流規制部13…により乳流が規制され、乳Mは中間口2mから計量室Rmに速やかに落下する(ステップS2)。したがって、流入口2iから流入した乳Mが内壁面を螺旋状に流れ落ちる際に、無用に時間が長くなることがなく、乳Mを適切なタイミングにより計量室Rmに供給できるため、円滑かつ安定した乳量測定を行うことができる。そして、中間口2mを通った乳Mは計量室Rmに貯留される(ステップS3)。図8(a)はこの状態を示している。
【0055】
乳Mの流入が進むに従って貯留される乳Mの液面Muは上昇する。そして、図8(b)に示すように、液面Muが電極6p,6qを越えて上昇すれば、電極6pと6q間の電気抵抗が低下するため、第二検出処理部33により液面Muが越えたことを検出できる(ステップS4)。これにより、第二検出処理部33は、乳Mの電気伝導度、即ち、乳Mの電気抵抗を測定する(ステップS5)。この場合、液面Muが第一検出部3により検出されるまでには、ある程度の時間がかかるため、この時間を利用して、第二検出部6による電気抵抗の測定が可能となる。したがって、第二検出処理部33により液面Muが越えたことを検出した時点から予め設定した所定の時間Tmが経過した後に測定したり、或いは所定時間おきに複数回測定し、平均値を求めてもよい。
【0056】
この後、計量室Rmにおける貯留は、更に進行するとともに、これに伴って液面Muも上昇する(ステップS6)。したがって、図8(c)に示すように、液面Muが電極3p(3q)を越えて上昇すれば、電極3pと3q間の電気抵抗が低下するため、第一検出処理部32により液面Muが達したことを検出できる(ステップS7)。即ち、第一検出処理部32は、乳Mの電気伝導度、即ち、乳Mの電気抵抗を測定するとともに、電気抵抗の大きさが予め設定した閾値Srまで低下したか否かを監視し、電気抵抗の大きさが閾値Srまで低下したなら、液面Muを検出したものと判定し、弁機構部4を制御して第一バルブ4u及び第二バルブ4dを上昇位置へ変位させる。これにより、中間口2mが閉、流出口2eが開になる(ステップS8)。具体的には、システムコントローラ31は液面Muが正式に電極3pの高さまで上昇したものと判断し、バルブ切換信号Scを電磁三方弁34に付与する。これにより、電磁三方弁34が切換えられ、切換室部Rcに真空圧(負圧)が付与される。この結果、図8(c)に示すように、ダイヤフラム部26は上方へ変位し、さらに第一バルブ4u及び第二バルブ4dも上昇位置へ変位する(ステップS9)。
【0057】
この結果、計量室Rm内の乳Mは、流出口2eから流出し、気液混合緩衝室Rdに流入する(ステップS10)。この際、流出口2eの内径Deは中間口2mの内径Dmよりも大きく選定してあるため、計量室Rmに貯留された乳Mは流出口2eから速やかに流出する。なお、流出口2eから流れ出た乳Mは、傘形カバー15cの機能により気液混合緩衝室Rdの周面側に流れ落ちるため、乳Mが乳送出口部7、即ち、第一送出口7f及び第二送出口7sに直接入る不具合は回避されるとともに、通常の搾乳では、気液混合緩衝室Rdに貯留される乳Mの液面Muが緩衝筒8の上端口(第二送出口7s)を超えることがないように設定されるため、流出口2eから流出した乳Mは全て気液混合緩衝室Rdに一旦貯留され、第一送出口7fから送出されることになる。そして、気液混合緩衝室Rd内の乳Mは、図8(c)に示すように、スリット8sを通して緩衝筒8の内部に流出し、上端口からの空気Aと混合することにより、緩衝筒8の下端口(排出口2t)を通して下流側のミルクチューブ67に送出される。この場合、スリット8sの開口面積は第一流量Qf以下の流量により乳Mが流出するように設定されるため、緩和された小流量により少しずつ送出される。
【0058】
したがって、流出口2eの開時に発生する乳Mによる送乳路(ミルクチューブ67等)の一時的な閉塞状態が回避される。これにより、送乳ラインLm内の圧力変動(圧力衝撃)が乳頭に付加される不具合を排除できるため、乳牛Cに対する無用なストレス要因の解消、更には乳頭に雑菌が入り込むことによる乳房炎等の発生を解消できるとともに、計量容器部2から流出した空気Aに対して乳Mを少しずつ送出できるため、気泡の無用な発生の抑制、更には安定したバランスのよい送乳の確保を実現できる。一方、計量室Rmの乳Mが気液混合緩衝室Rdに流入する際に、気液混合緩衝室Rdに乳Mが残留しているなどにより、気液混合緩衝室Rdに流入した乳Mの液面Muが緩衝筒8の上端口の高さを一時的に超えてしまった場合には、第二送出口7sからQr以上の流量により乳Mが緩衝筒8の内部に流入する。この場合、第二送出口7sは、緩衝筒8の上端口となるため、大流量により速やかに流出され、一時的なオーバーフローが解消される。そして、乳Mの液面Muが緩衝筒8の上端口の高さ以下になった時点で第二送出口7sからの流出は停止し、第一送出口7fのみから流出する正常な状態に復帰する。
【0059】
また、バルブ切換信号Scが出力した後、予め設定した設定時間Tsが経過すれば、システムコントローラ31は、バルブ復帰信号Srを電磁三方弁34に付与する。これにより、電磁三方弁34が切換えられ、切換室部Rcに付与する真空圧が解除されるため、切換室部Rcは大気圧に復帰する(ステップS11,S12)。この結果、ダイヤフラム部26は下方へ変位し、図8(d)に示すように、第一バルブ4u及び第二バルブ4dも下降位置に復帰する(ステップS13)。そして、中間口2mは開、かつ流出口2eは閉となるため、気液分離室Rs内の乳Mは、中間口2mを通って計量室Rm内に流入し、計量室Rm内に貯留される(ステップS14,S15)。以後、搾乳が終了するまで、以上の動作(処理)が繰り返される(ステップS16,S1…)。搾乳が終了すれば、終了処理が行われる(ステップS16,S17)。なお、システムコントローラ31では、計量室Rmにより計量した回数をカウントすることにより全乳量、更には流量(速度)等を演算処理により求める。
【0060】
なお、本実施形態に係る乳量計1は、次のように洗浄及び殺菌を行うことができる。乳量計1を洗浄及び殺菌する際には、搾乳機64を所定の洗浄エリアに移動させ、乳量計1の排出口2t(ミルクチューブ67)側をミルクパイプ68に接続するとともに、ティートカップ61c…を洗浄液(殺菌液)が収容された洗浄液槽に浸す。そして、搾乳機64を運転させれば、自動洗浄モードが実行されるため、予め設定された洗浄プログラムに従って自動洗浄が行われる。自動洗浄時には、洗浄液槽の洗浄液(殺菌液)が、ティートカップ61c…から吸入され、ミルククロー61及びミルクチューブ66等を経由して乳量計1の流入口2iから気液分離室Rsに流入する。この際、弁機構部4により中間口2mを閉じる動作モードにすれば、洗浄液により気液分離室Rsが洗浄されるとともに、洗浄液は、気液分離室Rsに貯留された後、給気筒部28の上端口28uから排出される。また、上端口28uから排出された洗浄液により、計量室Rm及び気液混合緩衝室Rd等が洗浄され、この後、洗浄液は排出口2tから排出されるとともに、排出された洗浄液は、ミルクチューブ67及びミルクパイプ68等を経由して洗浄液槽に戻される。他方、弁機構部4により中間口2mを開く動作モードにすれば、洗浄液を気液分離室Rsと計量室Rmに満たした状態に維持することができる。なお、弁機構部4により中間口2mを閉じる動作モード時には、液質(洗浄状態)を測定することができる。したがって、気液分離室Rsには、電極3p…に加え、予め温度センサやpHセンサ等を付設する。洗浄(殺菌)には、すすぎ工程,アルカリ洗浄工程,酸リンス工程が含まれており、各工程の処理時間と動作モード等を組合わせた洗浄パターンが実行される。
【0061】
他方、図9及び図10には、本発明に係る乳量計1の変更例をそれぞれ示し、図9は第一検出部3及び第二検出部6の変更例、図10は弁機構部4の変更例をそれぞれ示す。
【0062】
図9(a)は、第二検出部6の一方又は双方の電極6q…を、第一検出部3の下側の電極3qに兼用させたものである。この場合、電極3qを別途設ける必要がないため、電極3p…の本数を一本削減できる。図9(b)は、第二検出部6の電極6p,6qを縦方向に配するとともに、第一検出部3の下側の電極3qと第二検出部6の上側の電極6pを一つの電極により兼用させるとともに、その形状を変更したものである。このように、第一検出部3と第二検出部6は、第二検出部6を、第一検出部3よりも下方の位置に配し、計量容器部2の内部に貯留される乳Mの少なくとも電気伝導度を検出可能な電極6p,6qを用いる要件を満たす形態であれば、様々な形態により実施可能である。
【0063】
図10は、弁機構部4における固定部材17の形状変更、特に、第一バルブ4uの下面と第二バルブ4dの上面に設ける傾斜面4us,4dsを湾曲面により形成したものである。このように、第一バルブ4uの下面と第二バルブ4dの上面に設ける傾斜面4us,4dsも、第一バルブ4uと第二バルブ4d間における泡Mbの滞留を防止可能なものであれば、少なくとも傾斜面4us,4dsを設けることを条件として様々な形態により実施可能である。なお、図9及び図10において、図1〜図4と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にした。
【0064】
さらに、図11〜図13には、本発明の変更実施形態に係る乳量計1を示す。変更実施形態に係る乳量計1は、図1に示した乳量計1に対して以下の点が異なる。
【0065】
まず、図1に示した乳量計1は、第一検出部3を計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させることにより、気液分離室Rs内の乳Mの液面Muを検出可能な電極3p,3qにより構成するとともに、第二検出部6を計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させることにより、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な電極6p,6qにより構成したが、図11に示す変更実施形態に係る乳量計1は、第一検出部3を構成するに際し、計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、気液分離室Rs内の乳Mの液面Muを検出可能な電極3p,3qにより構成するとともに、第二検出部6を構成するに際し、計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な電極6p,6qにより構成したものである。
【0066】
この場合、第一検出部3と第二検出部6は、図12及び図13に示すように、計量容器部2の一部を構成し、かつ当該計量容器部2に対して取付可能となる台座部11に一体に設けることにより検出ユニット12として構成した。即ち、図12に示すように、計量容器部2の一部となる台座部11に対して、第二検出部6の一方の電極6p,第一検出部3の一方の電極3q,第一検出部3の他方の電極3p,第二検出部6の他方の電極6q,乳Mの温度を検出する乳温センサ(第三検出部9)を順番に配し、インサート成形等により一体に設けた。この際、各電極6p,3q,3p及び6qにおける上端部の高さは、前述した図1の各電極6p,3q,3p及び6qの高さにほぼ一致させるとともに、第一検出部3の電極3p,3qは、上端部のみを露出させた状態で他の部位を、プラスチック等の絶縁素材により被覆部3pc,3qcにより被覆する。したがって、この被覆部3pc,3qcは台座部11と一体に成形することができる。
【0067】
そして、検出ユニット12を計量容器部2に対して取付ける際には、図13に示すように、計量容器部2における計量室Rmの下面部Rmdに台座部11が嵌合する嵌合孔部Rdmhを形成し、この嵌合孔部Rdmhに、検出ユニット12の台座部11を上から嵌め込むとともに、固定機構81により固定(ロック)する。なお、例示の固定機構81は、操作部82をロック位置へ回動変位させ、固定片部83を加圧することによりロックできるとともに、操作部82をロック解除位置へ回動変位させ、固定片部83に対する加圧を解除することによりロックを解除できる。なお、図中、84は、電極3pの下端に螺着し、配線の接続端子3psを電極3pに接続(固定)する固定ネジを示すとともに、85は、電極6qの下端に螺着し、配線の接続端子6qsを電極6qに接続(固定)する固定ネジを示す。
【0068】
このように、第一検出部3と第二検出部6を、計量容器部2の一部を構成し、かつ当該計量容器部2に対して取付可能となる台座部11に一体に設けた検出ユニット12として構成すれば、小さい部品の組合わせを用いる第一検出部3及び第二検出部6であっても、予め別体のユニットとして構成できるため、取付性の容易化を図ることができるとともに、計量容器部2に対して台座部11を着脱可能(交換可能)に構成できるため、洗浄やメンテナンス(新品との交換等)の容易化を図れる利点がある。また、台座部11に、乳Mの温度を検出する乳温センサを含む第三検出部9を一体に設ければ、乳量計1の付加価値及び多機能性をより高めることができるとともに、必要となる他のセンサ類も台座部11の変更等により容易かつ低コストに追加できる利点がある。
【0069】
さらに、第一検出部3は、図1に示した実施形態のように、計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させ、又は図11に示した変更実施形態のように、計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、気液分離室Rs内の乳Mの液面Muを検出可能な電極3p,3qにより構成できるとともに、第二検出部6も、図1に示した実施形態のように、計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させ、又は図11に示した変更実施形態のように、計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な電極6p,6qにより構成できるなど、計量容器部2の形状や形態等に応じて、第一検出部3及び第二検出部6の配設位置を選択できるため、設計自由度を高めることができる。特に、図11に示す変更実施形態のように、第一検出部3及び第二検出部6を、計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させれば、計量容器部2の軸方向から挿入するブラシ等により各電極3p,3qを洗浄する際における洗浄性及び洗浄容易性を高めることができる利点がある。
【0070】
一方、変更実施形態に係る乳量計1は、計量容器部2を、上面部2u,第一分割部2x,第二分割部2y及び第三分割部2zに分割し、上面部2u,第一分割部2x,第二分割部2y及び第三分割部2zをそれぞれバヨネット方式による着脱部Jm…により着脱可能に構成した。図1に示した乳量計1も同様の分割部を備えているが、バヨネット方式ではないため、着脱部の構造は単純になるも、外部から固定する別途の固定具が必要になる。これに対して、図11に示す変更実施形態に係る乳量計1では、バヨネット方式による着脱部Jm…を採用したため、外部から固定する別途の固定具が不要となる利点がある。
【0071】
また、変更実施形態に係る乳量計1は、計量容器部2における下面部2dの形態を変更した。即ち、下面部2dの一側にサンプリング手段91を設けた。このため、排出口2tを、下面部2dの中心ではなく、他側に配するとともに、この下面部2dの形状を乳Mが排出口2tに流れるように傾斜させて形成した。一方、サンプリング手段91は、下面部2dを貫通し、下面部2dの内部及び外部に突出する分取筒92を有する。この分取筒92の上端には分取口部93を取付ける。これにより、計量室Rmの下面部Rmdを流れ落ちた乳Mの一部を分取口部93からサンプリングすることができ、サンプリングされた乳Mは分取筒92を通って外部に導出される。なお、図中、94は、分取口部93に乳Mを円滑に進入させる通気口、95は、分取筒92の下端に接続したサンプリング用ミルクチューブをそれぞれ示す。
【0072】
さらに、図1(図10)に示した乳量計1では、別途の固定部材17をパイプシャフト15に取付けた例を示したが、変更実施形態に係る固定部材17はパイプシャフト15と一体に成形した例を示している。以上、図11〜図13に示した変更実施形態について、主に、図1に示した乳量計1に対して異なる点を説明したが、説明を省略したその他の構成及び機能については、図1に示した乳量計1と基本的に同じとなるように構成できる。そのため、図11〜図13において、図1〜図4と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0073】
以上、好適実施形態及び変更実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0074】
例えば、計量室Rmの上面部Rmuにおける周面部側が下になる傾斜面及び計量室Rmの下面部Rmdにおける周面部側が上になる傾斜面は、テーパ状に形成した場合を示したが曲面であってもよく、傾斜面の形態は例示に限定されるものではない。また、弁機構部4は、パイプシャフト15をバルブ駆動用シャフトと空気抜き用パイプの双方に兼用する場合を示したが、バルブ駆動用シャフトを棒材により形成し、別途、空気抜き用パイプを他の位置に設けてもよい。さらに、弁駆動部16は、ダイヤフラム部26と真空圧又は大気圧に切換えられる切換室部Rcにより構成する場合を例示したが、ダイヤフラム部26を電磁ソレノイド又はエアシリンダ等のアクチュエータにより直接変位させてもよい。一方、第三検出部9として乳温センサを例示したが、乳温センサの代わりに他のセンサ(内圧センサ等)を設けてもよいし、乳温センサに加えて他の一又は二以上の他のセンサを追加的に設けてもよい。他方、制御系5は、制御ボックス等により別途構成することにより、乳量計本体1mなどに付設してもよい。その他、乳量計1には必要により他の機能(構成)が付加されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係る乳量計1は、例示した搾乳システムWのみならず、各種形式の搾乳システムをはじめ、搾乳以外の用途や各種動物の乳量測定等、各種設置対象部に設置して利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1:乳量計,2:計量容器部,2i:流入口,2m:中間口,2e:流出口,2w:周面部,3:液面検出部(第一検出部),4:弁機構部,4u:第一バルブ,4d:第二バルブ,4us:傾斜面,4ds:傾斜面,5:制御系,6:第二検出部,6p:電極,6q:電極,9:第三検出部,11:台座部,12:検出ユニット,13…:乳流規制部,Lm:送乳ライン,Rs:気液分離室,Rm:計量室,M:乳,Mb:泡,Mu:乳の液面,De:流出口の内径,Dm:中間口の内径
【技術分野】
【0001】
本発明は、搾乳機により搾乳した乳を送る送乳ラインの中途などに接続して乳量を測定する乳量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搾乳機により搾乳した乳を送る送乳ラインの中途などに接続して乳量を測定する乳量計は、特許文献1で開示される乳量計が知られている。
【0003】
同文献1で開示される乳量計は、乳量測定の誤差要因となる泡の発生や液面の波立ちを低減し、泡や波の影響を可及的に回避して乳量測定精度を高めることを目的としたものであり、送乳ラインの中途に接続し、流入する乳を一時的に貯留可能な計量容器部の内部に配し、かつ貯留される乳の低位置の液面を検知する低位置電極部及び高位置の液面を検知する高位置電極部を有する液面検知部と、計量容器部の下部に設けた流出口を開閉可能な弁機構部と、弁機構部を制御する制御系を備える乳量計であって、円筒状の周面部を有する計量容器部における縦方向中間部に括れ部を形成することにより、括れ部よりも下側に、当該括れ部から内壁面に沿って流れ落ちる乳を放射方向に拡散させる容器下部を備えるとともに、容器下部に有する底面部から低位置電極部及び高位置電極部を起設した構成を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−38737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1で開示される従来の乳量計は、次のような解決すべき課題が存在した。
【0006】
第一に、この種の乳量計は、乳を計量容器部内に一時的に貯留し、一定量の乳を順次送り出す測定方式のため、貯留される乳の液面を正確に検出することが要求される。したがって、液面の有無を判定するための乳の電気伝導度(又は電気抵抗)を検出する電極を用いた検出部を備えているが、液面は、通常、泡を多く含むとともに、波打等による液面変動が発生するなど、必ずしも検出部にとって良好な検出環境にあると言えるものではなく、乳の電気伝導度を正確に検出し、液面の有無を的確に判定する観点からは更なる改善の余地があった。
【0007】
第二に、乳の電気伝導度を正確に検出(測定)することは、液面の有無を検出するのみならず、乳の特性及び品質等の情報を得る観点からも重要となるが、検出部は、上述のように、液面の有無の検出が主な目的となるため、乳の特性及び品質等に係わる情報を得る観点からも必ずしも望ましい測定環境にあるとは言えず、乳に係わる各種情報を正確に取得し、多機能性及び発展性を高める観点からも更なる改善の余地があった。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した乳量計の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するため、送乳ラインLmの中途に接続し、流入口2iから流入する乳Mを貯留可能な計量容器部2と、この計量容器部2の内部に貯留される乳Mの液面Muを検出する液面検出部3と、計量容器部2の流出口2eを開閉可能な弁機構部4と、少なくとも液面検出部3が液面Muを検出したなら弁機構部4を開閉制御する制御系5を備える乳量計1を構成するに際して、液面検出部(第一検出部)3よりも下方の位置に、計量容器部2の内部に貯留される乳Mの少なくとも電気伝導度を検出可能な電極6p,6qを用いた第二検出部6を配設してなることを特徴とする。
【0010】
この場合、発明の好適な態様により、計量容器部2は、円筒状に形成し、上部に流入口2iを設け、縦方向中間部に中間口2mを設け、下部に流出口2eを設けることにより、中間口2mよりも上側を気液分離室Rsに構成し、かつ中間口2mと流出口2e間を計量室Rmに構成するとともに、中間口2mを開閉可能な第一バルブ4u及び流出口2eを開閉可能な第二バルブ4dを有する弁機構部4と、気液分離室Rs内の乳Mの液面Muを検出可能な第一検出部3と、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な第二検出部6とを設けて構成できる。一方、第一検出部3と第二検出部6は、計量容器部2の一部を構成し、かつ当該計量容器部2に対して取付可能となる台座部11に一体に設けた検出ユニット12として構成できるとともに、必要により、台座部11には、乳Mの温度を検出する乳温センサを含む第三検出部9を一体に設けることができる。また、第一検出部3は、計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させ、又は計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、気液分離室Rs内の乳Mの液面Muを検出可能な電極3p,3qにより構成できるとともに、第二検出部6も、計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させ、又は計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な電極6p,6qにより構成できる。さらに、気液分離室Rsには、内壁面下部から内方に突出し、流入口2iから流入した乳Mの流れを規制する少なくとも一つ以上の乳流規制部13…を設けることができるとともに、第一バルブ4uの下面及び/又は第二バルブ4dの上面は、第一バルブ4uと第二バルブ4d間における泡Mbの滞留を防止可能な少なくとも傾斜面4us,4dsを形成できる。なお、流出口2eの内径Deは、中間口2mの内径Dmよりも大きく選定できる。他方、制御系5には、第二検出部6から検出する乳Mの電気伝導度により、少なくとも乳Mの特性を含む乳Mの情報を得る処理機能を設けることができるとともに、第二検出部6から検出する乳Mの電気伝導度により、少なくとも乳Mの有無を検出する検出機能を設けることができる。
【発明の効果】
【0011】
このような構成を有する本発明に係る乳量計1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0012】
(1) 第一検出部3よりも下方の位置に、計量容器部2の内部に貯留される乳Mの少なくとも電気伝導度を検出可能な電極6p,6qを用いた第二検出部6を配設してなるため、乳Mが計量容器部2に貯留される際には、最初に第二検出部6が乳Mに浸かり、この後、時間を経過して第一検出部3が浸かることになる。したがって、第二検出部6は、第一検出部3よりも深い位置における、泡Mbや波の影響を受けない電気伝導度を時間的な余裕を持って検出可能となり、乳Mに対する正確な電気伝導度、更には乳Mの特性及び異常乳等の品質等に係わる正確な情報を取得できる観点から最適となる。
【0013】
(2) 第二検出部6は、第一検出部3に対して、深い位置における乳Mの電気伝導度を時間的な余裕をもって検出できるため、乳Mの正確な電気伝導度を確実に検出できる。したがって、第二検出部6により検出される正確な電気伝導度により、第一検出部3において液面Muを検出する際の閾値(Sr)を牛体単位で補正し、第一検出部3により液面Muを検出する際の最適化を図れるなど、乳Mの液面Mu、更には乳量を正確に検出できるとともに、第二検出部6の検出と第一検出部3の検出の時間差から得られる乳流速度に基づく搾乳終了時期の予測等にも利用できるなど、乳量計1の多機能性及び発展性を高めることができる。
【0014】
(3) 好適な態様により、計量容器部2を円筒状に形成し、上部に流入口2iを設け、縦方向中間部に中間口2mを設け、下部に流出口2eを設けることにより、中間口2mよりも上側を気液分離室Rsに構成し、かつ中間口2mと流出口2e間を計量室Rmに構成するとともに、中間口2mを開閉可能な第一バルブ4u及び流出口2eを開閉可能な第二バルブ4dを有する弁機構部4と、気液分離室Rs内の乳Mの液面Muを検出可能な第一検出部3と、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な第二検出部6とを設けて構成すれば、計量時間の短縮による計量の効率化に寄与できるとともに、計量室Rmと気液混合緩衝室Rdを連携させた最適な態様により実施可能となる。したがって、計量室Rm及び気液混合緩衝室Rdの有する機能の有効性及び確実性をより高めることができるとともに、第一検出部3及び第二検出部6を用いた際の最適な実施形態を実現できる。
【0015】
(4) 好適な態様により、第一検出部3と第二検出部6を、計量容器部2の一部を構成し、かつ当該計量容器部2に対して取付可能となる台座部11に一体に設けた検出ユニット12として構成すれば、小さい部品の組合わせを用いる第一検出部3及び第二検出部6であっても、予め別体のユニットとして構成できるため、取付性の容易化を図ることができるとともに、計量容器部2に対して台座部11を着脱可能(交換可能)に構成できるため、洗浄やメンテナンス(新品との交換等)の容易化を図ることができる。
【0016】
(5) 好適な態様により、台座部11に、乳Mの温度を検出する乳温センサを含む第三検出部9を一体に設ければ、乳量計1の付加価値及び多機能性をより高めることができるとともに、必要となる他のセンサ類も台座部11の変更等により容易かつ低コストに追加することができる。
【0017】
(6) 好適な態様により、第一検出部3を、計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させ、又は計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、気液分離室Rs内の乳Mの液面Muを検出可能な電極3p,3qにより構成すれば、計量容器部2の形状や形態等に応じて第一検出部3の配設位置を選択できるため、設計自由度を高めることができるとともに、特に、第一検出部3を計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させれば、計量容器部2の軸方向から挿入するブラシ等により各電極3p,3qを洗浄する際における洗浄性及び洗浄容易性を高めることができる。
【0018】
(7) 好適な態様により、第二検出部6を、計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させ、又は計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な電極6p,6qにより構成すれば、上述した第一検出部3の場合と同様に、第二検出部6を配設する際における設計自由度を高めることができるとともに、ブラシ等により各電極6p,6qを洗浄する際における洗浄性及び洗浄容易性を高めることができる。
【0019】
(8) 好適な態様により、気液分離室Rsに、内壁面下部から内方に突出し、流入口2iから流入した乳Mの流れを規制する少なくとも一つ以上の乳流規制部13…を設ければ、流入口2iから流入した乳Mが内壁面を螺旋状に流れ落ちる際にも無用に時間が長くなることはなく、乳Mを適切なタイミングにより計量室Rmに供給することができ、円滑かつ安定した乳量測定を行うことができる。
【0020】
(9) 好適な態様により、第一バルブ4uの下面及び/又は第二バルブ4dの上面に、第一バルブ4uと第二バルブ4d間における泡Mbの滞留を防止可能な少なくとも傾斜面4us,4dsを形成すれば、第一バルブ4uと第二バルブ4d間に存在する泡Mbは、浮力により傾斜面に沿って移動し、第一バルブ4uと第二バルブ4d間から容易に外に抜け出ることが可能になる。この結果、泡Mbが第一バルブ4uと第二バルブ4d間に滞留する不具合を解消でき、正確な乳量測定を行うことができる。
【0021】
(10) 好適な態様により、流出口2eの内径Deを、中間口2mの内径Dmよりも大きく選定すれば、計量室Rmに貯留された乳Mを流出口2eから速やかに排出できるため、円滑な乳量測定に寄与できる。
【0022】
(11) 好適な態様により、制御系5に、第二検出部6から得る乳Mの電気伝導度により、少なくとも乳Mの有無を検出する検出機能を設ければ、搾乳終了時に残留する乳Mの有無を検出することにより乳量値を補正し、より正確な乳量測定を実現できるとともに、洗浄終了時には残留水の有無を検出し、残留水が有る場合には排水処理を行うことにより常に良好な衛生状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の好適実施形態に係る乳量計の側面断面図、
【図2】図1中X−X線断面図、
【図3】図1中Y−Y線断面図、
【図4】同乳量計の外観背面図を含む制御系のブロック系統図、
【図5】同乳量計の弁機構部と第二検出部を斜め下方から見た構成図、
【図6】同乳量計の使用説明図、
【図7】同乳量計の動作説明用のフローチャート、
【図8】同乳量計の動作説明用の模式図、
【図9】同乳量計の変更例に係る第一検出部と第二検出部の構成図、
【図10】同乳量計の他の変更例に係る弁機構部の側面断面図、
【図11】本発明の変更実施形態に係る乳量計の側面断面図、
【図12】同乳量計における検出ユニットの外観斜視図、
【図13】同乳量計における検出ユニットの取付構造の抽出拡大断面図、
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0025】
まず、本実施形態に係る乳量計1の構成について、図1〜図6を参照して具体的に説明する。
【0026】
図1及び図4には、乳量計1における乳量計本体1mを示す。2は計量容器部であり、透明又は半透明のプラスチック或いはガラス等の素材より全体を円筒状に形成するとともに、周面部における縦方向中間部の所定位置には、上下二つの括れ部2su,2sdを設け、上側の括れ部2suにより中間口2mを形成するとともに、下側の括れ部2sdにより流出口2eを形成する。これにより、中間口2mよりも上側を気液分離室Rs、中間口2mと流出口2e間を計量室Rm、流出口2eよりも下側を気液混合緩衝室Rd、としてそれぞれ構成する。この際、流出口2eの内径Deは、中間口2mの内径Dmよりも、例えば、5〔mm〕前後大きく選定する。このような内径条件により形成すれば、計量室Rmに貯留された乳Mを流出口2eから速やかに排出できるため、円滑な乳量測定に寄与できる。
【0027】
なお、計量室Rmの容積は、例えば、200〔mL〕程度に選定できるとともに、気液混合緩衝室Rdの容積は、流出口2eから流出した少なくとも一回分の乳量を貯留可能な容積、例えば、計量室Rmの容積の1.5〜2倍(300〜400〔mL〕)程度に選定できる。また、計量容器部2は、複数(例示は四つ)の分割体を組合わせた構造に構成すれば、括れ部2su,2sdを設けた場合であっても、計量容器部2の製造容易化及びメンテナンス(洗浄,交換等)容易化を図ることができる。
【0028】
一方、気液分離室Rsの周面上端付近には、外面から接線方向に突出し、上流側のミルクチューブ66を接続可能な流入口2iを設ける。これにより、流入口2iから気液分離室Rsの内部に流入した乳Mは、気液分離室Rsにおける周面部の内壁面に沿って螺旋状に流れるため、乳Mが気液分離室Rsの内壁面を流れ落ちる際には、流速が小さくなり、乳量測定の誤差要因となる泡Mbの発生や液面Muの波打が大きく低減されるとともに、結果的に乳量計1の小型コンパクト化にも寄与できる。また、気液分離室Rsの下面部Rsdは周面部側が上になる傾斜面に形成する。さらに、気液分離室Rsには、内壁面下部から内方に突出し、流入口2iから流入した乳Mの流れを規制する機能を有する少なくとも一つ以上のプレート状の乳流規制部13…を設ける。例示は、三つの乳流規制部13…を周方向へ等間隔に設けている。このような乳流規制部13…を設ければ、流入口2iから流入した乳Mが内壁面を螺旋状に流れ落ちる際にも無用に時間が長くなることはなく、乳Mを適切なタイミングにより計量室Rmに供給することができ、円滑かつ安定した乳量測定を行うことができる。
【0029】
他方、計量室Rmは、上面部Rmuを周面部側が下になる傾斜面に形成するとともに、下面部Rmdを周面部側が上になる傾斜面に形成する。これにより、計量室Rmの内部は上下がテーパ面に囲まれる形状となるため、計量室Rmに乳Mが貯留される際に計量容器部2(乳量計本体1m)が傾斜した状態であっても空気Aの層が発生することがないとともに、計量室Rmから乳Mが排出される際に計量容器部2(乳量計本体1m)が傾斜した状態であっても乳Mの残留がなくなる。したがって、この傾斜面の傾斜角度は、実際の使用環境に対応して任意に選定することができる。通常、乳量計1(乳量計本体1m)の使用環境における傾斜角度は、大きくても15〔゜〕程度となるため、水平面に対する当該傾斜面の角度は、30〔゜〕程度に選定すれば、実用上は十分となる。
【0030】
このように、上面部Rmuを周面部側が下になる傾斜面に形成し、かつ下面部Rmdを周面部側が上になる傾斜面に形成した計量室Rmを設ければ、実際の使用環境(設置環境)において、乳量計1が傾斜する場合であっても傾斜により発生する測定誤差を排除でき、精度の高い乳量測定を行うことができる。また、ステーにフックを介して吊下げることにより搾乳中に大きく揺れることも多いティートカップ自動離脱装置などにも付設可能になるなど、使用環境(設置環境)の範囲(用途)を飛躍的に拡大させることができ、汎用性及び利便性を高めることができる。しかも、ミルクチューブ等の配管の引き回しを少なくできるとともに、可搬式(移動式)として使用することもできる。
【0031】
さらに、計量容器部2(気液分離室Rs及び計量室Rm)の内部には弁機構部4を配設する。弁機構部4は、流出口2e及び中間口2mに挿通し、かつ上端口を気液分離室Rsの上端に臨ませ、かつ下端口を気液混合緩衝室Rdに臨ませることにより気液分離室Rsと気液混合緩衝室Rdを連通させるパイプシャフト15と、このパイプシャフト15の上端を支持し、かつ当該パイプシャフト15を昇降させる弁駆動部16と、計量室Rm内に位置するパイプシャフト15の外周面上側に設けた第一バルブ4u及び外周面下側に設けた第二バルブ4dを備える。この場合、パイプシャフト15の外周面には糸車状の固定部材17を装着するとともに、この固定部材17の上端面及び下端面にそれぞれゴム等の弾性板を貼着することにより、上側を第一バルブ4uとして構成し、下側を第二バルブ4dとして構成する。これにより、第一バルブ4uは計量室Rmと気液分離室Rs間の中間口2mを開閉可能となり、第二バルブ4dは計量室Rmと気液混合緩衝室Rd間の流出口2eを開閉可能となる。このような弁機構部4を設ければ、パイプシャフト15をバルブ駆動用シャフトと空気抜き用パイプの双方に兼用できるとともに、第一バルブ4uと第二バルブ4dの双方に対するバルブ駆動用シャフトにも兼用できるため、構成の簡略化,低コスト化及び小型化に寄与できる。
【0032】
また、固定部材17の上部(第一バルブ4u)の下面及び固定部材17の下部(第二バルブ4d)の上面には、第一バルブ4uと第二バルブ4d間における泡Mbの滞留を防止可能な少なくとも傾斜面4us,4dsを形成する。例示する上側の傾斜面4usは、周面部側が上になり、下側の傾斜面4dsは、周面部側が下になるように、テーパ状に形成する。このような傾斜面4us,4dsを設ければ、第一バルブ4uと第二バルブ4d間に存在する泡Mbは、浮力により傾斜面に沿って移動し、第一バルブ4uと第二バルブ4d間から容易に外に抜け出ることが可能になる。この結果、泡Mbが第一バルブ4uと第二バルブ4d間に滞留する不具合を解消でき、正確な乳量測定を行うことができる。
【0033】
さらに、弁駆動部16は、パイプシャフト15の上端を支持部材25を介して支持し、かつ気液分離室Rsを閉塞、即ち、計量容器部2の上面部2uに設けた円形の開口部2uhを閉塞して気液分離室Rsの上面部Rsuを形成するダイヤフラム部26と、気液分離室Rsに対して反対側でダイヤフラム部26に臨ませた切換室部Rcを備える。この切換室部Rcは、後述する制御系5(図4)の制御により真空圧又は大気圧に切換えられる。なお、27は切換室部Rcから突出する接続口を示す。さらに、ダイヤフラム部26は、上下に離間した第一ダイヤフラム26uと第二ダイヤフラム26dにより構成し、安定した昇降変位を実現させているとともに、支持部材25は、パイプシャフト15の上端口を閉塞しない形態で形成することにより、第二ダイヤフラム26dの中央下面に結合する。このような弁駆動部16を設ければ、搾乳機64(図6)に使用される真空圧(真空ライン)を利用できるため、構成の簡略化による低コスト化及び小型化に寄与できる。
【0034】
他方、気液混合緩衝室Rdは、上面部Rduを周面部側が下になる傾斜面に形成するとともに、底面部Rddを周面部側が上になる傾斜面に形成し、基本的な形態は計量室Rmと同じになる。したがって、気液混合緩衝室Rdの内部は上下がテーパ面に囲まれる形状となり、気液混合緩衝室Rdから乳Mが送り出される際には計量容器部2(乳量計本体1m)が傾斜した状態であっても乳Mが残留することがなくなる。さらに、気液混合緩衝室Rdの底面中央には、下方に突出し、下流側のミルクチューブ67を接続可能な排出口2tを設ける。
【0035】
また、気液混合緩衝室Rdには、所定流量(第一流量)Qf以下の流量により乳Mを流出させ、かつ計量容器部2の内部の空気Aに混合して送り出す送出口(第一送出口)7fを有する乳送出口部7を設ける。より望ましくは、乳送出口部7に、気液混合緩衝室Rdに貯留された乳量が所定量以下のときに第一流量Qf以下の流量により乳Mを流出させる第一送出口7f及び貯留された乳量が所定量を越えたときにQr以上の流量により乳Mを流出させる第二送出口7sを設け、Qf<Qrの条件を満たすように設定する。計量容器部2の下面部2dは、気液混合緩衝室Rdの底面部Rddとなるため、乳送出口部7は、この底面部Rddの中央から起立する円筒形の緩衝筒8により設ける。この緩衝筒8は上端口が内部に臨むとともに、下端口は排出口2tに連通する。
【0036】
これにより、図1に示すように、緩衝筒8の上端口を、乳送出口部7の第二送出口7sとして機能させることができるとともに、緩衝筒8の周面部に形成した一又は二以上のスリット部8s…、即ち、軸方向に沿った複数のスリット部8s…を形成することにより、乳送出口部7の第一送出口7fとして機能させる。したがって、第一送出口7fは、貯留された乳Mの液面Muが緩衝筒8の上端口の高さ以下の乳Mが流出、即ち、貯留された乳量が所定量以下のときに第一流量Qf以下の流量により乳Mが流出する。この際、第一流量Qf以下の流量は、スリット部8sの開口面積により設定可能であり、スリット部8sの幅は、流出口2eから流入する任意の流入時における乳Mの全量が次の流入時までに少なくとも全て流出させることができる開口面積を設定する。また、第二送出口7sは、貯留された乳Mの液面Muが緩衝筒8の上端口の高さを越えた乳Mが流出、即ち、貯留された乳量が所定量を越えたときにQr以上の流量により乳Mが流出する。この際、Qr以上の流量は、緩衝筒8における円形の上端口の開口面積により設定可能である。
【0037】
このように、乳送出口部7に、気液混合緩衝室Rdに貯留された乳量が所定量以下のときに第一流量Qf以下の流量により乳Mを流出させる第一送出口7f及び貯留された乳量が所定量を越えたときに第二流量Qr以上の流量により乳Mを流出させる第二送出口7rを設ければ、気液混合緩衝室Rdに乳Mが残留しているなどにより、気液混合緩衝室Rdに流入した乳Mの液面Muが、いわば限界レベルを超えた場合であっても、第二送出口7sにより一時的なオーバーフローを速やかに解消できる。また、気液混合緩衝室Rdに、底面部Rddから起立する緩衝筒8を設け、この緩衝筒8の上端口を第二送出口7sとし、かつ緩衝筒8の周面部に第一送出口7fを形成すれば、気液混合緩衝室Rd内に緩衝筒8を追加的に設ければ足りるため、容易かつ低コストに実施できる利点がある。
【0038】
一方、気液混合緩衝室Rdの内部に臨ませたパイプシャフト15の下端口は、緩衝筒8の上端口の真上に位置させるとともに、このパイプシャフト15の下端には傘形カバー15cを設ける。傘形カバー15cは、下方が広がるテーパ状に形成する。このような構成により、緩衝筒8の上端口の上方が傘形カバー15cにより覆われるため、流出口2eから流出した乳Mが乳送出口部7に直接入る不具合を回避でき、流出口2eから流出した全ての乳Mを気液混合緩衝室Rdに一旦貯留し、乳送出口部7から少しずつ流出させる機能を確実に実行できる。また、計量容器部2には、計量室Rmの上面部Rmuから上方に起立し、上端口28uを気液分離室Rsの上端に臨ませることにより計量室Rmと気液分離室Rsを連通させる給気筒部28を設ける。このような給気筒部28を設けることにより、計量室Rmの乳Mを流出口2eからスムースかつ迅速に流出させることができる。
【0039】
他方、計量容器部2には、給気筒部28の内部に臨ませた液面検出部を構成する第一検出部3を付設する。第一検出部3は、図4に示すように、ピン部材により形成した上下一対の電極3p,3qを備え、上側の電極3pは気液分離室Rsの下端付近に配するとともに、下側の電極3qは計量室Rmの上端付近に配する。即ち、この場合、各電極3p,3qは計量容器部2の周面部2wに取付け、この周面部2wから内部内方(略水平方向)に突出させる。これにより、第一検出部3は、電極3pと3q間における乳Mの電気抵抗により乳Mの液面Muを検出することができる。
【0040】
また、第一検出部3よりも下方の位置における計量容器部2には第二検出部6を付設する。第二検出部6は、図4に示すように、計量室Rmの上下方向中間位置(中央付近)に配し、ピン部材により形成した左右一対の電極6p,6qを備える。即ち、この場合、各電極6p,6qも計量容器部2の周面部2wに取付け、この周面部2wから内部内方(斜め下方向)に突出させる。これにより、第二検出部6は、計量容器部2(計量室Rm)の内部に貯留される乳Mの少なくとも電気伝導度を検出することができる。なお、各電極3p,3q,6p及び6qは、それぞれ全体が露出した電極として構成しても検出可能であるが、検出精度を高めるには、後述する図11に示すように、先端部のみを露出させ、他の部位を絶縁素材により被覆することが望ましい。
【0041】
このように、計量容器部2を円筒状に形成し、上部に流入口2iを設け、縦方向中間部に中間口2mを設け、下部に流出口2eを設けることにより、中間口2mよりも上側を気液分離室Rsに構成し、かつ中間口2mと流出口2e間を計量室Rmに構成するとともに、中間口2mを開閉可能な第一バルブ4u及び流出口2eを開閉可能な第二バルブ4dを有する弁機構部4と、気液分離室Rs内の液面Muを検出可能な第一検出部3と、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な第二検出部6とを設けて構成すれば、計量時間の短縮による計量の効率化に寄与できるとともに、計量室Rmと気液混合緩衝室Rdを連携させた最適な態様により実施可能となる。したがって、計量室Rm及び気液混合緩衝室Rdの有する機能の有効性及び確実性をより高めることができるとともに、第一検出部3及び第二検出部6を用いた際の最適な実施形態を実現できる。
【0042】
他方、図4は、乳量計本体1mに接続する制御系5を示す。制御系5は、各種制御処理及び演算処理等を行うコンピューティング機能を有するシステムコントローラ31を備える。したがって、システムコントローラ31に内蔵するプログラムメモリ31pには、乳量測定に係わる一連のシーケンス制御を実行するための制御プログラムを格納するとともに、データメモリ31dには、後述する設定時間Ts等を含む各種設定データが設定される。また、システムコントローラ31の入力ポートには第一検出処理部32及び第二検出処理部33の出力部を接続するとともに、システムコントローラ31の制御出力ポートには電磁三方弁34を接続する。さらに、第一検出処理部32の入力部には、所定の接続ケーブル35により第一検出部3の各電極3p,3qを接続する。第一検出処理部32は、電極3pと3q間に所定の電圧を付与し、電極3pと3q間の電気抵抗(電気伝導度)を検出する。同様に、第二検出処理部33の入力部には、所定の接続ケーブル36により第二検出部6の各電極6p,6qを接続する。第二検出処理部33は、電極6pと6qに所定の電圧を付与し、電極6pと6q間の電気抵抗(電気伝導度)を検出する。なお、37は各種データ等を表示可能な表示部を示す。
【0043】
これにより、制御系5は、少なくとも上述した液面検出部3の電極3p,3qにより液面Muを検出したなら、弁機構部4の第一バルブ4uを閉位置、かつ第二バルブ4dを開位置に切換制御するとともに、所定の復帰条件に従って第一バルブ4uを開位置、かつ第二バルブ4dを閉位置に切換制御する機能を備える。なお、切換室部Rcから突出する接続口27は、真空チューブ38を介して電磁三方弁33のコモンポート33oに接続するとともに、電磁三方弁33の一方の分岐ポート33aは真空チューブ(真空ポンプ)39に接続し、さらに、電磁三方弁33の他方の分岐ポート33bは大気に開放する。したがって、電磁三方弁33を切換制御すれば、上述した切換室部Rcを真空状態又は大気状態に切換えることができる。
【0044】
この場合、第一バルブ4uを閉位置、かつ第二バルブ4dを開位置に切換制御した後、第一バルブ4uを開位置、かつ第二バルブ4dを閉位置に切換制御する所定の復帰条件には、予め設定した設定時間Tsが経過すること,又は流出口2eからの乳Mの排出終了を検出すること,を用いることができる。本実施形態では、予め設定した設定時間Tsが経過することを復帰条件として設定した。このように、所定の復帰条件として、予め設定した設定時間Tsが経過することにより、第一バルブ4uを開位置、かつ第二バルブ4dを閉位置に切換制御を方式を採用すれば、部品点数の削減により、制御の容易化及び低コスト化を図ることができる。他方、所定の復帰条件として、流出口2eからの乳Mの排出終了を検出することにより、第一バルブ4uを開位置、かつ第二バルブ4dを閉位置に切換制御することもでき、この場合、例えば、流出口2eに前述した電極3p…からなる液面検出部3と同様の検出電極部を付設すればよい。所定の復帰条件として、流出口2eからの乳Mの排出終了を検出することにより、第一バルブ4uを開位置、かつ第二バルブ4dを閉位置に切換制御する方式を用いれば、速やかに復帰できるため、計量時間が短くなり効率的な計量を行うことができる。
【0045】
ところで、本実施形態では、第二検出部6を備えるため、この第二検出部6を流出口2eからの乳Mの排出終了の検出に利用できる。この場合、第二検出部6は、流出口2eに付設するものではないため、排出終了を直接検出することはできないが、少なくとも第一検出部3よりも下方に位置するため、第一検出部3の検出を利用するよりも、設定時間Tsを短く設定できる。したがって、設定時間Tsに含ませる余裕時間も短くすることができ、より的確な設定時間Tsを設定できる。
【0046】
また、制御系5には、第二検出部6から得る乳Mの電気伝導度により、少なくとも乳Mの特性を含む乳Mの情報を得る処理機能を設けることができる。これにより、乳Mの特性及び異常乳等の品質等に係わる正確な情報をデータとして得ることができる。さらに、制御系5には、第二検出部6から得る乳Mの電気伝導度により、少なくとも乳Mの有無を検出する検出機能を設けることができる。これにより、搾乳の終了時には、残留する乳Mの有無を検出することができるため、この検出結果により乳量値を補正し、より正確な乳量測定を実現できるとともに、後述する洗浄の終了時には、残留水の有無を検出し、残留水が有る場合には排水処理を行うことにより常に良好な衛生状態を維持できる。
【0047】
このように、本実施形態に係る乳量計1によれば、第一検出部3よりも下方の位置に、計量容器部2の内部に貯留される乳Mの少なくとも電気伝導度を検出可能な電極6p,6qを用いた第二検出部6を配設してなるため、乳Mが計量容器部2に貯留される際には、最初に第二検出部6が乳Mに浸かり、この後、時間を経過して第一検出部3が浸かることになる。したがって、第二検出部6は、第一検出部3よりも深い位置における、泡Mbや波の影響を受けない電気伝導度を時間的な余裕を持って検出可能となり、乳Mに対する正確な電気伝導度、更には乳Mの特性及び異常乳等の品質等に係わる正確な情報を取得できる観点から最適となる。
【0048】
しかも、第二検出部6は、第一検出部3に対して、深い位置における乳Mの電気伝導度を時間的な余裕をもって検出できることから、乳Mの正確な電気伝導度を確実に検出できる。この結果、第二検出部6により検出される正確な電気伝導度により、第一検出部3において液面Muを検出する際の閾値(Sr)を牛体単位で補正し、第一検出部3により液面Muを検出する際の最適化を図れるなど、乳Mの液面Mu、更には乳量を正確に検出できるとともに、第二検出部6の検出と第一検出部3の検出の時間差から得られる乳流速度に基づく搾乳終了時期の予測等にも利用できるなど、乳量計1の多機能性及び発展性を高めることができる。
【0049】
次に、本実施形態に係る乳量計1の使用方法及び動作(機能)について、図1〜図8を参照して説明する。
【0050】
乳量計1における乳量計本体1mは、図6に示すように、ティートカップ自動離脱装置51の背面に取付けることができる。この場合、ティートカップ自動離脱装置51は、前述した制御系5におけるコントローラ31,第一検出処理部32,第二検出処理部33及び電磁三方弁34を内蔵する。なお、ティートカップ自動離脱装置51は、装置本体51mの上面から上方に突出したフック53と、装置本体51mの下面から突出したワイヤガイドパイプ54を有し、このワイヤガイドパイプ54の下端から離脱ワイヤ55が繰り出される。この離脱ワイヤ55の先端は、四つのティートカップ61c…を有するミルククロー61に接続する。したがって、装置本体51mの内部には離脱ワイヤ55を巻取るための巻上機構を備えている。
【0051】
また、Wは、乳量計1を使用する搾乳システムの一例を示す。この搾乳システムWは、レール62に沿って移動する搬送機63を備えており、この搬送機63に搾乳機64を搭載する。そして、搬送機63に備えるアームステー65に、フック53を引掛けることによりティートカップ自動離脱装置51を吊下げる。図6は、乳牛Cに対して搾乳機64により搾乳している状態を示し、乳牛Cには四つのティートカップ61c…が装着されている。搾乳システムWでは、搾乳時に、ティートカップ61c…により搾乳された生乳(乳M)がミルククロー61からミルクチューブ66を介して乳量計本体1mの流入口2iに供給される。さらに、乳量計本体1mを通過した乳Mは排出口2tからミルクチューブ67を介してミルクパイプ68に送られる。したがって、このミルクチューブ66と67が乳量計1を接続する送乳ラインLmとなる。なお、70は真空パイプ、39は真空パイプ70側とティートカップ自動離脱装置51側を接続する真空チューブ(図4)、72はティートカップ自動離脱装置51側とティートカップ61c…側を接続する真空チューブをそれぞれ示す。また、前述したように、電極3p,3qは接続ケーブル35(図4)を介してティートカップ自動離脱装置51(第一検出処理部32)に接続するとともに、電極6p,6qは接続ケーブル36(図4)を介してティートカップ自動離脱装置51(第二検出処理部33)に接続し、さらに、切換室部Rc(接続口27)は、真空チューブ38(図4)を介してティートカップ自動離脱装置51(電磁三方弁34の分岐ポート34o)に接続する。
【0052】
以下、搾乳時における乳量計1の動作について、図8を参照しつつ図7に示すフローチャートに従って説明する。
【0053】
搾乳時(計量時)には、送乳ラインLmにおけるミルクチューブ66に搾乳された乳Mが間欠的に送られるため、乳Mは流入口2iから計量容器部2の内部に流入する(ステップS1)。なお、流入初期では第一バルブ4u及び第二バルブ4dは下降位置、即ち、中間口2mは開、流出口2eは閉になっている。そして、流入した乳Mは、図8(a)に実線矢印で示すように、気液分離室Rsにおける周面部の内壁面に沿って螺旋状に流れる。これにより、良好な気液分離(遠心分離)が行われるとともに、気液分離室Rsの内壁面を乳Mが流れ落ちる際に、流速が小さくなり、乳量測定の誤差要因となる泡Mbの発生や液面Muの波打が大きく低減される。この際、分離された空気Aは点線矢印で示すように、パイプシャフト15の内部を通って気液混合緩衝室Rdの内部に流入する。
【0054】
また、空気Aの分離された乳Mは、乳流規制部13…により乳流が規制され、乳Mは中間口2mから計量室Rmに速やかに落下する(ステップS2)。したがって、流入口2iから流入した乳Mが内壁面を螺旋状に流れ落ちる際に、無用に時間が長くなることがなく、乳Mを適切なタイミングにより計量室Rmに供給できるため、円滑かつ安定した乳量測定を行うことができる。そして、中間口2mを通った乳Mは計量室Rmに貯留される(ステップS3)。図8(a)はこの状態を示している。
【0055】
乳Mの流入が進むに従って貯留される乳Mの液面Muは上昇する。そして、図8(b)に示すように、液面Muが電極6p,6qを越えて上昇すれば、電極6pと6q間の電気抵抗が低下するため、第二検出処理部33により液面Muが越えたことを検出できる(ステップS4)。これにより、第二検出処理部33は、乳Mの電気伝導度、即ち、乳Mの電気抵抗を測定する(ステップS5)。この場合、液面Muが第一検出部3により検出されるまでには、ある程度の時間がかかるため、この時間を利用して、第二検出部6による電気抵抗の測定が可能となる。したがって、第二検出処理部33により液面Muが越えたことを検出した時点から予め設定した所定の時間Tmが経過した後に測定したり、或いは所定時間おきに複数回測定し、平均値を求めてもよい。
【0056】
この後、計量室Rmにおける貯留は、更に進行するとともに、これに伴って液面Muも上昇する(ステップS6)。したがって、図8(c)に示すように、液面Muが電極3p(3q)を越えて上昇すれば、電極3pと3q間の電気抵抗が低下するため、第一検出処理部32により液面Muが達したことを検出できる(ステップS7)。即ち、第一検出処理部32は、乳Mの電気伝導度、即ち、乳Mの電気抵抗を測定するとともに、電気抵抗の大きさが予め設定した閾値Srまで低下したか否かを監視し、電気抵抗の大きさが閾値Srまで低下したなら、液面Muを検出したものと判定し、弁機構部4を制御して第一バルブ4u及び第二バルブ4dを上昇位置へ変位させる。これにより、中間口2mが閉、流出口2eが開になる(ステップS8)。具体的には、システムコントローラ31は液面Muが正式に電極3pの高さまで上昇したものと判断し、バルブ切換信号Scを電磁三方弁34に付与する。これにより、電磁三方弁34が切換えられ、切換室部Rcに真空圧(負圧)が付与される。この結果、図8(c)に示すように、ダイヤフラム部26は上方へ変位し、さらに第一バルブ4u及び第二バルブ4dも上昇位置へ変位する(ステップS9)。
【0057】
この結果、計量室Rm内の乳Mは、流出口2eから流出し、気液混合緩衝室Rdに流入する(ステップS10)。この際、流出口2eの内径Deは中間口2mの内径Dmよりも大きく選定してあるため、計量室Rmに貯留された乳Mは流出口2eから速やかに流出する。なお、流出口2eから流れ出た乳Mは、傘形カバー15cの機能により気液混合緩衝室Rdの周面側に流れ落ちるため、乳Mが乳送出口部7、即ち、第一送出口7f及び第二送出口7sに直接入る不具合は回避されるとともに、通常の搾乳では、気液混合緩衝室Rdに貯留される乳Mの液面Muが緩衝筒8の上端口(第二送出口7s)を超えることがないように設定されるため、流出口2eから流出した乳Mは全て気液混合緩衝室Rdに一旦貯留され、第一送出口7fから送出されることになる。そして、気液混合緩衝室Rd内の乳Mは、図8(c)に示すように、スリット8sを通して緩衝筒8の内部に流出し、上端口からの空気Aと混合することにより、緩衝筒8の下端口(排出口2t)を通して下流側のミルクチューブ67に送出される。この場合、スリット8sの開口面積は第一流量Qf以下の流量により乳Mが流出するように設定されるため、緩和された小流量により少しずつ送出される。
【0058】
したがって、流出口2eの開時に発生する乳Mによる送乳路(ミルクチューブ67等)の一時的な閉塞状態が回避される。これにより、送乳ラインLm内の圧力変動(圧力衝撃)が乳頭に付加される不具合を排除できるため、乳牛Cに対する無用なストレス要因の解消、更には乳頭に雑菌が入り込むことによる乳房炎等の発生を解消できるとともに、計量容器部2から流出した空気Aに対して乳Mを少しずつ送出できるため、気泡の無用な発生の抑制、更には安定したバランスのよい送乳の確保を実現できる。一方、計量室Rmの乳Mが気液混合緩衝室Rdに流入する際に、気液混合緩衝室Rdに乳Mが残留しているなどにより、気液混合緩衝室Rdに流入した乳Mの液面Muが緩衝筒8の上端口の高さを一時的に超えてしまった場合には、第二送出口7sからQr以上の流量により乳Mが緩衝筒8の内部に流入する。この場合、第二送出口7sは、緩衝筒8の上端口となるため、大流量により速やかに流出され、一時的なオーバーフローが解消される。そして、乳Mの液面Muが緩衝筒8の上端口の高さ以下になった時点で第二送出口7sからの流出は停止し、第一送出口7fのみから流出する正常な状態に復帰する。
【0059】
また、バルブ切換信号Scが出力した後、予め設定した設定時間Tsが経過すれば、システムコントローラ31は、バルブ復帰信号Srを電磁三方弁34に付与する。これにより、電磁三方弁34が切換えられ、切換室部Rcに付与する真空圧が解除されるため、切換室部Rcは大気圧に復帰する(ステップS11,S12)。この結果、ダイヤフラム部26は下方へ変位し、図8(d)に示すように、第一バルブ4u及び第二バルブ4dも下降位置に復帰する(ステップS13)。そして、中間口2mは開、かつ流出口2eは閉となるため、気液分離室Rs内の乳Mは、中間口2mを通って計量室Rm内に流入し、計量室Rm内に貯留される(ステップS14,S15)。以後、搾乳が終了するまで、以上の動作(処理)が繰り返される(ステップS16,S1…)。搾乳が終了すれば、終了処理が行われる(ステップS16,S17)。なお、システムコントローラ31では、計量室Rmにより計量した回数をカウントすることにより全乳量、更には流量(速度)等を演算処理により求める。
【0060】
なお、本実施形態に係る乳量計1は、次のように洗浄及び殺菌を行うことができる。乳量計1を洗浄及び殺菌する際には、搾乳機64を所定の洗浄エリアに移動させ、乳量計1の排出口2t(ミルクチューブ67)側をミルクパイプ68に接続するとともに、ティートカップ61c…を洗浄液(殺菌液)が収容された洗浄液槽に浸す。そして、搾乳機64を運転させれば、自動洗浄モードが実行されるため、予め設定された洗浄プログラムに従って自動洗浄が行われる。自動洗浄時には、洗浄液槽の洗浄液(殺菌液)が、ティートカップ61c…から吸入され、ミルククロー61及びミルクチューブ66等を経由して乳量計1の流入口2iから気液分離室Rsに流入する。この際、弁機構部4により中間口2mを閉じる動作モードにすれば、洗浄液により気液分離室Rsが洗浄されるとともに、洗浄液は、気液分離室Rsに貯留された後、給気筒部28の上端口28uから排出される。また、上端口28uから排出された洗浄液により、計量室Rm及び気液混合緩衝室Rd等が洗浄され、この後、洗浄液は排出口2tから排出されるとともに、排出された洗浄液は、ミルクチューブ67及びミルクパイプ68等を経由して洗浄液槽に戻される。他方、弁機構部4により中間口2mを開く動作モードにすれば、洗浄液を気液分離室Rsと計量室Rmに満たした状態に維持することができる。なお、弁機構部4により中間口2mを閉じる動作モード時には、液質(洗浄状態)を測定することができる。したがって、気液分離室Rsには、電極3p…に加え、予め温度センサやpHセンサ等を付設する。洗浄(殺菌)には、すすぎ工程,アルカリ洗浄工程,酸リンス工程が含まれており、各工程の処理時間と動作モード等を組合わせた洗浄パターンが実行される。
【0061】
他方、図9及び図10には、本発明に係る乳量計1の変更例をそれぞれ示し、図9は第一検出部3及び第二検出部6の変更例、図10は弁機構部4の変更例をそれぞれ示す。
【0062】
図9(a)は、第二検出部6の一方又は双方の電極6q…を、第一検出部3の下側の電極3qに兼用させたものである。この場合、電極3qを別途設ける必要がないため、電極3p…の本数を一本削減できる。図9(b)は、第二検出部6の電極6p,6qを縦方向に配するとともに、第一検出部3の下側の電極3qと第二検出部6の上側の電極6pを一つの電極により兼用させるとともに、その形状を変更したものである。このように、第一検出部3と第二検出部6は、第二検出部6を、第一検出部3よりも下方の位置に配し、計量容器部2の内部に貯留される乳Mの少なくとも電気伝導度を検出可能な電極6p,6qを用いる要件を満たす形態であれば、様々な形態により実施可能である。
【0063】
図10は、弁機構部4における固定部材17の形状変更、特に、第一バルブ4uの下面と第二バルブ4dの上面に設ける傾斜面4us,4dsを湾曲面により形成したものである。このように、第一バルブ4uの下面と第二バルブ4dの上面に設ける傾斜面4us,4dsも、第一バルブ4uと第二バルブ4d間における泡Mbの滞留を防止可能なものであれば、少なくとも傾斜面4us,4dsを設けることを条件として様々な形態により実施可能である。なお、図9及び図10において、図1〜図4と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にした。
【0064】
さらに、図11〜図13には、本発明の変更実施形態に係る乳量計1を示す。変更実施形態に係る乳量計1は、図1に示した乳量計1に対して以下の点が異なる。
【0065】
まず、図1に示した乳量計1は、第一検出部3を計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させることにより、気液分離室Rs内の乳Mの液面Muを検出可能な電極3p,3qにより構成するとともに、第二検出部6を計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させることにより、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な電極6p,6qにより構成したが、図11に示す変更実施形態に係る乳量計1は、第一検出部3を構成するに際し、計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、気液分離室Rs内の乳Mの液面Muを検出可能な電極3p,3qにより構成するとともに、第二検出部6を構成するに際し、計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な電極6p,6qにより構成したものである。
【0066】
この場合、第一検出部3と第二検出部6は、図12及び図13に示すように、計量容器部2の一部を構成し、かつ当該計量容器部2に対して取付可能となる台座部11に一体に設けることにより検出ユニット12として構成した。即ち、図12に示すように、計量容器部2の一部となる台座部11に対して、第二検出部6の一方の電極6p,第一検出部3の一方の電極3q,第一検出部3の他方の電極3p,第二検出部6の他方の電極6q,乳Mの温度を検出する乳温センサ(第三検出部9)を順番に配し、インサート成形等により一体に設けた。この際、各電極6p,3q,3p及び6qにおける上端部の高さは、前述した図1の各電極6p,3q,3p及び6qの高さにほぼ一致させるとともに、第一検出部3の電極3p,3qは、上端部のみを露出させた状態で他の部位を、プラスチック等の絶縁素材により被覆部3pc,3qcにより被覆する。したがって、この被覆部3pc,3qcは台座部11と一体に成形することができる。
【0067】
そして、検出ユニット12を計量容器部2に対して取付ける際には、図13に示すように、計量容器部2における計量室Rmの下面部Rmdに台座部11が嵌合する嵌合孔部Rdmhを形成し、この嵌合孔部Rdmhに、検出ユニット12の台座部11を上から嵌め込むとともに、固定機構81により固定(ロック)する。なお、例示の固定機構81は、操作部82をロック位置へ回動変位させ、固定片部83を加圧することによりロックできるとともに、操作部82をロック解除位置へ回動変位させ、固定片部83に対する加圧を解除することによりロックを解除できる。なお、図中、84は、電極3pの下端に螺着し、配線の接続端子3psを電極3pに接続(固定)する固定ネジを示すとともに、85は、電極6qの下端に螺着し、配線の接続端子6qsを電極6qに接続(固定)する固定ネジを示す。
【0068】
このように、第一検出部3と第二検出部6を、計量容器部2の一部を構成し、かつ当該計量容器部2に対して取付可能となる台座部11に一体に設けた検出ユニット12として構成すれば、小さい部品の組合わせを用いる第一検出部3及び第二検出部6であっても、予め別体のユニットとして構成できるため、取付性の容易化を図ることができるとともに、計量容器部2に対して台座部11を着脱可能(交換可能)に構成できるため、洗浄やメンテナンス(新品との交換等)の容易化を図れる利点がある。また、台座部11に、乳Mの温度を検出する乳温センサを含む第三検出部9を一体に設ければ、乳量計1の付加価値及び多機能性をより高めることができるとともに、必要となる他のセンサ類も台座部11の変更等により容易かつ低コストに追加できる利点がある。
【0069】
さらに、第一検出部3は、図1に示した実施形態のように、計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させ、又は図11に示した変更実施形態のように、計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、気液分離室Rs内の乳Mの液面Muを検出可能な電極3p,3qにより構成できるとともに、第二検出部6も、図1に示した実施形態のように、計量容器部2の周面部2wから内部内方に突出させ、又は図11に示した変更実施形態のように、計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させることにより、計量室Rm内における乳Mの電気伝導度を検出可能な電極6p,6qにより構成できるなど、計量容器部2の形状や形態等に応じて、第一検出部3及び第二検出部6の配設位置を選択できるため、設計自由度を高めることができる。特に、図11に示す変更実施形態のように、第一検出部3及び第二検出部6を、計量室Rmの下面部Rmdから内部上方へ突出させれば、計量容器部2の軸方向から挿入するブラシ等により各電極3p,3qを洗浄する際における洗浄性及び洗浄容易性を高めることができる利点がある。
【0070】
一方、変更実施形態に係る乳量計1は、計量容器部2を、上面部2u,第一分割部2x,第二分割部2y及び第三分割部2zに分割し、上面部2u,第一分割部2x,第二分割部2y及び第三分割部2zをそれぞれバヨネット方式による着脱部Jm…により着脱可能に構成した。図1に示した乳量計1も同様の分割部を備えているが、バヨネット方式ではないため、着脱部の構造は単純になるも、外部から固定する別途の固定具が必要になる。これに対して、図11に示す変更実施形態に係る乳量計1では、バヨネット方式による着脱部Jm…を採用したため、外部から固定する別途の固定具が不要となる利点がある。
【0071】
また、変更実施形態に係る乳量計1は、計量容器部2における下面部2dの形態を変更した。即ち、下面部2dの一側にサンプリング手段91を設けた。このため、排出口2tを、下面部2dの中心ではなく、他側に配するとともに、この下面部2dの形状を乳Mが排出口2tに流れるように傾斜させて形成した。一方、サンプリング手段91は、下面部2dを貫通し、下面部2dの内部及び外部に突出する分取筒92を有する。この分取筒92の上端には分取口部93を取付ける。これにより、計量室Rmの下面部Rmdを流れ落ちた乳Mの一部を分取口部93からサンプリングすることができ、サンプリングされた乳Mは分取筒92を通って外部に導出される。なお、図中、94は、分取口部93に乳Mを円滑に進入させる通気口、95は、分取筒92の下端に接続したサンプリング用ミルクチューブをそれぞれ示す。
【0072】
さらに、図1(図10)に示した乳量計1では、別途の固定部材17をパイプシャフト15に取付けた例を示したが、変更実施形態に係る固定部材17はパイプシャフト15と一体に成形した例を示している。以上、図11〜図13に示した変更実施形態について、主に、図1に示した乳量計1に対して異なる点を説明したが、説明を省略したその他の構成及び機能については、図1に示した乳量計1と基本的に同じとなるように構成できる。そのため、図11〜図13において、図1〜図4と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0073】
以上、好適実施形態及び変更実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0074】
例えば、計量室Rmの上面部Rmuにおける周面部側が下になる傾斜面及び計量室Rmの下面部Rmdにおける周面部側が上になる傾斜面は、テーパ状に形成した場合を示したが曲面であってもよく、傾斜面の形態は例示に限定されるものではない。また、弁機構部4は、パイプシャフト15をバルブ駆動用シャフトと空気抜き用パイプの双方に兼用する場合を示したが、バルブ駆動用シャフトを棒材により形成し、別途、空気抜き用パイプを他の位置に設けてもよい。さらに、弁駆動部16は、ダイヤフラム部26と真空圧又は大気圧に切換えられる切換室部Rcにより構成する場合を例示したが、ダイヤフラム部26を電磁ソレノイド又はエアシリンダ等のアクチュエータにより直接変位させてもよい。一方、第三検出部9として乳温センサを例示したが、乳温センサの代わりに他のセンサ(内圧センサ等)を設けてもよいし、乳温センサに加えて他の一又は二以上の他のセンサを追加的に設けてもよい。他方、制御系5は、制御ボックス等により別途構成することにより、乳量計本体1mなどに付設してもよい。その他、乳量計1には必要により他の機能(構成)が付加されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係る乳量計1は、例示した搾乳システムWのみならず、各種形式の搾乳システムをはじめ、搾乳以外の用途や各種動物の乳量測定等、各種設置対象部に設置して利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1:乳量計,2:計量容器部,2i:流入口,2m:中間口,2e:流出口,2w:周面部,3:液面検出部(第一検出部),4:弁機構部,4u:第一バルブ,4d:第二バルブ,4us:傾斜面,4ds:傾斜面,5:制御系,6:第二検出部,6p:電極,6q:電極,9:第三検出部,11:台座部,12:検出ユニット,13…:乳流規制部,Lm:送乳ライン,Rs:気液分離室,Rm:計量室,M:乳,Mb:泡,Mu:乳の液面,De:流出口の内径,Dm:中間口の内径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送乳ラインの中途に接続し、流入口から流入する乳を貯留可能な計量容器部と、この計量容器部の内部に貯留される乳の液面を検出する液面検出部と、前記計量容器部の流出口を開閉可能な弁機構部と、少なくとも前記液面検出部が前記液面を検出したなら前記弁機構部を開閉制御する制御系を備える乳量計において、前記液面検出部(第一検出部)よりも下方の位置に、前記計量容器部の内部に貯留される乳の少なくとも電気伝導度を検出可能な電極を用いた第二検出部を配設してなることを特徴とする乳量計。
【請求項2】
前記計量容器部は、円筒状に形成し、上部に流入口を設け、縦方向中間部に中間口を設け、下部に流出口を設けることにより、前記中間口よりも上側を気液分離室に構成し、かつ前記中間口と前記流出口間を計量室に構成するとともに、前記中間口を開閉可能な第一バルブ及び前記流出口を開閉可能な第二バルブを有する前記弁機構部と、前記気液分離室内の乳の液面を検出可能な前記第一検出部と、前記計量室内における乳の電気伝導度を検出可能な第二検出部とを備えることを特徴とする請求項1記載の乳量計。
【請求項3】
前記第一検出部と前記第二検出部は、前記計量容器部の一部を構成し、かつ当該計量容器部に対して取付可能となる台座部に一体に設けた検出ユニットとして構成することを特徴とする請求項1又は2記載の乳量計。
【請求項4】
前記台座部には、乳の温度を検出する乳温センサを含む第三検出部を一体に設けることを特徴とする請求項3記載の乳量計。
【請求項5】
前記第一検出部は、前記計量容器部の周面部から内部内方に突出させることにより、又は前記計量室の下面部から内部上方へ突出させることにより、前記気液分離室内の乳の液面を検出可能な電極により構成することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の乳量計。
【請求項6】
前記第二検出部は、前記計量容器部の周面部から内部内方に突出させることにより、又は前記計量室の下面部から内部上方へ突出させることにより、前記計量室内における乳の電気伝導度を検出可能な電極により構成することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の乳量計。
【請求項7】
前記気液分離室は、内壁面下部から内方に突出し、前記流入口から流入した乳の流れを規制する少なくとも一つ以上の乳流規制部を備えることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の乳量計。
【請求項8】
前記第一バルブの下面及び/又は前記第二バルブの上面には、当該第一バルブと当該第二バルブ間における泡の滞留を防止可能な少なくとも傾斜面を形成してなることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の乳量計。
【請求項9】
前記流出口の内径は、前記中間口の内径よりも大きく選定することを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の乳量計。
【請求項10】
前記制御系は、前記第二検出部から検出する乳の電気伝導度により、少なくとも乳の特性を含む乳の情報を得る処理機能を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の乳量計。
【請求項11】
前記制御系は、前記第二検出部から検出する乳の電気伝導度により、少なくとも乳の有無を検出する検出機能を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の乳量計。
【請求項1】
送乳ラインの中途に接続し、流入口から流入する乳を貯留可能な計量容器部と、この計量容器部の内部に貯留される乳の液面を検出する液面検出部と、前記計量容器部の流出口を開閉可能な弁機構部と、少なくとも前記液面検出部が前記液面を検出したなら前記弁機構部を開閉制御する制御系を備える乳量計において、前記液面検出部(第一検出部)よりも下方の位置に、前記計量容器部の内部に貯留される乳の少なくとも電気伝導度を検出可能な電極を用いた第二検出部を配設してなることを特徴とする乳量計。
【請求項2】
前記計量容器部は、円筒状に形成し、上部に流入口を設け、縦方向中間部に中間口を設け、下部に流出口を設けることにより、前記中間口よりも上側を気液分離室に構成し、かつ前記中間口と前記流出口間を計量室に構成するとともに、前記中間口を開閉可能な第一バルブ及び前記流出口を開閉可能な第二バルブを有する前記弁機構部と、前記気液分離室内の乳の液面を検出可能な前記第一検出部と、前記計量室内における乳の電気伝導度を検出可能な第二検出部とを備えることを特徴とする請求項1記載の乳量計。
【請求項3】
前記第一検出部と前記第二検出部は、前記計量容器部の一部を構成し、かつ当該計量容器部に対して取付可能となる台座部に一体に設けた検出ユニットとして構成することを特徴とする請求項1又は2記載の乳量計。
【請求項4】
前記台座部には、乳の温度を検出する乳温センサを含む第三検出部を一体に設けることを特徴とする請求項3記載の乳量計。
【請求項5】
前記第一検出部は、前記計量容器部の周面部から内部内方に突出させることにより、又は前記計量室の下面部から内部上方へ突出させることにより、前記気液分離室内の乳の液面を検出可能な電極により構成することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の乳量計。
【請求項6】
前記第二検出部は、前記計量容器部の周面部から内部内方に突出させることにより、又は前記計量室の下面部から内部上方へ突出させることにより、前記計量室内における乳の電気伝導度を検出可能な電極により構成することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の乳量計。
【請求項7】
前記気液分離室は、内壁面下部から内方に突出し、前記流入口から流入した乳の流れを規制する少なくとも一つ以上の乳流規制部を備えることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の乳量計。
【請求項8】
前記第一バルブの下面及び/又は前記第二バルブの上面には、当該第一バルブと当該第二バルブ間における泡の滞留を防止可能な少なくとも傾斜面を形成してなることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の乳量計。
【請求項9】
前記流出口の内径は、前記中間口の内径よりも大きく選定することを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の乳量計。
【請求項10】
前記制御系は、前記第二検出部から検出する乳の電気伝導度により、少なくとも乳の特性を含む乳の情報を得る処理機能を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の乳量計。
【請求項11】
前記制御系は、前記第二検出部から検出する乳の電気伝導度により、少なくとも乳の有無を検出する検出機能を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の乳量計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−34458(P2013−34458A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175586(P2011−175586)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
[ Back to top ]