説明

乾燥収縮低減型セメント分散剤

【課題】 乾燥収縮低減効果を有するとともに、高い分散効果により減水性を有して少ない添加量でセメント組成物の単位水量と乾燥収縮を大幅に低減し、且つ、貯蔵安定性に優れた乾燥収縮低減型セメント分散剤を提供する。
【解決手段】 本発明は、ポリカルボン酸またはその塩の側鎖にオリゴアルキレングリコール類および/または多価アルコール類とが化学的に結合したグラフトポリマーを含有することを特徴とする乾燥収縮低減型セメント分散剤、ならびにポリカルボン酸またはその塩の側鎖にオリゴアルキレングリコール類および/または多価アルコール類と、ポリアルキレングリコールあるいはその誘導体とが化学的に結合したグラフトポリマーを含有することを特徴とする乾燥収縮低減型セメント分散剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセメント組成物、すなわち、例えばセメントペースト、グラウト、モルタルおよびコンクリ−ト等に使用される乾燥収縮低減型セメント分散剤に関する。詳しく言えば、本発明の乾燥収縮低減型セメント分散剤は、乾燥収縮低減効果と高い減水性とを有し、かつ、貯蔵安定性に優れるもので、セメント組成物の乾燥収縮によるひび割れの発生を抑制し、耐久性を向上させるものである。
【背景技術】
【0002】
一般にセメント組成物は、硬化あるいは乾燥に伴って体積の減少を示す。この中で乾燥による体積減少は「乾燥収縮」と呼ばれており、コンクリート構造物の壁体、床板等の主たるひび割れの原因となっている。
このひび割れは、コンクリート構造物の機能低下、剛性や水密性及び美観の低下をもたらすばかりでなく、ひび割れ部分から水と空気がコンクリート内部に浸透することにより、コンクリートの中性化を促進し、内部の鉄筋の錆の発生を促進するため、更にコンクリート硬化体のひび割れを助長して、コンクリート構造物の耐久性を著しく損なうものである。
【0003】
コンクリートの乾燥収縮を抑制する手段として、カルシウムスルホアルミネート、酸化カルシウム等を主成分とする膨張材を添加する方法が行われている。
また、乾燥収縮を小さくするために、コンクリートの練混ぜ水量(単位水量)を小さくすることは有効な手段であり、日本建築学会では高耐久コンクリートの単位水量の上限値を175kg以下と規定している。この規定を満たすために、高い減水性を有する高性能AE減水剤が一般的に使用されている。
更に、コンクリートの乾燥収縮自体を低減する目的で、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(特公昭56−51148号公報参照)やアルコキシポリアルキレン脂肪酸エステル(特開平3−290342号公報参照)、アルコール(特開平6−6500号公報参照)などの乾燥収縮低減剤が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の膨張材を使用する方法は、コンクリートの膨張がセメントの硬化の課程の極く早期に終了するため、長期にわたる乾燥収縮に追従することができない。また、膨張材は、乾燥収縮を低減するための適正な配合量を決定することが困難であるなどの欠点がある。
また、高性能AE減水剤を使用してコンクリートの単位水量を低減する方法は、十分に満足する収縮低減効果を得るには至っていない。
更に、前記の乾燥収縮低減剤は、十分な乾燥収縮低減効果を得るための添加量が著しく多いために経済的でなく、コンクリートに過大な空気を連行するという欠点を有するために消泡剤の併用が不可欠であり、また、コンクリートの単位水量を低減するためには、AE減水剤や高性能AE減水剤との併用が不可欠である。一般的に、乾燥収縮低減剤は、単独で使用されることは殆どなく、消泡剤、AE減水剤あるいは高性能AE減水剤を併用している。これらの剤を併用する場合、計量・添加装置が煩雑となるために、これらの剤は、混合した状態で使用されている。しかし、これらの剤の混合溶液は、貯蔵安定性が悪く、長期に保存すると消泡剤が分離するという欠点を有している。
【0005】
従って、本発明の課題は、従来の乾燥収縮低減剤の有する乾燥収縮低減効果と、従来の高性能AE減水剤の有する高い減水効果とを兼ね備え、極めて少ない使用量でセメント組成物の単位水量と乾燥収縮とを大幅に低減し、かつ、貯蔵安定性に優れた乾燥収縮低減型セメント分散剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の諸課題は、ポリカルボン酸またはその塩の側鎖にオリゴアルキレングリコール類および/または多価アルコール類とが化学的に結合したグラフトポリマーを含有することを特徴とする乾燥収縮低減型セメント分散剤、ならびにポリカルボン酸またはその塩の側鎖にオリゴアルキレングリコール類および/または多価アルコール類と、ポリアルキレングリコールあるいはその誘導体とが化学的に結合したグラフトポリマーを含有することを特徴とする乾燥収縮低減型セメント分散剤により飛躍的に解決される。
【0007】
本発明の前記のポリカルボン酸またはその塩としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体及びその部分エステル及びそれらの塩で重量平均分子量が9000から100000のもの(特開平1−92212号公報参照)、アリルエーテル−無水マレイン酸共重合体及びその誘導体及びそれらの塩で重量平均分子量が1000〜200000のもの(特開昭63−285140号公報参照)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体及びその誘導体及びそれらの塩で重量平均分子量が1000から500000のもの(特開昭58−74552号公報、特願平6−122808号明細書及び特開平1−226757号公報参照)及びイソブチレン−無水マレイン酸共重合体及びその誘導体及びそれらの塩で重量平均分子量が1000〜30000(特開昭60−103062号公報参照)が例示でき、また、これらの塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、低級アミン塩、低級アルカノールアミン塩が例示できる。
【0008】
本発明の前記のオリゴアルキレングリコール類としては、オリゴアルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキルアミノオリゴアルキレングリコール、オリゴアルキレングリコールアルキルフェニルエーテルあるいはそれらの誘導体が例示でき、それらの誘導体としては、エステル基、エポキシ基、多価アルコールが含まれる化合物が例示できる。
【0009】
前記のオリゴアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、ジエチレングリコール−ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコール−テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール−プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノイソプロピルエーテルあるいはそれらの誘導体が例示できる。
【0010】
前記のアルキルアミノオリゴアルキレングリコールとしては、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミンあるいはそれらの誘導体が例示できる。
【0011】
前記のオリゴアルキレングリコールアルキルフェニルエーテルとしては、ドデカプロピレングリコールフェニルエーテル、ペンタデカプロピレングリコールジメチルフェニルエーテル、トリエチレングリコール−ドデカプロピレングリコールノニルフェニルエーテルが例示できる。
【0012】
本発明の前記の多価アルコール類としては、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールあるいはそれらの誘導体が例示できる。
【0013】
本発明の前記のポリアルキレングリコールあるいはその誘導体としては、抑泡性を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック共重合体、エチレンオキシドの重合体、プロピレンオキシドの重合体であるか、あるいはそれらのモノアルキル(炭素数1〜14)エーテルあるいはそれらのモノエステルあるいはそれらの誘導体であり、それらの誘導体としては、アセチレン、脂肪酸エステル、リン酸エステルが例示できる。
【0014】
本発明の乾燥収縮低減型セメント分散剤の使用量は、基本的には、所望のセメント分散性を発現し得る量であり、つまり生コンクリートでいえばその所望のコンクリート減水性を発現し得る量である。
本発明に係る乾燥収縮低減型セメント分散剤は、前記グラフトポリマーを有効成分とするものであるが、本発明の目的を達成し得る範囲において、この有効成分に他の有効成分を混和して使用することが出来る。他の混和成分としては、一般にセメント添加剤あるいはコンクリート混和剤(材)として使用されているものならば何でもよいが、例示すれば、AE減水剤、減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE剤、凝結遅延剤、凝結・硬化促進剤、消泡剤、増粘剤などが例示できる。
【実施例】
【0015】
[作用]
本発明の乾燥収縮低減型セメント分散剤は、従来の乾燥収縮低減剤に比較して極めて少量の添加で優れた効果を発揮する。
その根拠は、理論上必ずしも解明されてはいないが、従来の乾燥収縮低減剤は、コンクリートの製造時にセメントの初期水和物に取り込まれたり、揮発等により長期間にわたりコンクリート中に存在することが難しいことが考えられる。
これに反し、本発明の乾燥収縮低減型セメント分散剤は、オリゴアルキレングリコール類および/又は多価アルコール類あるいはそれらの誘導体が化学的に結合しているために、セメントの水和物に取り込まれたり、揮発することが妨げられ、著しく少ない添加量で効果を発揮することが出来るものと考えられる。
また、ポリアルキレングリコールあるいはその誘導体が化学的に結合しているために、層分離することなく、優れた貯蔵安定性を示すものと考えられる。
【0016】
以下に、製造例、実施例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
[製造例]
1)ポリカルボン酸の製造
製造例1 スチレン−無水マレイン酸共重合体(サンプル記号S)
温度計、攪拌機、窒素導入管、滴下ロート、還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、メチルイソブチルケトン(MIBK);321.4重量部、無水マレイン酸;147.0重量部、ドデシルメルカプタン(DOMER;連鎖移動剤);6.0重量部を仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し窒素雰囲気下で110℃まで加熱し、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN;重合開始剤);6.0重量部、スチレン;156.0重量部を1時間かけて滴下する。その後攪拌下で2.5時間温度を保持したままで、反応を進行させた後、室温に冷却する。その結果サンプル記号Sである重量平均分子量21000(ポリエチレングリコール(PEG)換算)のスチレン−無水マレイン酸共重合体(SMAポリマー)を得る。
【0017】
製造例2 アリルエーテル−無水マレイン酸共重合体(サンプル記号A(A)、A(B))
温度計、撹拌機、適下ロート、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、メトキシ6エチレングリコールアリルエーテル(日本油脂(株)製);336重量部、無水マレイン酸;98.0重量部、ベンゾイルパーオキサイド(B・P);6.0重量部、トルエン;566.0重量部を仕込み、撹拌下に於て容器内を窒素置換した後80℃まで加熱し4時間温度を保持して反応を進行させた。ついで10mmHgの減圧下、110℃でトルエンを留去した後常温、常圧としサンプル記号A(A)である重量平均分子量23000(PEG換算)アリルエーテル−無水マレイン酸共重合体(AMAポリマー(A))を得る。
前記のアリルエーテルをメトキシ11エチレングリコールアリルエーテルに変え、前記と同一の条件によりサンプル記号A(B)であるAMAポリマー(B)を得る。
【0018】
製造例3 アリルエーテル−スチレン−無水マレイン酸共重合体(サンプル記号A(C)
温度計、撹拌機、適下ロート、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、メトキシ12エチレングリコールアリルエーテル(日本油脂(株)製);201.6重量部、スチレン;41.0重量部、無水マレイン酸;98.0重量部、B・P;6.0重量部、トルエン;566.0重量部を仕込み、撹拌下に於て容器内を窒素置換した後80℃まで加熱し4時間温度を保持して反応を進行させた。ついで10mmHgの減圧下、110℃でトルエンを留去した後常温、常圧としアリルエーテル−無水マレイン酸共重合体(AMAポリマー(C))を得る。
【0019】
2)グラフトポリマーの製造
製造例4(サンプル記号S01)
温度計、撹拌機、適下ロート、還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、製造例1で製造したサンプル記号S;200.7重量部(固形分101重量部)、MIBK;150.0重量部、トリブチルアミン(TBAm);13.3重量部を仕込み110℃に加熱し、滴下ロートに仕込んだ、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(M−PEG500:Mw=500);500.0重量部、ポリアルキレングリコール誘導体(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加物,商品名:プルロニックL−61:アデカ(株)製);58.0重量部、TBAm;13.3重量部を滴下し3時間温度を保ち攪拌を続けた後、MIBKを除去し、サンプル記号S01のグラフトポリマーを得る。
【0020】
製造例5(サンプル記号 S02〜08)
温度計、撹拌機、適下ロート、還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、製造例1で製造したサンプル記号S;200.7重量部(固形分101重量部)、MIBK;150.0重量部、TBAm;13.3重量部を仕込み110℃に加熱し、滴下ロートに仕込んだ、M−PEG500;250.0重量部とジエチレングリコールジプロピレングリコールモノブチルエーテル(商品名:GE−42−2P;日曹丸善ケミカル(株)製);139.0重量部、プルロニックL−61;58.0重量部、TBAm;13.3重量部を滴下し3時間温度を保ち攪拌を続けた後、MIBKを除去し、サンプル記号S02のグラフトポリマーを得る。 S03〜08は、オリゴアルキレングリコールの種類を変え、更にS07、08はプルロニックL−61を添加せずに、前記S02と同一条件により製造した。
【0021】
製造例6(サンプル記号 S09、10)
温度計、撹拌機、適下ロート、還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、製造例1で製造したサンプル記号S;200.7重量部(固形分101重量部)、MIBK;150.0重量部、TBAm;13.3重量部を仕込み110℃に加熱し、滴下ロートに仕込んだ、M−PEG500;250.0重量部とジメチルアミノエタノール;44.5重量部、プルロニックL−61;58.0重量部、TBAm;13.3重量部を滴下し3時間温度を保ち攪拌を続けた後、MIBKを除去し、サンプル記号S09のグラフトポリマーを得る。
S10は、前記ジメチルアミノエタノールをジブチルアミノエタノールに変え、前記S09と同一条件により製造した。
【0022】
製造例7(サンプル記号S11〜13)
温度計、撹拌機、適下ロート、還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、製造例1で製造したサンプル記号S;200.7重量部(固形分101重量部)、MIBK;150.0重量部、TBAm;13.3重量部を仕込み110℃に加熱し、滴下ロートに仕込んだ、M−PEG500;250.0重量部とオリゴアルキレングリコールフェニルエーテル;473.5重量部、TBAm;13.3重量部を滴下し3時間温度を保ち攪拌を続けた後、MIBKを除去し、サンプル記号S11のグラフトポリマーを得る。
S12、13は、前記オリゴアルキレングリコールフェニルエーテルの種類を変え、前記S11と同一条件により製造した。
【0023】
製造例8(サンプル記号S14〜16)
温度計、撹拌機、適下ロート、還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、製造例1で製造したサンプル記号S;200.7重量部(固形分101重量部)、MIBK;150.0重量部、TBAm;13.3重量部を仕込み110℃に加熱し、滴下ロートに仕込んだ、M−PEG500;250.0重量部とネオペンチルグリコール(NPG:三菱ガス化学(株)製);52.0重量部、プルロニックL−61;58.0重量部、TBAm;13.3重量部を滴下し3時間温度を保ち攪拌を続けた後、MIBKを除去し、サンプル記号S14のグラフトポリマーを得る。
S15、16は、多価アルコールの種類をペンタエリスリトール(PE:三菱ガス化学(株)製)およびヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール(ESG:三菱ガス化学(株)製)に変え、前記S14と同一条件により製造した。
【0024】
製造例9(サンプル記号A01、03、04)
温度計、撹拌機、適下ロート、還流冷却器を備えたガラス製反応容器にポリマーの製造例2で製造したサンプル記号A(A);108.5重量部、MIBK;150.0重量部を仕込み110℃に加熱し、滴下ロートに仕込んだGE−42−2P;173.8重量部、ポリアルキレングリコール誘導体(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加物,商品名:プルロニックL−64:アデカ(株)製);46.0重量部、TBAm;13.3重量部を滴下し110℃に加熱し3時間温度を保ち撹拌を続けた後、減圧下でMIBKを留去し、室温に冷却し水で希釈し40%水溶液として、サンプル記号A01のグラフトポリマーを得る。 A03はプルロニックL−64を添加せずに、A04はGE−42−2Pの半分量をPEに置換して、前記A01と同一条件により製造した。
【0025】
製造例10(サンプル記号A02)
温度計、撹拌機、適下ロート、還流冷却器を備えたガラス製反応容器にポリマーの製造例2で製造したサンプル記号A(A);108.5重量部、MIBK;150.0重量部を仕込み110℃に加熱し、滴下ロートに仕込んだジエチレングリコールプロピレングリコールモノブチルエーテル(商品名:GE−42−1P:日曹丸善ケミカル(株)製);139.1重量部、TBAm;13.3重量部を滴下し110℃に加熱し3時間温度を保ち撹拌を続けた後、減圧下でMIBKを留去し、室温に冷却し水で希釈し40%水溶液として、サンプル記号A02のグラフトポリマーを得る。
【0026】
製造例11(サンプル記号A05、06)
温度計、撹拌機、適下ロート、還流冷却器を備えたガラス製反応容器にポリマーの製造例2で製造したサンプル記号A(B);113.7重量部、トルエン;150重量部を仕込み110℃に加熱し、滴下ロートに仕込んだPE;45.5重量部、TBAm;13.3重量部を滴下し110℃に加熱し3時間温度を保ち撹拌を続けた後、減圧下でトルエンを留去し、室温に冷却し水で希釈し40%水溶液として、サンプル記号A05のグラフトポリマーを得る。
A06は、プルロニックL−64を添加せずに前記A05と同一条件により製造した。
【0027】
製造例12(サンプル記号A07〜10)
温度計、撹拌機、適下ロート、還流冷却器を備えたガラス製反応容器にポリマーの製造例3で製造したサンプル記号A(C);113.7重量部、MIBK;150重量部を仕込み110℃に加熱し、滴下ロートに仕込んだGE−42−2P;181.2重量部、プルロニックL−64;52.0重量部、TBAm;13.3重量部を滴下し110℃に加熱し3時間温度を保ち撹拌を続けた後、減圧下でMIBKを留去し、室温に冷却し水で希釈し40%水溶液として、サンプル記号A07のグラフトポリマーを得る。
A08はプルロニックL−64を添加せずに、A09、A10はGE−42−2PをPEに変え、更にA09はプルロニックL−64を添加せずに、前記A07と同一条件により製造した。
【0028】
製造例13(サンプル記号B01)
温度計、撹拌機、適下ロート、還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、サンプル記号Bであるイソブチレン−無水マレイン酸共重合体(商品名:イソバン600,Mw=6000:(株)クラレ製);77重量部、水酸化ナトリウム;16.0重量部、水;200、トルエンスルホン酸(PTS:酸触媒);1.0重量部を仕込み撹拌下に於て100℃まで加熱し、滴下ロートに仕込んだ、M−PEG500;500重量部、プルロニックL−61;58.0重量部、水;500重量部を滴下し、3時間反応を進行させた後、室温に冷却する。その結果サンプル記号B01のグラフトポリマーを得る。
【0029】
製造例14(サンプル記号B02〜05)
温度計、撹拌機、適下ロート、還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イソバン600,;77重量部、水酸化ナトリウム;16.0重量部、水;200、PTS;1.0重量部を仕込み撹拌下に於て100℃まで加熱し、滴下ロートに仕込んだ、M−PEG500;250重量部、GE−42−2P;139重量部、プルロニックL−61;58.0重量部、水;500重量部を滴下し、3時間反応を進行させた後、室温に冷却する。その結果サンプル記号B02のグラフトポリマーを得る。
B03〜05はオリゴアルキレングリコールの種類を変え、前記B02と同一条件により製造した。
【0030】
製造例15(MAAポリマー、サンプル記号M01)
温度計、撹拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応容器にアクリル酸クロライド;120重量部、GE−42−2P;306重量部、トリエチルアミン;100.0重量部、トルエン;500重量部を仕込み、80℃に加熱して10時間反応させる。室温に冷却後ジエチルエーテルにより抽出し、アクリル酸(GE422P)エステルを得る。同様にして、GE−42−2Pをポリアルキレングリコール誘導体(アセチレンアルコールポリオキシエチレン付加物,商品名:サーフィノール440;日信化学(株)製)に変え、アクリル酸(サーフィノール440)エステルを得る。
温度計、撹拌機、適下ロート、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イソプロピルアルコール(IPA);195.0重量部を仕込み、反応容器内を窒素置換し、80℃に加熱する。滴下ロートに仕込んだメトキシ9エチレングリコールメタクリレート(商品名:NK−M90G:共栄社油脂化学工業(株)製);66.5重量部、メタクリル酸;23.1重量部、前記アクリル酸(GE422P)エステル;29.6重量部、前記アクリル酸(サーフィノール440)エステル;2.3重量部、B・P;1.2重量部、IPA;120.0重量部を2時間かけて滴下した後、B・P;0.245重量部とIPA;5重量部を添加し、30分後にもう一度B・P;0.245重量部とIPA;5重量部を添加する。その後温度を保持したまま1時間30分撹拌を続け反応を進行させる。室温に冷却し、30%水酸化ナトリウム溶液;15重量部と水;100重量部を加え中和し、エバポレーターでIPAを留去し、分子量32000(PEG換算)のサンプル記号M01のグラフトポリマーを得る。
【0031】
製造例16(MAAポリマー、サンプル記号M02〜10)
温度計、撹拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応容器にアクリル酸クロライド;120重量部、ジブチルアミノエタノール;190重量部、トリエチルアミン;100.0重量部、トルエン;500重量部を仕込み、80℃に加熱して10時間反応させる。室温に冷却後ジエチルエーテルにより抽出し、アクリル酸(ジブチルアミノエタノール)エステルを得る。
温度計、撹拌機、適下ロート、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、IPA;195.0重量部を仕込み、反応容器内を窒素置換し、80℃に加熱する。滴下ロートに仕込んだNK−M90G;66.5重量部、メタクリル酸;23.1重量部、前記アクリル酸(ジブチルアミノエタノール)エステル;29.6重量部、前記アクリル酸(サーフィノール440)エステル;2.3重量部、B・P;1.2重量部、IPA;120.0重量部を2時間かけて滴下した後、B・P;0.245重量部とIPA;5重量部を添加し、30分後にもう一度B・P;0.245重量部とIPA;5重量部を添加する。その後温度を保持したまま1時間30分撹拌を続け反応を進行させる。室温に冷却し、30%水酸化ナトリウム溶液;15重量部と水;100重量部を加え中和し、エバポレーターでIPAを留去し、分子量32000(PEG換算)のサンプル記号M07のグラフトポリマーを得る。
M02〜06、08〜10は、単量体組成、官能基をそれぞれ変え、前記M01およびM07と同一条件により製造した。
【0032】
前記のとおり製造例1〜16により、下記の一般式Sで表されるグラフトポリマー(スチレン−無水マレイン酸共重合体およびその部分エステルおよびその誘導体)、一般式Aで表されるグラフトポリマー(アリルエーテル−無水マレイン酸共重合体およびその誘導体)、一般式Bで表されるグラフトポリマー(イソブチレン−無水マレイン酸共重合体およびその誘導体)、一般式Mで表されるグラフトポリマー((メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体およびその誘導体)を製造した。
製造した各種のグラフトポリマーを表1に示す。なお、表1における単量体組成a,b,c,dおよびnは、下記に示す一般式中のa,b,c,dおよびnを意味する記号であり、また、R欄のBuはブチル基を、Meはメチル基をiPrはイソプロピル基をPhはフェニル基を、EOはエチレンオキシド残基を、POはプロピレンオキシド残基を表し、NPGはネオペンチルグリコールを、PEはペンタエリスリトールを、ESGはヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールを表し、L欄のL61およびL64はそれぞれアデカ(株)製のプルロニックL−61およびプルロニックL−64を、440は日信化学(株)製のサーフィノール440を表し、分子量はGPCにより求めた重量平均分子量であり、PEG換算値として表示し、表面張力における溶液濃度は、表3におけるコンクリート練混ぜ水中のサンプル濃度と同一とした。
【0033】
一般式S
【化1】

[式中、Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、低級アミンまたは、低級アルカノールアミンを表し、Phはフェニル基を、Meはメチル基を、Rはオリゴアルキレングリコール類および/または多価アルコール類を、Lは、水素、ポリアルキレングリコールまたはその誘導体を表す。EOはエチレングリコール残基であり、nは0〜100の整数である。
aは1、bは0.5、cは0.5〜0.45、dは0〜0.05]
【0034】
一般式A
【化2】

[式中、Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、低級アミンまたは、低級アルカノールアミンを表し、Phはフェニル基を、Meはメチル基を、Rはオリゴアルキレングリコール類および/または多価アルコール類を、Lは、水素、ポリアルキレングリコールまたはその誘導体を表す。EOはエチレングリコール残基であり、nは0〜100の整数である。
aは0.5〜1、bは0〜0.5、cは0.95〜1、dは0〜0.05]
【0035】
一般式B
【化3】

[式中、Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、低級アミンまたは、低級アルカノールアミンを表し、Meはメチル基を、Rはオリゴアルキレングリコール類および/または多価アルコール類を、Lは、水素、ポリアルキレングリコールまたはその誘導体を表す。EOはエチレングリコール残基であり、nは0〜100の整数である。
aは1、bは0.5、cは0.5〜0.45、dは0〜0.05]
【0036】
一般式M
【化4】

[式中、Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、低級アミンまたは、低級アルカノールアミンを表し、Meはメチル基を、Rはオリゴアルキレングリコール類および/または多価アルコール類を、Lは、水素、ポリアルキレングリコールまたはその誘導体を表す。EOはエチレングリコール残基であり、nは0〜100の整数である。
aは0.5〜5、bは0.5〜10、cは0.1〜5、dは0〜0.2]
【0037】
【表1】

【0038】
[実施例]
1)セメント分散剤の調製
製造例1〜16によって製造された各グラフトポリマーを含有する溶液から なるセメント分散剤を調製した(表3、実施例1〜39)。比較のため、高性 能AE減水剤及び/又は消泡剤が化学的に結合していないグラフトポリマーと 、高性能AE減水剤及び/又は消泡剤との混合液からなるセメント分散剤(表 3、比較例1〜10)を調製した。
2)溶液の貯蔵安定性試験
抑泡性を有するポリアルキレングリコールあるいはその誘導体を化学的に結合したグラフトポリマー(サンプル名:M02〜05,M07〜10、B02,B04,B05、A01,A02,A04,A05,A07,A10、S02〜06,S09,S10,S12〜14,S16)溶液からなるセメント分散剤及び消泡剤が化学的に結合していないグラフトポリマーS07と消泡剤との混合液からなるセメント分散剤をそれぞれ、50℃の雰囲気に静置・保存して、溶液の相溶性の程度を目視により観察して貯蔵安定性を試験した。
試験の結果、S07と消泡剤[ポリアルキレングリコール誘導体(アデカ(株)製、商品名:プルロニックL−61)]との混合液は、24時間後にS07と消泡剤とが2層に分離したのに対して、抑泡性を有するポリアルキレングリコールあるいはその誘導体を化学的に結合したグラフトポリマー溶液は、1ケ月経過後においても均一に相溶した状態を保ち、分離は認められなかった。
3)コンクリートの製造
3−1)コンクリートの製造
コンクリートは、表−2に示した混和剤を用いない配合のプレーンコンクリート(配合I)、プレーンコンクリートから単位水量を18%低減した配合(配合II)の2種類の配合により、目標スランプ18.5±1.5cm、目標空気量4.5±0.5容積%に設計し、練混ぜ量が80リットルになるようにそれぞれ材料を計量し、100リットルパン型強制ミキサに前記製造例1〜16で製造されたグラフトポリマーを含有するセメント分散剤を含む全材料を投入した後、90秒間練混ぜを行い表3に示される実施例1〜39、比較例1〜10のコンクリートを製造した。なお、空気量は必要に応じて消泡剤及びAE剤を使用して調製した。
【0039】
【表2】

【0040】
3−2)使用材料
a.細 骨 材:大井川水系陸砂(比重=2.60、粗粒率=2.76)
b.粗 骨 材:青梅産硬質砂岩砕石(比重=2.65、最大寸法=20mm) c.セメント:普通ポルトランドセメント(比重=3.16、秩父小野田、住友、三菱社製セメントを等量混合した。)
d.高性能AE減水剤:
(株)エヌエムビ−製 レオビルドSP−8N(SP8と略記する) (株)エヌエムビ−製 レオビルドSP−9N(SP9と略記する) e.乾燥収縮低減剤:
・ジエチレングリコールジプロピレングリコールモノブチルエー テル、日曹丸善ケミカル(株)製 GE−42−2P(GE2Pと略記する)
・ネオペンチルグリコール、三菱ガス化学(株)製(NPGと略記する)
f.消泡剤:(株)エヌエムビ−製 空気量調製剤No.404(主成分:ポリアルキレングリコール誘導体)
g.ポリカルボン酸及びグラフトポリマー:製造例1〜16で製造されたグラフトポリマー
表3におけるポリカルボン酸およびグラフトポリマーの使用量は、固形分換算値を示す。
【0041】
4)コンクリート試験方法
a.スランプ:JIS A 1101により、練混ぜ直後および練混ぜから60分後において行った。
b.長さ変化:JIS A 1132、JIS A 1129による。
c.空気量 :JIS A 1128による。
d.凝結時間:JIS A 6204付属書1による。
e.圧縮強度:JIS A 1132、JIS A 1108により、材齢28日で測定した。
【0042】
5)コンクリート試験結果
コンクリート試験結果は表3に示すとおりであり、下記の効果が確認される。 a.減水性
本発明に係るグラフトポリマー(S02〜S16、A01〜A10、B02〜B05、M01〜M10)を使用した実施例1〜39は、プレーンコンクリートの配合Iから18%減水した配合IIにおいて、高性能AE減水剤(SP8、SP9)を使用した比較例2、3及びポリカルボン酸塩(S01,B,A01,M)を使用した比較例4〜7と同等のスランプ(流動性)を示しており、その減水性は、高性能AE減水剤と同等である。
また、比較例4と実施例1〜15、比較例5と実施例16〜25、比較例6と実施例26〜29及び比較例7と実施例30〜39との比較から明らかなように、本発明に係るグラフトポリマーは、ポリカルボン酸塩と同等の使用量で、同等の減水性が得られる。
b.経時によるスランプ低下
実施例1〜39は、比較例1と比べて時間経過に伴うスランプの低下が小さく、また、比較例2、3と同様に60分後のスランプ値は練混ぜ直後のスランプ値とほぼ同等であり、経時によるスランプ低下は、高性能AE減水剤と同様に極めて小さい。
【0043】
【表3】

【0044】
c.乾燥収縮低減効果(図1参照)
比較例2〜7(高性能AE減水剤を単独で使用)の乾燥収縮率は、比較例1に比べ僅かに低減されているが十分な乾燥収縮低減効果ではない。
実施例1〜39及び比較例8、9は、比較例1、比較例2〜7と比較して、優れた乾燥収縮低減効果を発揮している。
また、実施例1〜39と比較例8、9との比較から明らかなように、実施例1〜39の使用量は、セメント重量に対し0.15〜0.38%と極めて少ない添加量で、優れた乾燥収縮低減効果を発揮しているのに対し、比較例8、9は、実施例1〜39と同等の乾燥収縮低減効果を得るためには、ポリカルボン酸塩を0.2%、乾燥収縮低減剤GE2Pを2.0%、あるいはポリカルボン酸塩0.18%、乾燥収縮低減剤NPGを2.3%と多量に添加する必要がある。
また、比較例8は、ポリカルボン酸塩と、実施例1と等量のGE2Pとを併用した例であるが、GE2Pの乾燥収縮低減効果は認められない。それに対して、ポリカルボン酸塩にGE2Pを化学的に結合した実施例1は、優れた乾燥収縮低減効果を発揮している。
d.空気連行性
抑泡性を有するポリアルキレングリコールを化学的に結合したグラフトポリマーを使用した実施例1〜5、8、9、11〜13、15〜17、19、20、22、25、26、28、29、31〜34、36〜39は、空気連行性がないためAE剤を使用して空気量を調製した。また、実施例6、7、10、14、16、18、21、23、24、27、30、35は、消泡剤を用いて空気量を調製した。
【0045】
e.凝結時間
実施例1〜39の凝結時間は、比較例2、3と同程度であり、凝結遅延性はほとんどない。
f.圧縮強度
実施例1〜39の強度発現性は、比較例2、3と同程度あるいはそれ以上である。
【0046】
本発明による乾燥収縮低減型セメント分散剤は、貯蔵安定性に優れるものであり、極めて少ない使用量でセメント組成物の乾燥収縮を低減し、減水性をも有しているため単位水量を低減し、かつ耐久性に優れたセメント組成物を経済的に製造することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】コンクリートの材齢と長さ変化率を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカルボン酸またはその塩の側鎖に、オリゴアルキレングリコール類および/または多価アルコール類が化学的に結合したグラフトポリマーを含有することを特徴とする乾燥収縮低減型セメント分散剤。
【請求項2】
ポリカルボン酸またはその塩の側鎖に、オリゴアルキレングリコール類および/または多価アルコール類と、ポリアルキレングリコールあるいはその誘導体とが化学的に結合したグラフトポリマーを含有することを特徴とする乾燥収縮低減型セメント分散剤。
【請求項3】
ポリカルボン酸またはその塩がスチレン−無水マレイン酸共重合体およびその部分エステル、アリルエーテル−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体またはそれら共重合体の誘導体もしくはそれらの塩であり、その塩がアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、低級アミン塩、低級アルカノールアミン塩である請求項1または請求項2の何れかに記載の乾燥収縮低減型セメント分散剤。
【請求項4】
オリゴアルキレングリコール類が、オリゴアルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキルアミノオリゴアルキレングリコール、オリゴアルキレングリコールアルキルフェニルエーテルあるいはそれらの誘導体である請求項1、請求項2および請求項3の何れかに記載の乾燥収縮低減型セメント分散剤。
【請求項5】
多価アルコール類がネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールあるいはそれらの誘導体である請求項1、請求項2、請求項3および請求項4の何れかに記載の乾燥収縮低減型セメント分散剤。
【請求項6】
ポリアルキレングリコールあるいはその誘導体が、抑泡性を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック共重合体、エチレンオキシドの重合体、プロピレンオキシドの重合体の何れかであるかあるいはそれらのモノアルキルエーテルあるいはそれらのモノエステルあるいはそれらの誘導体である請求項2、請求項3、請求項4および請求項5の何れかに記載の乾燥収縮低減型セメント分散剤。

【図1】
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【公開番号】特開2007−332027(P2007−332027A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233506(P2007−233506)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【分割の表示】特願平8−31219の分割
【原出願日】平成8年1月26日(1996.1.26)
【出願人】(398012786)BASFポゾリス株式会社 (8)
【Fターム(参考)】