説明

乾燥機

【課題】槽に入れた衣類の乾燥を行なう場合の吸放湿手段として、水分吸着剤を担持して回転するデシカントロータを採用した乾燥機において、デシカントロータが吸湿した湿気を放出する際の熱を回収して、熱の有効利用を図ることができる乾燥機を提供するものである。
【解決手段】槽内の衣類の乾燥を行う乾燥工程を実行するためにデシカント除湿装置を備えた乾燥機において、デシカント除湿装置は、槽から導入される空気中の水分を吸着すると共にその水分を放出し、乾燥した空気を槽へ帰還させる通風路を備え、水分を放出した高温多湿空気中の湿気を凝縮させる、金属からなる凝縮器を設け、この凝縮器は、高温多湿空気と外気とを熱交換し、この熱交換にて温度の上昇した外気を槽へ帰還する空気へ合流させる通路構成としたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽内に入れた衣類を乾燥する乾燥機において、衣類乾燥を行なう場合の吸放湿手段として、水分吸着剤を担持して回転するデシカントロータを採用した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯槽(乾燥庫)に入れた衣類を乾燥する洗濯乾燥機において、衣類乾燥を行なう場合の吸放湿手段として、水分吸着剤を担持して回転するデシカントロータを採用したものがある(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のものは、衣類乾燥を行なう場合の吸放湿手段として、水分吸着剤を担持して回転するデシカントロータを採用し、送風機によって、衣類を入れた乾燥庫から出た循環空気を、ヒートポンプ装置の放熱器とデシカントロータの放湿部とヒートポンプ装置の吸熱器とデシカントロータの吸湿部を経て、再び乾燥庫に導く循環風路を循環させ、循環風路途中に設けた排熱手段によって循環空気の熱を外部に排出するようにするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−105209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、槽内に入れた衣類の乾燥を行なう場合の吸放湿手段として、水分吸着剤を担持して回転するデシカントロータを採用した乾燥機において、デシカントロータが吸湿した湿気を放出する際の熱を回収して、槽内に入れた衣類の乾燥に寄与させる技術を提供するものである。
【0006】
本発明は、この目的達成のために、デシカントロータの放湿部を通過した高温多湿空気の湿気を凝縮させる凝縮器として、乾燥機外の外気とこの高温多湿空気とを熱交換する熱交換通路構成によって、高温多湿空気の湿気を凝縮させると共に、熱交換によって温度の上昇した外気を槽に循環させることにより、熱の有効利用を図ることができる洗濯乾燥機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明は、槽内の衣類(洗濯物)の乾燥を行う乾燥工程を実行するためにデシカント除湿装置を備えた乾燥機において、前記デシカント除湿装置は、前記槽から導入される空気中の水分を吸着すると共にその水分を放出し、乾燥した空気を前記槽へ帰還させる通風路を備え、前記水分を放出した高温多湿空気中の湿気を凝縮させる、金属からなる凝縮器を設け、前記凝縮器は、前記高温多湿空気と外気とを熱交換し、この熱交換にて温度の上昇した外気を前記槽へ帰還する空気へ合流させる通路構成としたことを特徴とする。
【0008】
第2発明は、第1発明において、前記凝縮器は、前記高温多湿空気が通過する通路が複数並列配置された第1並列通路と、前記外気が通過する通路が複数並列配置された第2並列通路とを備え、前記第1並列通路と第2並列通路が熱交換壁を介して交差状態に配置された組み合わせが複数積層された構成であることを特徴とする。
【0009】
第3発明は、第2発明において、前記第1並列通路は熱伝導部材の押し出し成形にて形成された第1並列通路部材で構成され、前記第2並列通路は隣り合う前記第1並列通路部材間に亘る連続した波形の熱伝導部材にて形成された第2並列通路部材であることを特徴とする。
【0010】
第4発明は、第2発明において、前記第1並列通路と前記第2並列通路は、それぞれ並行配置した平板状の熱交換壁間に、連続する略三角形状の波形に成形された通路部材によって形成されたことを特徴とする。
【0011】
第5発明は、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、前記凝縮器の上流側において前記槽へ帰還する空気へ前記高温多湿空気の熱を回収する熱回収器を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明では、乾燥工程においてデシカント装置によって槽内の衣類から放出される水分を吸着し放出する場合、凝縮器での高温多湿空気と外気との熱交換により温度が上昇した外気は、槽へ帰還する空気へ合流することにより、凝縮器での熱回収が効果的に行なえると共に、槽内での衣類(洗濯物)の乾燥を促進できる効果がある。
【0013】
第2発明では、第1発明の効果に加えて、高温多湿空気と外気とが交差状態で熱交換するため、高温多湿空気中の湿気の凝縮効率が向上したものとなる。
【0014】
第3発明では、第2発明の効果に加えて、第1並列通路は熱伝導部材の押し出し成形にて形成されることにより、第2並列通路を波形部材にて形成することが容易となり、第1並列通路部材が強度維持効果を奏することによって、凝縮器が安価に且つ組み立てし易い形態となり、更に熱交換の良好な形態とすることが容易となる。
【0015】
第4発明では、第2発明の効果に加えて、第1並列通路と第2並列通路は、それぞれ並行配置した平板状の熱交換壁間に連続する略三角形状の波形に成形された通路部材によって形成されることにより、同じ形態をなすものとなり、凝縮器の形成がし易くコスト低下に寄与できるものとなる。
【0016】
第5発明では、上記の効果に加えて、凝縮器の上流側に配置した熱回収器によって、高温多湿空気の熱を槽へ帰還する空気へ回収するため、排熱の有効回収効果が得られると共に、衣類(洗濯物)の乾燥スピードが速くなる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る洗濯乾燥機の要部縦断側面図である。
【図2】本発明に係る洗濯乾燥機のデシカント装置の説明図である。
【図3】本発明に係る凝縮器の斜視図である。
【図4】本発明に係る凝縮器における高温多湿空気が通過する第1並列通路の正面図である。
【図5】本発明に係る凝縮器における大きい外気通路形態を示す図である。
【図6】本発明に係る凝縮器における中間的大きさの外気通路形態を示す図である。
【図7】本発明に係る凝縮器における小さい外気通路形態を示す図である。
【図8】本発明に係る凝縮器の第1並列通路と第2並列通路が略同じ形態で構成された外気通路形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、槽内の衣類(洗濯物)の乾燥を行う乾燥工程を実行するためにデシカント除湿装置を備えた乾燥機において、前記デシカント除湿装置は、前記槽から導入される空気中の水分を吸着すると共にその水分を放出し、乾燥した空気を前記槽へ帰還させる通風路を備え、前記水分を放出した高温多湿空気中の湿気を凝縮させる、金属からなる凝縮器を設け、前記凝縮器は、前記高温多湿空気と外気とを熱交換し、この熱交換にて温度の上昇した外気を前記槽へ帰還する空気へ合流させる通路構成としたものである。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明に係る乾燥機のうち、衣類乾燥機能付き洗濯機1(以下、洗濯乾燥機1という)に基づき、本発明の実施例を説明する。
先ず、洗濯乾燥機1の洗濯機能及び乾燥機能について説明する。
図1において、洗濯乾燥機1は、筐体2内に斜めに配置された洗濯槽3(以下、適宜「槽」という。)を備え、洗濯槽3には、洗濯時に水を溜めるための外槽4と、外槽4内に回転自在に収容されたドラム5とが含まれている。ドラム5は、その周側面に外槽4に溜めた水が流通する多数の通水孔5Aが穿設されており、外槽4の後方に備えられたDDモータ6によって回転軸7を中心に回転される。回転軸7は、前方に向かって斜め上方へ延びており、いわゆる斜めドラム構造をしている。ドラム5の前面側の出入口8及び外槽4の前面側の出入口9は、筐体2に取り付けられた円形のドア10によって開閉される。ドア10は、ドラム5の内部を透視できるように、ドラム5の出入口8対応面が透明である。ドア10が開けられ、出入口8、9を通ってドラム5内への衣類(洗濯物)の出し入れがされる。洗濯槽3はコイルばね及び空気ダンパを含むサスペンション(図示せず)によって複数個所で筐体2に支持されている。5Bは、ドラム5と共に洗濯物を回転させるためのブレードである。
【0020】
筐体2の正面上部(ドア10の上方)には、制御部12(制御手段)に電気的に接続された操作・表示部13が配置されている。操作・表示部13には、複数の操作キー(図示せず)及び表示器(図示せず)が配列されており、操作キー(図示せず)を操作することで洗濯乾燥機1の運転を制御でき、表示器(図示せず)には洗濯乾燥機1の運転状況が表示される。
【0021】
筐体2内の下部には、後述する乾燥工程において作動するデシカント除湿装置20、デシカント除湿装置20で除湿した水分を溜める貯水タンク21、貯水タンク21の水を洗濯槽3等へ供給するポンプ22等が配置されている。筐体2内の上部で洗濯槽3の上方部には、上水道水管からの水を水路へ供給するのを制御するための給水バルブ17と、注水口ユニット18と、オゾン(浄化用空気)を発生するオゾン発生装置19(以下、オゾン発生器19という)が備えられている。なお、貯水タンク21を設けない場合は、デシカント除湿装置20で除湿した水分は、洗濯乾燥機1の排水と共に下水路へ排水する構成とする。
【0022】
洗濯工程では、給水バルブ17が制御されて、上水道水が洗濯槽3内に溜められる。その際、水が注水口ユニット18内の洗剤容器(図示せず)を通過して洗濯槽3に至るようにすれば、洗剤が解けた水を洗濯槽3に溜めることができる。洗濯工程では、DDモータ6によりドラム5が回転される。
【0023】
乾燥工程では、洗濯槽3内の後面、具体的には外槽4の後面から吸い出された湿気を帯びた空気は、空気出口風路66を通ってデシカント除湿装置20へ導かれ、デシカント除湿装置20を通過する間に湿気が除去された空気となり、空気入口風路67から洗濯槽3内へ再び帰還するように空気循環路JRが形成されている。この空気循環路JRの途中に、空気循環路JRの空気の一部が洗濯乾燥機1の外へ排出される放湿通路HRが接続されており、空気循環路JRの空気の一部が放湿通路HRを通って洗濯乾燥機1の外へ排出される。また、この放湿通路HRから排出される空気量に見合う空気量が、外気導入路GRから補充される仕組みである。
【0024】
制御部12(制御手段)は、洗濯乾燥機1の制御中枢であり、マイクロコンピュータで構成されていて、例えば、筐体2の内部正面下方に配置されている。また、制御部12には、タイマ(運転時間設定手段)が内蔵されており、水位センサや洗濯槽3内の空気の温度を検出する温度センサ等の入力が接続されている。制御部12によって、DDモータ6、操作・表示部13、給水バルブ17、オゾン発生器19、ポンプ22、デシカントモータ38、排水バルブ43、切り替え弁44、デシカント除湿装置20のヒータ39Aと39B、及び送風機40の電動機40A等が制御される。
【0025】
洗濯乾燥機1の使用者は、操作・表示部13(図1参照)において、電源スイッチ操作や、洗濯工程(洗い工程及びすすぎ工程)の設定や、脱水工程の設定や、乾燥工程の設定や、オゾン発生器19による浄化運転を実行させる設定等のための操作キー(図示せず)の操作や、運転開始スイッチ操作等をする。各設定操作の後、運転開始スイッチ操作に基づいて、制御部12は、制御部12に接続されている各部品の作動または駆動を制御して、洗濯工程(洗い工程及びすすぎ工程)や、乾燥工程や、脱水工程や、浄化運転を実行する。この際、前記タイマが、時間設定したり、経過時間を測定したりする。
【0026】
洗濯工程(洗い工程及びすすぎ工程)において、供給される水道水が洗濯槽3へ給水され、洗濯槽3に水が溜められる。洗濯槽3の底面最下部(より具体的には外槽4の底面最下部)には排水口42が形成されている。排水口42には排水バルブ43の流入口が接続されている。排水バルブ43が閉じることにより、洗濯槽3(外槽4)内に水を溜めることができる。洗濯槽3内の水位は、水位センサにより検知され、洗濯槽3に一定量の水が溜まった状態で、給水バルブ17が閉じて給水が終わる。洗濯槽3(外槽4)内に水を溜めた状態で、DDモータ6によりドラム5が正逆回転されて、所定の洗濯工程が行なわれる。すすぎ工程の途中に行なわれる水の入れ替え時の排水は、排水バルブ43が開いて行なわれる。
【0027】
洗濯乾燥機1には、すすぎ工程(すすぎ運転ともいう)が行われ、且つ脱水工程が行われた後、制御部12の動作に基づく乾燥工程を実行するためにデシカント除湿装置20が備えられている。デシカント除湿装置20は、図2に示すように、洗濯槽3の空気が導入される空気入口風路66と、洗濯槽3へ空気を導出する空気出口風路67とを備えた空気循環路JRを備え、送風機40と、デシカントロータ200と、ヒータ39A、ヒータ39Bと、凝縮器41と、熱回収器45が配置された構成である。送風機40は回転翼40Bをモータ40Aで回転する構成である。
【0028】
デシカントロータ200は、例えば、厚さ25mmで直径200mmの円板状ロータで構成され、デシカントロータ200は、モータ38によって低速回転(例えば、1分間に2〜5回転)しつつ、空気が通過する円板構成であり、その平面領域の一部分である吸湿部200Bで吸湿すると共に、その平面領域の他の部分である放湿部200Aで放湿する作用によって、この回転中に、吸湿部200Bにおいて水分を吸着すると共に、放湿部200Aでその水分を放出(脱着ということもある)する作用が連続して行なわれる。実施例として、その円板の平面の五分の四が空気入口風路66から導入される空気が接触する吸湿部200Bを形成し、その円板の平面の残りの五分の一が放湿部200Aを構成することにより、湿気を有効に吸湿し放出(脱着)するように構成されている。
【0029】
デシカントロータ200は低速回転しつつ、水分を吸着し加熱によってその水分を放出する作用の吸湿剤を担持し、吸湿剤としては、シリカゲル、ゼオライト、ポリアクリル酸系高分子等が使用される。
【0030】
ヒータ39Aは、送風機40によって洗濯槽3を通過する空気循環を行なう空気循環路JRの空気を加熱するものである。また、ヒータ39Bは、 デシカントロータ200の放湿部200Aへ流入する空気を加熱するものである。ヒータ39A、39Bは、小型化のために半導体ヒータ(抵抗温度特性が正特性のダイオード)が採用されている。
【0031】
図2において、空気の流れは、送風機40の運転によって、ヒータ39Aで熱せられた略55℃の熱い乾いた空気が空気出口風路67から洗濯槽3へ流入し、洗濯槽3内の衣類(洗濯物)を加熱して湿気を蒸発させた後、洗濯槽3を出た略30℃の湿った空気が空気入口風路66からデシカントロータ200の吸湿部200Bへ流入して、空気中の湿気が吸湿部200Bで吸着される。そして、吸湿部200Bを通過した乾いた空気は、再び送風機40からヒータ39Aで熱せられ、空気出口風路67から洗濯槽3へ加熱乾燥空気として流入するように、空気循環路JRによって循環する。
【0032】
送風機40を出て空気出口風路67側へ流れる空気の一部は、分岐した放湿通路HRを流れ、その間にヒータ39Bで略75℃に加熱された熱い乾いた状態で、デシカントロータ200の放湿部200Aへ流入し、そこで吸湿部200Bで吸着した空気中の湿気を放湿して高温多湿空気とする。この放湿部200Aを出た高温多湿空気は、その熱が熱回収器45で熱回収された後、凝縮器41でその高温多湿空気中の湿気が凝縮して除去され、乾燥空気となって放湿通路HRの出口通路HR1から洗濯乾燥機1が設置された周囲へ放出される。
【0033】
放湿部200Aを出た高温多湿空気の熱は、熱回収器45で熱回収する。このため、熱回収器45では、空気入口風路66からデシカントロータ200の吸湿部200Bへ流入する洗濯槽3を出た略30℃の湿った空気を、前記高温多湿空気によって加熱するために、洗濯槽3を出た前記湿った空気が通過する通路45Bと前記高温多湿空気が通過する通路45Aとが熱交換するように、配管構成されたものである。この構成は、後述の凝縮器41の構成と同様または類似の形態であってもよい。
【0034】
凝縮器41は、デシカントロータ200の放湿部200Aから出た高温多湿空気と、外気通路GRから取り入れる洗濯乾燥機1の周囲の外気とを熱交換し、この熱交換にて温度の上昇した外気を洗濯槽3へ帰還する空気へ合流させる通路構成としている。実施例では、デシカントロータ200の放湿部200Aを出た高温多湿空気の熱が、熱回収器45で回収されて温度が低くなり、凝縮器41に流入する外気は、熱回収器45を出た高温多湿空気と熱交換して温度が上昇した状態で、デシカントロータ200の吸湿部200Bの上流部で、洗濯槽3へ帰還する空気へ合流する。その合流部GBは、図2に示すように、デシカントロータ200の吸湿部200Bの上流部であって、しかも熱回収器45の上流部である。
【0035】
図3に本発明に係る凝縮器41の斜視図を示している。凝縮器41は、所期の熱交換量を達成するために、図3に示すように、高温多湿空気と外気とが交差状態で熱交換する構成とし、高温多湿空気が通過する通路が複数並列配置された第1並列通路30と、外気が通過する通路が複数並列配置された第2並列通路31とが、熱交換壁を介して上下位置にて略直交状態で交差するように、上下に交互に積層配置された構成である。
【0036】
図4は高温多湿空気が通過する第1並列通路30の端面側の図であり、図5は外気が通る第2並列通路31の端面側の図である。第1並列通路30は、熱伝導部材の一つであるアルミニウムの押し出し成形にて形成された第1並列通路部材30Aで構成される。また、第2並列通路31は、上下配置の隣り合う第1並列通路部材30A間に亘る熱伝導部材(アルミニウム部材など)にて台形状の波形に形成された第2並列通路部材31Aによって形成されている。第2並列通路部材31Aは、上下の平面部31Sが第1並列通路部材30Aに溶接や接着剤などにより熱伝導状態で接着しており、第1並列通路部材30A間に亘る壁面は、強度を保つために傾斜壁31Tしており、それによって、傾斜壁31Tを介して左右交互に台形状の第2並列通路31が連続して形成されている。これによって、第1並列通路30と第2並列通路31との間の熱交換壁は、第1並列通路部材30Aと第2並列通路部材31Aとの接触した部分で構成される。
図6、及び図7は、第2並列通路31の外気が通過する通路のピッチを変えた一例である。
【0037】
また、図8には、凝縮器41の他の構成に係る形態を示している。この凝縮器41は、高温多湿空気が通過するよう複数並列配置された第1並列通路30と、外気が通過するよう複数並列配置された第2並列通路31とが、アルミニウム部材などの熱伝導部材で構成した平板状の熱交換壁41Aを介して、略直交状態で交差するように、積層配置された構成である。図8に示すように、第1並列通路30と第2並列通路31は、略同様の構成であり、アルミニウム部材などの板状熱伝導部材で構成した通路部材41Bが、頂き部が曲線をなす連続する略三角形状の波形に成形され、それらの略三角形状の頂き部が並行配置した一対の平板状の熱交換壁41Aに密着配置された構成である。熱交換壁41Aと通路部材41Bとは、接触箇所で接着または溶接されており、波形に成形した通路部材41Bによって、その波形部分間がそれぞれ第1並列通路30及び第2並列通路31を形成する。なお、図8に示す第1並列通路30と第2並列通路31は、略三角形状をなすが、略U字状の波形に成形した形態であってもよい。
【0038】
このように、乾燥工程においてデシカント装置20によって洗濯槽3内の衣類から放出される水分を吸着し放出する場合、凝縮器41での高温多湿空気と外気との熱交換により温度が上昇した外気は、洗濯槽3へ帰還する空気へ合流することにより、凝縮器41での熱回収が効果的に行なえると共に、洗濯槽3内での衣類(洗濯物)の乾燥を促進できる効果がある。
【0039】
また、凝縮器41の上流側に配置した熱回収器45によって、高温多湿空気の熱を洗濯槽3へ帰還する空気へ回収するため、排熱の有効回収効果が得られると共に、衣類(洗濯物)の乾燥スピードが速くなる効果が得られる。
【0040】
更に、凝縮器41において、高温多湿空気と外気とが交差状態で熱交換するため、高温多湿空気中の湿気の凝縮効率が向上したものとなる。また、第1並列通路30は熱伝導部材の押し出し成形にて形成されることにより、第2並列通路31を波形部材にて形成することが容易となり、第1並列通路部材30Aが強度維持効果を奏することによって、凝縮器41が安価に且つ組み立てし易い形態となり、更に熱交換の良好な形態とすることが容易となる。
【0041】
洗濯乾燥機1が、洗い・すすぎ・脱水の各工程を終えた後、乾燥運転(乾燥工程ともいう)を行う場合、乾燥運転の開始と共に、デシカント除湿装置20による水分除去工程を実行することができるが、実施例では、洗濯槽3内の衣類(洗濯物)の乾燥を効果的に行うために、乾燥運転(乾燥工程ともいう)を、初期加熱モードと水分吸着モードを備えた構成とすることができる。この場合、洗濯槽3内、具体的にはドラム5内の脱水した衣類の乾燥を促進するために、先ず、乾燥運転初期に洗濯槽3内を加熱(例えば、60℃まで)する初期加熱モード(初期加熱工程ともいう)を実行するようにしている。
【0042】
この初期加熱モードでは、デシカントロータ200はモータ38にて低速回転状態であり、ヒータ39Aと送風機40がON状態(通電状態)である。これによって、ヒータ39Aで加熱された空気が、洗濯槽3内を流れ、デシカントロータ200を通過し、再び洗濯槽3へ戻る空気循環を行なうように空気循環通路JRを流れることにより、洗濯槽3内の脱水した衣類(洗濯物)から水分の蒸発が促進される。
【0043】
初期加熱モードは、制御部12のタイマによって所定時間行った後に終了するようにしてもよく、また、洗濯槽3、具体的には外槽4からデシカント除湿装置20へ導入される空気温度を検知するように空気入口風路66に設けた温度センサが、所定の加熱温度(例えば、40℃)を検知したとき、制御部12によって、初期加熱モードを終了するようにしてもよい。この初期加熱モードでのヒータ39Aと送風機40の通電時間は、洗濯槽3の容量やヒータ39Aの発熱量等によって異なるが、タイマによる制御の場合は、一つの実施例としては、略30分である。
【0044】
初期加熱モードを終了した後、水分吸着モードへ移行する。水分吸着モードでは、デシカント除湿装置20による水分除去工程が実行される。ここで、デシカント除湿装置20の動作について説明する。水分吸着モードでは、デシカント除湿装置20が動作し、ヒータ39A、39Bに通電されて発熱し、モータ38によってデシカントロータ200が低速回転(例えば、1分間に2回転)し、送風機40が運転される。
【0045】
送風機40の運転によって、洗濯槽3内の高温多湿空気が空気入口風路66からデシカント除湿装置20へ流入し、その高温多湿空気中の湿気は、低速回転するデシカントロータ200の吸湿部200Bで吸湿された後、その空気はヒータ39Aで洗濯乾燥機1の周囲温度よりも十分高い温度(例えば55℃程度の高温)に加熱されて加熱空気となる。一方、送風機40を出た空気の一部(例えば、送風機40を出た空気の25%の量)は、ヒータ39Bによって75℃に加熱され、この加熱空気が低速回転するデシカントロータ200の放湿部200Aを通過する間に、前記吸湿された湿気が放湿部200Aから放湿(湿気が脱着)されて高温多湿空気となって、熱回収器45と凝縮器41を通過する。熱回収器45では、高温多湿空気中の熱を回収して、デシカントロータ200の吸湿部200Bへ流入する空気を加温する。また、凝縮器41では、高温多湿空気中の湿気を凝縮によって除去し、この空気が放湿通路HRの出口通路HR1から洗濯乾燥機1の機外へ排出される。
【0046】
洗濯槽3へ導入された空気は、洗濯槽3内の衣類(洗濯物)から湿気を蒸発させ、この湿気を含む高温多湿空気が再び空気入口風路66からデシカント除湿装置20へ導入され、上記循環を繰り返す。この循環によって、衣類(洗濯物)の湿気が凝縮器41で除去されつつ、洗濯槽3内の洗濯物が乾燥する。
【0047】
デシカント除湿装置20の運転は、制御部12のタイマによって所定時間行った後に終了するようにしてもよく、また、洗濯槽3、具体的には外槽4からデシカント除湿装置20へ導入される空気温度を検知するように空気入口風路66に設けた温度センサが、所定の加熱温度(ドラム5等に使用者が触れても安全な温度、例えば、30℃)を検知したとき、制御部12によって、運転を終了するようにしてもよい。
【0048】
また、制御部12によって、オゾン発生器19を稼動させてオゾンを発生させ、切り替え弁44を制御して、発生したオゾンを乾燥工程において空気循環通路JRを流れる空気に混入させて、洗濯槽3内の衣類(洗濯物)の除菌や消臭を行なうことができる。
【0049】
凝縮器41での凝縮水を貯水タンク21へ溜めるようにすることができる。この場合、制御部12によってデシカント除湿装置20の動作中に、バルブ75を開いて凝縮水を水路80から貯水タンク21へ導入する。貯水タンク21内の貯水量は、水位センサによって検知し、乾燥運転(乾燥工程ともいう)において、デシカント除湿装置20の動作中に、貯水タンク21内の貯水量が上限水位に上昇したとき、制御部12によって切り替え弁76が排水モードに制御され、ポンプ22の運転によって水路79及び81から排水トラップ69を通して、オーバーフローしないように排水制御する。
【0050】
一方、貯水タンク21に溜まった水を洗濯またはすすぎに利用するためには、制御部12によって切り替え弁76を切り替え、且つポンプ22の運転によって、給水管77から洗濯槽3へ給水する制御とすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る乾燥機は、上記実施例に示した構成に限定されず、乾燥工程においてデシカント除湿装置を併用することにより、本発明の技術範囲において所期の効果を奏することができるものであれば、上記のような斜めドラム式であれ、上面開口の回転ドラム式であれ、いずれの形態でもよく、洗濯機の形態を問わない。
【符号の説明】
【0052】
1 洗濯乾燥機
3 洗濯槽
4 外槽
5 ドラム
12 制御部
13 操作・表示部
17 給水バルブ
18 注水口ユニット
19 オゾン発生装置(オゾン発生器)
20 デシカント除湿装置
21 貯水タンク
22 ポンプ
30 第1並列通路
30A 第1並列通路部材
31 第2並列通路
31A 第2並列通路部材
31S 平面部
31T 傾斜壁
39A ヒータ
39B ヒータ
40 送風機
41 凝縮器
41A 熱交換壁
45 熱回収器
66 空気入口風路
67 空気出口風路
200 デシカントロータ
200A 放湿部
200B 吸湿部
HR 放湿通路
JR 空気循環路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽内の衣類(洗濯物)の乾燥を行う乾燥工程を実行するためにデシカント除湿装置を備えた乾燥機において、前記デシカント除湿装置は、前記槽から導入される空気中の水分を吸着すると共にその水分を放出し、乾燥した空気を前記槽へ帰還させる通風路を備え、前記水分を放出した高温多湿空気中の湿気を凝縮させる、金属からなる凝縮器を設け、前記凝縮器は、前記高温多湿空気と外気とを熱交換し、この熱交換にて温度の上昇した外気を前記槽へ帰還する空気へ合流させる通路構成としたことを特徴とする乾燥機。
【請求項2】
前記凝縮器は、前記高温多湿空気が通過する通路が複数並列配置された第1並列通路と、前記外気が通過する通路が複数並列配置された第2並列通路とを備え、前記第1並列通路と第2並列通路が熱交換壁を介して交差状態に配置された組み合わせが複数積層された構成であることを特徴とする請求項1に記載の乾燥機。
【請求項3】
前記第1並列通路は熱伝導部材の押し出し成形にて形成された第1並列通路部材で構成され、前記第2並列通路は隣り合う前記第1並列通路部材間に亘る連続した波形の熱伝導部材にて形成された第2並列通路部材であることを特徴とする請求項2に記載の乾燥機。
【請求項4】
前記第1並列通路と前記第2並列通路は、それぞれ並行配置した平板状の熱交換壁間に、連続する略三角形状の波形に成形された通路部材によって形成されたことを特徴とする請求項2に記載の乾燥機。
【請求項5】
前記凝縮器の上流側において前記槽へ帰還する空気へ前記高温多湿空気の熱を回収する熱回収器を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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