説明

乾燥装置

【課題】簡易な構造でありながら、水滴を洗面ボウルやシンクで確実に受けることができる手乾燥装置を提供すること。
【解決手段】電動送風機10が収容された装置本体2と、この装置本体2に基端が接続された通風部3と、この通風部3の先端に接続された噴出部4とを有する手乾燥装置1であって、前記噴出部4に、間隔Gを置いて分岐させた第一噴出ノズル18と第二噴出ノズル20を設け、これらの噴出ノズル18,20が、洗面台S等のほぼ中央の水栓Tを左右から挟むように、前記噴出部4を前記洗面台S等に設置可能としたことで、前記第一噴出ノズル18の第一噴出口17及び前記第二噴出ノズル20の第二噴出口19から噴出された気流Fが吹き飛ばした水滴を、前記洗面台Sの洗面ボウルB等で確実に受け、床や壁等を濡らさないようにすることができるばかりでなく、特殊な水栓Tの設置工事を不要とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、風圧で水を吹き飛ばして乾燥させたり、温風で水を蒸発させたりする乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の手乾燥装置としては、カラムの先端のヘッドに吐水口及び温風吹出口が設けられた水栓装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、この水栓装置は、吐水口と温風吹出口が近接して設けられており、吐水スイッチや水量スイッチを操作して吐水口から水や湯を吐出させ、手等を洗った後、そのままの位置で手を温風で乾燥させることができるようになっている。また、乾燥装置本体と噴出口を空気供給管及び噴出管を介して接続し、これらの空気供給管及び噴出管を洗面ボウルの取付基体に取り付けた手乾燥装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。そして、この手乾燥装置は、通常、洗面ボウルの端に設けられるため、水栓を用いて手を洗った後で、手を噴出口の近傍に移動させ、この噴出口の近傍で手を乾燥させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2629508号公報
【特許文献2】特開2006−192250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者のような手乾燥装置は、吐出口の近傍から手を移動させずに手を乾燥させることができるばかりでなく、吹き飛ばされた水滴が洗面器から外れて飛散しないという長所があるものの、専用の水栓が必要になり、設置工事が必要になるという問題があった。また、後者のような手乾燥装置は、洗面ボウルの端に噴出ノズルが固定されることになるため、ジェット噴出された空気によって吹き飛ばされた水滴が洗面ボウルから外れて床や壁等を濡らす虞があった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、簡易な構造でありながら、水滴を洗面ボウルやシンクで確実に受けることができる手乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の手乾燥装置は、電動送風機が収容された装置本体と、この装置本体に基端が接続された通風部と、この通風部の先端に接続された噴出部とを有する手乾燥装置において、前記噴出部が、第一噴出口を有する第一噴出ノズルと、第二噴出口を有する第二噴出ノズルとを有し、これらの各噴出ノズルが間隔を置いて設けられると共に、これらの噴出ノズルが水栓を挟んで配されるように、前記噴出部が洗面台又は流し台に設置可能に構成されるものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の手乾燥装置は、請求項1において、前記各噴出口が、前記洗面台又は流し台の水栓の吐水口よりも後方で開口するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載の手乾燥装置は、以上のように構成することにより、洗面台の洗面ボウルのほぼ中央又は流し台のシンクのほぼ中央に設けられた水栓を挟むように、各噴出ノズルが設けられることで、これらの噴出ノズルの噴出口も前記洗面ボウル又はシンクのほぼ中央に位置することになるので、前記各噴出口から噴出された気流によって吹き飛ばされた水滴を、前記洗面ボウルやシンクで確実に受け、床や壁等を濡らさないようにすることができる。また、前記洗面台や流し台に後付けできるので、特殊な水栓が不要となり、設置工事を不要とすることができる。
【0009】
また、前記各噴出口を、前記洗面台又は流し台の水栓の吐水口よりも後方で開口させることにより、手洗い時等に前記噴出ノズルが邪魔にならないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す手乾燥装置の設置状態を示す斜視図である。
【図2】同、正面図である。
【図3】同、側面図である。
【図4】同、平面図である。
【図5】同、設置状態における噴出部近傍の拡大平面図である。
【図6】同、本体の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図6に基づいて説明する。1は、手を乾燥させるための手乾燥装置である。この手乾燥装置1は、装置本体2と、この装置本体2に基端部が接続される通風部3と、この通風部3の先端部に接続される噴出部4とを有して構成される。
【0012】
前記装置本体2の外殻体5の背面には、吸気口6が設けられる。そして、この吸気口6には、フィルタ7が着脱自在に設けられる。また、前記装置本体2の外殻体5の後上部には、排気口8が設けられる。そして、前記吸気口6と排気口8との間には、気流通路9が形成される。また、この気流通路9には、電動送風機10が設けられる。更に、前記装置本体2の上面には、操作部11が設けられる。
【0013】
前記通風部3は、縦筒部12と、ホース部13と、横筒部14と、屈曲部15とを有する。前記縦筒部12は、合成樹脂によって両端が開口した中空円筒状に構成される。そして、前記縦筒部12は、その基端部が前記装置本体2の排気口8に接続される。一方、前記ホース部13は、蛇腹ホースであり、屈曲自在に構成される。そして、前記ホース部13は、その基端部が前記縦筒部12の先端部に接続される。また、前記横筒部14は、合成樹脂によって両端が開口した中空円筒状に構成される。そして、前記横筒部14は、その基端部が前記ホース部13の先端部に接続される。更に、前記屈曲部15は、合成樹脂によって両端が開口した中空の屈曲円筒状に形成される。そして、前記屈曲部15は、その基端部が前記横筒部14の先端部に接続される。なお、前記屈曲部15は、前記横筒部14の中心軸線回りに回動可能な状態で、前記横筒部14に接続される。
【0014】
前記噴出部4は、前記屈曲部15の先端に接続される接続部16と、第一噴出口17が設けられた第一噴出ノズル18と、第二噴出口19が設けられた第二噴出ノズル20とを有する。前記各噴出ノズル18,20は、それぞれ前記接続部16から分岐して設けられる。また、前記各噴出ノズル18,20は、それらの先端部同士が間隔Gを空けて設けられる。更に、前記第一噴出口17の開口面積と前記第二噴出口19の開口面積は、それらの和が前記通風部3の流通面積よりも小さく形成される。なお、前記噴出部4は、前記通風部3の屈曲部15の先端における中心軸線回りに回動可能な状態で、前記屈曲部15に接続される。また、前記各噴出ノズル18,20の長さは、一般的な蛇口Tの基端から水出口までの平面視の長さよりも短くなるように構成される。
【0015】
更に、前記横筒部14には、固定部21が設けられる。この固定部21は、筒状部22と、支柱部23と、吸盤支持部24と、吸盤25とを有して構成される。前記筒状部22は、前記通風部3の横筒部14とほぼ同軸となるように、この横筒部14の外側を覆って設けられる。そして、前記筒状部22は、前記横筒部14の軸方向及び軸回りに動かすことができる状態で、前記横筒部14に取り付けられる。また、前記支柱部23は、その基端部が、前記筒状部22に対し、玉継手機構を介して可動に取り付けられる。また、前記吸盤支持部24は、前記支柱部23の先端部に、玉継手機構を介して可動に取り付けられる。更に、前記吸盤25は、前記吸盤支持部24に取り付けられる。
【0016】
なお、26はリモートスイッチである。このリモートスイッチ26は、前記装置本体2に対して有線接続される。そして、前記リモートスイッチ26は、床上の任意の位置に置くことができる。なお、前記リモートスイッチ26は、前記装置本体2に取り付けられないが、前記装置本体2の外殻体5の前部に設けられた凹所5Aの前方に、邪魔にならないように置くことができる。
【0017】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず、使用者は、前記手乾燥装置1を、洗面台Sの横の床上に置く。この状態で、前記通風部3の縦筒部12は、前記洗面台Sに沿ってほぼ直立する。そして、使用者は、前記通風部3の横筒部14に対し、前記固定部21を適切な位置に動かす。そして、使用者は、前記ホース部13を屈曲させて前記横筒部14を横向きの姿勢とする。また、使用者は、前記屈曲部15を前記横筒部14の軸回りに回動させたり、前記噴出部4を前記屈曲部15の先端における中心軸線回りに回動させたりして、前記各噴出ノズル18,20の向きを調節する。また、使用者は、前記各噴出ノズル18,20が前記洗面台Sの蛇口Tを左右から挟むように、前記噴出部4を配置する。更に、使用者は、前記固定部21の吸盤25を前記洗面台Sの洗面ボウルBに固定する。一般的に、前記洗面ボウルBの表面は平滑なので、前記吸盤25は、前記洗面ボウルBに対し良好に固定される。このように、前記固定部21の吸盤25を前記洗面ボウルBの表面に固定することによって、前記手乾燥装置1が設置されるので、特別な設置工事無しに前記手乾燥装置1を使用可能な状態とすることができる。
【0018】
なお、前記洗面ボウルBには、石鹸を置くための凹凸部が設けられていることがある。このような凹凸部には吸盤25を固定することができないが、前述したように、前記固定部21が前記横筒部14に対し可動に設けられるので、このような凹凸部を避けるようにして、前記吸盤25を前記洗面ボウルBの平滑な部位に固定させることができる。また、前記洗面ボウルBには、傾斜面が形成されていることがある。しかしながら、前述したように、前記筒状部22が前記横筒部14の軸回りに回動可能であると共に、前記筒状部22と支柱部23と吸盤支持部24がそれぞれ玉継手機構を介して接続されるので、前記洗面ボウルBの傾斜面に前記吸盤25を固定して、前記横筒部14,ひいてはこの横筒部14に接続された前記屈曲部15及び噴出部4を支持することができる。
【0019】
そして、使用者は、前記洗面台Sの蛇口Tから流出する水Wで手を洗った後、前記装置本体2の上面に設けられた前記操作部11を手で操作することで、或いは前記リモートスイッチ26を足で操作することで、前記電動送風機10を作動させる。このように、前記電動送風機10が作動すると、前記装置本体2の背面に設けられた吸気口6から外気が吸引され、前記気流通路9を通って前記排気口8に送られる。そして、前記排気口8に送られた気流Fは、前記通風部3を通って、前記噴出部4の各噴出ノズル18,20の噴出口17,19から噴出される。この際、前記各噴出口17,19の開口面積の和が、前記通風部3の流通面積よりも小さいことで、前記各噴出口17,19から噴出される気流Fの流速は速くなる。そして、この速い流速の気流Fによって、手に付着した水Wを吹き飛ばし、手を乾燥させることができる。なお、手から吹き飛ばされた水Wは、前記洗面ボウルBで受け止められる。また、前記吸気口6から吸引された気流Fに含まれる塵埃が、前記フィルタ7によって除去されるので、清浄な気流Fを手に吹き付けることができる。
【0020】
なお、前述したように、前記各噴出ノズル18,20が前記洗面台Sの蛇口Tを左右から挟むように、前記噴出部4が配置されることで、この噴出部4の各噴出口17,19が前記蛇口Tの近傍、即ち、前記洗面ボウルBのほぼ中央で開口する。従って、前記リモートスイッチ26を足で操作する場合、手を洗った後で、止水動作以外に殆ど手を動かすことなく、手をそのままの位置で乾燥させることができる。また、前記噴出口17,19が前記洗面ボウルBのほぼ中央で開口するので、吹き飛ばされた水Wを前記洗面ボウルBで確実に受けることができる。従って、前記洗面台Sの近くの床や壁等が水Wで濡れないようにすることができる。また、前記各噴出ノズル18,20の長さを、一般的な蛇口Tの基端から水出口までの平面視の長さよりも短くしたことで、前記接続部16が前記水栓Tに当接するように、前記噴出部4を最大限前方に配置したとしても、前記各噴出ノズル18,20の前端は、前記水栓Tの水出口よりも後方である。従って、水Wで手を洗う際に、前記各噴出ノズル18,20が邪魔にならないようにすることができる。また、前記各噴出ノズル18,20の先端に設けられた前記各噴出口17,19が、前記蛇口Tの水出口よりも後方で開口するので、前記噴出口17,19から水Wが侵入しにくくすることができる。更に、前記各噴出ノズル18,20が、適度な間隔Gを置いて設けられるので、使用者の両手を同時に良好に乾燥させることができる。
【0021】
以上のように本発明は、電動送風機10が収容された装置本体2と、この装置本体2に基端が接続された通風部3と、この通風部3の先端に接続された噴出部4とを有する手乾燥装置1であって、前記噴出部4に、間隔Gを置いて分岐させた第一噴出ノズル18と第二噴出ノズル20を設け、これらの噴出ノズル18,20が、洗面台Sの洗面ボウルB等のほぼ中央に設けられた水栓Tを左右から挟むように、前記噴出部4を前記洗面台S等に設置可能としたことにより、前記第一噴出ノズル18の第一噴出口17及び前記第二噴出ノズル20の第二噴出口19も前記洗面ボウルB等のほぼ中央に位置することになるので、前記各噴出口17,19から噴出された気流Fが吹き飛ばした水滴を、前記洗面ボウルB等で確実に受け、床や壁等を濡らさないようにすることができるばかりでなく、前記洗面台S等に後付けできるので、特殊な水栓Tが不要となり、設置工事を不要とすることができるものである。
【0022】
また、本発明は、前記各噴出口17,19を、前記洗面台S等の水栓Tの吐水口よりも後方で開口させることにより、手洗い時等に前記噴出ノズル18,20が邪魔にならないようにすることができるものである。
【0023】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、噴出部を分岐させて二つの噴出ノズルを設けたが、一つの噴出ノズルを有する噴出部を、独立して二つ設けるようにしても良い。また、上記実施形態では、洗面台に取り付けられるものを示したが、台所等の流し台に取り付けられるようにしても良い。この場合、手ばかりでなく、洗った食器等の乾燥に用いることもできる。
【符号の説明】
【0024】
1 手乾燥装置(乾燥装置)
2 装置本体
3 通風部
4 噴出部
10 電動送風機
17 第一噴出口
18 第一噴出ノズル
19 第二噴出口
20 第二噴出ノズル
G 間隔
S 洗面台
T 蛇口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機が収容された装置本体と、この装置本体に基端が接続された通風部と、この通風部の先端に接続された噴出部とを有する手乾燥装置において、
前記噴出部が、第一噴出口を有する第一噴出ノズルと、第二噴出口を有する第二噴出ノズルとを有し、これらの各噴出ノズルが間隔を置いて設けられると共に、これらの噴出ノズルが水栓を挟んで配されるように、前記噴出部が洗面台又は流し台に設置可能に構成されることを特徴とする手乾燥装置。
【請求項2】
前記各噴出口が、前記洗面台又は流し台の水栓の吐水口よりも後方で開口することを特徴とする請求項1記載の手乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−160884(P2011−160884A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24631(P2010−24631)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)