説明

事故判定装置

【課題】負荷に対して電力を供給するための電力線で事故が発生したか否かを判定する。
【解決手段】第1母線から電力供給する際に閉じる第1開閉器と、第2母線から電力供給する際に閉じる、第1開閉器と相補的に開閉する第2開閉器とが、母線間に直列接続される電力系統における事故判定装置であって、第1及び第2母線に供給される電流と負荷電流とに基づいて事故検出する検出装置と、第1母線から電力が供給される際に事故を検出した場合、第2開閉器と共に第1開閉器を開くように制御し、第2母線から電力が供給される際に事故を検出した場合、第1開閉器と共に第2開閉器を開くように制御する制御装置と、事故を検出した場合、第1電力線に第1電圧を印加する電圧印加装置と、第1電圧に応じて第1電力線を流れる電流に基づいて、第1及び第2開閉器の間に接続される第1電力線で事故が発生したか否かを判定する判定装置と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事故判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気所に配設された母線及び送電線を含む電力系統で事故が発生した際に、電力系統における何れの区間で事故が発生したかを判定する事故判定装置(特許文献1)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−79737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の事故判定装置は、電力系統で事故が発生してから、母線と送電線とが遮断器によって遮断されるまでの間に、送電線を流れる電流に基づいて送電線で事故が発生したか否かを判定している。よって、電力系統で事故が発生してから、母線と送電線とが遮断器によって遮断されるまでの短時間の間に、例えば、電力系統でのノイズ等の影響で送電線を流れる電流を正確に検出できないことがある。その場合、送電線で事故が発生したか否かを正確に判定できない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する主たる本発明は、第1母線から電力負荷に対して電力を供給する際に閉じる第1開閉器と、前記第1母線とは異なる第2母線から前記電力負荷に対して電力を供給する際に閉じる、前記第1開閉器と相補的に開閉する第2開閉器とが、前記第1及び第2母線の間に直列接続される電力系統において、前記第1及び第2開閉器の間に接続される、前記電力を前記電力負荷に供給するための第1電力線で事故が発生したか否かを判定する事故判定装置であって、前記第1及び第2母線に供給される電流と、前記電力負荷に供給される電流とに基づいて、事故が発生したことを検出する検出装置と、前記第1母線から前記電力負荷に対して電力が供給されている際に、前記検出装置が事故の発生を検出した場合、前記第2開閉器とともに前記第1開閉器を開くように制御し、前記第2母線から前記電力負荷に対して電力が供給されている際に、前記検出装置が事故の発生を検出した場合、前記第1開閉器とともに前記第2開閉器を開くように制御する制御装置と、前記検出装置が事故の発生を検出した場合、前記第1電力線に第1電圧を印加する電圧印加装置と、前記第1電圧に応じて前記第1電力線を流れる電流に基づいて、前記第1電力線で前記事故が発生したか否かを判定する判定装置と、を備えたことを特徴とする事故判定装置である。
【0006】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電力負荷に対して電力を供給するための電力線で事故が発生したか否かを確実に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態における電力系統を示す図である。
【図2】本発明の実施形態における判定装置の接続を示す図である。
【図3】本発明の実施形態における2個の判定装置の接続を示す図である。
【図4】本発明の実施形態における断路器と接続装置とを示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態における制御装置の機能を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態における送電線で過負荷が発生した際に許容される運転時間を示す図である。
【図7】本発明の実施形態における制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態における制御装置の動作の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
===電力系統===
以下、図1を参照して、本実施形態における電力系統について説明する。図1は、本実施形態における電力系統を示す図である。
電力系統100は、電気所1乃至3、制御装置9、継電装置90を備えて構成される。
【0011】
電気所1は、発電所(不図示)の発電機G1、G2から電力が供給される例えば一次変電所である。尚、電気所1の詳細については、後述する。
【0012】
電気所2、3は、電気所1から電力が供給される、例えば中間変電所である。電気所2は、電気所1から供給された電力を負荷R2に供給する。電気所2は、母線L21、変圧器Tr2を有している。母線L21には、送電線43、44の一端が夫々接続される。変圧器Tr2は、母線L21の電圧を降圧する装置である。変圧器Tr2の一次側は母線に接続される。変圧器Tr2の二次側には、負荷R2が接続される。尚、負荷R2は、電気所2から供給される電力によって動作する、例えば工場に設けられた電気機器である。負荷R2は、電気所2からの電力の供給が遮断された場合、停電情報を出力するものとする。尚、電気所3の構成は、電気所2の構成と同様であるので、その説明は省略する。
【0013】
継電装置90は、電気所1での系統事故(事故)の発生を検出するための装置である。尚、継電装置90の詳細については後述する。
【0014】
制御装置9は、電気所1で系統事故が発生した際に、事故区間を判定し、復旧を行うための装置である。尚、制御装置9の詳細については後述する。
【0015】
===電気所===
以下、図1を参照して、本実施形態における電気所について説明する。
【0016】
電気所1は、発電所の発電機G1、G2から供給される電力を、電気所2、3、負荷R1に供給する。尚、負荷R1は、電気所1から供給される電力によって動作する、例えば工場に設けられた電気機器である。負荷R1は、電気所1からの電力の供給が遮断された場合、停電情報を出力するものとする。電気所1は、母線L1(第1母線)、母線L2(第2母線)、電力設備101乃至108を備えて構成される。
【0017】
電力設備101、102は夫々、発電機G1、G2から供給される電力を母線L1、L2に供給する。電力設備101、102は、相補的に動作して、発電機G1、G2から供給される電力を、母線L1、L2のうち相互に異なる母線に供給する。電力設備101は、断路器11、21、判定装置31、送電線41、電力線51、遮断器CB1、測定装置M1を有している。送電線41及び電力線51は、発電機G1の電力を母線L1、L2に供給する。遮断器CB1は、例えば電気所1で系統事故が発生した際に、遮断器CB1が設けられた位置を電気的に遮断する。断路器11、21は、断路器11、21が設けたれた位置を電気的に遮断する。尚、遮断器CB1、断路器11、21の詳細については後述する。測定装置M1は、測定装置M1が設けられた位置を流れる電流を測定し、測定結果を示す潮流情報を出力する。判定装置31は、絞り部61で系統事故が発生したか否かを判定するための装置である。尚、判定装置31の詳細、絞り部61については後述する。断路器11、21は、母線L1、L2の間に電力線51によって直列接続される。送電線41の一端は、発電機G1に接続される。送電線41の他端は、電力線51における断路器11、21の間に接続される。遮断器CB1は、送電線41における、電力線51との接続点と、発電機G1との間に接続される。尚、電力線51における断路器11、21の間の区間及び、送電線41における電力線51に接続される他端と遮断器CB1との間の区間を、絞り部61という。尚、絞り部61乃至67が本実施形態における第1電力線に相当する。測定装置M1は、送電線41における遮断器CB1の下流側に設けられる。
【0018】
尚、電力設備102の構成は、電力設備101の構成と同様であるので、その説明は省略する。
【0019】
電力設備103、104は、相補的に動作して、母線L1、L2の電力を電気所2に供給する。電力設備103は、断路器13、23、判定装置33、送電線43、電力線53、遮断器CB3、測定装置M3を有している。送電線43の一端は、母線L21に接続される。送電線43の他端は、電力線53における断路器13、23の間に接続される。遮断器CB3は、送電線43における、電力線53との接続点と、母線L21との間に接続される。尚、電力線53における断路器13、23の間の区間及び、送電線43における電力線53に接続される他端と遮断器CB3との間の区間を、絞り部63という。測定装置M3は、送電線41における遮断器CB3の上流側に設けられる。尚、断路器13、23、判定装置33、遮断器CB3、測定装置M3の構成は夫々、断路器11、21、判定装置31、遮断器CB1、測定装置M1の構成と同様であるので、その説明は省略する。
【0020】
尚、電力設備104の構成は、電力設備103の構成と同様であるので、その説明は省略する。
【0021】
電力設備105、106は、相補的に動作して、母線L1、L2の電力を電気所3に供給する。尚、電力設備105、106の構成は、電力設備103の構成と同様であるので、その説明は省略する。
【0022】
電力設備107は、母線L1又はL2の電力を負荷R1に供給する。電力設備107の構成は、電力設備103の構成と同様であるので、その説明は省略する。
【0023】
電力設備108は、母線L1、L2を接続したり、遮断したりする。電力設備108は、断路器18(第4開閉器)、断路器28(第5開閉器)、判定装置38、39、遮断器CB8(第3開閉器)を有している。遮断器CB8は、母線L1、L2を接続したり、遮断したりする。遮断器CB8は、母線L1、L2の間に接続される。断路器18は、遮断器CB8と母線L1との間に接続される。断路器28は、遮断器CB8と母線L2との間に接続される。判定装置38は、遮断器CB8と断路器18との間の電力線L10(第2電力線)、遮断器CB8と断路器28との間の電力線L20(第3電力線)で系統事故が発生したか否かを判定するための装置である。判定装置39は、母線L1、L2で系統事故が発生したか否かを判定するための装置である。尚、判定装置38、39の詳細については後述する。
【0024】
===遮断器、断路器===
以下、図1を参照して、本実施形態における遮断器及び断路器の開閉について説明する。例えば、電気所1で系統事故が発生していない場合、電気所1で系統事故が発生した場合、母線L1、L2を接続(連絡)する場合に分けて、負荷R1に供給するときの遮断器CB1乃至CB8の開閉(OFF、ON)、断路器11乃至18、21乃至28の開閉(OFF、ON)について説明する。尚、系統事故については後述する。尚、断路器11乃至17が本実施形態における第1開閉器に相当する。断路器21乃至27が本実施形態における第2開閉器に相当する。
【0025】
<電気所1で系統事故が発生していない場合>
発電機G1、G2から供給された電力が、電気所2、3、負荷R1に供給されるように、遮断器CB1乃至CB8、断路器11乃至18、21乃至28は開閉する。
【0026】
具体的には、遮断器CB1乃至CB7は夫々、遮断器CB1乃至CB7が設けられた位置を電気的に接続するために、閉じる。遮断器CB8は、母線L1、L2の間を遮断するために開く。断路器11乃至17と、断路器21乃至27とは、相補的に開閉する。断路器18、28は、例えば閉じる。
【0027】
例えば、断路器11乃至17が夫々、ON、OFF、ON、OFF、ON、OFF、ONし、断路器21乃至27が夫々OFF、ON、OFF、ON、OFF、ON、OFF(以下、「第1の状態」という)する。その場合、絞り部61、63、65、67が母線L1に接続され、絞り部62、64、66が母線L2に接続された状態となる。断路器11乃至17、21乃至27が第1の状態の場合、発電機G1の電力が絞り部61を介して母線L1に供給され、発電機G2の電力が絞り部62を介して母線L2に供給される。母線L1の電力が、絞り部63、65、67を夫々介して母線L21、L31、負荷R1に供給され、母線L2の電力が、絞り部64、66を介して母線L21、L31に供給される。
【0028】
例えば、断路器11乃至17が夫々、OFF、ON、OFF、ON、OFF、ON、OFFし、断路器21乃至27が夫々ON、OFF、ON、OFF、ON、OFF、ON(以下、「第2の状態」という)する。その場合、絞り部62,64,66が母線L1に接続され、絞り部61、63、65、67が母線L2に接続された状態となる。断路器11乃至17、21乃至27が第2の状態の場合、発電機G1の電力が絞り部61を介して母線L2に供給され、発電機G2の電力が絞り部62介して母線L1に供給される。母線L2の電力が、絞り部63、65、67を夫々介して母線L21、L31、負荷R1に供給され、母線L1の電力が、絞り部64、66を介して母線L21、L31に供給される。
【0029】
<電気所1で系統事故が発生した場合>
発電機G1、G2の電力が、電気所1から電気所2、3、負荷R1に供給されている際に、電気所1で系統事故が発生した場合の、遮断器CB1乃至CB8、断路器11乃至18、21乃至28(以下、「遮断器等」と称する)の開閉について説明する。
ここで、電気所1での系統事故は、母線L1側での系統事故と、母線L2側での系統事故とがある。母線L1側での系統事故が発生したときの遮断器等の開閉と、母線L2側での系統事故が発生したときの遮断器等の開閉とは同様であるので、母線L1側での系統事故が発生したときの遮断器等の開閉について説明し、母線L2側での系統事故が発生したときの遮断器等の開閉の説明は省略する。
【0030】
母線L1側での系統事故とは、母線L1に接続された送電線、電力線で発生する例えば地絡事故を示す。母線L1側での系統事故の発生は、母線L1に供給される電流(潮流)と、母線L1から出力される電流(潮流)に基づいて、継電装置90によって検出される。継電装置90は、測定装置M1乃至M7から出力される潮流情報に基づいて、母線L1に供給される電流の総和と、母線L1から出力される電流の総和とが同じであるか否かに基づいて、母線L1側での系統事故の発生を検出する。例えば、母線L1に供給される電流の総和と、母線L1から出力される電流の総和とが同じ場合、継電装置90は、母線L1側での系統事故の発生を検出しない。一方、例えば、母線L1に供給される電流の総和と、母線L1から出力される電流の総和とが異なる場合、継電装置90は、母線L1側での系統事故の発生を検出する。継電装置90は、母線L1側での系統事故の発生を検出した場合、遮断器CB1乃至CB7のうち母線L1側の遮断器を開き、母線L1側での系統事故の発生を示すリレー情報を出力する。尚、例えば、断路器11乃至17、21乃至27が第1の状態の場合、母線L1側の遮断器とは、遮断器CB1、CB3、CB5、CB7を示す。例えば、断路器11乃至17、21乃至27が第2の状態の場合、母線L1側の遮断器とは、遮断器CB2、CB4、CB6を示す。その後、断路器11乃至18、21乃至28は、制御装置9によって開かれる。尚、制御装置9が断路器11乃至18、21乃至28を開く構成の詳細については後述する。
【0031】
<母線L1、L2を連系する場合>
母線L1、L2を連系する場合、断路器18、28、遮断器CB8は、閉じる。
【0032】
===判定装置===
以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態における判定装置について説明する。図2は、本実施形態における判定装置の接続を示す図である。図3は、本実施形態における2個の判定装置の接続を示す図である。
【0033】
判定装置31は、制御装置9によって制御される。尚、制御装置9の詳細については後述する。判定装置31は、計測装置311(電圧印加装置)、リレー装置312、接続装置7a、7bを有している。
【0034】
計測装置311は、絞り部61に対して電圧(例えば、100キロボルト)を印加して、その際に絞り部61を流れる電流を計測し、計測結果を示す計測情報を出力する。
【0035】
接続装置7a、7bは、計測装置311と絞り部61とを電気的に接続するための装置である。尚、接続装置7a、7bの詳細については後述する。
【0036】
リレー装置312は、接続装置7aを介して計測装置311と絞り部61とを電気的に接続するか、接続装置7bを介して計測装置311と絞り部61とを電気的に接続するかを選択するための装置である。リレー装置312は、端子312a、312b、312d、切片312cを有している。端子312aは、導電線77aを介して接続装置7aの接触子75aに接続される。端子312bは、導電線77bを介して接続装置7bの接触子75bに接続される。端子312dには、計測装置311が電気的に接続される。切片312cの一端は、端子312dに接続される。切片312cに他端は、端子312a又は312bに選択的に接続される。例えば、接続装置7aを介して計測装置311と絞り部61とを電気的に接続する場合、切片312cの他端は、端子312aに接続される。一方、例えば、接続装置7bを介して計測装置311と絞り部61とを電気的に接続する場合、切片312cの他端は、端子312bに接続される。尚、判定装置32乃至37の構成は、判定装置31の構成と同様であるので、その説明は省略する。
【0037】
判定装置38、39(図3)における接続装置7c、7d、7e、7f以外の構成は、判定装置31における接続装置7a、7b以外の構成と同様であるので、その説明は省略する。
【0038】
接続装置7c、7dは夫々、計測装置381と電力線L10、L20とを電気的に接続するための装置である。接続装置7e、7fは夫々、計測装置391と電力線母線L1、L2とを電気的に接続するための装置である。
【0039】
===断路器、接続装置===
以下、図2乃至図4を参照して、本実施形態における断路器、接続装置について説明する。図4は、本実施形態における断路器と接続装置とを示す斜視図である。尚、電力線51a、51bは夫々、図1、図2の電力線51における、断路器11と母線L1との間に接続される電力線、断路器11と断路器21との間に接続される電力線に対応するものとする。
【0040】
断路器11は、接続部81、82、架台83、基台84、例えば2本の脚85、86、回動部87、ブレード88を備えて構成される。尚、本実施形態において、Z軸は、碍子817、827の長手方向(上下方向、垂直方向)に沿う軸であり、上側に向かう方向を+Z方向として、下側に向かう方向を−Z方向とする。X軸は、ブレード88の長手方向に沿う方向であり、断路器11における接続装置7aが設けられている一方側から、断路器11における接続装置7aが設けられていない他方側に向かう方向を+X方向として、断路器11における他方側から一方側に向かう方向を−X方向とする。Y軸は、アーム73が回動する回動軸74の長手方向に沿う軸であり、手前側から奥側に向かう方向を+Y方向として、奥側から手前側に向かう方向を−Y方向とする。
【0041】
基台84の上面には、架台83、接続装置7aが設けられる。基台84は、例えば2本の脚85、86によって支持される。架台83の上側には、接続部81、82、回動部87が設けられる。
【0042】
回動部87は、長尺状の絶縁性の部材である。回動部87は、回動部87の長手方向が垂直方向に沿うように、架台83の上面に設けられる。回動部87は、垂直方向に沿った回動部87の中心軸87aを軸にD1方向又はD2方向に回動する。尚、回動部87は、架台83の内部に配設されたモータ(不図示)のトルクに基づいて回動するものとする。
【0043】
ブレード88は、電力線51a、51bを電気的に接続するための、金属製の部材である。ブレード88は、長尺状の例えば略矩形柱形状を呈する。ブレード88は、ブレード88の長手方向における略中央が回動部87の上部に取り付けられる。
【0044】
接続部81は、電力線51aの一端を断路器11に接続するための部材である。接続部81は、架台83の上面における回動部87よりも他方側(+X)に設けられる。接続部81は、接触子811、接続板812、螺子813、814、接続具815、取付部材816、碍子817を有している。碍子817は、長尺状の絶縁性の部材である。碍子817は、碍子817の長手方向が垂直方向に沿うように、架台83の上面に設けられる。取付部材816は、接触子811を碍子817の上側に設けるための部材である。取付部材816は、碍子817の上面に設けられる。接触子811は、ブレード88が回動部87を中心に回動した際に、ブレード88の他方側の端が嵌るように、奥側(+Y)に向かって開口した凹部811aが形成された金属製の部材である。接触子811は、一方側(−X)側から他方側に向かって見た際に、例えば略コ字状となるように形成される。接触子811は、取付部材816の上面に取り付けられる。接続板812は、電力線51aの一端と接触子811とを電気的に接続するための例えば略矩形形状を呈する金属板である。金属板812は、接触子811の手前側(−Y)の面に例えば溶接される。接続板812の手前側の面には、電力線51aの一端が、例えば金属製の接続具815によって圧着固定される。尚、電力線51aの一端は、接続板812と電気的に接続されるように、被覆が剥がされているものとする。接続具815は、例えば、螺子813、814によって接続板812に対して螺着される。
【0045】
接続部82は、電力線51bの一端を断路器11に接続するための部材である。接続部82は、架台83の上面における回動部87を基準に接続部81と対称な位置に設けられる。接続部82における接触子821以外の構成は、接続部81における接触子811以外の構成と同様であるので、接触子821以外の構成の説明は省略する。接触子821は、ブレード88が回動部87を中心に回動した際に、ブレード88の一方側の端が嵌るように、手前側に向かって開口した凹部821aが形成された金属製の部材である。接触子821は、他方側から一方側に向かって見た際に、例えば略コ字状となるように形成される。接触子821は、取付部材826の上面に取り付けられる。
【0046】
例えば、ブレード88の長手方向がY軸に沿うように、回動部87が中心軸87aを軸にD2方向に回動した場合、ブレード88の両端は、接触子821、811から離間する。その場合、電力線51a、51bは電気的に遮断される。一方、例えば、ブレード88の長手方向がX軸に沿うように、回動部87が中心軸87aを軸にD1方向に回動した場合、ブレード88の両端は、接触子821、811と接触する。その場合、電力線51a、51bは電気的に接続される。
【0047】
尚、断路器12乃至18、21乃至28の構成は、断路器11の構成と同様であるので、その説明については省略する。
【0048】
接続装置7aは、計測装置381aと電力線51bとを電気的に接続したり、遮断したりするための装置である。接続装置7aは、固定部材71、アーム73、接触子75a、接続具76、螺子761、762を有している。
【0049】
固定部材71は、アーム73が回動するように基台84の上面にアーム73を取り付けるための部材である。
【0050】
アーム73は、長尺形状を呈する。アーム73は、アーム73の上部に設けられた接触子75aが電線51bと接触したり、離間したりするように、アーム73の下部に設けられた回動軸74を軸に回動する。尚、回動軸74の長手方向は、Y軸に沿っているものする。アーム73は、固定部材71の内部に配設されたモータ(不図示)のトルクに基づいて回動するものとする。
【0051】
接触子75aは、導電線77aと電力線51bとを電気的に接続するための、アーム73の上部に設けられる金属製の部材である。接触子75aの上側には、回動軸74を軸にアーム73をD4方向に回動させた際に電力線51aと接触子75aとが確実に接触させるための溝755が形成されている。尚、電力線51aにおける接触子75aと接触する部分の被覆は剥がされているものとする。
【0052】
接触子75aの一方側の面には、電力線51bの一端が、例えば金属製の接続具76によって圧着固定される。尚、電力線51bの一端は、接触子75aと電気的に接続されるように、被覆が剥がされているものとする。接続具76は、例えば螺子761、762によって接触子75aに対して螺着される。
【0053】
例えば、アーム73が回動軸74を軸にD3方向に向かって回動した場合、接触子75aは電力線51bから離間する。その場合、導電線77aと電力線51bとは遮断される。一方、例えば、アーム73が回動軸74を軸にD4方向に向かって回動した場合、接触子75aの溝755に電力線51bにおける被覆が剥がされた部分が嵌って、接触子75aは電力線51bと接触する。その場合、導電線77aと電力線51bとは電気的に接続される。尚、接続装置7bの構成、判定装置32乃至37夫々と絞り部62乃至67とを接続するための接続装置の構成は、接続装置7aの構成と同様であるので、その説明については省略する。
【0054】
接続装置7c(図3)は、導電線77cと電力線L10とを電気的に接続したり、遮断したりするように、断路器18における電線L10側の端に設けられる。接続装置7d(図3)は、導電線77dと電力線L20とを電気的に接続したり、遮断したりするように、断路器28における電線L20側の端に設けられる。接続装置7eは、導電線77e(図3)と母線L1とを電気的に接続したり、遮断したりするように、断路器18における母線L1側の端に設けられる。接続装置7f(図3)は、導電線77fと母線L2とを電気的に接続したり、遮断したりするように、断路器28における母線L2側の端に設けられる。
【0055】
===制御装置===
以下、図1乃至図6を参照して、本実施形態における制御装置の機能について説明する。図5は、本実施形態における制御装置の機能を示すブロック図である。図6は、本実施形態における送電線で過負荷が発生した際に許容される運転時間を示す図である。
【0056】
制御装置9は、送受信部91、選択部92、記憶部93、制御部94、機器制御部95(制御装置)、判定部96(判定装置)、予測部97、計時部98を有している。
【0057】
送受信部91は、潮流情報、計測情報、リレー情報、停電情報、遮断器CB1からCB8の開閉を示す遮断器開閉情報、断路器11乃至28、21乃至28の開閉を示す断路器開閉情報を受信する。潮流情報は、測定装置M1乃至M7が設けられた位置を流れる電流を示す情報である。尚、送受信部91は、母線L1、L2側で系統事故が発生していないときも、例えば30分毎に潮流情報を受信しているものとする。計測情報は、計測装置311、判定装置32乃至37の計測装置で計測された、絞り部61乃至67を流れる電流及び、計測装置381、391で計測された電力線L10、L20、母線L1、母線L2を流れる電流を示す情報である。リレー情報は、母線L1又はL2側での系統事故の発生が継電装置90で検出された際に、継電装置90から出力される情報である。停電情報は、負荷R1乃至R3(電力負荷)に対して電力の供給が遮断された際に、負荷R1乃至R3から出力される情報である。遮断器開閉情報は、例えば、継電装置90から受信するものとする。断路器開閉情報は、例えば、断路器11乃至18乃至21乃至28の開閉を検出するセンサーから受信するものとする。尚、送受信部91が線L1又はL2側での系統事故の発生を示すリレー情報を受信することによって、制御装置9は、電力線51乃至57、母線L1、L2、送電線41乃至47のうち何れかで系統事故が発生したことを検出する。尚、電力線51乃至57、母線L1、L2、送電線41乃至47のうち何れかで系統事故が発生したことを検出する制御装置9の機能が本実施形態における検出装置に相当する。尚、当該検出装置、機器制御部95、判定部96、計測装置311が本実施形態における事故判定装置に相当する。
計時部98は、現在時刻を計時するタイマである。
【0058】
記憶部93は、例えば第1の領域931、第2の領域932、第3の領域933、第4の領域934を有する。第1の領域931には、制御装置9を動作させるためのプログラムが記憶される。第2の領域932には、潮流情報が記憶される。尚、潮流情報は、潮流情報を受信した時刻と関連付けられた状態で記憶される。潮流情報は、更に、制御装置9の温度計(不図示)で計測された温度情報、天候情報を放送する放送局(不図示)から受信した天候情報と関連付けられた状態で記憶される。第3の領域933には、許容時間情報T1(図6)、送電線41乃至47夫々の定格電流を示す定格情報が記憶される。許容時間情報T1は、送電線41乃至47夫々の定格電流に対して、送電線41乃至47を流れる電流が超過した割合(過負荷の割合)と、過負荷が発生した際に許容される運転時間(以下、「許容時間」と称する)とが関連付けられた情報である。尚、送電線41乃至47での過負荷とは、送電線41乃至47を流れる電流が、送電線41乃至47夫々の定格電流を超過することを示す。一般に、許容時間情報T1に示される許容時間を超えて運転した場合、送電線41乃至47が溶断する虞があるので、許容時間を超えないように電力系統100を制御する必要がある。第4の領域934には、判定部96によって事故区間であるか否かを判定する際に用いられる電流の閾値を示す電流閾値情報が記憶される。電流閾値情報は、絞り部61乃至67、電力線L10、L20、母線L1、母線L2(以下、「判定候補区間」と称する)で夫々地絡事故が発生しているときに、判定装置31乃至39から各判定候補区間に対して電圧(例えば10キロボルト)を印加した際に、各判定候補区間を流れる電流よりも小さい電流(例えば100ミリアンペア)である。
【0059】
制御部94は、第1の領域931に記憶されたプログラムに基づいて、制御装置9の動作を制御する。
【0060】
選択部92は、停電情報、潮流情報、予測部97の需要予測に基づいて、判定候補区間のうち何れの区間から系統事故が発生を判定するかの順序を決定し、系統事故の発生を判定する区間を選択する。尚、選択部92の詳細については後述する。
【0061】
予測部97は、第2の領域932に記憶された過去の潮流情報に基づいて、負荷R1乃至R3における例えば1時間後の需要予測を行う。例えば、予測部97は、過去の潮流情報から負荷R1乃至R3の過去1年における日毎の負荷の変化を算出し、日毎の負荷曲線を求める。予測部97は、過去の負荷曲線のうち、例えば同様な気温、天候の負荷曲線から、午前0時から予測部97が需要予測開始するまでの負荷の変化に近い負荷曲線を抽出する。予測部97は、抽出した負荷曲線における、現在時刻から例えば1時間後の負荷R1乃至R3の負荷を、予測結果として出力する。
【0062】
判定部96は、判定装置31乃至39から出力される計測情報と、第4の領域934に記憶された電流閾値情報に基づいて、各判定候補区間で系統事故が発生したか否かを判定する。例えば、計測情報に示される電流値が、電流閾値情報に示される電流値よりも小さい場合、判定部96は、系統事故が発生していないと判定する。一方、例えば、計測情報に示される電流値が、電流閾値情報に示される電流値よりも大きい場合、判定部96は、系統事故が発生したと判定する。判定部96は、選択部92によって選択された区間が、上位側の区間であるか否かを判定する。尚、上位側の区間とは、発電機G1、G2から電気所1に対して電力を供給するための、絞り部61、62である。
【0063】
機器制御部95は、リレー情報に基づいて、断路器11乃至18、21乃至28を開く。機器制御部95は、リレー情報、選択部92の選択結果に基づいて、判定装置31乃至39を制御する。機器制御部95は、リレー情報、判定部96の判定結果に基づいて、断路器11乃至18、21乃至28の開閉を制御したり、遮断器CB1乃至CB8を閉じたりする。
【0064】
例えば、母線L1側での系統事故を示すリレー情報を送受信部91が受信した場合、機器制御部95は、断路器11乃至18のうち閉じている断路器を開く。一方、例えば、母線L2側での系統事故を示すリレー情報を送受信部91が受信した場合、機器制御部95は、断路器21乃至28のうち閉じている断路器を開く。
【0065】
例えば、母線L1側での系統事故を示すリレー情報を送受信部91が受信し、且つ、選択部92が、絞り部61を選択した場合、機器制御部95は、切片312cの他端が端子312aに接続され、且つ、接続装置7aの接触子75aと電力線51とが電気的に接続されるように判定装置31を制御する。
【0066】
例えば、母線L2側での系統事故を示すリレー情報を送受信部91が受信し、且つ、選択部92が、絞り部61を選択した場合、機器制御部95は、切片312cの他端が端子312bに接続され、且つ、接続装置7bの接触子75bと電力線51とが電気的に接続されるように判定装置31を制御する。尚、選択部92が絞り部62乃至67を選択した際の機器制御部95の動作は、上記の動作と同様であるので、その説明は省略する。
【0067】
例えば、母線L1側での系統事故を示すリレー情報を送受信部91が受信し、且つ、判定部96が、絞り部61で系統事故が発生していると判定した場合、機器制御部95は、復旧手順を電気所1の表示装置(不図示)若しくは電気所1を監視している事務所の表示装置(不図示)などに表示する。尚、電気所1の表示装置、電気所1を監視している事務所の表示装置は、例えば、電気所1内の作業員に対する指示を表示するための液晶モニタである。尚、判定部96が絞り部62で系統事故が発生していると判定した場合の機器制御部95の動作は、上記の動作と同様であるので、その説明は省略する。
【0068】
例えば、母線L1側での母線L1側での系統事故を示すリレー情報を送受信部91が受信し、且つ、判定部96が、絞り部63乃至67で系統事故が発生していると判定した場合、機器制御部95は、制御動作を行わない。
【0069】
例えば、母線L1側での系統事故を示すリレー情報を送受信部91が受信し、且つ、判定部96が、絞り部61で系統事故が発生していないと判定した場合、機器制御部95は、絞り部61の系統を切替えて復旧を行う。具体的には、機器制御部95は、断路器21を閉じた後、遮断器CB1を閉じる。尚、判定部96が絞り部62乃至67で系統事故が発生していないと判定した場合の機器制御部95の動作は、上記の動作と同様であるので、その説明は省略する。
【0070】
===選択部===
以下、図1、図5、図6を参照して、本実施形態における選択部について説明する。
【0071】
選択部92は、停電情報、潮流情報、定格情報に基づいて、送電線41乃至47で過負荷が発生しているか否か、負荷R1乃至R3で供給支障が発生しているか否かを判断する。選択部92は、更に、潮流情報、予測部97の需要予測、定格情報に基づいて、所定時間(例えば1時間)後に送電線41乃至47で過負荷の発生が予測されるかを判断する。
【0072】
ここで、負荷R1乃至R3での供給支障とは、例えば、負荷R1乃至R3での電力が不足し、負荷R1乃至R3で停電が発生している状態を示す。選択部92は、送受信部91で受信する停電情報に基づいて、負荷R1乃至R3で供給支障が発生しているか否かを判断する。又、選択部92は、測定装置M1乃至M7から送信される潮流情報、第3の領域933に記憶された定格情報に基づいて、送電線41乃至47で過負荷が発生しているかを判断する。選択部92は、送電線41乃至47で過負荷が発生している場合、定格電流に対する過負荷の割合を算出する。
【0073】
選択部92は、上記の供給支障及び過負荷の判断結果に基づいて、判定候補区間のうち、系統事故の発生を判定する区間(以下、「判定対象区間」と称する)を選択する。選択部92は、過負荷及び供給支障が同時に発生している場合、供給支障が優先的に解消されるように、判定対象区間を選択する。選択部92は、複数の送電線で過負荷が発生している場合、許容時間情報T1(図6)に示される許容時間が短い送電線の過負荷が優先的に解消されるように、判定対象区間を選択する。
【0074】
例えば、断路器11乃至17、21乃至27が第1の状態の際に、母線L1側での系統事故が発生した場合、前述の通り、遮断器CB1、CB3、CB5、CB7がOFFする。その後、断路器11、13、15、17がOFFする。選択部92は、系統事故が発生していない母線L2に接続された送電線42、44、46で過負荷が発生しているか否か、負荷R1乃至R3で供給支障が発生しているか否かを判断する。
【0075】
例えば、送電線42、44、46を流れる電流値が、定格情報に示された定格電流値よりも大きい場合、選択部92は、送電線42、44、46で過負荷が発生していると判断する。その場合、選択部92は、過負荷の割合と、許容時間情報T1とを参照して、許容時間が短い順に区間を選択する。例えば、許容時間が、送電線42、44、46の順に短い場合、選択部92は、判定対象区間として、絞り部61、63、65の順に選択する。尚、絞り部61は、送電線42と対となって電気所1に対して電力を供給する送電線41を含む絞り部である。絞り部63、65は夫々、送電線44、46と対となって母線L21、L31に電力を供給する送電線43、45を含む絞り部である。
【0076】
例えば、負荷R1から停電情報を送受信部91が受信した場合、選択部92は、負荷R1で供給支障が発生していると判断する。その場合、選択部92は、判定対象区間として絞り部67を選択する。
【0077】
例えば、負荷R1から停電情報を送受信部91が受信し、且つ、送電線46を流れる電流値が定格情報に示された定格電流値よりも大きい場合、選択部92は、送電線46で過負荷が発生し、且つ、負荷R1で供給支障が発生していると判断する。その場合、選択部92は、判定対象区間として、絞り部67、65の順に選択する。
【0078】
===動作===
以下、図1、図2、図5乃至図8を参照して、本実施形態における制御装置の動作について説明する。図7は、本実施形態における制御装置の動作を示すフローチャートである。図8は、本実施形態における制御装置の動作の一部を示すフローチャートである。
【0079】
例えば、断路器11乃至17、21乃至27が第1の状態の際に、母線L1側での系統事故した場合の制御装置9の動作について説明する。例えば、母線L1側での系統事故が発生し、第1の領域931に記憶されたプログラムの実行が開始されて、制御部94が制御装置9の制御動作を開始したところから説明する。尚、この場合、前述の通り、遮断器CB1、CB3、CB5、CB7は継電装置90によってOFFされている。
【0080】
制御装置9は、継電装置90からリレー情報を受信する(ステップS1)。制御装置9は、継電装置90から遮断器開閉情報を受信し、断路器11乃至18乃至21乃至28の開閉を検出するセンサーから断路器開閉情報を受信する(ステップS2)。制御装置9は、測定装置M1乃至M7から潮流情報を受信する(ステップS3)。制御装置9は、断路器11、13、15、17をOFFする(ステップS4)。この場合、断路器11、13、15、17は夫々、断路器21、23、25、27とともにOFFされることとなる。制御装置9は、送電線41乃至47で過負荷が発生しているか否か、負荷R1乃至R3で供給支障が発生しているか否かを判断する(ステップS5)。例えば、過負荷及び供給支障のうち少なくとも一方が発生していると判断された場合(ステップS5のYES)、制御装置9は、判定候補区間のうち判定対象区間を選択する(ステップS21)。制御装置9は、前述の通り、停電情報、潮流情報、定格情報に基づいて、判定対象区間を選択し、判定する順序を決定する。制御装置9は、判定対象区間のうち、系統事故の発生を判定していない区間があるか否かを判断する(ステップS22)。系統事故の発生を判定していない判定対象区間があると判断された場合(ステップS22のYES)、制御装置9は、判定対象区間で事故が発生しているかを判定する(ステップS23)。判定対象区間で系統事故が発生していないと判定された場合(ステップS23のNO)、制御装置9は、断路器をONした(ステップS24)後、遮断器をONして(ステップS25)復旧を行う。例えば、判定対象区間が絞り部61であり、絞り部61で系統事故が発生していないと判定された場合、制御装置9は、断路器21をONした後、遮断器CB1をONして復旧を行う。その後、制御装置9は、上記ステップS22の判断を再度行う。例えば、ステップS23の判定において、判定対象区間で系統事故が発生していると判定された場合(ステップS23のYES)、制御装置9は、判定対象区間が上位側の区間であるか否かを判定する(ステップS26)。例えば、判定対象区間が上位側の区間であると判定された場合(ステップS26のYES)、制御装置9は、復旧手順を電気所1の表示装置に表示する(ステップS27)。尚、復旧手順は、例えば、発電機G1、G2以外の他の発電機(不図示)から電気所1の母線L2に対して電力が供給されるように、系統の切り替えを行うための手順である。例えば、電気所1内の作業員が、復旧手順を参照して系統の切り替えを行う。その後、制御装置9は、上記ステップS22の判定を再度行う。一方、例えば、ステップS26の判定において、判定対象区間が上位側の区間でないと判定された場合(ステップS26のNO)、制御装置9は、上記ステップS22の判定を再度行う。ステップS22の判断において、系統事故の発生を判定していない判定対象区間がないと判断された場合(ステップS22のNO)、制御装置9は、結果を出力する(ステップS7)。尚、結果の出力は、例えば、選択部92によって選択された判定対象区間夫々で系統事故が発生していたか否か等を示す情報を、制御所(不図示)の表示装置に表示することを示す。上記ステップS5の判断において、過負荷及び供給支障の双方が発生していないと判断された場合(ステップS5のNO)、又は、上記ステップS7の制御動作の後、制御装置9は、負荷R1乃至R3における例えば1時間後の需要予測を行う(ステップS8)。制御装置9は、潮流情報、予測部97の需要予測、定格情報に基づいて、例えば1時間後に送電線41乃至47で過負荷の発生が予測されるかを判断する(ステップS9)。例えば1時間後に送電線41乃至47で過負荷が発生しないと予測された場合(ステップS9のNO)、制御装置9の制御動作は終了する。一方、例えば、1時間後に送電線41乃至47で過負荷が発生すると予測された場合、制御装置9は、選択部92の予測結果に基づく判定対象区間で系統事故が発生しているか否かを判定する(ステップS10)。制御装置9は、判定部96による判定結果を例えば制御所の表示装置に表示した(ステップS11)後、制御動作を終了する。
【0081】
前述したように、断路器11乃至17夫々と、断路器21乃至27夫々とは、母線L1及びL2の間に直列接続される。断路器11乃至17は、母線L1から負荷R1乃至R3に対して電力が供給される際に閉じる。断路器21乃至27は母線L2から負荷R1乃至R3に対して電力が供給される際に閉じる。断路器11乃至17夫々と、断路器21乃至27夫々とは、相補的に開閉する。送受信部91が母線L1又はL2側での系統事故の発生を示すリレー情報を受信することによって、制御装置9は、母線L1、L2、電力線51乃至57、送電線41乃至47のうち何れかで系統事故が発生したことを検出する。例えば、母線L1から負荷R1に対して電力が供給されている際に、母線L1側の系統事故の発生が検出された場合、機器制御部95は、断路器17を開く。例えば、母線L2から負荷R1に対して電力が供給されている際に、母線L2側の系統事故の発生が検出された場合、機器制御部95は、断路器27を開く。判定装置37は、絞り部67に対して電圧を印加し、絞り部67を流れる電流を計測する。判定装置37の計測結果を示す計測情報に基づいて、判定部96は、絞り部67で系統事故が発生したか否かを判定する。よって、例えば絞り部67を流れる電流に基づいて、送電線47を含む絞り部67で系統事故が発生したか否かを、容易且つ確実に判定することができる。又、絞り部67で系統事故が発生したか否かを判断するための電圧は、母線L1又はL2以外の、判定装置37から供給される。よって、絞り部67で系統事故が発生したか否かを判断する際に、系統事故の影響により、健全な母線の電圧が変動するのを防止できる。又、絞り部67で系統事故が発生したか否かを判定する際に、判定装置37と絞り部67における電力線57との接続は、判定装置37の接続装置によって迅速に行われる。従って、絞り部67で系統事故が発生したか否かを迅速に判定することができる。
【0082】
又、絞り部67で系統事故が発生していないと判定部96が判定した場合、機器制御部95は、絞り部67を介して負荷R1に対して電力が供給されるように、例えば断路器27をONした後、遮断器CB7をONして絞り部67の復旧を行う。よって、例えば、送電線41乃至47の過負荷、負荷R1乃至R3の供給支障を迅速に解消することができる。
【0083】
又、例えば、母線L1側での系統事故が発生した際に、遮断器CB1、CB3、CB5、CB7がOFFすることによって、送電線41乃至47の過負荷と、負荷R1乃至R3の供給支障とが同時に発生した場合、供給支障が優先的に解消されるように、制御装置9は、絞り部61乃至67で系統事故が発生しているかを判定し、復旧を行う。従って、負荷R1乃至R3の例えば停電を迅速に解消し、負荷R1乃至R3への安定的な電力の供給を早期に実現できる。
【0084】
又、例えば、母線L1側での系統事故が発生した際に、遮断器CB1、CB3、CB5、CB7がOFFすることによって、送電線41乃至47のうち複数で過負荷が発生した場合、許容時間情報T1に示される許容時間が短い送電線の過負荷が優先的に解消されるように、制御装置9は、絞り部61乃至67で系統事故が発生しているかを判定し、復旧を行う。従って、送電線41乃至47が過負荷によって例えば溶断するのを防止できる。
【0085】
又、絞り部61乃至67を復旧した際に、送電線41乃至47の過負荷、負荷R1乃至R3の供給支障のうち少なくとも何れか一方を解消できる絞り部61乃至67についてのみ、制御装置9は、系統事故が発生しているか否かを判定し、復旧を行う。よって、負荷R1乃至R3の供給支障、送電線41乃至47の解消を迅速に行うことができる。
【0086】
又、制御装置9は、潮流情報、予測部97の需要予測、定格情報に基づいて、例えば1時間後に送電線41乃至47で過負荷の発生が予測されるかを判断する。よって、制御装置9の予測結果に基づいて、送電線41乃至47うち過負荷の発生が予測される送電線の負荷を減らすように、例えば過負荷の発生が予測される送電線から電力が供給されている電力負荷に対して、発電機G1、G2とは他の発電機から電力が供給されるように系統を切り替えることができる。従って、例えば母線L1側で発生した系統事故に起因して、将来発生する虞がある送電線41乃至47の過負荷を事前に防止できる。
【0087】
又、判定装置31、制御装置9は、電気所1と同様な構成の例えば超高圧変電所、一次変電所、中間変電所等の様々な電圧階級の電気所で利用することができるので、各電圧階級の電気所毎に事故判定装置を開発する必要がないので、事故判定装置の開発コストを抑えることができる。
【0088】
又、絞り部61乃至67で系統事故が発生したか否かの判定、及び、絞り部61乃至67の復旧を、制御装置9が自動的に行うので、作業員の作業負担を軽減できる。
【0089】
又、接続装置7aは、例えば、断路器11の基台84(図4)の上面に設けられるので、例えば、屋内変電所等の電力設備の設置スペースが限られた電気所等にも設けることができる。
【0090】
又、例えば、母線L1側での系統事故が発生した場合、判定装置31における接続装置7a、7b(図2)のうち、電力の供給が遮断されている母線側の接続装置7aによって、計測装置311と絞り部61における電力線51とは電気的に接続される。例えば、電圧が印加されている母線L2から離れた位置で、計測装置311と絞り部61における電力線51とを電気的に接続できる。よって、計測装置311で電流を測定する際に、例えば母線L2の電圧により発生するノイズの影響を低減できる。従って、絞り部61で系統事故が発生したか否かを更に確実に判定することができる。
【0091】
又、計測装置311は、リレー装置312を介して絞り部61における電力線51と接続される。リレー装置312によって計測装置311と電力線51との接続点を切替えることができるので、計測装置311の台数を減らすことができる。従って、安価な事故判定装置を提供できる。
【0092】
尚、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0093】
本実施形態においては、絞り部61乃至67で系統事故が発生しているか否かを、制御装置9によって自動的に判定する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、断路器11乃至18、21乃至28、遮断器CB1乃至CB8、判定装置31乃至39を手動で制御するための制御装置(不図示)を設けて、絞り部61乃至67、電力線L10、L20(図3)、母線L1、L2で系統事故が発生しているか否かを電気所1内の作業員による手動操作で判定する構成としてもよい。その場合、電気所1内の何れの区間で系統事故が発生したかを確実に判定することができる。又、作業員による手動操作によって、系統事故の判定を行うことができるので、使い勝手のよい事故判定装置を提供できる。又、例えば、断路器11乃至17、21乃至27が第1の状態の際に、絞り部61で系統事故が発生している場合、遮断器CB8、断路器18、28をONすることによって母線L1、L2を連系させて、発電機G2の電圧を母線L2、L1の供給することができる。その場合、母線L1から電力が直接供給されている負荷へ電力の供給することができる。
【0094】
本実施形態においては、送電線41乃至47の過負荷が解消されるように、絞り部61乃至67を復旧する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、変圧器Tr2、Tr3の過負荷が解消されるように、制御装置9が、絞り部61乃至67を復旧するようにしてもよい。その場合、変圧器T2、Tr3の過負荷が持続することによって、例えば変圧器Tr2、Tr3の巻き線が損傷するのを防止することができる。
【0095】
本実施形態においては、判定候補区間のうち、選択部92によって選択された判定対象区間において系統事故が発生しているか否かを判定する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、判定部96が、判定候補区間を予め決められた順序で全て判定する構成としてもよい。その場合、絞り部61乃至67、電力線L10、L20、母線L1、母線L2夫々の区間で系統事故が発生したか否かを判定することができる。ここで、例えば、遮断器CB8には、電力線L10の一端を遮断器CB8に接続するための碍子が設けられている。碍子は絶縁性が保たれているが、例えば碍子の経年劣化等で碍子の絶縁性が十分に保たれずに、電力線L10が地絡することがある。事故判定装置では、電力線L10で系統事故が発生したか否かを判定することができるので、遮断器CB8の碍子の絶縁性が十分に保たれているか否かを確認することができる。
【0096】
本実施形態においては、選択部92によって決定された順序で判定対象区間において系統事故が発生しているか否かを判定する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、判定装置31乃至39夫々を制御するための制御装置を設けて、判定候補区間に対して同時に判定装置31乃至39を接続して、各判定候補区間で系統事故が発生しているか否かを同時に判定してもよい。その場合、各判定候補区間で系統事故が発生したか否かを早急に判定することができる。
【0097】
本実施形態においては、計測装置311が、例えば絞り部61における電力線51に対して接続装置7a又は7bによって電気的に接続される構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、計測装置311と端子312aとを接続して、計測装置311が接続装置7aのみによって、絞り部61における電力線51に接続される構成としてもよい。その場合、接続装置7b及びリレー装置312を設ける必要がないので、事故判定装置の構成を単純にして安価な事故判定装置を提供できる。
【0098】
本実施形態においては、例えば導電線77a(図4)と電力線51aとを電気的に接続する際、回動軸74を軸にアーム73をD4方向に回動させる構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、アーム73を、接触子55aを垂直方向に移動させるための昇降機構に置き換えて、固定部材71の上面に昇降機構を設けて、昇降機構の上部に接触子55aを設けてもよい。尚、昇降機構としては、例えばパンタグラフ機構を利用した構成であってもよい。その場合、接触子55aは、垂直方向に沿って移動するので、例えば屋内変電所等の設置スペースが限られている電気所でも、昇降機構を有する接続装置を利用することができる。よって、事故判定装置の利用性を向上できる。
【0099】
本実施形態においては、復旧手順を、電気所1の表示装置若しくは電気所1を監視している事務所の表示装置等に表示する構成について説明したが、これに限定されるもではない。例えば、復旧手順を、電気所1の表示装置に表示すると共に、電気所1を監視している事務所の表示装置等に表示する構成としてもよい。その場合、例えば、電気所1に入所して作業を行っている作業員の操作状況を、事務所等から確認することができる。よって、例えば操作対象の機器を誤る等の人間系の思い込みによるミスを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0100】
1、2、3 電気所
9 制御装置
11、12、13、14、15、16、17、18、21、22、23、24、25、26、27、28 断路器
31、32、33、34、35、36、37、38、39 判定装置
41、42、43、44、45、46、47 送電線
51、52、53、54、55、56、57、51a、51b、L10、L20 電力線
61、62、63、64、65、66、67 絞り部
90 継電装置
91 送受信部
92 選択部
93 記憶部
94 制御部
95 機器制御部
96 判定部
97 予測部
100 電力系統
101、102、103、104、105、106、107、108 電力設備
311 計測装置
312 リレー装置
CB1、CB2、CB3、CB4、CB5、CB6、CB7、CB8 遮断器
G1、G2 発電機
L1、L2、L21、L31 母線
M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7 測定装置
R1、R2、R3 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1母線から電力負荷に対して電力を供給する際に閉じる第1開閉器と、前記第1母線とは異なる第2母線から前記電力負荷に対して電力を供給する際に閉じる、前記第1開閉器と相補的に開閉する第2開閉器とが、前記第1及び第2母線の間に直列接続される電力系統において、前記第1及び第2開閉器の間に接続される、前記電力を前記電力負荷に供給するための第1電力線で事故が発生したか否かを判定する事故判定装置であって、
前記第1及び第2母線に供給される電流と、前記電力負荷に供給される電流とに基づいて、事故が発生したことを検出する検出装置と、
前記第1母線から前記電力負荷に対して電力が供給されている際に、前記検出装置が事故の発生を検出した場合、前記第2開閉器とともに前記第1開閉器を開くように制御し、前記第2母線から前記電力負荷に対して電力が供給されている際に、前記検出装置が事故の発生を検出した場合、前記第1開閉器とともに前記第2開閉器を開くように制御する制御装置と、
前記検出装置が事故の発生を検出した場合、前記第1電力線に第1電圧を印加する電圧印加装置と、
前記第1電圧に応じて前記第1電力線を流れる電流に基づいて、前記第1電力線で前記事故が発生したか否かを判定する判定装置と、
を備えたことを特徴とする事故判定装置。
【請求項2】
前記電力系統は、
前記第1及び第2母線の間に接続されるとともに、前記第1及び第2母線を電気的に接続する際に閉じ、前記第1及び第2母線を電気的に接続しない際に開く第3開閉器と、
前記第1母線と前記第3開閉器との間に接続されるとともに、前記第1及び第2母線を電気的に接続する際に前記第3開閉器とともに閉じる第4開閉器と、を有し、
前記制御装置は、前記第3開閉器が開いており、且つ、前記検出装置が事故の発生を検出した場合、前記第1及び第2開閉器とともに前記第4開閉器を開くように制御し、
前記電圧印加装置は、前記第3及び第4開閉器の間に接続される第2電力線に第2電圧を印加し、
前記判定装置は、前記第2電圧に応じて前記第2電力線を流れる電流に基づいて、前記第2電力線で前記事故が発生したか否かを判定すること
を特徴とする請求項1に記載の事故判定装置。
【請求項3】
前記電力系統は、
前記第2母線と前記第3開閉器との間に接続されるとともに、前記第1及び第2母線を電気的に接続する際に前記第3及び第4開閉器とともに閉じる第5開閉器、を有し、
前記制御装置は、前記第3開閉器が開いており、且つ、前記検出装置が事故の発生を検出した場合、前記第4開閉器とともに前記第5開閉器を開くように制御し、
前記電圧印加装置は、前記第3及び第5開閉器の間に接続される第3電力線に第3電圧を印加し、
前記判定装置は、前記第3電圧に応じて前記第3電力線を流れる電流に基づいて、前記第3電力線で前記事故が発生したか否かを判定すること
を特徴とする請求項2に記載の事故判定装置。
【請求項4】
前記電力負荷は、複数設けられ、
前記複数の電力負荷に対応する数の、前記第1及び第2開閉器及び前記第1電力線からなる各直列接続体は、前記第1及び第2母線の間に相互に並列接続され、
前記電圧印加装置は、前記第1及び第2母線から前記複数の電力負荷夫々に対して供給される電流量に基づく順序で、複数の前記第1電力線に前記第1電圧を夫々印加し、
前記判定装置は、前記複数の第1電力線に前記電圧印加装置が前記第1電圧を印加する順序に基づいて、前記複数の第1電力線で前記事故が発生したか否かを夫々判定すること
を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の事故判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−110860(P2013−110860A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254145(P2011−254145)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】