説明

二層レアチーズケーキ用粉末ミックス及び二層レアチーズケーキの製造方法

【課題】一般家庭等において、ごく簡単な操作を施すだけで手軽に高品質の二層レアチーズケーキを作ることが可能な新規な二層レアチーズケーキ用粉末ミックス及び二層レアチーズケーキの製造方法を提供すること。
【解決手段】チーズパウダー15〜30質量%、粉末油脂15〜30質量%、糖類20〜60質量%、ゲル化剤2〜10質量%、及び酸味料0.3〜0.9質量%を含有する二層レアチーズケーキ用粉末ミックスであり、該二層レアチーズケーキ用粉末ミックス100質量部に対して40〜80℃に加温された牛乳100〜300質量部を加えて撹拌した後、冷蔵することを特徴とする二層レアチーズケーキの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭等において、ごく簡単な操作を施すだけで手軽に高品質の二層レアチーズケーキを作ることが可能な新規な二層レアチーズケーキ用粉末ミックス及び二層レアチーズケーキの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食文化が豊かになり、一般家庭においても食後のデザートの喫食が普及している。
一般家庭において製造可能な菓子デザートとして、特許文献1には、水等を加えて撹拌し冷却することにより、構成成分が二層に分かれ、上層がババロア状食感、下層がゼリー状食感を有している二層状デザートをつくることのできるデザート用即席粉末として、全脂粉乳、糖類、起泡剤およびゲル化剤を主成分とする粉末に、乳脂分離タンパク凝固剤を配合したデザート用即席粉末が提案されている。
【0003】
特許文献2には、ゲル化剤、膨剤、有機酸、乳蛋白、砂糖、色素、香料よりなる単一粉末ミックス40に対して熱湯(70〜80℃)100を加え軽く撹拌し、二層に分かれたものを冷蔵庫(0〜10℃)中に静置冷却する二層デザートの製法が開示されている。この方法によれば、ミックス中の有機酸の溶解による酸性溶液とすることにより乳蛋白は酸凝固して浮遊物を生じ、膨剤によって気泡を発生させ、この浮遊物と共に上層に浮き上がるように成分構成されている。
【0004】
特許文献3には、牛乳用二層ゼリーの素と牛乳を主体とした二層ゼリーの製造方法が提案されている。この特許文献3に記載の牛乳用二層ゼリーの素は、果汁に水と糖類とゼラチンを混合して加熱したものに、必要に応じてクリームや香料や着色料やクエン酸又は酒石酸を混合して混合材料となし、その混合材料のpHを3.8〜4.3に調整したものであり、二層ゼリーの製造方法は、この牛乳用二層ゼリーの素を、容器に入れ温めたうえ、これに牛乳を加えて混合し、型容器に入れて粗熱をとり、それから冷蔵庫に入れて冷蔵することにより、牛乳中のカゼインを凝固させたカード層と果汁の混入している乳精層との二層に分離した状態で、ゼラチンにより固定されるようにした、牛乳を主体とした二層ゼリーの製造方法である。
【0005】
一方、レアチーズケーキは、優れた食感から、近年デザートとして広い年齢層から嗜好されている。しかし、レアチーズケーキを作るには、クリームチーズに砂糖、卵黄、ゼラチンを混ぜ合わせ、これとは別に泡立てた生クリームを加え合わせるという面倒な作業を要する。
【0006】
チーズケーキ類製造用素材として特許文献4には、必須成分としてのチーズ類と、牛乳、脱脂乳もしくは水またはそれらの混合物及び乳化剤と任意的付加成分として油脂を含む、ホモゲナイザー等により均質乳化された、均質な起泡能を有する水中油型エマルジョンであるチーズケーキ類製造用素材が提案されている。そして、特許文献4の実施例2では、これを用いたレアチーズケーキとして、チーズケーキ類製造用素材1000部をホイップしてオーバーラン47%とし、これに板ゼラチン25部を水でふやかしたもの及びレモン果汁40部を加えて混合し、型流し冷却して、均一なきめ細かい組織のレアチーズケーキを得ている。
しかし、これは、単層のレアチーズケーキ用の素材であって、二層レアチーズケーキ用ではない。
【0007】
以上のように、従来において、乳脂や牛乳を用いた二層ゼリーデザート用の即席粉末等の提案はあるが、一般家庭において、レアチーズチーズケーキ系の二層デザートを極々簡易に製造できる材料や、方法は未だ提案されていない。
【0008】
【特許文献1】特開平4−58855号公報
【特許文献2】特開昭48−91250号公報
【特許文献3】特開2004−229531号公報
【特許文献4】特公昭62−42573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような状況に鑑み、一般家庭等において、ごく簡単な操作を施すだけで手軽に高品質の二層レアチーズケーキを作ることが可能な新規な二層レアチーズケーキ用粉末ミックス及び二層レアチーズケーキの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究の結果、チーズパウダー15〜30質量%、粉末油脂15〜30質量%、糖類20〜60質量%、ゲル化剤2〜10質量%、及び酸味料0.3〜0.9質量%を含有する二層レアチーズケーキ用粉末ミックスを用いることで、その目的を達成しうることを見出し、完成されたものである。
すなわち、本発明は、
(1)チーズパウダー15〜30質量%、粉末油脂15〜30質量%、糖類20〜60質量%、ゲル化剤2〜10質量%、及び酸味料0.3〜0.9質量%を含有する二層レアチーズケーキ用粉末ミックス、
(2)粉末油脂が植物由来である前記(1)記載の二層レアチーズケーキ用粉末ミックス、
(3)ゲル化剤がゼラチンである前記(1)又は(2)に記載の二層レアチーズケーキ用粉末ミックス、
(4)酸味料が、少なくともクエン酸、リンゴ酸、及び酒石酸から選ばれる少なくとも1種である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の二層レアチーズケーキ用粉末ミックス、及び
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の二層レアチーズケーキ用粉末ミックス100質量部に対して40〜80℃に加温された牛乳100〜300質量部を加えて撹拌した後、冷蔵することを特徴とする二層レアチーズケーキの製造方法、
を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、単に既に配合された本発明の二層レアチーズケーキ用粉末ミックスを用い、これに加温された牛乳を所定量加えて撹拌した後、冷蔵することにより二層レアチーズケーキが得られるので、従来のクリームチーズに砂糖、卵黄、ゼラチンを混ぜ合わせ、これとは別に泡立てた生クリームを加え合わせるという面倒な作業がないので、一般家庭において極々簡単に二層レアチーズケーキを作ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の二層レアチーズケーキ用粉末ミックスは、チーズパウダー15〜30質量%、粉末油脂15〜30質量%、糖類20〜60質量%、ゲル化剤2〜10質量%、及び酸味料0.3〜0.9質量%を含有することを特徴とする。
本発明の二層レアチーズケーキ用粉末ミックスに用いられるチーズパウダーは、天然のナチュラルチーズ、プロセスチーズを粉末化したものが風味、栄養的及び味覚的見地から好ましい。
より具体的なチーズパウダーとしては、ナチュラルカマンベールチーズパウダー、ナチュラルクリームチーズパウダー、ナチュラルマスカルポーネチーズパウダーなどのナチュラルチーズに分類されるものパウダーチーズ、カマンベールチーズパウダー、ゴルゴゾーラチーズパウダー、ダナブルーチーズパウダー、ゴーダチーズパウダー、パルメザンチーズパウダー、モッツアレラチーズパウダーチーズパウダー、エメンタールチーズパウダーなどのプロセスチーズに分類されるものパウダーチーズを挙げることができる。
【0013】
粉末油脂としては、大豆油、ナタネ油、コーン油などから得られる植物系の粉末油脂がコクと食感の観点から好適である。
本発明に使用する糖類としては、砂糖、果糖、乳糖等を挙げることができ、アスパルテーム、ステビア抽出物等を適宜併用してもよい。砂糖を用いる場合は、他の原料との均一混合性の観点から、粉末砂糖が好ましい。糖類の配合量は、20〜60質量%が好ましく、この範囲であれば、デザートとしての甘味として満足できる。
本発明に使用するゲル化剤は、食品に使用可能なゲル化剤であればいずれも使用可能であるが、ゼラチン、寒天、カラギーナン等を例示することができ、ゼラチンであることが歯切れや食感の点から最も好ましい。
【0014】
本発明に使用できる酸味料は、レアチーズの風味に適する点から、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸が好ましく、特にクエン酸、リンゴ酸、が好ましい。
さらに風味の点で果汁も加えることができる。添加できる果汁として、レモン、オレンジ、グレープ、ブドウ、りんご、もも、苺、バナナ、トマト、野菜ジュースなど果実類、野菜類で、ジュース状に加工できるものであれば良く、ここに例示されたものに制限されるものではない。
本発明の二層レアチーズケーキ用粉末ミックスは、家庭において使用しやすい量単位で、個別包装されて製品化される。
【0015】
本発明の製造方法では、前記組成の二層レアチーズケーキ用粉末ミックス100質量部に対して、40〜80℃に加温した牛乳100〜300質量部を加えて撹拌した後、1〜4℃で冷蔵する。
牛乳が40℃未満では、パウダー状の二層レアチーズケーキ用粉末ミックスが溶解しにくく、80℃を超えると牛乳が変質するなどして、得られる二層レアチーズケーキの食感が低下する。さらに、40〜55℃に加温した牛乳を用いる方がより好ましい品質のレアチーズケーキを製造することができる。
牛乳の配合量は、前記100〜300質量部の範囲がレアチーズケーキの風味、食感の観点から好ましい。
ボウル等に本発明の二層レアチーズケーキ用粉末ミックスを入れ、これに加温された牛乳を加え、撹拌した後、型に入れて冷蔵庫で1〜4℃で冷却固化される。
【0016】
また、本発明の二層レアチーズケーキ用粉末ミックスには、任意成分として、食品に添加可能なものであれば特に制限はなく、例えば上記原料に含まれない乳成分原料、例えば、脱脂粉乳等や;ハイメトキシル(HM)ペクチン、大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム等の増粘安定剤;グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、酵素分解レシチン等の乳化剤;ショ糖、トレハロース、スクラロース、ソルビトール、アスパルテーム、ステビア等の甘味料;果汁、果肉、酒類、香料、香辛料(乾燥オニオン、乾燥ハーブ等)等が挙げられる。
【実施例】
【0017】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。
なお、以下の記載において、%、部及び混合比は、質量%、質量部及び質量混合比を表す。
【0018】
実施例1
下記に示す配合比の粉末原料に対して0.9%のクエン酸を添加混合して、レアチーズケーキミックスを製造した。このレアチーズケーキミックス100gに対して48℃の牛乳250gを加え、粉末原料を十分に溶かした。この溶かした液体を直径12cmのテフロン(登録商標)加工円形金型に流し込み、冷蔵庫に入れて4℃で1.5時間放置してレアチーズケーキを製造した。
得られたレアチーズケーキは、型の底から5%の高さまでの下層がゼリー状であり、残りの95%はムース状であった。
【0019】
【表1】

【0020】
実施例2
実施例1と同じ粉末原料を用い、クエン酸の添加量を0.7質量%とした他は実施例1と同じ方法でレアチーズケーキを製造した。
得られたレアチーズケーキは、型の底から75%の高さまでがゼリー状、残りがムース状の上下二層のレアチーズケーキであり、両層とも良好な食味及び食感を有していた。
【0021】
実施例3
実施例1と同じ粉末原料を用い、クエン酸の添加量を0.5質量%とした他は実施例1と同じ方法でレアチーズケーキを製造した。
得られたレアチーズケーキは、型の底から99%の高さまでがゼリー状、残りの1%の上層がムース状であった。
【0022】
比較例1
実施例1と同じ粉末原料を用い、クエン酸の添加量を1.0質量%にした他は実施例1と同じ方法でレアチーズケーキを製造した。
得られたレアチーズケーキは、全てムース状となり、2層とならなかった。
【0023】
実施例4
実施例1と同じ粉末原料を用い、クエン酸に変えてリンゴ酸を0.8質量%添加して、レアチーズケーキを製造した。
得られたレアチーズケーキは、型の底から10%の高さまでがゼリー状であり、残りの90%の上層がムース状であった。
【0024】
比較例2
実施例3において、リンゴ酸の添加量を0.23質量%とした他は、実施例3と同様にしてレアチーズケーキを製造した。
得られたレアチーズケーキは、全てゼリー状となり、2層とならなかった。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の二層レアチーズケーキ用粉末ミックスは、これに加温された牛乳を所定量加えて撹拌した後、冷蔵することにより二層レアチーズケーキが得られるので、一般家庭において極々簡単に二層レアチーズケーキを作ることができるので、家庭用二層デザートの製造に有効に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チーズパウダー15〜30質量%、粉末油脂15〜30質量%、糖類20〜60質量%、ゲル化剤2〜10質量%、及び酸味料0.3〜0.9質量%を含有することを特徴とする二層レアチーズケーキ用粉末ミックス。
【請求項2】
粉末油脂が植物由来である請求項1記載の二層レアチーズケーキ用粉末ミックス。
【請求項3】
ゲル化剤がゼラチンである請求項1又は2に記載の二層レアチーズケーキ用粉末ミックス。
【請求項4】
酸味料が、少なくともクエン酸、リンゴ酸、及び酒石酸から選ばれる少なくとも1種である請求1〜3のいずれかに記載の二層レアチーズケーキ用粉末ミックス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の二層レアチーズケーキ用粉末ミックス100質量部に対して40〜80℃に加温された牛乳100〜300質量部を加えて撹拌した後、冷蔵することを特徴とする二層レアチーズケーキの製造方法。