説明

二成分現像剤及びその製造方法

【課題】良好な現像特性を示す二成分現像剤を提供する。
【解決手段】トナーとキャリアとを回転揺動式の混合装置により混合し、BET比表面積Sを0.190m/g<S<0.210m/gの範囲内とすることにより、良好な現像特性を示す二成分現像剤を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、コピー機等による画像形成においては、画質の向上のため、具体的には適切な画像濃度の実現、カブリ等の低減、階調性の向上のために、様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、非磁性一成分トナーについて記載されており、カブリやトナー飛散等の不具合を解消するために、静電潜像担持体の直径が10mm以上40mm以下、現像剤担持体の直径が5mm以上20mm以下である画像形成装置にて、平均円形度が0.960以上0.995以下、コールターカウンターにおける体積平均粒径が4.5μm以上10μm以下、個数平均粒径で4μm以下の割合が10%以下、体積平均粒径で12.7μm以上の割合が5%以下である非磁性一成分トナーを用いることが記載されている。また、同文献には、さらに上記非磁性一成分トナーのBET値を2.0m/g以上とすることが記載されている。
【0004】
一方、二成分現像剤が良好な現像特性を実現するためには、現像剤の帯電量が適切に制御されることが重要である。そこで、特許文献2には、ナウターミキサーにキャリア及びトナー粒子をこの順に投入して混合した後一旦排出し、再投入して現像剤の帯電量が目標値となるまでさらに混合する、二成分現像剤の製造方法が記載されている。
【特許文献1】特開2005−164875号公報(2003年12月2日公開)
【特許文献2】特開平9−6041号公報(1997年1月10日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の二成分現像剤では、得られる画像の質が充分とはいえず、改良の余地があった。
【0006】
二成分現像剤が良好な現像特性を実現するためには、トナーとキャリアとの付着力が適切に制御されることが求められる。この付着力が小さ過ぎると画像濃度が濃くなり過ぎたり、カブリが生じたりする。また、この付着力が大き過ぎると画像濃度が薄くなり、適切な濃度が出なくなる。
【0007】
しかし、特許文献1の発明は、非磁性一成分現像剤に関するものであるため、二成分現像剤における帯電量及びトナーとキャリアとの付着力、それに起因する画像濃度の変動について、何ら考慮されていない。
【0008】
また、特許文献2の発明は二成分現像剤を対象としているものの、充分な画質が得られているとはいえず、改良の余地があった。
【0009】
本発明は、この問題に鑑みたものであり、より高い画質を実現できる二成分現像剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、高画質を得るために、帯電量だけでなくトナーとキャリアとの付着力に着目した。その結果、特許文献2で用いているナウターミキサーは、容器内でスクリューを回転させることによって容器内の物質を撹拌する装置であって撹拌力が強いため、トナーとキャリアとの付着力が強くなりすぎること、さらに、トナーとキャリアとの付着力には、現像剤のBET比表面積が影響を与えることを見出し、本発明に至った。
【0011】
請求項1の二成分現像剤は、トナーとキャリアとが回転揺動式の混合装置により混合された二成分現像剤であって、上記二成分現像剤のBET比表面積Sが0.19m/g<S<0.21m/gを満たす。
【0012】
請求項2の製造方法は、請求項1に記載の二成分現像剤の製造方法であって、トナーとキャリアとを回転揺動式の混合装置によって混合するときに、回転速度の異なる混合を2回以上行う。
【0013】
請求項3の二成分現像剤の製造方法は、請求項2に記載の現像剤の製造方法回転速度の異なる混合を2回行い、2回目の混合の回転速度を1回目の混合の回転速度より大きくする。
【発明の効果】
【0014】
BET比表面積Sを上記範囲内とすることによって、トナーとキャリアとの付着力を適正な大きさとすることができる。それゆえ、本発明の二成分現像剤は適正な画像濃度と、
良好な階調性を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の現像剤は、トナーとキャリアとが混合されてなる二成分現像剤である。
【0016】
(トナー)
トナーとしては、従来のトナーを用いることができる。トナーとして、具体的には、内部添加剤として、結着樹脂、着色剤、ワックス、及び無機微粒子を含有するものを用いることができる。
【0017】
結着樹脂としては、例えば、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン等の単独重合体あるいは共重合体が挙げられ、特に、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。更に、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、パラフィン、ワックス類が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が挙げられる。
【0019】
ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体等が挙げられる。誘導体とは酸化物、ビニルモノマーとの重合体、グラフト変性物を含む。この他に、アルコール、脂肪酸、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、エステルワックス、酸アミド等も使用することができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア等、公知の無機化合物を特に限定することなく使用することができ、これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。シリカの微粒子としては、無水シリカのほか、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等を含有するものが挙げられる。
【0021】
トナーは、現像剤の発色性、現像性等を阻害しない範囲で、上述した以外に他の成分を含むことができる。他の成分としては、現像剤の長期保存性、流動性、若しくは現像性の向上、又は帯電調整を目的とするものが挙げられる。これらの添加剤は、トナー粒子の内部に添加される内部添加剤であっても、トナー粒子の外部を覆うように添加される外部添加剤であってもよい。
【0022】
特に、トナーは内部添加剤として、帯電を調整するための電荷制御剤を含むことが好ましい。帯電制御剤としては、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等の化合物を、単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0023】
また、トナーの長期保存性、流動性、現像性、転写性をより向上させるために、トナーは、無機物粉、樹脂粉を、単独で又は2種以上を外部添加剤として含んでもよい。無機物粉としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛等が挙げられ、樹脂粉としては、例えば、PMMA,ナイロン、メラミン、ベンゾグアナミン、フッ素系等の球状粒子、及び、塩化ビニリデン、脂肪酸金属塩等の不定形粉末が挙げられる。
【0024】
トナーの製造方法は特に限定されず、溶融混練法等の従来公知の方法を利用することができる。溶融混練法を利用する場合、上記内部添加剤を溶融混練によって混練し、その後粉砕、分級を行い、さらに外部添加剤を加えて撹拌混合することでトナーを製造することが好ましい。
【0025】
混練は、従来公知の各種加熱混練機、すなわち三本ロール型、スクリュー型等を用いて行うことができる。また、上記混練物の粉砕は、マイクロナイザー、ターボミル等を用いて行うことができる。分級は、コアンダー効果を用いたエルボージェット、風力式等を用いることができ、外部添加剤を加えた後の撹拌混合は、ヘンシェルミキサー等の撹拌機を用いて行えばよい。
【0026】
(キャリア)
キャリアとしては、公知のキャリアを用いることができる。具体的には、キャリアとして、フェライト、マグネタイト、若しくは鉄粉等の金属粒子、又は、これら金属粒子若しくは金属粒子が樹脂中に分散したコア粒子を、被覆材料で被覆したコートキャリア等を使用することができる。
【0027】
コートキャリアの被覆材料としては、トナーに帯電性を付与するための帯電付与樹脂およびトナー成分のキャリアへの移行を防止するための低表面エネルギー材料が使用され、所望に応じて被覆樹脂層の抵抗制御のための導電粉を用いることができる。トナーに負帯電性を付与するための帯電付与樹脂としては、アミノ系樹脂、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、およびエポキシ樹脂等があげられ、さらにポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチルセルロース樹脂等のセルロース系樹脂等があげられる。またトナーに正帯電性を付与するための帯電付与樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等があげられる。
【0028】
トナー成分のキャリアへの移行を防止するための低表面エネルギー材料としては、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。
【0029】
また、導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。
【0030】
キャリアの製造方法は特に限定されず、従来公知の技術を利用することができる。例えばコートキャリアであれば、スプレーコート装置によってコア粒子に被覆材料をコートしてもよいし、コア粒子と被覆材料とを高速で撹拌する乾式コート法を利用してもよい。
【0031】
(二成分現像剤)
本発明の二成分現像剤は、そのBET比表面積Sが、0.190m/g<S<0.210m/gを満たす。BET比表面積Sをこの範囲とすることによって、現像性及び階調性が良好になる。
【0032】
上記二成分現像剤は、粒径5〜10μm、特に7〜10μmのトナーと、粒径10〜100μm、特に30〜50μmのキャリアとを組み合わせて含むことが好ましい。
【0033】
また、トナーとキャリアとの重量比は、トナーを1とするとキャリアを5〜30とすることが好ましく、5〜15とすることがさらに好ましい。
【0034】
(製造方法)
本実施形態の二成分現像剤の製造方法は、回転揺動式の混合装置によりトナーとキャリアとを混合する工程を含む。得られる現像剤のBET比表面積Sが上記範囲内となれば、他の構成、すなわち、トナー及びキャリアの製造方法、トナー及びキャリア以外の材料、機器、処理温度、処理時間等の諸条件については、何ら限定されるものではなく、公知の技術を利用することができる。
【0035】
回転揺動式の混合装置とは、カプセルの回転による拡散混合とカプセルの揺動による移動混合とを同時に行う装置である。回転揺動式の混合装置は、一般的にはロッキングミキサーと呼ばれる装置を含む。回転揺動式の混合装置は、カプセル内の粉体の粒子を変形させにくく、短時間かつ均一に混合することができるので、トナーとキャリアとを均一に混合することができると共に、帯電量及びトナーとキャリアとの付着力を適正な範囲に調整しやすくなる。
【0036】
回転揺動式の混合装置の一例を図1に示す。なお、本発明はこの図面の記載に限定されるものではなく、従来公知の回転揺動装置を適宜用いることができる。
【0037】
混合装置1は、カプセル2、第一ギア3、支持部4、回転部10、揺動部20、を備える。カプセル2は略円筒形状であり、その内部でトナーとキャリア(トナーとキャリアとの混合物を、図中に符号30を付して示す)を撹拌することができる。第一ギア3は、カプセル2の長手方向両端に設けられ、その径方向がカプセル2の長手方向に垂直な円形のギアである。回転部10は、回転軸11、回転軸11を中心として矢印A方向に回転可能であり、第一ギア3と噛み合うことで第一ギア3を(すなわちカプセル2を)矢印B方向に回転させる第二ギア12、及び、第二ギア12を回転させる駆動機構(図示せず)を備える。支持部4は、回転軸11を揺動可能に支持する。また、揺動部20は、回転軸11を上下(矢印C方向)に揺動させることで、カプセル2を揺動させることができる。
【0038】
このような回転揺動式の混合装置によってトナーとキャリアとを混合するとき、回転速度の異なる混合を2回以上行うことが好ましい。「回転速度」とは、単位時間当たりの回転数を意味し、単位rpmで表されるパラメータである。
【0039】
「回転速度の異なる混合を2回以上行う」とは、一定の回転速度での混合を所定時間連続して行うことを「一回の混合」としたときに、回転速度xでの混合(1回目の混合)、回転速度xでの混合(2回目の混合)、・・・回転速度xでの混合(N回目の混合、Nは2以上の自然数)を、それぞれ5分以上連続して行い、かつN回の混合のうち少なくとも一の混合における回転速度が他のいずれかの混合の回転速度と異なる場合を含む。つまり、例えばN=4であれば、x≠x≠x≠x、x≠x=x=x、x=x=x≠x等のように、回転速度を設定することができる。すなわち、「回転速度の異なる混合を2回以上行う」とは回転速度を1回以上変化させることである、と言い換えることもできる。
【0040】
各混合中、完全に同一の回転速度を維持する必要はなく、実質的に同一の回転速度であればよい。回転速度が実質的に同一であるとは、速度差が5rpm未満である場合を含む。
【0041】
「回転速度が異なる」とは、所定の混合において、回転速度が他の混合の回転速度よりも5rpm以上の速度差がある場合等を含む。
【0042】
また、所定の混合と他の混合との間で回転速度を異ならせる場合は、回転を止めずに回転速度を変化させてもよいし、回転を一旦停止させてもよい。
【0043】
回転速度は、BET比表面積Sが上記範囲となるように任意に設定可能であるが、10〜90rpmの範囲とすることが好ましく、20〜60rpmの範囲とすることが好ましい。さらに、カプセルの内部の容積が5〜15Lの場合に、全ての混合において回転速度は20〜60rpmとすることが好ましい。
【0044】
揺動速度は、トナーとキャリアとを充分に混合することができる値であれば、限定されない。また、回転速度によらず一定であってもよく、変化させてもよい。全ての混合において、揺動速度は5〜30spm以下であることが好ましく、10〜20spmであることがさらに好ましい。
【0045】
各混合にかかる時間は、回転速度、揺動速度、トナー及びキャリアの量等によって適宜設定すればよいが、5〜20分であることが好ましい。また、各混合にかかる時間は互いに同一でもよく、異なってもよい。
【0046】
また、混合の回数は、1回の混合にかかる時間、回転速度、揺動速度、トナー及びキャリアの量等によって適宜設定すればよいが、4回以下とすることが好ましく、2回とすることがさらに好ましい。
【0047】
得られる二成分現像剤のBET比表面積Sを上記範囲とするために、特に好ましい方法として、揺動速度10〜20spm、回転速度20〜50rpmで、5〜10分混合し、次に回転速度を40〜60rpmに変化させて5〜10分混合する方法が挙げられる。
【0048】
階調性により優れた現像剤を得るためには、N=2、かつx<xとすることが好ましく、特に、xとxとの関係を(x/x)≧2とすることが好ましい。
【0049】
以上のような条件下で混合を行うことによって、BET比表面積Sを上述の範囲内とすることができ、現像特性、階調性に優れた現像剤を製造することができる。
【実施例】
【0050】
〔実施例1〕
以下の材料を前混合し、溶融混練、粗粉砕、微粉砕、分級工程を経て、体積平均粒径9.0μmの着色粒子を得た。
【0051】
ポリエステル樹脂: 100部
リファインドカルナバワックス: 5部
電荷制御剤P-51: 2重量部
カーボンブラック: 5重量部
この着色粒子に疎水性シリカ粒子(90m/g)を終濃度1.8wt%、酸化チタン粒子(250nm)を終濃度1.0wt%、樹脂微粒子(115m/g)を0.1部加え、ヘンシェルミキサーで回転周速40m/s、混合時間5分で撹拌混合してブラックトナーを得た。
【0052】
このトナーとパウダーテック製フェライトキャリヤとを、重量比1:10、すなわちT/Cを10%として混合した。混合は、ロッキングミキサー(Aichi社製 型式:RM−10)を用いて、まず低速(20rpm)で5分間、次いで高速(60rpm)で5分間行った。揺動速度は10spmで一定とした。
【0053】
〔実施例2〕
ロッキングミキサーで、高速(60rpm)で5分間、次いで低速(40rpm)で5分間混合した以外は、実施例と1同様の手順によって二成分現像剤を得た。
【0054】
〔比較例1〕
ロッキングミキサーで、高速(60rpm)で5分間、次いで低速(20rpm)で5分間混合した以外は、実施例1と同様の手順によって二成分現像剤を得た。
【0055】
〔比較例2〕
ロッキングミキサーで、一定速度(60rpm)で10分間混合した以外は、実施例1と同様の手順によって二成分現像剤を得た。
【0056】
〔比較例3〕
ロッキングミキサーで、一定速度(60rpm)で5分間撹拌した以外は、実施例1と同様の手順によって二成分現像剤を得た。
【0057】
〔比較例4〕
ロッキングミキサーで、一定速度(60rpm)で20分間撹拌した以外は、実施例1と同様の手順によって二成分現像剤を得た。
【0058】
〔比較例5〕
ロッキングミキサーで、一定速度(60rpm)で30分間撹拌した以外は、実施例1と同様の手順によって二成分現像剤を得た。
【0059】
〔比較例6〕
ロッキングミキサーによる混合の代わりに、ナウターミキサーで10分間撹拌した以外は、実施例1と同様に行った。
【0060】
〔階調性の評価〕
上記実施例、比較例で得られた二成分現像剤を用い、京セラミタ(株)社製 FS−C5016にて用紙上に画像形成を行い、目視にて階調性の評価を行った。5段階(数値の大きい方が階調性がより良い)で階調性を評価し、その結果を、各現像剤のBET比表面積と併せて表1に示す。
【0061】
【表1】

表1に示すように、実施例1及び2で得られた現像剤はBET比表面積Sが0.19m/g<S<0.21m/gを満たし、階調性の評価が5又は4と、優れた現像特性を示した。これに対して比較例1〜6は、BET比表面積Sが上記範囲外であって、階調性の評価は3又は2であり、現像特性が実施例1・2より劣る結果となった。また、画像濃度についても同様の結果が得られ、階調性が良いものほど画像の濃度においても優れ、カブリ等の不具合の発生が少ない結果となった。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】回転揺動式の混合装置の一例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 ロッキングミキサー(回転揺動式の混合装置)
2 カプセル
3 第一ギア
4 支持部
10 回転部
20 揺動部
B 回転方向
C 揺動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアとが回転揺動式の混合装置により混合された二成分現像剤であって、
上記二成分現像剤のBET比表面積Sが0.190m/g<S<0.210m/gを満たす二成分現像剤。
【請求項2】
請求項1に記載の二成分現像剤の製造方法であって、
トナーとキャリアとを回転揺動式の混合装置によって混合するときに、回転速度の異なる混合を2回以上行う二成分現像剤の製造方法。
【請求項3】
回転速度の異なる混合を2回行い、2回目の混合の回転速度を1回目の混合の回転速度より大きくする請求項2に記載の二成分現像剤の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−20795(P2008−20795A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194009(P2006−194009)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】