説明

二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー

【課題】スロート部が詰まる現象を避けることを可能にする二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバーを提供する。
【解決手段】二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー10は、ベンチュリ管20、導管30および保管槽40を備える。ベンチュリ管20は、収縮部位22、拡張部位24およびスロート部26を有する。スロート部26は、収縮部位22と拡張部位24との間に接続され、収縮部位22は気流入口221を有し、拡張部位24は気流出口241を有する。導管30は、頂端32が収縮部位22の底端に接続される。保管槽60は、導管30の底端34に接続される。これにより、スロート部26が詰まる現象を避け、圧力損失が生じることを確実に防止することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気汚染防御設備に関し、詳しく言えばスロート部が詰まる現象を防止可能にする湿式ベンチュリスクラバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベンチュリスクラバーは、微粒子除去率が非常に高いため、業界に汎用されている。一般のベンチュリスクラバー、例えばTsai氏など数人により2005年に刊行物J. Air & Waste Manage. Assoc.に発表されたベンチュリスクラバーは、拡張部位、収縮部位およびスロート部を備える。スロート部は、拡張部位と収縮部位との間に形成される。使用の際、処理待ちの排気は、洗浄液の水滴に伴って拡張部位に導入され、続いてスロート部に流入し、加速される。水滴は、慣性が排気中の微粒子より大きいため、水滴と微粒子との間に速度差が生じ、両者を互いに衝突させることによって排気中の微粒子を除去することが可能である。
【0003】
微粒子濃度の高い排気がベンチュリスクラバー内に導入される際、微粒子は、収縮部位の管壁に容易に付着し、徐々に積み重なってくるため、スロート部が詰り、使用上の停滞および圧力損失(pressure drop)現象が異常に高まってしまうという現象が発生する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Air & Waste Manage. Assoc. 55:319-325(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、スロート部が詰まる現象を避けることを可能にする二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバーを提供することである。
本発明のもう一つの目的は、製造時間、人力およびコストを削減することを可能にする二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明による二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバーは、ベンチュリ管、導管および保管槽を備える。ベンチュリ管は、収縮部位、拡張部位およびスロート部を有する。スロート部は、収縮部位と拡張部位との間に接続され、収縮部位は気流入口を有し、拡張部位は気流出口を有する。導管は、頂端が収縮部位の底端に接続される。保管槽は、導管の底端に接続される。
【0007】
保管槽は、洗浄液の保管に用いられる。導管は、底端が洗浄液の液面下まで延長される。本発明による二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバーは、さらにスプレーおよび溢流槽を備える。スプレーはベンチュリ管の収縮部位の内側に配置され、溢流槽はベンチュリ管の収縮部位に接続される。ベンチュリ管のスロート部は、収縮部位の内側まで延長される。ベンチュリ管および導管は、外管と内管が合わさることによって形成される。ベンチュリ管の収縮部位および洗浄液導管は、外管に形成される。ベンチュリ管のスロート部および拡張部位は、内管に形成される。外管は、内管の一端の装着に用いる穿孔を有する。
【0008】
ベンチュリ管は、さらにスリーブ管を有する。スリーブ管は、内管に被さり、かつ外管の内側に設けられるため、スリーブ管と外管との間に粉塵用洗浄液流入通路が形成される。ベンチュリ管の内管は、内管の内部および粉塵用洗浄液流入通路に連絡する複数の噴出孔を有する。ベンチュリ管の内管は外周壁に環状リブを有し、環状リブはスリーブ管の底部に密接する。導管は、連結座によって外管に接続される。内管は、連結座の上に配置される。ベンチュリ管は管壁用洗浄液供給管を有し、管壁用洗浄液供給管はベンチュリ管の収縮部位の頂部に接続される。収縮部位は、円筒状を呈する。洗浄液供給管は、収縮部位の切線方向に沿って延長される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一実施形態による二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバーを示す斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態による二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバーを示す分解斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態による二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバーを示す断面図である。
【図4】本発明の第二実施形態による二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバーを示す斜視図である
【図5】本発明の第二実施形態による二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバーを示す断面図である。
【図6】本発明の第二実施形態による二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバーにおけるベンチュリ管を示す断面図である。
【図7】本発明の第二実施形態による二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバーにおけるベンチュリ管および導管を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバーを図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
図1から図3に示すように、本発明の第一実施形態による二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー10は、ベンチュリ管20、二つの導管30、保管槽40、スプレー50および二つの溢流槽60を備える。
【0011】
ベンチュリ管20は、収縮部位22、拡張部位24およびスロート部26を有する。スロート部26は、拡張部位24と収縮部位22との間に接続され、管壁が収縮部位22の内側まで延長される。収縮部位22は、スロート部26から遠く離れる一端に形成された気流入口221を有する。拡張部位24は、スロート部26から遠く離れる一端に形成された気流出口241を有する。
二つの導管30は、頂端32がベンチュリ管20の収縮部位22の底端に接続され、底端34が保管槽40に接続される。
【0012】
実際に製造する際、ベンチュリ管20および二つの導管30は、外管201と内管203が合わさることによって形成される。ベンチュリ管20の収縮部位22および二つの導管30は、外管201に形成される。ベンチュリ管20のスロート部26および拡張部位24は、内管203に形成される。外管201は、内管203の頂端の装着に用いる穿孔205を有する。
【0013】
保管槽40は、外管201の底部に接続され、洗浄液の保管に用いられる。処理待ちの排気が洗浄されずにそのまま二つの導管30を流通するという現象を防止するために、二つの導管30は、洗浄液の液面下まで延長される。保管槽40の内部は、ベンチュリ管20の拡張部位24に接続され、かつ頂部に位置する排気口44および底部に位置する洗浄液出口46を有する。
【0014】
スプレー50は、ベンチュリ管20の収縮部位22の内側に配置され、霧吹きを行なうことが可能である。
二つの溢流槽60は、二つの連結ユニット62が収縮部位22の外側に固定されることで成形される。二つの溢流槽60は、開口部64によってベンチュリ管20の収縮部位22の内部に接続する。
【0015】
本発明の第一実施形態による二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー10において、排気中の微粒子を除去する洗浄液は、スプレー50の霧吹きによってベンチュリ管20内に導入される。保管槽40の排気口44によって排気を行なう際、処理待ちの排気は、ベンチュリ管20の気流入口221から収縮部位22内に導入される。続いて、スプレー50に生じた微細な霧と排気とが混合され、スロート部26内に流入し、排気中の微粒子を除去する。浄化された大気は、保管槽40内部および排気口44によって外部に放流される。ベンチュリ管20のスロート部26および拡張部位24を流通した洗浄液20は、保管槽40に流入する。
【0016】
保管槽40内の洗浄液は図示しない循環管路および二つの管壁用洗浄液供給管66によって二つの溢流槽60内に導入され、溢流方式によってベンチュリ管20の収縮部位22を流れ、その内側壁面を潤すため、粉塵の付着および堆積を防止することが可能である。そののち、洗浄液は、導管30に沿って保管槽40に回流する。
【0017】
収縮部位22の管壁に沿って流れる洗浄液は、壁面に付着した微粒子を即時除去することが可能であるため、微粒子がスロート部に積み重なって停滞するという現象を確実に防止することが可能となる。実際に収縮部位22の管壁を潤す洗浄液は、直接導管30によって保管槽40に流入する。スロート部26を流通する洗浄液は、スプレー50によって噴出された霧状の洗浄液のみであるため、過量の洗浄液がスロート部26に流入し、スロート部26が詰まってしまうことと、スロート部26が詰まって圧力損失が生じることを確実に防止することが可能である。
【0018】
ベンチュリ管20および二つの導管30は、外管201と内管203とが合わさることによって形成される。形から言えば、外管201および内管203は従来のベンチュリ管と比べて製造しやすいため、製造時間、人力およびコストを確実に削減することが可能である。ベンチュリ管20のスロート部26の管壁は、収縮部位22の内側まで延長されるため、収縮部位22の内側壁面に沿って流れる洗浄液を導管30内に確実に導入することが可能である。
【0019】
(第二実施形態)
本発明の精神に基づいて、ベンチュリ管の構造に多様な変化を加えることが可能である。図4から図7に示すように、本発明の第二実施形態による二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー70は、第一実施形態とほぼ同じようにベンチュリ管80、二つの導管90および保管槽94を備える。
【0020】
ベンチュリ管80は、外管82、内管84、スリーブ管86、管壁用洗浄液供給管87および粉塵用洗浄液供給管88の組み合わせによって構成される。外管82は、円筒状を呈し、収縮部位82を有し、頂部に連結孔821を有する。連結孔821は、管壁用洗浄液供給管87の装着に用いられる。管壁用洗浄液供給管87は、収縮部位82の切線方向に沿って延長されるため、洗浄液はらせん方式によって収縮部位82を流通することが可能である。外管82は、底部に内管84の装着に用いる穿孔822を有する。内管84は、スロート部841および拡張部位843を有し、外周壁に環状リブ845を有する。スロート部841は、頂部に複数の噴出孔847を有する。スリーブ管86は、内管84に被さり、かつ外管82の内側に設けられるため、外管82との間に粉塵用洗浄液流入通路861が形成される。粉塵用洗浄液流入通路861は、粉塵用洗浄液供給管88によって外部に連絡し、噴出孔847によって内管84の内部に連絡する。スリーブ管86は、底部が内管84の環状リブ845に密接する。
【0021】
二つの導管90は、連結座92によって外管82に接続される。内管84は、連結座92上に固定される。
上述した構造により、保管槽94内の洗浄液941は、図示しない循環管路および管壁用洗浄液供給管87によってベンチュリ管80の収縮部位82内に導入され、管壁を潤す。そののち、洗浄液は、外管82とスリーブ管86との間の管壁用洗浄液流出通路823によって連結座92内部に導入され、続いて導管90を流通し、保管槽94に流入する。浄化が完了した後、洗浄液は粉、粉塵用洗浄液供給管88、粉塵用洗浄液流入通路861および噴出孔84によってスロート部841内に吹き出され、排気中の微粒子を除去する。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0022】
10:二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー、20:ベンチュリ管、201:外管、203:内管、205:穿孔、22:収縮部位、221:気流入口、24:拡張部位、241:気流出口、26:スロート部、30:導管、32:頂端、34:底端、40:保管槽、42:洗浄液、44:排気口、46:洗浄液出口、50:スプレー、60:溢流槽、62:連結ユニット、64:開口部、66:管壁用洗浄液供給管、70:二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー、80:ベンチュリ管、82:外管(収縮部位)、821:連結孔、822:穿孔、823:管壁用洗浄液流出通路、84:内管、841:スロート部、843:拡張部位、845:環状リブ、847:噴出孔、86:スリーブ管、861:粉塵用洗浄液流入通路、87:管壁用洗浄液供給管、88:粉塵用洗浄液供給管、90:導管、92:連結座、94:保管槽、941:洗浄液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収縮部位、拡張部位およびスロート部を有し、前記スロート部は前記収縮部位と前記拡張部位との間に接続され、前記収縮部位は気流入口を有し、前記拡張部位は気流出口を有するベンチュリ管と、
頂端が前記収縮部位の底端に接続される導管と、
前記導管の底端に接続される保管槽と、
を備えることを特徴とする二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー。
【請求項2】
前記保管槽は、洗浄液の保管に用いられ、
前記導管は、底端が洗浄液の液面下まで延長されることを特徴とする請求項1に記載の二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー。
【請求項3】
前記ベンチュリ管の前記収縮部位の内側に配置されるスプレーをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー。
【請求項4】
前記ベンチュリ管の前記収縮部位に接続される溢流槽をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー。
【請求項5】
前記ベンチュリ管の前記スロート部は、管壁が前記収縮部位の内側まで延長されることを特徴とする請求項1に記載の二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー。
【請求項6】
前記ベンチュリ管および前記導管は、外管と内管とが合わさることによって形成され、
前記ベンチュリ管の前記収縮部位および洗浄液導管は、前記外管に形成され、
前記ベンチュリ管の前記スロート部および前記拡張部位は、前記内管に形成され、
前記外管は、前記内管の一端の装着に用いる穿孔を有することを特徴とする請求項1に記載の二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー。
【請求項7】
前記ベンチュリ管は、前記外管と前記内管とが合わさることによって形成され、
前記収縮部位は、前記外管に形成され、
前記スロート部および前記拡張部位は、前記内管に形成され、
前記外管は、前記内管の一端の装着に用いる穿孔を有することを特徴とする請求項1に記載の二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー。
【請求項8】
前記ベンチュリ管は、スリーブ管をさらに有し、
前記スリーブ管は、前記内管に被さり、かつ前記外管の内側に設けられるため、前記スリーブ管と前記外管との間に粉塵用洗浄液流入通路が形成されることを特徴とする請求項7に記載の二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー。
【請求項9】
前記ベンチュリ管の内管は、当該内管の内部および前記粉塵用洗浄液流入通路に連絡する複数の噴出孔を有することを特徴とする請求項8に記載の二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー。
【請求項10】
前記ベンチュリ管の内管は、外周壁に環状リブを有し、
前記環状リブは、前記スリーブ管の底部に密接することを特徴とする請求項8に記載の二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー。
【請求項11】
前記導管は、連結座によって前記外管に接続されることを特徴とする請求項7に記載の二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー。
【請求項12】
前記内管は、前記連結座に配置されることを特徴とする請求項11に記載の二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー。
【請求項13】
前記ベンチュリ管は、管壁用洗浄液供給管を有し、
前記管壁用洗浄液供給管は、前記ベンチュリ管の前記収縮部位の頂部に接続され、
前記収縮部位は、円筒状を呈し、
前記管壁用洗浄液供給管は、前記収縮部位の切線方向に沿って延長されることを特徴とする請求項1に記載の二段階のスロート部を有する湿式ベンチュリスクラバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−56492(P2011−56492A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257316(P2009−257316)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(598139748)國立交通大學 (92)
【Fターム(参考)】