二酸化炭素の固定化方法
【課題】安定化した状態で、しかも効率的に二酸化炭素を吸収、固定化することを目的とする。
【解決手段】モノエタノールアミンの水溶液中に二酸化炭素を接触させ、さらに該水溶液に対してカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加することにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化し、またはモノエタノールアミンの水溶液中に予めカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液に対して二酸化炭素を接触させることにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することとしている。
【解決手段】モノエタノールアミンの水溶液中に二酸化炭素を接触させ、さらに該水溶液に対してカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加することにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化し、またはモノエタノールアミンの水溶液中に予めカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液に対して二酸化炭素を接触させることにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することとしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室効果ガスとしての二酸化炭素を効率的に固定化する二酸化炭素の固定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地球温暖化によって引き起こされる気候変動や海面上昇により、生態系や人類の生活が大きな影響を受けている。この地球温暖化の主因は二酸化炭素とされており、この回収・貯蔵技術に関心が集まっている。二酸化炭素を回収する方法としてモノエタノールアミン(以下「MEA」という)溶液などの塩基性の溶液に吸収させる手法が用いられている。MEAが吸収した二酸化炭素は加熱、加圧することにより高純度の二酸化炭素として放出され、これを地下に貯蔵する。
【0003】
しかしながら、MEAに吸収させた二酸化炭素は、回収液を加熱して再放出させ、濃縮・貯蔵されるが、回収液から二酸化炭素を再放出させるために100℃〜120℃まで加熱する必要があるため、加熱設備の導入等でコストがかかり、加熱過程も効率的とは言い難かった。また、再放出後の貯蔵に関しても、例えば地中へ貯蔵するためには大規模な施設が必要となるため、中小企業などでは導入が難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−325996号公報
【特許文献2】特開2010−208936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、安定化した状態で、しかも効率的に二酸化炭素を吸収、固定化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1は、モノエタノールアミンの水溶液中に二酸化炭素を接触させ、さらに該水溶液に対してカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加することにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することとしている。
【0007】
また本発明の請求項2は、モノエタノールアミンの水溶液中に予めカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液に対して二酸化炭素を接触させることにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することとしている。
【0008】
また本発明の請求項3は、モノエタノールアミンの水溶液中に二酸化炭素を接触させ、さらに該水溶液に対してマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加することにより、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することとしている。
【0009】
また本発明の請求項4は、モノエタノールアミンの水溶液中に予めマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液に対して二酸化炭素を接触させることにより、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することとしている。
【0010】
また本発明の請求項5は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の二酸化炭素の固定化方法において、使用するカルシウム塩を水酸化カルシウム、コンクリートの破砕物、セメント破砕物からなる水酸化カルシウム含有物、あるいは水和した際に水酸化カルシウムを含有するケイ酸カルシウム含有物のいずれかとしている。
【0011】
また本発明の請求項6は、請求項3または請求項4のいずれかに記載の二酸化炭素の固定化方法において、使用するマグネシウム塩を水酸化マグネシウム、あるいは塩基性炭酸マグネシウムのいずれかとしている。
【0012】
また本発明の請求項7は、請求項1に記載の二酸化炭素の固定化方法にあって、モノエタノールアミンの水溶液を、濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整し、こうして調整されたモノエタノールアミン水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中にカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を攪拌しながら添加することとしている。
【0013】
また本発明の請求項8は、請求項2に記載の二酸化炭素の固定化方法にあって、濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整されモノエタノールアミンの水溶液中に予めカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させることとしている。
【0014】
また本発明の請求項9は、請求項3に記載の二酸化炭素の固定化方法にあって、
モノエタノールアミンの水溶液を、濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整し、こうして調整されたモノエタノールアミン水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなるからなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中にマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を攪拌しながら添加することとしている。
【0015】
また本発明の請求項10は、請求項4に記載の二酸化炭素の固定化方法にあって、濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整されモノエタノールアミンの水溶液中に予めマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させることとしている。
【0016】
さらに本発明の請求項11は、請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の二酸化炭素の固定化方法にあって、モノエタノールアミンの水溶液を、水温を5〜80℃に保持させることとしている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来のような加熱設備や大規模な貯蔵施設が不要であり、これらに比して簡便に二酸化炭素を回収することができるため、安定化した状態で、効率的に二酸化炭素を吸収、固定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1,第2実施形態に対応する実施例1において、炭酸カルシウムの形態に及ぼす混合ガス吹き込み時間の影響を示すX線回折図である。
【図2】実施例1において混合ガス吹き込み時間を変化させたときに得られたMEA水溶液の赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図3】実施例1において炭酸カルシウムの形態に及ぼす温度の影響を示すX線回折図である。
【図4】第1,第2実施形態に対応する実施例2において、炭酸カルシウムの形態に及ぼす撹拌時間の影響を示すX線回折図である。
【図5】実施例2において試料の炭酸化率に及ぼす混合ガス吹き込み時間の影響を示す図である。
【図6】第1,第2実施形態に対応する実施例3において、炭酸カルシウムの形態に及ぼす撹拌時間の影響を示すX線回折図である。
【図7】実施例3において試料の炭酸化率に及ぼす混合ガス吹き込み時間の影響を示す図である。
【図8】第1,第2実施形態に対応する実施例4において、得られた試料のX線回折図である。
【図9】実施例4における混合ガス吹き込みの経過時間に対する水溶液の温度変化を示す図である。
【図10】実施例4における混合ガス吹き込みの経過時間に対する水溶液の電気伝導度の変化を示す図である。
【図11】実施例4における混合ガス吹き込みの経過時間に対する水溶液のpHの変化を示す図である。
【図12】第1,第2実施形態に対応する実施例5において、炭酸カルシウムの形態に及ぼす混合ガス吹き込み時間の影響を示すX線回折図である。
【図13】実施例5において試料の炭酸化率に及ぼす混合ガス吹き込み時間の影響を示す図である。
【図14】第3,第4実施形態に対応する実施例6において、炭酸マグネシウムの形成について、攪拌時間が及ぼす影響を示すX線回折図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る二酸化炭素の固定方法を説明する。
第1実施形態に係る二酸化炭素の固定方法は、MEAの水溶液中に二酸化炭素を接触させ、さらにこの水溶液に対してカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加することにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化するものである。
【0020】
二酸化炭素を接触させたMEAの水溶液に添加するカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液には、例えば、水酸化カルシウム、コンクリートの破砕物、セメント破砕物からなる水酸化カルシウム含有物、又は、水和した際に水酸化カルシウムを含有するケイ酸カルシウム含有物のいずれかのカルシウム塩を用いることができる。
【0021】
MEAの水溶液中への二酸化炭素の接触及びカルシウム塩等の添加は、例えば次のように行えばよい。
まず、MEAの水溶液を濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整する。次に、調整されたMEA水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込む。これにより、MEAの水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させることが可能となる。この状態でMEAの水溶液中にカルシウム塩を攪拌しながら添加し、該添加はMEA水溶液に対し、カルシウム塩が所定のモル比となるように行う。またここでの添加は、カルシウム塩をその水溶液の状態で行うようにしてもよい。二酸化炭素の吹き込み工程及びカルシウム塩の添加工程において、MEAの水溶液は、水温を5〜80℃に保持させることが好ましい。
【0022】
上記第1実施形態によれば、MEAの水溶液中に二酸化炭素を吹き込み、接触させた後に、さらにこの水溶液に対してカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加し、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化できることとなる。こうしたMEA水溶液中に二酸化炭素を吹き込んだ後にカルシウム塩等を添加して、間接的に炭酸カルシウムを生成させる方法(間接法)によれば、MEA水溶液に吹き込み、接触させた二酸化炭素は、安定な炭酸イオン(炭酸水素イオンを含む)となり、特に上述のような水温範囲であれば、この水溶液は安定した状態となる。したがって、例えばMEA水溶液に二酸化炭素を吸収させた後、この水溶液を処理する場所に運び、その後カルシウム塩としての例えばコンクリート廃材等やカルシウム塩の水溶液を添加させ、反応させることにより炭酸カルシウムを水溶液中に生成することができる。また、二酸化炭素の吹き込み方法などにより炭酸カルシウムの形態を制御することが可能である。
【0023】
第2実施形態に係る二酸化炭素の固定方法は、MEAの水溶液中に予めカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液に対して二酸化炭素を接触させることにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化するものである。
【0024】
MEAの水溶液に対し、予め添加するカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液には、例えば、水酸化カルシウム、コンクリートの破砕物、セメント破砕物からなる水酸化カルシウム含有物、又は、水和した際に水酸化カルシウムを含有するケイ酸カルシウム含有物のいずれかのカルシウム塩を用いることができる。
【0025】
MEAの水溶液中へのカルシウム塩等の添加および二酸化炭素の接触は、例えば次のように行えばよい。
まず、MEAの水溶液を濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整する。こうして調整されたMEAの水溶液中へのカルシウム塩等の添加は、例えばMEAの水溶液中にカルシウム塩を攪拌しながら添加して行い、該添加はMEA水溶液に対し、カルシウム塩が所定のモル比となるように行う。またここでの添加は、カルシウム塩をその水溶液の状態で行うようにしてもよい。
【0026】
次に、調整されたMEA水溶液100cm3に対して所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込む。これにより、MEAの水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させることが可能となる。二酸化炭素の吹き込み工程において、MEAの水溶液は、水温を5〜80℃に保持させることが好ましい。
【0027】
上記第2実施形態によれば、予めカルシウム塩あるいはカルシウム塩が添加されたMEA水溶液に対し、二酸化炭素を直接吹き込み、接触させることが可能となり(直接法)、吹き込まれた二酸化炭素はMEAの水溶液に溶存され、水溶液中の二酸化炭素は安定な炭酸イオン(炭酸水素イオンを含む)となる。このため、上述のような水温範囲であれば、この水溶液は安定である。したがって、MEAに二酸化炭素を吸収させた後に、これを液体として移動させたり、該液体を管路で圧送して処理プラントに供給することが可能となる。また、二酸化炭素の吹き込み方法などにより炭酸カルシウムの形態を制御することが可能である。
【0028】
第3実施形態に係る二酸化炭素の固定方法は、MEAの水溶液中に二酸化炭素を接触させ、さらに該水溶液に対してマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加することにより、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化するものである。
【0029】
二酸化炭素を接触させたMEAの水溶液に添加するマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液には、例えば水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムの使用が可能とされる。
【0030】
MEAの水溶液中への二酸化炭素の接触及びマグネシウム塩等の添加は例えば次のように行えばよい。
まず、MEAの水溶液を濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整する。次に、調整されたMEA水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込む。これにより、MEAの水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させることが可能となる。この状態でMEAの水溶液中にマグネシウム塩を攪拌しながら添加し、該添加はMEA水溶液に対し、マグネシウム塩が所定のモル比となるように行う。またここでの添加は、マグネシウム塩をその水溶液の状態で行うようにしてもよい。二酸化炭素の吹き込み工程及びマグネシウム塩の添加工程において、MEAの水溶液は、水温を5〜80℃に保持させることが好ましい。
【0031】
上記第3実施形態によれば、MEAの水溶液中に二酸化炭素を吹き込み、接触させた後に、さらにこの水溶液に対してマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加し、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化できることとなる。こうしたMEA水溶液中に二酸化炭素を吹き込んだ後にマグネシウム塩等を添加して、間接的に炭酸カルシウムを生成させる方法(間接法)によれば、MEA水溶液に吹き込み、接触させた二酸化炭素は、安定な炭酸イオン(炭酸水素イオンを含む)となり、特に上述のような水温範囲であれば、この水溶液は安定した状態となる。したがって、例えばMEA水溶液に二酸化炭素を吸収させた後、この水溶液を処理する場所に運び、その後マグネシウム塩としての例えば水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムやその水溶液を添加させ、反応させることにより炭酸カルシウムを水溶液中に生成することができる。また、二酸化炭素の吹き込み方法などにより炭酸カルシウムの形態を制御することが可能である。
【0032】
第4実施形態に係る二酸化炭素の固定方法は、MEAの水溶液中に予めマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液に対して二酸化炭素を接触させることにより、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化するものである。
【0033】
MEAの水溶液に対し、予め添加するマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液には、例えば水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等からなるマグネシウム塩の使用が可能とされる。
【0034】
MEAの水溶液中へのマグネシウム塩等の添加および二酸化炭素の接触は、例えば次のように行えばよい。
まず、MEAの水溶液を濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整する。こうして調整されたMEAの水溶液中へのマグネシウム塩等の添加は、例えばMEAの水溶液中にカルシウム塩を攪拌しながら添加して行い、該添加はMEA水溶液に対し、マグネシウム塩が所定のモル比となるように行う。またここでの添加は、マグネシウム塩をその水溶液の状態で行うようにしてもよい。
【0035】
次に、調整されたMEA水溶液100cm3に対して所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込む。これにより、MEAの水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させることが可能となる。二酸化炭素の吹き込み工程において、MEAの水溶液は、水温を5〜80℃に保持させることが好ましい。
【0036】
上記第4実施形態によれば、予めマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩が添加されたMEA水溶液に対し、二酸化炭素を直接吹き込み、接触させることが可能となり(直接法)、吹き込まれた二酸化炭素はMEAの水溶液に溶存され、水溶液中の二酸化炭素は安定な炭酸イオン(炭酸水素イオンを含む)となる。このため、上述のような水温範囲であれば、この水溶液は安定である。したがって、MEAに二酸化炭素を吸収させた後に、これを液体として移動させたり、該液体を管路で圧送して処理プラントに供給することが可能となる。また、二酸化炭素の吹き込み方法などにより炭酸カルシウムの形態を制御することが可能である。
【0037】
なお、上記第1ないし第4実施形態においては、MEA水溶液に対する二酸化炭素の接触を、MEA水溶液に対し、二酸化炭素を含む混合ガスを吹き込む方法により行うこととしているが、このような方法によらず、例えば霧状にしたMEA水溶液の雰囲気に対し、二酸化炭素を含む混合ガスを通過させ、接触させることにより、二酸化炭素をMEA水溶液に溶存させることとしてもよい。
【0038】
以下、実施例について説明する。
まず、第1あるいは第2実施形態に対応する実施例として、実施例1ないし実施例5を下記のとおり説明する。これらの実施例において、試料の調整は次のように行った。
まず、水溶液濃度1mol・dm−3のMEA水溶液100cm3を調製した。次に、調製したMEA水溶液を撹拌しながら、この水溶液に対して、二酸化炭素(10%)と窒素(90%)の混合ガスを流速0.5dm3・min−1で30〜120分吹き込みを行った。その後、水溶液濃度0.5mol・dm−3の塩化カルシウム水溶液100cm3を加え、水温を5〜80℃に保持しながら30〜180分間撹拌を行うことにより、炭酸カルシウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過して試料を得た。なお、塩化カルシウム水溶液でなく、直接塩化カルシウム塩をMEA水溶液に添加し、攪拌・溶解することとしてもよい。
【0039】
得られた試料のキャラクタリゼーションは、X線回折、走査型電子顕微鏡などを用いて行った。なお、MEAと二酸化炭素の反応過程は赤外吸収スペクトル、電気伝導度などを用いて行った。
【0040】
各実施例の条件は次のとおりである。
<実施例1>(図1〜3)
なお、本実施例においては、MEA水溶液に実際にカルシウム塩を添加した時に炭酸カルシウムが生成するかを確認のためだけに塩化カルシウムを用いた。炭酸ガス純度10%混合ガスの吹き込み時間は0〜70分である。塩化カルシウム添加後の水温は、室温、40°C、60°C、及び80°Cであり、撹拌は30分間行った。
【0041】
<実施例2>(図4、図5)
混合ガスの吹き込み時間は0〜70分である。炭酸ガス純度10%混合ガスの吹き込み時間60分、ガス流量0.5dm3・min−1、水温70°Cの条件である。
【0042】
<実施例3>(図6、図7)
混合ガスの吹き込み時間は0〜70分である。炭酸ガス純度10%混合ガスの吹き込み時間60分、ガス流量0.5dm3・min−1、水温60°Cの条件である。
【0043】
<実施例4>(図8〜図11)
炭酸ガス純度10%、混合ガスの吹き込み時間60分、ガス流量0.5dm3・min−1、水温40°Cの条件である。
MEAとCaのモル比:MEA/Ca=2.0
【0044】
<実施例5>(図12、図13)
混合ガスの吹き込み時間は0〜70分である。炭酸ガス純度10%、混合ガスの吹き込み時間60分、ガス流量0.5dm3・min−1、水温10°Cの条件である。
【0045】
次に、第3あるいは第4実施形態に対応する実施例として、実施例6を下記のとおり説明する。
<実施例6>(図14)
この実施例において、試料の調整は次のように行った。まず、水溶液濃度1mol・dm−3のMEA水溶液100cm3を調製した。次に、調製したMEA水溶液を撹拌しながら、この水溶液に対して、二酸化炭素(10%)と窒素(90%)の混合ガスを流速0.5dm3・min−1で30〜120分吹き込みを行った。その後、水溶液濃度0.5mol・dm−3の水酸化マグネシウム水溶液100cm3を加え、水温を5〜80℃に保持しながら60〜180分間撹拌を行うことにより、炭酸マグネシウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過して試料を得た。なお、水酸化マグネシウム水溶液でなく、直接水酸化マグネシウム塩をMEA水溶液に添加し、攪拌・溶解することとしてもよい。
【0046】
以上の第3あるいは第4実施形態に対応する上記実施例6において、MEAに二酸化炭素を吹き込んだ後も若干水酸化マグネシウムが残存するものの、炭酸マグネシウムの生成率が低下しないことが確かめられた。このため、吸収したのちに移動させ、炭酸マグネシウムを合成させることも可能である。
【0047】
以上、例えば実施例1においては、図1〜図3から以下のことが分かった。
図1は、実施例1において吹き込み時間変化により得られた炭酸カルシウムのX線回折図である。
図1に示すように、吹き込み時間を30分としたものでは、バテライトの回折ピークのみが観察され、バテライトの単一相であった。これに対して、吹き込み時間を45分としたものではカルサイトの回折ピークがわずかに確認された。吹き込み時間を30分、45分、60分と経過させるに伴い、生成物中におけるカルサイトの割合が順次高くなり、70分の吹き込みではカルサイトの単一相となった。
【0048】
図2は、実施例1において吹き込み時間を変化させたときに得られたMEA水溶液の赤外吸収スペクトルを示す図である。ここで、吹き込み時間は、0分、15分、30分、45分、及び60分に変化させている。
図2において、波数1330cm−1と1395cm−1に2つのカルバミン酸イオンの吸収が確認された。これら2つの間の吸収は、吹き込み時間の増加により大きくなり、1つの広領域な炭酸水素イオン吸収に変化した。これは二酸化炭素とMEAが反応するとカルバミン酸イオンが生成し、高濃度炭酸溶液ではカルバミン酸塩が加水分解することで、炭酸水素イオンが生成するためと考えられる。
また、混合ガスを吹き込んだMEA水溶液に炭酸水素イオンの吸収が見られると、塩化カルシウム水溶液添加後にカルサイトが析出することから、炭酸水素イオンの存在が炭酸カルシウムの形態に影響を与えていることが観察された。
【0049】
図3は、実施例1において合成した炭酸カルシウムの形態に及ぼす温度の影響を示す図である。ここで、吹き込み時間を30分、撹拌時間を30分としており、水溶液の水温は室温、40°C、60°C、及び80°Cとしている。
MEA水溶液の水温が室温のときはバテライトの単一相が得られた。これに対して、水温40℃ではバテライトの単一相が得られたが、60℃以上の条件ではカルサイトの析出が確認された。3種の炭酸カルシウムの走査型電子顕微鏡観察を行うと、室温から60℃の条件では0.5〜2μmの球状バテライトの析出が確認された。60℃以上で析出するカルサイトは2〜4μm程度の菱面体の結晶であった。80℃では長径が4〜5μmの針状のアラゴナイト結晶の析出が確認された。
【0050】
以上の第1、第2実施形態に対応する上記実施例1ないし5において、MEAに二酸化炭素を吹き込んだ後も炭酸マグネシウムの生成率が低下しないことが確かめられた。このため、吸収したのちに移動させ、炭酸マグネシウムを合成させることも可能である。また、その場で炭酸マグネシウムを合成することも可能である。
さらに、MEAに二酸化炭素を吹き込む際にあらかじめコンクリート廃材を添加した場合にはカルサイト、二酸化炭素を吹き込んだ後にコンクリート廃材を添加するとバテライトが生成し、さらに非晶質炭酸マグネシウムを合成することも可能とされる。
【0051】
また第3、第4実施形態に対応する上記実施例6においては、図14から以下のことが分かった。二酸化炭素を吹き込んだ後MEA水溶液にMg(OH)2
を添加した結果、攪拌60分においてMgCo3・3H2Oの生成が確認された。この結果、Mg(OH)2を添加した場合においても、二酸化炭素を固定化することが確認された。なお、攪拌時間を120分、180分と増加させるにしたがって、炭酸マグネシウムの生成量を増加できることもあわせて確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る二酸化炭素の固定方法によれば、大気圧等の通常の圧力下で、かつ室温等の通常の温度状態において、二酸化炭素を含む温室効果ガスを、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムを含む水溶液の形で吸収、固定化することが可能となる。よって、特別な設備や装置を必要とすることなく、安定した状態で効率的に温室効果ガスとしての二酸化炭素を固定化し、その削減を図ることが可能となる。また、本発明に係る二酸化炭素の固定方法により、合成した例えば炭酸カルシウムについては、セメントとして再生利用することでその減量化を図ることが可能となる。これにより、コンクリートと炭酸カルシウムの可逆反応を実践することが可能となり、結果的に二酸化炭素の排出抑制を図ることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室効果ガスとしての二酸化炭素を効率的に固定化する二酸化炭素の固定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地球温暖化によって引き起こされる気候変動や海面上昇により、生態系や人類の生活が大きな影響を受けている。この地球温暖化の主因は二酸化炭素とされており、この回収・貯蔵技術に関心が集まっている。二酸化炭素を回収する方法としてモノエタノールアミン(以下「MEA」という)溶液などの塩基性の溶液に吸収させる手法が用いられている。MEAが吸収した二酸化炭素は加熱、加圧することにより高純度の二酸化炭素として放出され、これを地下に貯蔵する。
【0003】
しかしながら、MEAに吸収させた二酸化炭素は、回収液を加熱して再放出させ、濃縮・貯蔵されるが、回収液から二酸化炭素を再放出させるために100℃〜120℃まで加熱する必要があるため、加熱設備の導入等でコストがかかり、加熱過程も効率的とは言い難かった。また、再放出後の貯蔵に関しても、例えば地中へ貯蔵するためには大規模な施設が必要となるため、中小企業などでは導入が難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−325996号公報
【特許文献2】特開2010−208936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、安定化した状態で、しかも効率的に二酸化炭素を吸収、固定化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1は、モノエタノールアミンの水溶液中に二酸化炭素を接触させ、さらに該水溶液に対してカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加することにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することとしている。
【0007】
また本発明の請求項2は、モノエタノールアミンの水溶液中に予めカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液に対して二酸化炭素を接触させることにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することとしている。
【0008】
また本発明の請求項3は、モノエタノールアミンの水溶液中に二酸化炭素を接触させ、さらに該水溶液に対してマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加することにより、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することとしている。
【0009】
また本発明の請求項4は、モノエタノールアミンの水溶液中に予めマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液に対して二酸化炭素を接触させることにより、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することとしている。
【0010】
また本発明の請求項5は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の二酸化炭素の固定化方法において、使用するカルシウム塩を水酸化カルシウム、コンクリートの破砕物、セメント破砕物からなる水酸化カルシウム含有物、あるいは水和した際に水酸化カルシウムを含有するケイ酸カルシウム含有物のいずれかとしている。
【0011】
また本発明の請求項6は、請求項3または請求項4のいずれかに記載の二酸化炭素の固定化方法において、使用するマグネシウム塩を水酸化マグネシウム、あるいは塩基性炭酸マグネシウムのいずれかとしている。
【0012】
また本発明の請求項7は、請求項1に記載の二酸化炭素の固定化方法にあって、モノエタノールアミンの水溶液を、濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整し、こうして調整されたモノエタノールアミン水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中にカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を攪拌しながら添加することとしている。
【0013】
また本発明の請求項8は、請求項2に記載の二酸化炭素の固定化方法にあって、濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整されモノエタノールアミンの水溶液中に予めカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させることとしている。
【0014】
また本発明の請求項9は、請求項3に記載の二酸化炭素の固定化方法にあって、
モノエタノールアミンの水溶液を、濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整し、こうして調整されたモノエタノールアミン水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなるからなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中にマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を攪拌しながら添加することとしている。
【0015】
また本発明の請求項10は、請求項4に記載の二酸化炭素の固定化方法にあって、濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整されモノエタノールアミンの水溶液中に予めマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させることとしている。
【0016】
さらに本発明の請求項11は、請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の二酸化炭素の固定化方法にあって、モノエタノールアミンの水溶液を、水温を5〜80℃に保持させることとしている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来のような加熱設備や大規模な貯蔵施設が不要であり、これらに比して簡便に二酸化炭素を回収することができるため、安定化した状態で、効率的に二酸化炭素を吸収、固定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1,第2実施形態に対応する実施例1において、炭酸カルシウムの形態に及ぼす混合ガス吹き込み時間の影響を示すX線回折図である。
【図2】実施例1において混合ガス吹き込み時間を変化させたときに得られたMEA水溶液の赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図3】実施例1において炭酸カルシウムの形態に及ぼす温度の影響を示すX線回折図である。
【図4】第1,第2実施形態に対応する実施例2において、炭酸カルシウムの形態に及ぼす撹拌時間の影響を示すX線回折図である。
【図5】実施例2において試料の炭酸化率に及ぼす混合ガス吹き込み時間の影響を示す図である。
【図6】第1,第2実施形態に対応する実施例3において、炭酸カルシウムの形態に及ぼす撹拌時間の影響を示すX線回折図である。
【図7】実施例3において試料の炭酸化率に及ぼす混合ガス吹き込み時間の影響を示す図である。
【図8】第1,第2実施形態に対応する実施例4において、得られた試料のX線回折図である。
【図9】実施例4における混合ガス吹き込みの経過時間に対する水溶液の温度変化を示す図である。
【図10】実施例4における混合ガス吹き込みの経過時間に対する水溶液の電気伝導度の変化を示す図である。
【図11】実施例4における混合ガス吹き込みの経過時間に対する水溶液のpHの変化を示す図である。
【図12】第1,第2実施形態に対応する実施例5において、炭酸カルシウムの形態に及ぼす混合ガス吹き込み時間の影響を示すX線回折図である。
【図13】実施例5において試料の炭酸化率に及ぼす混合ガス吹き込み時間の影響を示す図である。
【図14】第3,第4実施形態に対応する実施例6において、炭酸マグネシウムの形成について、攪拌時間が及ぼす影響を示すX線回折図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る二酸化炭素の固定方法を説明する。
第1実施形態に係る二酸化炭素の固定方法は、MEAの水溶液中に二酸化炭素を接触させ、さらにこの水溶液に対してカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加することにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化するものである。
【0020】
二酸化炭素を接触させたMEAの水溶液に添加するカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液には、例えば、水酸化カルシウム、コンクリートの破砕物、セメント破砕物からなる水酸化カルシウム含有物、又は、水和した際に水酸化カルシウムを含有するケイ酸カルシウム含有物のいずれかのカルシウム塩を用いることができる。
【0021】
MEAの水溶液中への二酸化炭素の接触及びカルシウム塩等の添加は、例えば次のように行えばよい。
まず、MEAの水溶液を濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整する。次に、調整されたMEA水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込む。これにより、MEAの水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させることが可能となる。この状態でMEAの水溶液中にカルシウム塩を攪拌しながら添加し、該添加はMEA水溶液に対し、カルシウム塩が所定のモル比となるように行う。またここでの添加は、カルシウム塩をその水溶液の状態で行うようにしてもよい。二酸化炭素の吹き込み工程及びカルシウム塩の添加工程において、MEAの水溶液は、水温を5〜80℃に保持させることが好ましい。
【0022】
上記第1実施形態によれば、MEAの水溶液中に二酸化炭素を吹き込み、接触させた後に、さらにこの水溶液に対してカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加し、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化できることとなる。こうしたMEA水溶液中に二酸化炭素を吹き込んだ後にカルシウム塩等を添加して、間接的に炭酸カルシウムを生成させる方法(間接法)によれば、MEA水溶液に吹き込み、接触させた二酸化炭素は、安定な炭酸イオン(炭酸水素イオンを含む)となり、特に上述のような水温範囲であれば、この水溶液は安定した状態となる。したがって、例えばMEA水溶液に二酸化炭素を吸収させた後、この水溶液を処理する場所に運び、その後カルシウム塩としての例えばコンクリート廃材等やカルシウム塩の水溶液を添加させ、反応させることにより炭酸カルシウムを水溶液中に生成することができる。また、二酸化炭素の吹き込み方法などにより炭酸カルシウムの形態を制御することが可能である。
【0023】
第2実施形態に係る二酸化炭素の固定方法は、MEAの水溶液中に予めカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液に対して二酸化炭素を接触させることにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化するものである。
【0024】
MEAの水溶液に対し、予め添加するカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液には、例えば、水酸化カルシウム、コンクリートの破砕物、セメント破砕物からなる水酸化カルシウム含有物、又は、水和した際に水酸化カルシウムを含有するケイ酸カルシウム含有物のいずれかのカルシウム塩を用いることができる。
【0025】
MEAの水溶液中へのカルシウム塩等の添加および二酸化炭素の接触は、例えば次のように行えばよい。
まず、MEAの水溶液を濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整する。こうして調整されたMEAの水溶液中へのカルシウム塩等の添加は、例えばMEAの水溶液中にカルシウム塩を攪拌しながら添加して行い、該添加はMEA水溶液に対し、カルシウム塩が所定のモル比となるように行う。またここでの添加は、カルシウム塩をその水溶液の状態で行うようにしてもよい。
【0026】
次に、調整されたMEA水溶液100cm3に対して所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込む。これにより、MEAの水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させることが可能となる。二酸化炭素の吹き込み工程において、MEAの水溶液は、水温を5〜80℃に保持させることが好ましい。
【0027】
上記第2実施形態によれば、予めカルシウム塩あるいはカルシウム塩が添加されたMEA水溶液に対し、二酸化炭素を直接吹き込み、接触させることが可能となり(直接法)、吹き込まれた二酸化炭素はMEAの水溶液に溶存され、水溶液中の二酸化炭素は安定な炭酸イオン(炭酸水素イオンを含む)となる。このため、上述のような水温範囲であれば、この水溶液は安定である。したがって、MEAに二酸化炭素を吸収させた後に、これを液体として移動させたり、該液体を管路で圧送して処理プラントに供給することが可能となる。また、二酸化炭素の吹き込み方法などにより炭酸カルシウムの形態を制御することが可能である。
【0028】
第3実施形態に係る二酸化炭素の固定方法は、MEAの水溶液中に二酸化炭素を接触させ、さらに該水溶液に対してマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加することにより、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化するものである。
【0029】
二酸化炭素を接触させたMEAの水溶液に添加するマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液には、例えば水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムの使用が可能とされる。
【0030】
MEAの水溶液中への二酸化炭素の接触及びマグネシウム塩等の添加は例えば次のように行えばよい。
まず、MEAの水溶液を濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整する。次に、調整されたMEA水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込む。これにより、MEAの水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させることが可能となる。この状態でMEAの水溶液中にマグネシウム塩を攪拌しながら添加し、該添加はMEA水溶液に対し、マグネシウム塩が所定のモル比となるように行う。またここでの添加は、マグネシウム塩をその水溶液の状態で行うようにしてもよい。二酸化炭素の吹き込み工程及びマグネシウム塩の添加工程において、MEAの水溶液は、水温を5〜80℃に保持させることが好ましい。
【0031】
上記第3実施形態によれば、MEAの水溶液中に二酸化炭素を吹き込み、接触させた後に、さらにこの水溶液に対してマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加し、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化できることとなる。こうしたMEA水溶液中に二酸化炭素を吹き込んだ後にマグネシウム塩等を添加して、間接的に炭酸カルシウムを生成させる方法(間接法)によれば、MEA水溶液に吹き込み、接触させた二酸化炭素は、安定な炭酸イオン(炭酸水素イオンを含む)となり、特に上述のような水温範囲であれば、この水溶液は安定した状態となる。したがって、例えばMEA水溶液に二酸化炭素を吸収させた後、この水溶液を処理する場所に運び、その後マグネシウム塩としての例えば水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムやその水溶液を添加させ、反応させることにより炭酸カルシウムを水溶液中に生成することができる。また、二酸化炭素の吹き込み方法などにより炭酸カルシウムの形態を制御することが可能である。
【0032】
第4実施形態に係る二酸化炭素の固定方法は、MEAの水溶液中に予めマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液に対して二酸化炭素を接触させることにより、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化するものである。
【0033】
MEAの水溶液に対し、予め添加するマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液には、例えば水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等からなるマグネシウム塩の使用が可能とされる。
【0034】
MEAの水溶液中へのマグネシウム塩等の添加および二酸化炭素の接触は、例えば次のように行えばよい。
まず、MEAの水溶液を濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整する。こうして調整されたMEAの水溶液中へのマグネシウム塩等の添加は、例えばMEAの水溶液中にカルシウム塩を攪拌しながら添加して行い、該添加はMEA水溶液に対し、マグネシウム塩が所定のモル比となるように行う。またここでの添加は、マグネシウム塩をその水溶液の状態で行うようにしてもよい。
【0035】
次に、調整されたMEA水溶液100cm3に対して所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込む。これにより、MEAの水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させることが可能となる。二酸化炭素の吹き込み工程において、MEAの水溶液は、水温を5〜80℃に保持させることが好ましい。
【0036】
上記第4実施形態によれば、予めマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩が添加されたMEA水溶液に対し、二酸化炭素を直接吹き込み、接触させることが可能となり(直接法)、吹き込まれた二酸化炭素はMEAの水溶液に溶存され、水溶液中の二酸化炭素は安定な炭酸イオン(炭酸水素イオンを含む)となる。このため、上述のような水温範囲であれば、この水溶液は安定である。したがって、MEAに二酸化炭素を吸収させた後に、これを液体として移動させたり、該液体を管路で圧送して処理プラントに供給することが可能となる。また、二酸化炭素の吹き込み方法などにより炭酸カルシウムの形態を制御することが可能である。
【0037】
なお、上記第1ないし第4実施形態においては、MEA水溶液に対する二酸化炭素の接触を、MEA水溶液に対し、二酸化炭素を含む混合ガスを吹き込む方法により行うこととしているが、このような方法によらず、例えば霧状にしたMEA水溶液の雰囲気に対し、二酸化炭素を含む混合ガスを通過させ、接触させることにより、二酸化炭素をMEA水溶液に溶存させることとしてもよい。
【0038】
以下、実施例について説明する。
まず、第1あるいは第2実施形態に対応する実施例として、実施例1ないし実施例5を下記のとおり説明する。これらの実施例において、試料の調整は次のように行った。
まず、水溶液濃度1mol・dm−3のMEA水溶液100cm3を調製した。次に、調製したMEA水溶液を撹拌しながら、この水溶液に対して、二酸化炭素(10%)と窒素(90%)の混合ガスを流速0.5dm3・min−1で30〜120分吹き込みを行った。その後、水溶液濃度0.5mol・dm−3の塩化カルシウム水溶液100cm3を加え、水温を5〜80℃に保持しながら30〜180分間撹拌を行うことにより、炭酸カルシウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過して試料を得た。なお、塩化カルシウム水溶液でなく、直接塩化カルシウム塩をMEA水溶液に添加し、攪拌・溶解することとしてもよい。
【0039】
得られた試料のキャラクタリゼーションは、X線回折、走査型電子顕微鏡などを用いて行った。なお、MEAと二酸化炭素の反応過程は赤外吸収スペクトル、電気伝導度などを用いて行った。
【0040】
各実施例の条件は次のとおりである。
<実施例1>(図1〜3)
なお、本実施例においては、MEA水溶液に実際にカルシウム塩を添加した時に炭酸カルシウムが生成するかを確認のためだけに塩化カルシウムを用いた。炭酸ガス純度10%混合ガスの吹き込み時間は0〜70分である。塩化カルシウム添加後の水温は、室温、40°C、60°C、及び80°Cであり、撹拌は30分間行った。
【0041】
<実施例2>(図4、図5)
混合ガスの吹き込み時間は0〜70分である。炭酸ガス純度10%混合ガスの吹き込み時間60分、ガス流量0.5dm3・min−1、水温70°Cの条件である。
【0042】
<実施例3>(図6、図7)
混合ガスの吹き込み時間は0〜70分である。炭酸ガス純度10%混合ガスの吹き込み時間60分、ガス流量0.5dm3・min−1、水温60°Cの条件である。
【0043】
<実施例4>(図8〜図11)
炭酸ガス純度10%、混合ガスの吹き込み時間60分、ガス流量0.5dm3・min−1、水温40°Cの条件である。
MEAとCaのモル比:MEA/Ca=2.0
【0044】
<実施例5>(図12、図13)
混合ガスの吹き込み時間は0〜70分である。炭酸ガス純度10%、混合ガスの吹き込み時間60分、ガス流量0.5dm3・min−1、水温10°Cの条件である。
【0045】
次に、第3あるいは第4実施形態に対応する実施例として、実施例6を下記のとおり説明する。
<実施例6>(図14)
この実施例において、試料の調整は次のように行った。まず、水溶液濃度1mol・dm−3のMEA水溶液100cm3を調製した。次に、調製したMEA水溶液を撹拌しながら、この水溶液に対して、二酸化炭素(10%)と窒素(90%)の混合ガスを流速0.5dm3・min−1で30〜120分吹き込みを行った。その後、水溶液濃度0.5mol・dm−3の水酸化マグネシウム水溶液100cm3を加え、水温を5〜80℃に保持しながら60〜180分間撹拌を行うことにより、炭酸マグネシウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過して試料を得た。なお、水酸化マグネシウム水溶液でなく、直接水酸化マグネシウム塩をMEA水溶液に添加し、攪拌・溶解することとしてもよい。
【0046】
以上の第3あるいは第4実施形態に対応する上記実施例6において、MEAに二酸化炭素を吹き込んだ後も若干水酸化マグネシウムが残存するものの、炭酸マグネシウムの生成率が低下しないことが確かめられた。このため、吸収したのちに移動させ、炭酸マグネシウムを合成させることも可能である。
【0047】
以上、例えば実施例1においては、図1〜図3から以下のことが分かった。
図1は、実施例1において吹き込み時間変化により得られた炭酸カルシウムのX線回折図である。
図1に示すように、吹き込み時間を30分としたものでは、バテライトの回折ピークのみが観察され、バテライトの単一相であった。これに対して、吹き込み時間を45分としたものではカルサイトの回折ピークがわずかに確認された。吹き込み時間を30分、45分、60分と経過させるに伴い、生成物中におけるカルサイトの割合が順次高くなり、70分の吹き込みではカルサイトの単一相となった。
【0048】
図2は、実施例1において吹き込み時間を変化させたときに得られたMEA水溶液の赤外吸収スペクトルを示す図である。ここで、吹き込み時間は、0分、15分、30分、45分、及び60分に変化させている。
図2において、波数1330cm−1と1395cm−1に2つのカルバミン酸イオンの吸収が確認された。これら2つの間の吸収は、吹き込み時間の増加により大きくなり、1つの広領域な炭酸水素イオン吸収に変化した。これは二酸化炭素とMEAが反応するとカルバミン酸イオンが生成し、高濃度炭酸溶液ではカルバミン酸塩が加水分解することで、炭酸水素イオンが生成するためと考えられる。
また、混合ガスを吹き込んだMEA水溶液に炭酸水素イオンの吸収が見られると、塩化カルシウム水溶液添加後にカルサイトが析出することから、炭酸水素イオンの存在が炭酸カルシウムの形態に影響を与えていることが観察された。
【0049】
図3は、実施例1において合成した炭酸カルシウムの形態に及ぼす温度の影響を示す図である。ここで、吹き込み時間を30分、撹拌時間を30分としており、水溶液の水温は室温、40°C、60°C、及び80°Cとしている。
MEA水溶液の水温が室温のときはバテライトの単一相が得られた。これに対して、水温40℃ではバテライトの単一相が得られたが、60℃以上の条件ではカルサイトの析出が確認された。3種の炭酸カルシウムの走査型電子顕微鏡観察を行うと、室温から60℃の条件では0.5〜2μmの球状バテライトの析出が確認された。60℃以上で析出するカルサイトは2〜4μm程度の菱面体の結晶であった。80℃では長径が4〜5μmの針状のアラゴナイト結晶の析出が確認された。
【0050】
以上の第1、第2実施形態に対応する上記実施例1ないし5において、MEAに二酸化炭素を吹き込んだ後も炭酸マグネシウムの生成率が低下しないことが確かめられた。このため、吸収したのちに移動させ、炭酸マグネシウムを合成させることも可能である。また、その場で炭酸マグネシウムを合成することも可能である。
さらに、MEAに二酸化炭素を吹き込む際にあらかじめコンクリート廃材を添加した場合にはカルサイト、二酸化炭素を吹き込んだ後にコンクリート廃材を添加するとバテライトが生成し、さらに非晶質炭酸マグネシウムを合成することも可能とされる。
【0051】
また第3、第4実施形態に対応する上記実施例6においては、図14から以下のことが分かった。二酸化炭素を吹き込んだ後MEA水溶液にMg(OH)2
を添加した結果、攪拌60分においてMgCo3・3H2Oの生成が確認された。この結果、Mg(OH)2を添加した場合においても、二酸化炭素を固定化することが確認された。なお、攪拌時間を120分、180分と増加させるにしたがって、炭酸マグネシウムの生成量を増加できることもあわせて確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る二酸化炭素の固定方法によれば、大気圧等の通常の圧力下で、かつ室温等の通常の温度状態において、二酸化炭素を含む温室効果ガスを、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムを含む水溶液の形で吸収、固定化することが可能となる。よって、特別な設備や装置を必要とすることなく、安定した状態で効率的に温室効果ガスとしての二酸化炭素を固定化し、その削減を図ることが可能となる。また、本発明に係る二酸化炭素の固定方法により、合成した例えば炭酸カルシウムについては、セメントとして再生利用することでその減量化を図ることが可能となる。これにより、コンクリートと炭酸カルシウムの可逆反応を実践することが可能となり、結果的に二酸化炭素の排出抑制を図ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノエタノールアミンの水溶液中に二酸化炭素を接触させ、さらに該水溶液に対してカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加することにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することを特徴とする二酸化炭素の固定化方法。
【請求項2】
モノエタノールアミンの水溶液中に予めカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液に対して二酸化炭素を接触させることにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することを特徴とする二酸化炭素の固定化方法。
【請求項3】
モノエタノールアミンの水溶液中に二酸化炭素を接触させ、さらに該水溶液に対してマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加することにより、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することを特徴とする二酸化炭素の固定化方法。
【請求項4】
モノエタノールアミンの水溶液中に予めマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液に対して二酸化炭素を接触させることにより、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することを特徴とする二酸化炭素の固定化方法。
【請求項5】
請求項1または請求項2のいずれかに記載の二酸化炭素の固定化方法において、使用するカルシウム塩が水酸化カルシウム、コンクリートの破砕物、セメント破砕物からなる水酸化カルシウム含有物、あるいは水和した際に水酸化カルシウムを含有するケイ酸カルシウム含有物のいずれかである二酸化炭素の固定化方法。
【請求項6】
請求項3または請求項4のいずれかに記載の二酸化炭素の固定化方法において、使用するマグネシウム塩が水酸化マグネシウム、あるいは塩基性炭酸マグネシウムのいずれかである二酸化炭素の固定化方法。
【請求項7】
モノエタノールアミンの水溶液は、濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整され、こうして調整されたモノエタノールアミン水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中にカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を攪拌しながら添加することとした請求項1に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項8】
濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整されモノエタノールアミンの水溶液中に予めカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させることとした請求項2に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項9】
モノエタノールアミンの水溶液は、濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整され、こうして調整されたモノエタノールアミン水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなるからなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中にマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を攪拌しながら添加することとした請求項3に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項10】
濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整されモノエタノールアミンの水溶液中に予めマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させることとした請求項4に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項11】
モノエタノールアミンの水溶液は、水温を5〜80℃に保持させることとした請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項1】
モノエタノールアミンの水溶液中に二酸化炭素を接触させ、さらに該水溶液に対してカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加することにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することを特徴とする二酸化炭素の固定化方法。
【請求項2】
モノエタノールアミンの水溶液中に予めカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液に対して二酸化炭素を接触させることにより、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することを特徴とする二酸化炭素の固定化方法。
【請求項3】
モノエタノールアミンの水溶液中に二酸化炭素を接触させ、さらに該水溶液に対してマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加することにより、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することを特徴とする二酸化炭素の固定化方法。
【請求項4】
モノエタノールアミンの水溶液中に予めマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液に対して二酸化炭素を接触させることにより、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させ、二酸化炭素を水溶液中に固定化することを特徴とする二酸化炭素の固定化方法。
【請求項5】
請求項1または請求項2のいずれかに記載の二酸化炭素の固定化方法において、使用するカルシウム塩が水酸化カルシウム、コンクリートの破砕物、セメント破砕物からなる水酸化カルシウム含有物、あるいは水和した際に水酸化カルシウムを含有するケイ酸カルシウム含有物のいずれかである二酸化炭素の固定化方法。
【請求項6】
請求項3または請求項4のいずれかに記載の二酸化炭素の固定化方法において、使用するマグネシウム塩が水酸化マグネシウム、あるいは塩基性炭酸マグネシウムのいずれかである二酸化炭素の固定化方法。
【請求項7】
モノエタノールアミンの水溶液は、濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整され、こうして調整されたモノエタノールアミン水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中にカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を攪拌しながら添加することとした請求項1に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項8】
濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整されモノエタノールアミンの水溶液中に予めカルシウム塩あるいはカルシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中に炭酸カルシウムを生成させることとした請求項2に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項9】
モノエタノールアミンの水溶液は、濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整され、こうして調整されたモノエタノールアミン水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなるからなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中にマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を攪拌しながら添加することとした請求項3に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項10】
濃度0.1mol・dm−3〜14mol・dm−3の範囲に調整されモノエタノールアミンの水溶液中に予めマグネシウム塩あるいはマグネシウム塩の水溶液を添加し、さらに該水溶液100cm3に対して撹拌しながら所定の濃度からなる二酸化炭素を含む混合ガスを所定の流速で吹き込み、該水溶液中に二酸化炭素を溶存させるように接触させ、該水溶液中に炭酸マグネシウムを生成させることとした請求項4に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項11】
モノエタノールアミンの水溶液は、水温を5〜80℃に保持させることとした請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の二酸化炭素の固定化方法。
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図1】
【図2】
【図3】
【図12】
【図14】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図1】
【図2】
【図3】
【図12】
【図14】
【公開番号】特開2012−131697(P2012−131697A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261125(P2011−261125)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年6月3日 無機マテリアル学会発行の「無機マテリアル学会第120回学術講演会 講演要旨集」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年6月2日 無機マテリアル学会発行の「無機マテリアル学会第122回学術講演会 講演要旨集」に発表
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年6月3日 無機マテリアル学会発行の「無機マテリアル学会第120回学術講演会 講演要旨集」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年6月2日 無機マテリアル学会発行の「無機マテリアル学会第122回学術講演会 講演要旨集」に発表
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【Fターム(参考)】
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