説明

二酸化炭素排出量算出システム

【課題】部署ごとの二酸化炭素排出量を管理することが可能な二酸化炭素排出量算出システムを提供する。
【解決手段】サーバー装置30の算定区分テーブル325には按分比率情報が、組織コード及び算定区分と対応づけられて記憶されている。クライアント装置10の実績値用の入力シートには按分比率情報を読み込む。一つの建物を複数の部署が拠点とする場合、当該建物全体で消費される電力量は、按分比率によって按分することができる。したがって、入力シートに建物全体の電力量を入力すると、複数の部署の各々で按分された電力量を得ることができる。これにより、企業を構成する複数の部署の各々で排出される二酸化炭素排出量を把握することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素排出量算出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化を防止する観点から、光熱エネルギーの使用量を監視するシステムが開発されている。特許文献1には、そのようなシステムとして、管理対象施設内におけるエネルギー使用量を監視し、これから二酸化炭素排出量を算出し、さらに一定期間経過後における二酸化炭素排出量を予測し、予測値に基づいて二酸化炭素排出権を自動的に取引する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−230237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の部門から構成される企業で二酸化炭素排出量を管理する場合、予算や販売額と同様に部門単位で管理することが、経営分析の観点から望まれる。
しかしながら、1つの管理対象施設に2以上の部門が入っている場合に、当該管理対象施設全体で管理される電気やガスといったエネルギーがある。このような場合、従来の技術では、管理対象施設全体の二酸化炭素排出量の監視や予測ができても、部門ごとに二酸化炭素排出量を管理することができなかった。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、部門ごとの二酸化炭素排出量を管理することが可能な二酸化炭素排出量算出システムを提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係る二酸化炭素排出量算出システムは、複数の部署から組織される企業において、二酸化炭素排出量を部署ごとに算出するものであって、二酸化炭素排出量を算出するために業務を分類した算定区分ごと、且つ、前記部署ごとに排出した二酸化炭素排出量の実績値を記憶する実績値記憶手段と、所定数の部署が入居する建物において全体で消費されるエネルギーの総量である総エネルギー消費量を、算定区分を指定して入力する第1入力手段と、前記総エネルギー消費量を按分比率に従って按分して前記所定数の部署ごとの個別エネルギー消費量を算出する算出手段と、前記所定数の部署ごとの個別エネルギー消費量を二酸化炭素排出量に変換する第1変換手段と、前記所定数の部署ごとの二酸化炭素排出量を、指定された算定区分および当該部署に対応づけて前記実績値記憶手段に登録する第1登録手段と、指定された部署および算定区分に対応する二酸化炭素排出量の実績値を前記実績値記憶手段から読み出す読出手段と、を備える。
【0006】
この発明によれば、二酸化炭素排出量を算出するために業務を分類した算定区分ごと、且つ、部署ごとに排出した二酸化炭素排出量の実績値を記憶する。ここで、一つの建物に所定数の部署が入居している場合、当該建物で消費される総エネルギー消費量を部署ごとに按分して個別エネルギー消費量を算出し、これを二酸化炭素排出量に変換している。そして、所定数の部署ごとの二酸化炭素排出量を、指定された算定区分および当該部署に対応づけて実績値記憶手段に登録する。これにより、複数の部署で組織化された企業において、部署ごとに二酸化炭素排出量を管理することが可能となる。
【0007】
上述した二酸化炭素排出量算出システムにおいて、複数のクライアント装置とサーバー装置とを備え、前記サーバー装置は、前記実績値記憶手段および前記読出手段を備え、前記複数のクライアント装置のうち前記建物を管理する担当者が操作するクライアント装置は、前記第1入力手段、前記算出手段、前記第1変換手段、および前記第1登録手段とを備え、前記複数のクライアント装置のうち前記所定数の部署の各々の担当者が操作するクライアント装置は、前記算定区分のうち当該部署の業務に対応する算定区分についてのみ消費したエネルギー消費量を入力可能とする第2入力手段と、入力されたエネルギー消費量を二酸化炭素排出量に変換する第2変換手段と、変換された二酸化炭素排出量を、前記算定区分および当該部署を指定して前記実績値記憶手段に登録する第2登録手段とを備えることが好ましい。
【0008】
この発明によれば、クライアント装置側に第1入力手段、算出手段、第1変換手段、および第1登録手段を備える。したがって、クライアント装置で、建物の総エネルギー消費量を所定数の部署に按分することになる。仮に、サーバー装置に按分機能を持たせると、サーバー装置の処理負荷が増大するが、この発明によれば、そのような不都合はなく、クライアント装置に処理負荷を分散させることができる。
また、複数のクライアント装置のうち所定数の部署の各々の担当者が操作するクライアント装置では、算定区分のうち当該部署の業務に対応する算定区分についてのみ消費したエネルギー消費量が入力可能となる。算定区分は、企業の業務を二酸化炭素排出量を算出する観点から分類したものであるから、ある部署で関係する算定区分であっても、他の部署で関係するとは限らない。例えば、海外営業部では出張のために航空機利用に関する算定区分が採用されるが、倉庫管理部ではそのような算定区分は採用されない。このような場合に、当該部署の業務に対応する算定区分についてのみ消費したエネルギー消費量が入力可能とするので、誤入力を防止することができる。
より具体的には、前記第2入力手段は、前記第1入力手段で入力可能とする算定区分については、エネルギー消費量を入力不能とする。これにより、建物単位で管理される電力などの算定区分は、その建物を拠点とする所定数の部署で消費されるが、当該所定数の部署のクライアント装置からは入力不能とし、建物を管理する担当者のクライアント装置から入力可能とできる。このように排他的に入力可能とすることで、入力の効率を高め、誤入力を未然に防止することが可能となる。
【0009】
上述した二酸化炭素排出量算出システムにおいて、前記サーバー装置は、算定区分ごと、且つ、前記部署ごとに排出を予定する二酸化炭素排出量の目標値を記憶する目標値記憶手段を備え、前記読出手段は、指定された部署および算定区分に対応する二酸化炭素排出量の目標値を前記実績値記憶手段から読み出し、前記複数のクライアント装置のうち前記所定数の部署の各々の担当者が操作するクライアント装置において、前記第2入力手段は、前記算定区分のうち当該部署の業務に対応する算定区分についてのみエネルギー消費量の目標値を入力可能とし、前記第2変換手段は、入力されたエネルギー消費量の目標値を二酸化炭素排出量の目標値に変換し、前記第2登録手段は、二酸化炭素排出量の目標値を、前記算定区分および当該部署を指定して前記目標値記憶手段に登録することが好ましい。
この発明によれば、二酸化炭素排出量の実測値のみならず目標値も管理することができる。そして、目標値は実測値と同じ算定区分で管理されるので、両者を比較検討することが容易となる。
【0010】
上述した二酸化炭素排出量算出システムは、前記複数のクライアント装置のうち前記所定数の部署の担当者が操作するクライアント装置において、前記サーバー装置の前記実績値記憶手段から、当該部署の昨年度の二酸化炭素排出量の実績値を読み出し、前記第2入力手段によってある算定区分についてエネルギー消費量の目標値が入力され、前記第2変換手段によって、入力されたエネルギー消費量の目標値が前記二酸化炭素排出量の目標値に変換されると、前記実績値記憶手段から読み出した当該算定区分に対応する昨年度の二酸化炭素排出量の実績値を基準として、当年度の二酸化炭素排出量の目標値が所定の割合を超えるか否かを判定し、前記所定の割合を超えると、警告を実行する警告手段を備えることが好ましい。
この発明によれば、目標値を設定する際に警告を実行するので、積極的な目標値を設定するように促すことができる。また、警告手段をクライアント装置に持たせたので、サーバー装置に持たせた場合と比較して、目標値を入力してから警告までの時間を短縮することができ、担当者が待たされることがない。さらに、警告手段をサーバー装置に持たせると、折角、入力した目標値を入力し直すことがあるが、その度にクライアント装置とサーバー装置との間で通信が実行されるが、本発明によればそのような不都合はなく、通信資源を有効に活用できる。
【0011】
また、上述した二酸化炭素排出量算出システムにおいて、前記実績値記憶手段は、算定区分ごと、且つ、前記部署ごとに排出した二酸化炭素排出量およびエネルギー消費量の実績値を記憶しており、前記複数のクライアント装置のうち前記所定数の部署の担当者が操作するクライアント装置は、すべての算定区分について同一の削減率を一括して設定可能な削減率設定手段と、前記サーバー装置の前記実績値記憶手段から、当該部署の昨年度の二酸化炭素排出量およびエネルギー消費量の実績値を算定区分ごとに読み出し、前記削減率が設定されると、前記削減率と昨年度の二酸化炭素排出量およびエネルギー消費量の実績値に基づいて、全ての算定区分について二酸化炭素排出量およびエネルギー消費量の目標値を一括して設定する目標値一括設定手段とを備えることが好ましい。
この発明によれば、算定区分ごとに設定するべき目標値を一括して設定できるので、作業効率を向上させることができる。
【0012】
上述した二酸化炭素排出量算出システムにおいて、前記サーバー装置は、前記所定数の部署について、部署ごとの人数を示す人員データと部署ごとの占有面積を示す面積データとのうち少なくとも一方に基づいて、前記按分比率を生成する生成手段を備えることが好ましい。
建物の総エネルギー消費量は、例えば、電力量、水、あるいはガスなどによるエネルギーの消費が該当する。これらは、その建物を利用する人によって消費される。したがって、部署ごとの人数によって按分する係数を定めることができる。また、照明や空調などによって消費されるエネルギーは、建物に占める部署の面積に比例する。したがって、面積によって按分する係数を定めることも可能である。さらに、これらを組み合わせて係数を算出すれば、より実態に即した按分を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る二酸化炭素排出量算出システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】企業における組織の階層構造の一例を説明するための説明図である。
【図3】建物及び紙についての算定区分の階層構造を示す説明図である。
【図4】二酸化炭素排出量算出システム1の導入過程を説明するための説明図である。
【図5】二酸化炭素排出量算出システム1の導入過程を説明するための説明図である。
【図6】二酸化炭素排出量算出システム1の導入過程を説明するための説明図である。
【図7】目標値の初期設定の業務フローを示す説明図である。
【図8】目標値入力シートの入力画面である。
【図9】実績値の初期設定の業務フローを示す説明図である。
【図10】実績値入力シートの入力画面である。
【図11】帳票出力の業務フローを示す説明図である。
【図12】二酸化炭素排出量算出システム1のデータモデルの関連を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る二酸化炭素排出量算出システム1を説明する。この二酸化炭素排出量算出システム1においては、企業内の各拠点の部署や各部門の担当者は部門管理者の確認の下、二酸化炭素の排出量(以下、「排出量」と称する。)やコスト及びエネルギー使用量の算定に必要なデータを、毎月一定日時までに二酸化炭素排出量算出システム1に入力し報告する。取り纏め部門の全体管理者は二酸化炭素排出量算出システム1を使用して入力されたデータを一定期間単位(毎月〜毎年度)に集計し、部門(部署等)ごとに必要な一覧表・集計表等を作成できる。これにより、排出量やコスト及びエネルギー使用量を削減するための基本データ及び分析データを取得し削減の方策等を検討できるようになっている。さらに、取り纏め部門の全体管理者は二酸化炭素排出量算出システム1を使用して、毎年1回、エネルギーの使用の合理化に関する法律(以下、省エネ法と称する)や地球温暖化対策の推進に関する法律(以下、温対法と称する)の報告書を作成することが可能である。
【0015】
<1.システムの全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係る二酸化炭素排出量算出システム1の構成を示すブロック図である。二酸化炭素排出量算出システム1は、複数のクライアント装置10、インターネットなどの通信網20、及びサーバー装置30を備える。この二酸化炭素排出量算出システム1は、企業の業務遂行に伴って排出される排出量を部署単位、あるいは部門単位で算出することが可能である。
【0016】
図2に示すように、企業の組織は、複数の部門A1、A2、…Amからなり、各部門は複数の部署を配下に置く階層構造を有するのが一般的である。この例では、1つの部門にn個の部署が属し、例えば、部門A1には部署B11、B12、…B1nが属する。ここでは、2階層の組織を例示したが、3階層以上の組織であってもよい。このように組織化された企業では、最下層の部署単位で各種の業務が遂行され管理される。図1に示す複数のクライアント装置10は、部署ごとに配置されている。
【0017】
この二酸化炭素排出量算出システム1は、複数の企業で利用することができるが、本実施形態では、一つの企業で利用する場合を一例として説明する。以下の説明では、サーバー装置側でシステム全体を管理する者をASP管理者、クライアント装置側で一つの企業の全体を管理する者を全体管理者、部門おいて本システムを利用する者を業務管理者、部署において本システムを利用する者を業務担当者という。
【0018】
クライアント装置10は、装置全体を制御するCPU、CPUの作業領域として機能するRAM、ブートプログラムなどを記憶したROM、プログラムやデータを記憶するハードディスク、通信網20を介してサーバー装置30と通信を行う通信装置、キーボードなどの入力装置、情報記録媒体にデータやプログラムを書き込み読み出すことが可能な記録再生装置、及び画像を表示する表示装置を備える。クライアント装置10を使用するのは、全体管理者、業務管理者、及び業務担当者である。
【0019】
サーバー装置30は、WebAPサーバー31とDBサーバー32とを備え、図示せぬファイアウォールを介して通信網20と接続されている。WebAPサーバー31とDBサーバー32とを分離することで、外部からDBサーバー32への不正アクセスを防止している。サーバー装置30は、ASP管理者の管理の下、運用される。
【0020】
WebAPサーバー31は、複数のクライアント装置10との間で通信を実行し、各種の業務データを複数のクライアント装置10から取り込む。また、クライアント装置10からの要求に応じて、DBサーバー32に記憶されているデータを抽出してクライアント装置10に送信する。排出量は企業活動に伴うエネルギー消費量によって算出することが可能である。業務データは排出量の算定の基礎になるデータであり、企業活動の全般に及ぶ。例えば、エアコンを使用すれば電力が消費され電力量に応じた排出量が発生し、社用車で出張すればガソリンが消費されガソリン量に応じた排出量が発生する。業務データには企業活動に応じて消費されるエネルギー量に換算可能な活動量が含まれており、電力量やガソリン量といった様々な活動量がある。
【0021】
また、クライアント装置10では、表計算ソフトを動作させる。この表計算ソフトは、目標値や実績値を入力する入力シート、各種の集計シート、省エネ法や温対法の報告書に対応する帳票シートを備え、いわゆるアドイン機能が付加されている。そして、アドイン機能を用いて、サーバー装置30にアクセスし、業務データを送信したり、抽出したデータを受信して各種のシートに反映できるようになっている。さらに、シート内での四則演算によって、目標値や実績値を按分する機能を備えている。
【0022】
DBサーバー32は、データベースとして機能し各種の情報を記憶し、WebAPサーバー31からの要求に応じて、抽出処理を実行し、抽出結果をWebAPサーバー31に返信する。DBサーバー32は、組織テーブル321、アクセス権限テーブル322、ユーザテーブル323、単位テーブル324、算定区分テーブル325、調査側面テーブル326、目標値テーブル327、及び実績値テーブル328を備える。
【0023】
組織テーブル321は、対象とする企業の組織構造を示す組織情報が記憶される。具体的には、部門を示す組織コードと、当該部門に属する部署を示す組織コードが対応づけられて記憶されている。図2に示す例では、部門A1と部署B11〜B1nとが対応づけられ、部門A2と部署B21〜B2nとが対応づけられ、以下同様な対応づけがなされる。
【0024】
アクセス権限テーブル322には、メニューごとに参照可否、更新可否といった権限とその権限名とが対応づけたアクセス権限情報が記憶されている。ここで、メニューには、マスタメンテナンス、実績値の入力、及び進捗管理などが含まれる。また、マスタメンテナンスとは、DBサーバー32の記憶内容を更新することである。
【0025】
ユーザテーブル323には、ユーザに関するユーザ情報と、ユーザがどの組織に属し、どのアクセス権限(職務名)があるかを対応づけたユーザ情報が記憶される。また、ユーザ情報は、ユーザ名、認証に用いるパスワード及びユーザIDを含む。
単位テーブル324には、「kwh」、「GJ」、あるいは「t」といった実績値や目標値の単位を示す単位情報が記憶されている。
【0026】
算定区分テーブル325には、算定区分の属性及び階層構造を示す算定区分情報、按分比率情報、並びに安全係数情報が記憶されている。具体的には、最下層の組織コード又は拠点コード、算定区分名、算定区分コード、単位、データ型、上位(下位)の算定区分、その換算係数、按分比率、及び安全係数が対応づけて記憶されている。算定区分とは二酸化炭素排出量を算出するために業務を分類した区分である。
拠点コードは、建物を特定するコードであり、当該建物を複数の部署が拠点とする場合に用いられる。ここで、按分比率情報は、ある建物を拠点する複数の組織(部署など)がある場合に、建物単位のエネルギー消費量を示す総エネルギー消費量を当該建物を拠点とする複数の組織に按分する比率を示す。この例では、後述するように按分比率は、全体管理者が定めるが、組織(部署)ごとの人数、あるいは、組織(部署)ごとの占有面積に応じて定めてもよい。また、安全係数情報は各算定区分ごとに指定する安全係数を示す。安全係数は、算出精度が低い算定区分の排出量について、実際の排出量を下回らないよう補正する場合に用いられる加算率である。
【0027】
算定区分の最上位の階層は、各種の業務によって区分されており、例えば、建物(オフィス)、営業・出張(赴任を含む)、物流、紙、廃棄物、通勤、及びその他に分類することができる。
図3に、建物及び紙の階層の詳細を示す。この例では、業務→排出区分Lv1→排出区分Lv2の順に階層が低くなる。例えば、業務の階層が建物である場合、排出区分Lv1の階層には電力、都市ガス、及び水道が含まれる。さらに、排出区分Lv2の階層には自社物件と貸借物件が含まれる。そして、最下層の算定区分(この例では、排出区分Lv2)に対して、活動量の種類に応じて単位が定義されている。例えば、業務が建物、排出区分Lv1は電力、排出区分Lv2は自社物件である場合を想定する。活動量が使用量であれば単位は「kwh」となり、活動量が建物面積であれば単位は「m」となり、活動量が金額であれば単位は「円」となる。すなわち、同じ算定区分であっても複数の活動量が定義されている。このように複数の活動量を設定しておくことによって、各部署における活動量の実績値や目標値を入力することが容易になる。また、算定区分を階層化することによって、業務ごとの排出量、あるいは電力消費に伴う排出量といったように多様な観点から排出量を集計することが可能となる。
【0028】
次に、調査側面テーブル326には、どの組織がどの算定区分を入力、集計、閲覧できるかを示す調査側面情報が記憶されている。具体的には、組織コード、拠点コード、算定区分コード、入力可能であることを示す入力フラグ、集計可能であることを示す集計フラグ、及び閲覧可能であることを示す閲覧フラグが対応づけられて調査側面テーブル326に記憶される。これにより、部門や部署といった組織ごとに、どの算定区分が「名称のみ表示可能」「値を参照可能」「値を変更可能」が指定される。
【0029】
次に、目標値テーブル327には、最下層の組織(図2に示す例では部署)における最下層の算定区分(図3に示す例では排出区分Lv2)ごとに、排出量、活動量、及びコストの目標値が記憶されている。すなわち、最下層の組織を指定する組織コード、最下層の算定区分コード、並びに排出量、活動量、及びコストの目標値が対応づけられて目標値テーブル327に記憶されている。
【0030】
次に、実績値テーブル328には、最下層の組織(図2に示す例では部署)における最下層の算定区分(図3に示す例では排出区分Lv2)ごとに、排出量、活動量、及びコストの実績値が記憶されている。すなわち、最下層の組織を指定する組織コード、最下層の算定区分コード、並びに排出量、活動量、及びコストの実績値が対応づけられて実績値テーブル328に記憶されている。
【0031】
<2.システムの動作>
次に、二酸化炭素排出量算出システム1の動作について説明する。
<2−1:導入>
二酸化炭素排出量算出システム1をある企業に導入する際には、まず、図4に示すように、ASP管理者から、実績値及び目標値の入力シート、各種の集計シート、省エネ法帳票、並びに温対法帳票を含む表計算ファイルが、全体管理者にメールで送信される。全体管理者は、業務管理者に実績値及び目標値の入力シート、並びに各種の集計シートを含む表計算ファイルを配布し、業務担当者に実績値及び目標値の入力シートを含む表計算ファイルを配布する。なお、配布の方法はメールに限られず、郵送などどのような方法であってもよい。また、業務担当者へは業務管理者を介して表計算ファイルを配布してもよい。
【0032】
次に、全体管理者は、図5に示すように、組織情報、アクセス権限情報、ユーザ情報、単位情報、算定区分情報、調査側面情報、按分比率情報及び安全係数情報をASP管理者にメールで送信する。この後、ASP管理者は、これらの情報に基づいて、上述した組織テーブル321、アクセス権限テーブル322、ユーザテーブル323、単位テーブル324、算定区分テーブル325、及び調査側面テーブル326に格納するファイルを所定のデータ形式で生成し、これをDBサーバー32にアップロードする。
【0033】
次に、全体管理者、業務管理者、及び業務担当者は、図6に示すようにクライアント装置10からサーバー装置30(WebAPサーバー31)にアクセスし、ログイン画面で認証を受けた後、アドインインストーラをクライアント装置10にダウンロードする。そして、アドインインストーラを起動することによって、表計算ソフト用のアドインをインストールする。以上の処理により、二酸化炭素排出量算出システム1が企業に導入される。
【0034】
<2−2:目標値の入力>
次に、目標値の入力について説明する。目標値は以下の工程を経てDBサーバー32の目標値テーブル327に記憶され、その記憶内容が確定される。
第1の工程は、目標値の初期設定である。これは、末端組織ごとに実行され、組織の最下層に位置する部署の業務担当者が初期設定を行う。実際の業務を行うのが、最下層の部署であり、そこで企業の業務が把握されるからである。但し、ある建物を拠点する複数の組織(部署など)がある場合には、その建物を管理する部門(例えば、本社)の業務担当者が、当該建物についての目標値の初期設定を行う。
【0035】
図7に、目標値の初期設定の業務フローを示す。業務担当者は、クライアント装置10を操作して、目標値入力シートに組織コードあるいは拠点コードを入力し、表計算ソフトのアドインを起動させる。すると、組織コードまたは拠点コードを含む読込要求がクライアント装置10からサーバー装置30に送信される。サーバー装置30では、アドイン要求受付機能によって、算定区分テーブル325から、組織コードまたは拠点コードに対応する算定区分情報、及び按分比率情報を読み出し、読込応答としてクライアント装置10に返信する。
【0036】
クライアント装置10は読込応答を受信し、アドイン機能によって表計算ソフトに算定区分情報、及び按分比率情報を反映させる。
例えば、拠点コード「01」に対応する建物が札幌○○ビルであり、このビルに北海道本部(部門)における札幌支店の営業課と総務部とが入居しているとする。この場合、当該ビルで消費される電力、都市ガス及び水道は、一括して検針がなされ、建物全体として管理されている。そして、このビルで消費されるエネルギーは本社の業務担当者が管理しているものとする。
【0037】
このような場合、業務担当者は、図8に示す目標値入力シートを用いて、当該ビルの目標値の初期設定を行う。業務担当者は、拠点コードとして「01」、対象年度、及び警告設定値を入力し、組織情報読込ボタンを押下する。すると、按分比率情報がサーバー装置30から読み出され、目標値入力シートに取り込まれる。この例では、営業課の按分比率は70%であり、総務部の按分比率は30%である。また、目標値・実績値読込ボタンを押下すると、サーバー装置30の実績値テーブル328から実績値が読み込まれる。
【0038】
次に、業務担当者は、ビル全体としての削減目標を電力、ガス、水道について入力する。この場合、算定区分のプルダウンメニューを用いて電力、ガス、水道を指定できるようになっている。目標値の入力欄は図中の太枠の部分である。
【0039】
警告設定値は、目標値の入力時に警告を発生する基準となる値である。この目標値入力シートでは、ある算定区分について目標値を入力すると、当年度の目標値が昨年の実績値を超える割合が警告設定値を超えた場合に警告を発生する。具体的には、「(当年度の目標値−昨年の実績値)/昨年の実績値」を演算し、演算結果が警告設定値を超える否かを判定し、超える場合に警告を発生するようにプログラムされている。
警告は、「目標値が過大です」といったメッセージを表示させてもよいし、あるいは、入力した目標値の欄が点滅するようにしてもよい。このような警告を発生させることにより、排出量の削減を促すことができる。
【0040】
また、警告機能をサーバー装置30ではなくクライアント装置10の目標値入力シートに持たせたので、サーバー装置30の処理負荷を軽減できる。仮に、サーバー装置30において、上述した警告処理の機能を持たせると、多数のクライアント装置10からの要求に応答する必要があり、処理が集中してしまう。しかも、折角、業務担当者が目標値を入力して、これをサーバー装置30に送信しても警告により目標値を変更する場合が生じるので、通信資源が無駄になる。また、応答に時間がかかり、業務担当者の作業効率が低下する。これに対して、本実施形態のように目標値入力シートで警告処理を実行すると、サーバー装置30の処理負荷を軽減することができ、問題のない目標値を送信するので通信資源を有効に活用できる。さらに、直ちに警告を発生することができるから業務担当者の作業効率を向上させることができる。
【0041】
また、この目標値入力シートには、目標値を一括設定する機能がある。これは、活動量とコストの各々について、入力ボックスに削減割合等を入力し、目標設定ボタンを押し下げれば、削減目標の欄に昨年の目標値や実績値を基に当年度の目標値が一括して入力されるものである。これによって、業務担当者の入力の手間を軽減することができる。
この後、目標値・実績値登録ボタンを押し下げると、按分された目標値が表計算ソフトのアドイン機能によってサーバー装置30に送信され、目標値テーブル327に格納される。
【0042】
ところで、営業課と総務部の業務によって消費されるエネルギーは、電力、ガス、水道以外にも多岐にわたる。これらの目標値の初期設定は、各部署の業務担当者によってなされる。この場合、目標値入力シートで組織コードを入力すると、電力、ガス、水道については、算定区分が表示されない。これは、本社の業務担当者が入力すべき項目であるので、営業課と総務部の業務担当者が入力できないようにしている。この場合、算定区分テーブル325において、電力、ガス、水道の算定区分と営業課及び総務部の組織コードとの対応づけをしないように全体管理者が算定区分情報を作成してもよいし、あるいは、目標値入力シートにおいて、電力、ガス、水道の算定区分については、表示しないか入力不能に設定すればよい。
【0043】
第2の工程は、管理者によるチェック及び目標値の確定である。この工程では、業務担当者からの何かしらの連絡を業務管理者が受けると、業務管理者は入力内容を確認する。具体的には、業務管理者がクライアント装置10を操作して目標値入力シートに目標値を読み込む。この場合、業務管理者は図8に示す目標値入力シートの目標値・実績値読込ボタンを押し下げる。すると、組織コードを含む目標値読込要求がクライアント装置10からサーバー装置30に送信される。サーバー装置30は組織コードに対応する目標値を目標値テーブルから読み出して、目標値読込応答としてクライアント装置30に返信する。これにより、業務担当者が初期設定した目標値が業務管理者の目標値入力シートに読み込まれる。業務管理者は入力内容をチェックして、入力に誤りがなければ目標値確定の操作を行う。すると、確定されたことを示す確定通知がクライアント装置10からサーバー装置30に送信され、目標値テーブル327に当該目標値が確定したこと示す確定フラグが目標値と対応づけて記憶される。一方、入力に誤りが発見された場合には、業務管理者は業務担当者に修正を促し、修正後、再び、第2工程を実行する。
このようにして、第2工程が終了すると目標値が確定する。なお、第2工程の後に、全体管理者によるチェックの工程を設けてもよい。
【0044】
<2−3:実績値の入力>
次に、実績値の入力について説明する。実績値は以下の工程を経てDBサーバー32の実績値テーブル328に記憶され、その記憶内容が確定される。
第1の工程は、実績値の初期設定である。これは、末端組織ごとに実行され、組織の最下層に位置する部署の業務担当者が初期設定を行う。但し、ある建物を拠点する複数の組織(部署など)がある場合には、その建物を管理する部門(例えば、本社)の業務担当者が、当該建物についての実績値の初期設定を行う。
【0045】
図9に、実績値の初期設定の業務フローを示す。業務担当者は、クライアント装置10を操作して、実績値入力シートに組織コードあるいは拠点コードを入力し、表計算ソフトのアドインを起動させる。すると、組織コードまたは拠点コードを含む読込要求がクライアント装置10からサーバー装置30に送信される。サーバー装置30では、アドイン要求受付機能によって、算定区分テーブル325から、組織コードまたは拠点コードに対応する算定区分情報、及び按分比率情報を読み出し、読込応答としてクライアント装置10に返信する。
【0046】
クライアント装置10は読込応答を受信し、アドイン機能によって表計算ソフトに算定区分情報、及び按分比率情報を反映させる。
図10に実績値入力シートの一例を示す。この例では、拠点コード「01」に対応する建物が札幌○○ビルであり、このビルに北海道本部(部門)における札幌支店の営業課と総務部とが入居している。このビルで消費されるエネルギーは本社の業務担当者が管理しているものとする。
【0047】
このような場合、業務担当者は、拠点コードとして「01」、対象年度を入力し、組織情報読込ボタンを押下する。すると、按分比率情報がサーバー装置30から読み出され、目標値入力シートに取り込まれる。次に、業務担当者は、ビル全体としての実績値を電力、ガス、水道について入力する。この場合、算定区分のプルダウンメニューを用いて電力、ガス、水道を指定できるようになっている。実績値の入力欄は図中の太枠の部分である。実績値を入力すると、実績値に按分比率を乗算して按分された実績値が自動入力される。この例では、網かけの部分に按分された実績値が自動入力される。例えば、建物全体の電力が10kwhであったとすると、営業課の活動量は7kwhとなり、総務部の活動量は3kwhとなる。
この後、実績値登録ボタンを押し下げると、按分された実績値が表計算ソフトのアドイン機能によってサーバー装置30に送信され、実績値テーブル328に格納される。
【0048】
ところで、営業課と総務部の業務によって消費されるエネルギーは、電力、ガス、水道以外にも多岐にわたる。これらの実績値の初期設定は、各部署の業務担当者によってなされる。この場合、実績値入力シートで組織コードを入力すると、電力、ガス、水道については、算定区分が表示されない。これは、本社の業務担当者が入力すべき項目であるので、営業課と総務部の業務担当者が入力できないようにしている。この場合、算定区分テーブル325において、電力、ガス、水道の算定区分と営業課及び総務部の組織コードとの対応づけをしないように全体管理者が算定区分情報を作成してもよいし、あるいは、実績値入力シートにおいて、電力、ガス、水道の算定区分については、表示しないか入力不能に設定すればよい。
【0049】
本実施形態では、実績値の按分をクライアント装置10の実績値入力シートで実行したが、按分比率情報は算定区分テーブル325に記憶されているので、実績値の按分をサーバー装置30で実行してもよい。但し、1つのサーバー装置30に対して多数のクライアント装置10が存在し、しかも実績値の入力は月末などの特定の時期に集中し易い。このため、サーバー装置30で按分を実行すると、処理負荷が過大になることがある。これに足して、上述したようにクライアント装置10で実績値の按分を実行すれば、サーバー装置30の処理負荷を軽減することができる。さらに、サーバー装置30で実績値の按分を実行すると、按分された実績値をクライアント装置10で把握するためには、按分結果を通信網20を介してサーバー装置30からクライアント装置10に送信する必要があるが、実績値入力シートで演算すればその必要はない。これにより、通信資源を節約するともに業務担当者は按分された実績値を直ちに知ることができる。
【0050】
第2の工程は、管理者によるチェック及び実績値の確定である。この工程は、目標値の確定の第2の工程と同様であるので、説明を省略する。
【0051】
<2−3:帳票の出力>
次に、帳票の出力について説明する。図11に帳票出力の業務フローを示す。まず、全体管理者が帳票を出力する場合、集計シートに組織コード、年月等を入力し、帳票出力ボタンを押下すると、アドイン機能によってサーバー装置30の算定区分テーブル325、目標値テーブル327、及び実績値テーブル328から必要なデータを取得し、集計シート30に取り込む。例えば、全社の各部門における実績値を算定区分ごとに集計シートで表示させる場合、クライアント装置10は、集計の態様を指定する要求をサーバー装置30に送信する。これを受信したサーバー装置30では、実績値テーブル328を参照し、算定区分ごとの実績値を部門単位で集計するとともに、算定区分に対応する安全係数を読み出して、集計結果と安全係数を含む応答をクライアント装置10に返信する。集計シートには、集計結果が取り込まれる。安全係数は、算出精度が低い算定区分の排出量について、実際の排出量を下回らないよう補正する場合に用いられる加算率である。集計シートでは、安全係数を用いて排出量を自動的に補正することが可能である。これによって、部門単位の集計結果を得ることができる。
この場合、全体管理者は、全てのデータを参照することができる。これに対して、業務管理者は、自組織及び配下の組織についてのみデータを参照可能であり、さらに、業務担当者は、自組織についてのみデータの参照が可能である。このように、参照の対象となるデータを制限することは、ユーザテーブル323に記憶されているユーザ情報と、アクセス権限テーブル322に記憶されているアクセス権限情報とによって実現される。
【0052】
<3:データモデル>
次に、二酸化炭素排出量算出システム1のデータモデルの関連を図12を参照しつつ、説明する。この例では、関東本部(部門)に営業課、企画課、及び総務課(部署)が属する。まず、目標値及び実績値は、組織の最下層の部署ごとに定められるので、組織情報と関連がある。また、目標値及び実績値は、電力やガスといった算定区分ごとに定められるので、算定区分情報と関連がある。また、算定区分の活動量の単位を特定するのは単位情報である。さらに、組織ごとに入力・閲覧可能な算定区分が決められるので調査側面情報は、組織情報と算定区分情報とが関連している。
次に、二酸化炭素排出量算出システム1の利用するユーザの立場からは、どのような作業が可能であるかを考える。ユーザ情報では、ユーザ名と、担当組織と、職務名とが関連付けられている。この例では、ユーザ名「Aさん」は、営業課の入力者であると同時に企画課の閲覧者である。このように、ユーザ情報では、1ユーザを複数の組織に跨って入力者や閲覧者といったように自由に役割を規定することができる。
そして、アクセス権限情報は、入力者、閲覧者、及び管理者といった職務名ごとに、使用できるメニューを設定している。例えば、入力者は、実績値の入力が可能であり、マスタメンテナンスと進捗管理は参照することができない。一方、閲覧者であれば、マスタメンテナンス、実績値の入力、及び進捗管理について参照可能である。
この例において、Aさんは営業課の入力者であり、企画課の閲覧者である。このため、Aさんは、営業課の実績値については入力可能であるが、企画課の実績値につては入力できず、企画課の進捗管理については参照できるが、営業課の進捗管理については参照できない。
このようにユーザ情報とアクセス権限情報を組み合わせることによって多様な管理が可能となる。
【0053】
<4.変形例>
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の変形が可能である。
(1)上述した実施形態では、目標値及び実績値の入力シートを用いて、クライアント装置10で目標値及び実績値を入力したが、これらの機能をサーバー装置30に持たせてもよい。この場合には、業務担当者は、クライアント装置10からサーバー装置30にアクセスして、目標値及び実績値を入力することになる。按分比率情報は算定区分と対応付けてサーバー装置30の算定区分テーブル325に記憶されているから、これを用いて、建物全体として把握される総エネルギー消費量を按分すればよい。
【0054】
(2)また、上述した実施形態では、按分比率を全体管理者が定めたが、部署の人数を組織情報として組織テーブル321に記憶しておき、按分比率情報の替わりに部署の人数を示す人員データをサーバー装置30からクライアント装置10に送信し、表計算ソフトの演算機能を用いて、部署の人数で按分比率を算出してもよい。あるいは、部署が建物に占める占有面積を組織情報として組織テーブル321に記憶しておき、按分比率情報の替わりに部署の占有面積を示す面積データをサーバー装置30からクライアント装置10に送信し、表計算ソフトの演算機能を用いて、占有面積で按分比率を算出してもよい。くわえて、人員データと面積データとに基づいて、按分比率を算出してもよい。さらに、これらの処理は、上述した変形例と同様にサーバー装置30で実行してもよい。
【0055】
(3)また、上述した実施形態において、集計シートを用いた帳票の出力において、部門ごとの二酸化炭素排出量を監視し、当年度の二酸化炭素排出量の実績が昨年度の二酸化炭素排出量の実績を基準として所定の割合を超えるか否かを判定し、所定の割合を超えると、警告の表示を行うようにしてもよい。この場合は、例えば、月次で二酸化炭素排出量の監視を実行し、当年度の累積値を昨年度の同じ月の累積値と比較することにより、年度の途中で削減に向けた対策を検討することが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1……二酸化炭素排出量算出システム、10……クライアント装置、20……通信網、30……サーバー装置、31……WebAPサーバー、32……DBサーバー、321……組織テーブル、322……アクセス権限テーブル、323……ユーザテーブル、324……単位テーブル、325……算定区分テーブル、326……調査側面テーブル、327……目標値テーブル、328……実績値テーブル。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部署から組織される企業において、二酸化炭素排出量を部署ごとに算出する二酸化炭素排出量算出システムであって、
二酸化炭素排出量を算出するために業務を分類した算定区分ごと、且つ、前記部署ごとに排出した二酸化炭素排出量の実績値を記憶する実績値記憶手段と、
所定数の部署が入居する建物において全体で消費されるエネルギーの総量である総エネルギー消費量を、算定区分を指定して入力する第1入力手段と、
前記総エネルギー消費量を按分比率に従って按分して前記所定数の部署ごとの個別エネルギー消費量を算出する算出手段と、
前記所定数の部署ごとの個別エネルギー消費量を二酸化炭素排出量に変換する第1変換手段と、
前記所定数の部署ごとの二酸化炭素排出量を、指定された算定区分および当該部署に対応づけて前記実績値記憶手段に登録する第1登録手段と、
指定された部署および算定区分に対応する二酸化炭素排出量の実績値を前記実績値記憶手段から読み出す読出手段と、
を備えた二酸化炭素排出量算出システム。
【請求項2】
複数のクライアント装置とサーバー装置とを備え、
前記サーバー装置は、前記実績値記憶手段および前記読出手段を備え、
前記複数のクライアント装置のうち前記建物を管理する担当者が操作するクライアント装置は、前記第1入力手段、前記算出手段、前記第1変換手段、および前記第1登録手段とを備え、
前記複数のクライアント装置のうち前記所定数の部署の各々の担当者が操作するクライアント装置は、
前記算定区分のうち当該部署の業務に対応する算定区分についてのみ消費したエネルギー消費量を入力可能とする第2入力手段と、
入力されたエネルギー消費量を二酸化炭素排出量に変換する第2変換手段と、
変換された二酸化炭素排出量を、前記算定区分および当該部署を指定して前記実績値記憶手段に登録する第2登録手段とを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素排出量算出システム。
【請求項3】
前記2入力手段は、前記第1入力手段で入力可能とする算定区分については、エネルギー消費量を入力不能とする請求項2に記載の二酸化炭素排出量算出システム。
【請求項4】
前記サーバー装置は、
算定区分ごと、且つ、前記部署ごとに排出を予定する二酸化炭素排出量の目標値を記憶する目標値記憶手段を備え、
前記読出手段は、指定された部署および算定区分に対応する二酸化炭素排出量の目標値を前記実績値記憶手段から読み出し、
前記複数のクライアント装置のうち前記所定数の部署の各々の担当者が操作するクライアント装置において、
前記第2入力手段は、前記算定区分のうち当該部署の業務に対応する算定区分についてのみエネルギー消費量の目標値を入力可能とし、
前記第2変換手段は、入力されたエネルギー消費量の目標値を二酸化炭素排出量の目標値に変換し、
前記第2登録手段は、二酸化炭素排出量の目標値を、前記算定区分および当該部署を指定して前記目標値記憶手段に登録する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の二酸化炭素排出量算出システム。
【請求項5】
前記複数のクライアント装置のうち前記所定数の部署の担当者が操作するクライアント装置において、
前記サーバー装置の前記実績値記憶手段から、当該部署の昨年度の二酸化炭素排出量の実績値を読み出し、
前記第2入力手段によってある算定区分についてエネルギー消費量の目標値が入力され、前記第2変換手段によって、入力されたエネルギー消費量の目標値が前記二酸化炭素排出量の目標値に変換されると、前記実績値記憶手段から読み出した当該算定区分に対応する昨年度の二酸化炭素排出量の実績値を基準として、当年度の二酸化炭素排出量の目標値が所定の割合を超えるか否かを判定し、前記所定の割合を超えると、警告を実行する警告手段を備える、
ことを特徴とする請求項2乃至4のうちいずれか1項に記載の二酸化炭素排出量算出システム。
【請求項6】
前記実績値記憶手段は、算定区分ごと、且つ、前記部署ごとに排出した二酸化炭素排出量およびエネルギー消費量の実績値を記憶しており、
前記複数のクライアント装置のうち前記所定数の部署の担当者が操作するクライアント装置は、
すべての算定区分について同一の削減率を一括して設定可能な削減率設定手段と、
前記サーバー装置の前記実績値記憶手段から、当該部署の昨年度の二酸化炭素排出量およびエネルギー消費量の実績値を算定区分ごとに読み出し、前記削減率が設定されると、前記削減率と昨年度の二酸化炭素排出量およびエネルギー消費量の実績値に基づいて、全ての算定区分について二酸化炭素排出量およびエネルギー消費量の目標値を一括して設定する目標値一括設定手段とを備える、
ことを特徴とする請求項2乃至5のうちいずれか1項に記載の二酸化炭素排出量算出システム。
【請求項7】
前記サーバー装置は、前記所定数の部署について、部署ごとの人数を示す人員データと部署ごとの占有面積を示す面積データとのうち少なくとも一方に基づいて、前記按分比率を生成する生成手段を備えることを特徴とする請求項2乃至6のうちいずれか1項に記載の二酸化炭素排出量算出システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−3472(P2012−3472A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137240(P2010−137240)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(397009716)日本興亜損害保険株式会社 (8)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)