説明

二酸化窒素(NO2)の酸化窒素(NO)への変換

【課題】 二酸化窒素(NO)を酸化窒素(NO)へ変換するための装置を開示する。
【解決手段】 低レベルの酸化窒素の吸入は、哺乳動物における肺高血圧を迅速且つ安全に軽減させることができる。二酸化窒素を酸化窒素へと変換する酸化窒素送達システムが、アスコルビン酸など酸化防止剤の水溶液で被覆された、シリカゲルなどの表面活性材料を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、酸化窒素を制御可能に発生させることに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ニトロシルラジカルとも呼ばれる酸化窒素(NO)は、肺静脈内の重要なシグナリング分子であるフリーラジカルである。酸化窒素(NO)は、肺動脈圧の上昇により生じる肺高血圧を緩和することができる。たとえば20〜100ppmの範囲の、低濃度の酸化窒素(NO)吸入は、肺血管の血管拡張によって哺乳動物の肺高血圧を迅速且つ安全に低減することができる。
【0003】
いくつかの疾患又は生理学的状態は、酸化窒素(NO)の吸入によって媒介することができる。吸入される低濃度の酸化窒素(NO)の使用は、これらに限定されないが、急性肺血管収縮、外傷、吸引又は吸入傷害、肺内の脂肪塞栓、アシドーシス、肺炎、成人呼吸促進症候群、急性肺水腫、急性高山病、心臓手術後の急性肺高血圧、新生児の持続性肺高血圧、周産期吸引症候群、硝子膜病、急性肺血栓塞栓病、ヘパリン−プロタミン反応、敗血症、喘息及び喘息発作重積状態、又は低酸素症を含むことができる疾患の進行を、予防し、後退させ、又は制限することができる。酸化窒素(NO)はまた、慢性肺高血圧、気管支肺異形成、慢性肺血栓塞栓病、及び突発性又は原発性肺高血圧、或いは慢性低酸素症を治療するために使用することもできる。通常、NOガスは、窒素ガス(N)内に希釈されたボンベ入り気体の形態で供給される。NOガスのタンク内に、微量であっても酸素(O)が存在することを防ぐために、多大な注意が払われなくてはならない。というのもNOは、Oが存在すると酸化されて二酸化窒素(NO)となるからである。NOと異なり、ppmレベルのNOガスは、吸入されると非常に有毒であり、肺の中に硝酸及び亜硝酸を形成する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二酸化窒素(NO)の酸化窒素(NO)への変換を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
1つの全体的な態様において、二酸化窒素を酸化窒素に変換する装置は、容器を備える。容器は、入口、出口、及び、酸化防止剤の水溶液で被覆された表面活性材料を備える。入口は、ガス流を受け取り、このガス流を、ガス流中の二酸化窒素が酸化窒素に変換されるように、表面活性材料を通して出口へと流体連通させるように構成される。
【0006】
実施態様は、以下の1つ又は複数の特徴を備えることができる。たとえば、酸化防止剤は、アスコルビン酸、αトコフェロール、又はγトコフェロールとすることができる。表面活性材料は、酸化防止剤の水溶液を浸透させることができる。表面活性材料は、シリカゲルなど、水分を保持する基質を含むことができる。シリカゲルは、サイズ35から70のメッシュとすることができる。容器は、カートリッジとすることができ、周囲温度とすることができる。
【0007】
表面活性材料は、アスコルビン酸の水溶液を使用して調製することができる。この溶液は、たとえば、20%のアスコルビン酸水溶液、25%のアスコルビン酸水溶液、又は30%のアスコルビン酸水溶液とすることができる。表面活性材料は、表面活性材料をアスコルビン酸の水溶液に浸し、表面活性材料を容器内に挿入する前に、表面活性材料を空気乾燥させ、又はガスを用いて表面活性材料を乾燥させることによって、調製することができる。
容器は、入口及び出口両方の付近にスクリーン及びグラスウールを備えることができる。スクリーン及びグラスウールは、容器に挿入する前に、酸化防止剤の水溶液に浸すことができる。
【0008】
別の全体的な態様では、哺乳動物への治療用ガス送達に使用される、酸化窒素を含む治療用ガスを発生するための装置が、透過セル及び容器を備える。透過セルは、液体二酸化窒素を有し、気体状の二酸化窒素を空気流中に拡散させることができる。容器は、入口、出口、及び、酸化防止剤の水溶液で被覆された表面活性材料を備える。入口は、透過セルからの空気流を受け取り、その空気流を、気体状の二酸化窒素を周囲温度にて酸化窒素へと変換するように、酸化防止剤の水溶液で被覆された表面活性材料を通して出口へと流体連通させるように構成される。
【0009】
実施態様は、上記特徴の1つ又は複数、及び以下の特徴の1つ又は複数を備えることができる。たとえば、空気流を発生することができる空気ポンプを備えることができ、透過セルは、空気ポンプによって発生された空気流を受け取るように構成することができる。空気ポンプは携帯可能とすることができる。空気流中に酸素を供給することができる酸素富化装置を含むことができ、透過セルは、酸素富化装置によって富化された空気流を受け取るように構成することができる。
【0010】
容器は、第1の容器とすることができ、第2の容器が含まれることがある。第2の容器は、第2の入口、第2の出口、及び、酸化防止剤の水溶液によって被覆される第2の表面活性材料を備えることができる。第2の入口は、第1の容器からの空気流を受け取り、この空気流を、気体状の二酸化窒素を周囲温度にて酸化窒素に変換するために、酸化防止剤の水溶液によって被覆された第2の表面活性材料を通して第2の出口へと流体連通させるように構成される。哺乳動物が呼吸するとき膨張及び収縮操作可能である、可撓性バッグを備えることができ、第2の容器は、可撓性バッグと、酸化窒素を有する空気流が哺乳動物に送達される地点との間に配置することができる。
【0011】
表面活性材料及び酸化防止剤の代わりに、第2の容器は、第2の入口、第2の出口、及び活性アルミナを備えることができる。第2の入口は、第1の容器からの空気流を受け取り、気体状の二酸化窒素を周囲温度にて捕獲するために、空気流を、活性アルミナを通して第2の出口へと流体連通させるように構成することができる。
その他の特徴が、添付の図面及び特許請求の範囲を含めた、以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
酸化窒素(NO)を、治療的使用のために哺乳動物へと送達する場合、哺乳動物への二酸化窒素(NO)の送達を回避することが重要となる可能性がある。二酸化窒素(NO)は、酸素(O)による酸化窒素(NO)の酸化によって形成することができる。二酸化窒素(NO)形成の比率は、酸素(O)濃度に酸化窒素(NO)濃度の二乗を乗算したもの、すなわち(O)*(NO)*(NO)=NOに比例する。
【0013】
二酸化窒素(NO)を酸化窒素(NO)に変換する、NO送達システムが提供される。このシステムは、変換を行うための単純且つ有効な機構として、酸化防止剤の水溶液で被覆された表面活性材料を用いる。より具体的には、希釈された気体状態のNOを、酸化防止剤の水溶液で被覆された表面活性材料上を通過させることによって、NOをNOに変換することができる。水溶性酸化防止剤がアスコルビン酸(すなわちビタミンC)である場合、反応は、周囲温度で定量的となる。このシステムによって用いられる技法は、NOをNOに変換するためのその他の技法と対比されるべきである。2つのそのような技法は、NOを含有するガス流を、ステンレス鋼上で650℃より高く、又はモリブデン上で450℃より高く加熱することである。これら2つの技法はいずれも、空気中のNOをNOに変換し、次いでNO濃度を化学発光によって測定する、大気汚染計器において使用される。説明された別の方法は、160℃から300℃を超える温度にて、銀を触媒として使用するものである。
【0014】
表面活性材料の一例は、シリカゲルである。使用することができる表面活性材料の別の例は、綿である。表面活性材料は、水を保持することができる基質とすることができ、又はそれを含むことができる。水分を吸収することができる大きな表面積を有する、別のタイプの表面活性材料を使用することもできる。
【0015】
図1は、NOをNOに変換することによってNOを発生させるカートリッジ100を示す。NO発生カートリッジ、GENOカートリッジ、又はGENOシリンダと呼ばれることがある、カートリッジ100は、入口105及び出口110を備える。入口105及び出口110の両方に、スクリーン及びグラスウール115が配置され、カートリッジ100の残りの部分は、表面活性材料を被覆するために、酸化防止剤の飽和水溶液に浸された表面活性材料120で充填される。スクリーン及びグラスウール115もまた、カートリッジ100に挿入される前に酸化防止剤の飽和水溶液で浸される。図1の例では、酸化防止剤はアスコルビン酸である。
【0016】
NOをNOに変換するための一般的なプロセスでは、NOを有する空気流が入口105を通して受け取られ、この空気流が、水溶性酸化防止剤によって被覆された表面活性材料120を通って出口110へと流体連通する。表面活性材料が湿潤したままであり、酸化防止剤が変換で使い果たされていない限り、一般的なプロセスは、周囲温度におけるNOのNOへの変換に有効である。
【0017】
入口105は、図2のシステム200などの、液体NOを収容する透過管を通じて空気流を流体連通させる空気ポンプから、NOを有する空気流を受け取ることができる。入口105はまた、例えばNOのタンクとも呼ばれることがあるNOの加圧ボンベから、NOを有する空気流を受け取ることができる。入口105はまた、窒素(N)、空気、又は酸素(O)内にNOを含む、空気流を受け取ることができる。変換は広い濃度範囲にわたって生じる。実験は、空気中の濃度が約2ppmのNOから100ppmのNO、及び1000ppmを超えるNOでも行われてきた。1つの例では、長さが約6インチであり、1.5インチの直径を有するカートリッジが、アスコルビン酸の飽和水溶液中にまず浸されたシリカゲルで充填された。湿潤したシリカゲルは、A.C.S.(米国化学会)試薬グレードとして指定された純度99.1%の、Aldrich Chemical Companyによるアスコルビン酸(すなわちビタミンC)、及びFischer Scientific International, Inc.による、S8 32−1と指定された、グレード40のサイズ35から70のメッシュのシリカゲルを用いて調製された。その他のサイズのシリカゲルもまた有効である。たとえば、8インチの直径を有するシリカゲルも機能する。
【0018】
35重量%のアスコルビン酸を水と混合し、攪拌し、シリカゲルを通して水/アスコルビン酸の混合物を濾過することによって調製された、アスコルビン酸の飽和溶液でシリカゲルを湿潤した後で脱水した。従来のNOからNOへの変換は、アスコルビン酸で被覆されたシリカゲルが湿潤しているときに上手く進行することが見出されている。NOからNOへの変換は、アスコルビン酸の水溶液のみの中では上手く進行しない。
【0019】
湿潤したシリカゲル/アスコルビン酸で充填されたカートリッジは、空気中の1000ppmのNOを、毎分150mlの流量で、定量的に、12日間に渡り停止せずにNOに変換することができた。毎分わずか数mlから毎分5000mlの流量までの範囲の、幅広い流量及びNO濃度の試験が成功してきた。反応はまた、ビタミンEの異性体(たとえばαトコフェロール及びγトコフェロール)など、その他の一般的な酸化防止剤を使用して進行する。
【0020】
酸化防止剤/表面活性材料のGENOカートリッジは、吸入治療のために使用することができる。そのような例の1つでは、GENOカートリッジは、加圧ボンベ供給源からNOを送達する、NO吸入治療用のNOスクラバーとして使用することができる。GENOカートリッジは、吸入治療中に化学的に形成されるいかなるNOも除去するために使用することができる。このGENOカートリッジは、有害なレベルのNOが患者によって不注意に吸入されないよう保障することを助けるために使用することができる。
【0021】
第1に、GENOカートリッジは、従来のNO吸入治療での吸入治療中に使用される、安全装置の一部又はすべてを補完又は置換するために使用することができる。たとえば、1つのタイプの安全装置は、NOの濃度が、一般に1ppm以上のNOである予め設定された又は所定の限界を超えると、空気中のNOの存在を警告する。GENOカートリッジが、NO送達システム内で患者がNOを多く含む空気を吸い込む直前のところに配置される場合、そのような安全装置は不必要となることがある。GENOカートリッジは、患者がNOを多く含む空気を吸い込む直前に、いかなるNOもNOに変換し、空気中のNOの存在を警告する装置を不必要にする。
【0022】
さらに、吸入機器及び(管機構とも呼ばれることがある)ガス配管ラインの、出口付近に配置されるGENOカートリッジはまた、これらの換気機器内の通過時間により生じるNOの形成に付随する問題を低減又は解消する。従って、GENOカートリッジの使用によって、従来の応用例で必要とされる、ガス配管ラインを通してガスを迅速に移動させるよう保証する必要が、低減され、又はなくなる。
【0023】
或いは又はさらに、さらに安全性を高め、微量の有毒なNOが全て除去されていることを保証することを助けるために、NO除去カートリッジは、送達システムを患者へと取り付ける直前に挿入することができる。NO除去カートリッジは、いかなる微量なNOをも除去するために使用されるGENOカートリッジとすることができる。或いは、NO除去カートリッジは、加熱活性化アルミナを含むことができる。Fisher Scientific International,Inc.によって供給される、A505−212と指定された8〜14のメッシュサイズなど、加熱活性化アルミナを有するカートリッジは、空気又は酸素の流れから低レベルのNOを除去するのに有効であるが、依然、NOガスを失わずに通過させる。活性化されたアルミナ、及びそれと同様のその他の高表面積材料は、NO吸入管からNOを洗浄するために使用することができる。
【0024】
別の例では、GENOカートリッジは、治療用のガス送達のためにNOを発生させるために使用することができる。NO発生カートリッジは、有害なNOを周囲温度にてNOへと変換するのに有効であるので、液体NOをNOの供給源として使用することができる。NOの発生のための供給源として液体NOが使用される場合、加圧ガスボンベによってNOガスを送達システムへと供給する必要がない。そのような送達システムの一例を、図2に関してより詳細に説明する。加圧ガスボンベによるNO提供の必要をなくすことにより、NOガスをNOガスの加圧ガスボンベから患者へと送達するために使用される従来の装置と比較して、送達システムを簡易化することができる。加圧ガスボンベを使用しないNO送達システムは、加圧ガスボンベに依拠する従来のシステムよりも可搬性を高めることができる。
【0025】
図2〜図14は、GENOカートリッジ内で使用される表面活性材料として、シリカゲルを使用する技術を示す。上記で議論したように、シリカゲルは、NO発生システム又はカートリッジにおいて使用することができる表面活性材料の一例に過ぎない。
【0026】
図2は、液体NOを、次いでNO吸入治療のために患者に送達することができるNOガスへと変換する、NO発生システム200を示す。一般に、空気ポンプ205によって生み出される空気の流れは、液体NO及びその二量体N(集合的に236)を有する、気体透過セル235を通して進められる。ガス透過セル235を出る空気流は、気体状態のNOを含み、気体状態のNOは、NO発生カートリッジ240によってNOガスに変換される。NOガス混合物は、吸入治療のために、たとえばマスク、カニューレ、又はベンチレータを使用して、患者へと送達することができる。患者へと送達されるNOガス混合物中のNO濃度は、気体透過セル235の温度、又は流量計220を通る空気流量を制御することによって、制御することができる。
【0027】
より具体的には、システム200は、空気ポンプ205、調整器210、流れ転向装置215、及び流量計220を備える。このシステムは、空気ポンプ205からの空気流207が、150ml/分の第1の流れ225と、3000ml/分の第2の流れ230とに分流されるように構成される。空気流207は、乾燥していても湿潤していてもよい。
【0028】
流れ225は、液体NO及びその二量体N(集合的に236)と、ガス透過管237とを収容する、気体透過セル235を通して進められる。透過セル235はまた、透過発生器、透過装置、又は透過管ホルダと呼ぶこともできる。NOは、気体透過セル235の気体多孔質膜を通って流れ225内へと拡散する。一例では、150ml/分の空気の流れ225は、テキサス州オースティンのKinTek Corporationによって供給される透過管など、透過管237を通って流される。透過管237は、透過管237が40℃のときに、流れ225内の透過管を離れるガス流が約840ppmのNOを含有するよう、NOを定常的な速度で放出するように設計される。領域238は、約40℃の温度を維持するように温度制御される。以下でより完全に議論されるように、透過セル235の温度を維持することは、患者に送達されるNOの濃度制御を助ける。
【0029】
840ppmのNOを含有する150mlの空気は次いで、NO発生カートリッジ240を通過する。この例では、NO発生カートリッジ240は、長さ6インチ、直径1.5インチであり、変換試薬として働く、シリカゲル上の湿潤したアスコルビン酸を収容する。NO発生カートリッジ240は、図1のカートリッジ100の一実施態様とすることができる。NO発生カートリッジ240を出る空気流225は、840ppmのNOを含有し、全て又は基本的に全てのNOがNOに変換されている。
【0030】
次いで、840ppmのNOを有する150ml/分の流れ225は、3000ml/分の空気又は酸素の流れ230と混合されて、40ppmのNOを含有する3150ml/分の流れ247を生成する。流れ225と230が混合された場合、NOの希釈中に形成された可能性があるいかなるNOも除去するために、混合後、流れ247は第2のNO発生カートリッジ245を通過する。NO発生カートリッジ240及び245は、同じサイズとすることができるが、必ずしもそうである必要はない。たとえば、NO発生カートリッジ245は、NO発生カートリッジ240よりも小さいNO変換能力を有するようにサイズ決めすることができる。結果的に得られる、NOを有する空気流250はこうして、患者への送達準備完了となる。システム200は、数時間の短時間、或いは14日以上の長時間、NOガスの定常的な流れを生成するように設計される。1つの試験において、システム200は、40ppmのNOガスを空気中に含む定常的な流れを、NOを含まずに、12日を超えて送達することが示された。ここでNO及びNOの濃度は、化学発光ガス分析装置によって測定された。
【0031】
システム200の一代替形態として、NO発生システムは、透過管237よりも大きい流れ能力を有する透過管を備えることができる。そのような場合、より大きい透過管は、たとえば流れ230及び変換管245が不要となるように、患者への送達が必要とされる全ての吸気を処理することができる。
【0032】
例えば空気の供給に使用される空気ポンプ205が、オイルレス簡易ポンプなど携帯空気ポンプである場合、システム200は、携帯可能にすることができる。酸素富化空気が患者に必要とされる場合、空気ポンプ205によって供給される空気に加えて、又はその代わりに、酸素を供給することができる。酸素は、たとえば、酸素タンク又は市販の酸素発生装置から供給することができる。酸素はまた、Oと混合されたNOを有するタンクから供給することもできる。
いくつかの実施態様では、透過セル238並びに/又は2つの変換カートリッジ240及び245は、使い捨て可能な物品とすることができる。
【0033】
システム200を出る流れ250内のNOの濃度は、流れ225が毎分数ミリリットルを上回る限り、透過セル235を通る流れ225に左右されない。流れ250内のNOの濃度は、透過セル235の温度によって変わり、より低い程度で空気流量230によって変わる。たとえば、空気流量230が一定の状態で、システム200は、40℃の温度で40ppmのNOを送達するように設計されるが、NOの濃度は、30℃で20ppmのNOに低減することができ、50℃で80ppmに増加することができる。従って、温度制御装置を、送達されるNOガスの濃度を調整するために使用することができる。所望のNO濃度が選択され、温度制御装置が、所望の濃度を送達するために特定の温度を維持するように設定されると、所望の濃度でのNOガスの送達速度は、一定に保たれる。温度制御装置の一例は、KinTek Corporationから入手可能なオーブンなどのオーブンであり、その中に透過管を配置することができる。温度制御装置の別の例は、ホットプレート上に配置された脱イオン水のビーカであり、ビーカ内に透過管を配置することができる。水温を監視するために、温度計をビーカ内に配置することができる。
【0034】
NO発生システムは、カニューレと共に使用するためのNOガス混合物の定常的な流れを送達するために使用することができ、過剰なガスは環境へと通気される。NO発生システムは、ベンチレータと共に使用することができ、そのような場合、NO発生器からの送達は定常的に維持されなければならず、NOを受け取る患者を危険にさらさずに遮断することはできない。吸気中の患者への流れ増大の必要に対処するために、NOガス混合物を使用して、可撓性バッグを膨張させ次いで収縮させることができる。患者への空気流が少しでも遅らされる場合、そのような遅延中のNOとOの反応によって形成されることがあるいかなるNOも除去するために、NO発生カートリッジを、吸入直前の地点でNO発生システム内に挿入することができる。これは、非常に少量であっても、遅延中にバッグ内で形成されることがあるNOが、患者によって吸入される治療用ガス流より前に除去されることを確実にするのに役立つ。
【0035】
治療用ガス流内のNO濃度を検出するために、検出器を治療用ガス送達システム200内に備えることができる。検出器は、必要に応じて、治療用ガス内のNO濃度も検出することができ、NO濃度が所定の範囲外である場合、又はNO濃度が閾値を超えている場合に、警告を提供することができる。監視技術の例は、化学発光及び電気化学的技術を含む。酸化窒素の存在は、たとえば、化学発光検出器によって検出することができる。
【0036】
図3は、液体NOを、NO吸入治療のために次いで患者に送達することができるNOガスへと変換する、NO発生システム300を示す。図2のNO発生システム200とは対照的に、NO発生システム300は、活性アルミナカートリッジ345を備える。活性アルミナカートリッジ345は、遅延中に形成されるいかなるNOも除去する。NOをNOに変換することによってNOを除去しそれによってNOを定量的に再生する、NO発生カートリッジ240とは対照的に、活性アルミナカートリッジ345は、NOを発生せずにプロセスガス流からNOを除去する。
【0037】
図4は、図1のNO発生カートリッジ100の一実施態様とすることができるNO発生カートリッジ440を使用する、治療用ガス送達システム400を示す。システム400は、管機構を通して流れ420中の気体NOを提供するために、NO供給源410を使用する。一例では、NO供給源410は、NOの加圧ボンベとすることができる。管機構を通る空気430の流れは、空気ポンプ435によって発生され、流れ420と混合される。NO発生カートリッジ440へと入る空気流は、気体NOを含む。流れ420内で形成してきたNOガスはすべて、NO発生カートリッジ440によって除去される。NO発生カートリッジ440を出る空気流450は、治療用NOガスを含むが、有毒なレベルのNOをもたない。次いで空気流450は、NO吸入治療のために、患者へと送達することができる。
【0038】
図5は、図1のNO発生カートリッジ100の一実施態様とすることができるNO発生カートリッジ540を使用する、治療用ガス送達システム500を示す。図4の治療用ガス送達システム400とは対照的に、システム500は、NO供給源510からNOを発生する。NO供給源510は、NO供給源510を出る流れ525が気体NOを含むように、空気ポンプ520によって生み出される空気流515中の拡散液体NOを使用することができる。いくつかの実施態様では、NO供給源510は、NOの加圧ボンベとすることができる。
【0039】
いずれにしても、NO発生カートリッジ440へと入る空気流525は、気体NOを含む。NO発生カートリッジ440は、流れ525内のNOガスをNOへと変換する。NO発生カートリッジ540を出る空気流550は、治療用NOガスを含むが、NOをもたず、又は基本的にもたない。次いで空気流550は、NO吸入治療のために患者に送達することができる。
【0040】
図6は、治療用ガスを送達するための、GENO加圧タンクシステム600を示す。システム600は、空気中に40ppmのNOを有する、市販のタンク620と、流れ制御装置622とを備える。タンク620の一例では、300立方フィートのタンクが、5L/分の空気流で1.2日間持続する。
【0041】
空気中にNOを含む空気流625は、流れ制御装置622を出て、GENOカートリッジ640に入る。GENOカートリッジ640は、NOを前駆物質として使用し、NOをNOに変換する。GENOカートリッジ640を出る空気流625bは、治療用NOガスを含む。空気流625bは、空気流625b中のいかなるNOをも除去するために、活性アルミナカートリッジ660に入る。活性アルミナカートリッジ660を出る空気流625cは、NO吸入治療のために患者に送達される。
【0042】
システム600は、NOxサンプル弁665、及び、NOを検出するように動作可能なNO−NOセンサ670を備える。NO−NOセンサはまた、NO−NO検出器と呼ばれることがある。Noxサンプル弁665は、空気流667a及び667bからNO−NOセンサ670へと、空気サンプルを提供するように動作可能である。空気流667a内のいかなるNOの存在も検出するために、NO−NO検出器670を使用することによって、GENOカートリッジ640の不具合の表示を提供することができ、従って、患者に有毒なNOが送達されていないことを保証するための慎重な安全装置を提供する。
いくつかの実施態様では、活性アルミナカートリッジ660を、GENOカートリッジで置換することができる。
【0043】
図7は、治療用ガスを送達するための、GENO高濃度NO加圧システム700を示す。図6のシステム600とは対照的に、システム700は、2つのGENOカートリッジ740及び750、並びに、GENOカートリッジ740又は750のどちらを使用するかを制御するための切換弁745を備える。NO−NO検出器770が、使用されているGENOカートリッジを出る空気流725d内にNOの存在を検出すると、切換弁745を操作して、空気流725cがもう一方のGENOカートリッジ740又は750を通って進むよう切り替えることができる。第1のGENOカートリッジが故障した場合に第2のGENOカートリッジへと切り替える能力によって、治療用ガスが送達されている患者のためのさらなる安全層を提供することができる。
【0044】
より具体的には、システム700は、空気中に1000ppmのNOを有するタンク720、及び流量制御装置722を備える。この例では、タンク720は、2250ポンド/平方インチにて150立方フィートであるタンクであり、125cc/分の空気流を提供する。患者に送達される5L/分で流れる40ppmの空気流で、タンク720は、約23日間持続する。タンク720は、各GENOカートリッジ740及び750の予想される耐用期間よりも長い期間、空気流を供給することができ、この例で使用されるカートリッジでは2週間未満である。従って、1つのGENOカートリッジから別のGENOカートリッジへと切り替える能力は、タンクの内容物が使用され、又は実質的に使用されることを確実にするのに役立つ。
【0045】
NOを空気中に有する空気流725aは、流量制御装置722を出て、空気ポンプなど空気供給源730によって生み出される、5L/分の空気流725bと混合される。結果的に得られる空気流725cは、切換弁745へと入る。切換弁745は、GENOカートリッジ740又は750のどちらが空気流725cを受け取るかを制御する。図示のように、切換弁745は、空気流725cがGENOカートリッジ750へと供給されるように設定される。GENOカートリッジ750は、空気流725c中のNOをNOへと変換する。GENOカートリッジ725dを出る空気流725dは、治療用NOガスを含む。空気流725dは、空気流725d内のいかなるNOも除去するために、活性アルミナカートリッジ760に入る。活性アルミナカートリッジ760を出る空気流725eは、NO吸入治療のために患者へと送達される。
【0046】
システム700は、NOxサンプル弁765、及びNOを検出するように動作可能なNO−NOセンサ770を備える。NOxサンプル弁765は、空気流767a及び767bからの空気サンプルを、NO−NOセンサ770へと提供するように動作可能である。空気流767a内のいかなるNOの存在も検出するために、NO−NOセンサ770を使用することによって、使用されているGENOカートリッジの故障の表示を提供することができ、それにより、第2のGENOカートリッジを使用することができる。いくつかの実施態様では、活性アルミナカートリッジ760を、GENOカートリッジで置換することができる。
【0047】
図8は、治療用ガスを送達するための、GENO高濃度NOカートリッジシステム800を示す。図6及び図7のそれぞれのシステム600又は700とは対照的に、システム800は、NOを発生するために使用されるNOの供給源として、高濃度NOカートリッジを備える。より詳細には、システム800は、小型のブタンタンク又はCOを送達するために従来使用されていたカートリッジなど、NOカートリッジ800を備える。システム800の一例では、1インチ×6インチの寸法を有し、CO中の5%のNOで充填されたNOカートリッジが、14日間NOを送達することができた。
【0048】
NO遮断弁821は、カートリッジ800からのNOの送達を遮断するために、カートリッジ800に隣接する。システム800はまた、流量制御装置822を出る、ほぼ一定流量の流れ825aを確実にするために、流量制御装置822を備える。流量制御装置822は、ガス流825aがそこを通過する小さい穴を有する、ガラス管である。システム800の様々な実施態様では、流量制御装置822は、1から10cc/分の一定流量を保証することができる。
【0049】
NOを有するガス流825aは、流れ制御装置822を出て、空気供給源830によって生み出される約5L/分の空気流825bと混合される。ガスミキサ835は、空気流825a及び825bが完全に(又は基本的に完全に)混合されることを確実にする。結果的に得られるNOを有する空気流825cは、NOを発生するGENOカートリッジ840に入る。
【0050】
システム800はまた、NOを含む治療用ガスが約5L/分の速度で患者へと送達される前に、いかなるNOも除去するために、活性アルミナカートリッジ860を備える。システム800は、NOxサンプル弁865、及び、NOを検出するように動作可能なNO−NOセンサ870を備える。いくつかの実施態様では、活性アルミナカートリッジ860を、GENOカートリッジで置換することができる。
【0051】
図9は、治療ガスを送達するための、GENO透過システム900を示す。システム900は、空気を加湿するように作用するGENOカートリッジ940内へと流れる、約5L/分の空気流952aを含む。GENOカートリッジ940を出た後、空気流925aは、空気流925bが透過装置935を通過し空気流925cが通過しないように、分岐する。透過装置935は、透過管機構937、及び、空気流925aが始まるときに約10ccの液体NO936を備える。透過装置935は、図2の透過セル235の一実施態様とすることができる。透過装置935は、所望の濃度のNOが空気流925b内へと拡散されることを確実にするために、一定又は基本的に一定の温度を維持するように、透過オーブン939内にある。空気流925b及び空気流925cは、GENOカートリッジ950に入る前に、流れ925dを形成するように混合される。GENOカートリッジ950はNOをNOに変換する。
【0052】
システム900はまた、活性アルミナカートリッジ960を備え、このカートリッジは、空気流925eを受け取り、NOを含む治療用ガスが約5L/分の速度で患者へと送達される前にいかなるNOをも除去する。活性アルミナカートリッジを出る空気流925fは、NO吸入治療のために、患者へと送達される。システム900は、NOxサンプル弁965、及びNOを検出するように動作可能なNO−NOセンサ970を備える。
【0053】
図10は、治療用ガスを送達するためのGENO透過システム1000を示す。図9のシステムとは対照的に、システム1000は、GENOカートリッジ1040及び1050のどちらが最初に空気流を受け取るかを制御するための、弁1010及び1015を備える。システム1000は、透過装置1035内の液体NOを、NOに変換するためのNO源として使用する。システム1000はまた、NOを含む治療用ガスが約5L/分の速度で患者へと送達される前に、いかなるNOをも除去するための活性化アルミナカートリッジ1060を備える。システム1000はまた、NOxサンプル弁1065、及びNOを検出するように動作可能なNO−NOセンサ1070を備える。
【0054】
システム1000は、弁1010内への約5L/分の空気流1025aを受け取り、弁1010は、弁1015と共に、空気流1025aがGENOカートリッジ1040及び1050のどちらを最初に通過するかを制御する。より具体的には、弁1010及び1015の位置を制御することによって、空気流1025aを、患者へと送達する前に、GENOカートリッジ1040、透過装置1025、GENOカートリッジ1050、次いで活性化アルミナカートリッジ1060を通過させることができる。弁1010及び1015の位置を操作することによって、空気流1025aをまた、患者へと送達する前に、GENOカートリッジ1050、透過装置1025、GENOカートリッジ1040、次いで活性化アルミナカートリッジ1060を通過させることができる。
【0055】
たとえば、NO−NOセンサ1070が空気流1025b内にNOの存在を検出すると、センサは、GENOカートリッジ1040及び1050を使用して切り替える命令を生じさせるために、弁1010及び1015を操作する必要があるという信号を送る。すなわち、たとえば空気流1025aが、GENOカートリッジ1050を通って流れる前にGENOカートリッジ1040を通って流れている場合、空気流1025aを、GENOカートリッジ1040を通して流す前にGENOカートリッジ1050を通して流すように、弁1010及び1015が操作される。
【0056】
図11は、NOをNOに変換する、GENOカートリッジ1100の概念設計を示す。GENOカートリッジ1100は、図1のカートリッジ100の一実施態様とすることができる。GENOカートリッジ1100は、長さ約6インチ、直径1インチである。GENOカートリッジ1100は、アスコルビン酸の水溶液で飽和されたシリカゲルを備え、NOを含有する空気又は酸素ガスボンベから空気流を受け取る。カートリッジ1100を通る空気流は、NOをNOに変換し、カートリッジ1100を出る。GENOカートリッジ1100は、5ppmから5000ppmのNO濃度で有効に機能する。GENOカートリッジ1100を用いるNOからNOへの変換は、熱源を必要とせず、周囲空気温度にて使用することができる。GENOカートリッジ1100を用いたNOからNOへの変換は、GENOカートリッジ1100を通る空気流の流量とほぼ無関係に生じる。
【0057】
図12は、治療用ガス送達システム1200を示し、この送達システム1200は、NOを含むガスボンベ1220、及びGENOカートリッジ1210を備え、GENOカートリッジ1210は、ガスボンベ1220からのNOをNO吸入治療のために患者へと送達するNOへと変換するための、図11のGENOカートリッジ1100の一実施態様とすることができる。システム1200は、携帯可能となるように設計される。いくつかの実施態様では、システム1200は、電子機器又はセンサを使用せずに動作するよう設計することができる。ガスボンベ1220の容量に応じて、システム1200は一般に、治療用NOガスを1から16時間送達する能力を有する。
システム1200は、治療用NOガスを患者へと緊急体制で送達するために用いることができる。そのような状況の例は、救急医療士、衛生兵又は野戦病院、及び、病院の救急治療室又は外傷センターによる使用を含む。
【0058】
図13Aは、液体NO供給源を備える治療用ガス送達システムの外観1300Aを示す。図13Bは、図13Aに示す治療用ガス送達システムの内部図1300Bを示す。治療用ガス送達システムは、液体NO供給源を有する透過管1310を備え、この透過管1310は、たとえば、図9の透過装置935の一実施態様とすることができる。治療用ガス送達システムはまた、GENOカートリッジ1340及び1350を備える。GENOカートリッジ1340は、空気又は酸素供給源からの空気流1325aを受け取る。GENOカートリッジ1340を出た後、空気流は、約10%の空気流が透過管1310を通って流れるように分流され、透過管1310によって気体状態のNOが空気流中に拡散される。透過管1310を出る空気流、及び透過管1310を通らなかったその他の空気流は、NOをNOに変換するGENOカートリッジ1350を通って流れる。GENOカートリッジ1350を出る空気流1325b及び1325cは、NO吸入治療のために患者へと送達される。透過管1310、並びにGENOカートリッジ1340及び1350は、使い捨てとすることができる。
【0059】
透過管1310の容量に応じて、図13A及び図13Bの治療用ガス送達システムは、1から30日間治療用NOガスを送達する能力を有することができる。
【0060】
図13A及び図13Bに示す治療用ガス送達システムは、ベンチレータと接続(interface)することができる。図13A及び図13Bに示す治療用ガス送達システムはまた、カニューレを使用して患者へと治療用NOガスを送達するために、用いることができる。治療用ガス送達システムをカニューレと共に使用することによって、病院環境以外でNO治療を行うことが可能になる。そのような例の1つは、患者の自宅で行われる長期のNO治療のために、治療用ガス送達システムを使用することである。
【0061】
図13Cは、図13A及び図13Bに示す治療用ガス送達システムの外観1300Aを、炭酸飲料の缶1350と比較して示す。図示のように、図13A〜図13Cに示す治療用ガス送達システムの実施態様は、従来のNO吸入治療システムに比べて小型の装置であり、炭酸飲料の缶よりもわずかに大きい。
【0062】
図14は、NOをNO吸入治療で使用するためのNOに変換するためにGENOカートリッジを使用する、治療用ガス送達システム1400の外観を示す。システム1400は、GENOカートリッジポート1410及び1415を備え、それを通してGENOカートリッジを挿入し又はアクセスさせることができる。システム1400は、空気又は酸素がそれを通ってシステム1400へと流入する入口ポート1420と、付属の計器1425とを備える。システム1400は、空気流を制御するための、フローバルブ1430及び表示器1435を備える。システム1400は、GENOカートリッジフローポート1440を備える。
【0063】
システム1400はまた、温度制御装置1445、及びNOx検出器アクセス1455によりアクセス可能なNOx検出器1450を備える。システム1400はまた、GENOカートリッジ1460を備え、このカートリッジ1460は、NOを有する空気流が出口1465を通りシステム1400を出る基本的には直前で、NOをNOに変換するために使用される。GENOカートリッジ1460は、安全スクラバーと呼ばれることがある。GENOカートリッジ1460は、システム1400内のどこかで使用されるGENOカートリッジよりも小さくすることができる。システム1400はまた、バックアップ入口ポート1470、及び排気ファン1475を備える。
【実施例】
【0064】
(実施例1)
長さ6インチ、直径1.5インチのカートリッジを、NO発生カートリッジとして使用した。約90gのメッシュサイズ35〜70のシリカゲルを、25%のアスコルビン酸溶液で浸し、カートリッジ内に配置する前に室温で2時間空気乾燥させた。NOの供給源ガスとして、NO透過管を使用した。空気ポンプから150cc/分の速度で、空気を透過管に流入させ、この空気がカートリッジを出た後に、(同様に空気ポンプからの)3L/分の周囲空気と混合させた。透過管を、32℃に温度設定されたオーブン内に配置して、カートリッジのために20ppmのNOの定常的な流れを提供した。カートリッジは、100%のNOをNOに変換することを止めるまで269時間持続し、破過点に到達した。
【0065】
(実施例2)
2つのカートリッジをそれぞれ、メッシュサイズ35〜70のシリカゲル、及び約40gのシリカゲルを用いて充填した。シリカゲルを、25%のアスコルビン酸溶液が完全に浸透するまで浸すことによって調製し、次いでオーブン内で1時間、240°F(約115.6℃)で乾燥させた。アスコルビン酸溶液は、25gのアスコルビン酸を100mlの脱イオン水中に混合することによって調整した。
【0066】
1000ppmのNOタンクを使用して、NOを、2つのGENOカートリッジを通して150cc/分の速度で流した。2つのカートリッジを直列に配置した。NOが第1のカートリッジを通過し、NOに変換された後に、空気タンクからの周囲空気を混入させた。次いでNOを含有する空気を、直列の第2のカートリッジを通過させた。空気を3L/分の速度でカートリッジを通過させて、全体で空気内に40ppmのNOを有し、NOの逆反応が起こらない混合物を作り出した。
【0067】
2つのカートリッジは、100%のNOを、104時間にわたり変換した。104時間が経過したとき、NOタンクが空になったため実験を停止した。2つのカートリッジは、104時間後も破過点に到達していなかった。
シリカゲルからの水/アスコルビン酸溶液の滴下をなくすために、シリカゲルを窒素ガスなどのガスを用いて乾燥させることによって、実験結果を改善することができる。
【0068】
(実施例3)
長さ6インチ直径1.5インチのプラスチックPVCカートリッジを、NO発生カートリッジとして使用した。カートリッジの内側に、アスコルビン酸−シリカ混合物を充填した。アスコルビン酸とシリカの混合物を作り出すために、メッシュサイズ35〜70を約108g使用した。シリカゲルを25%のアスコルビン酸溶液に浸し、次いでオーブン内で1時間を超えて240°F(約115.6℃)で焼成した。25gのアスコルビン酸を100mlの脱イオン水に溶解させることによって、アスコルビン酸溶液を調製した。
【0069】
1000ppmのNOが150cc/分の速度でカートリッジを通って流れるように、1000ppmのNOタンクを、カートリッジの一端に取り付けた。次いでカートリッジのガスアウトプットを、3L/分の速度で流される空気ポンプを用いて空気と混合させて、全体で空気中に40ppmのNOを含む混合物を作り出した。このカートリッジは、破過点に到達する前に、合計で122時間持続した。
【0070】
NOx検出器は、0.15ppmから0.25ppmの間で変わるわずかなNO濃度を検出した。このNO濃度は、破過点まで定常的であり続け、検出されたNO濃度は、カートリッジの効率性が100%に満たないことによるものではなく、むしろカートリッジ以後に管機構内で再び生み出されたNOであるという可能性が高まった。少量のNOの逆反応をなくすために、第2のより小さいカートリッジを、検出器より前に配置することができる。
【0071】
(実施例4)
メッシュサイズ35〜70のシリカゲルを25%のアスコルビン酸に浸すことによってカートリッジを調製し、約1時間自然乾燥させた。透過管をNOの供給源とし、KinTekオーブンを使用して、必要とされるNOのレベルを40ppmへと上昇させた。この濃度を達成するために、オーブンを45℃に設定した。空気ポンプを使用して、空気を200cc/分の速度で透過管へと送達した。また空気ポンプを使用して、希釈空気を3L/分の速度で提供した。NOの供給に湿度を加えるために、水で満たした2つのジャーを、空気が透過管に入るより前に200cc/分の空気に取り付けた。これは、NO供給源に入る空気が水分を多く含み、従ってカートリッジに入るNOもまた水分を多く含むことを確実にするのに役立った。ほぼ5日間ごとに、第1のジャー内の水が管機構の端部より下に低下し、水位を管端部の底部より上とするように補充が必要となった。第2のジャーは、実験の間ずっと操作されることがなかった。カートリッジは、100%のNOをNOに変換することを止めるまで409時間持続し、破過点に到達した。
【0072】
(実施例5)
長さ6インチ及び直径1.5インチのカートリッジを、メッシュサイズ35〜70ののシリカゲル108gを用いて調製した。シリカゲルを、25%のアスコルビン酸溶液に浸し、室温(約70°F(約21℃))で約2時間乾燥させた。空気乾燥されたシリカゲルを、カートリッジの内側に配置した。
【0073】
40ppmのNOの流れを、3.2L/分の速度でシリカ−アスコルビン酸カートリッジを通して送った。カートリッジは、100%のNOをNOに変換することを止めるまで299時間持続し、破過点に到達した。空気乾燥されたシリカゲルで充填されたカートリッジは、オーブン乾燥されたシリカゲルで充填された比較できるカートリッジと比べてより長く持続した。これは、空気が存在するところでアスコルビン酸を加熱することによる、酸化損失を示す。
【0074】
(実施例6)
メッシュサイズ35〜70のシリカゲル40gを、33%のアスコルビン酸溶液に浸し、カートリッジ内に配置する前に、オーブン内で240°F(約115.6℃)で乾燥させた。空気ポンプを通る流量3L/分の周囲空気を、タンクから流量200cc/分の1000ppmのNOと混合させ、それによって、3.2L/分の総流量、及び全体で60ppmのNOを含むNO/空気混合物を作り出した。カートリッジは、その100%の変換能力を失うまで、25時間持続した。これは、カートリッジ内で使用するシリカゲル/アスコルビン酸を少なくすると、カートリッジが同じ時間は持続しないことを示す。
【0075】
NOがその中でNOへと定量的に変換されるNO発生カートリッジを使用することは、治療用ガス送達に限定されず、多くの分野に適用することができる。たとえば、NO発生カートリッジは、空気汚染監視装置内に含めることができる。より具体的には、NO発生カートリッジはまた、空気汚染計器での空気中のNOガス測定において今日広く使用される高温触媒変換装置から切り替えるために、使用することができる。従来の触媒変換装置は、かなりの電力を消費し、触媒変換装置を、NO発生カートリッジを使用する装置に交換することによって、空気汚染計器を単純化することができ、また、コストの低減、重量の低減、携帯式空気汚染監視機器を可能にすることができる。
その他の実施態様は、添付の特許請求の範囲の範囲内に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】NOをNOに変換するカートリッジを示すブロック図である。
【図2】図1のカートリッジを使用するNO送達システムを示すブロック図である。
【図3】図1のカートリッジを使用するNO送達システムを示すブロック図である。
【図4】図1のカートリッジを使用するNO送達システムを示すブロック図である。
【図5】図1のカートリッジを使用するNO送達システムを示すブロック図である。
【図6】図1のカートリッジを使用するNO送達システムを示すブロック図である。
【図7】図1のカートリッジを使用するNO送達システムを示すブロック図である。
【図8】図1のカートリッジを使用するNO送達システムを示すブロック図である。
【図9】図1のカートリッジを使用するNO送達システムを示すブロック図である。
【図10】図1のカートリッジを使用するNO送達システムを示すブロック図である。
【図11】NOをNOに変換する別のカートリッジを示す図である。
【図12】図11のカートリッジを使用するNO送達システムを示す図である。
【図13】図11のカートリッジを使用するNO送達システムを示す図である。
【図14】図11のカートリッジを使用するNO送達システムを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化窒素を酸化窒素に変換するための装置であって、入口と、出口と、酸化防止剤の水溶液で被覆された表面活性材料とを有する容器を備え、前記入口がガス流を受け取り、前記ガス流を前記表面活性材料を通して前記出口へと流体連通させ、その結果前記ガス流中の二酸化窒素が酸化窒素へと変換されるように構成される、前記装置。
【請求項2】
前記表面活性材料が、前記酸化防止剤の前記水溶液で浸透される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記表面活性材料が、水分を保持する基質を含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記表面活性材料が、シリカゲルを含む、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記シリカゲルが、35から70のメッシュサイズである、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記容器が、カートリッジを含む、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記酸化防止剤が、アスコルビン酸を含む、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記容器が、周囲温度にある、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記表面活性材料が、アスコルビン酸の水溶液を用いて調製される、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記表面活性材料が、20%のアスコルビン酸水溶液を使用して調製される、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記表面活性材料が、25%のアスコルビン酸水溶液を使用して調製される、請求項9記載の装置。
【請求項12】
前記表面活性材料が、30%のアスコルビン酸水溶液を使用して調製される、請求項9記載の装置。
【請求項13】
前記表面活性材料が、前記表面活性材料をアスコルビン酸の水溶液に浸し、前記表面活性材料を前記容器内に挿入する前に前記表面活性材料を空気乾燥させることによって調製される、請求項1記載の装置。
【請求項14】
前記表面活性材料が、前記表面活性材料をアスコルビン酸の水溶液に浸し、前記表面活性材料を容器内に挿入する前に、ガスを用いて前記表面活性材料を乾燥させることによって調製される、請求項1記載の装置。
【請求項15】
前記酸化防止剤が、αトコフェロール又はγトコフェロールを含む、請求項1記載の装置。
【請求項16】
前記容器が、前記入口及び前記出口の両方に隣接する、スクリーン及びグラスウールを備える、請求項1記載の装置。
【請求項17】
前記スクリーン及びグラスウールが、前記容器に挿入される前に前記酸化防止剤の前記水溶液に浸される、請求項1記載の装置。
【請求項18】
哺乳動物への治療用ガスの送達に使用される、酸化窒素を含む前記治療用ガスを発生するための装置であって、
液体二酸化窒素を有し、気体状の二酸化窒素を空気流中へと拡散することができる透過セルと、
入口、出口、及び酸化防止剤の水溶液で被覆された表面活性材料を備える容器であって、前記入口が、前記透過セルからの前記空気流を受け取り、ために、前記空気流を、前記表面活性材料を通して前記出口へと流体連通させて、前記気体状の二酸化窒素を周囲温度にて酸化窒素に変換するように構成される前記容器とを備える、前記装置。
【請求項19】
前記表面活性材料が、前記酸化防止剤の前記水溶液で浸透される、請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記表面活性材料が、水分を保持する基質を含む、請求項18記載の装置。
【請求項21】
前記表面活性材料が、シリカゲルを含む、請求項18記載の装置。
【請求項22】
空気流を生み出すことができる空気ポンプをさらに備え、前記透過セルが、前記空気によって生み出される前記空気流を受け取るように構成される、請求項18記載の装置。
【請求項23】
前記空気ポンプが携帯可能である、請求項22記載の装置。
【請求項24】
空気流中に酸素を供給することができる酸素富化装置をさらに備え、
前記透過セルが、前記酸素富化装置によって富化された前記空気流を受け取るように構成される、請求項18記載の装置。
【請求項25】
前記容器が、カートリッジを含む、請求項18記載の装置。
【請求項26】
前記酸化防止剤が、アスコルビン酸を含む、請求項18記載の装置。
【請求項27】
前記酸化防止剤が、αトコフェロール又はγトコフェロールを含む、請求項18記載の装置。
【請求項28】
前記容器が第1の容器であり、前記装置が、第2の入口と、第2の出口と、酸化防止剤の水溶液で被覆された第2の表面活性材料とを備える第2の容器をさらに備え、このとき前記第2の入口が前記第1の容器からの前記空気流を受け取り、前記空気流を前記第2の表面活性材料を通して前記第2の出口へと流体連通させて、前記気体状の二酸化窒素を周囲温度にて酸化窒素に変換するように構成される、請求項18記載の装置。
【請求項29】
前記哺乳動物が呼吸をするとき膨張及び収縮するように動作可能な、可撓性バッグをさらに備え、
このとき前記第2の容器が、前記可撓性バッグと、前記酸化窒素を有する前記空気流が前記哺乳動物へと送達される地点との間に配置される、請求項28記載の装置。
【請求項30】
前記容器が、第1の容器であり、前記容器がさらに、第2の入口と、第2の出口と、活性アルミナとを備える第2の容器を備え、前記第2の入口は、前記第1の容器からの前記空気流を受け取り、前記空気流を前記活性アルミナを通して前記第2の出口へと流体連通させて、前記気体状の二酸化窒素を周囲温度にて捕獲するように構成された、請求項18記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13AB】
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【図13C】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−510675(P2008−510675A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527997(P2007−527997)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/029344
【国際公開番号】WO2006/023616
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(507044619)ゲノ エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】