説明

二重インサートを有するグリッパ

【課題】タフティングの針とタフティンググリッパは針との接触点で摩耗が発生しやすい。
【解決手段】タフティング針との接触点でのタフティング・グリッパ16の摩耗を減少または防止するために、耐磨耗性の切断インサート27に加え、追加のインサート28が備えられる。当該追加のインサートは、タフティング針と相互に作用することを目的とする。当該追加のインサートは、タフティング針とともに、最適な滑りの組合せを構成する材料から成る。追加のインサートは、柔らかい針を保護するインサートであるのが好ましい。切断インサートは、硬質の耐磨耗性インサートであるのが好ましい。2つのインサートは、異なるくぼみに別々に、または1つのくぼみ31に一緒に収容され得る。それらは、互いに結合されてもよく、または一体で作成されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタフティング機のための、特にカット・パイルを有する製品の製造のための、タフティング・グリッパに関する。
【背景技術】
【0002】
カット・パイルを備えた製品、例えばカーペットは、通常は複数のグリッパを有するグリッパ装置を備えたタフティング機で製作される。グリッパには切断ナイフが付属する。この装置は、例えば特許文献1から知られている。その文献に見られるように、グリッパは、バッキング材料を通してパイル糸を打ち込むシンカの針と相互に作用する。結果として生じるループは、切断エッジを備えたグリッパによって取り込まれる。各グリッパは、それぞれのグリッパによって取り込まれたループを切断するために設けられた、切断ナイフを付属する。
【0003】
文献2も同様な装置を開示する。この場合に於いても、グリッパの各々は、切断ナイフに対し、対ナイフ(被切断)要素として働き、切断エッジを有する本体を有する。
【0004】
さらにまた、硬質金属のインサート(差し込み)により、グリッパに切断エッジを構成することは知られており、当該インサートは、グリッパ本体のくぼみに挿入される。これに関しては、特許文献3を参照されたい。この文献は、硬質金属の本体が、くぼみエッジの塑性変形により、くぼみにぴったり嵌め合う形で固定されることを示唆している。その際、グリッパ本体の柔軟な横方向の変形から、硬質金属のインサートがある程度離脱する。
【0005】
タフティング装置の動作中は、パイル糸ループを取り込むために設けられたグリッパは、タフティング針に添ってなぞる動作をする。これは、結果としてタフティング針を損傷することになり得る。例えば、タフティング針の目(アイ)がグリッパの硬質金属インサートをなぞると、鋭いエッジが目に構成され、そしてこの結果、パイル糸の個々のフィラメントが損傷を受け得る。また、グリッパ本体と針との間の接触点でのタフティング・グリッパへの損傷は避け難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1826306号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1826307号明細書
【特許文献3】欧州特許第1953290号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上に鑑み、タフティング装置の使用寿命が改良され得る思想概念を提案することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1のタフティング・グリッパにより達成される。
【0009】
本発明のタフティング・グリッパは、硬質材表面を有する切断インサートと、硬質材表面とは異なる表面を有する追加のインサートとを備えたグリッパ本体からなる。硬質材表面を有する切断インサートは、好ましくは直線か、湾曲するか、回旋状か、階段状かあるいは歯のついた切断エッジであり、そして、付随する切断ナイフと相互に作用するように、グリッパ本体に設けられるのが好ましい。切断インサートは、例えば硬質金属体、セラミック体、硬質材の層を備えた鋼製本体、その他の形式の本体等の、堅固な本体であるのが好ましい。この場合、切断インサートは、適当なくぼみ、すなわちグリッパ本体の凹所に挿入され、当該くぼみに固定される。あるいは、切断インサートは、グリッパ本体と全く一体として構成されてもよいが、その場合でも、例えば、グリッパ本体にコーティングされた領域の形で、硬質材表面が当該切断インサートに定められる。硬質材表面は、硬質金属インサートの表面、例えば、それぞれの本体にPVDまたはDVD工程により付加された、タングステンカーバイド面、セラミック・インサートの表面、あるいは他の方法によってコーティングされる他の層、例えば、DLC層、スズ(TiN)の層、TiC層、AL層等のような層でよい。切断ナイフおよび切断されるパイル糸の材料からみて、このような層は可能な限り最高の耐摩耗性を示すよう構成される。
【0010】
本発明の追加のインサートは異なる表面を有し、グリッパ本体のタフティング針が接触する位置に配置されるのが好ましい。このインサートは、タフティング針と当該追加のインサートとが互いに接触するときに、タフティング針に損傷を与えない表面を有するのが好ましい。特に表面は優れた滑り特性を示す。例えば、追加のインサートは軟質金属または非金属、例えば低い摩擦係数を示すセラミック材料から、またはインサートの表面とタフティング針との間の低い摩擦係数および低い摩耗作用を確保できるコーティングを有する金属から、なることができる。例えば、表面は炭素窒化コーティングまたはセラミックコーティングでもよい。このコーティングは直接グリッパ本体に付加してもよく、そうすれば、追加のインサートおよびグリッパ本体は最終的には一体成形部品として見られ得る。
【0011】
切断インサートおよび追加の鋭利なインサートは、グリッパ本体のくぼみに配置され、当該くぼみに固定されなければならない。固定するためには、それぞれの切断インサートは、ぴたりとした嵌め合いおよび/または材料接合により、グリッパ本体と接続されなければならない。切断インサートおよび/または他のインサートは、はんだ付け、接着、溶接(例えば、くぼみの縁にスポットあるいはシーム溶接を施すこと)によりグリッパ本体に接合され、および/または、それぞれのインサートを収容するくぼみの縁の塑性変形により、所定の位置に固定されるのが好ましい。加えて、一以上のバネ手段をグリッパ本体に備えてもよく、当該ばね手段は、切断インサートおよび/または他のインサートをそれらの所望の位置、好ましくはグリッパ先端の方へ、押し動かし、それにより所望の位置に当該切断インサートを固定する。これは、それぞれのインサートとグリッパ本体との間の材料接合接続、例えば硬ろうまたは他の、例えば、可撓性の、結合材料の使用によるもの、により補強され得る。グリッパ本体に設けられたバネ手段が概ね機能したとき、インサートは正しい位置関係にある。
【0012】
2つのインサート(切断インサートおよび追加のインサート)は、別々のくぼみにも、共有のくぼみにも収容され得る。くぼみは、グリッパ本体のカット部分(切り取り)として構成されてもよく、従ってグリッパ本体の両方の平坦な側へ開いていてもよい。2つのインサートは、このカット部分またはくぼみで、互いに平らに重なるように配置されてもよく、グリッパ本体と結合されてもよい。2つのインサートは、互いに、例えば材料接合により、結合されてもよい。互いにはんだ付けされ、接着されあるいは溶接されてもよい。それらは、異なる材料から成るかまたは少なくとも異なる表面を有する。それらは、同じ母材から成ってもよくて、互いに離れた側の2つの側面に異なるコーティングを設けただけでもよい。単一の担体に2つのコーティングを設けることも可能である。
【0013】
切断インサートおよび追加のインサートが、上述した方法の少なくとも1により結合されているか、または互いと組み合わされているときは、組み合わせユニットが構成されており、当該ユニットは硬質材表面と、その硬質材表面とは異なる表面とを有する。組み合わされたインサートは、前述の方法のいずれかでグリッパ本体に結合され得る。
【0014】
管理された品質をもつ材料接合接続を達成するために、あらかじめ特定された接合厚みを接合個所に保持することが望ましく、当該接合個所は、接着剤または硬ろう(または他の接合材料)で満たされる。そのために、スペーサ手段が、それぞれのインサート(切断インサートおよび/または他のいかなるインサートおよび/または組み合わせユニット)に備えられていてもよい。このようなスペーサ手段は、例えば、インサートの外周の1以上の適切な場所に配置される突出部であり、例えば、インサートの縁より高い高さの小さなリブまたはノブである。この場合、それぞれの突出部の高さは、接合個所の所望の厚みに対応する。
【0015】
本発明の有利な実施態様のさらなる詳細は、図面、明細書の記載または請求項の要旨である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】タフティング・グリッパ、タフティング針およびタフティング・ナイフを備えたタフティング・システムの図。
【図2】図1のタフティング・グリッパの斜視図。
【図3】図1および図2のタフティング・グリッパの別の斜視図。
【図4】図3のタフティング・グリッパの、線IV−IVに沿った断面の、詳細を示す図。
【図5】図1〜図3のグリッパにならって作られた、タフティング・グリッパの実施態様の変形例の垂直な断面の、図4に対応する図。
【図6】タフティング・グリッパのさらに変形された実施態様の、図4または図5に対応する断面図。
【図7】図1〜図4のタフティング・グリッパのためのインサートの側面図。
【図8】本発明のタフティング・グリッパの変形された実施態様の図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1はタフト製品11の製造のために使われるタフティング装置10を示す。このような製品は、例えばカットパイル・カーペットである。これは図1に破線で示したような、平らで、平面の、例えば布地などの、バッキング材12を有する。このバッキング材料は、最初にループ14を形成するために、バッキング材料12を通して打ち込まれるパイル糸13を備える。工程が進むに従い、これらはオープンループを形成するために切り開かれ、そしてこのようにしてカット・パイル15が形成される。これは、切断ナイフ17が付属したタフティング・グリッパ16により達成される。多数のタフティング・グリッパ16がシンカに交互に配置され、シンカは所望の作業動作をタフティング・グリッパ16に伝える。対応する数の切断ナイフ17もシンカに配置され、シンカは切断動作のためグリッパ16に向かう動作を行う。
【0018】
グリッパ16によって取り込まれるループ14を製作するために、すなわち、バッキング材料12を通してパイル糸13を打ち込むために、タフティング針18が用いられ、当該針の各々は、その目を通して移動する専用のパイル糸13を有する。タフティング針18および切断ナイフ17は、それ自体は知られている構成を有する。タフティング・グリッパ16は、従来設計されたタフティング・グリッパのように差し込まれ得るが、本グリッパは、使用寿命、特にタフティング針18の使用寿命を改善するために、本発明により改良されている。
【0019】
本発明のタフティング・グリッパ16は、特に、図2および3に示されような、グリッパ本体19を備える。グリッパ本体19は、平坦な構成部品として構成され、2つの平坦な側20、21を有する。これらは必ずしも平面である必要はないが、平面領域を有してもよい。隣接するグリッパ16の平坦な側20、21は、それらの間に、タフティング針18および切断ナイフ17のためと同様に、ループ14およびカット・パイル15のレッグ(足)のための、細い、スリット状の通路を定める。特に、密度の高いパイルについては、これらの通路は比較的隙間がない。当然ながら、タフティング針18は、したがってグリッパ16と接触する。同様に切断ナイフ17は、少なくともループ14が切られている間は、グリッパ16と接触する。
【0020】
図1に示すように、グリッパ16の本体19は、タフティング針18の方へ、また同様に底面部24へ伸びる、細長い把持フィンガ22を備える。把持フィンガ22は、その自由端に、バッキング材料12から離れて曲げられたキャッチ23を有してもよく、当該キャッチはフックを構成する。フィンガ22は、グリッパ16の本体19のキャッチ23と底面部24との間が、直線である。図1に示されるように、フィンガ22はループ14を取り込むために設けられる。そのために、当該フィンガは、その低い側に直線のエッジ25を有する。このエッジは、すなわち、少なくともグリッパ本体19の一方の側で、切断エッジ26として作用する。
【0021】
切断エッジ26は、1つの切断インサート27に備えられ、そして、少なくとも本実施例では、底面部24からキャッチ23までフィンガ22の全ての長さに沿って、必ずしもこうでなくても良いが、伸びている。切断インサート27に隣接して配置されているのは追加のインサート28で、本実施例では、切断インサート27と同じ輪郭を有し、平面29で当該インサートに対して当接している。切断インサート27がタフティング・グリッパ16の平坦な側21に隣接する(図3)一方、他のインサート28は段差やオフセットなく平坦な側20に隣接する(図2)。
【0022】
切断インサート27および追加のインサート28は、平面29で互いに、例えば接着剤あるいははんだ(ソルダ)によって、接続され、そして、特に図4から明らかなように、それによりユニット30を構成する。例えばレーザ・スポットまたはレーザ・シームのような他の接合技術を、表面29の端に使用できる。
【0023】
ユニット30は、したがって切断インサート27および追加のインサート28も同様に、グリッパ本体19に構成されるくぼみ31に位置しており、そして底面部24からキャッチ23へ延びる。図2および図3から明らかなように、くぼみ31はグリッパ本体19の両方の平坦な側20、21へ開いている。2つのインサート27、28からなるユニット30は、材料接合(material bonding)により固定され得る。例えばはんだが材料接合接続のために用いられてもよく、当該はんだはユニット30をグリッパ本体19に、すなわち、くぼみ31の縁に沿ってはんだ付けするために用いられる。
【0024】
切断インサート27は硬質材表面32を有する。例えば、切断インサート27が硬質材から成る場合、表面32はそのような材料からなる表面でよい。このような材料は、焼入鋼、例えばタングステンカーバイド、サーメットまたはセラミックのような硬質金属であり得る。第1の硬質材の切断インサート27と第2の硬質材の硬質材表面32を作成することも可能である。例えば、切断インサート27はタングステンカーバイドからなり、そして硬質材表面32は窒化チタン、アルミナ他の硬質材から、または各種の硬質材の層構成から、なってもよい。
【0025】
硬質の材料表面32は、少なくとも切断エッジ26まで延び、当該切断エッジを切断インサート27の狭い下側33まで取り囲むのが好ましい(図4)。
【0026】
追加のインサート28は、切断インサート27とは別の材料から成るのが好ましい。これは、低い摩擦係数を有する材料が好ましい。平坦な側20に隣接して、インサート28は、硬質材表面32と明確に異なる表面34を有する。特に、表面34は、タフティング針18との接触に関しては低い摩滅作用を呈する。例えば、追加のインサート28は、非常の潤滑性能を示す、例えば、炭素含有金属構造、スズ含有金属構造等の材料からなってもよい。表面34は低い摩擦係数と極小の粗さ高さを有するセラミック表面でもよい。
【0027】
簡潔には、これまでに説明したタフティング装置10は、以下のように作動する。
【0028】
動作中、シンカに保持された複数のタフティング針18は、バッキング材料12を通してパイル糸13を打ち込み、ループを形成する。これらのループは、当該グリッパの相対的な動作のため、シンカで支えられた複数のタフティング・グリッパ16により把持されるので、図1から明らかなように、ループ14はフィンガ22によって取り込まれ得る。運転サイクルの間、シンカバーに保持される複数のナイフ17は、取り込まれたループ14の方向に押し出して、複数のタフティング・グリッパ16の切断エッジ26上でそれらを分離するので、カット・パイル15が形成される。
【0029】
この工程の間、切断ナイフ17は、切断インサート27と接触し、当該インサートの硬質材表面32に沿って滑る。摩耗は最小限である。
【0030】
タフティング針18は、タフティング・グリッパ16と接触する。特に、その際、タフティング針18は、追加のインサート28に沿って滑る。インサート28の最小の摩耗作用、例えば、当該インサートの硬度および/または平滑性および/または柔らかさおよび/または非常の潤滑性能のため、針の摩耗は、無視できるほど小さい。特に、場合によってはパイル糸13への損傷に至り得る、針の目(アイ)の縁を部分的にとがらせることが防止される。
【0031】
タフティング・グリッパ16の数多くの変形が可能である。例えば、図5に示されるように、切断インサート27と追加のインサート28とは、別々のインサートとして構成され得る。この場合、くぼみ31はタフティング・グリッパ16の全厚みを通しては延びていない。むしろ、当該くぼみは、くぼみ31を2つの個別のくぼみ36、37に分ける、底部35を有する。くぼみ36、37は、同じ輪郭かまたは異なる輪郭を有することができる。それらは、別の側の方へ開いている。個別のくぼみ36が平坦な側21に接する一方、個別のくぼみ37は平坦な側20に接する。また、この実施例では、切断インサート27および追加のインサート28は、材料接合、例えば、接着またはんだ付けにより、くぼみ36、37に固定され得る。
【0032】
さらにまた、図6に示されるように、両方のインサート27、28から成る複合ユニット30は、基体38を共有することがあり得る。当該基体は、一方の側に、薄いプレートまたは、硬質材表面32である層39をも備えていてもよい。硬質材表面32は、順に、オフセットのないそして隙間のないように、平坦な側21に隣接する。タフティング・グリッパ16の他の側にある表面34は、薄い層またはプレート40の形で基体38に付加され得る、別の材料から成るのが好ましい。このプレートまたは層40は、特に側面の表面34の形で、それゆえタフティング針18のための滑り面を形成する。前述の接続技術の各々が、くぼみ31へ図6のユニット30を固定するために使われ得る。図4または図6の切断インサート27、追加のインサート28および/またはユニット30は、図7の側面図を有することができる。くぼみ31(36または37)の壁に面するそれぞれのインサートの外周は、スペーサ手段41を備えていてもよい。このようなスペーサ手段は、ユニット30の外周とくぼみ31の縁との間に形成される所望の接合個所の厚みに対応する高さの、例えば、ノブのような、あるいはリブのような突出部42、43である。この高さは、1ミリメートルの1/10の数倍が好ましい。これは、例えば、定められた厚みの硬質のはんだ接続を製作するために、そしてまた、それぞれのインサート27またはそれぞれのユニット30を、くぼみ31に極めて正確に位置決めするために設けられる。
【0033】
図8は、タフティング・グリッパ44の形により示される本発明の他の実施態様を示す。このグリッパは細長いフィンガ22を備える。例えばキャッチ23は、省略されてもよい。切断インサート27および追加のインサート28は、くぼみ31の組み合わせユニットとして設けられるとみなされる。その先端の端部には、くぼみ31はぴったりとした嵌め合い構造45を有し、当該構造は、ユニット30が当該嵌め合い構造45に押し付けられたとき、くぼみ31にユニット30を固定する。例えば、くぼみ31の縁は、その先端側の端部に円弧形状を有する。くぼみ31の縁は、フック状にインサートまたはユニット30を囲み、したがって、垂直方向に嵌め合うように当該インサートを固定する。平坦な側20から平坦な側21まで、くぼみ31のエッジは横断方向において直線でもよい。あるいは、ユニット30の横方向の位置がぴったりと嵌め合うようにするためにも、嵌め合い構造45は、タフティング・グリッパ45の横断方向において、丸みをつけるかまたは角のある形状を有してもよい。
【0034】
ばね手段46が、くぼみ31の対向する端部に配置され、当該ばね手段は、嵌め合い構造45に関してユニット30を付勢する。ばね手段46は、例えば、タフティング・グリッパ44の本体に設けられた、解放されたばねタブ47である。ばね手段46により印加されるばね力の結果として、ユニット30は、スプリング作動で、非能動(non-positive)な方法で位置決めされる。この結果として、タフティング・グリッパ44の本体19からインサートまたはユニット30への移行部の隙間は、できる限り小さくなる。ユニット30が材料接合の方法でタフティング・グリッパ44に接続されるときは、インサートまたはユニット30の厳密な位置決めが達成される。この位置は、インサートまたはユニット30の側面の表面とタフティング・グリッパ44の平坦な側との間に生じる移行部の品質にとって決定的である。はんだ付け作業の間のユニット30の正確な非能動(non-positive)な固定により、はんだが凝固するか接着剤が硬くなるときの側面から作用する力は、固定に対して悪い影響を及ぼさない。
【0035】
すべての上述した実施態様において、ばね手段46によるばね力によってインサートを固定するこの方法は、切断インサート27および追加のインサート28へと同様に、ユニット30に、すなわち、スペーサ手段41のない態様にと同様にスペーサ手段41を備えている態様に、別々に適用してもよい。
【0036】
タフティング針18との接触点でのタフティング・グリッパ16の摩耗を減少または防止するために、耐磨耗性の切断インサート27に加え、追加のインサート28が備えられる。当該追加のインサート28は、タフティング針18と相互に作用することを目的とする。当該追加のインサートは、タフティング針18とともに、最適な滑りの組合せを構成する材料から成る。追加のインサート28は、柔らかい針を保護するインサートであるのが好ましい。切断インサート27は、硬質の耐磨耗性インサートであるのが好ましい。2つのインサート27、28は、異なるくぼみ36、37に別々に、または1つのくぼみ31に一緒に収容され得る。それらは、互いに結合されてもよく、または一体で作成されてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 タフティング装置
11 製品
12 バッキング材
13 パイル糸
14 ループ
15 カット・パイル
16 タフティング・グリッパ
17 切断ナイフ
18 タフティング針
19 タフティング・グリッパの本体
20 平坦な側
21 平坦な側
22 把持フィンガ(指状突起)
23 キャッチ
24 タフティング・グリッパ19の本体底面部
25 フィンガ22の下部エッジ
26 切断インサート27の切断エッジ
27 切断インサート
28 追加のインサート
29 インサート27、28間の平面
30 切断インサート27および追加のインサート28からなるユニット
31 くぼみ
32 切断インサート27の硬質材の表面
33 切断インサート27の狭い(下)側
34 追加インサート28の側面の表面
35 くぼみ36、37の底部
36 切断インサート27のための個別のくぼみ
37 追加インサート28のための個別のくぼみ
38 インサート27、28のための共通の基体
39 硬質材表面32を有するプレートまたは層
40 滑り面を有するプレートまたは層
41 スペーサ手段
42 ノブ
43 ノブ
44 タフティング・グリッパ
45 嵌め合い構造
46 ばね手段
47 ばねタブ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリッパ本体(19)と、
硬質材表面(32)を有する切断インサート(27)と、
表面(34)を有する追加のインサート(28)であって、当該表面は当該硬質材表面(32)とは異なるものと
からなるタフティング機のためのタフティング・グリッパ(16、44)。
【請求項2】
前記切断インサート(27)は、切断エッジ(26)を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項3】
前記切断インサート(27)は、前記グリッパ本体(19)のくぼみ(31、36)に挿入され、固定される、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項4】
前記追加のインサート(28)は、前記表面(34)を有し、当該表面は、前記切断インサート(27)の前記硬質材表面(32)とは異なる滑り特性を示す材料からなる、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項5】
前記追加のインサート(28)は、前記グリッパ本体(19)のくぼみ(31、37)に挿入され、固定される、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項6】
前記切断インサート(27)および前記追加のインサート(28)は、互いにしっかりと接続され、組み合わせユニット(30)を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項7】
前記切断インサート(27)は前記グリッパ本体(19)の一方側(21)に配置され、前記他のインサート(28)は前記グリッパ本体(19)の他方の側(20)に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項8】
前記切断インサート(27)および/または前記追加のインサート(28)は、材料接合により前記グリッパ本体(19)と接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項9】
スペーサ手段(41)が、前記材料接合の接続のための最小の接合個所厚を確実にするため、前記切断インサート(27)におよび/または前記追加のインサート(28)に備えられている、ことを特徴とする請求項8に記載のタフティング・グリッパ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−31561(P2012−31561A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−164861(P2011−164861)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)