説明

二重流れ設備の二方向空気流分離器、二方向二重空気流設備、及びこの二方向二重空気流設備を取り付ける方法

【課題】建物の外部に空気入口と出口のある、流体の再循環を回避する外部流れ分離器を提供する。
【解決手段】建物の内部と外部との間の境界面に配置される熱設備のための二方向空気流分離器は、ハウジング210を備え、ハウジングは、内部設備に接続されることが意図される主開口220と、主開口とは別個の少なくとも2つの外部二次開口230,240と、主開口の一次通路224からそれぞれ外部二次開口に向かって2つの末広がり流路280、290を画定するようにする少なくとも2つのデフレクター260、270を有する、流れを分離する手段250とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に建物のための空気流分離器の分野に関する。より正確には、本発明は、建物の外部に空気入口及び空気出口を有する二重流れ空気用組立体に関する。これらの組立体は、建物の内部と外部との間の境界面に配置されることが意図される空気流分離器に関連付けられる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に、外気熱力学的組立体及び制御式機械換気システムに適用する。
【0003】
従来技術の公知の組立体を概略的に示す図1を参照すると、熱力学的機械1、特にヒートポンプを備える熱力学的機械は、一般的に室内に取り付けられ、空気入口2及び空気出口5を備えている。この空気入口2及び空気出口5は一般的に、建物の外部の空気と連通するために、建物の壁に設けられた各開口4,7に導管3,6を介して、それぞれが関連付けられている。
【0004】
この解決手段は特に、壁内に2つの開口4,7が必要なことにより、設備の実装を、費用がかかり複雑なものにする点で不評である。さらに、空気入口と空気出口との間での空気の再循環を、部分的なものでさえも回避するために、開口4と開口7との間の間隔に関する制約があり、このような再循環が生じた場合、熱力学的機械の効率が低下するか(例えば、暖房モードで稼働するヒートポンプの場合、低温の排出空気が流入空気と再循環するため)、又は制御式機械換気設備の機能が不十分になる。
【0005】
従来技術は特に、空気に影響する熱機械、例えばヒートポンプを対象とした、2つの空気流の分離に関する、より正確には建物における空気入口及び空気出口に関する課題の解決を試みるために、種々の解決手段を提案している。
【0006】
強制換気装置に関する従来技術の別の解決手段を示す図2(1993年に公開された特開平5−288362号公報から抜粋した図)を参照すると、建物の屋根に配置されることが意図された、2つの垂直流路10,14を備える装置が提案されており、垂直流路10,14は、空気入口流及び空気出口流として別個の流れを有するように、装置の高さに沿って実質的に平行であると共にそれぞれの入口オリフィス11及び出口オリフィス15で分岐している。特開平5−288362号公報は、入口オリフィス11及び出口オリフィス15の空気入口及び空気出口を屋根に向かって、すなわち下方に向けることを推奨している。
【0007】
このような装置は、第1には、これが屋根へのアクセスを必要とするため(これは常に可能とは限らず、取り付けを複雑で費用がかかるものにする)、第2には、この設備が、屋根から建物の低い部分に一般的に位置付けられる熱力学的機械までの空気導管の取り付けを必要とすることで、建物内のシェルの加工が必要であると共に大幅な圧力低下を招くため、不評である。
【0008】
これらの理由から、特開平5−288362号公報で提案された装置は、著しい経済的発展を経ることがなかった。
【0009】
図3及び図4(それぞれ、2005年に公開された韓国特許出願公開2005/0012409号明細書及び2009年に公開されたフランス特許第2926874号明細書から抜粋)を参照すると、全体的に水平な向きのフィンによって形成されて、例えば建物を暖房するために設けられたヒートポンプのような空気に影響する熱機械を備える部屋の外部に向いた開口を覆うグリル20を備えた装置が提案されている。このグリル20は、外気の吸引及びヒートポンプの出口における空気の排出にそれぞれ割り当てられるグリルの2つの垂直方向に隣接した部分を覆う、2つのフィン群22,24を備えている。各フィン群22,24のフィンは、流入空気流及び流出空気流を異なる方向に排出するように、互いに同じ向きを有し、他方のフィン群のフィンとは異なる向きを有している。
【0010】
しかしながら、これらの解決手段に関しては特に、部屋の外部隔壁(すなわち壁)に大きな開口が必要であり、これは常に可能とは限らず実装が複雑かつ高価である場合が多い点で、同様に不評である。さらに、この大きな開口は、例えば建物の安全性に関してさらなる問題を加え、このグリルは、建物内への侵入を容易にしてしまう。
【0011】
これらの解決手段は、熱力学的機械を収容している部屋内にも空気流を発生させ、これは、第1には使用者(例えば、上記熱力学的機械の保守又は調整の担当者)にとって不快な場合があり、第2には建物の残りの部分に関する熱力学的機械の閉じ込めを必要とする。熱力学的機械が閉じ込められなければ、取り出された外気と、室温で維持される場合が多い内部空気とが撹拌される。
【0012】
実際には、新築現場及び改装の両方で、特にヒートポンプに基づく熱力学的機械の取り付けに関する市場からの大きな需要があるにも関わらず、韓国特許出願公開2005/0012409号明細書及びフランス特許第2926874号で提案された装置も、著しい経済的発展を経ることがなかったことが分かっている。当該技術分野では、米国特許出願公開第2002/0197948号明細書、米国特許出願公開第2008/0113609号明細書、ドイツ特許第19850094号明細書、ドイツ特許第29611516号明細書、欧州特許第2088380号明細書も公知である。
【0013】
要約すると、当業者はこれまで、許容可能なサイズ及び費用の信頼性の高い装置で、第1には出口と入口との間での流体の再循環を回避する必要性と、第2には圧力低下を制限する要件との相反する課題を調和させることができていなかった。
【発明の概要】
【0014】
したがって、本発明の1つの目的は、上記の課題を解決する二重空気流機械の外部流れ分離器を提案することである。
【0015】
より包括的には、本発明の1つの目的は、取り付けが単純で安価であり、建物内のシェルに対して最低限の加工しか必要としない組立体を提供することである。
【0016】
より詳細には、本発明の主題は、垂直壁に作られた単一の開口を用いて取り付けることができると共に最小の接地面積を有することができる外部流れ分離器を提供することである。
【0017】
この目的のために、本発明は、建物の内部と外部との間の境界面に配置されることが意図される、二重流れ設備、特に熱設備のための二方向空気流分離器であって、二方向空気流分離器はハウジングを備え、ハウジングは、内部設備に接続されることが意図される主開口と、主開口とは別個の少なくとも2つの外部二次開口と、主開口を2つの一次通路に分割する共通リッジから延びて、主開口の一次通路からそれぞれ外部二次開口に向かって2つの末広がり流路を画定するようにする少なくとも2つのデフレクターを備える、流れを分離する手段とを備え、内部設備に接続されることが意図される主開口は、垂直面内に収まることと、デフレクターは、水平に広がる方向に延びることと、2つの末広がり流路をそれぞれ通過する入口流及び出口流が水平線に関してそれぞれ対向する傾きを有するように、ハウジングは、流れを方向付ける手段も備えることを特徴とする。
【0018】
したがって、本発明の主題である二方向空気流分離器は、
−デフレクターによって与えられ、二方向空気流分離器を通る垂直面の両側で流れを導く第1の水平方向の広がり、すなわち水平面内の広がり、
−流れを方向付ける手段によって与えられ、二方向空気流分離器を通る水平面の両側で流れを導く第2の広がり、すなわち垂直面内の広がり、
という2つの広がりを有する。
【0019】
第2の広がりは、例えば暖房モードで稼動するヒートポンプが、下降する傾向のある高密度の冷気を下方に排出して、逆に上昇する傾向のあるより低い密度の暖気を上方に引き取ることを可能にするため、熱設備に特に重要である。第1の広がり(水平面内)も、空気の再循環のいかなる危険性も高めることが可能であるという点で、特に重要な要素である。これは、第1の広がりが、水平面において空気の出入りをずらすからである。したがって、第2の広がりが不十分である場合(例えば、周囲温度が低すぎて、排出された冷気が水平に上昇し、空気入口に吸い込まれる危険性もあるため)、第1の広がりは、水平面で生じるずれによって、上昇空気が空気入口と同じ高さになるのを防止する。
【0020】
本発明の他の特徴、目的、及び利点は、非限定的な例を用いて与えられる以下の詳細な説明を、添付図面に関連して読めば明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来技術による外部流れ分離器の概略図である。
【図2】従来技術による外部流れ分離器の概略図である。
【図3】従来技術による外部流れ分離器の概略図である。
【図4】従来技術による外部流れ分離器の概略図である。
【図5】本発明の可能な一実施形態によるヒートポンプ用の外部流れ分離器を備えた熱力学的組立体の概略図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による外部流れ分離器の概略等角図である。
【図7】図6に示される外部流れ分離器の垂直中央断面の部分概略図である。
【図8】図6に示される外部流れ分離器の水平中央断面の部分概略図である。
【図9】本発明の可能な一実施形態による外部流れ分離器の、図6の逆側を見た概略斜視図である。
【図10】本発明の第2の好適な実施形態による外部流れ分離器の斜視図である。
【図11】図10に示される外部流れ分離器の平面図である。
【図12】図10に示される外部流れ分離器の正面図である。
【図13】本発明による外部流れ分離器の概略垂直断面図であり、流れを方向付ける手段の一実施形態をより正確に示す。
【図14】本発明による外部流れ分離器の概略垂直断面図であり、流れを方向付ける手段の一実施形態をより正確に示す。
【図15】本発明による外部流れ分離器の概略水平断面図であり、2つの流路で同一の流速の提供が可能であることをより正確に示す。
【図16】本発明による外部流れ分離器の概略水平断面図であり、2つの流路で異なる流速の提供が可能であることをより正確に示す。
【図17】外部流れ分離器と関連の機器とを接続することが意図される本発明による導管要素の概略斜視図である。
【図18】外部流れ分離器と関連の機器とを接続することが意図される本発明による導管要素の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上記のように、本発明は、熱設備の分野及び制御式機械換気設備の両方に同じく適用される。しかしながら、説明の残りの部分では熱設備専用の実施形態について説明するが、この説明を限定的なものと見なすことはできないものとする。
【0023】
図5は、本発明の可能な一実施形態による熱力学的組立体100を概略的に示している。この熱力学的組立体100は、空気に作用する熱力学的機械110(例えば、暖房モードで稼動するヒートポンプ又はエアコンディショナー)を備えている。このような熱力学的機械110は、空気流入口114及び空気流出口116を備えている。暖房モードにあるヒートポンプでは、流出流が低温空気流であり、流入流が外部温度において「高温」空気の流れである。明らかに、熱力学的機械のタイプに従って、特にエアコンディショナーではその逆も可能である。
【0024】
この熱力学的組立体100は、二方向導管要素120(すなわち、内部で2つの空気流をそれぞれ逆方向に通すことを可能にする)も備えている。この二方向導管要素120は、流入流及び流出流を二方向空気流分離器200と熱力学的機械110との間に導くことを可能にする。
【0025】
二方向空気流分離器200は、図6〜図16に関する説明でより詳細に後述する。二方向導管要素120は、図17及び図18に関する説明でより詳細に後述する。
【0026】
本発明による流れ分離器の主な特徴を、最初に図6〜図9に関して説明する。
【0027】
前述のように、本発明による二重流れ設備の二方向空気流分離器200は、内部の主開口220と、主開口220とは異なる少なくとも2つの外部二次開口230,240と、少なくとも2つのデフレクター260,270を備える流れを分離する手段250とを備えたハウジング210を備えている。
【0028】
デフレクター260,270は、主開口220を2つの一次通路224,226に分割する共通リッジ222から延びている。デフレクター260,270は、この共通リッジ222から、2つの末広がり流路280,290を画定している。これら2つの末広がり流路280,290は、主開口220の一次通路224,226と外部二次開口230,240との間にそれぞれ延びている。
【0029】
2つの一次通路224,226は、二方向導管要素120によって熱力学的機械110の入口114及び出口116にそれぞれ接続されている。
【0030】
より正確には、本発明によれば、主開口220は垂直面内に刻まれている。
【0031】
デフレクター260,270は、水平に広がる方向に延びている。換言すれば、2つのデフレクター260,270は、共通リッジ222から、主開口220と直交する垂直面221(図11及び図15を参照)の両側にそれぞれ分かれている。これらは、共通リッジ222を通るこの垂直面221に関して対称であることが好ましい。
【0032】
デフレクター260は、入口側の外部二次開口230において軸232を中心とする流入流を、一次通路224を通過する流れの形態で、熱力学的機械110の方向に、この一次通路224における主開口220の垂直面と直交する軸225を中心として逸らせる。
【0033】
対称的に、デフレクター270は、熱力学的機械110から出てきて一次通路226における主開口220の垂直面と直交する軸227を中心としてこの一次通路226を通過する流れを、出口側の外部二次開口240を通過する流出流の形態で、この出口側の外部二次開口240の軸242を中心として逸らせる。
【0034】
さらに、本発明によれば、ハウジング210は、2つの末広がり流路280,290をそれぞれ通過する入口流及び出口流が外部二次開口230,240で水平線Hに関してそれぞれ対向する傾き+α及び−αを有するように、流れを方向付ける手段も備えている。
【0035】
さまざまな形態を取り得るこの流れを方向付ける手段は、図13及び図14に関してより詳細に後述する。
【0036】
本発明者らは、上記構成が、大きな圧力低下を一切もたらすことなく、外部二次開口240を通って出る空気流と外部二次開口230を通って入る空気流との間の再循環を防止することを可能にすると判断した。
【0037】
ハウジング210が実質的に直方体の幾何学的形状を有する空気流分離器200を、図6〜図9で見ることができる。このハウジング210は、4つの対向する垂直壁212,214,216,218を備えている。垂直壁212は、壁に面する(及びハウジング210を壁に固定する手段を収容する)ことが意図されている。垂直壁214は、垂直壁212と平行に対向している。垂直壁216及び垂直壁218は、互いに平行に対向し、垂直壁212及び214と交わっている。ハウジング210は、2つの概ね水平な壁211(ハウジングの上部に位置付けられている)及び壁213(ハウジングの底部に位置付けられている)も備えている。
【0038】
内部の主開口220は、垂直壁212の中央に形成されている。これは、円形断面を有することが好ましい。したがって、主開口220は、冠鋸又は任意の同等の手段のような従来の工具で容易に作製することができる。
【0039】
主開口220は、上記デフレクター260,270によって、2つの一次通路224,226に分割されている。
【0040】
一次通路224,226は、上記軸225,227を中心としている。
【0041】
外部二次開口230,240は、垂直壁216及び218にそれぞれ配置されている。これらは、上記軸232,242を中心としている。
【0042】
図7、図8、図9を調べると分かり得るように、ハウジング210は、一次通路224,226を外部二次開口230,240にそれぞれ接続する2つの末広がり流路280及び290を画定している。
【0043】
デフレクター260,270の共通リッジ222が主開口220の直径に対応する場合、一次通路224,226のそれぞれの断面は、半円の形態である。図6〜図9に示される特定の実施形態によれば、外部二次開口230及び240は、矩形断面を有している。
【0044】
ハウジング210の内壁、特にデフレクター260,270は、一次通路224,226の断面と外部二次開口230,240の断面との間で、連続した移行部を画定している、すなわち内壁の向きで曲率の急変を伴っていない。
【0045】
より正確には、本発明によれば、末広がり流路280,290のそれぞれの全断面積は、一次通路224,226から外部二次開口230,240に向かって漸増している。
【0046】
有利には、図7及び図8で見ることができるように、末広がり流路280,290を囲むハウジング210の内部体積の全体が、例えばハニカム構造又は同等物を形成するリブ202によって形成されている。このような空気流分離器のハウジング210は、原材料をほとんど必要としない。したがって、これは軽量であり製造費が安い。
【0047】
図10〜図12に示される本発明による流れ分離器の好適な実施形態を次に説明する。
【0048】
図10〜図12に示される実施形態によれば、ハウジング210は、上記垂直面221に関して対称な2つのシェル252,254から形成されている。
【0049】
各シェル252,254は、一次通路224,226から外部二次開口230,240の方向に開いた管状コルネットの全体形状であることが好ましい。このような実施形態は、材料をほとんど必要とせず、空気流に関して最適化された特に軽量の装置を提供する。
【0050】
好ましくは、シェル252,254のそれぞれは、水平中央平面に関して対称でもある。この後者の特性は、例えば単一の射出成形金型を用いて2つの厳密に同一のシェル252,254を作製することを可能にする。
【0051】
図10〜図12に示される実施形態によれば、2つのシェル252,254は、垂直支持板256に固定され、垂直支持板256の中央に主開口220が形成されている。
【0052】
2つのシェル252,254及び垂直支持板256を組み立てることによって形成されるハウジング210を備えた二方向空気流分離器200が、このように図10〜図12で見られる。このハウジング210は、主開口220と、主開口220とは異なる2つの外部二次開口230,240と、流れを分離する手段250を構成する2つのデフレクター260,270とを備えている。
【0053】
図6〜図9に示される実施形態のように、デフレクター260,270は、主開口220を2つの一次通路224,226に分割する共通リッジ222から延びている。デフレクター260,270は、この共通リッジ222から、外部二次開口230,240のそれぞれとつながる2つの水平に広がった末広がり流路280,290を画定している。
【0054】
図10〜図12に示される好適な実施形態によれば、外部二次開口230,240は、実質的に長軸が垂直な楕円の形態である。
【0055】
したがって、各シェル252,254は、一次通路224,226における半円の形態の断面と、外部二次開口230,240における楕円の断面との間で徐々に変化する幾何学的形状を有している。
【0056】
より正確には、図10〜図12に示される実施形態によれば、ハウジング210を構成する2つのシェル252、254のそれぞれは、
−垂直対称面221と同じ側で末広がり流路280,290の境界を定めるデフレクター260,270と、
−垂直支持板256と同じ側で末広がり流路280,290の境界を定める内壁262,272と、
−デフレクター260,270と内壁262,272とをそれぞれ接続する上壁264,274及び底壁266,276と
によって形成されている。
【0057】
各デフレクター260,270は、水平断面で見て、関連する末広がり流路280,290の中心の方向に少なくともわずかに凹んだ形状を有することが好ましい。この形状は、例えば主開口220の直径と一致する共通リッジ222に対応する垂直直線状の内側の母線と、好ましくは垂直な外側の直線リッジ261,271との間で変化する。曲率の不連続を伴うことなく上壁264,274及び底壁266,276を延ばすために、デフレクター260,270は、垂直断面で見てその上端及び下端が徐々に湾曲して、流路の内側に向かって凹んでいる。
【0058】
内壁262,272は、概ね平坦であり、垂直であり、垂直支持板256と平行であることが好ましい。これらの形状は、主開口220を囲む半円によって形成された母線と、直線リッジ261,271と平行であり好ましくは垂直な外側の直線リッジ263,273との間で変化する。曲率の不連続を伴うことなく同様に上壁264,274及び底壁266,276を延ばすために、内壁262,272は、デフレクター260,270と対称的に、垂直断面で見てその上端及び下端が徐々に湾曲して、流路の内側に向かって凹んでいる。
【0059】
これらの上壁264,274及び底壁266,276は、流路の内側に向かって凹んだ丸形キャップによって形成されている。
【0060】
一方で直線リッジ261及び263が対になって、他方で直線リッジ271及び273が対になって、外部二次開口230及び240の垂直中央平面をそれぞれ画定する。
【0061】
したがって、画定された中央平面は、図11に参照符号265及び275で示されており、互いに交わると共に内部の主開口220が刻まれた垂直面Vとも交わっている。
【0062】
添付の図10〜図12を調べると、好ましくは上壁264,274及び底壁266,276が上記中央平面265及び275を越えて延びることも分かるであろう。
【0063】
したがって、上壁264,274のうち中央平面265,275を越えて突出する部分は、ハウジング210の内部体積に雨が入るのを防止することが意図された雨避け手段を構成する。
【0064】
該当する場合、変形形態として又は付加的に、本発明による流れ分離器は、末広がり流路280,290内に雨が入るのを防止するために、例えば外部二次開口230及び240に位置付けられたフィンを備えてもよい。
【0065】
底壁266,276のうち中央平面265,275を越えて突出する部分は、装置の美観及び空気力学を完璧なものにする。この部分は、雨又は凝縮によって末広がり流路280,290に入ってしまう可能性があるいかなる水も除去するための流路も構成する。
【0066】
本発明者らは、風洞で行った試験によって、そのような幾何学的形状がシェル252とシェル254との間での空気流の再循環を防止するだけでなく不均一な流量分布領域も回避することを示すことができた。逆に、この幾何学的形状により、流れの良好な分布及びデッドゾーンの最適化が得られる。これは、外部二次開口230,240の方向に膨らんで圧力低下を最小限に抑えることが好ましい。
【0067】
前述のように、本発明によれば、ハウジング210は、2つの末広がり流路280,290をそれぞれ通過する入口流及び出口流が、外部二次開口230,240で水平線Hに関してそれぞれ対向する傾き+α及び−αを有するように、流れを方向付ける手段を備えている。入口流の傾きの大きさは、必ずしも出口流と同一の絶対値ではないが、これらの傾きは、同一の+/−αであることが好ましい。
【0068】
そのような流れを方向付ける手段は、図6〜図9に示された第1の実施形態及び図10〜図12に示された第2の実施形態の両方に当てはまる、実質的に2つの形態を取ることができる。
【0069】
図13に概略的に示される第1の変形実施形態によれば、2つの末広がり流路280,290の幾何学的中心軸は、共通の水平面内に位置付けられるが、各流路に少なくとも1つの方向フィン282,292が設けられている。方向フィン282は、流れの一方すなわち暖流を、好ましくは上部から引き取って、主開口220の一次通路224に向けて導くようになっている。方向フィン292は、他方の流れすなわち低温流を、主開口220の一次通路226から離れる方向に下方に導くようになっている。1つ又は複数の方向フィン282,292は、各末広がり流路280,290に関連して設けてもよい。方向フィン282,292は、末広がり流路280,290の任意の適当な点に、好ましくは一次通路224,226に配置することができる。
【0070】
したがって、方向フィン282,292は、長い方の寸法が主開口220の平面と一致して水平に延びるが上記軸225及び227と少なくとも概ね平行な短い方の寸法が水平線に対して傾いている細長い板から形成されることが有利である。
【0071】
図14に概略的に示される第2の変形実施形態によれば、2つの末広がり流路280,290の幾何学的中心軸は、水平線Hに関してそれぞれ逆方向に傾いている。
【0072】
高温空気入口用の外部二次開口230の軸は、上記軸232と概ね一致し、主開口220の一次通路224の方向に下方に傾斜している。低温空気出口用の外部二次開口240の軸は、上記軸242と概ね一致し、主開口220の一次通路226から離れる方向に下方に傾斜している。
【0073】
前述のように、上記流れを方向付ける手段は、デフレクター260及び270によって与えられる水平方向の広がりに従ってこの水平方向の広がりを強調することを可能にする。
【0074】
図15に示されるように、デフレクター260,270は、主開口220を、同一の断面を有する2つの一次通路224,226に分割することができる。この場合、共通リッジ222は、主開口220の直径に沿って延びる。流入及び流出の処理量が同一である場合、流入流及び流出流の速度は同一である。
【0075】
しかしながら、図16に示されるように、デフレクター260及び270が主開口220を、異なる断面を有する2つの一次通路224及び226に分割するようにすることも可能である。この場合、流入流量及び流出流量が同一であると、この断面が小さい方の一次通路226を通過する流れの速度は、断面が大きい方の一次通路224を通過する流れの速度よりも速い。好ましくは、断面が小さい方の一次通路226は、流出流が出口用の外部二次開口240から遠くに高速で発射されるように流出流専用であり、断面が大きい方の一次通路224は、流入流が入口用の外部二次開口230の近くで低速で吸引されるように流入流専用である。このようにして、流入流と流出流との間の再循環の危険性がさらに低減される。
【0076】
一次通路224及び226の断面の差は、流入流及び流出流の温度の差から得られたこれら2つの流れの密度の差も考慮したものであってもよい。
【0077】
図17及び図18に示される二方向導管要素120の2つの実施形態を次に説明する。
【0078】
図17に示される実施形態によれば、二方向導管要素120は、外囲が円形の回転断面を有する形態、有利には可撓性の導管122の形態であり、その全長にわたって連続した直径分離隔壁124を備えている。
【0079】
導管122の断面は、主開口220の断面に対応し、直径分離隔壁124の位置は、デフレクターの共通リッジ222の位置に対応する。このような直径分離隔壁124が、第1の端128で主開口220の一次通路224,226に、第2の端129で熱力学的機械110の入口及び出口にそれぞれ接続されることが意図される2つの平行な気密に分離された流路126、127の境界を定めることを可能にすることを、当業者は理解するであろう。
【0080】
直径分離隔壁124は、流路126,127内でそれぞれ逆方向に循環する流れの間でのいかなる熱移動も防止すると共にいかなる凝縮作用も防止するために、熱絶縁性であることが好ましい。これは、例えば非限定的に、蜂窩状ポリカーボネートから作られた隔壁であってもよい。
【0081】
このような二方向導管要素120は、空気流分離器200の流出空気流及び流入空気流を熱力学的機械110に出入りさせることを可能にすることが有利である。
【0082】
図18に示される導管要素は、第2の端129において、2つの流路126,127が2つの別個の導管121,123を画定する分岐125の形態で個別化されているという点で、図17に示される導管要素と区別される。
【0083】
特定の非限定的な実施形態によれば、
−主開口220の直径は、15cm〜50cm、通常は約30cmであり、
−一次通路224の断面と一次通路226の断面との比は、1〜1/2、例えば約2/3であり、
−外部二次開口230,240の断面とそれぞれに関連する一次通路224,226の断面との比は、1〜1.5、または3でさえあり、
−主開口220を含む垂直面に対して垂直と見なされる、図16に示された分離器の深さPは、約15cmであり、
−外部二次開口230,240の輪郭の垂直長軸と水平短軸との比は、1.5〜3、通常は約2であり、
−外部二次開口の垂直長軸は、約40cmであることが有利であり、
−外部二次開口230,240における流れの方向232,242と一次通路224,226における流れの方向との間の傾きβは、10度〜90度、好ましくは約20度であり、
−流れを方向付ける手段による水平線Hに関する入口流及び出口流の傾き+/−αは、好ましくは5度〜30度、有利には約15度である。
【0084】
当然ながら、本発明は、これまで説明してきた特定の実施形態に限定されるのではなく、本発明の精神に従ったすべての変形形態に及ぶ。
【0085】
本発明による空気流分離器は、入口と出口との間のいかなる直接再循環も防止し、圧力低下を制限し、設備内に水が入るのを防止し、信頼性が高く安全な装置からの利益を受け、特定の付属品又は工具も熱力学的機械110の特別な閉じ込めも必要ない単純な設備を可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の内部と外部との間の境界面に配置されることが意図される、二重流れ設備、特に熱設備のための二方向空気流分離器であって、
該二方向空気流分離器はハウジング(210)を備え、
該ハウジング(210)は、
内部設備(110)に接続されることが意図される主開口(220)と、
該主開口(220)とは別個の少なくとも2つの外部二次開口(230,240)と、
前記主開口(220)を2つの一次通路(224,226)に分割する共通リッジ(222)から延びて、前記主開口(220)の前記一次通路(224,226)からそれぞれ前記外部二次開口(230,240)に向かって2つの末広がり流路(224、226)を画定するようにする少なくとも2つのデフレクター(260,270)を備える、流れを分離する手段(250)と
を備え、
前記内部設備(110)に接続されることが意図される前記主開口(220)は、垂直面(V)内に収まることと、
前記デフレクター(260、270)は、水平に広がる方向に延びることと、
前記2つの末広がり流路をそれぞれ通過する入口流及び出口流が水平線(H)に関してそれぞれ対向する傾き(−α,+α)を有するように、前記ハウジング(210)は、流れを方向付ける手段も備えることを特徴とする、二方向空気流分離器。
【請求項2】
前記外部二次開口(230,240)における流れの方向(232,242)と、前記一次通路(224,226)における流れの方向との間の傾き(β)が、10度〜90度、好ましくは約20度であることを特徴とする、請求項1に記載の二方向空気流分離器。
【請求項3】
前記流れを方向付ける手段による前記水平線(H)に関する前記入口流及び前記出口流の前記傾き(−α,+α)は、5度〜30度、有利には約15度であることを特徴とする請求項1に記載の二方向空気流分離器。
【請求項4】
前記少なくとも2つのデフレクター(260,270)は、前記共通リッジ(222)から、前記主開口(220)と直交する垂直面(221)の両側にそれぞれ分かれていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二方向空気流分離器。
【請求項5】
前記少なくとも2つのデフレクター(260,270)は、前記共通リッジ(222)を通る垂直面(221)に関して対称であることを特徴とする、請求項1に記載の二方向空気流分離器。
【請求項6】
前記主開口(220)は円形断面を有し、前記一次通路(224,226)のそれぞれの断面が、少なくともおおよそ半円の形態であることを特徴とする、請求項1に記載の二方向空気流分離器。
【請求項7】
前記末広がり流路(280,290)のそれぞれの断面が、前記一次通路(224,226)から前記外部二次開口(230,240)に向かって漸増することを特徴とする、請求項1に記載の二方向空気流分離器。
【請求項8】
前記2つの末広がり流路(280,290)の幾何学的中心軸が、共通の水平面に位置付けられることと、
少なくとも1つの方向フィン(282,292)が、前記2つの末広がり流路(280,290)のそれぞれに設けられ、流れの一方を前記主開口(220)の関連する前記一次通路(224)の方向に下方に導くとともに、他方の流れを前記主開口(220)の関連する前記一次通路(226)から離れる方向に下方に導くようになっていることと
を特徴とする、請求項1に記載の二方向空気流分離器。
【請求項9】
前記方向フィン(282,292)は、前記主開口(220)に形成された前記一次通路(224,226)に配置されることを特徴とする、請求項8に記載の二方向空気流分離器。
【請求項10】
前記2つの末広がり流路(280,290)の幾何学的中心軸が、前記水平線(H)に関してそれぞれ逆方向に傾いていることを特徴とする、請求項1に記載の二方向空気流分離器。
【請求項11】
前記デフレクター(260,270)を含む前記ハウジング(210)の内壁が、前記一次通路(224,226)の断面と前記外部二次開口(230,240)の断面との間で、前記内壁の向きで曲率の急変を伴うことなく連続した移行部を画定することを特徴とする、請求項1に記載の二方向空気流分離器。
【請求項12】
前記ハウジング(210)は、垂直面(221)に関して対称な2つのシェル(252,254)によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の二方向空気流分離器。
【請求項13】
前記シェル(252,254)はそれぞれ、前記一次通路(224,226)から前記外部二次開口(230,240)の方向に開いた管状コルネットの全体形状であることを特徴とする、請求項12に記載の二方向空気流分離器。
【請求項14】
前記2つのシェル(252,254)はそれぞれ、水平中央平面に関して対称であることを特徴とする、請求項12に記載の二方向空気流分離器。
【請求項15】
前記2つのシェル(252,254)は同一であることを特徴とする、請求項12に記載の二方向空気流分離器。
【請求項16】
前記2つのシェル(252,254)は、垂直支持板(256)に固定され、該垂直支持板(256)の中央に前記主開口(220)が形成されることを特徴とする、請求項12に記載の二方向空気流分離器。
【請求項17】
前記外部二次開口(230,240)は、長軸が垂直な実質的に楕円形であることを特徴とする、請求項12に記載の二方向空気流分離器。
【請求項18】
前記シェル(252,254)はそれぞれ、雨避け手段を形成するために、その垂直側壁(260,262;270,272)を越えて延びる上壁部分(264,274)を有することを特徴とする、請求項12に記載の二方向空気流分離器。
【請求項19】
前記シェル(252,254)はそれぞれ、外部の方向に下方に延びる底壁部分(266,276)を有することを特徴とする、請求項12に記載の二方向空気流分離器。
【請求項20】
前記デフレクター(260,270)は、前記主開口(220)を、同一の断面を有する2つの一次通路(224,226)に分割することを特徴とする、請求項12に記載の二方向空気流分離器。
【請求項21】
前記デフレクター(260,270)は、前記主開口(220)を、異なる断面を有する2つの一次通路(224,226)に分割することを特徴とする、請求項1に記載の二方向空気流分離器。
【請求項22】
断面が小さい方の前記一次通路(226)は、流出流専用であることを特徴とする、請求項21に記載の二方向空気流分離器。
【請求項23】
熱組立体、特にヒートポンプのような、二方向二重空気流設備であって、
空気入口(114)及び空気出口(116)を備える熱力学的装置(110)と、
中央壁(124)によって2つの平行な流路(126,127)に分割され、一端(129)が前記熱力学的装置(110)の前記空気入口及び前記空気出口に接続される二方向導管要素(120)と、
建物の外部に配置されると共に、主開口(220)において前記二方向導管要素(120)の他端(128)に接続される、請求項1〜22のいずれか1項に記載の二方向空気流分離器(200)と
を備える二方向二重空気流設備。
【請求項24】
前記二方向導管要素(120)は、外囲が円形の回転断面を有する導管(122)によって形成され、その全長にわたって連続した直径分離隔壁(124)を備えることを特徴とする、請求項23に記載の二方向二重空気流設備。
【請求項25】
前記直径分離隔壁(124)は、前記二方向導管要素(120)内でそれぞれ逆方向に循環する流れの間でのいかなる熱移動も防止するために、熱絶縁性であることを特徴とする、請求項23に記載の二方向二重空気流設備。
【請求項26】
前記二方向空気流分離器(200)は、垂直壁に固定されることを特徴とする、請求項23に記載の二方向二重空気流設備。
【請求項27】
請求項23に記載の二方向二重空気流設備を建物に取り付ける方法であって、
空気入口及び空気出口を備える熱力学的装置(110)を準備するステップと、
前記建物の内部の垂直壁に二方向空気流分離器(200)を取り付けるステップと、
中央壁(124)によって2つの平行な流路(126,127)に分割された二方向導管要素(120)を準備するステップと、
前記二方向導管要素(120)の一端(129)を前記熱力学的装置(110)の前記空気入口及び前記空気出口に接続するステップと、
前記二方向導管要素(120)の他端(128)を前記二方向空気流分離器(200)の主開口(220)に接続するステップと
を少なくとも含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−137628(P2011−137628A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−284784(P2010−284784)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(504462489)エレクトリシテ・ドゥ・フランス (25)