説明

交差点とセクションに基づくトラフィック情報の処理方法と装置

【課題】 道路網を表現する方法と装置及び道路網を表現する方法を用いて交通情報データを処理する方法とシステムを提供する。
【解決手段】 交通情報データを処理する方法は、1以上のタイプの道路地図の道路網に基づく交通情報データを、1以上のタイプの道路地図の道路網と交差点及びセクションによって表現される道路網との間の対応に基づいて、交差点とセクションの交通情報データに変換する変換ステップと、変換された交差点とセクションの交通情報データを融合して、統合された交通情報データを取得する融合ステップとを含み、交差点とセクションによって表現される道路網は、道路網を表現する方法によって取得される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報データ処理に関し、特に、交差点とセクションに基づく道路網の表現と、その表現を利用して様々なデータソースから交通情報データを処理することに関する。
【背景技術】
【0002】
経済の急速な成長により自動車の普及が進む現代社会では、都市交通に多大な重圧が掛かり、深刻な交通渋滞が発生している。交通渋滞を緩和することは、ドライバーが費やす走行時間の短縮、燃費の削減、都市の経済効率の向上、および環境保護の促進を実現する上で有益である。そのため、交通情報サービスシステムは、都市の高度道路交通システムにおいて重要な役割を果たしている。
【0003】
交通情報収集に関し、現代のマルチメディア技術と移動通信技術の急速な発展とGPS技術の普及は、交通情報サービスに対して大きな可能性を提供する。交通情報収集において、カメラ、ループ(loop)およびRTMS(リモート交通マイクロ波センサ(Remote Traffic Microwave Sensor))などの道路に沿って配置される固定調査装置(stationary probing device)は、交通情報のためのデータを確実に集めることができるが、一般に、幹線道路網に限定される。プローブ車両技術(主にタクシーを用いる)は、リアルタイムに都市の道路網についての交通情報を計算することができるが、プローブ車両の数などの客観的な制限を受ける。情報収集要員は簡単な移動通信装置によってデータセンターに観察された交通情報をテキストとしてアップロードすることができる。しかしながら、この場合、情報量に限りがあり、また不正確である。ドライバが、現在位置するエリアの交通情報を、モバイル情報サービスプロバイダによって提供されるチャネル経由でデータセンターにアップロードするユーザアップロード方法は、カバー範囲が制限される。以上をまとめると、交通情報データを集めるのための様々な方法が既に存在するが、これらの方法は、様々なタイプのデータ形式と様々な記述方法を有し、かつ情報の完全性と正確さにおいてそれぞれ欠点を有している。交通情報の正確さを向上させかつ有効範囲を拡大するための効果的な方法は、汎用的な交通情報記述モデルによって様々なソースからの交通情報データを表わし、それによって様々なデータソースを活用し、互いに補うために様々なデータソースからの交通情報を融合することである。
【0004】
上述のように、交通データをモデル化するための汎用モデルは、日常生活における交通情報の地理的な特性に従うべきであり、また、例えば、一般的な都市地図、ナビゲーション道路トポロジーネットワーク(navigation road topology network)、交通情報報告等の様々な参照系における重要な交通情報要素の対応関係を決定すべきである。それによって、様々なソースからの交通データを正規化することができ、かつ交通情報の次の融合処理を実行することができる。
【0005】
実際、交通情報のデータソースは、固定監視装置装置(RTMS、ループ、カメラなど)、移動検知装置(プローブ車両ネットワーク、移動通信加入者ネットワークなど)およびテキスト情報(交通局からの道路状況報告、情報収集者からの情報報告、使用者からの即時のアップロードなど)を含む。 これらのデータソースによって提供される交通情報は、簡易な都市地図に基づいてもよいし、あるいはナビゲーション・ディジタルマップの複雑な道路トポロジーネットワークに基づいてもよいし、あるいは完全にテキスト記述に基づいてもよい。より広い範囲をカバーするより正確な交通情報を取得するために、これらのデータをいかに正確に融合するかが解決を望まれる問題である。
【0006】
幾つかの既存の特許と論文が、交通データをモデル化する方法とモデルについて言及している。これらの方法とモデルは、様々なソースから交通データの正確な表現と融合の点で改良することである。
【0007】
交通情報データをモデル化し処理するための方法とシステムが、特許文献1(US20060111833(A1)「Method and System for modeling and processing vehicle traffic data and information and applying thereof」)において提案されている。有向道路セクションの概念が、この特許文献において提案されている。この概念は、道路分岐点における様々な流れの方向と交通流の特性を十分に考慮し、様々なソースからの交通情報データを融合するのに用いられると期待される。
【0008】
プローブ車両技術についての交通情報融合方法が、特許文献2(CN200610168271.3「交通情報融合のための方法とシステム」)において提案されている。この方法は、ナビゲーション地図の道路網によるリンク走行時間に基づいて道路を複数のセクションに分割し、リンクの走行時間を用いて道路状況を計算する目的を実現するために、セクションとリンク間の地理的な対応を求める。
【0009】
地図知識ベースを作成する装置と方法が、特許文献3(CN200510125303.7「交通情報問合せシステムと方法」)及び非特許文献1(「A Map Ontology Driven Approach to Natural Language Traffic Information Processing and Services」、2006年の1st Annual Asian Semantic Web Conferenceにおいて発表)において提案されている。これらの文献では、言語の点から交通情報記述の知識対象と知識ベースをどのように確立するかが提案され、また、道路と交通地点の概念が、交通情報の自然言語処理を支援するために提案されている。
【0010】
上述した解決方法において、特許文献1は、異なるデータソースの交通データを融合するために、有向道路セクション(Oriented road section)で構築される道路網を開示する。この有向道路セクションは、道路分岐点から伸びる様々な方向のセクションである。この方法は良好な交通情報融合を可能にするが、交通情報において重要な交差点の概念を考慮していない。この融合モデルにおいて交差点は完全に無視されており、道路網におけるその重要なノードの影響を取得し、問い合わせる方法はない。さらに、異なる流れ方向の道路セクション間でオーバーラップする部分が存在し、このことが、精度低下の問題を引き起こす。ナビゲーション道路トポロジーネットワークのリンクの走行時間から道路交通情報を生成する方法は、特許文献1で提案されている。この方法は、道路をいくつかのリンクと単位セクションに分割し、道路の交通情報を取得するためにこれらのリンクと単位セクション間の関係を構築する。この方法においても交通網中の交差点の重要性が考慮されていない。また、この方法から道路の交通情報を取得することはできない。特許文献3で提案されている地図知識ベースを生成する方法は、道路網に基づいて、道路と交通地点を抽出し、それら間の従属関係を確立し、自然言語処理においてそれらを用いる。この方法は、日常の言語により適合する方法で交通情報を記述しようとするけれども、それはテキスト形式に限定され、異なる地理的なネットワークにマッピングすることができず、かつ、多数のソースからのデータの融合に用いることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】US20060111833(A1)
【特許文献2】CN200610168271.3
【特許文献3】CN200510125303.7
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】「A Map Ontology Driven Approach to Natural Language Traffic Information Processing and Services」、2006年、1st Annual Asian Semantic Web Conference
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述のようにに、関連技術の交通情報のモデリングあるいは表現方法は依然として欠点を有し、汎用性と実用性の観点から交通情報モデル化のためのモデルを確立することができない。
【0014】
そのため、交通情報をモデル化し処理するための汎用的でかつ拡張性のあるモデルであって、地理的空間における道路網の位置に基づいており、都市地図、ナビゲーション地図、簡単な地図、テキスト記述地図などを含む様々な形式を基礎とするデータを統合することができるモデルを確立することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の問題を解決するために、道路網を表わすのための方法と装置、道路網を表わす方法を用いることにより交通情報データを処理する方法とシステムを提供する。道路網を表わす方法において、道路網は、中心的構成要素である交差点とセクションと、参照系(reference system)である地理的空間とで表わされる。そして、それにより、詳細レベルの異なる地図と道路記述情報との間の対応関係を反映することができるモデルが確立される。更に、交差点とセクションによって表わされる道路網を用いることによって、交通情報の収集で一般的に用いられる、通常の都市地図、ナビゲーション道路トポロジーネットワークおよびテキストの交通情報データが、データ融合と後続の使用のために統合された交差点とセクションの交通情報データに変換される。関連技術における交通情報データをモデル化する方法と比較し、本発明は、情報を取得して表わす場合に、道路網の独立したノードとして交差点の効果を強調する。交差点は、道路網におけるノードとして表現される地理的な空間であり、また、交差点は、各方向の交通流が1つの地点に集まることから、渋滞する傾向のある道路網の中心である。そのため、交差点の道路状況は交通情報において非常に重要である。本発明の方法において、交差点を交通データをモデル化するための独立した要素と見なす。交差点の異なるターン関係を抽出し、そして、交差点の交通状況を分析する。更に、セクションは道路に沿って隣接する交差点間の道路部分である。このように、全道路トポロジーネットワークは、地理的空間の意味におけるセクションと交差点からなる。そして、交通情報はセクションと交差点で表現される。
【0016】
本発明の好ましい形態によれば、道路網を表現する方法は、地理的空間における道路交差点に対応する道路地図の道路網における部分と当該部分の属性を抽出し、交差点とそれらの属性を取得する交差点抽出ステップと、道路地図の道路網において、取得した各交差点とその隣接する交差点との間の部分とそれらの属性を抽出し、セクションとそれらの属性を取得するセクション抽出ステップと、取得した交差点とそれらの属性及び取得したセクションとそれらの属性を用いて、道路地図の道路網を表わす道路網表現ステップとを含む。
【0017】
好ましい態様では、各交差点の属性が、少なくとも交差点の名前とターン関係を含み、交差点の名前は、地理的空間における各道路交差点の位置とターン関係に対応し、ターン関係は、交差点のそれぞれのターンを記述し、少なくとも各ターンの地理的経路と方向記述を含む。各セクションの属性が、少なくともセクションの開始と終了の交差点間の地理的な経路を含む。
【0018】
道路地図は、ナビゲーション・ディジタルマップと都市道路地図を含む1又は複数種の地図である。
好ましい態様では、交差点抽出ステップで、道路地図中の各道路名称について、当該道路名称を有する道路の各走行方向に沿って一連の経路を見付け出し、その後、他の道路名の道路に属する各一連の経路と交差する一連の経路の交差位置であって、地理的空間における道路交差点に対応する交差位置を見付け出す。
【0019】
本発明のさらに好ましい形態によれば、交通情報データを処理する方法は、1以上のタイプの道路地図の道路網に基づく交通情報データを、1以上のタイプの道路地図の道路網と交差点及びセクションによって表現される道路網との間の対応に基づいて、交差点とセクションの交通情報データに変換する変換ステップと、変換された交差点とセクションの交通情報データを融合して、統合された交通情報データを取得する融合ステップとを含み、交差点とセクションによって表現される道路網は、上記の道路網を表現する方法によって取得される。
【0020】
好ましい態様では、融合ステップで、交差点の各交通情報データは交差点のターン関係に基づいて融合される。
【0021】
好ましい態様では、融合ステップで、同じ交差点の交通情報データが結合され、同じセクションの交通情報データが結合される。
【0022】
好ましい態様では、融合ステップで、互いに関連する交差点とセクションの交通情報データを分析し結合し、関連する交差点とセクションを含むエリアについて交通情報データを取得する。
【0023】
交通情報データは、走行速度、走行時間あるいは渋滞度合いを含み、融合ステップで、交差点のそれぞれのターンについて走行速度、走行時間および渋滞度合いを計算し、および/または、セクション上の走行速度、走行時間あるいは渋滞度合いを計算する。
【0024】
好ましい態様では、融合した交差点とセクションの交通情報データを分析することにより、交差点とセクションの交通情報データのパターンを取得し、交通情報データの履歴パターンを生成する履歴パターン生成ステップと、交差点とセクションの現在の交通情報データと生成した履歴パターンに基づいた未来時における交通情報を予測する予測ステップとさらに含む。
【0025】
道路網を表現する装置と道路情報を処理するシステムも提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、交差点とセクションによって表現される道路網を、道路網の主要なノードとして交差点の重要性を強調し、様々な形式の地図表現と互換性を有しかつ汎用的である中間モデルとして用いることを提案する。
本発明によれば、異なるデータソースからの交通情報データを融合することにより、より正確でより包括的な情報を取得することができ、交通情報予測などのサービスにとって有効である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
上記およびその他の目的、特徴、並びに利点は、図面を参照しながらその好適な実施例について述べた以下の説明を読むことにより、さらに明らかになるであろう。
【図1】本発明の実施の形態による道路網を表現する装置の概略ブロック図である。
【図2】道路網を表現する装置によって実行される方法を示すフローチャートである。
【図3】道路網を表現する装置によって取得される道路網表現の一部の例を示す図である。
【図4】異なるタイプの交差点の概略図である。
【図5】本発明の実施の形態による交通情報データを処理するのためのシステムの概略ブロック図である。
【図6】本発明の他の実施の形態による交通情報データを処理するのためのシステムの概略ブロック図である。
【図7】本発明の他の実施の形態による交通情報データを処理する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
交通情報については多種多様なデータソースが存在する。例えば、リモート交通マイクロ波センサ(Remote Traffic Microwave Sensor)、ループ、カメラなどの固定監視装置(stationary monitor device)、プローブ車両ネットワークあるいは移動通信加入者ネットワークなどの移動検知装置(mobile detecting device)、また交通局から交通状況報告、情報収集要員からの情報報告、使用者からの即時のアップロードなどのテキスト情報等である。これらのデータソースによって提供される交通情報は、簡易な都市地図に基づいてもよいし、あるいはナビゲーション・ディジタルマップの複雑な道路トポロジーネットワークに基づいてもよいし、あるいは完全にテキスト記述に基づいてもよい。道路地図中の道路網の複雑さと構成要素は互いに相違していてもよい。一般に、異なる道路地図に基づいて交通情報間の関係を判定することは困難である。さらに、テキスト内に記述された交通情報と道路トポロジーネットワークに基づく交通情報との間の関係を判定することはより一層困難である。
【0029】
ナビゲーションと道路状況の報告のために、交通情報データは、通常、地理的な空間に基づいており、経度と緯度の特定の地理的位置情報を含むかもしれないし、名前、方向などの明確な特徴を有する近似的な道路情報であるかもしれない。さらに、人々の現実の生活において、交通情報は、「北第4環状道路は渋滞」あるいは「学園橋(XUEYUAN Bridge)で西から東への運行が緩慢」等のように、一般に道路と交差点によって記述される。これらの情報は、交通情報記述の原子模型と見なすことができる。交通情報は受け取り可能でかつ理解可能な最小の粒度で記述することができる。これらの原子模型は、「第4環状道路全体が渋滞」あるいは、「学園橋(XUEYUAN Bridge)の何れの方面も渋滞」のような、より広範囲について統合した交通情報記述を取得するために、さらに統合される場合がある。異なるデータソースからの交通情報間の関係を判定することができ、それらの情報を融合させることができれば、より広い地理的範囲についての交通情報をより迅速かつ正確に取得することができ、道路状況の予測をより効果的に実行することができる。例えば、固定監視装置からの交通情報が、「学園道路(XUEYUAN Road)の南から北への走行速度は10km/hである」であり、一方、学園橋(XUEYUAN Bridge)に位置する情報収集要員によって報告される情報が、「学園道路(XUEYUAN Road)は西から南に渋滞している。」であるとする。2種類の情報間の関係を自動的に判定することができれば、南から北に、および北から南に学園道路(XUEYUAN Road)が渋滞しているという結論を、2種類の情報を融合させることにより取得することができる。
そのため、交通情報のモデリングと処理のための汎用モデルを提供する必要がある。このモデルは、都市道路地図、ナビゲーション地図、簡単な道路地図およびテキスト記述ベースの地図などの様々な道路地図に基づいて様々な形式で記述された交通情報を統合することができる。
【0030】
本出願の発明者は、交通情報の記述は多種多様であるけれども、全ての記述は、基本的に、オーバラップしない点と線からなる地理的な空間に基づくことを見出した。ここで、点は交差点であり、線は隣接する交差点間の道路部分であり、本明細書においてはセクションと称する。それゆえ、道路は一連の互い違いの点と線から構成され、交通情報は道路の視点から交差点とセクション(section)によって記述することができる。ある道路地図における道路トポロジーネットワークを構成する構成要素は、他の道路地図におけるそれらとは異なる。例えば、ナビゲーション・ディジタルマップの道路網は経度と緯度の情報を有するリンク(link)とノード(node)から構成され、一般的な都市地図は詳細な名称を有する道と交差点から構成され、テキスト記述ベースの地図は、道路名と方向の記述から構成されている。しかしながら、これらの構成要素は、上述した交差点とセクションからなる地理的な空間と一定の対応関係を有する。例えば、ある道路の一部を表すリンクまたは道は、一般に道路の名称を有し、ノードまたは交差点は、同様に地理的な空間における対応する交差点の名称を有する。それ故に、異なるソースから交通情報データを融合するための中間モデルとして、交差点とセクションからなる地理的な空間を用いることが考えられる。例えば、異なるソースから交通情報データを受信した時、異なる構成要素に基づいた交通情報データは、まず、構成要素と交差点とセクションの間の対応に従って、交差点とセクションに基づいた交通情報に変換することができる。これにより、それらの情報を、道路状況の報告と予測のためのより包括的かつ正確な交通情報を提供するために融合させることができる。
【0031】
上述した本発明の概念に基づいて、本発明は道路網を表現するための方法と装置を提案する。本発明において、多種多様な道路地図と互換性をもつ中間モデルを構築するため、交差点とセクションを、道路網を表現するのに用いる。以下、本発明の実施の形態による道路網を表現する処理について、図1を参照して説明する。
【0032】
図1に示す本発明の実施の形態による道路網を表現するための装置1は、交差点とそれらの属性を取得するために、道路地図の道路網から、地理的な空間における道路交差点に対応する部分とそれらの部分の属性を抽出する交差点抽出ユニット10と、セクションとそれらの属性を取得するために、道路地図の道路網において、取得した各交差点とその隣接する交差点との間の部分とそれらの属性を抽出するセクション抽出ユニット20と、取得した交差点とそれらの属性及び取得したセクションとそれらの属性を用いて、道路地図の道路網を表わすのための道路網表現ユニット30とを含む。
【0033】
上述したように、ある道路網を構成する構成要素は、他の道路網を構成するそれらとは相違する。ナビゲーション・ディジタルマップの道路トポロジーネットワークは、道路のトポロジーを含む、リンクとノードから構成される(ここで、一部のリンクは道路名の情報を含んでいる)。一般的に、双方向道路は、2本の一方向路線によって表わされる。都市地図は、一般に、都市地図の道路網における簡素化した道路経路によって表わされる。そして、道路は、一般に実際の経路のセンターラインで表わされ、道路名と交差点名を有する。テキスト形式の道路地図は、道路と交差点の名称を有する。これらの地図間の対応を確立するために、各道路名に対応する地理的な空間を見付け出す。本実施の形態において、交差点抽出ユニット10は、道路地図からそれぞれの道路の名称を抽出し、各道路名称について、その道路名称を有する道路の各走行方向に沿って一連の経路を見付け出す。ここで、用語「経路」は、多種多様な道路地図の道路を構成する要素の総称である。例えば、経路は、ナビゲーション・ディジタルマップにおけるリンクかもしれないし、あるいは都市地図における道路区分かもしれない。好ましい実施例では、一連の経路は完全な地理的な経路かもしれない。そして、各方向における経路は、図3で矢印によって示すように連続する。また好ましい実施例では、地理的な空間における双方向道路は、双方向道路の名称と同じ名称を有する2本の一方向道路として表わすことができる。
次に、各道路について、交差点抽出ユニット10は、他の道路名の道路に属する各一連の経路と交差する一連の経路の交差位置を見付け出す。その交差位置は、地理的空間における道路交差点(すなわち、道路が他の道路と交差する交差点)に対応する。交差点は、地理的な空間における道路交差点の位置と方向に基づいて、名前が付けられる。例えば、交差点は、「XX道路からXX道路への交差点」のように名前が付けられる。交差点がそれ自身の名称を有すれば、交差点の名前は、道路地図から直接取得されるか、あるいは日常生活で用いられるテキスト記述ベースの地図と互換性を保つために、日常生活において用いられている名前に手作業で設定される。その結果、交差点抽出ユニット10は、各道路名について上述した処理を実行することにより、交差点とそれらの名称をすべて取得することができる。
【0034】
交差点は、様々な方向における交通の流れが集中する地理的な空間である。本発明においては、交通情報を記述するために使用する独立の要素としての交差点を細分化する。すなわち、交通状況をさらに分析するのために、異なる方向における交差点のターン関係を抽出する。
例として、概括的な記述「XX交差点は渋滞している/XX交差点上の速度は10km/hである」は、交通状況の分析と予測にとって不十分である。
「XX交差点上の東から南への速度は10km/hである」、「XX交差点上の西から北への速度は40km/hである」のような、より多くの詳細を取得することができれば、交差点の東から南のターンで渋滞が生じ、その一方で西から北のターンで道路は渋滞無く通じていることを明確に知ることができる。
これにより、車両のドライバは、単に交差点が渋滞していることを知る代わりに、交差点から渋滞の無いあるいは渋滞の少ないルートを決定することができる。そのため、名前属性に加えて、交差点の属性は、少なくともターン関係を含んでいる。このターン関係は、交差点のそれぞれのターンの記述であり、各ターンの地理的な経路と方向の記述を含んでいる。
通常、一般的なクロス交差点は、北から南、南から北、東から西、西から東、北から東、東から北、北から西、西から北、南から東、東から南、南から西、西から南を含む12のターン方向(本実施の形態において、交差点の直進方向もターン関係に含まれている)を有している。
本発明の実施の形態において、交差点のターン関係について明確に記述するために、交差点のターン関係を、通過する地理的経路(通常、入口経路と出口経路を含む)と方向の記述を利用して記述する。例えば、「北第4環状道路から学園道路(XUEYUAN Road)の交差点」については、この交差点のターン関係は、「通過する地理的経路:入口−北第4環状道路、出口−学園道路(XUEYUAN Road)、「ターン:東から北」、「入口−学園道路XUEYUAN Road、出口−北第4環状道路、ターン:南から東」を含む。例として、交差点のターン関係は、さらに、ターン角度の記述とそれに類する記述を含んでもよい。
【0035】
さらに、当業者であれば、名称とターン関係に加えて、交差点の属性が交差点のタイプなどの他の属性を含むことを十分に理解するだろう。
交差点は、例えば、クロス型交差点、T字型交差点、ロータリー交差点、幹線道路出口、幹線道路入口、道路終点、等の様々なタイプを含む。様々なタイプの交差点について図4に示している。異なるタイプの交差点については、交差点の属性は他の適切な形式で表わされる場合がる。例えば、幹線道路出口/入口に関しては、幹線道路経路と脇道経路とが明示的に示される。
【0036】
好ましい例では、道路網表現装置1は、交差点抽出ユニット10によって交差点とそれらの属性が抽出された後、取得した交差点とそれらの属性を記憶するのための交差点記憶ユニット(示されない)をさらに含むことが可能である。
【0037】
各道路上の交差点が交差点抽出ユニット10によって取得された後、セクション抽出ユニット20は、道路地図の道路網における隣接する交差点間の各部分を、セクションとして抽出する。更に、セクション抽出ユニット20は、セクションの開始と終了の交差点間の少なくとも地理的な経路を含む各セクションの属性を取得する。さらに、当業者であれば、セクションの属性が、セクションの方向、セクションを含む道路の名称などの他の属性を含むことを容易に理解するだろう。
【0038】
好ましい例では、道路網表現装置1は、セクション抽出ユニット20によってセクションとそれらの属性が抽出された後、セクションとそれらの属性を記憶するのためのセクション記憶ユニット(示されない)をさらに含むことが可能である。
【0039】
その後、道路網表現ユニット30は、取得した交差点とセクションの属性を用いることにより、道路地図の道路網を表現する。
図3を参照すると、道路網表現装置1によって取得した道路網の一部分を表現した例を示している。
図3の左上は、最初の交通流の方向を表わす。そして、図3の左下の括弧は、セクションを表わす。図3の右側は、交差点とセクション間の関係を示している。
Section16、Section26、Section36は交差点間のセクションであり、Intersection1は交差点である。
ITR1、ITR2、ITR3、ITR4およびITR5は、交差点1のターン関係である。
【0040】
好ましい例では、道路網表現装置1は、道路網表現ユニット30によって道路地図の交差点とセクションの表現が取得された後、セクションとそれらの属性を記憶するのためのセクション記憶ユニット(図示しない)をさらに含むことが可能である。
【0041】
図2は、道路網表現装置によって実行される処理のフローチャートを示す。
ステップ200で、交差点抽出ユニット10は、道路地図の道路網から、交差点と、道路名とターン関係を含むそれらの属性とを抽出する。
ステップ202で、セクション抽出ユニット20は、取得した各交差点と道路地図の道路網における隣接の交差点との間のセクションと、それらのセクションの属性を抽出する。
ステップ204で、道路網表現ユニット30は、取得した交差点とそれらの属性及びセクションとそれらの属性を用いて道路地図の道路網を表現する。
【0042】
上述のように、交通情報のほとんど全ての記述は、基本的に、オーバラップしない点と線からなる地理的な空間に基づいており、ここで、点は交差点であり、線は隣接する交差点間のセクションである。このため、道路は一連の互い違いの交差点とセッションから構成され、交通情報は道路の視点から交差点とセクションによって記述することができる。したがって、交差点とセクションによって表現される道路網は、様々な道路地図に基づいて交通情報を変換し統合するために、多種多様な道路地図と互換性をもつ中間のモデルとして用いられる。さらに、交差点とセクションの道路網表現において、交差点とセクションの属性の記述は、既にテキスト記述ベースの地図を含んでいる。このため、交差点とセクションの道路網表現は、テキストで記述された交通情報と、使用者によってアップロードされ又は手作業で収集された交通情報に適している。
【0043】
次に図5を参照して、交差点とセクションによって表現される道路網を用いることにより、異なるデータソースからの、及び/又は、異なる道路地図に基づく様々な形式の交通情報データを変換し融合する、本発明の実施の形態による交通情報データを処理するのためのシステム2について説明する。
【0044】
交通情報データを処理するのためのシステム2は、1又は複数種の道路地図に基づく交通情報データを、1又は複数種の道路地図の道路網と交差点及びセクションによって表現される道路網との間の対応関係に基づいて、交差点とセクションについての交通情報データに変換するのための変換装置22と、交差点とセクションの変換された交通情報データを融合して統合された交通情報データを取得するための融合装置24とを含んでいる。
ここで、交差点とセクションによって表現され道路網は、道路網を表現するための装置1によって予め取得され、交差点/セクション表現記憶ユニットに格納される。あるいは、交通情報データを処理するためのシステム2は、道路網を表現するための装置1を含むことも可能である。
【0045】
図3を参照すると、交通情報データを処理するためのシステム2への入力は、多種多様なデータソースからの多種多様な形式の交通情報データを含む。交通情報データには、例えば、ナビゲーション・ディジタルマップの道路網の交通情報データ(固定交通監視装置やプローブ車両から取得される)、簡易な都市地図の道路網の交通情報データ、固定フォーマットで表わされるフォーマットされた交通情報データ(例えば、輸送管理局からの情報)、使用者によってアップロードされたテキスト(日常生活の言語で表され、交通情報サービスと通信プラットホームで使用され、自然言語で表現されたテキスト)等が含まれる。
【0046】
上記3つのタイプの交通情報は、すべて道路網の所定の形式に基づいており、一般に固定フォーマットを有する。
例えば、ナビゲーション・ディジタルマップに基づいた交通情報データは、一般に、リンクに基づいた道路走行時間、走行速度などを含んでいる。また、フォーマットされた交通情報データは、一般に、道路−交差点−セクションについての交通状況記述に基づいている。
そのため、さらに次の処理を行う交通情報データを処理するシステム2に、その情報を直接入力することが可能である。
使用者によってアップロードされたテキストは、自然言語表現であるため、システム2に入力される前に自然言語処理(NLP:natural language process)解析を実行する必要がある。自然言語処理解析は、関連する交差点と道路の名前、交差点と道路の交通状態を抽出するために、NLP知識ベースを参照して先行技術の既知のNLP方法によって実行することが可能である。その解析は、任意の既知の方法と装置によって実行することができる。従って、それらの詳細についてここでは省略する。
【0047】
変換装置22は、上述した様々な形式の入力交通情報データを受信し、交差点とセクションによって表わされる道路網を参照して、そられの交通情報データを変換する。例えば、変換装置22は、交通情報における名前、方向、経路等に基づいて、交通情報データをそれぞれの交差点とセクションに関連付け、交差点とセクションに基づいた交通情報データを取得する。交差点とセクションに基づいて変換された交通情報データは、記憶ユニットに格納されるか、あるいは、融合装置24に直接提供される。
【0048】
融合装置24は、変換された交差点とセクションの交通情報データを融合し、統合された交通情報データを取得する。
交通情報データは、走行速度、走行時間および渋滞度合いを含んでいる場合がある。これにより、融合装置24は、交差点のそれぞれのターンについて走行速度、走行時間および渋滞度合いを計算し、および/または、セクション上の走行速度、走行時間あるいは渋滞度合いを計算すること可能である。
交差点について、融合装置24は、交差点のターン関係に基づいた交差点の交通情報データを融合してもよい。これにより、交差点の交通情報データが各方向において細分化され、交差点の交通状態が、「XX交差点は渋滞している」のような一般的な記述に比べてより具体的にかつ明確に反映される。
【0049】
様々な形式の交通情報データが存在するので、変換された交差点とセクションの交通情報データにおいては、単一の交差点および(または)単一のセクションが、関連する交通情報データを1つ以上有する場合がある。
融合装置24は、単一の交差点および(または)単一のセクションについて交通情報データを融合し、それにより、より正確でより信頼できる交通情報を取得することが可能である。
例えば、同じセクションについて、複数個の交通情報データで提供されるそのセクション上の走行時間を平均し、その平均値をそのセクションについての交通情報データとして用いることが可能である。
あるいは、異なるソースから交通情報データは、それらの交通情報データソースの信頼性とリアルタイム性に従って異なる重みが割り当てられる。
例えば、手作業で収集された交通情報データの信頼性とリアルタイム性は一般に交通監視装置によって提供される交通情報データのそれらより高いので、前者により大きな重みを割り当て、後者により小さな重みを割り当て、それにより加重平均を取得することができる。
当業者であれば、様々な既知の方法によって同じ対象の情報データを融合することができることを十分に理解するだろう。
【0050】
さらに、異なるデータソースから交通情報データが、異なる交差点および(または)異なるセクションの交通情報データを提供する場合がある。その場合、変換された交通情報データには、ある交差点/セクション/に属する交通情報だけでなく、他のセクション/交差点に属する交通情報も存在するかも知れない。融合装置24は、より広い範囲についてより包括的な交通情報を取得するために、交差点/セクションとそれらに関連する交差点/セクションの交通情報データを融合する。
例えば、固定監視装置からの交通情報が「学園道路(XUEYUAN Road)の南から北への走行速度は10km/hである」であり、同時に、学園橋(北第4環状道路が学園道路(XUEYUAN Road)と交差する交差点)に位置する情報収集要員は、「学園道路(XUEYUAN Road)は西から南の方向(方角)に沿って渋滞している」と報告する。
これら2つの情報間の関係を自動的に判定することが可能であれば、これら2つの情報を融合することにより、学園道路(XUEYUAN Road)は南から北で及び北から南で渋滞しているということを取得することができる。
更に、融合装置24は、同じ道路に属する交差点とセクションの交通情報データを融合し、道路全体の交通状態を取得することが可能である。
【0051】
当業者は、用途と要求に従って融合装置24がさらに他の方法で交差点とセクションの交通情報を融合することができることを十分に理解するだろう。本発明は上述した融合方法に限定されない。
【0052】
交差点とセクションの融合した交通情報データは、次の交通情報分析、予測および道路状況問合せのために、記憶ユニットあるいはデータベースなどに格納される。
図6は、本発明の他の実施の形態による交通情報データを処理するシステム3の概要を示すブロック図であり、このシステム3においては、交通情報サービス基盤に提供するために、履歴モード分析および道路状況の予測が、交差点とセクションの融合した交通情報データを用いて実行される。
【0053】
交通情報データの処理のための上記のシステム2と比較して、処理システム3の変換装置32と融合装置34は、その機能に関してそれぞれ上記変換装置22及び融合装置24と同一である。したがって、ここでは、それらの詳細については省略する。
処理システム3は、さらに、交差点とセクションの融合した交通情報データを分析することにより、交差点とセクションの交通情報データのパターンを取得し、交通情報データの履歴パターンの生成する履歴パターン生成装置36と、融合装置34からの交差点とセクションの現在の交通情報データと生成された履歴パターンとに基づいて未来時における交通情報を予測するのための予測装置38とを含んでいる。
【0054】
融合装置34によって融合された交差点とセクションの交通情報データは、履歴パターン生成装置36に提供される。履歴パターン生成装置36は、順番に交通情報を履歴情報として蓄積し、その履歴情報に従って、交差点のセクションとそれぞれのターンについて、各時間帯における、平均走行時間あるいは平均走行速度の曲線などの交通情報データパターンを取得する。
そのような交通情報データパターンは予測と初期状況のための履歴パターンとして用いられる。
予測装置38は、融合装置34からの交差点とセクションの現在の交通情報データと履歴パターン生成装置36によって生成された履歴パターンに従って、未来時における交通情報を予測する。
履歴パターン生成装置36と予測装置38の動作は、特許文献1に記載されるパターン生成と予測技術のような適切な関連技術によって実行することが可能である。したがって、それらの詳細についてここでは省略する。
【0055】
予測装置38によって取得された交差点とセクションの交通情報は、記憶ユニットに格納され、例えば、予測された交通情報を用いることにより、道路状況の予測サービスや運転ナビゲーションサービスなどの関連サービスを提供する交通情報サービスエンジン/プラットフォーム50に提供される。
【0056】
図7は、本発明の実施の形態による交通情報データを処理する方法を示すフローチャートである。
ステップ700で、変換装置32は、異なるデータソースから交通情報データを受信し、交差点とセクションによって表わした道路網を参照して交通情報データを各交差点とセクションの交通情報に変換する。
ステップ702で、融合装置34は、変換した交差点とセクションの交通情報を融合し、統合された交通情報データを取得する。
ステップ704で、履歴パターン生成装置36は、融合した交差点とセクションの交通情報データを分析することにより、交差点とセクションの交通情報データのパターンを取得し、交通情報データの履歴パターンを生成する。
ステップ706で、予測装置38は、交差点とセクションの現在の交通情報データと生成した履歴パターンに基づいて未来時における交通情報を予測する。
【0057】
以上、本発明の特定の実施の形態による交通情報データを処理する方法と装置について説明した。上記実施の形態においては、交差点とセクションから構成される地理的な空間が、異なるソースからの交通情報データを融合するために中間モデルとして用いられる。異なるソースから交通情報データを受信すると、最初に異なる構成要素ベースの交通情報データが交差点とセクションの交通情報データに変換される。その後、変換した交通情報データは、道路状況の報告と予測のためにより包括的でより正確な交通情報を提供するために融合される。
【0058】
前述は本発明の解決策を例示的に説明したに過ぎず、本発明を上記のステップおよび要素構造に限定するものではないことに留意されたい。これらのステップおよび要素構造は、必要に応じて調整および修正することが可能である。また、ステップおよび要素の中には、本発明の全体概念の実装において必須ではないものもある。したがって、本発明の重要な技術的特徴は、上記の具体的な実施例によって限定されるのではなく、本発明の全体概念の実装における最低限の要件によってのみ限定される。
【0059】
本発明は以下の効果を提供する。
日常生活の言語による記述の交通情報の特徴を考慮することにより、交差点とセクションによって表わされる道路網が中間モデルとして提起され、異なるレベルの地図と交差とセクション間の対応関係が確立される。
道路網の主要なノードとしての交差点の重要性が強調され、そして、交差点の異なるターン経路が細かく抽出され、これにより、交通情報をより正確に処理することができる。
交通フローの特性を十分に考慮することによって、同じセクション上の交通情報は本質的が一致し、交差点の各ターンについての交通情報は互いに相違していてもよい。
そのような考えによって、交通情報データの処理を、より正確なものとし、様々な形式の地図表現と互換性を有し、かつ汎用性を有するものとする。
【0060】
以上、本発明についてその好適な実施例を参照して開示してきたが、当該技術に精通した当業者には、本発明の精神と範囲から逸脱することなく他の様々な修正、変更、追加を行うことが可能なことは明らかであろう。したがって、本発明の範囲は上記の具体的な実施例に限定されず、付記した請求項によってのみ限定される。
【0061】
さらに、上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、これに限定されない。
【0062】
(付記1)
地理的空間における道路交差点に対応する道路地図の道路網における部分と当該部分の属性を抽出し、交差点とそれらの属性を取得する交差点抽出ステップと、
道路地図の道路網において、取得した各交差点とその隣接する交差点との間の部分とそれらの属性を抽出し、セクションとそれらの属性を取得するセクション抽出ステップと、
取得した交差点とそれらの属性及び取得したセクションとそれらの属性を用いて、道路地図の道路網を表わす道路網表現ステップと
を含むことを特徴とする道路網を表現する方法。
【0063】
(付記2)
前記各交差点の属性が、少なくとも交差点の名前とターン関係を含み、
前記交差点の名前は、地理的空間における各道路交差点の位置とターン関係に対応し、
前記ターン関係は、交差点のそれぞれのターンを記述し、少なくとも各ターンの地理的経路と方向記述を含む
ことを特徴とする付記1に記載の道路網を表現する方法。
【0064】
(付記3)
前記各セクションの属性が、少なくともセクションの開始と終了の交差点間の地理的な経路を含むことを特徴とする付記1に記載の道路網を表現する方法。
【0065】
(付記4)
前記道路地図は、ナビゲーション・ディジタルマップと都市道路地図を含む1又は複数種の地図であることを特徴とする付記1に記載の道路網を表現する方法。
【0066】
(付記5)
前記交差点抽出ステップで、道路地図中の各道路名称について、当該道路名称を有する道路の各走行方向に沿って一連の経路を見付け出し、その後、他の道路名の道路に属する各一連の経路と交差する一連の経路の交差位置であって、地理的空間における道路交差点に対応する交差位置を見付け出すことを特徴とする付記1に記載の道路網を表現する方法。
【0067】
(付記6)
1以上のタイプの道路地図の道路網に基づく交通情報データを、1以上のタイプの道路地図の道路網と交差点及びセクションによって表現される道路網との間の対応に基づいて、交差点とセクションの交通情報データに変換する変換ステップと、
変換された交差点とセクションの交通情報データを融合して、統合された交通情報データを取得する融合ステップとを含み、
前記交差点とセクションによって表現される道路網は、付記1から付記5の何れかの1つの道路網を表現する方法によって取得される
ことを特徴とする交通情報データを処理する方法。
【0068】
(付記7)
前記融合ステップで、交差点の各交通情報データは交差点のターン関係に基づいて融合されることを特徴とする付記6に記載の交通情報データを処理する方法。
【0069】
(付記8)
前記融合ステップで、同じ交差点の交通情報データが結合され、同じセクションの交通情報データが結合されることを特徴とする付記6に記載の交通情報データを処理する方法。
【0070】
(付記9)
前記融合ステップで、互いに関連する交差点とセクションの交通情報データを分析し結合し、関連する交差点とセクションを含むエリアについて交通情報データを取得することを特徴とする付記6に記載の交通情報データを処理する方法。
【0071】
(付記10)
前記交通情報データは、走行速度、走行時間あるいは渋滞度合いを含み、
前記融合ステップで、
交差点のそれぞれのターンについて走行速度、走行時間および渋滞度合いを計算し、および/または、セクション上の走行速度、走行時間あるいは渋滞度合いを計算することを特徴とする付記6に記載の交通情報データを処理する方法。
【0072】
(付記11)
融合した交差点とセクションの交通情報データを分析することにより、交差点とセクションの交通情報データのパターンを取得し、交通情報データの履歴パターンを生成する履歴パターン生成ステップと、
交差点とセクションの現在の交通情報データと生成した履歴パターンに基づいた未来時における交通情報を予測する予測ステップと
さらに含むことを特徴とする付記6に記載の交通情報データを処理する方法。
【0073】
(付記12)
地理的空間における道路交差点に対応する道路地図の道路網における部分と当該部分の属性を抽出し、交差点とそれらの属性を取得する交差点抽出ユニットと、
道路地図の道路網において、取得した各交差点とその隣接する交差点との間の部分とそれらの属性を抽出し、セクションとそれらの属性を取得するセクション抽出ユニットと、
取得した交差点とそれらの属性及び取得したセクションとそれらの属性を用いて、道路地図の道路網を表わす道路網表現ユニットと
を備えることを特徴とする道路網を表現する装置。
【0074】
(付記13)
前記交差点抽出ユニットは、道路地図中の各道路名称について、当該道路名称を有する道路の各走行方向に沿って一連の経路を見付け出し、その後、他の道路名の道路に属する各一連の経路と交差する一連の経路の交差位置であって、地理的空間における道路交差点に対応する交差位置を見付け出すことを特徴とする付記12に記載の道路網を表現する装置。
【0075】
(付記14)
1以上のタイプの道路地図の道路網に基づく交通情報データを、1以上のタイプの道路地図の道路網と交差点及びセクションによって表現される道路網との間の対応に基づいて、交差点とセクションの交通情報データに変換する変換装置と、
変換された交差点とセクションの交通情報データを融合して、統合された交通情報データを取得する融合装置とを備え、
前記交差点とセクションによって表現される道路網は、付記1から付記5の何れかの1つの道路網を表現する方法によって取得される
ことを特徴とする交通情報データの処理システム。
【0076】
(付記15)
前記融合装置は、交差点のターン関係に基づいて交差点の各交通情報データを融合することを特徴とする付記14に記載の交通情報データの処理システム。
【0077】
(付記16)
前記融合装置は、同じ交差点の交通情報データを結合し、かつ同じセクションの交通情報データを結合することを特徴とする付記14に記載の交通情報データの処理システム。
【0078】
(付記17)
前記融合装置は、互いに関連する交差点とセクションの交通情報データを分析し結合し、関連する交差点とセクションを含むエリアについて交通情報データを取得することを特徴とする付記14に記載の交通情報データの処理システム。
【0079】
(付記18)
前記交通情報データは、走行速度、走行時間あるいは渋滞度合いを含み、
前記融合装置は、交差点のそれぞれのターンについて走行速度、走行時間および渋滞度合いを計算し、および/または、セクション上の走行速度、走行時間あるいは渋滞度合いを計算することを特徴とする付記14に記載の交通情報データの処理システム。
【0080】
(付記19)
融合した交差点とセクションの交通情報データを分析することにより、交差点とセクションの交通情報データのパターンを取得し、交通情報データの履歴パターンを生成する履歴パターン生成装置と、
交差点とセクションの現在の交通情報データと生成した履歴パターンに基づいた未来時における交通情報を予測する予測装置と
さらに備えることを特徴とする付記14に記載の交通情報データの処理システム。

【符号の説明】
【0081】
1:道路網を表現する装置
10:交差点抽出ユニット
20:セクション抽出ユニット
30:道路網表現ユニット
2:交通情報データの処理システム
22:変換装置
24:融合装置
3:交通情報データの処理システム
32:変換装置
34:融合装置
36:履歴パターン生成装置
38:予測装置
50:交通情報サービスエンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地理的空間における道路交差点に対応する道路地図の道路網における部分と当該部分の属性を抽出し、交差点とそれらの属性を取得する交差点抽出ステップと、
道路地図の道路網において、取得した各交差点とその隣接する交差点との間の部分とそれらの属性を抽出し、セクションとそれらの属性を取得するセクション抽出ステップと、
取得した交差点とそれらの属性及び取得したセクションとそれらの属性を用いて、道路地図の道路網を表わす道路網表現ステップと
を含むことを特徴とする道路網を表現する方法。
【請求項2】
前記各交差点の属性が、少なくとも交差点の名前とターン関係を含み、
前記交差点の名前は、地理的空間における各道路交差点の位置とターン関係に対応し、
前記ターン関係は、交差点のそれぞれのターンを記述し、少なくとも各ターンの地理的経路と方向記述を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の道路網を表現する方法。
【請求項3】
前記各セクションの属性が、少なくともセクションの開始と終了の交差点間の地理的な経路を含むことを特徴とする請求項1に記載の道路網を表現する方法。
【請求項4】
前記道路地図は、ナビゲーション・ディジタルマップと都市道路地図を含む1又は複数種の地図であることを特徴とする請求項1に記載の道路網を表現する方法。
【請求項5】
前記交差点抽出ステップで、道路地図中の各道路名称について、当該道路名称を有する道路の各走行方向に沿って一連の経路を見付け出し、その後、他の道路名の道路に属する各一連の経路と交差する一連の経路の交差位置であって、地理的空間における道路交差点に対応する交差位置を見付け出すことを特徴とする請求項1に記載の道路網を表現する方法。
【請求項6】
1以上のタイプの道路地図の道路網に基づく交通情報データを、1以上のタイプの道路地図の道路網と交差点及びセクションによって表現される道路網との間の対応に基づいて、交差点とセクションの交通情報データに変換する変換ステップと、
変換された交差点とセクションの交通情報データを融合して、統合された交通情報データを取得する融合ステップとを含み、
前記交差点とセクションによって表現される道路網は、請求項1から請求項5の何れかの1つの道路網を表現する方法によって取得される
ことを特徴とする交通情報データを処理する方法。
【請求項7】
前記融合ステップで、交差点の各交通情報データは交差点のターン関係に基づいて融合されることを特徴とする請求項6に記載の交通情報データを処理する方法。
【請求項8】
前記融合ステップで、同じ交差点の交通情報データが結合され、同じセクションの交通情報データが結合されることを特徴とする請求項6に記載の交通情報データを処理する方法。
【請求項9】
地理的空間における道路交差点に対応する道路地図の道路網における部分と当該部分の属性を抽出し、交差点とそれらの属性を取得する交差点抽出ユニットと、
道路地図の道路網において、取得した各交差点とその隣接する交差点との間の部分とそれらの属性を抽出し、セクションとそれらの属性を取得するセクション抽出ユニットと、
取得した交差点とそれらの属性及び取得したセクションとそれらの属性を用いて、道路地図の道路網を表わす道路網表現ユニットと
を備えることを特徴とする道路網を表現する装置。
【請求項10】
1以上のタイプの道路地図の道路網に基づく交通情報データを、1以上のタイプの道路地図の道路網と交差点及びセクションによって表現される道路網との間の対応に基づいて、交差点とセクションの交通情報データに変換する変換装置と、
変換された交差点とセクションの交通情報データを融合して、統合された交通情報データを取得する融合装置とを備え、
前記交差点とセクションによって表現される道路網は、請求項1から請求項5の何れかの1つの道路網を表現する方法によって取得される
ことを特徴とする交通情報データの処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−138486(P2011−138486A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−247286(P2010−247286)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(505418870)エヌイーシー(チャイナ)カンパニー, リミテッド (108)
【氏名又は名称原語表記】NEC(China)Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】