説明

交換用剃刀

【課題】頭皮に対するブリッスルや刃物の傾斜角度の調整に何らの熟練やこつを必要とすることなく毛髪の切断のできる毛髪用ブラシ等に使用される交換用剃刀を提供することにある。他の目的は、使用時に刃物により、頭皮を損傷させるおそれのない安全性に優れた毛髪用ブラシ等に使用される交換用剃刀を提供することを目的とする。
【解決手段】刃物用母材に少なくとも2個の刃物を立設し、該刃物は、刃物用母材の長手方向と平行する直線に対して傾斜させながら複数個間隔を置いて互いに並行に配置されてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、毛髪の切断機能、毛髪の梳き機能および頭皮のマッサ−ジ機能を備えた毛髪用ブラシ等に使用される交換用剃刀に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の美粧を図ることを目的として、毛髪を梳き、過剰な毛髪を部分的に切断し、かつ、頭皮のマッサージを行いつつ、毛髪のスタイルを調整することが広く行われている。このような作業には、目的に応じて独立した梳きはさみとくしが利用され、毛髪の梳き作業と切断が伝統的に行われていた。また、毛髪の調整と併せ頭皮のマッサージを行うことを目的として毛髪用ブラシが採用されていることも知られるとおりである。
【0003】
しかし、前記の背景技術では梳きはさみとくしのほか毛髪用ブラシの使用が必要であり、その作業には熟練やいわゆるこつを必要としたので、使い勝手に欠ける欠点があった。そこで、これらの欠点を解消しようと意図された毛髪用ブラシとして実開平51−9966号公報に記載されたものがある(特許文献1を参照)。この背景技術は、毛髪用ブラシ本体にブリッスルが3列設けられ、これのブリッスルとの間に刃先76aを毛髪用ブラシ本体に対して反対側に向けられた刃物が毛髪用ブラシ本体に設けられ、刃物76の高さがブリッスルより低く設けられたものである。
【特許文献1】実開平51−9966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の特許文献1記載の背景技術では、ブリッスルの高さに比較して高さが低い刃物76が設けられているから、一見、刃物76により頭皮を痛めることなく、毛髪の切断機能、毛髪の梳き機能および頭皮のマッサ−ジ機能を備えているものと想像されるが、依然として次の問題点がある。この背景技術の刃物76は、ブリッスルと平行に毛髪用ブラシ本体に立起されている。したがって、使用時に刃物76の刃先76aは毛髪Hに対して直角方向に向けられることになる(図5を参照)。
【0005】
かくして、毛髪の梳き作業や頭皮のマッサージをブリッスルにより行うことが期待でき、刃物76により毛髪Hの切断を行うことができるものの、刃物76の刃先76aが毛髪Hに対して直角方向に移動することになるから、希望する毛髪の切断量を超えて過剰に切断することになり、図5に示されるように毛髪が段階的に切断される現象が生じることになる。その結果、いわゆる“虎刈り”の状態を呈することになり、毛髪に不揃いを発生するという決定的な問題点がある。
【0006】
この発明の目的は、前記の背景技術の構成が有していた問題点を解決しようとするものであり、作業により、毛髪を梳くことや頭皮のマッサージを行うことと併せて、とりわけ、頭皮に対するブリッスルや刃物の傾斜角度の調整に何らの熟練やこつを必要とすることなく毛髪の切断ができる毛髪用ブラシ等に使用される交換用剃刀を提供することにある。他の目的は、使用時に刃物により、頭皮を損傷させるおそれのない安全性に優れた毛髪用ブラシ等に使用される交換用剃刀を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明が採った手段は、刃物用母材に少なくとも2個の刃物を立設し、該刃物は、刃物用母材の長手方向の中心線に対して傾斜させながら複数個間隔を置いて互いに平行に配置されてなることを特徴とする。
【0008】
また、刃物の傾斜角度が、刃物用母材の長手方向の中心線に対して10〜80度の範囲であることを特徴とする。
【0009】
また、刃物の傾斜角度が、刃物用母材の長手方向の中心線に対して60度であることを特徴とする。
【0010】
この明細書の用語「ブリッスル」とは、整髪用具本体に立起されるもので、ブラシ歯、梳き歯、ブラシ毛、くし歯など多様に称されているが、これらの用語と共通のものである。一般的には細長いピン状のものであるが、横断面の形態が円形のほか、角張ったものでなければその形態を問わない。また、豚毛などの獣毛の多数を断面円形に束ねたものもブリッスルに含まれることはいうまでもない。
【発明の効果】
【0011】
本発明の交換用剃刀は、整髪用具本体に着脱自在であるから、刃物の使用による劣化に応じて交換をすることができる。
【0012】
また、ブラシ本体の嵌合孔に交換用剃刀の刃物用母材を装着でき、また、その嵌合孔から交換用剃刀を外すことができるから、交換用剃刀の着脱機構を複雑化させることなく、簡素化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の交換用剃刀について詳述する。交換用剃刀20は、ブリッスル12が刃物用母材22に立設され、前記のブリッスル12の傍らに刃先18aを備えた刃物18が立設されるとともに、刃物18の刃先18aがブリッスル12に対向して配置されている(図1を参照)。この実施の形態では、ブリッスル12と刃物18がそれぞれ5本毎設けられてれいるが、その数は必要に応じて設けることは自由である。
【0014】
交換用剃刀20は、ブラシ本体14に形成された嵌合孔24に着脱自在に設けるようにしたものであるから、刃物用母材22が嵌合孔24の形態に対応して設けられている(図2を参照)。
【0015】
さらに具体的にいえば、該母材22の一側は波状の凹凸面26として形成され、一方、ブラシ本体14の嵌合孔24の一側は、母材22の一側の波状の凹凸面26に対応させて波状の凹凸面28として形成されている(図1を参照)。
【0016】
さらに、刃物用母材22の長手方向の両側にはストッパー30、30が形成されている。一方、ブラシ本体14の表面側における嵌合孔24の開口の両側には、前記のストッパー30、30に対応する係合段部32が形成されている(図4を参照)。
【0017】
かくして、この交換用剃刀20の刃物18側をブラシ本体14の表面から下面に向け、交換用剃刀20の該母材22をブラシ本体14の嵌合孔24に嵌合する。そして、母材22の波状の凹凸面26が、ブラシ本体14の嵌合孔24の波状の凹凸面28に嵌合され、さらに、交換用剃刀20の刃物用母材22に設けられたストッパー30、30がブラシ本体14の係合段部32により、支持されることにより、交換用剃刀20をブラシ本体14に妄動することなく、確実に装着でき、交換用剃刀20を取り外しに備えて刃物用母材22につまみ34が設けられている(図4を参照)。
【0018】
かくして、前記の交換用剃刀20の刃物用母材22をブラシ本体14の嵌合孔24に嵌合することにより、多数のブリッスル12がブラシ本体14に立起された毛髪用ブラシ10において、前記のブリッスル12の傍らに刃先18aを備えた刃物18が立設されるとともに、刃物18の刃先18aがブリッスル12に対向した毛髪用ブラシ10を得ることができる(図3を参照)。
【0019】
なお、この交換用剃刀20は、ブリッスル12と刃物18を組み合わせたものであるから、ブラシ本体14から独立してそれ自体単独で毛髪の整髪用具として利用できる利点を有する。
【0020】
他方、前記の交換用剃刀20では、ブリッスル12と刃物18を組み合わせたが、ブリッスル12を省略した毛髪ブラシ用交換刃物も発明者は予定している。
図示を省略したが、刃物用母材22に前記した刃物18を単独に立設させることにより、交換用の刃物を得ることができる。換言すれば、図1を参照して、ブリッスル12のない状態のものである。この場合は、ブリッスル12がないものであるから、ブラシ本体14のブリッスル12の傍らに嵌合孔を設けることにより、刃物をその嵌合孔に装着させるようにすればよい。
【0021】
このようなブリッスルを省略した交換用剃刀20の刃物用母材22をブラシ本体14の嵌合孔に嵌合することにより、多数のブリッスル12がブラシ本体14に立起された毛髪用ブラシ10において、前記のブリッスル12の傍らに刃先18aを備えた刃物8が立起されるとともに、刃物18の刃先18aがブリッスル12に対向した毛髪用ブラシ10を得ることができる。この場合、刃物の装着時に刃先を隣接するブリッスル12に配置することが好ましい。
【0022】
また、交換用剃刀20に立設している刃物18は、剃刀のように一側に刃先18aを備えた板状のものでよく、断面略U字状のプラスチックス製のカバー18bを設け、このカバー18b内に刃先18aをカバー18bの開口部側へ露呈させて内装されている。断面U字状のプラスチックス製のカバー18b内に刃物18を内装するには、いわゆるインサート成形を行うことにより、手軽に実施できる。
【0023】
刃物18の刃先18aの高さをブリッスル12の高さと同程度に設定する場合は、追って詳細を説明するが、使用上、刃物18の刃先18aを頭皮Tに接触させたとき、頭皮Tを損傷させるおそれがあるから、前記したプラスチックス製のカバー18bを採用し、刃物18の先端をプラスチックス製のカバー18bで覆うことにより、頭皮Tの損傷を防止できる利点を有する。
【0024】
刃物18のカバー18bには、図1に示されるように、刃物18の刃先18aの延長線に対して直角方向に刃先18aの延長線を越えて僅かに飛び出る突起18cを一定間隔毎に設けることも発明者は予定している。カバー18bの強度の増加を図ることができることのほか、突起18cを一定の間隔毎に設けることにより、刃物18とブリッスル12との間に導入される毛髪Hが突起18cにより、分断できるので毛髪Hを過剰に切断するおそれがない。
【0025】
交換用剃刀を装着した毛髪用ブラシ10の使用時の毛髪Hに対する角度は、使用者の好み、毛髪Hの梳き部位や切断する部位により、異なることが少なくない。さらに、利き腕の相違によっても毛髪Hに対する角度は相違する。毛髪用ブラシ10の使用時の毛髪Hに対する使用角度の相違は、当然のことながら、前記のブリッスル12やとりわけ、刃物18の刃先18aの傾斜角度に影響を与える。
【0026】
そこで、発明者は、前記の使用条件の相違を考慮し、実験的に使用角度の研究を試みた。その結果、たとえば、利き腕が右利きであって、右後頭部の毛髪Hを右側から首方向に向けて毛髪用ブラシ10を斜めに移動させて、毛髪Hを梳き、かつ、切断する場合を基準としたとき、その傾斜角度は、ブラシ本体14の中心線に対して10〜80度の範囲、このましくは60度が適当であることが判明した。他方、利き腕が左利きであって、左後頭部の毛髪Hを梳き、かつ、切断する場合を基準としたときのその傾斜角度は、前記と対称的にブラシ本体12の中心線に対して100〜170度の範囲、このましくは120度が適当であることが判明した。
【0027】
次にこの発明の交換用剃刀を装着した毛髪用ブラシ10の使用方法を図面を参照して説明する。
【0028】
このブラシ10のブリッスル12側を毛髪H側に向け、かつ、頭皮Tに沿わせて移動させる(図6及び図7の符号Y方向)。この場合、一般的にその移動は緩やかな円弧を描くことが普通である。この移動に伴い、多数のブリッスル12および刃物18により毛髪Hを梳くことができることは勿論、頭皮T側、換言すれば、毛髪Hの下層に存在するたとえば美観上無駄毛となる過剰な毛髪Hをブリッスル12とその傍らの刃物18の刃先18aとの間の間隔に収束状態で導入させる。
【0029】
この場合、導入される収束状態の毛髪H群は刃物18の刃先18aの垂直線方向に対してクロスされた状態で強制的に導入され、刃先18a寄りの毛髪H群の一部が刃先18aに接触する。さらに、このブラシ10を毛髪Hの先端方向(人体の首側)へ移動させることにより、毛髪Hは刃先18aと摩擦されつつ、収束状態の毛髪Hの一部つまり、刃先18a寄りに位置する毛髪H群が切断される。したがって、この発明は、自身で行う困難性の高い頭皮T寄りの位置、換言すれば、根本から毛髪Hをまとめて切断できる利点がある。そして、切断された毛髪Hは、収束状態から解放され脱落するが、ブラシ10の移動に追従して一般的に人体の首側つまり下方に位置している毛髪Hが新たに前記したブリッスル12および刃物18との間に強制されるように導入される。一方、刃先18a寄りの未切断の状態にある毛髪Hは、前記のように刃先18aに接触して引き続き切断される。
【0030】
したがって、頭皮T側つまり、下層の毛髪Hにブリッスル12とその傍らの刃物18の刃先18aを当接させることができるから、頭皮T側の毛髪Hをもブリッスル12と相まって、梳きつつ切断できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施の形態に係る交換用剃刀の斜視図
【図2】毛髪用ブラシ本体に交換用剃刀を装着する前の状態を示す斜視図
【図3】毛髪用ブラシ本体に交換用剃刀を装着した後の状態を示す斜視図
【図4】図3の一部拡大断面図
【図5】背景技術係る毛髪用ブラシの刃物の毛髪に対する切断要領を示す説明図
【図6】交換用剃刀を装着した毛髪用ブラシの使用状態を説明する図
【図7】交換用剃刀を装着した毛髪用ブラシの切断要領を示す説明図
【符号の説明】
【0032】
10 毛髪用ブラシ
12 ブリッスル
14 ブラシ本体
16 取っ手
18 刃物
18a 刃物の刃先
18b 刃物のカバー
18c 突起
20 交換用剃刀
22 刃物用母材
24 嵌合孔
26 刃物用母材の凹凸面
28 ブラシ本体の凹凸面
30 ストッパー
32 係合段部
34 つまみ
H 毛髪
T 頭皮

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃物用母材に少なくとも2個の刃物を立設し、該刃物は、刃物用母材の長手方向の中心線に対して傾斜させながら複数個間隔を置いて互いに平行に配置されてなることを特徴とする交換用剃刀。
【請求項2】
刃物の傾斜角度が、刃物用母材の長手方向の中心線に対して10〜80度の範囲であることを特徴とする請求項1記載の交換用剃刀。
【請求項3】
刃物の傾斜角度が、刃物用母材の長手方向の中心線に対して60度であることを特徴とする請求項1記載の交換用剃刀。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−296385(P2007−296385A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207153(P2007−207153)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【分割の表示】特願2003−337231(P2003−337231)の分割
【原出願日】平成15年9月29日(2003.9.29)
【出願人】(302056491)有限会社ジャパンランカトレーディング (5)
【Fターム(参考)】