説明

交通信号制御機

【課題】 消費電力を確実に削減できる交通信号制御機を提供する。
【解決手段】 本発明は、信号灯器50,51の灯色切り替えタイミングを制御する交通信号制御機1に関する。本発明の交通信号制御機1は、歩行者用灯器50に電力を供給する電源部4と、所定の停止条件を充足する場合に電源部4による歩行者用灯器50への給電を停止させる電源制御部41とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号灯器の点灯又は消灯などを制御する交通信号制御機に関する。より具体的には、当該交通信号制御機を省電力化するための方策に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点又は横断歩道には、信号灯器の青、黄、赤、青矢印等の点灯又は消灯を所定の時間間隔で繰り返すように制御する、交通信号制御機が設置されている。
かかる交通信号制御機には、「集中型」と「地点型」とがある。このうち、集中型の交通信号制御機は、交通管制センター等に設置された中央装置との間で情報通信を行う機能を備えたものであり、地点型の交通信号制御機は、中央装置との通信を行わずに単独で信号灯器の制御を行うものである。
【0003】
また、この種の交通信号制御機として、商用電源が災害等で遮断された場合でも電源を確保して交通信号制御の信頼性を高めるため、信号灯器を含む機器の電源に商用電源のAC100Vを用いる通常運転と、バッテリの直流電圧を用いるバッテリ運転とのいずれかに切り替え可能な電源部を備えた、集中型及び地点型の交通信号制御機が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−71176号公報(段落0003〜0009、図7及び図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、昨今の電力事情の悪化を背景に、例えば夏場の昼間などの電力需要が大きい時間帯に、商用電力の使用量をできるだけ削減したいというニーズがある。
しかし、特許文献1に記載の交通信号制御機では、交差点付近に歩行者が全く居ない場合や歩行者が殆ど存在しない場合であっても、歩行者用の信号灯器も必ず点灯するようになっているので、電力が無駄に消費されるという問題がある。
【0006】
このため、交通信号制御機を商用電源で駆動している場合には、商用電力の使用量をそれほど削減することができず、また、交通信号制御機をバッテリで駆動している場合には、バッテリの使用時間を余り長くできないという欠点があった。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、消費電力を確実に削減できる交通信号制御機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明の交通信号制御機は、信号灯器の灯色切り替えタイミングを制御する交通信号制御機であって、歩行者用灯器に電力を供給する電源部と、所定の停止条件を充足する場合に、前記電源部による前記歩行者用灯器への給電を停止させる電源制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明の交通信号制御機によれば、電源制御部が、所定の停止条件を充足する場合に、電源部による歩行者用灯器への給電を停止させるので、交通信号制御機の消費電力を確実に削減することができる。
従って、例えば、交通信号制御機を商用電源で駆動する場合には、商用電力の使用量を削減でき、交通信号制御機をバッテリで駆動する場合には、バッテリの使用時間を延ばすことができる。
【0009】
(2) 本発明の交通信号制御機において、前記停止条件は、前記交通信号制御機と通信する中央装置から給電停止の指令があったこととすることが好ましい。
この場合、中央装置からの給電停止の指令を契機として、歩行者用灯器への給電が停止されるので、交通信号制御機に対する省電力運転を中央装置からの集中制御によって開始させることができる。
【0010】
(3) また、本発明の交通信号制御機において、前記停止条件は、予め設定された実行時間が開始したことであってもよい。
この場合、予め設定された実行時間の開始を契機として、歩行者用灯器への給電が停止されるので、例えば、その実行時間の開始時点を電力需要が多くなる時点に設定することにより、交通信号制御機に対する省電力運転を適切な時点で開始することができる。
【0011】
(4) 本発明の交通信号制御機において、前記電源部が、商用電源とバッテリとのいずれかに使用電源を切り替え可能な電源切替部を有する場合には、前記停止条件は、使用中の前記バッテリのバッテリ残容量が所定量を下回ったことであってもよい。
この場合、バッテリ残容量が所定量を下回ったことを契機として、歩行者用灯器への給電が停止されるので、バッテリ残容量が所定量未満である場合にバッテリの電力が歩行者用灯器の駆動に使用されなくなり、バッテリの使用時間を延ばすことができる。
【0012】
(5) また、本発明の交通信号制御機において、前記電源部が、商用電源とバッテリとのいずれかに使用電源を切り替え可能な電源切替部を有する場合には、前記停止条件は、前記電源切替部が前記使用電源を前記商用電源から前記バッテリに切り替えたことであってもよい。
この場合、電源切替部が使用電源をバッテリに切り替えたことを契機として、歩行者用灯器への給電が停止されるので、バッテリの使用当初からその電力が歩行者用灯器の駆動に使用されなくなり、バッテリの使用時間を延ばすことができる。
【0013】
(6) 本発明の交通信号制御機において、前記電源制御部が、所定の再開条件を充足する場合に、前記電源部による前記歩行者用灯器への給電を再開させるようにすれば、歩行者用灯器に対する灯色の替え制御を自動的に再開させることができる。
【0014】
(7) 本発明の交通信号制御機において、前記再開条件は、前記交通信号制御機と通信する中央装置から給電再開の指令があったこととすることが好ましい。
この場合、中央装置からの給電再開の指令を契機として、歩行者用灯器への給電が再開されるので、交通信号制御機に対する省電力運転を中央装置からの集中制御によって終了させることができる。
【0015】
(8) また、本発明の交通信号制御機において、前記再開条件は、予め設定された実行時間が終了したことであってもよい。
この場合、予め設定された実行時間の終了を契機として、歩行者用灯器への給電が再開されるので、例えば、その実行時間の終了時点を電力需要が少なくなる時点に設定することにより、交通信号制御機に対する省電力運転を適切な時点で終了させることができる。
【0016】
(9) 本発明の交通信号制御機において、前記電源部が、商用電源とバッテリとのいずれかに使用電源を切り替え可能な電源切替部を有する場合には、前記再開条件は、前記電源切替部が前記使用電源を前記バッテリから前記商用電源に切り替えたことであってもよい。
この場合、電源切替部が使用電源を商用電源に切り替えたことを契機として、歩行者用灯器への給電が再開されるので、バッテリの電力が歩行者用灯器の駆動に使用されることがなく、バッテリの使用時間を延ばすことができる。
【0017】
(10) ところで、単に歩行者用灯器への給電を停止するだけでは、歩行者に何の連絡もなく歩行者用灯器が滅灯することになり、歩行者の通行に混乱を来す可能性がある。
そこで、前記電源制御部は、前記歩行者用灯器への給電を停止させる場合に、前記歩行者用灯器が滅灯する理由及びその滅灯の状況のうちの少なくとも1つの表示を、歩行者に提示する表示装置を作動させることが好ましい。
上記の滅灯する理由の表示としては、例えば、「省電力中」などの表示があり、滅灯の状況の表示としては、例えば「消灯中」又は「電力供給停止中」などの表示がある。
【0018】
(11) また、前記表示装置として、前記表示に電力が不要な表示部を有するものを採用すれば、当該表示を行っている期間中の表示装置の消費電力がゼロになる。
このため、例えば当該表示を電光表示板などで行う場合に比べて、歩行者用灯器への給電停止による省電力効果をより向上させることができる。
【0019】
(12) 更に、前記電源制御部が、前記電源部からの前記歩行者用灯器への給電を再開させる場合に、前記表示装置による前記表示を中止させるようにすれば、前記表示装置による表示の開始だけでなく、その表示の終了についても電源制御部から自動的に行え、表示装置を用いた表示の切り替えを容易に行うことができる。
【0020】
(13) 本発明の交通信号制御機において、前記電源制御部は、前記歩行者用灯器への給電の停止期間中に、歩行者用の押しボタン装置への操作信号が検出された場合には、前記歩行者用灯器への給電を一時的に再開させるようにしてもよい。
この場合、交通信号制御機の消費電力を削減するために歩行者用灯器への給電を停止している期間中でも、通常運転の場合と同様に、歩行者の意思に応じて当該歩行者の通行権を表示することができる。
【0021】
(14) 歩行者用灯器への給電を一時的に再開する場合、前記電源制御部は、前記押しボタン装置が設置されている横断歩道の前記歩行者用灯器である対応灯器については、給電の再開時に歩行者赤を点灯することが好ましい。
その理由は、対応灯器の場合には、押しボタン装置が操作された時点では横断歩道を通行できないため、車両用灯器を赤に切り替えるまでの間は、歩行者赤を点灯させる必要があるからである。
【0022】
(15) また、前記電源制御部は、給電の再開時に歩行者赤を点灯した前記対応灯器については、歩行者青点滅の階梯から歩行者赤の階梯に切り替わった時点の所定時間経過後に、給電を停止することが好ましい。
このようにすれば、対応灯器が点灯する歩行者青の全時間を確保することができ、対応灯器に従って通行する歩行者に十分な通行権を与えることができる。
【0023】
(16) 一方、前記電源制御部は、前記押しボタン装置が設置されていない横断歩道の前記歩行者用灯器である非対応灯器については、その横断歩道を横断するために必要な歩行者青の表示時間が確保されている場合は、給電の再開時に歩行者青を点灯することにしてもよい。
その理由は、非対応灯器について歩行者青の表示時間が確保されておれば、非対応灯器にいきなり歩行者青を出しても、歩行者が横断歩道を渡りきることができるからである。
【0024】
(17) これに対して、上記非対応灯器について横断歩道を横断するために必要な歩行者青の表示時間が確保されていない場合は、前記電源制御部は、給電の再開時に歩行者赤を点灯すればよい。
その理由は、非対応灯器について歩行者青の表示時間が確保されていなければ、非対応灯器にいきなり歩行者青を出すと、横断歩道を渡りきれない可能性が高いので、先に歩行者赤を出してから、次の歩行者青で通行権を与えることが好ましいからである。
【0025】
(18) また、前記電源制御部は、給電の再開時に歩行者赤を点灯した前記非対応灯器については、歩行者青点滅の階梯から歩行者赤の階梯に切り替わった時点の所定時間経過後に、給電を停止することが好ましい。
このようにすれば、非対応灯器が点灯する歩行者青の全時間を確保することができ、非対応灯器に従って通行する歩行者に十分な通行権を与えることができる。
【0026】
(19) 更に、前記電源制御部は、給電の再開時に歩行者赤を点灯した前記非対応灯器については、少なくとも歩行者青と歩行者青点滅を表示するまで給電を続けるようにすることが好ましい。
その理由は、給電の再開時に歩行者用赤だけが点灯されて再び消灯すると、歩行者は横断できないと誤って判断して横断できないおそれがあるが、歩行者赤の後に少なくとも歩行者青と歩行者青点滅を表示すれば、歩行者が横断できる時間を確保できるからである。
【発明の効果】
【0027】
以上の通り、本発明によれば、電源制御部が、所定の停止条件を充足する場合に電源部による歩行者用灯器への給電を停止させるので、交通信号制御機の消費電力を確実に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係る交通信号制御機の構成例を示すブロック図である。
【図2】中央装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】中央装置が保持する対応テーブルの一例を示す図である。
【図4】中央装置との交通信号制御機との間で送受信する制御フレームのシーケンス図である。
【図5】表示装置の構成例を示す図であり、(a)は通常運用時の状態、(b)は省電力運転時の状態を示す。
【図6】表示装置の別の構成例を示す図であり、(a)は通常運用時の状態、(b)は省電力運転時の状態を示す。
【図7】本発明の第2実施形態に係る交通信号制御機の構成例を示すブロック図である。
【図8】中央装置が保持する対応テーブルの一例を示す図である。
【図9】中央装置との交通信号制御機との間で送受信する制御フレームのシーケンス図である。
【図10】押しボタン装置と信号灯器の設置例を示す交差点の道路平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
〔交通信号制御機の構成〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る交通信号制御機1の構成例を示すブロック図である。
本実施形態の交通信号制御機1は、前記集中型のものであり、通信部2、制御部3、電源部4及び灯器駆動部11を備えている。なお、図1では、信号灯器50,51を駆動する灯器駆動部11が1つだけ図示されているが、実際の灯器駆動部11は、信号灯器50,51の数に応じて複数設けられている。
【0030】
また、交通信号制御機1は、外部装置と信号をやり取りするための各種のインタフェース部として、超音波感知器インタフェース部12、光感知器インタフェース部13、画像式感知器インタフェース部14、交通情報板インタフェース部15、押しボタン装置インタフェース部16及び交通信号制御機インタフェース部17などを備えている。
制御部3は、CPU31、保安動作回路32及び閃光動作回路33を備え、電源部4は、電源制御部41及びタイマー回路42を備えている。
【0031】
交通信号制御機1の通信部2には、交通管制センターに設置された中央装置6(交通管制装置ともいう。)が所定の通信回線を通じて接続されている。なお、中央装置6は、交通管制センター以外の建物に設置されていてもよい。
中央装置6は、自装置の管轄エリア内の複数の集中型の交通信号制御機1と通信回線を通じて接続されており、この中央装置6と集中型の各交通信号制御機1とから、本実施形態の交通信号制御システムが構成されている。
【0032】
通信部2は、通信回線を通じた有線通信により、中央装置6との間で所定情報のやり取りを行う。例えば、通信部2は、自機が行う交通信号制御に必要な、サイクル長、オフセット及びスプリットなどの信号制御パラメータや、光ビーコン53及び交通情報板55にて車両側に提供する交通情報などを、中央装置6からを受信する。
また、通信部2は、信号灯器51を点灯/消灯した時間等に関する情報を含む制御実行情報や、車両感知器52,54が取得した感知信号などを中央装置6に送信する。
【0033】
交通信号制御機1の電源部4には、商用電源7(例えば、AC100Vの交流電源)が接続されている。
また、灯器駆動部11には、交差点の横断歩行者に通行権を与える歩行者用の信号灯器50と、交差点の流入車両に通行権を与える車両用の信号灯器51とが接続され、交通信号制御機1の各インタフェース部12〜17には、超音波車両感知器52、光ビーコン53、画像処理式車両感知器54、交通情報板55、押しボタン装置56、及び、他の交通信号制御機101がそれぞれ接続されている。
【0034】
なお、以下において、歩行者用の信号灯器50を「歩行者用灯器50」といい、車両用の信号灯器51を「車両用灯器51」といい、両者を総称する場合には単に「信号灯器50,51」という。
【0035】
〔交通信号制御機の制御部〕
制御部3の構成要素のうち、CPU31は、プログラマブルな演算装置よりなり、メモリ又はHDDなどの記憶装置(図示せず)に格納されたコンピュータプログラムを実行することで、信号灯器50,51の灯色切り替えタイミングを生成可能である。
例えば、CPU31は、通信部2が受信した中央装置6からの信号制御パラメータに基づいて、信号灯器50,51の点灯又は消灯などの切り替えタイミングをサイクル毎に決定し、そのタイミング信号を灯器駆動部11に出力する。
【0036】
また、CPU31は、車両感知器52,54が取得した感知信号に基づいて信号制御パラメータを自律的に生成し、生成した信号制御パラメータに基づいて、信号灯器51の点灯又は消灯などの切り替えタイミングをサイクル毎に決定することもできる。
更に、CPU31は、予め設定された所定の切り替えパターンが記憶装置に記録されている場合には、記憶装置から読み出した当該パターンから信号灯器50,51の点灯又は消灯などの切り替えタイミングを決定することもできる。
【0037】
また、CPU31は、内部バス5に接続された各インタフェース部12〜17との間で、交通情報や感知信号などのデータの授受を行うことができる。
CPU31は、自身の動作を停止して制御部3内の動作回路32,33を作動する場合には、CPU停止信号を保安動作回路32と閃光動作回路33に出力する。
一方、保安動作回路32と閃光動作回路33は、ワイヤードロジック方式の制御回路よりなり、予め想定した単一の動作(この場合は、保安動作又は閃光動作)を行う。
【0038】
すなわち、保安動作回路32は、例えば小規模のLSIを利用した論理回路よりなり、CPU停止信号を受けた場合に、CPU31に代わって信号灯器51の灯色を切り替えるタイミング信号を生成し、そのタイミング信号を灯器駆動部11に出力する。
より具体的には、保安動作回路32は、信号灯器51の赤色灯、青色灯、黄色灯を所定周期で点灯させる固定的な切り替えが行われるように、ハードウェア的に構成されている。なお、保安動作回路32は、CPU31の動作時にはタイミング信号を出力しない。
【0039】
また、閃光動作回路33は、例えば保安動作回路32よりも小規模のLSIを利用した論理回路よりなり、CPU31と保安動作回路32への給電が停止されてそれらの動作が停止した場合に、それらに代わって信号灯器51の所定灯色を点滅させるタイミング信号を生成し、そのタイミング信号を灯器駆動部11に出力する。
より具体的には、閃光動作回路33は、信号灯器51の赤色灯を点滅、或いは、黄色灯を点滅させるタイミング信号が生成されるように、ハードウェア的に構成されている。
【0040】
この場合、例えば、幹線側の信号灯器51は黄色灯の点滅を行い、非幹線側の信号灯器51は赤色灯の点滅を行う。なお、閃光動作回路33は、CPU31又は保安動作回路32の動作時にはタイミング信号を出力しない。
【0041】
〔交通信号制御機の灯器駆動部とインタフェース部〕
灯器駆動部11は、複数の半導体リレー(図示せず)を内部に備えている。このリレーがオン操作されると、電源部4から供給されるAV100Vの電源電圧が信号灯器51に印加され、信号灯器50,51の赤色灯、青色灯及び黄色灯などの各色の信号灯が点灯する。
上記半導体リレーのオン/オフ操作は、制御部3におけるCPU31、保安動作回路32又は閃光動作回路33が出力するタイミング信号により行われる。
【0042】
超音波感知器インタフェース部12は、超音波車両感知器52から感知信号(例えば、車両を検出した場合のオン信号と、車両を検出しない場合のオフ信号)を取得する。
光感知器インタフェース部13は、光ビーコン53との間でデータの送受信を行う。
画像式感知器インタフェース部14は、画像処理式車両感知器54との間でデータの送受信を行う。例えば、画像処理式車両感知器54で撮像された画像を処理して処理後のデータを受信するとともに、画像処理式車両感知器54に対する指令信号を送信する。
【0043】
交通情報板インタフェース部15は、交通情報板55に各種の交通情報を表示させるためのデータを送信する。
押しボタン装置インタフェース部16は、歩行者用の信号灯器の青色灯を点灯させるため歩行者が操作する押しボタン装置56からの操作信号を受信する。
【0044】
交通信号制御機インタフェース部17は、他の交通信号制御機101との間でデータの送受信を行う。
例えば、交通信号制御機1が親機として信号灯器51の点灯、消灯、点滅の制御を行う場合は、信号灯器51の各信号灯の点灯時間や点灯周期などに合わせて、離隔した他の地点の信号灯器を制御する他の交通信号制御機(子機)に所要のデータを送信することにより、他の地点との間の円滑な交通流を実現することができる。
【0045】
〔交通信号制御機の電源部〕
電源部4の電源制御部41は、AC/DC変換回路と、この回路をオン/オフ制御可能な制御回路(図示せず)とを内部に備えている。電源制御部41は、交流電源で動作する灯器駆動部11については、商用電源7のAC100Vの交流をそのまま供給し、直流電源で動作するその他の機器、すなわち通信部2、CPU31、保安動作回路32、閃光動作回路33及び各インタフェース部12〜17については、AC/DC変換回路でAC100Vの交流を整流した直流電圧を供給する。
【0046】
電源制御部41の制御回路は、灯器駆動部11に対する電源供給を個別にオン/オフすることができ、これにより、車両用灯器51に対する給電を維持しつつ、歩行者用灯器50に対する給電の停止と再開を個別に行えるようになっている。
また、本実施形態の交通信号制御機1では、電源制御部41が、中央装置6から取得した省電力モードの指令である制御フレームF1(図4参照)に従って、歩行者用灯器50の給電を停止する時間帯を特定する。
【0047】
すなわち、中央装置6が各交通信号制御機1に送出する制御フレームF1には、中央装置6が当該交通信号制御機1に要求する省電力運転の「実行時間」を定義するフィールドが含まれており(図3参照)、電源制御部41は、制御フレームF1で指定された実行時間に従って歩行者用灯器50の給電を停止する時間帯を決定する。
より具体的には、通信部2は、中央装置6から受信した制御フレームF1を電源制御部41に渡し、電源制御部41は、その制御フレームF1の「実行時間」に記された値の開始時に、歩行者用灯器50の給電を停止する制御信号を灯器駆動部11に出力する。
【0048】
電源制御部41は、その開始時にタイマー回路42のカウントを開始させ、そのカウント値が制御フレームF1に記された実行時間の値に相当する値になると、歩行者用灯器50の対する給電を再開する制御信号を灯器駆動部11に出力する。
なお、制御フレームF1の「実行時間」を定義するフィールドに対する時間値の記載形式は、開始時刻値とその時刻値からの時間値を記す方法でもよいし、省電力を実施する開始時刻値と終了時刻値を記す方法でもよい。
【0049】
〔中央装置の構成〕
図2は、中央装置6の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、中央装置6は、制御部61、表示部62、通信部63、記憶部64及び操作部65を含んでいる。
なお、本明細書において、交通信号制御機1の「制御部3」及び「通信部2」と区別するため、中央装置6の「制御部61」を「中央制御部61」、中央装置6の「通信部63」を「中央通信部63」ということがある。
【0050】
中央制御部61は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなり、交通信号制御機1からの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
なお、中央制御部61は、内部バスを介して上記ハードウェア各部と繋がっており、これら各部の動作も制御する。
【0051】
中央制御部61は、自身の管轄エリアに属する交通信号制御機1に対して、同一道路上の交通信号機群の灯色切り替えタイミングを調整する「系統制御」や、この系統制御を道路網に拡張した「広域制御(面制御)」を実行可能である。
すなわち、中央制御部61は、交通状況に応じて信号制御パラメータ(スプリット、サイクル長及びオフセットなど)を設定する交通感応制御を行うことができる。中央制御部61が行う交通感応制御には、例えば、MODERATO制御やプロファイル制御を含む複数種類のものが含まれる。
【0052】
中央通信部63は、通信回線を介して交通信号制御機1の通信部2と接続された通信インタフェースであり、所定時間ごとの信号灯器51の灯色切り替えタイミング等に関する信号制御指令や、道路リンクの旅行時間や渋滞情報等を含む交通情報を、各交通信号制御機1に送信している。
信号制御指令は、信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)ごとに送信され、交通情報は例えば5分ごとに送信される。
【0053】
中央装置6の表示部62は、自装置の管轄エリアの道路地図と、この道路地図上のすべての信号灯器51や車両感知器などの各種の路側センサの位置などが表示された表示画面により構成され、中央オペレータに渋滞や事故等の交通状況を報知する。
中央装置6の操作部65は、キーボードやマウス等の入力インタフェースよりなり、この操作部65によって中央オペレータが上記表示部62に対する表示切り替え操作等を行えるようになっている。
【0054】
中央装置6の記憶部64は、HDDや半導体メモリ等から構成されており、上述の交通感応制御のための制御プログラムや、この交通感応制御に用いる交通指標の演算プログラムなどを記憶しており、中央制御部61が生成した信号制御指令や交通情報の一時的な記憶領域も有する。
【0055】
〔対応テーブルの例〕
また、中央装置6の記憶部64は、図3に示す対応テーブルNTを保持している。
図3に示すように、対応テーブルNTは、中央装置6が管轄する複数の交通信号制御機1の制御機IDのエントリを含み、そのエントリごとに、各々の交通信号制御機1に行わせる省電力運転の「実行時間」(歩行者用灯器50の給電を停止する時間帯)を定義した参照テーブルよりなる。
【0056】
図3の対応テーブルNTの例では、制御機IDが「1」の交通信号制御機1の場合は、実行時間が「10:00から60分間」に設定され、制御機IDが「2」の交通信号制御機1の場合は、実行時間が「12:00から90分間」に設定されている。
また、制御機IDが「3」の交通信号制御機1の場合は、実行時間が「13:00から90分間」に設定され、制御機IDが「n」の交通信号制御機1の場合は、実行時間が「12:00から60分間」に設定されている。
【0057】
中央制御部61は、特定の制御機IDの交通信号制御機1に対して歩行者用灯器50への給電を停止する省電力運転を行わせる場合、対応テーブルNT中の当該制御機IDの実行時間のフィールドに所定の時間値を記した制御フレームF1を生成し、生成した制御フレームF1を、当該制御機ID宛で中央通信部63に送信させる。
【0058】
〔省電力モードの動作シーケンス〕
図4は、中央装置6と複数の交通信号制御機1との間で送受信する制御フレームF1〜F3のシーケンス図である。
中央装置6は、例えば夏場の昼間などの電力需要が大きい時間帯に、自装置の管轄エリアに属する交通信号制御機1に対する省電力化を図るため、各交通信号制御機1a〜1dに制御フレームF1を送信して省電力モードを実施する。
【0059】
この場合、図4に示すように、中央装置6は、自身の管轄エリアの交通信号制御機1に対し、省電力運転の実行時間の値を記した制御フレーム(省電力モードの指令)F1を送信して、当該交通信号制御機1に省電力運転を行うように要求する。
なお、図4に示す例では、図示の簡略化を図るため、各交通信号制御機1a〜1dに指定された省電力運転の実行時間はすべて同じ時間帯となっている。
【0060】
上記制御フレームF1を受信した交通信号制御機1a〜1dは、その制御フレームF1に含まれる実行時間の値を抽出するとともに、その制御フレームF1に応答する制御フレーム(Ack:応答フレーム)F2を中央装置6に送信する。
その後、各交通信号制御機1a〜1dは、指定された実行時間の開始時に、歩行者用灯器50への給電を停止するとともに、指定された実行時間の終了時に、歩行者用灯器50への再開し、その再開を行った旨を通知する制御フレームF3を中央装置6に送信する。
【0061】
〔表示装置の構成例〕
本実施形態の交通信号制御機1では、歩行者用灯器50への給電を停止して消費電力の削減を図ることから、歩行者用灯器50が滅灯することに関して歩行者に何の連絡もしない場合には、歩行者の通行に混乱を来す可能性がある。
そこで、例えば、省電力運転の開始と終了に連動して、省電力運転のために歩行者用灯器50が停止していることを報知する表示装置70,80を歩行者用灯器50に設けることが好ましい。
【0062】
図5及び図6は、歩行者用灯器50の停止を歩行者に報知するための表示装置70,80の構成例を示している。
このうち、図5の表示装置70は、歩行者用灯器50の上端部に取り付けられた横長のケーシング71と、このケーシング71の前面に設けたスリットから下方に出退する垂れ幕72とを備えている。
【0063】
ケーシング71の内部には、電動回転する巻き取り部(図示せず)よりなる駆動手段が設けられている。
この巻き取り部が巻き取り方向に回転すると、図5(a)に示すように、垂れ幕72がケーシング71内に収容された状態となり、繰り出し方向に回転すると、図5(b)に示すように、垂れ幕72の端部に設けた重り73がケーシング71のスリットから外部に飛び出し、垂れ幕72が歩行者用灯器50の前面を覆って垂れ下がるようになっている。なお、垂れ幕72には、歩行者用灯器50を滅灯する理由の表示として、「省電力中」という文字が記載されている。
【0064】
一方、図6の表示装置80は、歩行者用灯器50の側面部に取り付けられた縦長のケーシング81と、このケーシング81の内部に回転自在に収容された表示プレート82とを備えている。
表示プレート82は、上下方向の中心軸回りにケーシング81内に回転自在に取り付けられており、電動モータ(図示せず)よりなる駆動手段により、図5(a)に示す無表示の裏面と、図5(b)に示す「省電力中」と記載された表面とのいずれか一方に、180度間欠的に回転するようになっている。
【0065】
これらの表示装置70,80の駆動手段は、歩行者用灯器50とともに灯器駆動部11に接続されており、電源制御部41からの制御信号によって表示状態を切り替える。
すなわち、電源制御部41は、歩行者用灯器50への給電を行う通常運用時には、「省電力中」の表示が行われないように表示装置70,80の駆動手段を制御し、歩行者用灯器50への給電を停止する省電力運転時には、「省電力中」の表示が行われるように表示装置70,80の駆動手段を制御する。
【0066】
なお、表示装置70,80に記す表示としては、例えば、歩行者用灯器50を滅灯する理由を示す「省電力中」などの表示に限らず、歩行者用灯器50を滅灯する状況の表示として、例えば「消灯中」や「電力供給停止中」などの表示であってもよい。
かかる表示装置70,80により、給電を停止して滅灯させる歩行者用灯器50に上記表示を行うようにすれば、歩行者の通行に混乱が生じるのを回避することができる。
【0067】
また、上記の表示装置70,80によれば、垂れ幕72や表示プレート82といった、表示に電力が不要な表示部を採用しているので、「省電力中」などの表示を行っている期間中の消費電力が皆無である。
このため、例えば「省電力中」などの表示を電光表示する場合に比べて、歩行者用灯器50への給電停止による省電力効果をより向上させることができる。
【0068】
〔第1実施形態の効果〕
以上の通り、第1実施形態の交通信号制御機1によれば、電源制御部41が、中央装置6が指定した実行時間の開始時に、電源部4からの歩行者用灯器50への給電を停止させるので、交通信号制御機1の消費電力が減少し、商用電源7の使用量を削減できる。
また、電源制御部41が、中央装置6が指定した実行時間の終了時に、電源部4からの歩行者用灯器50への給電を再開させるので、歩行者用灯器に対する灯色の替え制御を自動的に再開させることができる。
【0069】
また、本実施形態の交通信号制御機1では、中央装置6が指定した実行時間の開始が給電の停止条件となり、かつ、その実行時間の終了が給電の再開条件となっているので、中央装置6において、実行時間の開始時点を電力需要が多くなる時点(例えば、正午前後)に設定し、かつ、実行時間の終了時点を電力需要が少なくなる時点(例えば、夕方頃)に設定することにより、交通信号制御機1の省電力運転を適切な時点で開始及び終了させることができる。
【0070】
更に、本実施形態の交通信号制御機1では、電源制御部41が、中央装置6が送信する制御フレームF1に含まれる実行時間の値に従って、歩行者用灯器50への給電の停止時期と再開時期を決定するので、交通信号制御機1に対する省電力運転を中央装置6からの集中制御によって開始及び終了させることができるという利点もある。
【0071】
〔第1実施形態の変形例1〕
上述の第1実施形態では、省電力運転の実行時間の定義フィールドを制御フレームF1に含めているが、中央装置6が送信する給電停止を指示する制御フレームF1の受信に応じて、電源制御部41が歩行者用灯器50への給電を停止し、かつ、図4の仮想線で示すように、中央装置6が送信する給電再開を指示する制御フレームF0の受信に応じて、電源制御部41が歩行者用灯器50への給電を再開することにしてもよい。
【0072】
この場合には、省電力モードの指令である最初の制御フレームF1に、省電力運転の実行時間の定義フィールドを設ける必要がないので、制御フレームF1に必要なデータ量をより削減することができる。
もっとも、上述の第1実施形態の場合には、交通信号制御機1の電源制御部41が、最初の制御フレームF1に含まれる実行時間の値が経過した場合に、歩行者用灯器50に対する給電を再開する。
【0073】
このため、第1実施形態では、歩行者用灯器50の給電の再開を指示する制御フレームF0を中央装置6が改めて送信しなくても、交通信号制御機1が自動的に省電力運転から元の通常状態に復帰することができ、歩行者用灯器50に対する給電状態の切り替え制御が容易であるという利点がある。
【0074】
〔第1実施形態の変形例2〕
上述の第1実施形態では、交通信号制御機1が中央装置6と通信する集中型である場合を例示したが、中央装置6との通信を行わずに単独で信号灯器50,51の制御を行う地点型の交通信号制御機であってもよい。
この場合、省電力運転の「実行時間」(例えば、平日の11:00〜13:00や、休日の14:00〜16:00など)を予め交通信号制御機1に設定しておき、電源制御部41が、その実行時間の開始時に歩行者用灯器50への給電を停止し、その実行時間の終了時に歩行者用灯器50への給電を再開するようにすればよい。
【0075】
<第2実施形態>
〔交通信号制御機の電源部〕
図7は、本発明の第2実施形態に係る交通信号制御機1の構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、本実施形態の交通信号制御機1が第1実施形態のそれと異なる点は、商用電源7が停電等のために使用できない場合を想定して、バックアップ用のバッテリ10を備え、電源部4が、使用電源を商用電源7とバッテリ10のいずれかに切り替える電源切替部43を有する点にある。
【0076】
バッテリ10は、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニッケルカドミウム電池、或いは、ニッケル水素電池などの二次電池よりなり、交通信号制御機1の筐体内に内蔵していてもよいし、その筐体の外部に別体で設けられていてもよい。
電源部4の電源切替部43は、交通信号制御機1の信号灯器50,51を含む機器の電源を、商用電源7又はバッテリ10のいずれかに切り替えるスイッチ回路よりなり、電源制御部41が電源切替部43のスイッチングを行う。
【0077】
また、電源切替部43は、商用電源7を用いる通常運転の場合に、その一部の電力をバッテリ10に供給して充電させるようになっている。
電源部4の電源制御部41は、電源切替部43をバッテリ10に切り替えた場合に、バッテリ10からの放電電流を検出し、その検出値と放電時間とに基づいてバッテリ残容量を算出することができる。また、電源制御部41は、AC/DC変換回路と、DC/AC変換回路と、これらの回路と電源切替部43とをオン/オフ制御可能な制御回路(いずれも図示せず)とを内部に備えている。
【0078】
電源制御部41は、電源切替部43を商用電源7に切り替える「通常運転」の場合は、交流電源で動作する灯器駆動部11に、商用電源7のAC100Vの交流をそのまま供給し、直流電源で動作するその他の機器、すなわち通信部2、CPU31、保安動作回路32、閃光動作回路33及び各インタフェース部12〜17に、AC/DC変換回路でAC100Vの交流を整流した直流電圧を供給する。
【0079】
一方、電源制御部41は、電源切替部43をバッテリ10に切り替える「バッテリ運転」の場合には、バッテリ10の直流をDC/AC変換回路で変換したAV100Vの交流電圧を灯器駆動部11に供給し、直流電源で動作するその他の上記機器には、バッテリ10の直流を所定電圧に調整した直流電圧を供給する。
【0080】
また、電源制御部41は、中央装置6から取得したバッテリモードの指令である制御フレームS1(図9参照)に従って、電源切替部43をバッテリ10に切り替えてバッテリ運転を行わせる。
本実施形態では、中央装置6が各交通信号制御機1に送出する制御フレームS1に、当該交通信号制御機1にバッテリ運転させる「実行時間」と、当該交通信号制御機1がバッテリ運転を行う場合のバッテリ残容量の下限値である「指定下限値」を定義するフィールドが含まれている。
【0081】
通信部2は、中央装置6から受信した制御フレームS1を電源制御部41に渡し、電源制御部41は、その制御フレームS1の実行時間に記された値の開始時に、電源切替部43をバッテリ10に切り替える。
また、電源制御部41は、制御フレームS1に記された実行時間の値の開始時に、タイマー回路42のカウントを開始させ、そのカウント値が制御フレームF1に記された実行時間の値に相当する値になると、電源切替部43を商用電源7に切り替える。
【0082】
一方、電源制御部41は、指定された実行時間を経過しない間は、原則としてバッテリ運転を継続するが、制御フレームS1に従って電源切替部43をバッテリ10に切り替えた後のバッテリ運転の途中に、バッテリ残容量が制御フレームS1に記された指定下限値(例えば、フル充電の50%)に達した場合は、電源切替部43を即座に商用電源7に切り替え、バッテリ運転を取り止める。
これにより、指定下限値未満でバッテリ運転を継続することにより、バッテリ残容量が少なくなって出力不足に陥るのを未然に防止している。
【0083】
なお、電源制御部41は、停電などにより商用電源7から電力供給がなくなった場合にも、上記制御フレームS1の受信の有無に関係なく、電源切替部43をバッテリ10に切り替えてバッテリ運転を行わせる(バックアップモード)。
この場合、電源制御部41は、中央装置6から制御フレームS1を受信していても、それに含まれる指定下限値を無視して電源切替部43を制御し、商用電源7からの電力供給が戻るまでバッテリ運転を継続する。
【0084】
〔対応テーブルの例〕
第2実施形態では、中央装置6の記憶部64は、図8に示す対応テーブルNTを保持している。
図8に示すように、対応テーブルNTは、中央装置6が管轄する複数の交通信号制御機1の制御機IDのエントリを含み、そのエントリごとに、各々の交通信号制御機1に行わせるバッテリ運転の「実行時間」と、バッテリ運転を行う場合のバッテリ残容量の下限値である「指定下限値」と定義した参照テーブルよりなる。
【0085】
図8の対応テーブルNTの例では、制御機IDが「1」の交通信号制御機1の場合は、実行時間が「10:00から60分間」、指定下限値がフル充電に対して50%に設定され、制御機IDが「2」の交通信号制御機1の場合は、実行時間が「12:00から90分間」、指定下限値がフル充電に対して40%に設定されている。
また、制御機IDが「3」の交通信号制御機1の場合は、実行時間が「13:00から90分間」、指定下限値がフル充電に対して40%に設定され、制御機IDが「n」の交通信号制御機1の場合は、実行時間が「12:00から60分間」、指定下限値がフル充電に対して50%に設定されている。
【0086】
中央制御部61は、特定の制御機IDの交通信号制御機1に対してバッテリ運転を行わせる場合、対応テーブルNT中の当該制御機IDの実行時間と指定下限値のフィールドにそれぞれ所定値を記した制御フレームS1を生成し、生成した制御フレームS1を、当該制御機ID宛で中央通信部63に送信させる。
なお、上記「指定下限値」は、予め定めた所定時間(図3の制御機ID=1の場合は、60分間)だけバッテリ運転を行う場合のバッテリ残容量の閾値であり、この閾値を下回るバッテリ残容量となるようなバッテリ運転を許容しないことを示す。
【0087】
また、本実施形態の交通信号制御機1において、上記「指定下限値」を設定する主な理由は次の通りである。
すなわち、後述のように、夏場の昼間などの電力需要が大きい時間帯にバッテリ運転を行わせて、システム全体で省電力化を図る場合に、各々の交通信号制御機1がバッテリ10を最後まで使い切ってしまうと、次に充電が完了するまでの間に万一停電が発生すると、バッテリ10による本来的機能である「バックアップモード」が実行されなくなり、交通信号制御機1にバッテリ10を設けた意義がなくなるからである。
【0088】
〔バッテリモードの動作シーケンス〕
図9は、中央装置6と複数の交通信号制御機1との間で送受信する制御フレームS1〜S4のシーケンス図である。
中央装置6は、例えば夏場の昼間などの電力需要が大きい時間帯に、自装置の管轄エリアに属する交通信号制御機1に対する省電力化を図るため、各交通信号制御機1a〜1dに制御フレームS1を送信してバッテリモードを実施する。
【0089】
この場合、図9に示すように、中央装置6は、自身の管轄エリアの交通信号制御機1a〜1dに対し、バッテリ運転の実行時間と指定下限値の値を記した制御フレーム(バッテリモードの指令)S1を送信して、当該交通信号制御機1にバッテリ運転を行うように要求する。
なお、図9に示す例でも、図示の簡略化を図るため、各交通信号制御機1a〜1dに指定されたバッテリ運転の実行時間はすべて同じ時間帯となっている。
【0090】
上記制御フレームS1を受信した交通信号制御機1a〜1dは、その制御フレームS1に含まれる実行時間と指定下限値の値を抽出するとともに、その制御フレームS1に応答する制御フレーム(Ack:応答フレーム)S2を中央装置6に送信する。
そして、本実施形態では、交通信号制御機1a〜1dの電源制御部41が、中央装置6から指定されたバッテリ運転の実行時間の開始時に、電源部4による歩行者用灯器50への給電を停止させることにより、バッテリ10の使用時間の長期化を図っている。
【0091】
ここで、図9に示す複数の交通信号制御機1a〜1dのうち、交通信号制御機1a,1bについては、中央装置6から指定されたバッテリ運転の実行時間中に、バッテリ残容量が指定下限値に到達したと仮定する。
この場合、交通信号制御機1a,1bは、電源切替部43を商用電源7に切り替えてバッテリ運転から通常運転に復帰し、その復帰を通知するための制御フレーム(復帰信号)S4を中央装置6に送信する。
【0092】
一方、他の2つの交通信号制御機1c,1dは、中央装置6から指定されたバッテリ運転の実行時間中には、バッテリ残容量が指定下限値に到達しなかったと仮定する。
この場合、交通信号制御機1c,1dは、指定されたバッテリ運転の実行時間が経過した後、電源切替部43を商用電源7に切り替えてバッテリ運転から通常運転に復帰し、実行期間が無事完了した旨を通知する制御フレーム(完了通知)S3を中央装置6に送信する。
【0093】
また、交通信号制御機1a〜1dの電源制御部41は、指定された実行時間の途中で商用電源7に切り替えた場合(交通信号制御機1a,1bの場合)、及び、指定された実行時間を完了して商用電源7に切り替えた場合(交通信号制御機1c,1dの場合)のいずれも場合も、電源部4による歩行者用灯器50への給電を再開させる。
すなわち、電源制御部41は、使用電源をバッテリ10から商用電源7に切り替えた場合には、実行時間の達成如何に拘わらず、歩行者用灯器50への給電を再開する。
【0094】
〔第2実施形態の効果〕
以上の通り、第2実施形態の交通信号制御機1によれば、電源制御部41が、中央装置6が指定した実行時間の開始とともにバッテリ運転に切り替わる際に、電源部4による歩行者用灯器50への給電を停止させるので、交通信号制御機1の消費電力を確実に減らすことができ、バッテリ10の使用時間を延ばすことができる。
【0095】
また、電源制御部41が、バッテリ運転から商用電源7を用いる通常運転に切り替わる際に、電源部4からの歩行者用灯器50への給電を再開させるので、バッテリ10の電力が歩行者用灯器50の駆動に使用されることがなく、バッテリ10の使用時間を延ばすことができる。
【0096】
〔第2実施形態の変形例1〕
上述の第2実施形態では、電源制御部41が、中央装置6から指定された実行時間の開始時にバッテリ運転に切り替え、終了時に通常運転に切り替えているが、中央装置6からの制御フレームS1の受信とともに、使用電源をバッテリ10に切り替えて歩行者用灯器50への給電を停止し、通常運転への再開を指示する制御フレーム(図示せず)の受信とともに、使用電源を商用電源7に切り替えて歩行者用灯器50への給電を再開するようにしてもよい。
【0097】
この場合には、バッテリモードの指令である最初の制御フレームS1に、バッテリ運転の実行時間の定義フィールドを設ける必要がないので、制御フレームS1に必要なデータ量をより削減することができる。
もっとも、上述の第2実施形態の場合には、交通信号制御機1の電源制御部41が、最初の制御フレームS1に含まれる実行時間の値が経過した場合に、使用電源を商用電源7に切り替えて通常運転を再開する。
【0098】
このため、第2実施形態では、通常運転に再開させるための制御フレームを中央装置6が改めて送信しなくても、交通信号制御機1が自動的にバッテリ運転から元の通常運転に復帰することができ、電源の切り替え制御が容易であるという利点がある。
【0099】
〔第2実施形態の変形例2〕
上述の第2実施形態では、交通信号制御機1が中央装置6と通信する集中型である場合を例示したが、中央装置6との通信を行わずに単独でバッテリ運転に切り替え可能な地点型の交通信号制御機であってもよい。
この場合、バッテリ運転の「実行時間」(例えば、平日の11:00〜13:00や、休日の14:00〜16:00など)を予め設定しておき、電源制御部41が、その実行時間の開始時に、バッテリ運転を開始して歩行者用灯器50への給電を停止し、その実行時間の終了時に、通常運転に復帰して歩行者用灯器50への給電を再開すればよい。
【0100】
〔第2実施形態の変形例3〕
また、上述の第2実施形態では、歩行者用灯器50への給電停止の条件が、使用電源がバッテリ10に切り替わったことになっているが、バッテリ10が所定量(例えば、80%)を下回ったことを、歩行者用灯器50への給電停止の条件に設定してもよい。
この場合、例えば、バッテリ残容量が80%以上の場合は、バッテリ10の電力が歩行者用灯器50の駆動にも使用されることになるが、バッテリ残容量が80%を下回った場合には、バッテリ10の電力が歩行者用灯器50の駆動に使用されなくなるので、バッテリ10の使用時間を延ばすことができる。
【0101】
〔共通の変形例(押しボタン装置が操作された場合)〕
上述の第1及び第2実施形態において、省電力運転やバッテリ運転の実行中であるために、歩行者用灯器50への給電を停止している期間中であっても、歩行者用の押しボタン装置56が操作された場合には、例外的に、歩行者用灯器50を点灯させることにしてもよい。
【0102】
具体的には、押しボタン装置56の操作信号を、電源制御部41にも伝送されるようにしておき、歩行者用灯器50への給電の停止期間中に電源制御部41が上記操作信号を受けると、歩行者用灯器50への給電を再開するとともに、「省電力中」などの表示が行われないように表示装置70,80の駆動手段を制御する。
また、上記操作信号を受けた制御部3(具体的には、CPU31)は、押しボタン装置56が設置された横断歩道PXの歩行者用灯器50(図10参照:以下、「対応灯器50a」ともいう。)であるか、或いは、押しボタン装置56が設置されていない横断歩道PYの歩行者用灯器50(図10参照:以下、「非対応灯器50b」ともいう。)であるかによって異なる階梯の進め方をする後述の「押しボタン制御」を行う。
【0103】
そして、CPU31は、上記の各灯器50a,50bに応じた所定時点に、押しボタン制御の終了信号を電源制御部41に出力する。その終了信号を受けた電源制御部41は、再び歩行者用灯器50への給電を停止させ、「省電力中」などの表示を行うように表示装置70,80の駆動手段を制御する。
このように、歩行者用の押しボタン装置56の操作と連動して、歩行者用灯器50への給電を一時的に再開すれば、省電力運転やバッテリ運転の実行中であっても、通常運転の場合と同様に、歩行者の意思に応じて当該歩行者の通行権を表示できるようになる。
【0104】
図10は、押しボタン装置56と信号灯器50,51の設置例を示す交差点の道路平面図である。以下、この図を参照して、押しボタン装置56の操作信号を受けた場合に、CPU31が行う「押しボタン制御」の内容を説明する。
ここで、図10の交差点では、東西方向の「主道路」を歩行者が横断するための横断歩道PXのみに押しボタン装置56が設けられ、南北方向の「従道路」を歩行者が横断するための横断歩道PYには、押しボタン装置56が設けられていない。
【0105】
かかる交差点の信号灯器50,51を制御する交通信号制御機1では、CPU31は、対応灯器50aと非対応灯器50bについて別の階梯を進める、次の「パターン1」又は「パターン2」の「押しボタン制御」を行うとともに、電源制御部41は、その押しボタン制御の終了信号をCPU31から受けると、給電を再開した歩行者用灯器50a,50bへの給電を再び停止させる。
【0106】
(パターン1の押しボタン制御)
パターン1の押しボタン制御では、CPU31は、押しボタン装置56が設置された横断歩道PXの歩行者用灯器50である対応灯器50aについては、「歩行者赤→歩行者青→歩行者青点滅→歩行者赤」の順で階梯を進める。
このように、最初に歩行者赤を点灯させる理由は、対応灯器50aの場合には、押しボタン装置56が操作された時点では横断歩道PXを通行できないため、車両用灯器51を赤に切り替えるまでの間は、歩行者赤を点灯させる必要があるからである。
【0107】
そして、CPU31は、歩行者青点滅の階梯から歩行者赤の階梯に切り替わった時点の所定時間経過後(例えば、5秒経過後)に、対応灯器50aに関する押しボタン制御の終了信号を電源制御部41に出力し、対応灯器50aの給電を停止させる。
このように、歩行者青点滅から歩行者赤への切り替え時点から所定時間経過後に、対応灯器50aの給電を停止するようにすれば、歩行者青の全表示時間が確保され、対応灯器50aに従って横断歩道PXを通行する歩行者に十分な通行権を与えることができる。
【0108】
一方、CPU31は、押しボタン装置56が設置されていない横断歩道PYの歩行者用灯器50である非対応灯器50bについては、「歩行者青→歩行者青点滅→歩行者赤→歩行者青」の順で階梯を進める。
このように、最初に歩行者青を点灯させる理由は、非対応灯器50bの場合には、押しボタン装置56が操作された時点で横断歩道PYを通行できるからである。
【0109】
そして、CPU31は、歩行者赤の階梯から歩行者青の階梯に切り替わった時点の所定時間経過後(例えば、5秒経過後)に、非対応灯器50bに関する押しボタン制御の終了信号を電源制御部41に出力し、非対応灯器50bの給電を停止させる。
【0110】
なお、以上から明らかな通り、パターン1の押しボタン制御の場合には、押しボタン装置56が設置された横断歩道PXの歩行者用灯器50aと、押しボタン装置56が設置されていない横断歩道PYの歩行者用灯器50bとの、一時的な給電期間は同じになる。
このように、パターン1では、歩行者用灯器50a,50bが同時に点灯を開始し、同時に消灯するため、省電力運転中であることを歩行者が理解し易いという利点がある。
【0111】
(パターン2の押しボタン制御)
パターン2の押しボタン制御では、CPU31は、各歩行者用灯器50a,50bに対する一時的な給電期間の開始時点は同じであるが、押しボタン制御の終了時点のタイミングを異ならせるようにしている。以下、このパターン2について説明する。
まず、パターン2においても、CPU31が行う対応灯器50aに対する階梯の進行と、終了信号を出力するタイミングについては、パターン1の場合と同様である。
【0112】
これに対して、CPU31は、非対応灯器50bについては、押しボタン装置56の操作信号を検出した時点における歩行者青の点灯時間に応じて、階梯の進行を異ならせる。
すなわち、CPU31は、横断歩道PYを横断するために必要な歩行者青の表示時間(横断歩道PYの長さにより決まる時間)以上、非対応灯器50bの歩行者青を点灯できる場合は、「歩行者青→歩行者青点滅→歩行者赤」の順で非対応灯器50bの階梯を進め、歩行者赤に切り替わってから所定時間経過後又は当該歩行者赤の階梯が終了する時点に、対応灯器50bに関する押しボタン制御の終了信号を電源制御部41に出力し、非対応灯器50bの給電を停止させる。
【0113】
その理由は、パターン1のように、押しボタン装置56の操作信号の検出した時点で必ず歩行者青を出すと、押しボタン装置56の操作タイミングによっては、非対応灯器50bについて、歩行者青の表示が始まってから5秒程度でこの歩行者青が消灯する場合もあり、この場合、横断歩道PYを通行中の歩行者が横断歩道を横断できなくなったのではないかと混乱するおそれがあるからである。
この点、上記のように、横断に必要な青表示時間がある場合に、非対応灯器50bの階梯を歩行者青から開始して歩行者赤のときに消灯すれば、横断歩道PYを通行中の歩行者に混乱を生じさせるのを未然に防止することができる。
【0114】
また、パターン1のように、歩行者赤の次に歩行者青を表示して、所定時間(例えば、5秒)経過後に歩行者青を消灯すると、横断歩道PYを横断中の歩行者が横断を続けても良いのか否かの判断に迷い、混乱するおそれがあるが、パターン2のように、歩行者赤で消灯するようにすれば、そのような判断の迷いを防止できるという利点もある。
【0115】
一方、CPU31は、歩行者青を横断歩道PYの横断に必要な表示時間以上で非対応灯器50bを点灯できない場合には、歩行者青がすぐに歩行者青点滅に切り替わり、歩行者が横断歩道PYを渡りきれないおそれがあるため、「歩行者赤→歩行者青→歩行者青点滅→歩行者赤」の順で非対応灯器50bの階梯を進める。
【0116】
このように階梯を進める理由は、歩行者が迷うことなく横断歩道PYを横断できるようにするためである。すなわち、非対応灯器50bの歩行者赤だけが点灯されて再び消灯になると、歩行者は横断歩道PYを横断できないと誤って判断し、横断できないおそれがあるし、歩行者赤と所定時間だけの歩行者青が表示されても、横断歩道PYを横断中の歩行者が横断を続けても良いか否かの判断に迷い、混乱するおそれがある。
この点、上記のように、少なくとも歩行者青→歩行者青点滅を表示すれば、歩行者が横断できる時間を確保でき、歩行者は迷うことなく横断をすることができる。
【0117】
なお、上述の共通の変形例では、横断歩道PXの押しボタン装置56が操作されると、双方の横断歩道PX,PYの歩行者用灯器50a,50bに対する給電を再開させているが、対応灯器50aだけ一時的に給電を開始し、非対応灯器50bについては、給電を停止したままとする再開方法であってもよい。
また、上述の共通の変形例では、交差道路の一方が主道路で他方が従道路である場合を想定したが、従道路がなく主道路のみの交差点の場合にも、上述の共通の変形例で述べた給電の一時的な再開方法を適用することもできる。
【0118】
〔その他の変形例〕
今回開示した各実施形態(上述の各変形例を含む。)はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の各実施形態ではなく、特許請求の範囲と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0119】
例えば、上述の各実施形態において、中央装置6は、自身の管轄エリアで管轄エリア内の一部の交通信号制御機1に制御フレームF1,S1を送信して、一部の交通信号制御機1ついて省電力モードやバッテリモードを実施することにしてもよい。
また、上述の各実施形態において、交通信号制御機1に補助電源(太陽電池など)を設け、商用電源7からの電力量が不足する場合に、補助電源からの電力で各機器への給電を補うようにしてもよい。
【0120】
また、本発明の交通信号制御機1は、例えば図10に示すような、4つの横断歩道PX,PYとそれに対応する歩行者用灯器50a,50bとを有する一般的な十字路交差点だけでなく、交差道路のいずれか一方に横断歩道と歩行者用灯器50が設置された交差点にも適用できるし、交差点ではなく単路の途中に設けられた信号灯器50,51を制御する交通信号制御機として採用することもできる。
【0121】
更に、例えば、主道路と従道路の両方の横断歩道に押しボタン設置56が設置されている歩行者スクランブル交差点のような、歩行者専用現示の押しボタン装置56を採用する交差点にも、本発明の交通信号制御機1を適用してもよい。
この場合の押しボタン制御としては、歩行者用灯器50が一斉に歩行者赤から点灯を開始して、歩行者青→歩行者青点滅→歩行者赤と階梯を遷移し、パターン1と同様に、歩行者赤になってから所定時間経過後に再び消灯させるようにすればよい。
【0122】
なお、上記の歩行者スクランブル交差点の場合には、押しボタン装置56が操作された時点ではすべての横断歩道の歩行者灯器50が歩行者赤になる点で、すべての方向の横断歩道が押しボタン装置56に直接対応していると言えるので、交差点に設けられたすべての歩行者用灯器50が、前述の「対応灯器50a」に該当する。
【符号の説明】
【0123】
1 交通信号制御機
2 通信部
3 制御部
4 電源部
6 中央装置
41 電源制御部
50 歩行者用灯器
51 車両用灯器
56 押しボタン装置
70 表示装置
72 垂れ幕(表示部)
80 表示装置
82 表示プレート(表示部)
F1 制御フレーム(指令)
S1 制御フレーム(指令)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号灯器の灯色切り替えタイミングを制御する交通信号制御機であって、
歩行者用灯器に電力を供給する電源部と、
所定の停止条件を充足する場合に、前記電源部による前記歩行者用灯器への給電を停止させる電源制御部と、
を備えていることを特徴とする交通信号制御機。
【請求項2】
前記停止条件は、前記交通信号制御機と通信する中央装置から給電停止の指令があったことである請求項1に記載の交通信号制御機。
【請求項3】
前記停止条件は、予め設定された実行時間が開始したことである請求項1又は2に記載の交通信号制御機。
【請求項4】
前記電源部は、商用電源とバッテリとのいずれかに使用電源を切り替え可能な電源切替部を有し、
前記停止条件は、使用中の前記バッテリのバッテリ残容量が所定量を下回ったことである請求項1〜3のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項5】
前記電源部は、商用電源とバッテリとのいずれかに使用電源を切り替え可能な電源切替部を有し、
前記停止条件は、前記電源切替部が前記使用電源を前記商用電源から前記バッテリに切り替えたことである請求項1〜4のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項6】
前記電源制御部は、所定の再開条件を充足する場合に、前記電源部による前記歩行者用灯器への給電を再開させる請求項1〜5のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項7】
前記再開条件は、前記交通信号制御機と通信する中央装置から給電再開の指令があったことである請求項6に記載の交通信号制御機。
【請求項8】
前記再開条件は、予め設定された実行時間が終了したことである請求項6又は7に記載の交通信号制御機。
【請求項9】
前記電源部は、商用電源とバッテリとのいずれかに使用電源を切り替え可能な電源切替部を有し、
前記再開条件は、前記電源切替部が前記使用電源を前記バッテリから前記商用電源に切り替えたことである請求項6〜8のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項10】
前記電源制御部は、前記歩行者用灯器への給電を停止させる場合に、前記歩行者用灯器が滅灯する理由及びその滅灯の状況のうちの少なくとも1つの表示を、歩行者に提示するための表示装置を作動させる請求項1〜9のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項11】
前記表示装置は、前記表示に電力が不要な表示部を有する請求項10に記載の交通信号制御機。
【請求項12】
前記電源制御部は、前記歩行者用灯器への給電を再開させる場合に、前記表示装置による前記表示を終了させる請求項10又は11に記載の交通信号制御機。
【請求項13】
前記電源制御部は、前記歩行者用灯器への給電の停止期間中に、歩行者用の押しボタン装置への操作信号が検出された場合には、前記歩行者用灯器への給電を一時的に再開させる請求項1〜12のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項14】
前記電源制御部は、前記押しボタン装置が設置されている横断歩道の前記歩行者用灯器である対応灯器については、給電の再開時に歩行者赤を点灯する請求項13に記載の交通信号制御機。
【請求項15】
前記電源制御部は、給電の再開時に歩行者赤を点灯した前記対応灯器については、歩行者青点滅の階梯から歩行者赤の階梯に切り替わった時点の所定時間経過後に、再び給電を停止する請求項14に記載の交通信号制御機。
【請求項16】
前記電源制御部は、前記押しボタン装置が設置されていない横断歩道の前記歩行者用灯器である非対応灯器については、その横断歩道を横断するために必要な歩行者青の表示時間が確保されている場合は、給電の再開時に歩行者青を点灯する請求項13に記載の交通信号制御機。
【請求項17】
前記電源制御部は、前記押しボタン装置が設置されていない横断歩道の前記歩行者用灯器である非対応灯器については、その横断歩道を横断するために必要な歩行者青の表示時間が確保されていない場合は、給電の再開時に歩行者赤を点灯する請求項13に記載の交通信号制御機。
【請求項18】
前記電源制御部は、給電の再開時に歩行者赤を点灯した前記非対応灯器については、歩行者青点滅の階梯から歩行者赤の階梯に切り替わった時点の所定時間経過後に、再び給電を停止する請求項17に記載の交通信号制御機。
【請求項19】
前記電源制御部は、給電の再開時に歩行者赤を点灯した前記非対応灯器については、少なくとも歩行者青と歩行者青点滅を表示するまで給電を続ける請求項17に記載の交通信号制御機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−20428(P2013−20428A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152952(P2011−152952)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】