説明

交通信号制御機

【課題】手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる交通信号制御機を提供する。
【解決手段】手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色である場合に、指定したステップに切り替わった時点から所定時間経過までに手動操作部4で手動歩進操作を受け付けたときは、当該指定したステップを次のステップへ歩進する。また、手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色である場合に、指定したステップに切り替わった時点から所定時間経過までに手動操作部4で手動歩進操作を受け付けないときは、当該所定時間経過後に、当該指定したステップを次のステップへ歩進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の信号灯器の信号表示を順次的に切り替える交通信号制御機に関する。
【背景技術】
【0002】
交通信号制御機は、各信号灯器の信号表示(ステップ)の灯色を定めた灯色情報、各灯色の表示時間などを含むステップ情報に基づいて、各信号灯器の信号表示を切り替える。そして、交通信号制御機は、各ステップを順番に進めていく歩進動作を行うためのステップカウンタを備えている。また、交通信号制御機は、故障などの異常時においても円滑な交通を維持するため、手動操作により、ステップを次のステップへ進める手動歩進を行う機能も備えている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−331385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、人が手動歩進の操作を行うタイミングは、手動操作を行う人の判断に依存して決定されてしまう。このため、信号灯器の灯色の切り替えタイミングが不規則になり、車両の運転者又は歩行者などが、一般的に認識している灯色の点灯時間に比べて、当該灯色の点灯時間が長すぎる場合が発生し、運転者又は歩行者などが混乱するおそれがあった。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる交通信号制御機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る交通信号制御機は、交差点で交差する複数の道路に対する複数の信号灯器の信号表示を順次的に切り替える交通信号制御機において、前記複数の信号灯器の信号表示の灯色を示すステップ情報を記憶する記憶部と、信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、前記複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、該信号表示を歩進制御する制御部とを備え、該制御部は、指定した信号表示が所定の灯色である場合に、該指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するようにしてあり、前記指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けないときは、前記所定時間経過後に、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するよう構成してあることを特徴とする。
【0007】
第2発明に係る交通信号制御機は、第1発明において、前記所定の灯色は、車両用の信号灯器の黄信号、前記車両用の信号灯器の全赤信号、又は歩行者用の信号灯器の青点滅信号であることを特徴とする。
【0008】
第3発明に係る交通信号制御機は、複数の信号灯器の信号表示を順次的に切り替える交通信号制御機において、前記複数の信号灯器の信号表示が自動歩進であるか否かを示すステップ情報を記憶する記憶部と、信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、前記複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、該信号表示を歩進制御する制御部とを備え、該制御部は、指定した信号表示が自動歩進である場合に、該指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するようにしてあり、前記指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けないときは、前記所定時間経過後に、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するよう構成してあることを特徴とする。
【0009】
第4発明に係る交通信号制御機は、複数の信号灯器の信号表示を順次的に切り替える交通信号制御機において、前記複数の信号灯器の信号表示の階梯種別を示すステップ情報を記憶する記憶部と、信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、前記複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、該信号表示を歩進制御する制御部とを備え、該制御部は、指定した信号表示が短階梯である場合に、該指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するようにしてあり、前記指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けないときは、前記所定時間経過後に、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するよう構成してあることを特徴とする。
【0010】
第5発明に係る交通信号制御機は、複数の信号灯器の信号表示を順次的に切り替える交通信号制御機において、前記複数の信号灯器の信号表示の最長表示時間を示すステップ情報を記憶する記憶部と、信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、前記複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、該信号表示を歩進制御する制御部とを備え、該制御部は、指定した信号表示の最長表示時間が所定値以内である場合に、該指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するようにしてあり、前記指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けないときは、前記所定時間経過後に、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するよう構成してあることを特徴とする。
【0011】
第1発明にあっては、複数の信号灯器の信号表示の灯色を示すステップ情報を記憶する記憶部と、信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、当該信号表示を歩進制御する制御部とを備える。制御部は、指定した信号表示(ステップ)が所定の灯色である場合に、指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間(例えば、基準表示秒数など)経過までに操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、当該指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御する。また、制御部は、指定した信号表示(ステップ)が所定の灯色である場合に、指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに操作部で手動歩進操作を受け付けないときは、当該所定時間経過後に、当該指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御する。なお、所定の灯色は、例えば、一般的に点灯時間が短時間であると認識されているものであり、点灯時間が長時間になることを抑制する必要性の高い灯色である。
【0012】
これにより、指定した信号表示(ステップ)において、手動歩進操作が行われなくても所定時間が経過すれば次の信号表示へ歩進するので、指定した信号表示(ステップ)が長時間点灯することを防止でき、指定した信号表示の点灯時間が比較的短時間であると認識している運転者又は歩行者などを混乱させるおそれがない。また、指定した信号表示の所定時間が経過する前であっても、手動歩進操作を受け付けた時点で次の信号表示へ歩進するので、交通信号制御機の操作員が交通の安全を確認した上で手動操作をすることにより次の信号表示に進めるタイミングを短縮することができるので、無駄な信号待ち時間が発生することを抑制し、道路状況に応じた効率的な交通制御を実現することができ、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる。
【0013】
第2発明にあっては、所定の灯色は、車両用の信号灯器の黄信号、車両用の信号灯器の全赤信号、又は歩行者用の信号灯器の青点滅信号である。なお、信号灯器は、歩車分離の信号灯器(信号機)も含むものとする。これにより、車両用の信号灯器の黄信号、車両用の信号灯器の全赤信号、又は歩行者用の信号灯器の青点滅信号が一般的に運転者又は歩行者に認識されている点灯時間よりも長時間になることを防止することでき、運転者又は歩行者が混乱することを防止できる。また、車両用の信号灯器の黄信号、車両用の信号灯器の全赤信号、又は歩行者用の信号灯器の青点滅信号が、一般的な点灯時間よりも短くすることができる交通状況では、手動歩進により点灯時間を短くして無駄な信号待ち時間を短縮することができる。
【0014】
第3発明にあっては、複数の信号灯器の信号表示が自動歩進であるか否かを示すステップ情報を記憶する記憶部と、信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、当該信号表示を歩進制御する制御部とを備える。自動歩進は、例えば、ある信号表示(ステップ)に切り替わった時点から所定時間(例えば、基準表示秒数)経過後に次の信号表示へ歩進することをいう。また、自動歩進であるか否かは、例えば、自動歩進フラグを用いて、フラグが1であれば自動歩進であり、フラグが0であれば自動歩進ではないとすることができる。
【0015】
制御部は、指定した信号表示が自動歩進である場合に、指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間(例えば、基準表示秒数など)経過までに操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、当該指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御する。また、制御部は、指定した信号表示が自動歩進である場合に、指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに操作部で手動歩進操作を受け付けないときは、当該所定時間経過後に、当該指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御する。
【0016】
これにより、指定した信号表示(ステップ)において、手動歩進操作が行われなくても所定時間が経過すれば次の信号表示へ歩進するので、所定時間経過後に自動歩進する信号表示が長時間点灯することを防止でき、指定した信号表示の点灯時間が比較的短時間であると認識している運転者又は歩行者などを混乱させるおそれがない。また、指定した信号表示の所定時間が経過する前であっても、手動歩進操作を受け付けた時点で次の信号表示へ歩進するので、交通信号制御機の操作員が交通の安全を確認した上で手動操作をすることにより次の信号表示に進めるタイミングを短縮することができるので、無駄な信号待ち時間が発生することを抑制し、道路状況に応じた効率的な交通制御を実現することができ、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる。
【0017】
第4発明にあっては、複数の信号灯器の信号表示の階梯種別を示すステップ情報を記憶する記憶部と、信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、当該信号表示を歩進制御する制御部とを備える。階梯種別は、例えば、基準表示秒数の長短に応じて、長階梯、中階梯、短階梯などに区分され、短階梯は表示秒数が短い階梯を示し、長階梯は表示秒数が長い階梯を示し、中階梯は、表示秒数が長階梯と短階梯との間にある階梯を示す。
【0018】
制御部は、指定した信号表示(ステップ)が短階梯である場合に、指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間(例えば、基準表示秒数など)経過までに操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、当該指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御する。また、制御部は、指定した信号表示が短階梯である場合に、指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに操作部で手動歩進操作を受け付けないときは、当該所定時間経過後に、当該指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御する。
【0019】
これにより、指定した信号表示(ステップ)において、手動歩進操作が行われなくても所定時間が経過すれば次の信号表示へ歩進するので、短階梯の信号表示が長時間点灯することを防止でき、指定した信号表示の点灯時間が比較的短時間であると認識している運転者又は歩行者などを混乱させるおそれがない。また、指定した信号表示の所定時間が経過する前であっても、手動歩進操作を受け付けた時点で次の信号表示へ歩進するので、交通信号制御機の操作員が交通の安全を確認した上で手動操作をすることにより次の信号表示に進めるタイミングを短縮することができるので、無駄な信号待ち時間が発生することを抑制し、道路状況に応じた効率的な交通制御を実現することができ、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる。
【0020】
第5発明にあっては、複数の信号灯器の信号表示の最長表示時間を示すステップ情報を記憶する記憶部と、信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、当該信号表示を歩進制御する制御部とを備える。最長表示秒数は、感応制御などにより表示秒数を延長する場合の許容範囲を示す表示秒数の上限値である。
【0021】
制御部は、指定した信号表示(ステップ)の最長表示秒数が所定値以内である場合に、指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間(例えば、基準表示秒数など)経過までに操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、当該指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御する。また、制御部は、指定した信号表示(ステップ)の最長表示秒数が所定値以内である場合に、指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに操作部で手動歩進操作を受け付けないときは、当該所定時間経過後に、当該指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御する。
【0022】
これにより、指定した信号表示(ステップ)において、手動歩進操作が行われなくても所定時間が経過すれば次の信号表示へ歩進するので、最長表示秒数が比較的短い(所定値以内)信号表示が長時間点灯することを防止でき、指定した信号表示の点灯時間が長くなることにより運転者又は歩行者などを混乱させるおそれがない。また、指定した信号表示の所定時間が経過する前であっても、手動歩進操作を受け付けた時点で次の信号表示へ歩進するので、交通信号制御機の操作員が交通の安全を確認した上で手動操作をすることにより次の信号表示に進めるタイミングを短縮することができるので、無駄な信号待ち時間が発生することを抑制し、道路状況に応じた効率的な交通制御を実現することができ、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施の形態の交通信号制御機の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態の交通信号制御機で制御される信号灯器が設置された交差点の一例を示す模式図である。
【図3】本実施の形態の交通信号制御機が使用する一例としての現示階梯図である。
【図4】ステップカウンタで指定したステップの歩進動作の一例を示す説明図である。
【図5】ステップカウンタで指定したステップの歩進動作の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る交通信号制御機の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態の交通信号制御機100の構成の一例を示すブロック図である。交通信号制御機100は、CPU1、CPUインタフェース2、タイマ回路3、灯色を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部としての手動操作部4、ステップ情報を記憶する記憶部としての現示メモリ5、現示メモリ読取回路6、複数の信号灯器の信号表示(以下、「ステップ」とも称し、階梯、現示階梯、灯色なども含むものとする。)を順次指定して、信号表示(ステップ)を歩進制御する制御部10などを備える。また、制御部10は、信号灯器の信号表示を順次指定するステップカウンタ11、ステップカウンタ11に対して次のステップ(信号表示)を指定すべく指令(カウントアップ指令)を出力する手動制御部12などを備える。
【0026】
CPU1は、CPUインタフェース2を介して、各信号灯器の各ステップ(信号表示)に対応する灯色の切替タイミング(ステップの歩進)を定めたステップ情報に基づいて、灯色の切替タイミング信号である歩進指令をステップカウンタ11へ送出する。歩進指令は、信号表示を次の信号表示に進める(ステップを次のステップに進める)指令である。なお、灯色情報で示す灯色の切替タイミングは、例えば、交差点で交差する各道路の交通状況を感知する感応制御などにより適宜変更される。
【0027】
ステップ情報は、例えば、ステップ毎の各灯色の状態(点灯又は消灯)を示す灯色情報、各ステップの基準表示秒数(基準表示時間)、最短表示秒数(最短表示時間)、最長表示秒数(最長表示時間)、階梯種別、自動歩進フラグなどの各情報を含む。
【0028】
基準表示秒数は、例えば、通常の交通状況において採用される表示秒数である。また、最短表示秒数は、感応制御などにより表示秒数を短縮する場合の許容範囲を示す表示秒数の下限値であり、最長表示秒数は、表示秒数を延長する場合の許容範囲を示す表示秒数の上限値である。
【0029】
階梯種別は、例えば、基準表示秒数の長短に応じて、長階梯、中階梯、短階梯などに区分され、短階梯は表示秒数が短い階梯を示し、長階梯は表示秒数が長い階梯を示し、中階梯は、表示秒数が長階梯と短階梯との間にある階梯を示す。
【0030】
自動歩進は、例えば、あるステップに切り替わった時点から当該ステップの表示時間経過後に自動的に次のステップへ歩進することをいう。自動歩進フラグは、自動歩進であるか否かを示す。例えば、自動歩進フラグが1であれば自動歩進であり、自動歩進フラグが0であれば自動歩進ではないとすることができる。信号灯器の灯色の切替を手動で行う場合(手動歩進の場合)、自動歩進フラグが0であれば、手動歩進の操作が行われない限り、現状のステップが維持される。一方、自動歩進フラグが1であれば、基準表示時間が経過する前に手動歩進の操作が行われない場合、基準表示時間の経過後(経過時も含む)に自動的に次のステップに進む(歩進する)。
【0031】
タイマ回路3は、不図示のクロック信号に基づいて駆動され、設定に従ってステップの単位時間(例えば、1秒)を計時し、単位時間信号(例えば、1秒周期のクロック)をステップカウンタ11へ出力する。
【0032】
ステップカウンタ11は、CPU1から送出される歩進指令に基づいて、信号灯器のステップを順次指定する。具体的には、ステップカウンタ11は、CPU1から送出される歩進指令に基づいて、ステップを計時し、ステップ信号を生成する。ステップカウンタ11は、生成したステップ信号を現示メモリ読取回路6へ出力する。
【0033】
また、ステップカウンタ11は、タイマ回路3から出力される単位時間信号に基づいて、ステップを計時する。また、ステップカウンタ11は、手動制御部12から出力されるカウントアップ指令(指令)に基づいて、ステップを計時する。なお、ステップを計時するとは、現在のステップを指し示しつつ、ステップを次のステップへ順次進めることを意味する。
【0034】
手動操作部4は、CPU1の異常時などの場合、手動操作で信号灯器の灯色を切り替えるときに使用される。手動操作部4は、手動歩進を行うための操作ボタン(スイッチ)を備える。操作ボタンが押される都度、手動操作部4は、操作信号を手動制御部12へ出力する。また、手動操作を行う場合としては、交通状況に応じて行われるだけでなく、イベントに対応するために、警察署員が手動操作を行う場合もある。イベントとしては、例えば、国賓又は要人が乗った車両を交差点で停止させることなく通過させる場合、マラソンや事故が発生した際に交通規制を行う場合などがある。
【0035】
手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色である場合に、指定したステップに切り替わった時点から所定時間(例えば、基準表示秒数など)経過までに手動操作部4で手動歩進操作を受け付けたときは、当該指定したステップを次のステップへ歩進すべく、現示メモリ読取回路6を介して入力されたステップ情報に基づいて、ステップカウンタ11へカウントアップ指令(指令)を出力する。
【0036】
なお、所定の灯色は、例えば、一般的に点灯時間が短時間であると認識されているものであり、点灯時間が長時間になることを抑制する必要性の高い灯色である。例えば、車両用の信号灯器の黄信号、車両用の信号灯器の全赤信号、又は歩行者用の信号灯器の青点滅信号などである。なお、信号灯器は、歩車分離式の信号灯器(信号機)も含む。
【0037】
また、手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色である場合に、指定したステップに切り替わった時点から所定時間経過までに手動操作部4で手動歩進操作を受け付けないときは、当該所定時間経過後に、当該指定したステップを次のステップへ歩進すべく、現示メモリ読取回路6を介して入力されたステップ情報に基づいて、ステップカウンタ11へカウントアップ指令(指令)を出力する。
【0038】
これにより、指定したステップにおいて、手動歩進操作が行われなくても所定時間が経過すれば次のステップへ歩進するので、指定したステップの灯色が長時間点灯することを防止でき、指定したステップの灯色の点灯時間が比較的短時間であると認識している運転者又は歩行者などを混乱させるおそれがない。また、指定したステップの所定時間が経過する前であっても、手動歩進操作を受け付けた時点で次のステップへ歩進するので、交通信号制御機の操作員が交通の安全を確認した上で手動操作をすることにより次のステップに進めるタイミングを短縮することができるので、無駄な信号待ち時間が発生することを抑制し、道路状況に応じた効率的な交通制御を実現することができ、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の灯色の切替えを行うことができる。
【0039】
また、所定の灯色を、車両用の信号灯器の黄信号、車両用の信号灯器の全赤信号、又は歩行者用の信号灯器の青点滅信号とすることにより、車両用の信号灯器の黄信号、車両用の信号灯器の全赤信号、又は歩行者用の信号灯器の青点滅信号が一般的に運転者又は歩行者に認識されている点灯時間よりも長時間になることを防止することでき、運転者又は歩行者が混乱することを防止できる。また、車両用の信号灯器の黄信号、車両用の信号灯器の全赤信号、又は歩行者用の信号灯器の青点滅信号が、一般的な点灯時間よりも短くすることができる交通状況では、手動歩進により点灯時間を短くして無駄な信号待ち時間を短縮することができる。
【0040】
手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップが自動歩進である場合に、指定したステップに切り替わった時点から所定時間(例えば、基準表示秒数など)経過までに手動操作部4で手動歩進操作を受け付けたときは、当該指定したステップを次のステップへ歩進すべく、現示メモリ読取回路6を介して入力されたステップ情報に基づいて、ステップカウンタ11へカウントアップ指令(指令)を出力する。
【0041】
また、手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップが自動歩進である場合に、指定したステップに切り替わった時点から所定時間経過までに手動操作部4で手動歩進操作を受け付けないときは、当該所定時間経過後に、当該指定したステップを次のステップへ歩進すべく、現示メモリ読取回路6を介して入力されたステップ情報に基づいて、ステップカウンタ11へカウントアップ指令(指令)を出力する。
【0042】
これにより、指定したステップにおいて、手動歩進操作が行われなくても所定時間が経過すれば次のステップへ歩進するので、所定時間経過後に自動歩進するステップの灯色が長時間点灯することを防止でき、指定したステップの灯色の点灯時間が比較的短時間であると認識している運転者又は歩行者などを混乱させるおそれがない。また、指定したステップの所定時間が経過する前であっても、手動歩進操作を受け付けた時点で次のステップへ歩進するので、交通信号制御機の操作員が交通の安全を確認した上で手動操作をすることにより次のステップに進めるタイミングを短縮することができるので、無駄な信号待ち時間が発生することを抑制し、道路状況に応じた効率的な交通制御を実現することができ、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の灯色の切替えを行うことができる。
【0043】
手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップが短階梯である場合に、指定したステップに切り替わった時点から所定時間(例えば、基準表示秒数など)経過までに手動操作部4で手動歩進操作を受け付けたときは、当該指定したステップを次のステップへ歩進すべく、現示メモリ読取回路6を介して入力されたステップ情報に基づいて、ステップカウンタ11へカウントアップ指令(指令)を出力する。
【0044】
また、手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップが短階梯である場合に、指定したステップに切り替わった時点から所定時間経過までに手動操作部4で手動歩進操作を受け付けないときは、当該所定時間経過後に、当該指定したステップを次のステップへ歩進すべく、現示メモリ読取回路6を介して入力されたステップ情報に基づいて、ステップカウンタ11へカウントアップ指令(指令)を出力する。
【0045】
これにより、指定したステップにおいて、手動歩進操作が行われなくても所定時間が経過すれば次のステップへ歩進するので、短階梯のステップの灯色が長時間点灯することを防止でき、指定したステップの灯色の点灯時間が比較的短時間であると認識している運転者又は歩行者などを混乱させるおそれがない。また、指定したステップの所定時間が経過する前であっても、手動歩進操作を受け付けた時点で次のステップへ歩進するので、交通信号制御機の操作員が交通の安全を確認した上で手動操作をすることにより次のステップに進めるタイミングを短縮することができるので、無駄な信号待ち時間が発生することを抑制し、道路状況に応じた効率的な交通制御を実現することができ、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の灯色の切替えを行うことができる。
【0046】
手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップの最長表示秒数が所定値(例えば、9秒など)以内である場合に、指定したステップに切り替わった時点から所定時間(例えば、基準表示秒数など)経過までに手動操作部4で手動歩進操作を受け付けたときは、当該指定したステップを次のステップへ歩進すべく、現示メモリ読取回路6を介して入力されたステップ情報に基づいて、ステップカウンタ11へカウントアップ指令(指令)を出力する。
【0047】
また、手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップの最長表示秒数が所定値(例えば、9秒など)以内である場合に、指定したステップに切り替わった時点から所定時間経過までに手動操作部4で手動歩進操作を受け付けないときは、当該所定時間経過後に、当該指定したステップを次のステップへ歩進すべく、現示メモリ読取回路6を介して入力されたステップ情報に基づいて、ステップカウンタ11へカウントアップ指令(指令)を出力する。
【0048】
これにより、指定したステップにおいて、手動歩進操作が行われなくても所定時間が経過すれば次のステップへ歩進するので、最長表示秒数が比較的短い(所定値以内)灯色が長時間点灯することを防止でき、指定したステップの灯色の点灯時間が長くなることにより運転者又は歩行者などを混乱させるおそれがない。また、指定したステップの所定時間が経過する前であっても、手動歩進操作を受け付けた時点で次のステップへ歩進するので、交通信号制御機の操作員が交通の安全を確認した上で手動操作をすることにより次のステップに進めるタイミングを短縮することができるので、無駄な信号待ち時間が発生することを抑制し、道路状況に応じた効率的な交通制御を実現することができ、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の灯色の切替えを行うことができる。
【0049】
現示メモリ読取回路6は、ステップカウンタ11が出力するステップ信号に基づいて、現示メモリ5に記憶されたステップ情報を読み取り、読み取ったステップ情報に基づいて、各信号灯器へ灯色出力を行う。
【0050】
図2は本実施の形態の交通信号制御機100で制御される信号灯器が設置された交差点の一例を示す模式図である。図2に示すように、東西方向の道路と南北方向の道路とが交差点で交差している。なお、道路の方向は便宜上、東西、南北としたが、これに限定されるものではない。
【0051】
図2に示すように、交差点付近の所定の箇所には、東西方向の道路に対する車両用の信号灯器201、南北方向の道路に対する車両用の信号灯器202を設置してある。また、南北方向の道路を横断する横断歩道には、歩行者用の信号灯器301を設置してあり、東西方向の道路を横断する横断歩道には、歩行者用の信号灯器302を設置してある。以下の説明では、信号灯器201を東西方向の車両用の信号灯器と称し、信号灯器202を南北方向の車両用の信号灯器と称し、信号灯器301を東西方向の歩行者用の信号灯器と称し、信号灯器302を南北方向の歩行者用の信号灯器と称する。
【0052】
図3は本実施の形態の交通信号制御機100が使用する一例としての現示階梯図である。図3は、図2に例示した交差点において、ステップカウンタ11により計時される各ステップ(階梯)及び各信号灯器の灯色を示す。図中、横線は青色表示を表し、折れ線は黄色表示を表し、二重線は赤色表示を表し、縦線は青色点滅を表す。ステップ1〜10で信号灯器の1サイクルを表している。また、それぞれの信号灯器の灯色の組み合わせを符号(PG、PF、PR、Y、AR)で特定している。また、各ステップの基準表示秒数、最短表示秒数、最長表示秒数、階梯種別、自動歩進フラグを例示する。
【0053】
図3のステップ1(符号がPG)の場合から説明する。ステップカウンタ11が指定するステップが、ステップ1(符号がPG)である場合、東西方向の車両用の信号灯器201の灯色は青信号であり、東西方向の歩行者用の信号灯器301の灯色は青信号であり、南北方向の車両用の信号灯器202の灯色は赤信号であり、南北方向の歩行者用の信号灯器302の灯色は赤信号であるから、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色は、車両用の信号灯器の黄信号、車両用の信号灯器の全赤信号、又は歩行者用の信号灯器の青点滅信号などの所定の灯色のいずれでもない。また、ステップ1の最長表示秒数は、110秒であり、所定値(例えば、9秒)以内ではない。また、ステップ1の階梯種別は、長階梯であり短階梯ではなく、自動歩進フラグも0であり自動歩進をしない。
【0054】
従って、ステップ1において、手動歩進操作が行われた場合には、手動歩進操作を受け付けた時点で次のステップ(ステップ2)へ歩進し、手動歩進操作が行われない限り、ステップ1の状態が維持される。
【0055】
次に、ステップカウンタ11が指定するステップが、ステップ2(符号がPF)である場合、東西方向の車両用の信号灯器201の灯色は青信号であり、東西方向の歩行者用の信号灯器301の灯色は青点滅信号(所定の灯色である)であり、南北方向の車両用の信号灯器202の灯色は赤信号であり、南北方向の歩行者用の信号灯器302の灯色は赤信号であるから、ステップカウンタ11で指定したステップ2の灯色は、歩行者用の信号灯器の青点滅信号である所定の灯色に該当する。また、ステップ2の最長表示秒数は、9秒であり、所定値(例えば、9秒)以内である。また、ステップ2の階梯種別は、短階梯であり、自動歩進フラグは1であり自動歩進をする。
【0056】
ステップ2では、ステップの灯色が所定の灯色であること、ステップの最長表示秒数が所定値以内であること、ステップ2が短階梯であること、あるいはステップが自動歩進することのいずれか1つを充足する条件(以下、自動歩進条件とも称する)が満たされているので、ステップ2において、ステップ2の基準表示秒数が経過する前に、手動歩進操作が行われた場合には、手動歩進操作を受け付けた時点で次のステップ(ステップ3)へ歩進し、ステップ2の基準表示秒数が経過する前に手動歩進操作が行われない場合には、ステップ2の基準表示秒数が経過した後に次のステップ(ステップ3)へ歩進する。
【0057】
図4はステップカウンタ11で指定したステップの歩進動作の一例を示す説明図である。図4Aは手動歩進操作待ちの状態を示し、図4Bは時刻t1で手動歩進操作があった場合の状態を示し、図4Cは手動歩進操作がない場合の状態を示す。図4Aに示すように、ステップカウンタ11で指定したステップがステップ2(符号PF)である場合に、図4Bに示すように、ステップ2の基準表示秒数T1が経過する前の時刻t1で手動歩進操作が行われたときには、上述のとおり、ステップ2では自動歩進条件が満たされているので、時刻t1で次のステップ3へ歩進する。なお、次のステップ3へ歩進するタイミングは、時刻t1でもよく、時刻t1から若干の処理時間遅れを考慮した時刻でもよい。
【0058】
また、図4Cに示すように、ステップ2の基準表示秒数T1が経過するまでに手動歩進操作が行われない場合には、上述のとおり、ステップ2では自動歩進条件が満たされているので、ステップ2の基準表示秒数T1が経過した後に次のステップ3へ歩進する。
【0059】
次に、ステップカウンタ11が指定するステップが、ステップ3(符号がPR)である場合、東西方向の車両用の信号灯器201の灯色は青信号であり、東西方向の歩行者用の信号灯器301の灯色は赤信号であり、南北方向の車両用の信号灯器202の灯色は赤信号であり、南北方向の歩行者用の信号灯器302の灯色は赤信号であるから、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色は、車両用の信号灯器の黄信号、車両用の信号灯器の全赤信号、又は歩行者用の信号灯器の青点滅信号などの所定の灯色のいずれでもない。また、ステップ3の最長表示秒数は、50秒であり、所定値(例えば、9秒)以内ではない。また、ステップ1の階梯種別は、中階梯であり短階梯ではなく、自動歩進フラグも0であり自動歩進をしない。
【0060】
従って、ステップ3において、手動歩進操作が行われた場合には、手動歩進操作を受け付けた時点で次のステップ(ステップ4)へ歩進し、手動歩進操作が行われない限り、ステップ3の状態が維持される。すなわち、ステップ3は、ステップ1と同様の歩進が行われる。
【0061】
次に、ステップカウンタ11が指定するステップが、ステップ4(符号がY)である場合、東西方向の車両用の信号灯器201の灯色は黄信号(所定の灯色である)であり、東西方向の歩行者用の信号灯器301の灯色は赤信号であり、南北方向の車両用の信号灯器202の灯色は赤信号であり、南北方向の歩行者用の信号灯器302の灯色は赤信号であるから、ステップカウンタ11で指定したステップ4の灯色は、所定の灯色に該当する。また、ステップ4の最長表示秒数は、9秒であり、所定値(例えば、9秒)以内である。また、ステップ4の階梯種別は、短階梯であり、自動歩進フラグは1であり自動歩進をする。
【0062】
ステップ4では、ステップの灯色が所定の灯色であること、ステップの最長表示秒数が所定値以内であること、ステップ2が短階梯であること、あるいはステップが自動歩進することのいずれか1つを充足する条件(以下、自動歩進条件とも称する)が満たされているので、ステップ4において、ステップ4の基準表示秒数が経過する前に、手動歩進操作が行われた場合には、手動歩進操作を受け付けた時点で次のステップ(ステップ5)へ歩進し、ステップ4の基準表示秒数が経過する前に手動歩進操作が行われない場合には、ステップ4の基準表示秒数が経過した後に次のステップ(ステップ5)へ歩進する。
【0063】
図5はステップカウンタ11で指定したステップの歩進動作の他の例を示す説明図である。図5Aは手動歩進操作待ちの状態を示し、図5Bは時刻t2で手動歩進操作があった場合の状態を示し、図5Cは手動歩進操作がない場合の状態を示す。図5Aに示すように、ステップカウンタ11で指定したステップがステップ4(符号Y)である場合に、図5Bに示すように、ステップ4の基準表示秒数T2が経過する前の時刻t2で手動歩進操作が行われたときには、上述のとおり、ステップ4では自動歩進条件が満たされているので、時刻t2で次のステップ5へ歩進する。
【0064】
また、図5Cに示すように、ステップ4の基準表示秒数T2が経過するまでに手動歩進操作が行われない場合には、上述のとおり、ステップ4では自動歩進条件が満たされているので、ステップ4の基準表示秒数T2が経過した後に次のステップ5へ歩進する。
【0065】
次に、ステップカウンタ11が指定するステップが、ステップ5(符号がAR)である場合、東西方向の車両用の信号灯器201の灯色は赤信号であり、東西方向の歩行者用の信号灯器301の灯色は赤信号であり、南北方向の車両用の信号灯器202の灯色は赤信号であり、南北方向の歩行者用の信号灯器302の灯色は赤信号であるから、ステップカウンタ11で指定したステップ5の灯色は、車両用の信号灯器の灯色が全赤信号であり、所定の灯色に該当する。また、ステップ5の最長表示秒数は、9秒であり、所定値(例えば、9秒)以内である。また、ステップ5の階梯種別は、短階梯である。ステップ5の自動歩進フラグは0であり自動歩進をしない。
【0066】
ステップ5では、ステップの灯色が所定の灯色であること、ステップの最長表示秒数が所定値以内であること、ステップ2が短階梯であること、あるいはステップが自動歩進することのいずれか1つを充足する条件(以下、自動歩進条件とも称する)が満たされているので、ステップ5において、ステップ5の基準表示秒数が経過する前に、手動歩進操作が行われた場合には、手動歩進操作を受け付けた時点で次のステップ(ステップ6)へ歩進し、ステップ5の基準表示秒数が経過する前に手動歩進操作が行われない場合には、ステップ5の基準表示秒数が経過した後に次のステップ(ステップ6)へ歩進する。
【0067】
なお、ステップ6〜10の歩進はそれぞれステップ1〜5と同様であるので、説明は省略する。
【0068】
上述のとおり、指定したステップにおいて、手動歩進操作が行われなくても所定時間が経過すれば次のステップへ歩進するので、指定したステップの灯色が長時間点灯することを防止でき、指定したステップの灯色の点灯時間が比較的短時間であると認識している運転者又は歩行者などを混乱させるおそれがない。また、指定したステップの所定時間が経過する前であっても、手動歩進操作を受け付けた時点で次のステップへ歩進するので、交通信号制御機の操作員が交通の安全を確認した上で手動操作をすることにより次のステップに進めるタイミングを短縮することができるので、無駄な信号待ち時間が発生することを抑制し、道路状況に応じた効率的な交通制御を実現することができ、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の灯色の切替えを行うことができる。
【0069】
上述の実施の形態では、指定されたステップの灯色が歩行者用の信号灯器の青点滅信号である場合に、当該指定されたステップの基準表示秒数が経過する前に手動歩進の操作を受付けたときは、次のステップへ歩進する構成であったが、これに限定されるものではなく、例えば、手動歩進せずに所定時間経過後に次のステップへ歩進する自動歩進とする構成とすることもできる。
【0070】
上述の実施の形態では、指定されたステップの灯色が車両用の信号灯器の全赤信号である場合に、当該指定されたステップの基準表示秒数が経過する前に手動歩進の操作を受付けたときは、次のステップへ歩進する構成であったが、これに限定されるものではなく、例えば、手動歩進せずに所定時間経過後に次のステップへ歩進する自動歩進とする構成とすることもできる。
【0071】
上述の実施の形態において、手動制御部12は、専用のハードウェア回路で構成することもでき、あるいはCPU、RAMなどで構成し、所要の処理手順を定めたプログラムをRAMにロードし、プログラムをCPU上で実行することにより、ソフトウエアにより実現することもできる。
【0072】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
4 手動操作部(操作部)
5 現示メモリ(記憶部)
10 制御部(制御部)
11 ステップカウンタ
12 手動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点で交差する複数の道路に対する複数の信号灯器の信号表示を順次的に切り替える交通信号制御機において、
前記複数の信号灯器の信号表示の灯色を示すステップ情報を記憶する記憶部と、
信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、
前記複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、該信号表示を歩進制御する制御部と
を備え、
該制御部は、
指定した信号表示が所定の灯色である場合に、該指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するようにしてあり、
前記指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けないときは、前記所定時間経過後に、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するよう構成してあることを特徴とする交通信号制御機。
【請求項2】
前記所定の灯色は、
車両用の信号灯器の黄信号、前記車両用の信号灯器の全赤信号、又は歩行者用の信号灯器の青点滅信号であることを特徴とする請求項1に記載の交通信号制御機。
【請求項3】
複数の信号灯器の信号表示を順次的に切り替える交通信号制御機において、
前記複数の信号灯器の信号表示が自動歩進であるか否かを示すステップ情報を記憶する記憶部と、
信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、
前記複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、該信号表示を歩進制御する制御部と
を備え、
該制御部は、
指定した信号表示が自動歩進である場合に、該指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するようにしてあり、
前記指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けないときは、前記所定時間経過後に、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するよう構成してあることを特徴とする交通信号制御機。
【請求項4】
複数の信号灯器の信号表示を順次的に切り替える交通信号制御機において、
前記複数の信号灯器の信号表示の階梯種別を示すステップ情報を記憶する記憶部と、
信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、
前記複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、該信号表示を歩進制御する制御部と
を備え、
該制御部は、
指定した信号表示が短階梯である場合に、該指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するようにしてあり、
前記指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けないときは、前記所定時間経過後に、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するよう構成してあることを特徴とする交通信号制御機。
【請求項5】
複数の信号灯器の信号表示を順次的に切り替える交通信号制御機において、
前記複数の信号灯器の信号表示の最長表示時間を示すステップ情報を記憶する記憶部と、
信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、
前記複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、該信号表示を歩進制御する制御部と
を備え、
該制御部は、
指定した信号表示の最長表示時間が所定値以内である場合に、該指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するようにしてあり、
前記指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過までに前記操作部で手動歩進操作を受け付けないときは、前記所定時間経過後に、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するよう構成してあることを特徴とする交通信号制御機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−73380(P2013−73380A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211264(P2011−211264)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】