説明

交通信号制御機

【課題】手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の灯色の切替えを行うことができる交通信号制御機を提供する。
【解決手段】手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップが所定のステップである場合に、指定したステップに切り替わった時点から当該ステップの最短表示時間以内に手動操作部4で手動歩進操作を受け付けたときは、受け付けた手動歩進操作に応じて次の信号表示へ歩進しないように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の信号灯器の信号表示を順次的に切り替える交通信号制御機に関する。
【背景技術】
【0002】
交通信号制御機は、各信号灯器の信号表示(ステップ)の灯色を定めた灯色情報、各灯色の表示時間などを含むステップ情報に基づいて、各信号灯器の信号表示を切り替える。そして、交通信号制御機は、各ステップを順番に進めていく歩進動作を行うためのステップカウンタを備えている。また、交通信号制御機は、故障などの異常時においても円滑な交通を維持するため、手動操作により、ステップを次のステップへ進める手動歩進を行う機能も備えている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−331385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、人が手動歩進の操作を行うタイミングは、手動操作を行う人の判断に依存して決定されてしまう。このため、信号灯器の灯色の切り替えタイミングが早すぎる場合が生じる。例えば、信号灯器の灯色が青信号に切り替わった後、短時間のうちに手動歩進操作を行った場合には、青信号時間が短くなり過ぎて、渋滞などを招く恐れがある。また、歩行者用の信号灯器についても同様の事態が発生し、歩行者が横断歩道を横断できないおそれが生じる。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる交通信号制御機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る交通信号制御機は、交差点で交差する複数の道路に対する複数の信号灯器の信号表示を順次的に切り替える交通信号制御機において、前記複数の信号灯器の信号表示の最短表示時間を示すステップ情報を記憶する記憶部と、信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、前記複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、該信号表示を歩進制御する制御部とを備え、該制御部は、指定した信号表示が所定の信号表示である場合に、該指定した信号表示に切り替わった時点から該信号表示の最短表示時間以内に前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、該手動歩進操作に応じて次の信号表示へ歩進しないように構成してあることを特徴とする。
【0007】
第2発明に係る交通信号制御機は、第1発明において、前記制御部は、指定した信号表示が前記所定の信号表示である場合に、該指定した信号表示に切り替わった時点から該信号表示の最短表示時間以内に前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、該信号表示の最短表示時間が経過した時点で次の信号表示へ歩進するように構成してあることを特徴とする。
【0008】
第3発明に係る交通信号制御機は、第1発明又は第2発明において、前記制御部は、指定した信号表示が前記所定の信号表示である場合に、該指定した信号表示に切り替わった時点から該信号表示の最短表示時間経過後に前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、該手動歩進操作に応じて次の信号表示へ歩進するように構成してあることを特徴とする。
【0009】
第4発明に係る交通信号制御機は、第1発明乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記所定の信号表示は、階梯種別が長階梯であることを特徴とする。
【0010】
第5発明に係る交通信号制御機は、第1発明乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記所定の信号表示は、歩行者用の信号灯器の信号表示が青信号、歩行者用の信号灯器の信号表示が青点滅信号、車両用の信号灯器の信号表示が青信号であって歩行者用の信号灯器の信号表示が赤信号、又は車両用の信号灯器の信号表示が青矢信号であることを特徴とする。
【0011】
第1発明にあっては、複数の信号灯器の信号表示の最短表示時間を示すステップ情報を記憶する記憶部と、信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、当該信号表示を歩進制御する制御部とを備える。制御部は、指定した信号表示が所定の信号表示である場合に、当該指定した信号表示に切り替わった時点から当該信号表示の最短表示時間以内に操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、受け付けた手動歩進操作に応じて次の信号表示へ歩進しないように制御する。所定の信号表示は、表示時間が短すぎる場合には、渋滞を招くおそれが生じ、あるいは歩行者が安全に横断できないおそれが生じる信号表示である。また、最短表示時間は、例えば、感応制御などにより表示秒数を短縮する場合の許容範囲を示す表示秒数の下限値である。
【0012】
指定した信号表示が所定の信号表示である場合に、当該指定した信号表示に切り替わった時点から当該信号表示の最短表示時間以内に手動歩進操作を受け付けたときは、手動歩進操作に応じて次の信号表示へ歩進しないので、信号表示の表示時間が最短表示時間より短い時間で次の信号表示に切り替わることがなく、表示時間が短時間になりすぎて渋滞を招くおそれ、あるいは歩行者が安全に横断できないおそれを防止することができ、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる。
【0013】
第2発明にあっては、制御部は、指定した信号表示が所定の信号表示である場合に、当該指定した信号表示に切り替わった時点から信号表示の最短表示時間以内に操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、当該信号表示の最短表示時間が経過した時点で次の信号表示へ歩進する。これにより、信号表示の表示時間が最短表示時間より短い時間で次の信号表示に切り替わることがなく、表示時間が短時間になりすぎて渋滞を招くおそれ、あるいは歩行者が安全に横断できないおそれを防止することができ、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる。
【0014】
第3発明にあっては、制御部は、指定した信号表示が所定の信号表示である場合に、当該指定した信号表示に切り替わった時点から信号表示の最短表示時間経過後に操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、当該手動歩進操作に応じて次の信号表示へ歩進する。これにより、信号表示の表示時間が最短表示時間より短い時間で次の信号表示に切り替わることがなく、表示時間が短時間になりすぎて渋滞を招くおそれ、あるいは歩行者が安全に横断できないおそれを防止することができる。また、最短表示時間経過後は手動歩進操作で次の信号表示へ歩進するので、交通流の円滑な制御に必要なタイミングで信号表示を切り替えることができ、適切なタイミングで信号灯器の信号表示を切り替えることができる。
【0015】
第4発明にあっては、所定の信号表示は、長階梯である。これにより、円滑な交通流を実現するために比較的長い表示時間(表示秒数)が必要な階梯の表示時間が手動歩進操作により短時間になりすぎることを防止することができる。
【0016】
第5発明にあっては、所定の信号表示は、歩行者用の信号灯器の信号表示が青信号である。この場合、最短表示時間が経過する前に手動歩進操作が行われても次の信号表示に歩進しないので、青信号が短時間で切り替わることを防止することができ、渋滞の発生を抑制することができる。
【0017】
また、所定の信号表示は、歩行者用の信号灯器の信号表示が青点滅信号である。この場合、最短表示時間が経過する前に手動歩進操作が行われても次の信号表示に歩進しないので、歩行者用の青点滅信号が短時間で切り替わることを防止することができ、歩行者が安全に横断歩道を横断することができる。
【0018】
また、所定の信号表示は、車両用の信号灯器の信号表示が青信号であって歩行者用の信号灯器の信号表示が赤信号である。この場合、最短表示時間が経過する前に手動歩進操作が行われても次の信号表示に歩進しないので、車両用の信号灯器の青信号が短時間で切り替わることを防止することができ、渋滞の発生を抑制することができる。
【0019】
また、所定の信号表示は、車両用の信号灯器の信号表示が青矢信号(例えば、右折用の青矢信号、左折用の青矢信号など)である。この場合、最短表示時間が経過する前に手動歩進操作が行われても次の信号表示に歩進しないので、車両用の信号灯器の青矢信号が短時間で切り替わることを防止することができ、例えば、右折車両を交差点で右折させることができ、渋滞の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態の交通信号制御機の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態の交通信号制御機で制御される信号灯器が設置された交差点の一例を示す模式図である。
【図3】本実施の形態の交通信号制御機が使用する一例としての現示階梯図である。
【図4】ステップカウンタで指定したステップが所定のステップである場合の歩進動作の一例を示す説明図である。
【図5】ステップカウンタで指定したステップが所定のステップである場合の歩進動作の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る交通信号制御機の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態の交通信号制御機100の構成の一例を示すブロック図である。交通信号制御機100は、CPU1、CPUインタフェース2、タイマ回路3、灯色を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部としての手動操作部4、ステップ情報を記憶する記憶部としての現示メモリ5、現示メモリ読取回路6、複数の信号灯器の信号表示(以下、「ステップ」とも称し、階梯、現示階梯、灯色なども含むものとする。)を順次指定して、信号表示(ステップ)を歩進制御する制御部10などを備える。また、制御部10は、信号灯器の信号表示を順次指定するステップカウンタ11、ステップカウンタ11に対して次のステップ(信号表示)を指定すべく指令(カウントアップ指令)を出力する手動制御部12などを備える。
【0023】
CPU1は、CPUインタフェース2を介して、各信号灯器の各ステップ(信号表示)に対応する灯色の切替タイミング(ステップの歩進)を定めたステップ情報に基づいて、灯色の切替タイミング信号である歩進指令をステップカウンタ11へ送出する。歩進指令は、信号表示を次の信号表示に進める(ステップを次のステップに進める)指令である。なお、灯色情報で示す灯色の切替タイミングは、例えば、交差点で交差する各道路の交通状況を感知する感応制御などにより適宜変更される。
【0024】
ステップ情報は、例えば、ステップ毎の各灯色の状態(点灯又は消灯)を示す灯色情報、各ステップの基準表示秒数(基準表示時間)、最短表示秒数(最短表示時間)、最長表示秒数(最長表示時間)、階梯種別、自動歩進フラグなどの各情報を含む。
【0025】
基準表示秒数は、例えば、通常の交通状況において採用される表示秒数である。また、最短表示秒数は、感応制御などにより表示秒数を短縮する場合の許容範囲を示す表示秒数の下限値であり、最長表示秒数は、表示秒数を延長する場合の許容範囲を示す表示秒数の上限値である。
【0026】
階梯種別は、例えば、基準表示秒数の長短に応じて、長階梯、中階梯、短階梯などに区分され、短階梯は表示秒数が短い階梯を示し、長階梯は表示秒数が長い階梯を示し、中階梯は、表示秒数が長階梯と短階梯との間にある階梯を示す。
【0027】
自動歩進は、例えば、あるステップ(信号表示)に切り替わった時点から当該ステップの表示時間経過後に自動的に次のステップ(信号表示)へ歩進することをいう。自動歩進フラグは、自動歩進であるか否かを示す。例えば、自動歩進フラグが1であれば自動歩進であり、自動歩進フラグが0であれば自動歩進ではないとすることができる。信号灯器の灯色の切替を手動で行う場合(手動歩進の場合)、自動歩進フラグが0であれば、手動歩進の操作が行われない限り、現状のステップが維持される。一方、自動歩進フラグが1であれば、基準表示時間が経過する前に手動歩進の操作が行われない場合、基準表示時間の経過後(経過時も含む)に自動的に次のステップに進む(歩進する)。
【0028】
タイマ回路3は、不図示のクロック信号に基づいて駆動され、設定に従ってステップの単位時間(例えば、1秒)を計時し、単位時間信号(例えば、1秒周期のクロック)をステップカウンタ11へ出力する。
【0029】
ステップカウンタ11は、CPU1から送出される歩進指令に基づいて、信号灯器のステップを順次指定する。具体的には、ステップカウンタ11は、CPU1から送出される歩進指令に基づいて、ステップを計時し、ステップ信号を生成する。ステップカウンタ11は、生成したステップ信号を現示メモリ読取回路6へ出力する。
【0030】
また、ステップカウンタ11は、タイマ回路3から出力される単位時間信号に基づいて、ステップを計時する。また、ステップカウンタ11は、手動制御部12から出力されるカウントアップ指令(指令)に基づいて、ステップを計時する。なお、ステップを計時するとは、現在のステップを指し示しつつ、ステップを次のステップへ順次進めることを意味する。
【0031】
手動操作部4は、CPU1の異常時などの場合、手動操作で信号灯器の灯色を切り替えるときに使用される。手動操作部4は、手動歩進を行うための操作ボタン(スイッチ)を備える。操作ボタンが押される都度、手動操作部4は、操作信号を手動制御部12へ出力する。また、手動操作を行う場合としては、交通状況に応じて行われるだけでなく、イベントに対応するために、警察署員が手動操作を行う場合もある。イベントとしては、例えば、国賓又は要人が乗った車両を交差点で停止させることなく通過させる場合、マラソンや事故が発生した際に交通規制を行う場合などがある。
【0032】
手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップ(信号表示)が所定のステップ(信号表示)である場合に、指定したステップに切り替わった時点から当該ステップの最短表示時間以内に手動操作部4で手動歩進操作を受け付けたときは、受け付けた手動歩進操作に応じて次の信号表示へ歩進しないように制御する。所定のステップ(信号表示)は、例えば、表示時間が短すぎる場合には、渋滞を招くおそれが生じ、あるいは歩行者が安全に横断できないおそれが生じるステップ(信号表示)である。
【0033】
指定したステップが所定のステップである場合に、当該指定したステップに切り替わった時点から当該ステップの最短表示時間以内に手動歩進操作を受け付けたときは、手動歩進操作に応じて次のステップへ歩進しないので、指定したステップの表示時間が最短表示時間より短い時間で次のステップに切り替わることがなく、表示時間が短時間になりすぎて渋滞を招くおそれ、あるいは歩行者が安全に横断できないおそれを防止することができ、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる。
【0034】
また、手動制御部12は、指定したステップが所定のステップである場合に、当該指定したステップに切り替わった時点から当該ステップの最短表示時間以内に手動操作部4で手動歩進操作を受け付けたときは、当該ステップの最短表示時間が経過した時点で次のステップへ歩進すべく、現示メモリ読取回路6を介して入力されたステップ情報に基づいて、ステップカウンタ11へカウントアップ指令(指令)を出力する。これにより、ステップの表示時間が最短表示時間より短い時間で次のステップに切り替わることがなく、表示時間が短時間になりすぎて渋滞を招くおそれ、あるいは歩行者が安全に横断できないおそれを防止することができ、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる。
【0035】
また、手動制御部12は、指定したステップが所定のステップである場合に、当該指定したステップに切り替わった時点から当該ステップの最短表示時間経過後に手動操作部4で手動歩進操作を受け付けたときは、当該手動歩進操作に応じて次のステップへ歩進すべく、現示メモリ読取回路6を介して入力されたステップ情報に基づいて、ステップカウンタ11へカウントアップ指令(指令)を出力する。これにより、ステップの表示時間が最短表示時間より短い時間で次のステップに切り替わることがなく、表示時間が短時間になりすぎて渋滞を招くおそれ、あるいは歩行者が安全に横断できないおそれを防止することができる。また、最短表示時間経過後は手動歩進操作で次のステップへ歩進するので、交通流の円滑な制御に必要なタイミングで信号表示を切り替えることができ、適切なタイミングで信号灯器の信号表示を切り替えることができる。
【0036】
所定のステップ(信号表示)は、長階梯とすることができる。これにより、円滑な交通流を実現するために比較的長い表示時間(表示秒数)が必要な階梯の表示時間が手動歩進操作により短時間になりすぎることを防止することができる。
【0037】
また、所定のステップ(信号表示)は、歩行者用の信号灯器のステップが青信号とすることができる。これにより、最短表示時間が経過する前に手動歩進操作が行われても次の信号表示に歩進しないので、青信号が短時間で切り替わることを防止することができ、渋滞の発生を抑制することができる。
【0038】
また、所定のステップ(信号表示)は、歩行者用の信号灯器のステップが青点滅信号とすることができる。これにより、最短表示時間が経過する前に手動歩進操作が行われても次の信号表示に歩進しないので、歩行者用の青点滅信号が短時間で切り替わることを防止することができ、歩行者が安全に横断歩道を横断することができる。また、歩車分離式の信号制御方式でない場合に、歩行者用の信号灯器が青点滅信号であって車両用の信号灯器が青信号であるときには、歩行者用の青点滅信号が短時間で切り替わると、車両用の青信号も結果的に短くなるので、車両用の信号灯器の青信号が短時間で切り替わることを防止することができ、渋滞の発生を抑制することができる。
【0039】
また、所定のステップ(信号表示)は、車両用の信号灯器のステップが青信号であって歩行者用の信号灯器のステップが赤信号とすることができる。これにより、最短表示時間が経過する前に手動歩進操作が行われても次の信号表示に歩進しないので、車両用の信号灯器の青信号が短時間で切り替わることを防止することができ、渋滞の発生を抑制することができる。
【0040】
また、所定のステップ(信号表示)は、車両用の信号灯器の信号表示が青矢信号(例えば、右折用の青矢信号、左折用の青矢信号など)とすることができる。これにより、最短表示時間が経過する前に手動歩進操作が行われても次の信号表示に歩進しないので、車両用の信号灯器の青矢信号が短時間で切り替わることを防止することができ、例えば、右折車両を交差点で右折させることができ、渋滞の発生を抑制することができる。なお、歩行者用の信号灯器は歩車分離式の信号灯器も含むものとする。
【0041】
現示メモリ読取回路6は、ステップカウンタ11が出力するステップ信号に基づいて、現示メモリ5に記憶されたステップ情報を読み取り、読み取ったステップ情報に基づいて、各信号灯器へ灯色出力を行う。
【0042】
図2は本実施の形態の交通信号制御機100で制御される信号灯器が設置された交差点の一例を示す模式図である。図2に示すように、東西方向の道路と南北方向の道路とが交差点で交差している。なお、道路の方向は便宜上、東西、南北としたが、これに限定されるものではない。
【0043】
図2に示すように、交差点付近の所定の箇所には、東西方向の道路に対する車両用の信号灯器201、南北方向の道路に対する車両用の信号灯器202を設置してある。また、南北方向の道路を横断する横断歩道には、歩行者用の信号灯器301を設置してあり、東西方向の道路を横断する横断歩道には、歩行者用の信号灯器302を設置してある。以下の説明では、信号灯器201を東西方向の車両用の信号灯器と称し、信号灯器202を南北方向の車両用の信号灯器と称し、信号灯器301を東西方向の歩行者用の信号灯器と称し、信号灯器302を南北方向の歩行者用の信号灯器と称する。
【0044】
図3は本実施の形態の交通信号制御機100が使用する一例としての現示階梯図である。図3は、図2に例示した交差点において、ステップカウンタ11により計時される各ステップ(階梯)及び各信号灯器を示す。図中、横線は青色表示を表し、折れ線は黄色表示を表し、二重線は赤色表示を表し、丸矢印は青矢(右折矢)表示を示し、縦線は青色点滅を表す。ステップ1〜14で信号灯器の1サイクルを表している。なお、図3の例では、すべてのステップに最短表示秒数が設定されているが、これに限定されるものではなく、最短表示秒数が設定されていないステップがあってもよい。
【0045】
図3のステップ1(符号がPG)の場合から説明する。手動制御部12は、ステップカウンタ11が指定するステップ1が所定のステップであるか否かを判定する。所定のステップ(信号表示)は、上述のように、例えば、階梯種別が長階梯であるステップ、一の道路に対する車両用の信号灯器及び当該一の道路と交差する道路に対する歩行者用の信号灯器の信号表示が青信号であるステップ、当該車両用の信号灯器の信号表示が青信号であって当該歩行者用の信号灯器の信号表示が青点滅信号であるステップ、当該車両用の信号灯器の信号表示が青信号であって当該歩行者用の信号灯器の信号表示が赤信号であるステップ、あるいは当該車両用の信号灯器の信号表示が青矢信号であるステップである。
【0046】
ステップ1(符号がPG)は、東西方向の車両用の信号灯器201の灯色は青信号であり、東西方向の歩行者用の信号灯器301の灯色は青信号であるから、所定のステップに該当する。また、ステップ1は、階梯種別が長階梯であるから、所定のステップに該当する。次に手動歩進操作が行われときの歩進動作について説明する。
【0047】
図4はステップカウンタ11で指定したステップが所定のステップである場合の歩進動作の一例を示す説明図である。図4Aは手動歩進操作待ちの状態を示し、ステップカウンタ11がステップ1を指定している状態を表す。図4Bに示すように、ステップ1に切り替わった時点から最短表示秒数T1が経過する前の時刻t1で手動歩進操作が行われた場合、図4Cに示すように、手動制御部12は、ステップ1の最短表示秒数T1が経過した時点で次のステップ2へ歩進する。なお、次のステップ2へ歩進するタイミングは、最短表示秒数T1の経過時点でもよく、当該経過時点から若干の処理時間遅れを考慮した時点でもよい。
【0048】
図4に示すように、指定したステップが所定のステップである場合に、当該指定したステップに切り替わった時点から当該ステップの最短表示時間以内に手動歩進操作を受け付けたときは、手動歩進操作に応じて次のステップへ歩進しないので、指定したステップの表示時間が最短表示時間より短い時間で次のステップに切り替わることがなく、表示時間が短時間になりすぎて渋滞を招くおそれ、あるいは歩行者が安全に横断できないおそれを防止することができ、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる。特に、図4で示すステップ1の場合には、手動歩進操作が行われても、青信号の表示時間が最短表示秒数である6秒以内に切り替わることがないので、渋滞発生のおそれを防止することができる。
【0049】
図4の例では、ステップ1に切り替わった時点から最短表示秒数T1が経過する前の時刻t1で手動歩進操作が行われた場合、ステップ1の最短表示秒数T1が経過した時点で次のステップ2へ歩進する構成であったが、これに限定されるものではなく、ステップ1の最短表示秒数T1が経過した時点で次のステップへ歩進するのではなく、次の手動歩進操作を待つ構成とすることもできる。
【0050】
図5はステップカウンタ11で指定したステップが所定のステップである場合の歩進動作の他の例を示す説明図である。図5Aは手動歩進操作待ちの状態を示し、ステップカウンタ11がステップ1を指定している状態を表す。図5Bに示すように、ステップ1に切り替わった時点から最短表示秒数T1が経過する前の時刻t1で手動歩進操作が行われた場合、図5Cに示すように、ステップ1の最短表示秒数T1が経過した時点では次のステップ2へ歩進しない。
【0051】
図5Bに示すように、ステップ1に切り替わった時点から最短表示秒数T1が経過した時点より後の時刻t2で手動歩進操作が行われた場合、図5Cに示すように、時刻t2で次のステップ2へ歩進する。なお、次のステップ2へ歩進するタイミングは、時刻t2でもよく、時刻t2から若干の処理時間遅れを考慮した時刻でもよい。
【0052】
図5に示すように、指定したステップが所定のステップである場合に、当該指定したステップに切り替わった時点から当該ステップの最短表示時間経過後に手動歩進操作を受け付けたときは、当該手動歩進操作に応じて次のステップへ歩進する。これにより、ステップの表示時間が最短表示時間より短い時間で次のステップに切り替わることがなく、ステップが短時間になりすぎて渋滞を招くおそれ、あるいは歩行者が安全に横断できないおそれを防止することができる。また、最短表示時間経過後は手動歩進操作で次のステップへ歩進するので、交通流の円滑な制御に必要なタイミングで信号表示を切り替えることができ、適切なタイミングで信号灯器の信号表示を切り替えることができる。
【0053】
次に、ステップ2(符号がPF)は、東西方向の車両用の信号灯器201の灯色は青信号であり、東西方向の歩行者用の信号灯器301の灯色は青点滅信号であるから、所定のステップに該当する。ステップ2の場合も、図4又は図5に例示したのと同様の歩進制御を行うことができる。
【0054】
次に、ステップ3(符号がPR)は、東西方向の車両用の信号灯器201の灯色は青信号であり、東西方向の歩行者用の信号灯器301の灯色は赤信号であるから、所定のステップに該当する。ステップ3の場合も、図4又は図5に例示したのと同様の歩進制御を行うことができる。
【0055】
次に、ステップ4(符号がY)は、東西方向の車両用の信号灯器201の灯色は黄信号であり、東西方向の歩行者用の信号灯器301の灯色は赤信号であり、南北方向の車両用の信号灯器202の灯色は赤信号であり、南北方向の歩行者用の信号灯器302の灯色は赤信号であり、また、階梯種別は短階梯であり長階梯ではないから、所定のステップには該当しない。ステップ4では、図4又は図5に例示したのと同様の歩進制御をおこなわない。なお、ステップ4では、手動歩進操作が行われた時点で次のステップへ歩進するようにすればよい。
【0056】
次に、ステップ5(符号がA)は、東西方向の車両用の信号灯器201の灯色は青矢信号であるから、所定のステップに該当する。ステップ5の場合も、図4又は図5に例示したのと同様の歩進制御を行うことができる。
【0057】
次に、ステップ6(符号がY)は、東西方向の車両用の信号灯器201の灯色は黄信号であり、東西方向の歩行者用の信号灯器301の灯色は赤信号であり、南北方向の車両用の信号灯器202の灯色は赤信号であり、南北方向の歩行者用の信号灯器302の灯色は赤信号であり、また、階梯種別は短階梯であり長階梯ではないから、所定のステップには該当しない。ステップ6では、図4又は図5に例示したのと同様の歩進制御を行わない。なお、ステップ6では、ステップ4と同様に、手動歩進操作が行われた時点で次のステップへ歩進するようにすればよい。
【0058】
次に、ステップ7(符号がAR)は、東西方向の車両用の信号灯器201の灯色は赤信号であり、東西方向の歩行者用の信号灯器301の灯色は赤信号であり、南北方向の車両用の信号灯器202の灯色は赤信号であり、南北方向の歩行者用の信号灯器302の灯色は赤信号であり(全赤信号)、また、階梯種別は短階梯であり長階梯ではないから、所定のステップには該当しない。ステップ7では、図4又は図5に例示したのと同様の歩進制御を行わない。なお、ステップ7では、手動歩進操作が行われた時点で次のステップへ歩進するようにすればよい。また、ステップ8〜14は、ステップ1〜7と同様であるので、説明は省略する。
【0059】
上述の実施の形態において、手動制御部12は、専用のハードウェア回路で構成することもでき、あるいはCPU、RAMなどで構成し、所要の処理手順を定めたプログラムをRAMにロードし、プログラムをCPU上で実行することにより、ソフトウエアにより実現することもできる。
【0060】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
4 手動操作部(操作部)
5 現示メモリ(記憶部)
10 制御部(制御部)
11 ステップカウンタ
12 手動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点で交差する複数の道路に対する複数の信号灯器の信号表示を順次的に切り替える交通信号制御機において、
前記複数の信号灯器の信号表示の最短表示時間を示すステップ情報を記憶する記憶部と、
信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、
前記複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、該信号表示を歩進制御する制御部と
を備え、
該制御部は、
指定した信号表示が所定の信号表示である場合に、該指定した信号表示に切り替わった時点から該信号表示の最短表示時間以内に前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、該手動歩進操作に応じて次の信号表示へ歩進しないように構成してあることを特徴とする交通信号制御機。
【請求項2】
前記制御部は、
指定した信号表示が前記所定の信号表示である場合に、該指定した信号表示に切り替わった時点から該信号表示の最短表示時間以内に前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、該信号表示の最短表示時間が経過した時点で次の信号表示へ歩進するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の交通信号制御機。
【請求項3】
前記制御部は、
指定した信号表示が前記所定の信号表示である場合に、該指定した信号表示に切り替わった時点から該信号表示の最短表示時間経過後に前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、該手動歩進操作に応じて次の信号表示へ歩進するように構成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の交通信号制御機。
【請求項4】
前記所定の信号表示は、階梯種別が長階梯であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
【請求項5】
前記所定の信号表示は、
歩行者用の信号灯器の信号表示が青信号、
歩行者用の信号灯器の信号表示が青点滅信号、
車両用の信号灯器の信号表示が青信号であって歩行者用の信号灯器の信号表示が赤信号、
又は車両用の信号灯器の信号表示が青矢信号であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の交通信号制御機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−73381(P2013−73381A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211265(P2011−211265)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】