説明

交通信号制御機

【課題】手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる交通信号制御機を提供する。
【解決手段】手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色である場合に、手動操作部4で手動歩進操作を受け付けたときは、指定したステップに切り替わった時点から所定時間経過後に、指定したステップを次のステップへ歩進する。また、手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色以外の灯色である場合に、手動操作部4で手動歩進操作を受け付けたときは、指定したステップを次のステップへ歩進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の信号灯器の信号表示を順次的に切り替える交通信号制御機に関する。
【背景技術】
【0002】
交通信号制御機は、各信号灯器の信号表示(ステップ)の灯色を定めた灯色情報、各灯色の表示時間などを含むステップ情報に基づいて、各信号灯器の信号表示を切り替える。そして、交通信号制御機は、各ステップを順番に進めていく歩進動作を行うためのステップカウンタを備えている。また、交通信号制御機は、故障などの異常時においても円滑な交通を維持するため、手動操作により、ステップを次のステップへ進める手動歩進を行う機能も備えている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−331385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、人が手動歩進の操作を行うタイミングは、手動操作を行う人の判断に依存して決定されてしまう。このため、信号灯器の灯色の切り替えタイミングが不規則になり、車両の運転者又は歩行者などが、一般的に認識している灯色の点灯時間に比べて、当該灯色の点灯時間が長すぎる場合が発生し、あるいは逆に短すぎる場合が発生し、運転者又は歩行者などが混乱するおそれがあった。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる交通信号制御機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る交通信号制御機は、交差点で交差する複数の道路に対する複数の信号灯器の信号表示を順次的に切り替える交通信号制御機において、前記複数の信号灯器の信号表示を示すステップ情報を記憶する記憶部と、信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、前記複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、該信号表示を歩進制御する制御部とを備え、該制御部は、指定した信号表示が所定の信号表示である場合に、前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、前記指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過後に、該信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するようにしてあり、指定した信号表示が前記所定の信号表示以外の信号表示である場合に、前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するように構成してあることを特徴とする。
【0007】
第2発明に係る交通信号制御機は、第1発明において、前記所定の信号表示は、車両用の信号灯器の黄信号であることを特徴とする。
【0008】
第3発明に係る交通信号制御機は、第1発明又は第2発明において、前記所定の信号表示は、歩行者用の信号灯器の青点滅信号であることを特徴とする。
【0009】
第4発明に係る交通信号制御機は、第1発明乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記所定の信号表示は、車両用の信号灯器の全赤信号であることを特徴とする。
【0010】
第1発明にあっては、複数の信号灯器の信号表示を示すステップ情報を記憶する記憶部と、信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、信号表示を歩進制御する制御部とを備える。制御部は、指定した信号表示(ステップ)が所定の信号表示である場合に、操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過後に、指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御する。また、制御部は、指定した信号表示が所定の信号表示以外の信号表示である場合に、操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御する。所定の信号表示(ステップ)は、手動操作による切り替えタイミングの制御を特段必要としない信号表示であり、例えば、車両用の信号灯器の黄信号などである。また、所定の信号表示以外の信号表示は、交通流の制御のため手動操作による切り替えタイミングの制御を必要とする灯色であり、例えば、車両用の信号灯器の青信号などである。
【0011】
指定した信号表示が所定の信号表示である場合には、手動歩進操作を行っても次の信号表示へ歩進せず、指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間(例えば、基準表示秒数など)が経過した時点で次の信号表示へ歩進するので、当該指定した信号表示の点灯時間が一般的に認識されている時間よりも長くなること、あるいは短くなることを抑制して、運転者又は歩行者が混乱することを防止することができる。また、指定した信号表示が所定の信号表示である場合には、次の信号表示へ自動歩進する(所定時間経過時点で歩進する)ので、信号表示の切り替えタイミングを図る手間が不要となり、手動歩進のための操作が容易になり、手動歩進操作が行われる場合でも適切なタイミングで信号灯器の信号表示を切り替えることができる。一方、指定した信号表示が所定の信号表示以外の信号表示である場合には、手動歩進操作を行った時点で次の信号表示へ歩進するので、交通流の円滑な制御に必要なタイミングで信号表示を切り替えることができ、適切なタイミングで信号灯器の信号表示を切り替えることができる。
【0012】
第2発明にあっては、所定の信号表示は、車両用の信号灯器の黄信号である。指定した信号表示が車両用の信号灯器の黄信号である場合、指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過時点で次の信号表示に切り替わる(自動で歩進する)ので、車両用の信号灯器の黄信号が一般的に認識されている時間よりも長時間の点灯になることを抑制して、運転者が混乱することを防止することができる。また、指定した信号表示に切り替わった時点から短い時間内で手動歩進操作が行われた場合でも、所定時間経過後に次の信号表示へ自動歩進するので、当該指定した信号表示の点灯時間が短くなることを防止することができる。
【0013】
第3発明にあっては、所定の信号表示は、歩行者用の信号灯器の青点滅信号である。例えば、指定した信号表示が歩行者用の信号灯器の青点滅信号である場合、指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過時点で次の信号表示に切り替わる(自動で歩進する)ので、歩行者用の信号灯器の青点滅信号が一般的に認識されている時間よりも短時間の点灯になることを抑制して、歩行者が横断歩道を横断しきれない状態で信号が切り替わることを防止して、歩行者が混乱することを防止することができる。なお、信号灯器は、歩車分離式の信号灯器も含む。
【0014】
第4発明にあっては、所定の信号表示は、車両用の信号灯器の全赤信号である。指定した信号表示が車両用の信号灯器の全赤信号(交差点で交差する各道路の信号灯器の灯色がすべて赤信号である状態)である場合、指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過時点で次の信号表示に切り替わる(自動で歩進する)ので、車両用の信号灯器の全赤信号が一般的に認識されている時間よりも長時間の点灯になることを抑制して、運転者が混乱することを防止することができる。また、指定した信号表示に切り替わった時点から短い時間内で手動歩進操作が行われた場合でも、所定時間経過後に次の信号表示へ自動歩進するので、当該指定した信号表示の点灯時間が短くなることを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、手動歩進操作が行われる場合でも、適切なタイミングで信号灯器の信号表示の切替えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態の交通信号制御機の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態の交通信号制御機で制御される信号灯器が設置された交差点の一例を示す模式図である。
【図3】本実施の形態の交通信号制御機が使用する一例としての現示階梯図である。
【図4】ステップカウンタで指定したステップの灯色が所定の灯色以外の灯色である場合の歩進動作の一例を示す説明図である。
【図5】ステップカウンタで指定したステップの灯色が所定の灯色である場合の歩進動作の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る交通信号制御機の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態の交通信号制御機100の構成の一例を示すブロック図である。交通信号制御機100は、CPU1、CPUインタフェース2、タイマ回路3、灯色を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部としての手動操作部4、ステップ情報を記憶する記憶部としての現示メモリ5、現示メモリ読取回路6、複数の信号灯器の信号表示(以下、「ステップ」とも称し、階梯、現示階梯、灯色なども含むものとする。)を順次指定して、信号表示(ステップ)を歩進制御する制御部10などを備える。また、制御部10は、信号灯器の信号表示を順次指定するステップカウンタ11、ステップカウンタ11に対して次のステップ(信号表示)を指定すべく指令(カウントアップ指令)を出力する手動制御部12などを備える。
【0018】
CPU1は、CPUインタフェース2を介して、各信号灯器の各ステップ(信号表示)の灯色の切替タイミング(ステップの歩進)を定めたステップ情報に基づいて、灯色の切替タイミング信号である歩進指令をステップカウンタ11へ送出する。歩進指令は、信号表示を次の信号表示へ進める(ステップを次のステップに進める)指令である。なお、灯色情報で示す灯色の切替タイミングは、例えば、交差点で交差する各道路の交通状況を感知する感応制御などにより適宜変更される。
【0019】
ステップ情報は、例えば、ステップ毎の各灯色の状態(点灯又は消灯)を示す灯色情報、各ステップの基準表示秒数(基準表示時間)、最短表示秒数(最短表示時間)、最長表示秒数(最長表示時間)、階梯種別、自動歩進フラグなどの各情報を含む。
【0020】
基準表示秒数は、例えば、通常の交通状況において採用される表示秒数である。また、最短表示秒数は、感応制御などにより表示秒数を短縮する場合の許容範囲を示す表示秒数の下限値であり、最長表示秒数は、表示秒数を延長する場合の許容範囲を示す表示秒数の上限値である。
【0021】
階梯種別は、例えば、基準表示秒数の長短に応じて、長階梯、中階梯、短階梯などに区分され、短階梯は表示秒数が短い階梯を示し、長階梯は表示秒数が長い階梯を示し、中階梯は、表示秒数が長階梯と短階梯との間にある階梯を示す。
【0022】
自動歩進は、例えば、あるステップに切り替わった時点から当該ステップの表示時間経過後に自動的に次のステップへ歩進することをいう。自動歩進フラグは、自動歩進であるか否かを示す。例えば、自動歩進フラグが1であれば自動歩進であり、自動歩進フラグが0であれば自動歩進ではないとすることができる。信号灯器の灯色の切替を手動で行う場合(手動歩進の場合)、自動歩進フラグが0であれば、手動歩進の操作が行われない限り、現状のステップが維持される。一方、自動歩進フラグが1であれば、基準表示時間が経過する前に手動歩進の操作が行われない場合、基準表示時間の経過後(経過時も含む)に自動的に次のステップに進む(歩進する)。
【0023】
タイマ回路3は、不図示のクロック信号に基づいて駆動され、設定に従ってステップの単位時間(例えば、1秒)を計時し、単位時間信号(例えば、1秒周期のクロック)をステップカウンタ11へ出力する。
【0024】
ステップカウンタ11は、CPU1から送出される歩進指令に基づいて、信号灯器のステップを順次指定する。具体的には、ステップカウンタ11は、CPU1から送出される歩進指令に基づいて、ステップを計時し、ステップ信号を生成する。ステップカウンタ11は、生成したステップ信号を現示メモリ読取回路6へ出力する。
【0025】
また、ステップカウンタ11は、タイマ回路3から出力される単位時間信号に基づいて、ステップを計時する。また、ステップカウンタ11は、手動制御部12から出力されるカウントアップ指令(指令)に基づいて、ステップを計時する。なお、ステップを計時するとは、現在のステップを指し示しつつ、ステップを次のステップへ順次進めることを意味する。
【0026】
手動操作部4は、CPU1の異常時などの場合、手動操作で信号灯器の灯色を切り替えるときに使用される。手動操作部4は、手動歩進を行うための操作ボタン(スイッチ)を備える。操作ボタンが押される都度、手動操作部4は、操作信号を手動制御部12へ出力する。また、手動操作を行う場合としては、交通状況に応じて行われるだけでなく、イベントに対応するために、警察署員が手動操作を行う場合もある。イベントとしては、例えば、国賓又は要人が乗った車両を交差点で停止させることなく通過させる場合、マラソンや事故が発生した際に交通規制を行う場合などがある。
【0027】
手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色(信号表示)が所定の灯色(所定の信号表示)である場合に、手動操作部4で手動歩進操作を受け付けたときは、指定したステップ(信号表示)に切り替わった時点から所定時間経過後に、指定したステップを次のステップへ歩進すべく、現示メモリ読取回路6を介して入力されたステップ情報に基づいて、ステップカウンタ11へカウントアップ指令(指令)を出力する。
【0028】
また、手動制御部12は、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色以外の灯色である場合に、手動操作部4で手動歩進操作を受け付けたときは、指定したステップを次のステップへ歩進すべく、現示メモリ読取回路6を介して入力されたステップ情報に基づいて、ステップカウンタ11へカウントアップ指令(指令)を出力する。
【0029】
所定の灯色は、手動操作による切り替えタイミングの制御を特段必要としない灯色であり、例えば、車両用の信号灯器が黄信号である場合、歩行者用の信号灯器が青点滅信号である場合(例えば、車両用の信号灯器が青信号であり、かつ歩行者用の信号灯器が青点滅信号である場合、あるいは、歩車分離の信号機においては、車両用の信号灯器が赤信号であり、かつ歩行者用の信号灯器が青点滅信号である場合等)などである。
【0030】
所定の灯色以外の灯色は、交通流の制御のため手動操作による切り替えタイミングの制御を必要とする灯色であり、例えば、車両用の信号灯器が青信号である場合である。
【0031】
ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色である場合には、手動歩進操作を行っても次のステップへ歩進せず、指定したステップに切り替わった時点から所定時間(例えば、基準表示秒数など)が経過した時点で次のステップへ歩進するので、当該指定したステップの灯色の点灯時間が一般的に認識されている時間よりも長くなること、あるいは短くなることを抑制して、運転者又は歩行者が混乱することを防止することができる。また、ステップカウンタ11指定したステップの灯色が所定の灯色である場合には、次のステップへ自動歩進する(所定時間経過時点で歩進する)ので、灯色の切り替えタイミングを図る手間が不要となり、手動歩進のための操作が容易になり、手動歩進操作が行われる場合でも適切なタイミングで信号灯器の灯色を切り替えることができる。
【0032】
また、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色である場合には、指定したステップに切り替わった時点から短い時間内で手動歩進操作が行われた場合でも、所定時間経過後に次のステップへ自動歩進するので、当該指定したステップの灯色の点灯時間が短くなることを防止することができる。
【0033】
一方、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色以外の灯色である場合には、手動歩進操作を行った時点で次のステップへ歩進するので、交通流の円滑な制御に必要なタイミングで灯色を切り替えることができ、適切なタイミングで信号灯器の灯色を切り替えることができる。
【0034】
現示メモリ読取回路6は、ステップカウンタ11が出力するステップ信号に基づいて、現示メモリ5に記憶されたステップ情報を読み取り、読み取ったステップ情報に基づいて、各信号灯器へ灯色出力を行う。
【0035】
図2は本実施の形態の交通信号制御機100で制御される信号灯器が設置された交差点の一例を示す模式図である。図2に示すように、東西方向の道路と南北方向の道路とが交差点で交差している。なお、道路の方向は便宜上、東西、南北としたが、これに限定されるものではない。
【0036】
図2に示すように、交差点付近の所定の箇所には、東西方向の道路に対する車両用の信号灯器201、南北方向の道路に対する車両用の信号灯器202を設置してある。また、南北方向の道路を横断する横断歩道には、歩行者用の信号灯器301を設置してあり、東西方向の道路を横断する横断歩道には、歩行者用の信号灯器302を設置してある。以下の説明では、信号灯器201を東西方向の車両用の信号灯器と称し、信号灯器202を南北方向の車両用の信号灯器と称し、信号灯器301を東西方向の歩行者用の信号灯器と称し、信号灯器302を南北方向の歩行者用の信号灯器と称する。
【0037】
図3は本実施の形態の交通信号制御機100が使用する一例としての現示階梯図である。図3は、図2に例示した交差点において、ステップカウンタ11により計時される各ステップ(階梯)及び各信号灯器を示す。図中、横線は青色表示を表し、折れ線は黄色表示を表し、二重線は赤色表示を表し、縦線は青色点滅を表す。ステップ1〜10で信号灯器の1サイクルを表している。基準表示秒数は、各ステップの灯色の点灯時間を表す。
【0038】
図3のステップ1(符号がPG)の場合から説明する。ステップカウンタ11が指定するステップが、ステップ1(符号がPG)である場合、東西方向の車両用の信号灯器201の灯色は青信号であり、東西方向の歩行者用の信号灯器301の灯色は青信号であり、南北方向の車両用の信号灯器202の灯色は赤信号であり、南北方向の歩行者用の信号灯器302の灯色は赤信号であり、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色以外の灯色であるので、手動歩進操作を行った時点で次のステップへ歩進する。
【0039】
図4はステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色以外の灯色である場合の歩進動作の一例を示す説明図である。図4Aは手動歩進操作前の状態を示し、図4Bは手動歩進操作後の状態を示す。図4Aに示すように、ステップカウンタ11で指定したステップがステップ1である場合に、ステップ1の時間帯の任意の時刻t1において手動歩進操作を受付けたときには、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色以外の灯色であるので、図4Bに示すように、時刻t1において、次のステップ2(符号がPF)に歩進する。なお、次のステップ2へ歩進するタイミングは、時刻t1でもよく、時刻t1から若干の処理時間遅れを考慮した時刻でもよい。
【0040】
なお、図3の歩進制御の欄で、ステップ1について手動と表記しているのは、図4に示した歩進動作のように、手動歩進操作を行った時点で次のステップへ手動歩進することを示す。図3に示すように、ステップカウンタ11で指定したステップがステップ3の場合(東西方向の車両用の信号灯器201の灯色が青信号であり、東西方向の歩行者用の信号灯器301の灯色が赤信号である場合)、ステップ6の場合(南北方向の車両用の信号灯器202の灯色が青信号であり、南北方向の歩行者用の信号灯器302の灯色が青信号である場合)、ステップ8の場合(南北方向の車両用の信号灯器202の灯色が青信号であり、南北方向の歩行者用の信号灯器302の灯色が赤信号である場合)も、ステップ1と同様に、指定したステップの灯色が所定の灯色以外の灯色であるので、手動歩進が行われる。
【0041】
次に、ステップカウンタ11が指定するステップが、ステップ2(符号がPF)である場合、東西方向の車両用の信号灯器201の灯色は青信号であり、東西方向の歩行者用の信号灯器301の灯色は青点滅信号(所定の灯色である)であり、南北方向の車両用の信号灯器202の灯色は赤信号であり、南北方向の歩行者用の信号灯器302の灯色は赤信号であり、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色であるので、指定したステップ(この場合、ステップ2)に切り替わった時点から所定時間(例えば、基準表示秒数)経過後に、指定したステップを次のステップ(この場合、ステップ3)へ歩進する。
【0042】
図5はステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色である場合の歩進動作の一例を示す説明図である。図5Aは手動歩進操作前の状態を示し、図5Bは手動歩進操作後の状態を示す。図5Aに示すように、ステップカウンタ11で指定したステップがステップ2である場合に、ステップ2の時間帯の任意の時刻t2において手動歩進操作を受付けたときには、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が所定の灯色であるので、図5Bに示すように、ステップ2に切り替わった時点から所定時間T2(例えば、基準表示秒数)経過後に、次のステップ3へ歩進する。
【0043】
上述のステップ2の場合では、所定の灯色が、車両用の信号灯器の青信号であり、かつ歩行者用の信号灯器の青点滅信号である。指定したステップの灯色が車両用の信号灯器の青信号であり、歩行者用の信号灯器の青点滅信号である場合、指定したステップに切り替わった時点から所定時間経過時点で次のステップに切り替わる(自動で歩進する)ので、歩行者用の信号灯器の青点滅信号が一般的に認識されている時間よりも短時間の点灯になることを抑制して、歩行者が横断歩道を横断しきれない状態で信号が切り替わることを防止して、歩行者が混乱することを防止することができる。
【0044】
なお、図3の歩進制御の欄で、ステップ2について自動と表記しているのは、図5に示した歩進動作のように、手動歩進操作を行った時点で次のステップへ歩進せず、指定したステップに切り替わった時点から所定時間経過後に自動歩進することを示す。図3に示すように、自動歩進が行われるのは、ステップカウンタ11で指定したステップが、ステップ2の他、ステップ4(所定の灯色が、車両用の信号灯器が黄信号である場合)、ステップ5(所定の灯色が、車両用の信号灯器の灯色が全赤信号の場合)、ステップ7(車両用の信号灯器の青信号であり、かつ歩行者用の信号灯器の青点滅信号である場合)、ステップ9(所定の灯色が、車両用の信号灯器が黄信号である場合)、ステップ10(所定の灯色が、車両用の信号灯器の灯色が全赤信号の場合)のときである。
【0045】
すなわち、ステップ4、9のように、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が車両用の信号灯器の黄信号である場合、指定したステップに切り替わった時点から所定時間経過時点で次のステップに切り替わる(自動で歩進する)ので、車両用の信号灯器の黄信号が一般的に認識されている時間よりも長時間の点灯になることを抑制して、運転者が混乱することを防止することができる。また、指定したステップに切り替わった時点から短い時間内で手動歩進操作が行われた場合でも、所定時間経過後に次のステップへ自動歩進するので、当該指定したステップの灯色の点灯時間が短くなることを防止することができる。
【0046】
また、ステップ5、10のように、ステップカウンタ11で指定したステップの灯色が車両用の信号灯器の全赤信号(交差点で交差する各道路の信号灯器の灯色がすべて赤信号である状態)である場合、指定したステップに切り替わった時点から所定時間経過時点で次のステップに切り替わる(自動で歩進する)ので、車両用の信号灯器の全赤信号が一般的に認識されている時間よりも長時間の点灯になることを抑制して、運転者が混乱することを防止することができる。
【0047】
上述の実施の形態では、車両用の信号灯器の灯色が青信号であり、かつ歩行者用の信号灯器の灯色が青点滅である場合に、手動歩進の操作を受付けた場合、手動歩進せずに所定時間経過後に次のステップへ歩進する自動歩進とする構成であったが、これに限定されるものではなく、自動歩進に代えて手動歩進とすることもできる。
【0048】
上述の実施の形態において、例えば、歩車分離の信号機が用いられる場合には、車両用の信号灯器の灯色が赤信号であり、かつ歩行者用の信号灯器の灯色が青点滅である場合に、手動歩進の操作を受付けたときに、手動歩進せずに所定時間経過後に次のステップへ歩進する自動歩進とすることもできる。
【0049】
上述の実施の形態では、車両用の信号灯器の灯色が全赤信号である場合に、手動歩進の操作を受付けた場合、手動歩進せずに所定時間経過後に次のステップへ歩進する自動歩進とする構成であったが、これに限定されるものではなく、自動歩進に代えて手動歩進とすることもできる。
【0050】
上述の実施の形態において、手動制御部12は、専用のハードウェア回路で構成することもでき、あるいはCPU、RAMなどで構成し、所要の処理手順を定めたプログラムをRAMにロードし、プログラムをCPU上で実行することにより、ソフトウエアにより実現することもできる。
【0051】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
4 手動操作部(操作部)
5 現示メモリ(記憶部)
10 制御部(制御部)
11 ステップカウンタ
12 手動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点で交差する複数の道路に対する複数の信号灯器の信号表示を順次的に切り替える交通信号制御機において、
前記複数の信号灯器の信号表示を示すステップ情報を記憶する記憶部と、
信号表示を切り替えるための手動歩進操作を受け付ける操作部と、
前記複数の信号灯器の信号表示を順次指定して、該信号表示を歩進制御する制御部と
を備え、
該制御部は、
指定した信号表示が所定の信号表示である場合に、前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、前記指定した信号表示に切り替わった時点から所定時間経過後に、該信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するようにしてあり、
指定した信号表示が前記所定の信号表示以外の信号表示である場合に、前記操作部で手動歩進操作を受け付けたときは、前記指定した信号表示を次の信号表示へ歩進すべく制御するように構成してあることを特徴とする交通信号制御機。
【請求項2】
前記所定の信号表示は、
車両用の信号灯器の黄信号であることを特徴とする請求項1に記載の交通信号制御機。
【請求項3】
前記所定の信号表示は、
歩行者用の信号灯器の青点滅信号であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の交通信号制御機。
【請求項4】
前記所定の信号表示は、
車両用の信号灯器の全赤信号であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の交通信号制御機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−73382(P2013−73382A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211266(P2011−211266)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】