説明

交通信号情報提供システム及び情報提供装置

【課題】点滅する灯器接点を監視する場合でも、正確な信号情報を提供することができる交通信号情報提供システム及び情報提供装置を提供する。
【解決手段】検出部34は、信号灯器(1、2、1P、2P)の灯器ユニットが点灯、滅灯又は点滅しているかを検出する。特定部35は、検出部34で検出した駆動電流に基づいて、灯器ユニットが所定時間より長い時間滅灯となった後に点灯となった時点G1を特定する。制御部31は、特定部35で特定した時点G1に送信部33を介して信号情報を光ビーコンへ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の安全運転を支援するために交通信号制御の情報を車両に対して提供する交通信号情報提供システム及び該交通信号情報提供システムを構成する情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在普及している交通信号制御機の信号制御方式には、大別してテーブル制御タイプと歩進制御タイプが存在する。テーブル制御タイプでは、交通管制センタ等に設置した信号制御装置が、上位の中央装置等からの上位指令に基づいて、信号制御計画を決定するための基となる指令である信号制御指令情報を交通信号制御機に対して送信し、交通信号制御機はその信号制御指令情報に基づいて自ら信号制御計画を決定した上で、その信号制御計画に従って各信号灯色の表示を切り替える。通常、信号制御計画は、1サイクルの開始時点において当該1サイクル分決定される。すなわち、テーブル制御タイプでは、交通信号制御機が自ら信号制御計画を決定するため、交通信号制御機自身が将来どの時点で信号灯色が切り替わるかについての情報を保持している。
【0003】
一方、歩進制御タイプでは、交通管制センタ等に設置した信号制御装置が、上位の中央装置等からの上位指令に基づいて、信号灯器の各信号灯色の切替タイミングを含む信号制御計画を決定した上で、その切替タイミングに該当する時刻に交通信号制御機に対して切替タイミング信号(歩進指令)を送出し、その歩進指令に応じて交通信号制御機が信号灯色の表示を切り替える。歩進制御タイプでは、信号制御装置が信号制御計画を決定するため、交通信号制御機は将来どの時点で信号灯色が切り替わるかについての情報を保持していない。
【0004】
また、これまで、路側装置が保持する信号制御計画に関する情報は、車両側に提供されることはなかったが、近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、路側装置から車両側に情報を送信し、車両側では受信した情報を活用することで、車両の安全性を向上させる路車協調システムが検討されている。このようなシステムとして、例えば、信号機の作動情報を無線で車両へ送信し、車両が受信した作動情報に含まれる青信号の残表示時間に応じてブレーキ制御を行う安全運転支援システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
従来のような路車協調システムにおいて、信号制御方式が歩進制御タイプの場合、信号制御装置は歩進指令を交通信号制御機へ送出するとともに、信号制御計画に関する情報(例えば、信号情報)を情報提供装置へ送信する。情報提供装置は受信した信号情報を光ビーコン等の路側通信装置へ送信する。光ビーコンは受信した信号情報を、当該光ビーコンとの通信可能領域を通過する車両へ送信する。車両は受信した信号情報を安全走行や安全運転のために活用する。そして、この場合、車両が受信する信号情報は、交通信号制御機による信号灯色の切替タイミングと同期していることが必要である。このため、情報提供装置は、例えば、信号サイクルの1ステップ開始時に点灯する車両用灯器の青(灯器接点)を監視し、青の表示が開始される時点と同期して信号情報を光ビーコンに登録するようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2806801号公報
【特許文献2】特開2010−39673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、交通信号制御機及び車両用灯器の工事又は設置条件等の制約により、車両用灯器の灯器接点(青)を監視するための配線ができず、例えば、歩行者用灯器の灯器接点を使用せざるを得ない場合がある。しかし、歩行者用灯器は、青が点灯、消灯するだけでなく青点滅を繰り返すため、青の点灯時を監視した場合には、情報提供装置は、青点滅の都度、サイクル先頭から終了までの信号情報を光ビーコンに登録する。青点滅の都度、信号情報が光ビーコンに登録されると、サイクルの途中でサイクル先頭から終了までの信号情報を再登録することになり、実際の灯色と信号情報との間で、ズレが生じる。例えば、灯色は青点滅しているのに、提供される信号情報は青となる。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、点滅する灯器接点を監視する場合でも、正確な信号情報を提供することができる交通信号情報提供システム、該交通信号情報提供システムを構成する情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る交通信号情報提供システムは、車載機へ信号情報を提供する情報提供装置と、該情報提供装置へ信号情報を送信する信号制御装置とを備え、該信号制御装置が交通信号制御機に対して歩進信号を送出することにより、交通信号制御を行う交通信号情報提供システムにおいて、前記情報提供装置は、前記信号制御装置が送信した信号情報を受信する受信手段と、点滅するように構成された灯器ユニットを駆動するため前記交通信号制御機が送出する駆動信号を取得する取得手段と、該取得手段で取得した駆動信号に基づいて、前記灯器ユニットが所定時間より長い時間滅灯となった後に点灯となった時点を特定する特定手段と、前記受信手段で受信した信号情報を前記特定手段で特定した時点に提供すべく制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る交通信号情報提供システムは、第1発明において、前記灯器ユニットは、歩行者用信号灯器の青、車両用信号灯器の黄又は赤であることを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る交通信号情報提供システムは、第1発明又は第2発明において、前記所定時間は、前記灯器ユニットの点滅時での滅灯時間であることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る情報提供装置は、車載機へ信号情報を提供する情報提供装置において、信号情報に基づいて交通信号制御機に対して歩進信号を送出する信号制御装置が送信した信号情報を受信する受信手段と、点滅するように構成された灯器ユニットを駆動するため前記交通信号制御機が送出する駆動信号を取得する取得手段と、該取得手段で取得した駆動信号に基づいて、前記灯器ユニットが所定時間より長い時間滅灯となった後に点灯となった時点を特定する特定手段と、前記受信手段で受信した信号情報を前記特定手段で特定した時点に提供すべく制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
第1発明及び第4発明にあっては、情報提供装置は、信号制御装置が送信した信号情報を受信し、点滅するように構成された灯器ユニットを駆動するため交通信号制御機が送出する駆動信号を取得する。点滅するように構成された灯器ユニットは、例えば、歩行者用信号灯器の青、車両用信号灯器の黄又は赤である。情報提供装置は、取得した駆動信号に基づいて、灯器ユニットが所定時間より長い時間滅灯となった後に点灯となった時点を特定し、受信した信号情報を特定した時点に提供する。所定時間は、例えば、歩行者用信号灯器の青が点滅する場合の滅灯時間である。灯器ユニットが所定時間より長い時間滅灯となった後に点灯となった時点に信号情報を提供するので、灯器ユニットが点滅を繰り返すタイミングで情報提供装置が光ビーコンにサイクル開始からの信号情報を登録し、光ビーコンが誤った信号情報を車両に提供してしまう事態を防止することができる。また、点滅する灯器接点を監視する場合でも、灯器ユニットが所定時間より長い時間滅灯となった後に点灯となった時点に信号情報を提供するので、正確な信号情報をできるだけ速いタイミングで提供することができる。
【0014】
第2発明にあっては、灯器ユニットは、歩行者用信号灯器の青、車両用信号灯器の黄又は赤である。これにより、車両用灯器の青(灯器接点)を監視することができない場合であっても、正確な信号情報を提供するタイミングを特定することができる。
【0015】
第3発明にあっては、所定時間は、灯器ユニットの点滅時での滅灯時間である。例えば、灯器ユニットが歩行者用信号灯器の青である場合、当該青が点滅を繰り返す際の滅灯時間である。また、灯器ユニットが車両用信号灯器の黄又は赤である場合、当該黄又は赤が点滅を繰り返す際の滅灯時間である。これにより、灯器ユニットが点滅を繰り返すタイミングで同じ信号情報の提供が繰り返される結果、提供した信号情報が最新のものでなく誤った情報が含まれる事態を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、点滅する灯器接点を監視する場合でも、正確な信号情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの一例を示す模式図である。
【図2】本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの構成の一例を示す説明図である。
【図3】本実施の形態に係る情報提供装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】各信号灯器の灯色の切り換えタイミングの一例を示す説明図である。
【図5】歩行者用の信号灯器の青の点灯状態の一例を示すタイムチャートである。
【図6】車両用の信号灯器の灯色の切り換えタイミングの一例を示す説明図である。
【図7】主道路に対する車両用の信号灯器の黄の点灯状態の一例を示すタイムチャートである。
【図8】従道路に対する車両用の信号灯器の赤の点灯状態の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る交通信号情報提供システム及び情報提供装置の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの一例を示す模式図であり、図2は本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの構成の一例を示す説明図であり、図3は本実施の形態に係る情報提供装置3の構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る交通信号情報提供システムは、少なくとも情報提供装置3及び信号制御装置5を備え、さらに、灯器(1、2、1P、2P)、交通信号制御機9、路側通信装置としての光ビーコン4、変換装置6、中央装置8などを備える。なお、以下、灯器を信号灯器とも称する。図1に示すように、交差点の所定位置には車両灯器1、2、歩行者灯器1P、2Pが設置され、交通信号制御機9による制御信号により、信号灯色の切り替えが所定の切り替えタイミングで行われる。なお、以下、車両灯器を車両用の信号灯器とも称し、歩行者灯器を歩行者用の信号灯器とも称する。
【0020】
交差点への流入路R1には、交差点から所要の位置に、光ビーコン4を設置してある。光ビーコン4は、通信可能領域41において車載機7と双方向の通信を行うことができる。すなわち、光ビーコン4を経由して車載機7へ所要の情報(例えば、信号情報)が送信される。なお、光ビーコン4に代えて、電波ビーコン、DSRC(Dedicated Short Range Communication:専用狭域通信)などを用いることもできる。なお、図1の例では、光ビーコン4を1つの流入路R1の1箇所に設置してあるが、交差点に交差する他の方向の各道路の所要位置に設置することもできる。
【0021】
交通信号制御機9、情報提供装置3、光ビーコン4は、それぞれの交差点又は交差点付近の道路に設置され、信号制御装置5及び変換装置6は、下位の制御装置として、複数の交差点に設置されたそれぞれの交通信号制御機9及び情報提供装置3をまとめて制御する。すなわち、信号制御装置5は、それぞれの交差点に設置された複数の交通信号制御機9に接続されるとともに、変換装置6を介して、それぞれの交差点に設置された複数の情報提供装置3に接続される。信号制御装置5には、外部の上位の制御装置としての中央装置8が接続されている。なお、中央装置8、信号制御装置5、変換装置6は、交通管制センタ内に設置することができる。
【0022】
中央装置8は、例えば、流入路R1に対して青の表示が開始される時点前に決定した上位指令を信号制御装置5へ送信する。上位指令は、例えば、サイクル、スプリット、オフセットなどの信号制御パラメータを含む。サイクルは、信号灯器の1周期の時間(例えば、青現示から一巡した次の青現示までの時間)である。スプリットは、1サイクル中の各現示が占める時間の割合である。オフセットは、交差点間のサイクル開始タイミングの時間差である。中央装置8は、例えば、スプリットについては、1サイクル未満のタイミング(例えば、50秒など)で更新される。また、サイクルやオフセットについては、例えば、15分経過する都度更新される。
【0023】
信号制御装置5は、中央装置8が送信した上位指令を受信し、受信した上位指令に基づいて当該サイクルの歩進指令を交通信号制御機9へ送出する。より具体的には、信号制御装置5は、上位指令に基づいて、信号灯器の各灯色の表示秒数などを含む時限表(信号情報)を生成し、生成した時限表を変換装置6へ送信するとともに、生成した時限表で特定される灯色の切り替えタイミングに該当する時刻に、交通信号制御機9に対して切替タイミング信号である歩進信号(歩進指令)を送出する。歩進指令は、現示を次の階梯に進める指令である。
【0024】
時限表は、例えば、各階梯の順に各信号灯器の灯色、灯色の表示秒数、階梯が可変階梯であるか固定階梯であるかを示すフラグなどの情報を含む。ここで、可変階梯とは、サイクル又はオフセットなどの更新タイミング(例えば、15分経過の都度更新される)において、表示秒数が変更されることを示す。
【0025】
交通信号制御機9は、歩進指令に応じて各信号灯器(1、2、1P、2P)の灯色の表示を切り替える。
【0026】
変換装置6は、信号制御装置5から送信された時限表を車載機7へ提供するためのデータ形式に変換し、変換後の時限表を情報提供装置3へ送信する。なお、変換装置6の機能を信号制御装置5に含めて1個の装置として纏める構成とすることもできる。
【0027】
情報提供装置3は、受信した時限表を後述の特定の時点G1に同期して光ビーコン4へ送信することにより、時限表を光ビーコン4に登録する。光ビーコン4は、受信した時限表の現在表示中の灯色(例えば、青色)の表示秒数から、特定時点G1後の経過時間T1を減算した残表示秒数を記録しつつ、所定周期(例えば、0.1秒)が経過する都度に残表示秒数を更新し、車両との通信時点において、その時点の時限表を車両へ送信する。
【0028】
図3に示すように、情報提供装置3は、装置全体を制御する制御部31、信号情報としての時限表を受信する受信部32、時限表(信号情報)を車両へ提供すべく光ビーコン4へ送信する送信部33、交通信号制御機9が信号灯器(1、2、1P、2P)に対して送出する駆動信号を取得する取得手段としての検出部34、灯器ユニットが所定時間より長い時間滅灯となった後に点灯となった時点を特定する特定手段としての特定部35、時限表などの所定の情報を記憶するための記憶部36などを備える。なお、本実施の形態では、灯器ユニットとは、青、黄、赤、矢印などの1つの灯色を表示する装置であり、灯器(信号灯器)とは、複数の灯器ユニットをまとめて、車両又は歩行者等の交通整理を行うための情報を表示する装置であり、例えば、車両灯器は、青、黄、赤の3つの灯器ユニットを備える。
【0029】
検出部34は、交通信号制御機9から信号灯器(1、2、1P、2P)への駆動線に流れる駆動電流(駆動信号)を電流センサ等で検出することにより、灯器ユニットが点灯、滅灯又は点滅しているかを検出する。
【0030】
すなわち、検出部34は、信号灯器1、2、1P、2Pの各灯器ユニットのうち、点滅するように構成された灯器ユニットに対応する駆動線に流れる電流を電流センサ等で検出することにより、灯器ユニットの点灯、滅灯又は点滅を検出することができる。点滅するように構成された灯器ユニットは、例えば、歩行者用の信号灯器1P、2Pの青、車両用の信号灯器1、2の黄又は赤である。
【0031】
なお、検出部34は、すべての信号灯器(1、2、1P、2P)への駆動線に流れる駆動電流(駆動信号)を検出する必要はなく、車両用の信号灯器(1、2)、又は歩行者用の信号灯器(1P、2P)のいずれか一方の信号灯器への駆動線に流れる駆動電流(駆動信号)を検出する構成とすることもできる。
【0032】
特定部35は、検出部34で検出した駆動電流に基づいて、灯器ユニットが所定時間より長い時間滅灯となった後に点灯となった時点G1を特定する。所定時間は、灯器ユニットの点滅時での滅灯時間である。例えば、灯器ユニットが歩行者用の信号灯器1P、2Pの青である場合、当該青が点滅を繰り返す際の滅灯時間である。また、灯器ユニットが車両用の信号灯器1、2の黄又は赤である場合、当該黄又は赤が点滅を繰り返す際の滅灯時間である。
【0033】
制御部31は、受信した信号情報(時限表)を特定部35で特定した時点G1に提供すべく制御する制御手段としての機能を有する。すなわち、制御部31は、特定部35で特定した時点G1に送信部33を介して信号情報(時限表)を光ビーコン4へ送信させることにより、当該信号情報を光ビーコン4に登録する。
【0034】
次に、本実施の形態の情報提供装置3の動作について説明する。図4は各信号灯器の灯色の切り換えタイミングの一例を示す説明図である。図4の例は、図1で示した車両用の信号灯器1、2、歩行者用の信号灯器1P、2Pの各灯色の切り替えタイミングを示す。図4の例では、歩行者用の信号灯器1P、2Pの青が、点滅するように構成された灯器ユニットとなる。また、ステップ1〜12までが信号サイクルの1サイクルに相当する。
【0035】
歩行者用の信号灯器1Pは、ステップ1では青点灯、ステップ2では青点滅、ステップ3〜12では赤点灯となる。以下、歩行者用の信号灯器1Pを例に挙げて説明するが、歩行者用の信号灯器2Pについても同様である。
【0036】
図5は歩行者用の信号灯器1Pの青の点灯状態の一例を示すタイムチャートである。図5において、矩形波は、青の点灯状態又は青の駆動電流を示すものであり、ハイレベル(オン)は青が点灯している状態を示し、ローレベル(オフ)は青が滅灯している状態を示す。
【0037】
歩行者用の信号灯器1Pの青は、ステップ1では常時ハイレベルであり、点灯状態である。また、ステップ2では、250msの点灯時間及び滅灯時間で500msの周期で点滅を繰り返す。また、ステップ3〜12では常時ローレベルであり滅灯状態である。
【0038】
ステップ1の開始時点(時刻t1)において、制御部31は、直近の1サイクルの間に受信した信号情報(時限表)を光ビーコン4に登録する。
【0039】
ステップ2において、歩行者用の信号灯器1Pの青は、時刻t2で滅灯になり、250ms後の時刻t3で点灯する。滅灯時間(t3−t2)が所定時間(例えば、250ms)より長くないので、時刻t3ではオフ確定せず、信号情報の登録は行わない(登録禁止)。ステップ2では、同様の動作が繰り返され、信号情報の登録は禁止される。
【0040】
ステップ3以降において、時刻t4で滅灯になり、所定時間より長い時間(t5−t4、例えば、500ms)が経過した時点(時刻t5)でオフ確定し、信号情報の登録が可能となる。
【0041】
その後、ステップ12の終了時点、すなわち次のサイクルのステップ1の開始時点(時刻t6)で青が点灯となるので、時刻t6でオン確定し時刻t6を特定の時点G1として、信号情報の登録を行う。時刻t6で登録される信号情報は、ステップ1〜12の1サイクルの間の任意の時点において受信部32で受信した信号情報である。
【0042】
上述のように、灯器ユニットが所定時間(例えば、点滅状態の滅灯時間)より長い時間滅灯となった(時刻t5)後に点灯となった時点(時刻t6)に信号情報を提供するので、灯器ユニットが点滅を繰り返すタイミングで情報提供装置3が光ビーコン4にサイクル開始からの信号情報を登録し、光ビーコン4が誤った信号情報を車両に提供してしまう事態を防止することができる。また、点滅する灯器接点を監視する場合でも、灯器ユニットが所定時間より長い時間滅灯となった後に点灯となった時点に信号情報を提供するので、正確な信号情報をできるだけ速いタイミングで提供することができる。
【0043】
また、歩行者用の信号灯器1P、2Pの青の灯器接点を用いるので、車両用灯器の青(灯器接点)を監視することができない場合であっても、正確な信号情報を提供するタイミングを特定することができる。
【0044】
また、所定時間を、歩行者用信号灯器の青が点滅を繰り返す際の滅灯時間とし、所定時間より長い時間滅灯となった後の点灯時点に信号情報を提供するので、灯器ユニットが点滅を繰り返すタイミングで同じ信号情報の提供が繰り返される結果、提供した信号情報が最新のものでなく、誤った情報が含まれる事態を防止することができる。
【0045】
上述の例では、歩行者用の信号灯器の青を利用する構成であったが、これに限定されるものではなく、車両用の信号灯器の黄又は赤を利用することもできる。以下、車両用の信号灯器の黄又は赤を利用する場合について説明する。
【0046】
図6は車両用の信号灯器の灯色の切り換えタイミングの一例を示す説明図である。図6の例は、主道路と従道路とが交差する交差点において、主道路に対する信号灯器が黄点滅し、従道路に対する信号灯器が赤点滅を繰り返した後、通常の信号サイクルになる様子を示す。図6の例では、主道路に対する車両用の信号灯器の黄が点滅するように構成された灯器ユニットとなり、従道路に対する車両用の信号灯器の赤が点滅するように構成された灯器ユニットとなる。また、ステップ1〜6までが信号サイクルの1サイクルに相当する。
【0047】
まず、主道路に対する車両用の信号灯器について説明する。主道路に対する車両用の信号灯器は、黄点滅を繰り返した後、赤(ステップ:AR)となり、ステップ1では滅灯、ステップ2で点灯、ステップ3〜6で滅灯となる。
【0048】
図7は主道路に対する車両用の信号灯器の黄の点灯状態の一例を示すタイムチャートである。図7において、矩形波は、黄の点灯状態又は黄の灯器ユニットの駆動電流を示すものであり、ハイレベル(オン)は黄が点灯している状態を示し、ローレベル(オフ)は黄が滅灯している状態を示す。
【0049】
黄点滅状態において、信号灯器の黄は、時刻t1で滅灯になり、500ms後の時刻t2で点灯する。滅灯時間(t2−t1)が所定時間(例えば、500ms)より長くないので、時刻t2ではオフ確定せず、信号情報の登録は行わない(登録禁止)。黄点滅状態では、同様の動作が繰り返され、信号情報の登録は禁止される。
【0050】
黄点滅状態が終了した時点(時刻t3)で滅灯になり、所定時間より長い時間(t4−t3、例えば、1s)が経過した時点(時刻t4)でオフ確定し、信号情報の登録が可能となる。
【0051】
その後、ステップ1の終了時点、すなわちステップ2の開始時点(時刻t5)で黄が点灯となるので、時刻t5でオン確定し時刻t5を特定の時点G1として、信号情報の登録を行う。時刻t5で登録される信号情報は、ステップ2の終了時点より前の任意の時点において受信部32で受信した信号情報であり、主として主道路を交差点に向かって走行する車両等に提供することができる。
【0052】
次に、従道路に対する車両用の信号灯器について説明する。図6に示すように、従道路に対する車両用の信号灯器は、赤点滅を繰り返した後、赤(ステップ:AR)となり、ステップ1〜3では点灯、ステップ4〜6では滅灯となる。
【0053】
図8は従道路に対する車両用の信号灯器の赤の点灯状態の一例を示すタイムチャートである。図8において、矩形波は、赤の点灯状態又は赤の灯器ユニットの駆動電流を示すものであり、ハイレベル(オン)は赤が点灯している状態を示し、ローレベル(オフ)は赤が滅灯している状態を示す。
【0054】
赤点滅状態において、信号灯器の赤は、時刻t1で滅灯になり、500ms後の時刻t2で点灯する。滅灯時間(t2−t1)が所定時間(例えば、500ms)より長くないので、時刻t2ではオフ確定せず、信号情報の登録は行わない(登録禁止)。赤点滅状態では、同様の動作が繰り返され、信号情報の登録は禁止される。
【0055】
赤点滅状態が終了し、ステップARにおいて、赤が点灯状態となる。ステップ1の開始時点(時刻t3)で滅灯になり、所定時間より長い時間(t4−t3、例えば、1s)が経過した時点(時刻t4)でオフ確定し、信号情報の登録が可能となる。
【0056】
その後、ステップ2の終了時点、すなわちステップ3の開始時点(時刻t5)で赤が点灯となるので、時刻t5でオン確定し時刻t5を特定の時点G1として、信号情報の登録を行う。時刻t5で登録される信号情報は、ステップ2の終了時点より前の任意の時点において受信部32で受信した信号情報であり、主として従道路を交差点に向かって走行する車両等に提供することができる。
【0057】
上述のように、灯器ユニットが所定時間(例えば、点滅状態の滅灯時間)より長い時間滅灯となった後に点灯となった時点に信号情報を提供するので、灯器ユニットが点滅を繰り返すタイミングで情報提供装置3が光ビーコン4にサイクル開始からの信号情報を登録し、光ビーコン4が誤った信号情報を車両に提供してしまう事態を防止することができる。また、点滅する灯器接点を監視する場合でも、灯器ユニットが所定時間より長い時間滅灯となった後に点灯となった時点に信号情報を提供するので、正確な信号情報をできるだけ速いタイミングで提供することができる。
【0058】
また、車両用の信号灯器の黄又は赤の灯器接点を用いるので、車両用灯器の青(灯器接点)を監視することができない場合であっても、正確な信号情報を提供するタイミングを特定することができる。
【0059】
また、所定時間を、車両用の信号灯器の黄又は赤が点滅を繰り返す際の滅灯時間とし、所定時間より長い時間滅灯となった後の点灯時点に信号情報を提供するので、灯器ユニットが点滅を繰り返すタイミングで同じ信号情報の提供が繰り返される結果、提供した信号情報が最新のものでなく、誤った情報が含まれる事態を防止することができる。
【0060】
上述の実施の形態では、所定時間を信号灯器の灯色が点滅を繰り返す際の滅灯時間とし、所定時間より長い時間滅灯となった後の点灯時点G1に信号情報を提供する構成であるが、これに限定されるものではなく、例えば、滅灯時間の2倍の時間以上滅灯が継続した後に点灯した時点を特定の時点G1とすることもできる。
【0061】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
1、2、1P、2P 信号灯器
3 情報提供装置
4 光ビーコン
5 信号制御装置
6 変換装置
7 車載機
8 中央装置
9 交通信号制御機
31 制御部
32 受信部
33 送信部
34 検出部
35 特定部
36 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機へ信号情報を提供する情報提供装置と、該情報提供装置へ信号情報を送信する信号制御装置とを備え、該信号制御装置が交通信号制御機に対して歩進信号を送出することにより、交通信号制御を行う交通信号情報提供システムにおいて、
前記情報提供装置は、
前記信号制御装置が送信した信号情報を受信する受信手段と、
点滅するように構成された灯器ユニットを駆動するため前記交通信号制御機が送出する駆動信号を取得する取得手段と、
該取得手段で取得した駆動信号に基づいて、前記灯器ユニットが所定時間より長い時間滅灯となった後に点灯となった時点を特定する特定手段と、
前記受信手段で受信した信号情報を前記特定手段で特定した時点に提供すべく制御する制御手段と
を備えることを特徴とする交通信号情報提供システム。
【請求項2】
前記灯器ユニットは、
歩行者用信号灯器の青、車両用信号灯器の黄又は赤であることを特徴とする請求項1に記載の交通信号情報提供システム。
【請求項3】
前記所定時間は、
前記灯器ユニットの点滅時での滅灯時間であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の交通信号情報提供システム。
【請求項4】
車載機へ信号情報を提供する情報提供装置において、
信号情報に基づいて交通信号制御機に対して歩進信号を送出する信号制御装置が送信した信号情報を受信する受信手段と、
点滅するように構成された灯器ユニットを駆動するため前記交通信号制御機が送出する駆動信号を取得する取得手段と、
該取得手段で取得した駆動信号に基づいて、前記灯器ユニットが所定時間より長い時間滅灯となった後に点灯となった時点を特定する特定手段と、
前記受信手段で受信した信号情報を前記特定手段で特定した時点に提供すべく制御する制御手段と
を備えることを特徴とする情報提供装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−97538(P2013−97538A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239227(P2011−239227)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】