説明

交通状況表示装置及びコンピュータプログラム

【課題】地点式センサを用いる場合であっても、道路の交通状況を直感的に把握することができるようにする。
【解決手段】本発明の交通状況表示装置は、高速道路に設置された地点式センサ11の検知信号に基づいて計測される車両の通過時刻及び走行速度を取得する取得部403と、高速道路に沿った車両の走行位置に対応する表示位置に、車両に対応する車両像412bを表示可能な表示部402と、取得部403が取得した車両の通過時刻及び走行速度に基づいて、所定時間毎の車両の走行位置を推定する推定部411と、この推定部411が推定した車両の走行位置に対応する表示部402の表示位置に、車両像412bを表示する画像制御部412とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通状況表示装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路や一般道路において渋滞が頻発する道路区間の交通状況を把握するために、前記道路区間にカメラを設置し、このカメラにより撮影された画像を交通管制センター内に設置されたモニタに表示することにより、前記道路区間の交通状況をリアルタイムで監視する交通状況監視システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この交通状況監視システムは、渋滞が頻発する道路区間における交通状況を視覚的に提供することができるため、監視員は交通状況を直感的に把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−172630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、交通状況を監視するカメラが設置されている道路は少ないため、渋滞が頻発する道路区間のほとんどでは、カメラによる交通状況の把握が行われていないのが現状である。そこで、カメラが設置されていない道路区間では、交通量や車両速度等を計測する目的で道路に設置されている車両感知器を用いて、交通状況を把握することが検討されている。
【0005】
前記車両感知器として、道路に設置されたループ式や超音波式などの地点式センサが多用されており、このような地点式センサは、例えばその設置地点を車両が通過するときに生じるパルス信号を用いて、交通量や車両速度などを計測するようになっている。したがって、地点式センサを用いて交通状況を把握する場合には、その設置地点における計測情報(点情報)しか得ることができないため、道路上における車両の粗密具合(線情報)を直感的に把握することが困難となる。
本発明は、このような実情に鑑み、地点式センサを用いる場合であっても、道路の交通状況を直感的に把握することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の交通状況表示装置は、 道路に設置された地点式センサの検知信号に基づいて計測される車両の通過時刻及び走行速度を取得する取得部と、前記道路に沿った前記車両の走行位置に対応する表示位置に、前記車両に対応する車両像を表示可能な表示部と、前記取得部が取得した前記車両の通過時刻及び走行速度に基づいて、所定時間毎の前記車両の走行位置を推定する推定部と、前記推定部が推定した前記車両の走行位置に対応する前記表示部の表示位置に、前記車両像を表示させる画像制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明の交通状況表示装置によれば、地点式センサの検知信号に基づいて計測される車両の通過時刻及び走行速度に基づいて、道路に沿った車両の走行位置を所定時間毎に推定し、推定された車両の走行位置に対応する表示部の表示位置に車両像を表示することができる。これにより、道路の交通状況を視覚的に提供することができるため、地点式センサを用いる場合であっても、道路の交通状況を直感的に把握することができる。
【0008】
(2)前記取得部は、前記地点式センサの検知信号に基づいて計測される前記車両の車種特定情報を取得可能であり、前記表示部は、前記車両の車種毎に異なる前記車両像を表示可能であり、前記画像制御部は、前記取得部が取得した前記車種特定情報に対応する車種の前記車両像を前記表示部に表示させることが好ましい。
この場合、車両の車種毎に異なる車両像が表示部に表示されるため、各車種の混入率を直感的に把握することができる。
【0009】
(3)前記推定部は、前記通過時刻が先の先行車両の走行位置と、前記通過時刻が後の後方車両の走行位置との間の距離が所定値よりも短い場合、前記後方車両の走行位置を、前記先行車両の走行位置から後方へ前記所定値以上離れた位置に補正することが好ましい。
この場合、時間が経過しても先行車両の走行位置と後方車両の走行位置との間の距離を所定値以上に保持することができるため、表示部において後方車両の車両像が先行車両の車両像を追い越した状態で表示されることはない。したがって、地点式センサの設置地点を車両が通過した通過時刻の順序のまま車両像を表示することができる。
【0010】
(4)前記取得部は、前記道路の車線毎に設置された地点式センサの検知信号に基づいて計測される車両の前記通過時刻及び走行速度を取得可能であり、前記表示部は、前記道路の各車線に沿った前記車両の走行位置に対応する表示位置に、前記車両に対応する車両像を表示可能であり、前記推定部は、前記取得部が取得した前記車両の通過時刻及び走行速度に基づいて、前記各車線における所定時間毎の前記車両の走行位置を推定可能であり、前記画像制御部は、前記推定部が推定した前記各車線における前記車両の走行位置に対応する前記表示部の表示位置に、前記車両像を表示させることが好ましい。
この場合、道路の各車線の交通状況をそれぞれ視覚的に提供することができるため、各車線の交通状況を直感的に把握することができる。
【0011】
(5)更に他の観点から見た本発明は、コンピュータを、前記(1)に記載の交通状況表示装置として機能させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、地点式センサを用いる場合であっても、道路の交通状況を直感的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る交通状況表示装置を採用した交通情報通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】車両検知装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図3】地点式センサの設置箇所を示す道路平面図である。
【図4】検知情報処理装置により計測された計測情報を示す表である。
【図5】中央装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図6】推定部により推定された各車両の走行位置を示す表である。
【図7】推定部により補正された各車両の走行位置を示す表である。
【図8】交通状況表示装置の表示部に表示された画像を示す図である。
【図9】交通状況表示装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施形態に係る交通状況表示装置の表示部に表示された画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔システムの全体構成〕
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の交通状況表示装置を採用した交通情報通信システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の交通情報通信システムは、車両検知装置1、検知情報処理装置2及び中央装置4を備えている。
【0015】
車両検知装置1は、車両台数や車両速度等を計測する目的で、高速道路における隣接するインターチェンジ(IC)間の少なくとも1箇所に設置されている。また、車両検知装置1は、検知情報処理装置2と通信可能に接続されており、車両検知装置1の設置箇所を通過する車両を検知すると、後述する検知信号A及び検知信号Bを検知情報処理装置2に送信する。検知情報処理装置2は、検知信号A及び検知信号Bに基づいて車両台数や車両速度等の計測情報Cを計測し、その計測情報Cを中央装置4に送信する。中央装置4は、交通管制センター内に設置されている。
【0016】
〔車両検知装置〕
図2は、車両検知装置1の内部構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、車両検知装置1は、地点式センサ11と信号処理部12とによって構成されている。地点式センサ11は、ループ式車両感知器からなり、第1ループコイル11aと第2ループコイル11bとを有している。信号処理部12は、検知部13と伝送ユニット14とを有している。検知部13は、第1ループコイル11aに接続された第1検知ユニット13aと、第2ループコイル11bに接続された第2検知ユニット13bとを有している。第1及び第2検知ユニット13a,13bはそれぞれ伝送ユニット14に接続されている。
【0017】
図3は、地点式センサ11の設置箇所を示す道路平面図である。図3に示すように、第1ループコイル11a及び第2ループコイル11bは、高速道路の路面の上流側と下流側に、相互に所定距離Ls(例えば7m)離れた位置にそれぞれ埋設されている。第1及び第2ループコイル11a,11bは、その設置箇所を車両5が通過するとインダクタンス変化が生じることによって、車両5を検知した状態(ON状態)となる。このインダクタンス変化は検知信号として検知部13に出力される。具体的には、図2に示すように、第1ループコイル11aの検知信号Aは第1検知ユニット13aに出力され、第2ループコイル11bの検知信号Bは第2検知ユニット13bに出力される。
なお、地点式センサ11は、上記ループ式車両感知器以外に、超音波式車両感知器、遠赤外線式車両感知器又は光学式車両感知器を用いてもよく、好ましくは、その設置地点を車両が通過するときに生じるパルス信号を用いて車両を感知するものがよい。
【0018】
図2において、第1及び第2検知ユニット13a,13bは、第1及び第2ループコイル11a,11bからそれぞれ出力された検知信号A及び検知信号Bを増幅し、その増幅した信号を伝送ユニット14に出力する。伝送ユニット14は、第1及び第2検知ユニット13a,13bから出力された検知信号A及び検知信号Bを、信号変換処理(例えば、変調処理等)をした後、交通情報処理装置2に送信する。
【0019】
〔検知情報処理装置〕
検知情報処理装置2は、図示しないCPU、ROM及びRAMを含む制御部2aを有している。制御部2aは、ROM(或いはRAM)内に格納されている各種プログラムをCPUに実行させる。具体的には、情報処理部2aは、車両検知装置1から出力された検知信号A及び検知信号Bに基づいて、地点式センサ11の検知エリアを通過した車両5の台数、通過時刻、走行速度及び車種特定情報を計測する処理プログラムをCPUに実行させる。以下、これらの計測処理について説明する。
【0020】
図3において、検知情報処理装置2の制御部2aは、検知信号Aを受信したとき、すなわち上流側の第1ループコイル11aがその設置地点P1を車両5が通過してON状態となったときに、車両5の台数(車両ID)をカウントするとともに、その検知時刻T1を計測する。この検知時刻T1は車両5の通過時刻として計測情報Cに含まれる。そして、検知信号Bを受信したとき、すなわち下流側の第2ループコイル11bがその設置地点P2を車両5が通過してON状態となったときに、その検知時刻T2を計測する。これにより、制御部2aは、第1ループコイル11a及び第2ループコイル11b間の所定距離Lsと、2つの検知時刻の時刻差(T2−T1)とによって車両5の走行速度を求めることができる。
【0021】
また、制御部2aは、上流側の第1ループコイル11aがON状態となったときの下流側の第2ループコイル11bの検知状態によって、車両5の車種を判定する。具体的には、上流側の第1ループコイル11aがON状態のときに下流側の第2ループコイル11bがOFF状態のときは「小型車」と判定し、上流側の第1ループコイル11aがON状態のときに下流側の第2ループコイル11bがON状態のときは「大型車」と判定する。このように判定された車両5の車種は、車種特定情報として計測情報Cに含まれる。図4は、このように計測された計測情報Cを示す表である。制御部2aはこの計測情報Cを中央装置4に送信する。
【0022】
〔中央装置〕
図5は、本発明の交通状況表示装置を構成する中央装置4の内部構成を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、中央装置4は、制御部401、表示部402、通信部(取得部)403、記憶部404及び操作部405を含んでいる。
中央装置4の制御部401は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなり、検知情報処理装置2からの計測情報Cの収集・処理(演算)・記録を統括的に行う。制御部401は、内部バスを介して上記ハードウェア各部と繋がっており、これら各部の動作も制御する。
【0023】
中央装置4の制御部401は、この制御部401が実行するコンピュータプログラムの機能部分として、推定部411と、画像制御部412とを備えている。この推定部411及び画像制御部412については後述する。
中央装置4の通信部403は、地点式センサ11の検知信号に基づいて計測された計測情報Cを、検知情報処理装置2からほぼリアルタイム(例えば、0.1〜1.0秒周期)で受信している。
【0024】
中央装置4の記憶部404は、ハードディスクや半導体メモリ等から構成されており、後述する推定部411が行う推定処理プログラム及び画像制御部412が行う制御プログラム等を記憶している。また、中央装置4の記憶部404は、計測情報Cを一時的に記憶する。
【0025】
中央装置4の表示部402は、後述する画像制御部412により高速道路の交通状況を表示可能な表示画面を有し、中央オペレータに渋滞や事故等の交通状況を報知するものである。
中央装置4の操作部405は、キーボードやマウス等の入力インタフェースよりなり、この操作部405によって中央オペレータが前記表示部402に対する表示切り替え操作等を行えるようになっている。
【0026】
〔交通状況表示装置〕
図5において、交通状況表示装置(中央装置)4は、検知情報処理装置2から取得した計測情報Cを利用して、交通管制センターにおいて高速道路を監視する中央オペレータに、高速道路の交通状況を視覚的に提供するものである。この交通状況表示装置4は、取得部(通信部)403と、表示部402と、推定部411と、画像制御部412とによって構成されている。
【0027】
交通状況表示装置4の推定部411は、取得部403が検知情報処理装置2から取得した計測情報Cに含まれる車両の通過時刻及び走行速度に基づいて、所定時間毎(例えば1秒毎)の車両5の走行位置を推定する。具体的には、推定部411は、所定時間毎に現在時刻と計測情報Cの通過時刻との時刻差を算出し、その時刻差及び計測情報Cの走行速度から現在時刻における地点式センサ11の設置地点からの移動距離(走行位置)を求める。図6は、このようにして推定された各車両5の走行位置を示す表である。
【0028】
推定部411は、通過時刻が後の後方車両の走行位置が通過時刻が先の先行車両の走行位置を追い越さないように、後方車両の走行位置を補正する機能を有している。具体的には、推定部411は、先行車両の走行位置と、後方車両の走行位置との間の距離が所定値(例えば100m)よりも短い場合、後方車両の走行位置を、先行車両の走行位置から後方へ前記所定値以上離れた位置に補正する。
ここで、「後方車両」とは、地点式センサ11により先行車両が検知された後に最初に検知された車両であり、2回目以降に検知された車両は含まない。
【0029】
例えば、図6において、時刻が「10:00:39」のとき、車両IDが「1」の先行車両の走行位置は758mであり、同時刻の車両IDが「2」の後方車両の走行位置は667mである。この先行車両の走行位置と後方車両の走行位置との間の距離は、758−667=91mとなり、前記所定値である100mよりも短くなっている。このような場合、推定部411は、後方車両の同時刻における走行位置を、先行車両の走行位置である758mから後方へ100m(所定値)離れた位置の658mに補正する。
また、時刻が「10:00:40」、「10:0041」及び「10:0042」のときも、前記先行車両の走行位置と前記後方車両の走行位置との間の距離が100m未満であるため、推定部411は、同様に後方車両の走行位置を補正する。図7は、このようにして推定部411により補正された各車両の走行位置を示す表であり、表中のハッチング部分が走行位置を補正した箇所である。
【0030】
図8は、交通状況表示装置4の表示部402に表示された画像を示す図である。図8に示すように、表示部402は、高速道路に沿った車両5の走行位置に対応する表示位置に、車両5に対応する車両像412bを表示可能である。
ここで「車両像」には、図8に示すように車両5の外観形状を模写した画像以外に、後述する図10に記したドット■等により簡易表示される画像も含まれる。
【0031】
交通状況表示装置4の画像制御部412は、推定部411が推定した車両5の走行位置に対応する表示部402の表示位置に車両像412bを表示する。具体的には、画像制御部412は、表示部402の表示画面の上から下に向かって、所定時間毎(例えば30秒毎)の高速道路の道路像412aを複数(本実施形態では6つ)表示している。この各道路像412aは、地点式センサ11の設置地点から進行方向に向かって所定距離(例えば3000m)離れた位置までの区間を表示したものである。
【0032】
また、画像制御部412は、推定部411により推定された車両5の走行位置に対応する表示部402の各道路像412a上の位置(表示位置)に、各車両5の車両像412bを車両ID412cとともに表示する。その際、画像制御部412は、取得部403が取得した計測情報Cに含まれる車種特定情報に対応する車種毎に異なる車両像412b1,412b2を表示部402に表示する。本実施形態における表示部402は、小型車の車両像412b1及び大型車の車両像412b2の2種類の異なる画像を表示することができる。
【0033】
なお、本実施形態では、複数の道路像412aを表示しているが、単一の道路像412a上において、時間経過とともに車両像412bの位置を進行方向に変化させるように表示してもよい。また、車両像412bとともに車両ID412cを表示しているが、この車両ID412cは表示しなくてもよい。
【0034】
図9は、交通状況表示装置4の処理手順を示すフローチャートである。以下、この図9を参照しつつ、前記処理手順について説明する。
まず、推定部411において、地点式センサ11により新たに検知された車両が存在するか否かを、取得部403が取得した最新の計測情報Cに含まれる車両IDによって確認する(ステップST1)。新たに検知された車両が存在しない場合は、ステップST3に移行する。一方、新たに検知された車両が存在する場合、推定部411は、ステップST2において、その車両の通過時刻、走行速度などの計測情報Cを、走行位置を推定する車両リスト(例えば図6に示す表)に登録し、ステップST3に移行する。
【0035】
ステップST3において、推定部411は、車両ID=nの車両について現在時刻Tと通過時刻Cntとの時刻差Tcnを算出する。そして、その算出した時刻差Tcnと走行速度Cnvとを乗算し、地点式センサ11の設置地点からの移動距離(走行位置)Cntpを求める(ステップST4)。ここで、通過時刻Cnt及び走行速度Cnvは、取得部403が取得した計測情報Cに含まれる通過時刻及び走行速度である。
【0036】
次に、推定部411は、車両ID=n−1の先行車両と車両ID=nの後方車両との移動距離差(C(n−1)tp−Cntp)が、所定値L未満であるか否かを確認する(ステップST5)。前記移動距離差が所定値L未満でない場合は、ステップST7に移行する。一方、前記移動距離差が所定値L未満である場合は、ステップST6において、後方車両の移動距離Cntpを先行車両の移動距離C(n−1)tpから所定値Lを減算した値に補正し、ステップST7に移行する。
【0037】
ステップST7において、推定部411は、前記車両リストに登録されている全車両について、移動距離を算出したか否かを確認する。全車両について移動距離を算出していない場合は、ステップST3からステップST5(ステップST6)までの処理を繰り返し行う。そして、全車両について移動距離を算出すると、ステップST8に移行する。
【0038】
ステップST8において、画像制御部412は、推定部411により算出された移動距離Cntpに対応する表示部402の各道路像412a上の位置に、車両ID412cとともに車両像412bを車種別に表示する。そして、前記ステップST1からステップST8までの処理手順は、推定部411が推定処理を行う所定時間毎(1秒毎)に繰り返し行われる。これにより、高速道路を監視する中央オペレータは、画像制御部412により表示部402に表示される画像を確認することで、高速道路の交通状況が刻々と変化する様子を視覚的に把握することができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態に係る交通状況表示装置によれば、地点式センサ11の検知信号に基づいて計測される車両5の通過時刻及び走行速度に基づいて、所定時間毎に車両5の走行位置を推定し、推定された車両5の走行位置に対応する表示部402の表示位置に車両像412bを表示することができる。これにより、高速道路の交通状況を視覚的に提供することができるため、地点式センサ11を用いる場合であっても、高速道路の交通状況を直感的に把握することができる。
また、画像制御部412は、車両5の車種毎に異なる車両像412b1,412b2を表示部402に表示するため、各車種の混入率を直感的に把握することができる。
【0040】
また、推定部411は、通過時刻が先の先行車両の走行位置と、通過時刻が後の後方車両の走行位置との間の距離が所定値Lよりも短くなると、後方車両の走行位置を、先行車両の走行位置から後方へ所定値L以上離れた位置に補正するため、時間が経過しても先行車両の走行位置と後方車両の走行位置との間の距離を所定値L以上に保持することができる。したがって、表示部402において後方車両の車両像412bが先行車両の車両像412bを追い越した状態で表示されることはないので、地点式センサ11の設置地点を車両5が通過した通過時刻の順序のまま車両像412bを表示することができる。
【0041】
図10は、本発明の他の実施形態に係る交通状況表示装置の表示部に表示された画像を示す図である。この交通状況表示装置4は、高速道路の各車線を走行する車両5の車両像412bをそれぞれ表示するようになっている。具体的には、取得部403は、複数車線(例えば3車線)を有する高速道路において車線毎に設置された地点式センサ11の検知信号に基づいて計測された車両5の通過時刻及び走行速度等が含まれる計測情報Cを検知情報処理装置2から取得する。また、表示部402は、高速道路の各車線に沿った車両5の走行位置に対応する表示位置に、車両5に対応する車両像412bを表示することができる。
【0042】
推定部411は、取得部403が取得した計測情報Cに含まれる車両5の通過時刻及び走行速度に基づいて、各車線における所定時間毎(例えば1秒毎)の車両5の走行位置を推定する。推定部411の推定処理手順は上記実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0043】
画像制御部412は、表示部402において、高速道路の各車線の車線像412a1を有する道路像412aを表示している。本実施形態の道路像412aは、地点式センサ11の設置地点から進行方向に向かって所定距離(例えば500m)離れた位置までの区間を表示したものである。
【0044】
また、画像制御部412は、推定部411が推定した各車線の車両5の走行位置に対応する表示部402の各車線像412a1上の位置に、各車両5の車両像412bを表示する。そして、画像制御部412は、推定部411が所定時間毎に行う推定処理結果に基づいて、各車線像412a1上の車両像412bの位置を、時間経過とともに進行方向に変化させるように表示する。
【0045】
さらに、画像制御部412は、取得部403が取得した計測情報Cに含まれる車種特定情報に基づいて、車種毎に異なる車両像412b1,412b2を表示部402に表示する。本実施形態における画像制御部412は、小さいドット■を小型車の車両像412b1として表示し、大きいドット■を大型車の車両像412b2として表示している。
なお、本実施形態では、単一の道路像412aを表示しているが、図8に示すように、所定時間毎に道路像412aを複数表示してもよい。
【0046】
以上、本実施形態の交通状況表示装置によれば、高速道路の各車線毎に設置された地点式センサ11の検知信号に基づいて計測される車両5の通過時刻及び走行速度に基づいて、所定時間毎に各車線毎の車両5の走行位置を推定し、推定された各車線の車両5の走行位置に対応する表示部402の各車線像412a1上の位置に車両像412bを表示することができる。これにより、高速道路の各車線の交通状況をそれぞれ視覚的に提供することができるため、地点式センサ11を用いる場合であっても、高速道路の各車線の交通状況を直感的に把握することができる。
【0047】
〔その他の変形例〕
上記実施形態は例示であって本発明の範囲を制限するものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内のすべての変更が本発明に含まれる。
【0048】
例えば、上記実施形態の交通状況表示装置は、高速道路の交通状況を表示しているが、主要幹線道路等の一般道路の交通状況を表示する場合にも適用することができる。
また、推定部は、後方車両の走行位置を補正する機能を有しているが、後方車両の走行位置が先行車両の走行位置を追い越してもよい場合は、この補正機能を有する必要はない。
さらに、車種毎に異なる車両像を表示しているが、車種を区別する必要がなければ、すべて同一の車両像を表示してもよい。
【0049】
また、上記実施形態の表示部は、車両像を2種類の車種に分けて表示しているが、3種類以上の車種に分けて表示してもよい。
また、車種別に表示される車両像は、図8や図10に示す図形以外に、円形状や三角形状など他の図形を用いて区別したり、同一図形に異なる色や文字を組み合わせて区別したりするなど、車種を視覚的に区別することができるように表示されていればよい。
【符号の説明】
【0050】
4 中央装置(交通状況表示装置)
5 車両
11 地点式センサ
402 表示部
403 通信部(取得部)
411 推定部
412 画像制御部
412a1 車線像
412b 車両像
412b1 車両像
412b2 車両像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に設置された地点式センサの検知信号に基づいて計測される車両の通過時刻及び走行速度を取得する取得部と、
前記道路に沿った前記車両の走行位置に対応する表示位置に、前記車両に対応する車両像を表示可能な表示部と、
前記取得部が取得した前記車両の通過時刻及び走行速度に基づいて、所定時間毎の前記車両の走行位置を推定する推定部と、
前記推定部が推定した前記車両の走行位置に対応する前記表示部の表示位置に、前記車両像を表示させる画像制御部と、
を備えていることを特徴とする交通状況表示装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記地点式センサの検知信号に基づいて計測される前記車両の車種特定情報を取得可能であり、
前記表示部は、前記車両の車種毎に異なる前記車両像を表示可能であり、
前記画像制御部は、前記取得部が取得した前記車種特定情報に対応する車種の前記車両像を前記表示部に表示させる請求項1に記載の交通状況表示装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記通過時刻が先の先行車両の走行位置と、前記通過時刻が後の後方車両の走行位置との間の距離が所定値よりも短い場合、前記後方車両の走行位置を、前記先行車両の走行位置から後方へ前記所定値以上離れた位置に補正する請求項1又は2に記載の交通状況表示装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記道路の車線毎に設置された地点式センサの検知信号に基づいて計測される車両の前記通過時刻及び走行速度を取得可能であり、
前記表示部は、前記道路の各車線に沿った前記車両の走行位置に対応する表示位置に、前記車両に対応する車両像を表示可能であり、
前記推定部は、前記取得部が取得した前記車両の通過時刻及び走行速度に基づいて、前記各車線における所定時間毎の前記車両の走行位置を推定可能であり、
前記画像制御部は、前記推定部が推定した前記各車線における前記車両の走行位置に対応する前記表示部の表示位置に、前記車両像を表示させる請求項1〜3のいずれか一項に記載の交通状況表示装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1に記載の交通状況表示装置として機能させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−97417(P2013−97417A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236963(P2011−236963)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】