説明

人事管理システムおよび人事管理処理プログラム

【課題】給与受給者に対する負担元が複数ある場合でも各負担元による負担額を容易に計算する。
【解決手段】データベースサーバ2は、出向管理テーブル中の各種情報を出向時給与計算サーバ1に出力する。サーバ1は出向管理テーブル中の各種情報のうち出向および精算対象者の在籍会社名、氏名、役職、年齢、出向先会社名、給与金額などを抽出する。サーバ2は、負担パラメータ管理テーブル中の出向元会社名、各種の役職、出向先会社名、年齢区分、出向元負担率、出向先負担率を出向時給与計算サーバ1に出力する。出向時給与計算サーバ1は、サーバ2による負担パラメータ管理テーブル中の各種情報および抽出済みの出向、精算対象者の各種情報をもとに、出向、精算対象者に対する出向元会社による負担額および出向先会社による負担額をそれぞれ計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給与情報を管理する人事管理システムおよび人事管理処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されるように、会社の人事情報を管理するシステムがある。このシステムでは記憶装置に在籍社員の人事情報を記憶させておき、この情報に基づいて各社員への給与金額を計算する。
【特許文献1】特開2000−181954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
在籍社員には例えば在籍会社の小会社や関連会社への出向対象者が含まれる場合がある。この場合、出向対象者への支給対象の給与の一部を出向元の会社が負担して、残りを出向先の会社が負担する場合がある。しかし従来では人事管理システムが計算した出向対象者への給与金額をもとに、出向元または出向先会社の管理者が出向元会社による負担金額と出向先会社による負担金額を出向対象者ごとに計算する必要があった。特に、小会社や関連会社が複数存在したり、役職や年齢別に出向元と出向先との間の負担割合が異なったりする場合には、計算が煩雑となる。
【0004】
そこで、本発明の目的は、給与受給者に対する負担元が複数ある場合でも各負担元による負担金額を容易に計算することが可能になる人事管理システムおよび人事管理処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明に係わる人事管理システムは、給与受給者に対する給与金額を記憶する給与額記憶手段と、給与受給者に対する給与の第1の負担元の負担パラメータおよび第2の負担元の負担パラメータを給与受給者に関する属性情報の種別ごとに関連付けて記憶する定義情報記憶手段とを備え、属性情報を入力し、定義情報記憶手段に記憶される負担パラメータのうち入力済みの属性情報に関連付けられる第1および第2の負担元による負担パラメータを検索し、この検索した負担パラメータおよび給与額記憶手段に記憶される給与金額をもとに給与受給者に対する第1の負担元による負担金額および第2の負担元による負担金額を計算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係わる人事管理システムでは、給与受給者に対する負担元が複数ある場合でも各負担元による負担金額を容易に計算することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムの構成例を示すブロック図である。
【0008】
この人事管理システムは、出向元会社に在籍して出向先会社へ勤務する社員に対する出向元会社による給与の負担金額および出向先会社による負担金額をそれぞれ計算するシステムである。この実施例では人事管理システムが管理する出向元会社は1社であり、この人事管理システムは出向元会社により運用するものとする。
【0009】
図1に示すように、この人事管理システムは出向時給与計算サーバ1、データベースサーバ2、クライアント端末3および人事情報管理サーバ4を有する。
人事情報管理サーバ4は出向元会社の在籍社員である給与受給者への給与金額を項目ごとに計算する。項目とは例えば基本給、残業手当、家族手当および各種控除などである。データベースサーバ2は給与受給者に対する出向元会社による負担金額および出向先会社による負担金額の計算のための各種情報を記憶する。出向時給与計算サーバ1はデータベースサーバ2に記憶される情報をもとに給与受給者に対する出向元会社による負担金額および出向先会社による負担金額を計算する。
【0010】
また、この実施形態では、出向対象者への給与は予め定められた支給日に出向元会社が人事情報管理サーバ4により計算済みの金額を支給する。そして出向元会社の管理部門は支給後の予め定められた請求日に、出向先会社の管理部門に対し、人事管理システムが計算した出向先会社による負担金額、つまり給与支給金額と出向元会社による負担金額との差額精算の請求を行なう。出向先会社の管理部門はこの請求にしたがって当該出向先会社による負担金額に相当する金額を出向元会社の管理部門に支払う。
【0011】
図2は、本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムの出向時給与計算サーバ1の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、出向時給与計算サーバ1は、全体の制御を司る制御部11、記憶装置12、出向条件管理部13、抽出処理部14、精算設定管理部15、精算処理部16、入出力インタフェース17を備え、それぞれがバス18を介して相互に接続される。
【0012】
記憶装置12は例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリなどの記憶媒体であり、制御部11による実行対象の制御用プログラムが記憶される。出向条件管理部13は、システム運用元の会社に在籍する社員が出向対象者であるか否かを示す情報を管理する。抽出処理部14は、出向条件管理部13が管理する情報から出向対象者の情報を抽出する。
【0013】
精算設定管理部15は出向対象者に対する出向元会社による負担金額および出向先会社による負担金額の計算のためのパラメータの設定や更新を管理する。このパラメータ自体はデータベースサーバ2側に記憶される。精算処理部16は抽出処理部14による抽出結果と精算設定管理部15が管理するパラメータをもとに出向対象者に対する出向元会社による負担金額および出向先会社による負担金額をそれぞれ計算する。入出力インタフェース17はデータベースサーバ2およびクライアント端末3の間での入出力処理を行なう。
【0014】
図3は、本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムのデータベースサーバ2の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、データベースサーバ2は、全体の制御を司る制御部21、記憶装置22および入出力インタフェース26を備え、それぞれがバス27を介して相互に接続される。記憶装置22は例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリなどの記憶媒体であり、制御部21による実行対象の制御用プログラムが記憶される。
【0015】
記憶装置22内の記憶エリアである出向管理情報エリア23にはシステム運用元の会社に在籍する社員の情報およびこの社員が出向対象者であるか否かを示す情報が記憶される。記憶装置22内の記憶エリアである対象者情報エリア24には出向時給与計算サーバ1の抽出処理部14による抽出結果が記憶される。また、記憶装置22内の記憶エリアである定義情報エリア25には出向対象者に対する出向元会社による負担金額および出向先会社による負担金額の計算のためのパラメータが記憶される。入出力インタフェース26は出向時給与計算サーバ1、クライアント端末3および人事情報管理サーバ4の間での入出力処理を行なう。
【0016】
図4は、本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムのクライアント端末3の構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、クライアント端末3は、全体の制御を司る制御部31、記憶装置32、表示部33、入力部34および入出力インタフェース35を備え、それぞれがバス36を介して相互に接続される。記憶装置32は例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリなどの記憶媒体であり、制御部31による実行対象の制御用プログラムが記憶される。入力部34は例えばキーボードやマウスである。入出力インタフェース35は出向時給与計算サーバ1、データベースサーバ2および人事情報管理サーバ4の間での入出力処理を行なう。
【0017】
図5は、本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムの人事情報管理サーバ4の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、人事情報管理サーバ4は、全体の制御を司る制御部41、記憶装置42および入出力インタフェース44を備え、それぞれがバス45を介して相互に接続される。記憶装置42は例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリなどの記憶媒体であり、制御部41による実行対象の制御用プログラムが記憶される。また、記憶装置42内の記憶エリアである人事管理情報エリア43には出向元会社の在籍社員に関する人事管理情報が記憶される。この人事管理情報は在籍社員の氏名、社員コード、所属、役職および年齢を含む。入出力インタフェース44はデータベースサーバ2およびクライアント端末3の間での入出力処理を行なう。
【0018】
図6は、本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムのデータベースサーバ2の記憶装置22に記憶される負担パラメータ管理テーブルの構成例を表形式で示す図である。
データベースサーバ2の記憶装置22内の定義情報エリア25には図6に示した構成の負担パラメータ管理テーブルが記憶される。このテーブルでは、システム運用元である出向元会社名、この会社の在籍社員の属性情報、精算種別、出向元負担パラメータ、出向先負担パラメータおよび請求日が関連付けられて管理される。属性情報は役職、出向先会社名および年齢区分でなる。また、請求日とは出向元会社の管理部門から出向先会社の管理部門に対する負担金額の精算の請求日である。
【0019】
負担パラメータ管理テーブル中の精算種別は「負担率」および「負担額」のいずれかである。負担パラメータ管理テーブル中の精算種別が「負担率」である場合には、これと関連付けられる出向元負担パラメータには給与金額に対する出向元会社による負担額の割合が給与の項目ごとに示され、出向先負担パラメータには給与金額に対する出向先会社による負担額の割合が給与の項目ごとに示される。給与の項目とは前述した基本給や各種手当などである。
【0020】
また、負担パラメータ管理テーブル中の精算種別が「負担額」である場合には、出向先負担パラメータには給与金額に対する出向先会社による固定負担額が給与の項目ごとに示され、出向元負担パラメータには出向元の負担額が給与金額と出向先会社による負担額との差額であることを示す情報示される。
【0021】
このシステムでは、システム運用元の管理者によるクライアント端末3に対する操作にしたがって負担パラメータ管理テーブル中の各種情報を更新することができる。具体的には、システム運用元の管理者がクライアント端末3の入力部34に対して負担パラメータ管理テーブル中の各種情報の更新にかかる予め定められた操作を行なうと、制御部31は負担パラメータ管理テーブル中の各種情報の更新指示を示す制御信号を入出力インタフェース35を介して出向時給与計算サーバ1に出力する。
【0022】
出向時給与計算サーバ1の入出力インタフェース17がクライアント端末3からの制御信号を入力すると精算設定管理部15は、負担パラメータ管理テーブル中の各種情報の更新指示を示す制御信号を入出力インタフェース17を介してデータベースサーバ2に出力する。
【0023】
そしてデータベースサーバ2の入出力インタフェース26が出向時給与計算サーバ1からの制御信号を入力すると制御部21は、この制御信号に含まれる更新指示にしたがって記憶装置22内の定義情報エリア25に記憶される負担パラメータ管理テーブル中の各種情報を更新する。
【0024】
次に、図1に示した構成の人事管理システムの動作について説明する。図7は、本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0025】
このシステムでは、システム運用元の管理者によるクライアント端末3に対する操作にしたがって人事情報管理サーバ4の記憶装置42内の人事管理情報エリア43に記憶される人事管理情報を更新することができる。具体的には、システム運用元の管理者がクライアント端末3の入力部34に対して人事管理情報の更新のための予め定められた操作を行なうと、制御部31は人事情報管理サーバ4の記憶装置42内の人事管理情報エリア43に記憶される人事管理情報の更新指示を示す制御信号を入出力インタフェース35を介して人事情報管理サーバ4に出力する。
【0026】
人事情報管理サーバ4の入出力インタフェース44がクライアント端末3からの制御信号を入力すると制御部41は、この制御信号に含まれる変更指示にしたがって記憶装置42内の人事管理情報エリア43に記憶される人事管理情報を更新する。
【0027】
制御部41は、この更新された人事管理情報をもとに在籍社員に関する給与金額を社員ごとに計算し、この金額を含む人事管理情報を入出力インタフェース44を介してデータベースサーバ2に出力する。この給与金額は在籍社員のうち出向対象者でない社員および出向対象者である社員の給与金額である。
【0028】
図8は、本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムのデータベースサーバ2の記憶装置22に記憶される出向管理テーブルの構成例を表形式で示す図である。
データベースサーバ2の記憶装置22内の出向管理情報エリア23には図8に示した構成の出向管理テーブルが記憶される。このテーブルでは、社員の在籍会社名、この会社の在籍社員の氏名、社員コード、所属、役職、年齢、出向有無情報、給与金額および給与支給予定日が関連付けられて管理される。
【0029】
データベースサーバ2の入出力インタフェース26が人事情報管理サーバ4からの人事管理情報を入力すると、制御部21はこの情報をもとに記憶装置22内の出向管理情報エリア23に記憶される出向管理テーブル中の氏名、社員コード、所属、役職、年齢および給与金額を更新する(ステップS1)。
【0030】
出向管理テーブル中の出向有無情報は、出向に関わる給与支払予定の有無を示す情報であり、「有り」または「無し」で示される。この出向管理テーブルでは出向有無情報が「有り」である社員の精算有無情報、出向先会社名および出向期間の情報がさらに関連付けられて管理される。精算有無情報は出向有無情報が「有り」である社員に対する出向先会社による給与負担の有無を示す情報である。出向期間は出向有無情報が「有り」である社員の出向開始日から出向終了日までの期間を示す情報である。
【0031】
このシステムでは、システム運用元の管理者によるクライアント端末3に対する操作にしたがって出向管理テーブル中の各種情報を設定することができる。具体的には、システム運用元の管理者がクライアント端末3の入力部34に対して出向有無情報、精算有無情報、出向先会社名および出向期間の設定のための予め定められた操作を行なうと、制御部31は出向管理テーブル中の出向有無情報、精算有無情報、出向先会社名および出向期間の設定指示を示す制御信号を入出力インタフェース35を介して出向時給与計算サーバ1に出力する。
【0032】
出向時給与計算サーバ1の入出力インタフェース17がクライアント端末3からの制御信号を入力すると出向条件管理部13は、出向管理テーブル中の出向有無情報、精算有無情報、出向先会社名および出向期間の設定指示を示す制御信号を入出力インタフェース17を介してデータベースサーバ2に出力する。
【0033】
データベースサーバ2の入出力インタフェース26が出向時給与計算サーバ1からの制御信号を入力すると制御部21は、この制御信号に含まれる設定指示にしたがって記憶装置22内の定義情報エリア25に記憶される出向管理テーブル中の出向有無情報、精算有無情報、出向先会社名および出向期間を設定する(ステップS2,S3,S4)。
【0034】
出向時給与計算サーバ1の制御部11は計時機能を有しており、この計時する日時が記憶装置12に予め記憶される給与計算日となると(ステップS5のYES)、出向管理情報、つまり出向管理テーブル中の各種情報の出力指示を示す制御信号を入出力インタフェース17を介してデータベースサーバ2に出力する。
【0035】
データベースサーバ2の入出力インタフェース26が出向時給与計算サーバ1からの制御信号を入力すると制御部21は、この制御信号に含まれる出力指示にしたがって記憶装置22内の出向管理情報エリア23に記憶される出向管理テーブル中の各種情報を入出力インタフェース26を介して出向時給与計算サーバ1に出力する。
【0036】
出向時給与計算サーバ1の入出力インタフェース17がデータベースサーバ2からの出向管理情報を入力すると(ステップS6)、抽出処理部14は、この出向管理情報のうち出向有無情報が「有り」で、精算有無情報が「有り」で、かつ出向期間がこれと関連付けられる給与支給予定日を含む期間である社員の在籍会社名、氏名、社員コード、所属、役職、年齢、出向先会社名、出向期間、給与金額および給与支給予定日を抽出し(ステップS7)、これらの情報を関連付けて入出力インタフェース17を介してデータベースサーバ2に出力する。
【0037】
データベースサーバ2の入出力インタフェース26が出向時給与計算サーバ1からの各種情報を入力すると制御部21は、これらの情報を記憶装置22内の対象者情報エリア24に記憶される対象者管理テーブルに反映させる。
【0038】
図9は、本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムのデータベースサーバ2の記憶装置22に記憶される対象者管理テーブルの構成例を表形式で示す図である。
そして、出向時給与計算サーバ1の制御部11は出向元会社による負担額および出向先会社による負担額の計算のための各種情報の出力指示を示す制御信号を入出力インタフェース17を介してデータベースサーバ2に出力する。
【0039】
データベースサーバ2の入出力インタフェース26が出向時給与計算サーバ1からの制御信号を入力すると制御部21は、この制御信号に含まれる出力指示にしたがって記憶装置22内の対象者情報エリア24に記憶される対象者管理テーブル中の各種情報および記憶装置22内の定義情報エリア25に記憶される負担パラメータ管理テーブル中の各種情報を入出力インタフェース26を介して出向時給与計算サーバ1に出力する。
【0040】
出向時給与計算サーバ1の入出力インタフェース17がデータベースサーバ2からの情報を入力すると、精算処理部16は、入力済みの情報で示される負担パラメータ管理テーブル中の各種情報および対象者管理テーブル中の各種情報をもとに、出向対象者に対する出向元会社による負担額および出向先会社による負担額をそれぞれ計算する(ステップS8)。
【0041】
具体的には、精算処理部16は、図9に示される対象者管理テーブル中の最上段で管理される出向対象者の各種負担額を計算する場合には、当該出向対象者の出向元会社名が「***(株)」で、役職が「係長」で、年齢が「40」で、出向先会社名が「***サービス(株)」で給与支給日「2006年4月25日」における給与金額中の基本給が「******円」であり、残業手当が「******円」であるので、図6で示されるテーブル中の「出向元会社名「***(株)」、役職「係長」、出向先会社名「***サービス(株)」、年齢「40−49歳」と関連付けられる基本給の出向元負担パラメータ「50%」に給与金額中の基本給「******円」を掛けた値を出向元会社による基本給の負担額とし、残業手当の出向元負担パラメータ「50%」に給与金額中の残業手当「******円」を掛けた値を出向元会社による残業手当の負担額とする。
【0042】
また、精算処理部16は、図6で示される負担パラメータ中の「出向元会社名「***(株)」、役職「係長」、出向先会社名「***サービス(株)」、年齢「40−49歳」と関連付けられる基本給の出向先負担パラメータ「50%」に給与金額「******円」を掛けた値を出向先会社による基本給負担額とし、残業手当の出向先負担パラメータ「50%」に給与金額中の残業手当「******円」を掛けた値を出向先会社による残業手当の負担額とする。
【0043】
また、計算の別の例として、精算処理部16は、図9に示される対象者管理テーブル中の2段目で管理される出向対象者の各種負担額を計算する場合で、当該出向対象者の出向元会社名が「***(株)」で、役職が無しで、年齢が「30」で、出向先会社名が「***システム(株)」で給与支給日「2006年4月25日」における給与金額中の基本給が「******円」で残業手当が「******円」である場合には、図6で示される負担パラメータ中の出向元会社名「***(株)」、役職「無し」、出向先会社名「***システム(株)」、年齢「30−39歳」と関連付けられる基本給の出向先負担パラメータは「80000円」であり、残業手当の出向先負担パラメータは「0円」であるので出向先会社による基本給の負担額は80000円となり、出向先会社による残業手当の負担額は0円となる。
【0044】
また、精算処理部16は、図6で示される負担パラメータ中の「出向元会社名「***(株)」、役職「無し」、出向先会社名が「***システム(株)」、年齢「30−39歳」と関連付けられる基本給や各種手当てなどに共通した出向元負担パラメータが「給与金額−出向先負担額」であるので出向先会社による基本給の負担額は給与金額の基本給部分の金額と80000円との差額となり、出向元会社による残業手当の負担額は給与金額の残業手当部分の全額となる。
【0045】
図10は、本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムの出向時給与計算サーバ1による負担額計算結果を表形式で示す図である。
この計算結果では、出向対象者の氏名、社員コード、所属、給与金額、出向元会社名、出向元負担額、出向先会社名、出向先負担額、給与支給予定日、および請求予定日が関連付けられて管理される。図10に示すように、負担額計算結果では給与金額、出向元負担額および出向先負担額は給与の項目ごとに示される。
【0046】
この計算結果のうち、氏名、社員コード、所属、給与金額、出向元会社名、出向先会社名および給与支給予定日は、出向時給与計算サーバ1がデータベースサーバ2から入力した対象者管理テーブル中の氏名、社員コード、所属、給与金額、在籍会社名、出向先会社名、給与支給予定日である。
【0047】
また、計算結果における請求予定日は出向時給与計算サーバ1がデータベースサーバ2から入力した負担パラメータ管理テーブル中の出向先負担パラメータのうち精算処理部16が前述した各種負担額の計算に用いた出向先負担パラメータと関連付けられる請求日である。
精算処理部16は、この計算結果のモニタ表示指示を示す制御信号を入出力インタフェース17を介してクライアント端末3に出力する。
【0048】
クライアント端末3の入出力インタフェース17が出向時給与計算サーバ1からの制御信号を入力すると制御部31は、この制御信号で示される計算結果を表示部33に表示させる。この表示形式は図10に示したような表形式でもよいし箇条書きなどの形式でもよい。
【0049】
以上のように、本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムでは、出向対象社員の出向元会社名、出向先会社名、役職、年齢などにしたがった出向元会社による負担額および出向先会社による負担額の計算のためのパラメータを予め定めておき、出向対象者の出向元会社名、出向先会社名、役職、年齢と前述したパラメータとをもとに、当該出向対象者に対する給与金額のうち出向元会社による負担額および出向先会社による負担額をそれぞれ計算するので、給与受給者に対する負担元が複数ある場合でも各負担元による負担額を容易に計算することができる。
【0050】
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る人事管理システムの構成は図1に示したものと基本的にほぼ同様であるので同一部分の説明は省略する。
【0051】
出向対象者の中には、出向元会社による負担パラメータおよび出向先会社による負担パラメータが負担パラメータ管理テーブル中の出向先会社名や役職などに関係なく個別に定められる社員が存在する場合がある。この第2の実施形態では、このような社員に対する各種の負担額の計算を行なう。
【0052】
図11は、本発明の第2の実施形態にしたがった人事管理システムのデータベースサーバ2の記憶装置22に記憶される出向管理テーブルの一例を表形式で示す図である。
図11に示した出向管理テーブルは、データベースサーバ2の記憶装置22内の出向管理情報エリア23に記憶される。このテーブルは図8に示したテーブルと比較して、個別精算有無情報がさらに関連付けられる。個別精算有無情報は出向有無情報および精算有無情報がともに「有り」である社員に対する個別の負担パラメータにしたがった給与負担の有無を示す情報である。
【0053】
図12は、本発明の第2の実施形態にしたがった人事管理システムのデータベースサーバ2の記憶装置22に記憶される負担パラメータ個別管理テーブルの一例を表形式で示す図である。
【0054】
この実施形態では、データベースサーバ2の記憶装置22内の定義情報エリア25には図6に示した負担パラメータ個別管理テーブルに加え、図12に示した形式の負担パラメータ個別管理テーブルが記憶される。このテーブルでは、出向対象者のうち個別精算対象者の氏名、社員コード、所属、精算種別、出向元負担パラメータ、出向先負担パラメータおよび請求日が関連付けられて管理される。出向元負担パラメータおよび出向先負担パラメータは給与の項目ごとに定められる。
【0055】
この第2の実施形態にしたがった人事管理システムによる個別精算対象者に対する各種給与負担額の計算処理について説明する。
まず、第1の実施形態でも説明したように出向時給与計算サーバ1の入出力インタフェース17がデータベースサーバ2からの出向管理情報を入力すると、抽出処理部14は、この出向管理情報のうち出向有無情報および個別精算有無情報が「有り」で、かつ出向期間がこれと関連付けられる給与支給予定日を含む社員の在籍会社名、氏名、社員コード、所属、役職、年齢、出向先会社名、出向期間、給与金額および給与支給予定日を抽出し、これらの情報を関連付けて入出力インタフェース17を介してデータベースサーバ2に出力する。
【0056】
データベースサーバ2の入出力インタフェース26が出向時給与計算サーバ1からの情報を入力すると制御部21は、この情報を記憶装置22内の対象者情報エリア24に記憶される対象者管理テーブルに反映させる。
【0057】
そして、出向時給与計算サーバ1の制御部11は個別精算対象者に対する出向元会社による負担額および出向先会社による負担額の計算のための各種情報の出力指示を示す制御信号を入出力インタフェース17を介してデータベースサーバ2に出力する。
【0058】
データベースサーバ2の入出力インタフェース26が出向時給与計算サーバ1からの制御信号を入力すると制御部21は、この制御信号に含まれる出力指示にしたがって記憶装置22内の対象者情報エリア24に記憶される対象者管理テーブル中の各種情報および記憶装置22内の定義情報エリア25に記憶される負担パラメータ個別管理テーブル中の各種情報を入出力インタフェース26を介して出向時給与計算サーバ1に出力する。
【0059】
出向時給与計算サーバ1の入出力インタフェース17がデータベースサーバ2からの情報を入力すると、精算処理部16は、入力済みの情報で示される負担パラメータ個別管理テーブル中の各種情報および対象者管理テーブル中の各種情報をもとに、出向対象者中の個別精算対象者に対する出向元会社による負担額および出向先会社による負担額をそれぞれ計算する。
【0060】
これにより、出向元会社による負担パラメータおよび出向先会社による負担パラメータが負担パラメータ管理テーブル中の出向先会社名や役職などに関係なく個別に定められる社員に対する各種負担額を計算することができる。
【0061】
以上説明した実施形態では、データベースサーバ2の記憶装置22内の対象者情報エリア24に記憶される対象者管理テーブルで管理される各種情報は、出向時給与計算サーバ1の抽出処理部14が出向管理テーブルから抽出した精算対象者に関する各種情報であると説明したが、対象者管理テーブルで管理される各種情報はクライアント端末3の入力部34に対する予め定められた操作にしたがって追加、変更および削除できるようにしてもよい。
【0062】
なお、前記実施の形態では、出向対象者への給与は予め定められた支給日に出向元会社が給与金額を支給し、この出向元会社が支給後の翌月の予め定められた請求日に、出向先会社に対して給与金額と出向元会社による負担額との差額精算の請求を行なう場合に適用した場合について説明したものであるが、これに限らず、支給後の精算を行なう代わりに出向先会社が当該出向先会社による負担金額を支給日前に出向先会社に送金した上で、出向先会社がこの送金された負担金額と当該出向元会社による負担金額をあわせて前述した支給日に支給する場合にも本発明を適用することが可能である。
【0063】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムの構成例を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムの出向時給与計算サーバの構成例を示すブロック図。
【図3】本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムのデータベースサーバの構成例を示すブロック図。
【図4】本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムのクライアント端末の構成例を示すブロック図。
【図5】本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムの人事情報管理サーバの構成例を示すブロック図。
【図6】本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムのデータベースサーバの記憶装置に記憶される負担パラメータ管理テーブルの構成例を表形式で示す図。
【図7】本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図8】本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムのデータベースサーバの記憶装置に記憶される出向管理テーブルの構成例を表形式で示す図。
【図9】本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムのデータベースサーバの記憶装置に記憶される対象者管理テーブルの構成例を表形式で示す図。
【図10】本発明の第1の実施形態にしたがった人事管理システムの出向時給与計算サーバによる負担額計算結果を表形式で示す図。
【図11】本発明の第2の実施形態にしたがった人事管理システムのデータベースサーバの記憶装置に記憶される出向管理テーブルの一例を表形式で示す図。
【図12】本発明の第2の実施形態にしたがった人事管理システムのデータベースサーバの記憶装置に記憶される負担パラメータ個別管理テーブルの一例を表形式で示す図。
【符号の説明】
【0065】
1…出向時給与計算サーバ、2…データベースサーバ、3…クライアント端末、4…人事情報管理サーバ、11,21,31,41…制御部、12,22,32,42…記憶装置、13…出向条件管理部、14…抽出処理部、15…精算設定管理部、16…精算処理部、17,35,44…入出力インタフェース、18,27,36,45…バス、23…出向管理情報エリア、24…対象者情報エリア、25…定義情報エリア、26,35…入出力インタフェース、33…表示部、34…入力部、43…人事管理情報エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給与受給者に対する給与金額を記憶する給与額記憶手段と、
前記給与受給者に対する給与の第1の負担元の負担パラメータおよび第2の負担元の負担パラメータを前記給与受給者に関する属性情報の種別ごとに関連付けて記憶する定義情報記憶手段と、
前記属性情報を入力する入力手段と、
前記定義情報記憶手段に記憶される負担パラメータのうち前記入力手段により入力した属性情報に関連付けられる前記第1および第2の負担元の負担パラメータを検索する検索手段と、
この検索手段により検索した負担パラメータおよび前記給与額記憶手段に記憶される給与金額をもとに前記第1の負担元による負担金額および前記第2の負担元による負担金額を計算する計算手段と
を備えたことを特徴とする人事管理システム。
【請求項2】
給与受給者に対する給与金額を記憶する給与額記憶装置および前記給与受給者に対する給与の第1の負担元の負担パラメータおよび第2の負担元の負担パラメータを前記給与受給者に関する属性情報の種別ごとに関連付けて記憶する定義情報記憶装置を備えたコンピュータを、
前記属性情報を入力する入力手段、
前記定義情報記憶装置に記憶される負担パラメータのうち前記入力手段により入力した属性情報に関連付けられる負担パラメータを検索する検索手段、および
この検索手段により検索した負担パラメータおよび前記給与額記憶装置に記憶される給与金額をもとに前記第1の負担元による負担金額および前記第2の負担元による負担金額を計算する計算手段
として機能させるようにした、コンピュータ読み取り可能な人事管理処理プログラム。
【請求項3】
前記定義情報記憶装置に記憶される前記第1の負担元の負担パラメータは、前記給与金額に対する前記第1の負担元による負担金額の割合であり、
前記定義情報記憶装置に記憶される前記第2の負担元の負担パラメータは、前記給与金額に対する前記第2の負担元による負担金額の割合である
ことを特徴とする請求項2に記載の人事管理処理プログラム。
【請求項4】
前記定義情報記憶装置に記憶される前記第2の負担元の負担パラメータは、前記第2の負担元による負担金額であり、
前記定義情報記憶装置に記憶される前記第1の負担元の負担パラメータは、前記給与金額と前記第2の負担元による負担金額との差額である
ことを特徴とする請求項2に記載の人事管理処理プログラム。
【請求項5】
前記第1の負担元は、前記給与受給者の在籍元であり、前記第2の負担元は、前記給与受給者の出向勤務先である
ことを特徴とする請求項2に記載の人事管理処理プログラム。
【請求項6】
前記給与額記憶装置に記憶される給与金額は、前記第1の負担元が予め定められた給与支給日に前記給与受給者に支給する金額であり、
前記計算手段により計算する前記第2の負担元による負担金額は、前記第1の負担元から前記第2の負担元に対する前記給与金額と第1の負担元による負担金額との差額精算額であることを特徴とする請求項2に記載の人事管理処理プログラム。
【請求項7】
前記入力手段は、前記給与受給者の個人情報を入力し、
前記定義情報記憶装置は、前記負担パラメータを前記個人情報ごとに関連付けて記憶し、
前記検索手段は、前記定義情報記憶装置に記憶される負担パラメータのうち前記入力手段により入力した個人情報に関連付けられる負担パラメータを検索する
ことを特徴とする請求項2に記載の人事管理処理プログラム。
【請求項8】
前記給与額記憶装置は、前記給与金額を給与の項目ごとに関連付けて記憶し、
前記定義情報記憶装置は、前記負担パラメータを給与の項目ごとに関連付けて記憶し、
前記検索手段は、前記定義情報記憶装置に記憶される負担パラメータのうち前記入力手段により入力した属性情報に関連付けられる前記第1および第2の負担元による負担パラメータを前記給与の項目ごとに検索し、
前記計算手段は、前記検索手段により検索した負担パラメータおよび前記給与額記憶手段に記憶される給与金額をもとに前記給与受給者に対する前記第1の負担元による負担金額および前記第2の負担元による負担金額を前記給与の項目ごとに計算する
ことを特徴とする請求項2に記載の人事管理処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−310478(P2007−310478A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136677(P2006−136677)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)