説明

人体用刺激伝達装置

【課題】肌に刺激を伝達しつつ、リフティング効果を与えることができる人体用刺激伝達装置を提供すること。
【解決手段】本実施形態のフェイスローラー10は、回転体110を回転自在に支持する回転ローラー部100と、回転ローラー部100と連結されて保持する保持部材200と、音波振動を発生させ、回転ローラー部100に音波振動を提供するモータ300と、を備えている。回転体110の外表面に、当該外表面に沿った所定の曲率を有して形成された複数の溝115が形成されており、音波及び回転ローラー部100によって直接的な刺激を肌(具体的には、顔)に伝達しつつ、回転ローラー部100の肌への吸着及びその滑り防止に基づく肌のリフトアップ効果を与えることができるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌や体の一部に刺激を伝達する刺激伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、顔の肌上にローラーを転がすことによって肌及び顔筋(表情筋)に刺激を与え、血流の促進、及び、皮膚の新陳代謝の活性化を享受する美顔器、マッサージ器または医療器具が知られている。
【0003】
特に、最近では、微弱な電流を皮膚に伝達機能を有するもの(例えば、特許文献1)、ローラーの外表面にダイヤモンド粉を被覆し、肌の余分な皮脂を吸着させて水分を与える機能を有するもの(例えば、特許文献2)、ローラーの外表面に天然皮革の裏革を用いたもの(例えば、特許文献3)、及び、ゲルマニウム製のローラーとローラー内部にヒータを有するもの(例えば、特許文献4)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−247684号公報
【特許文献2】特開2010−162324号公報
【特許文献3】特開2006−55489号公報
【特許文献4】特開2008−36247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各特許文献における各種の装置にあっては、肌に刺激を伝達しつつ、リフティング効果を提供する構造を有していない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、肌に刺激を伝達しつつ、リフティング効果を与えることができる人体用刺激伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するため、本発明の人体用刺激伝達装置は、回転体を有し、当該回転体を回転自在に支持する回転ローラー部と、前記回転ローラー部と連結されて保持する保持部材と、を備え、前記回転体の外表面に、当該外表面に沿った所定の曲率を有して形成された複数の溝が並設されて形成されている構成を有している。
【0008】
この構成により、本発明の人体用刺激伝達装置は、例えば、波形などの溝が当該外表面に沿った所定の曲率によって形成されることによって、当該溝を直線的に形成した場合に比べて長く形成させることができるとともに、当該溝が種々の方向に並設させることができるので、回転ローラー部の回転体によって肌に刺激を伝達する際に当該回転体が肌に当接された場合における吸着効果を高めて種々の方向(例えば、上下左右や斜め方向)への滑りを防止することができる。
【0009】
すなわち、本発明の人体用刺激伝達装置は、肌に刺激を伝達するために、回転体が肌に当接されて吸着し、当該回転体が肌上を回転する場合に、溝の形状に基づいて回転体と肌との摩擦力を高めることができるので、回転体による直接的な刺激を肌に伝達しつつ、重力が生じる方向と反対方向に回転体を回転させることによって回転体への肌の吸着及びその滑り防止に基づく肌のリフトアップ効果を与えることができる。
【0010】
(2)本発明の人体用刺激伝達装置は、各溝の曲率がそれぞれ異なるとともに、前記曲率が、所定の回転方向に沿って徐々に小さくなっている構成を有している。
【0011】
この構成により、本発明の人体用刺激伝達装置は、例えば、各溝を所定の回転方向に凸に形成させて指紋パターンのように形成させることができるので、指のような接触感を与え、肌の凹凸に合わせて回転体を肌に吸着することができる。
【0012】
したがって、本発明の人体刺激伝達装置は、回転体によって肌に当接された場合に、心地よい接触感を実現しつつも、刺激を伝達する際に当該回転体が肌に当接された場合における吸着効果を高めて種々の方向への滑りを防止することができる。
【0013】
(3)本発明の人体用刺激伝達装置は、前記回転体が、楕円形状によって形成され、当該回転体の長径に沿って前記溝が形成されている構成により有している。
【0014】
この構成により、本発明の人体用刺激伝達装置は、回転体の肌への当接面を広くすることができるので、一度の当接及びそれに伴う回転動作によって広範囲にわたって肌への刺激を伝達することができる。
【0015】
(4)本発明の人体用刺激伝達装置は、音波振動を発生させ、前記回転体に前記音波振動を提供する音波振動発生手段を更に備える構成により有している。
【0016】
この構成により、本発明の人体用刺激伝達装置は、音波振動によって通常の振動では不可能な細かい振動を肌に伝達することができるので、より多くの刺激を肌に与えることができるとともに、溝の形状に基づく回転体と肌との摩擦力の向上によって、肌に音波振動により発生する滑りを防止することができるので、的確に音波振動を肌に伝達することができる。
【0017】
したがって、本発明の人体用刺激伝達装置は、的確な振動刺激を肌に与えることができるので、刺激に基づく肌の活性化を促しつつ、かつ、リフティング効果をも提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の人体用刺激伝達装置は、肌に刺激を伝達するために、回転体が肌に当接されて吸着し、当該回転体が肌上を回転する場合に、溝の形状に基づいて回転体と肌との摩擦力を高めることができるので、回転体による直接的な刺激を肌に伝達しつつ、重力が生じる方向と反対方向に回転体を回転させることによって回転体への肌の吸着及びその滑り防止に基づく肌のリフトアップ効果を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るフェイスローラーにおける一実施形態の構造を示す六面図である。
【図2】一実施形態におけるフェイスローラーの構造を示す斜視図である。
【図3】一実施形態におけるフェイスローラーの回転体及び回転ローラー部を説明するための図(その1)である。
【図4】一実施形態におけるフェイスローラーの回転体及び回転ローラー部を説明するための図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に好適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0021】
以下に説明する実施の形態は、回転ローラーを有し、音波振動を発生する機構を有するフェイスローラーに対して本願の人体用刺激伝達装置を適用した場合の実施形態である。
【0022】
[フェイスローラーの概要構成]
まず、図1及び図2を用いて本実施形態におけるフェイスローラー10の構成について説明する。なお、図1は、本実施形態のフェイスローラー10における構造を示す六面図であり、図2は、本実施形態のフェイスローラー10の構造を示す斜視図である。
【0023】
本実施形態のフェイスローラー10は、回転体110を回転自在に支持する回転ローラー部100と、回転ローラー部100と連結されて保持する保持部材200と、音波振動を発生させ、回転ローラー部100に音波振動を提供するモータ300と、を備えている。
【0024】
また、回転体110の外表面に、当該外表面に沿った所定の曲率を有して形成された複数の溝115が形成されており、音波及び回転ローラー部100によって直接的な刺激を肌(具体的には、顔)に伝達しつつ、回転ローラー部100の肌への吸着及びその滑り防止に基づく肌のリフトアップ効果を与えることができるようになっている。
【0025】
そして、本実施形態のフェイスローラー10は、保持部材200の一部がユーザによって把持されるとともに、回転ローラー部100の回転体110が回転自在に顔の皮膚の上を当接され、肌をマッサージする美顔器として用いられる。
【0026】
[フェイスローラーの各部の構成]
次に、上記の図1〜4を用いて本実施形態のフェイスローラー10における各部の構成について説明する。なお、図3及び図4は、本実施形態におけるフェイスローラー10の回転体110及び回転ローラー部100を説明するための図である。
【0027】
回転ローラー部100は、ユーザの操作に基づいて肌上を直接回転する回転体110と、当該回転体110を回転自在に支持する支持部材120と、を有している。
【0028】
回転体110は、図3に示すように、内部が空洞の楕円形状を有しており、当該楕円形状の長径に沿った中心軸(すなわち、「長軸」という。)を基準に回転自在(すなわち、双方向)に形成されている。
【0029】
回転体110には、長軸上の当該回転体110における一の焦点に回転体110の表面から内部の空洞まで貫通し、支持部材120が嵌合される貫通孔111が形成されている。また、回転体110には、当該回転体110の中心を通る短軸を中心に3つの板部材112、113、114が形成されている。そして、3つの板部材112、113、114は、支持部材120の先端に形成されたベアリング121を回転自在に狭持する。
【0030】
なお、本実施形態の回転体110は、一方向のみ回転するように、ベアリング121などに他の方向への回転を禁止するためのストッパを設けてもよい。
【0031】
回転体110の外表面には、図4に示されるように、当該回転体110の長軸に沿って、複数の所定の溝115が形成されている。各溝115は、同一(ほぼ同一も含む)の深さ及び幅を有し、回転体110の表面に沿って並設されている。そして、各溝115は、回転体110の表面に沿って波形に形成され、その曲率は、他の溝115とそれぞれ異なるとともに、一方の回転方向に沿って徐々に小さくなっている。例えば、各溝115は、所定の回転方向に沿って一つの山を有する波形形状を有し、全体で人体の指紋パターンを形成するようになっている。
【0032】
なお、回転体110の外表面に形成された溝115は、回転体110の表面に沿って形成され形状が所定の曲率によって形成されていればよく、全ての溝115が同一の曲率によって形成されていてもよい。
【0033】
また、回転体110の外表面に形成された溝115は、波形だけでなく、円、楕円または自由曲線などの形状であってもよく、回転体110の表面に沿って、かつ、所定の曲率によって形成されていればよい。
【0034】
本実施形態の回転体110は、長軸に沿って形成される一の焦点を示す回転体110の頭部に指圧効果を高める突起物(ボール)116を有している。例えば、当該突起物は、ゲルマニウムなどによって形成されている。なお、この突起物116は、回転体110とともに回転する構成、または、回転しない(すなわち固定された)構成であってもよく、さらには、回転体110は、当該突起物116を有していなくてもよい。
【0035】
支持部材120は、一端の先端にベアリング121と、当該ベアリング121の外れ防止を行うためのプラスチック製のキャップ122と、を有し、ベアリング121が形成された端部と反対の端部に保持部材200と着脱可能に連結するための着脱可能な構造を備えている。
【0036】
保持部材200は、図1及び図2に示すように、内部にモータ300が組み込まれているとともに、防水加工によって形成されている。また、保持部材200は、ユーザによって把持される把持部210と、先端に回転ローラー部100を着脱可能に保持し、モータ300によって発生した音波振動を当該回転ローラー部100に伝達する連結部220と、電池を収容する収容部230と、を有している。
【0037】
特に、把持部210は、ユーザが片手で軽く把持できる程度の長さを有する細長い円筒形によって形成されるとともに、中央にモータ300への電源の供給を制御するスイッチ211を有している。
【0038】
また、連結部220は、はめ込み式の棒形状部材221を有するとともに、当該棒形状部材からモータ300に直接連結され、当該モータ300によって発生した音波振動を回転ローラー部100に伝達する伝達部材222を有している。
【0039】
モータ300は、電池から供給された電源に基づいて音波振動を発生させ、伝達部材222を介して回転ローラー部100に音波振動を提供するようになっている。特に、本実施形態のモータ300は、例えば、30,000Hzの音波振動を発生させることができるようになっている。ただし、モータ300は、この周波数である必要はなく、音波振動を発生させることができればよい。
【0040】
[作用効果]
以上、本実施形態のフェイスローラー10は、溝115が当該外表面に沿った所定の曲率によって形成されることによって、長い溝115を形成し、かつ、当該溝115が種々の方向に並設させることができるので、回転ローラー部100の回転体110によって肌に刺激を伝達する際に肌に当接された当該回転体110の肌への吸着効果を高めて種々の方向(例えば、上下左右や斜め方向)への滑りを防止することができる。
【0041】
すなわち、本実施形態のフェイスローラー10は、肌に刺激を伝達するために、回転体110が肌に当接されて吸着し、当該回転体110が肌上を回転する場合に、溝115の形状に基づいて回転体110と肌との摩擦力を高めることができるので、回転体110による直接的な刺激を肌に伝達しつつ、重力が生じる方向と反対方向に回転体110を回転させることによって回転体110への肌の吸着及びその滑り防止に基づく肌のリフトアップ効果を与えることができる。
【0042】
また、本実施形態のフェイスローラー10は、各溝115を所定の回転方向に凸に形成させて指紋パターンのように形成させることができるので、指のような接触感を与え、肌の凹凸に合わせて回転体110を肌に吸着することができる。
【0043】
したがって、本実施形態のフェイスローラー10は、回転体110によって肌に当接された場合に、心地よい接触感を実現しつつも、刺激を伝達する際に当該回転体110が肌に当接された場合における吸着効果を高めて種々の方向への滑りを防止することができる。
【0044】
また、本実施形態のフェイスローラー10は、回転体110の肌への当接面を広くすることができるので、一度の当接及びそれに伴う回転動作によって広範囲にわたって肌への刺激を伝達することができる。
【0045】
また、本実施形態のフェイスローラー10は、音波振動を伝達すれば、溝115の形状に基づく回転体110と肌との摩擦力の向上によって、肌における音波振動により発生する滑りを防止することができるので、的確に音波振動を肌に伝達することができる。
【0046】
また、本実施形態のフェイスローラー10は、音波振動によって通常の振動では不可能な細かい振動を肌に伝達することができるので、より多くの刺激を肌に与えることができるとともに、溝の形状に基づく回転体110と肌との摩擦力の向上によって、肌に音波振動により発生する滑りを防止することができるので、的確に音波振動を肌に伝達することができる。
【0047】
したがって、本実施形態のフェイスローラー10は、的確な振動刺激を肌に与えることができるので、刺激に基づく肌の活性化を促しつつ、かつ、リフティング効果をも提供することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 … フェイスローラー
100 … 回転ローラー部
110 … 回転体
111 … 貫通孔
112、113、114 … 板部材
115 … 溝
116 … 突起物
120 … 支持部材
121 … ベアリング
122 … キャップ
200 … 保持部材
210 … 把持部
211 … スイッチ
220 … 連結部
221 … 棒形状部材
222 … 伝達部材
230 … 収容部
300 … モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体を有し、当該回転体を回転自在に支持する回転ローラー部と、
前記回転ローラー部と連結されて保持する保持部材と、
を備え、
前記回転体の外表面に、当該外表面に沿った所定の曲率を有して形成された複数の溝が並設されて形成されていることを特徴とする人体用刺激伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の人体用刺激伝達装置において、
各溝の曲率がそれぞれ異なるとともに、前記曲率が、所定の回転方向に沿って徐々に小さくなっている、人体用刺激伝達装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の人体用刺激伝達装置において、
前記回転体が、楕円形状によって形成され、当該回転体の長径に沿って前記溝が形成されている、人体用刺激伝達装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の人体用刺激伝達装置において、
音波振動を発生させ、前記回転ローラー部に前記音波振動を提供する音波振動発生手段を更に備える、人体用刺激伝達装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−249821(P2012−249821A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124722(P2011−124722)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(511104163)
【Fターム(参考)】