説明

人工大理石カウンター及びその製造方法

【課題】本発明は、カウンターとシンクやボールなどの凹状体との接着層の見え掛かり幅を極力狭くすると共に、使用者側から見える接着層を目立ち難くさせる人工大理石カウンターを提供しつつ、シンクやボールなどの凹状体内に貯留した湯水が凹状体側壁からカウンター上面側に溢れ出ることを防止でき、カウンターの開口部分側壁及びシンクやボールなどの凹状体内壁への汚れ防止を図り、清掃性を良好にできる人工大理石カウンターとその製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、開口部を有する人工大理石カウンターの開口部の下側に、人工大理石シンクやボールなどの凹状体を該凹状体の上面側開口部を前記カウンターの開口部に位置合わせして配置してなる人工大理石カウンターであって、カウンターの開口部内縁全周に凹状体の上端開口部内縁より内側に突出するせり出し部が形成され、該せり出し部の下に下向きの斜面が形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を有する人工大理石カウンターに人工大理石シンクやボールなどの凹状体を配置してなる人工大理石カウンター及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人工大理石カウンターに人工大理石シンクやボールなどの凹状体を設ける場合、カウンターに設けた開口外縁部の周縁下面にシンクやボールの開口上縁面を接着剤や取付金具を用いて固定している。この場合、加工精度、成形公差、接合技術等の理由から、シンクやボールの開口内縁部よりカウンターの開口部の形状を小さくしている。
【0003】
具体的には、下記特許文献1の第3図に開示されている技術では、シンクやボールの開口内縁部よりカウンターの開口内縁部の形状を小さくして、カウンターの開口内縁部をシンクやボール内にオーバーハングさせて(せり出させて)いる。しかし、カウンターの張り出した部分の周縁下面に汚れが付着及び残存しやすく、不衛生になり易く、この張り出した部分の周縁下面は、清掃もし難いという問題があった。
そこで、下記特許文献1の第2図に開示されている技術では、シンクやボールの開口内縁部とカウンター開口内縁部の形状を一致させて接着している。しかし、特許文献1の第2図に開示されている技術では、シンクやボールあるいはカウンターの加工精度、成形公差、接合技術等から考慮した場合に、高度な加工技術と接合技術が求められ、仕上がりの安定性及び作業効率に問題点があった。例えば、成形公差が大きい場合に仕上がりを良くしようとすると、作業時間が長くかかり、逆に、作業時間を短縮すると、仕上がり具合がばらつく問題がある。
【0004】
また、下記特許文献2の図3に開示されている技術は、シンクやボールの開口内縁部よりカウンターの開口内縁部の形状を小さくして、カウンターをシンクやボール内にオーバーハングさせて(せり出させて)接着した後に、カウンターの開口内縁部と接着剤層とシンクやボールの開口内縁部上方を面取り加工して仕上げている。しかし、特許文献2の図3に開示されている技術では、面取り加工がカウンター開口上面方向に対して開放方向とされているので、シンクやボール内に貯留した湯水等がシンクやボール側壁からカウンター上面に溢れやすくなり、又、面取り加工の方向に伴い、使用者に見える接着層の幅が接着層を垂直に切断した場合より広がるために、より目立つ等の問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平2−107389号公報
【特許文献2】特開平11−123114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載されている技術を適用すれば、カウンターの開口内縁部をシンクやボール内にオーバーハングさせた(せり出させた)構造を有するカウンターを供給することができる。しかしながら、上記特許文献1に記載されている技術では、カウンターの張り出し部分の周縁下面の汚れの付着や清掃性等の問題があり、衛生的で清掃しやすいカウンターを提供するまでに至っていなかった。
上記特許文献2に記載されている技術を適用すれば、カウンターの開口内縁部とシンクやボールの開口内縁部との間にオーバーハングのないカウンターを供給することができる。しかしながら、上記特許文献2に記載されている技術では、シンクやボール内に貯留した湯水がシンクやボール側壁からカウンター上面に溢れ出ることを防止することや、接着層を目立たなくする外観を提供するまでには至っていなかった。
【0007】
そこで本発明は、カウンターの開口部にシンクやボールなどの凹状体を取り付けてなる人工大理石カウンターであって、カウンターとシンクやボールなどの凹状体との接着層の見え掛かり幅を極力狭くすると共に、使用者側から見える接着層を目立ち難くさせる人工大理石カウンターを提供しつつ、シンクやボールなどの凹状体内に貯留した湯水が凹状体側壁からカウンター上面側に溢れ出ることを防止できると共に、カウンターの開口部分側壁及びシンクやボールなどの凹状体内壁の汚れ防止を図り、清掃性を良好にできる人工大理石カウンター及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を有する。
本発明の人工大理石カウンターは、開口部を有する人工大理石カウンターの前記開口部の下側に、人工大理石シンクやボールなどの凹状体を該凹状体の上面側開口部を前記カウンターの開口部に位置合わせして配置してなる人工大理石カウンターであって、前記カウンターの開口部内縁全周に前記凹状体の上端開口部内縁より内側に突出するせり出し部が形成され、該せり出し部の下に下向きの斜面が形成されたことを特徴とする。
本発明の人工大理石カウンターにおいて、前記せり出し部の上部側に前記カウンターの開口部の最も内側に突出する突き出し部が形成され、該突き出し部の下部から前記凹状体の上端開口部内面にかけて連続するように前記斜面が形成された構成を採用できる。
本発明の人工大理石カウンターにおいて、前記突き出し部が前記カウンターの開口部内縁の上端部に形成され、前記突き出し部の下に形成されている斜面が前記カウンターの厚さ方向全体にわたり形成された構成を採用できる。
【0009】
本発明の人工大理石カウンターの製造方法は、開口部を有する人工大理石カウンターの前記開口部の下側に、人工大理石シンクやボールなどの凹状体であって、前記カウンターの開口部よりも小さな開口部を有する凹状体を前記カウンターの開口部に凹状体の開口部を位置合わせし、凹状体の開口部上端よりカウンターの開口部内縁が内側にせり出すように接合し、この後、せり出し部分を削って前記凹状体の開口部上端より内側に突出するせり出し部を残しつつ、前記カウンターの開口部内縁全周にわたり下向きとなる斜面を形成することを特徴とする。
本発明の人工大理石カウンターの製造方法において、前記せり出し部分を削る際、カウンターの開口部内縁のうち、上部側をせり出し部として残し、下部側を斜面とするように削ることができる。
本発明の人工大理石カウンターの製造方法において、前記せり出し部分を削る際、カウンターの開口部内縁のうち、上部側をせり出し部として残すと同時に凹状体の上端開口部も含めて横断面円弧状の斜面の一部となるように削ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カウンターの開口部にシンクやボールなどの凹状体を取り付けてなる人工大理石カウンターであって、カウンターとシンクやボールなどの凹状体との接着層の見え掛かり幅を極力狭くできると共に、使用者側から見える接着層を目立ち難くした人工大理石カウンターを提供できる。更に、シンクやボールなどの凹状体内に貯留した湯水がシンクやボールの凹状体側壁からカウンター上面側に溢れることを防止できると共に、カウンターの開口部分内面及びシンクやボールなどの凹状体内面への汚れ防止性と清掃性が良好な人工大理石カウンターを提供することができる。
また、カウンターと凹状体の境界にある接着層の部分が斜面に沿って下向きとなるので、使用者側から見た接着層の断面幅は狭くなり、接着層を目立たなくすることができる。このため、従来構造よりも接着層の厚み公差を大きくできるようになり、その分、接着層の厚みを均一にする作業時間の短縮ができ、作業性が向上する。
【0011】
本発明において、カウンター開口部の内側に突き出し部を有し、その下に凹状体の上端開口部内面にかけて連続する斜面を有しているならば、上述の効果を備えた上に、カウンターの開口部内面と接着層と凹状体上端開口部とを段差無く連続させることができ、カウンターと凹状体の接合部分の収まりを良好にできる。
また、凹状体の内側で使用した湯水を突き出し部の下の斜面に沿って流下させて凹状体に円滑に戻すことができるので、カウンターの開口部内面と接着層と凹状体上端開口部の接合部分に汚れを付着させるおそれを少なくできる。
本発明において、カウンターの開口部内面と接着層と凹状体上端開口部に至る横断面円弧状の斜面を形成するならば、これらの接合部分において段差の目立たない構造を提供できる効果がある。
【0012】
本発明の製造方法によれば、上述のせり出し部と斜面とを有する人工大理石カウンターを製造することができる。
また、本発明の製造方法において、せり出し部として残すと同時に凹状体の上端開口部も含めて横断面円弧状の斜面の一部となるように研削することにより、カウンターと接着層と凹状体の接合部分に段差の生じていない滑らかな接合部を有する人工大理石カウンターを提供できる。
また、このように段差のない滑らかな接合部を有する人工大理石カウンターであれば、カウンターと接着層と凹状部の接合部分に汚れが付着し難く、衛生的な人工大理石カウンターを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る第1実施形態の人工大理石カウンターであって凹状体を取り付けた状態の一例を示す斜視図である。
【図2】同第1実施形態の人工大理石カウンターであって凹状体を取り付ける前の状態を示す斜視図である。
【図3】同第1実施形態の人工大理石カウンターであって凹状体を取り付けて研削加工する部分を示した要部拡大断面図である。
【図4】同第1実施形態の人工大理石カウンターであって研削加工した後の状態を示し、図1のA−A線に沿う部分断面図である。
【図5】本発明に係る第2実施形態の人工大理石カウンターであって凹状体を取り付けて研削加工する部分を示した要部拡大断面図である。
【図6】同第2実施形態の人工大理石カウンターであって研削加工した後の状態を示す部分断面図である。
【図7】従来の人工大理石カウンターにおける第1の例を示す部分断面図。
【図8】従来の人工大理石カウンターにおける第2の例を示す部分断面図。
【図9】従来の人工大理石カウンターにおける第3の例の加工状態を示す部分断面図。
【図10】従来の人工大理石カウンターにおける第3の例の加工後の状態を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明に係る第1実施形態の人工大理石カウンターについて説明する。なお、この第1実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1〜図4は、本発明に係わる人工大理石カウンターの第1実施形態を説明するための図であり、この人工大理石カウンターAは、人工大理石により形成されたカウンター板1の下面側に人工大理石により形成されたシンクやボールなどの凹状体2を接合させてなり、台所や洗面化粧台等に据え付けて用いられるものである。
図1、図2に示す如くカウンター板1は横長の長方形状の板状に構成され、カウンター板1の左端部側にカウンター板1の奥行きより若干小さい奥行きであり、横長の長方形状の開口部3が形成されている。カウンター板1の奥側端には水返し用の起立片1aがカウンター板1の全幅にわたり形成され、カウンター板1の手前側端には下向きの前縁1bがカウンター板1の全幅にわたり形成されている。
【0015】
カウンター板1の開口部3の下には人工大理石で構成されたシンクやボールなどの凹状体2が一体に接合されている。この実施形態の凹状体2は、平面視略長方形状の底壁部2aと底壁部2aの各辺から一体に立設された周壁部2bとからなる角型のシンク状に形成されている。凹状体2の周壁部2bの上端部には外向きに延出するフランジ状の上周縁部2cが形成され、上周縁部2cの上面2eは平面状に形成されている。
凹状体2の周壁部2bはその上端開口部2dの形状をカウンター板1の開口部3に合致するような大きさに形成されている。即ち、図4に示す如く凹状体2の上端開口部2dの位置とカウンター板1の開口部3の位置を合わせることでカウンター板1の開口部3の下側に凹状体2の上端開口部2dが連続されている。また、凹状体2の上端開口部2dの位置とカウンター板1の開口部3の位置を合わせることでカウンター板1の開口部3の周縁下面側に凹状体2の上周縁部2cの上面2eが当接され、この当接部分に設けられている接着層7を介してカウンター板1に凹状体2が接着されている。
【0016】
図3はカウンター板1に凹状体2を接合した状態を示し、図4はカウンター板1と凹状体2の接合部を研削加工した後の状態を示す。
図4に示す如く加工後の人工大理石カウンターAにあっては、カウンター板1の開口部内縁全周に前記凹状体2の上端開口部2dの内縁より内側に突出するせり出し部6が形成され、該せり出し部6の下側に下向きの斜面9が形成されている。
せり出し部6においては、その上部側に前記カウンター板1の開口部3の最も内側に突出する突き出し部6aが形成され、該突き出し部6aの下側から前記凹状体2の上端開口部2dの内面にかけて連続するように斜面9が形成されている。突き出し部6の先端側表面はRが付けられた湾曲面とされ、図4に示す実施形態において斜面9は平面状に形成され、その下縁を接着層7の露出部分に連続させている。
図4に示す実施形態では、突き出し部6aが前記カウンターの開口部3の内縁の上端側に形成され、前記突き出し部6aの下に形成されている斜面9が接着層7に達するように形成されているが、斜面9の下に露出している接着層7の表面部分も斜面9に沿うような斜面とされている。
【0017】
図4に示す構造を得るためには、一例として、せり出し部6を形成していない状態のカウンター板1に対し凹状体2を接合する。即ち、図3に示す如くカウンター板1に対して開口部3の内周縁4が直角に形成されている状態のカウンター板1を用い、カウンター板1の開口部3に凹状体2の開口部を位置合わせし、内周縁4がカウンター板1の開口部3の内側に所定長さ突き出すように配置し、カウンター板1の裏面側に接着層7を用いて凹状体2の上面2eを接着する。ここで、接着したカウンター板1の加工前の内周縁4を伴っている状態の開口部3は凹状体2の上端開口部2dよりも内径が小さく、内周縁4の部分は図3の2点鎖線に示す如く凹状体2の上端開口部2dよりも内側にせり出されている。
この状態から、開口部3の内側にオーバーハングした(せり出した)内周縁4の部分を図3に示す如く傾斜する平面状の切断面8に沿って切断し、図4に示す斜面9を形成する。この斜面9の形成後、カウンター板1の開口部3の上端側を曲面を有するようにR加工(曲面研削加工)すると図4に示す斜面9を備えた表面を湾曲面とした突き出し部6aを得ることができる。
【0018】
図4に示す如くカウンター板1の開口部3の内周面に突き出し部6aが形成され、突き出し部6aの下部側に下向きの斜面9が形成されたカウンター板1の構造であると、凹状体2の内部で湯水を使用した場合、その湯水がカウンター板1の上面側に飛び出すおそれがある場合であっても、下向きの斜面9を備えた突き出し部6aが障壁となるので、カウンター板1の上面側に湯水が飛び出すことを抑制できる。
即ち、突き出し部6aを備えたせり出し部6が形成されているので、凹状体2の内部で使用している湯水あるいは凹状体2の内部に溜めた湯水が凹状体2の周壁部2bに当たり、カウンター板1の上面側に溢れることを防止できる効果がある。更に、カウンター板1と凹状体2との接合部の段差を無くすることにより、汚れが付きにくく清掃性が良好な人工大理石カウンターAを提供できる。特に、凹状体2の周壁部2bを洗浄する場合、シャワー等で凹状体2の周壁部2bを洗い流す場合があるが、シャワーから放出した湯水がカウンター板1の上面側に溢れることを防止できる。
【0019】
また、斜面9は下向きであり、その上にせり出し部6が形成されているため、斜面9の下側に露出する接着層7の部分を使用者の側から目隠しすることができ、接着層7の部分の見え掛かり部分の幅を狭くできるので、目立たなくすることができる。また、斜面9は下向きに傾斜しているので、斜面9の清掃も容易にできる。
よって、図4に示す構造であると、カウンター板1と凹状体2の境界に位置する接着層7の見え掛かり幅を極力狭くして目立たなくできると共に、接着層7を目立ち難くさせるカウンターを提供しつつ、凹状体2内に貯留した湯水が凹状体2側からカウンター板1の上面側に溢れることを防止すると共に、カウンター板1の開口部3の内周縁部分及び凹状体2の内面の汚れ防止と清掃性が良好な人工大理石カウンターAを提供できる。
【0020】
図5と図6は、本発明に係る第2実施形態の人工大理石カウンターを説明するためのもので、カウンター板10と凹状体2の接合部分を図5に示す横断面視円弧状の切断面8Aに沿って研削加工することにより、図6に示す横断面円弧形状の研削部分を有する人工大理石カウンターBを提供できる。
図5に示す如くカウンター板1の下面に接着層7を介し凹状体2の上周縁部2cを接着した後、円弧状の切断面8Aに沿って開口部3の内側にオーバーハングした(せり出した)カウンター板1の内周縁4の部分を含め、凹状体2の上端開口部2dの部分まで至るように凹曲面状に研削加工することで、せり出し部16を形成し、その下に下向きの横断面円弧状の斜面9Aと該斜面9Aに続く斜面9Bを形成する。また、せり出し部16の上端部を曲面加工(R加工)することにより凹曲面状の斜面9Aを有する突き出し部16aを備えたせり出し部16を得ることができる。
なお、本実施形態では接着層7の切断面を下向きとすることが好ましいので、切断面8Aが接着層7の部分を切断する面が下向きとなるような大きさの半径とすることが好ましい。図6の例では斜面9Aと接着層7の切断面と斜面9Bの上部側がいずれも下向きとなるような半径の切断面8Aとされている。
【0021】
図6に示す構造によれば、カウンター板1と凹状体2の境界の接着層7の端面が凹状体2の内側に向いて下向きに傾斜している(下向きの凹曲面となって傾斜している)ので、使用者側から見た接着層7の断面幅は小さくなり、その上、境界層7の断面の上に、せり出し部16が設けられているので、接着層7の部分を目立たなくすることができる。そのため、従来よりも接着層7の厚み交差を大きくすることが可能となり、接着層7の厚みを均一に調整する作業時間の短縮を図ることができる。
【0022】
また、カウンター板1の開口部3にせり出し部16が形成されているので、凹状体2の内部で使用している湯水あるいは凹状体2の内部に溜めた湯水が凹状体2の周壁部2bに当たり、カウンター板1の上面側に溢れることを防止する効果がある。更に、カウンター板1と凹状体2との接合部の段差を無くすることにより、汚れが付きにくく清掃性が良好な人工大理石カウンターBを提供できる。特に、凹状体2の周壁部2bを洗浄する場合、シャワー等で凹状体2の周壁部2bを洗い流す場合、シャワーから放出した湯水がカウンター板1の上面側に溢れることを防止できる。
【0023】
以上説明した第1、第2実施形態の人工大理石カウンターA、Bに対し、図7に示す構造は、カウンター板21の開口部23の形状をシンクやボールなどの凹状体22の開口内縁部26よりも小さく形成し、カウンター板21の凹状体22の内側にせり出し部24を有するようにオーバーハングさせて接着層27により接着した例を示す。
この構造では、カウンター板21に凹状体22を接合する際に、加工精度、成形交差などを考慮する必要がないため、容易に凹状体22を接合できる。ところが、この構造では、せり出し部24の周縁下面に汚れが付着し易く、汚れが残留し易いので、不衛生となりやすく、かつ、せり出し部24の周縁下面側の清掃も容易ではないという問題がある。
【0024】
図7に示す構造の問題を解決するためには、図8に示す如く、カウンター板31の下に接着層37を介し凹状体32を接合した構造において、凹状体32の上端開口部36とカウンター板31の開口部33の内周縁部34とを面一に連続するように一致させる構造が有望である。ところが、図8に示す構造では加工精度、成形公差などから考慮すると、高度な加工技術と接合技術が求められるので、仕上がりの安定性及び作業性に問題を生じる。
【0025】
図8に示す接合構造の課題を解決するためには、図9に示す如く、カウンター板41の開口部43の下に凹状体42を接着層47により接合した構造において、カウンター板41の開口部43の形状を凹状体42の上端開口部46よりも小さく形成し、カウンター板41の内周縁部44を凹状体42の内側に突き出すように接合した後、切断面48に沿って研削加工することが考えられる。この結果、図10に示す如くカウンター板41と接着層47と凹状体42にかけて上向きの斜面49を備えた接合構造とすることができる。
しかし、図10に示す構造では斜面49が上向きであり、カウンター板41の上面方向に開放する方向となっているので、凹状体42の内側に貯留した湯水等が凹状体42の周壁側からカウンター板41の上面側に漏れやすい。また、斜面49に沿って露出する接着層47の見え掛かり幅が斜面49が垂直面である場合よりも拡がるので、接着層47の存在が目立つ問題がある。
以上説明の図7〜図10に示す構造の問題点を全て解決し、図7〜図10に示す構造が有する利点については兼ね備えた構造として、先に説明した図1〜図6に示す第1実施形態と第2実施形態の構造を提供できる。
【符号の説明】
【0026】
A…人工大理石カウンター、1…カウンター板、1a…起立片、1b…前縁、2…凹状体、2a…底壁部、2b…周壁部、2c…上周縁部、2d…上端開口部、2e…上面、3…開口部、4…内周部、6…せり出し部、6a…突き出し部、7…接着層、8、8A…切断面、9、9A、9B…斜面、10…カウンター板、16…せり出し部、16a…突き出し部、
21…カウンター板、22…凹状体、23…開口部、24…せり出し部、26…開口内縁部、
27…接着層、31…カウンター板、32…凹状体、33…開口部、34…内周縁部、36…上端開口部、37…接着層、41…カウンター板、42…凹状体、43…開口部、44…内周縁部、46…上端開口部、47…接着層、48…切断面、49…斜面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する人工大理石カウンターの前記開口部の下側に、人工大理石シンクやボールなどの凹状体を該凹状体の上面側開口部を前記カウンターの開口部に位置合わせして配置してなる人工大理石カウンターであって、前記カウンターの開口部内縁全周に前記凹状体の上端開口部内縁より内側に突出するせり出し部が形成され、該せり出し部の下に下向きの斜面が形成されたことを特徴とする人工大理石カウンター。
【請求項2】
前記せり出し部の上部側に前記カウンターの開口部の最も内側に突出する突き出し部が形成され、該突き出し部の下部から前記凹状体の上端開口部内面にかけて連続するように前記斜面が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の人工大理石カウンター。
【請求項3】
前記せり出し部の上部側に前記カウンターの開口部の最も内側に突出する突き出し部が形成され、該突き出し部の下部から前記凹状体の上端開口部内面にかけて横断面円弧状に連続するように前記斜面が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の人工大理石カウンター。
【請求項4】
開口部を有する人工大理石カウンターの前記開口部の下側に、人工大理石シンクやボールなどの凹状体であって、前記カウンターの開口部よりも小さな開口部を有する凹状体を前記カウンターの開口部に凹状体の開口部を位置合わせし、凹状体の開口部上端よりカウンターの開口部内縁が内側にせり出すように接合し、この後、せり出し部分を削って前記凹状体の開口部上端より内側に突出するせり出し部を残しつつ、前記カウンターの開口部内縁全周にわたり下向きとなる斜面を形成することを特徴とする人工大理石カウンターの製造方法。
【請求項5】
前記せり出し部分を削る際、カウンターの開口部内縁のうち、上部側をせり出し部として残し下側に斜面を形成するように削ることを特徴とする請求項4に記載の人工大理石カウンターの製造方法。
【請求項6】
前記せり出し部分を削る際、カウンターの開口部内縁のうち、上部側をせり出し部として残すと同時に凹状体の上端開口部も含めて断面円弧状の斜面の一部となるように削ることを特徴とする請求項4に記載の人工大理石カウンターの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−183167(P2012−183167A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47771(P2011−47771)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(301050924)株式会社ハウステック (234)