説明

人間または動物の身体の液体のための検査装置

人間または動物の身体の液体のための検査装置は管状のハウジングを有しており、該ハウジングの中には、事前設定された量の検査されるべき体液を供給するための供給領域と、供給領域に後置され、少なくとも1つの閉じた分離壁によって該供給領域から隔てられ、体液を少なくとも1つの試薬と化学反応させることが可能である反応領域と、反応領域に後置され、定義された貫通孔を備える分離部材によって該反応領域から隔てられ、試薬との反応後に体液を貫通孔を通して供給可能な表示部材が配置された表示領域とが構成されている。分離壁を開放可能または破断可能である切断装置が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間または動物の身体の液体のための検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療においては、たとえば血液、尿、唾液といった人間または動物の身体の液体を分析して、身体の正常状態からの逸脱を早期に検出し、それによって、疾病やたとえば妊娠等のその他の身体の状態変化を察知することが以前から知られている。
【0003】
以下においては、一例として、検査されるべき体液が血液であることを前提とするが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明による検査装置は人間または動物のその他の体液でも適用可能であり、それも本発明の範囲に含まれることを明記しておく。
【0004】
事前設定された量の調べられるべき血液が支持体に塗布され、支持体とともに試薬の中に浸けられて、血液がこれと化学的に反応する検査装置が知られている。利用者によって視覚的に知覚可能な変化が、このような化学反応と結びついているか、または、血液が反応後に試薬とともに、たとえばいわゆる検査ストリップのような指示薬に塗布され、そこで性質に応じて色変化につながる。利用者は色変化を参照して、検査した血液が正常状態からの逸脱を有しているかどうか、場合によりどの程度有しているかを読み取ることができる。
【0005】
公知の検査装置は、利用者が順次適用しなければならない複数のモジュールまたはコンポーネントで成り立っている。このような手順は面倒であり、また、利用者が各モジュールの順序に留意せず、そのために検査を狂わせたり使い物にならなくするという危険を伴う。これに加えて、個々のコンポーネントが使用時に床に落ちたために汚れてしまい、そのために検査装置が同じく使い物にならなくなるという危険もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、利用者にとって簡単な仕方で利用可能であり、厳密に定義された検査の進行を保証する、上述した種類の検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は本発明によると、請求項1の構成要件を備える検査装置によって解決される。
【0008】
本発明は、さまざまな機能領域が構成された単一の、好ましくは管状のハウジングの中で、検査の全段階を行うという基本的思想を踏まえたものである。供給領域では、調べられるべき体液ないし血液を事前設定された量で供給し、ないしはハウジングの中へ導入することができる。次いで、血液はハウジングの内部で反応領域を通過し、最後に、利用者が検査結果を読み取ることができる指標部材を有する指標領域へ到達する。
【0009】
血液は供給領域から、供給領域に後置され、少なくとも1つの閉じた分離壁によって供給領域から隔てられた反応領域に達する。この反応領域には、血液が化学反応する少なくとも1つの試薬がある。検査装置の初期状態では、供給領域は閉じた分離壁によって反応領域から完全に隔てられている。供給領域から反応領域へ血液を送るために、利用者によって操作可能な切断装置が設けられており、この切断装置によって分離壁を破断可能であり、それによって血液が反応領域へ流れ込み、そこで試薬と混ざって化学反応する。
【0010】
反応領域には、定義された貫通孔を備える分離部材によって反応領域から隔てられた指示領域が後置されている。指示領域には、たとえば検査ストリップのような指示部材が配置されており、血液は試薬と反応した後に、定義された形態の貫通孔を通ってこの指示部材へ供給される。
【0011】
上述した各機能領域を単一の管状のハウジング内部に配置することで、血液が反応領域を通過し、そこで試薬と反応した後で初めて、指示領域へ到達できることが保証される。個々の検査段階の順番が意図せずに変わることはあり得ない。
【0012】
血液は、管状のハウジングの供給領域へ任意の仕方で供給することができる。本発明の好ましい実施形態では、供給領域は、検査されるべき血液を毛管力によって吸入可能である毛細管を有していることが意図される。血液が検査されるべき検査者は、通常の仕方で、たとえば指先の皮膚を穿刺することによって、少なくとも1つの血液滴を採取する。そのために使用される針または先端部は、検査装置の適当な個所に組み込まれていてよいが、別個の先端部によって皮膚を穿刺することも可能である。検査者の指にある血液滴を毛細管の端部と接触させると、毛細管内部の毛管力により、血液が毛細管の中へ吸い込まれる。このようにして、数マイクロリットル(=10−9)の比較的厳密に測定された血液量を実現することが可能である。
【0013】
毛細管により採取された血液量を、検査装置のハウジングの個々の領域を通して流動させるために、血液は毛管力に抗して再び毛細管から外に流出しなければならない。このことはたとえば、毛細管の端部で過圧が有効になることによって実現することができる。このことは、本発明の好ましい実施形態では、毛細管にキャップを被せることが可能であり、このキャップにより、毛細管の中にある血液量がこれから押し出されることによって実現することができる。キャップは、毛細管を遊びなく挿入することができる内側の止まり穴を有しているのが好ましい。毛細管がキャップの止まり穴へ挿入されると、止まり穴の底面と、挿入された毛細管の端部との間にあるスペースが狭められ、このことが圧力上昇につながり、この圧力上昇が、反対側の端部で血液が毛細管から押し出されるように作用する。
【0014】
血液が中に入った後、血液は供給領域にあり、閉じた分離壁によって反応領域から隔てられている。次いで利用者は、切断装置により分離壁を開放または破断することによって、供給領域と反応領域の間の接続を開く。本発明の好ましい実施形態では、切断装置は、ハウジングに回転可能および/または軸方向へスライド可能に支承されていて切断カッターを有する切断部分を有することができる。切断部分の軸方向のスライド可能性により、利用者は開かれるべき分離壁と切断カッターを当接させて、分離壁を突き破ることができる。切断部分と切断カッターの回転可能性は、このような開放プロセスをサポートすることができる。
【0015】
切断カッターを備える切断部分は、検査装置のハウジングに対して相対的に、利用者の任意にではなく相応の案内装置により規定される、厳密に定義された運動を行うのが好ましい。この目的のために本発明の発展例では、ハウジングに構成されたゲートを介して切断部分の運動が制御されることが意図されていてよい。切断部分は、好ましくは案内スリットまたは案内溝により形成されるゲートを密接な嵌め合いで通過する案内ピンを有しているのが好ましい。ハウジングの直径上で反対を向く側に、2つの対応するゲート案内部が構成されていると、確実な案内が保証される。切断部分の運動を開始させるために、切断部分はキャップと嵌合式に係合していることが意図されていてよい。その場合、利用者は容易にアクセスできるキャップを、およびそれに伴って切断部分を、ゲートの形状に即して回し、および/またはスライドさせ、それによって定義された運動が実現される。
【0016】
別案として、切断部分とハウジングの間の運動を定義するねじ山が設けられていてもよい。
【0017】
供給領域と反応領域の間の分離壁が開放されると、血液は供給領域から反応領域へ流れ込み、そこにある試薬と反応する。本発明の好ましい実施形態では、試薬は自由に可動なように反応領域に収納されているのではなく、ハウジングに挿入され、切断装置により破断可能な少なくとも1つの閉止フィルムを有するカートリッジに含まれていることが意図される。このようにして、希望する試薬を有するカートリッジを予備製作しておき、検査装置の製造時に、充填されて閉止された状態でハウジングへ挿入することが可能である。このようにして、同種類のハウジングへ利用ケースに応じて異なる試薬を挿入するという可能性も与えられ、そのためには、相応に予備製作されたカートリッジを挿入するだけでよい。
【0018】
本発明の考えられる1つの実施形態では、カートリッジは管状のハウジング部分を含んでおり、このハウジング部分は検査装置のハウジングへ密接な嵌め合いで挿入されるとともに、ハウジングの軸方向を向く両方の端部で、たとえば封印されていてよい閉止フィルムでそれぞれ閉止されることが意図されていてよい。上述した構造の予備製作されたカートリッジの使用は、複数のカートリッジをハウジングの軸方向で相前後して配置しておくことができるという利点をもたらし、この場合、各カートリッジにはそれぞれ同じ試薬が配置されており、このことは、比較的多い量の試薬が必要とされる場合に有意義であり、または、それぞれ異なる試薬もしくは抗体が個々のカートリッジに含まれている。
【0019】
個々のカートリッジは、検査装置の管状のハウジングの軸方向で直接的に連続するように配置されており、クランプ部材によって相互にクランプされているのが好ましい。このようにして、個々のカートリッジがハウジング内部で定義された位置をとる。それにより、各カートリッジを切断装置によって同時にではなく定義された順番で開けて、血液と反応させることが可能である。この目的のために、切断部分の運動を制御するゲートは段差のある形状を有することができ、すなわち多角形の形状を有することができる。位置調節の第1段階では、切断部分が軸方向へスライドして、これに設けられた切断カッターが第1のカートリッジを開き、それにより、第1のカートリッジの中にある試薬と血液が混ざり合い、これと反応する。軸方向で見てその後にある次のカートリッジは、さしあたりまだ無傷である。次いで、切断部分をハウジングに対して相対的に回転させると、切断部分の第2の軸方向運動がゲートに沿って可能であり、それにより、切断カッターが次のカートリッジを開いて、血液はこの第2のカートリッジの試薬とも反応することができる。
【0020】
血液が反応領域で1つまたは複数の試薬と反応した後、血液は、反応領域を後続の指示領域から隔てているが、非常に寸法の小さい、すなわち1mmよりも小さい直径をもつ、定義された貫通孔を有する分離部材へと流れる。分離部材に当たった血液は貫通孔を貫流することができ、次いで、検査結果に応じて変色することができる、たとえばそのつどの用途に適した検査ストリップ等の指示部材に当たる。
【0021】
分離部材に当たってから血液を確実に貫通孔へ供給できるようにするために、本発明の発展例では、分離部材はカップ状に構成されており、密接な嵌め合いでハウジングに着座することが意図されていてよい。このとき貫通孔は、分離部材の底面に構成されているのが好ましい。分離部材のカップ状の構成は、血液がその中に溜まり、次いで、底面に構成された貫通孔を通って流出して、指標部材の中に入れることを保証する。
【0022】
供給領域と反応領域の間の分離壁が切断装置によって破断されるときや、カートリッジの閉止フィルムが開放されるときに、個々のフィルム片が剥がれてカップ状の分離部材の中に堆積する可能性がある。このようなフィルム片が、貫通孔の前でこれを意図せず塞いでしまうのを防止するために、貫通孔は、一方では貫通孔への血液の流入を妨げることがないが、他方では切り離されたフィルム片によって貫通孔が塞がれる危険を大幅に低減するスペーサ部材によって、包囲されていることが意図されるのが好ましい。フィルム片はスペーサ部材によって、貫通孔の上に直接載る前に留められるからである。
【0023】
指標部材は、検査装置の管状のハウジングの長手方向を向き、透明に構成されたハウジングの外側から観察することができるか、または、少なくとも指標部材の領域に透明な窓を有しており、利用者が検査の実施後に観察することができる、指標ストリップまたは検査ストリップで構成されているのが好ましい。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、指標部材のほうを向いている分離部材の側に、指標部材のための収容部が構成されていることが意図される。この収容部は、指標部材が好ましくはわずかな弾性変形のもとで中に挿入されて挟み込まれる管状の付加部であってよい。このようにして、指標部材が貫通孔の連通部に直接配置されるので、貫通孔を貫流する試薬と混ざり合った血液全部が、指標部材の中に入ることが保証される。
【0025】
ストリップ状の指標部材は、分離部材と反対を向いているほうの端部では保持部で保持されるのが好ましく、それにより、ハウジングに対して相対的な指標部材の確実な位置決めが保証される。
【0026】
本発明のその他の具体的事項や構成要件は、図面を参照しながら行う以下の実施例の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による検査装置を示す側面図である。
【図2】図1の検査装置を示す縦断面図である。
【図3】検査装置の供給領域を示す拡大図である。
【図4】検査装置の反応領域を示す拡大図である。
【図5】検査装置のキャップと切断部分を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
各図面に示す検査装置10は、図1と図2では下側端部のところで閉止キャップ12により閉止された、長く延びる管状のハウジング11を有している。閉止キャップ12には、ハウジング11の内面のほうを向く側に保持部13が組み込まれており、この保持部にストリップ状の表示部材45が挿入されて保持されている。ストリップ状の表示部材45はハウジング11の軸方向に延びており、反対側の上側端部で、カップ状の分離部材41の管接続部のような収容部44に着座している。ストリップ状の表示部材45は、下側の保持部13と上側の収容部44によって確実かつ変位不能なように、ハウジング11の表示領域40で位置決めされている。
【0029】
下側の表示領域40を、その上に位置する反応領域30から隔てている分離部材41は、上方に向かって開いたカップ状の断面を有しており、封止をするような密接な嵌め合いのもとでハウジング11に着座している。分離部材41の底面には軸方向に延びる貫通孔42が構成されており、この貫通孔は、ストリップ状の表示部材45の端面に直接連通している。表示部材45と反対を向いているほうの分離部材41の底面の上面では、貫通孔42は、底面からわずかな程度だけ上方に向かって突出するスペーサ部材43(図4参照)によって取り囲まれている。
【0030】
分離部材41のすぐ上方には、ハウジング11の軸方向で相前後して配置され、相上下して位置する3つのカートリッジ31,34および37が配置されている。各々のカートリッジ31,34,37は管状のハウジング部分31a,34a,37aを有しており、その外側寸法はハウジング11の内側寸法に呼応しており、上側端部と下側端部ではそれぞれ閉止フィルム32,33ないし35,36ないし38,39によって閉止されている。各々のカートリッジ31,34,37の中には、体液ないし血液の検査のために必要な試薬またはその他の化学物質が含まれている。カートリッジ31,34および37は予備製作されており、充填されて封止された状態で、密接な嵌め合いのもとでハウジング11へ挿入されており、それにより、軸方向でそれぞれの管状のハウジング部分31a,34a,37aが相上下して位置しており、その様子は特に図4に示されている。表示部材45のほうを向く下側のカートリッジ37は、その下側端部が、カップ状の分離部材41の上側縁部の上に位置している。上側のカートリッジ31の反対側の上側端部には、クランプスリーブの形態のクランプ部材15が配置されており、このクランプ部材は、弾性変形のもとで、ハウジング11の内壁に対してクランプされており、3つのカートリッジ31,34および37を軸方向で相互にクランプして確実に位置決めする。
【0031】
上側のカートリッジ31の上側のフィルム32は、カートリッジ31,34および37を包含する検査装置10の反応領域30と、その上に位置する、事前設定された量の検査されるべき血液が検査装置10に供給される供給領域20との間の分離壁を形成する。
【0032】
カートリッジ31,34,37の上方には、切断部分22を含む切断装置19がハウジング内部に配置されている。切断部分22は、ハウジング11へ実質的に遊びなく挿入された上側の保持体21で構成されており、これにその下面で管状の付加部21bが一体成形されており、この付加部はカートリッジ31,34,37のほうを向く下側端部に、切断歯からなる円環状切断部の形態の切断カッター23を担持している。管状の付加部21bの下側端部の近傍には、ハウジング11の内面と管状の付加部21bの外面に当接し、軸方向でクランプスリーブ15の上面に支持される、環状または円筒状のシール部材16が配置されている。
【0033】
切断部分22の保持体21には軸方向の中心穴21aが形成されており、上方に向かって突出する毛管24がこれに挿入されている。
【0034】
管状のキャップ25は内側の止まり穴26を有しており、これによってキャップは、上方に向かって突出している毛管24の区域へ遊びなく被せることが可能である。キャップ25は上側端部にグリップ部分28を有しており、利用者はこのグリップ部分でキャップ25をつかみ、特に回したり軸方向へスライドさせたりすることができる。グリップ部分28と反対を向いているほうのキャップ25の下側端部には、案内体27が一体成形されており、この案内体は軸方向の付加部27a(図5参照)を有しており、この付加部によって切断部分22の保持体21の収容部22aと係合することができ、そのようにして、グリップ部分28を介してキャップ25へ及ぼされる回転運動が、切断部分22へ伝えられる。
【0035】
図5が示すように、切断部分22の保持体21は半径方向外側に向かって延びる案内ピン17を有しており、この案内ピンは、スリット状のゲート14(図1参照)の形態でハウジング11に構成された制御カムに係合する。ゲート14は、ハウジング11の円周方向に延びる上側の第1の区域14aと、その後に続く、ハウジング11の長手方向に延びる第2の区域14bと、その後に続く、ハウジング11の円周方向に延びる第3の区域14cと、その後に続く、ハウジング11の長手方向に延びる第4の区域14dとを有している。第3の区域14cと第4の区域14dとの間の円周領域には、わずかな断面狭隘部が一体成形されたラグ46により設けられており、この断面狭隘部は、案内ピン17が第3の区域14cから第4の区域14dへ誤って移行するのを防ぐためのものである。ゲート14への案内ピン17の係合により、ハウジング11に対して相対的な切断部分22の運動が厳密に定義され、図示した実施例では、第1の区域14aおよび第3の区域14cにおける2つの回転運動と、第2の区域14bおよび第4の区域14dにおける2つの軸方向運動とを含んでいる。
【0036】
確実な案内を保証するために、図面には見えていない直径上で反対側にあるハウジング11の側にも、相応の別の案内ピン17が係合する、同じ種類のゲート案内部が設けられているのが好ましい。
【0037】
次に、検査装置10の機能形態について具体的に説明する。まず最初に、検査されるべき体液ないし血液を、検査装置10の上側の供給領域20へ供給する。この目的のためにキャップ25を毛管24から外し、毛管24の上側の自由端を、たとえば検査者の指先の血液滴と接触させる。毛管24の毛管作用に基づいて血液が毛管24の中に入り、これを充填する。このようにして、毛管24の容積によって事前設定される量の血液が採取される。次いで、止まり穴26を有するキャップ25を毛管24に被せ、完全に押込む。このとき、止まり穴26の底面と毛管24の上側端部との間の容積が減少し、このことが圧力上昇につながり、こうした圧力上昇は、血液が毛管24の下側端部で外に出てから、切断部分22の管状の付加部21bの内部空間29に入るように作用する。
【0038】
キャップ25を被せることで、キャップ25の案内体27の付加部27aが切断部分22の収容部22aと係合し、それにより、キャップ25の回転運動を切断部分22へ伝達することが可能になる。
【0039】
利用者はキャップ25を回し、それにより、これに取り付けられた案内ピン17がゲート14の第1の区域14aの中で動ける程度にまで、切断部分22も回転する。次いで、利用者はキャップ25を上から押圧し、それによって切断部分22もハウジング11の軸方向で下方に向かって動き、案内ピン17はゲート14の第2の区域14bに沿って摺動する。ハウジング11の軸方向で進行する切断部分22のこの運動は、ゲート14の第2の区域14bの長さによって制限されている。切断部分22がこのように軸方向へスライドすると、その下側端部に構成された切断カッター23が、上側のカートリッジ31の上側の閉止フィルム32と当接して、これを破断する。こうして管状の付加部21bの内部空間29にある血液を、カートリッジ31の中にある試薬と混ぜ合わせ、これと反応させることができる。他のカートリッジ34および37は、このときにはまだ閉止されている。
【0040】
検査の次の段階を開始するために、利用者はさらにキャップ25を回し、それによって案内ピン17がゲート14の第3の区域14cに沿って摺動し、ハウジング11の長手方向に延びるゲート14の第4の区域14dに入る。この位置のとき利用者は、キャップ25をさらにハウジング11の中へ押し込むことが可能であり、それによって切断部分23もハウジング11の内部でスライドし、第1のカートリッジの下側の閉止フィルム33と、そのすぐ上に続く第2のカートリッジ34の上側の閉止フィルム35と、第2のカートリッジ34の下側の閉止フィルム36と、そのすぐ上に続く第3のカートリッジ37の上側の閉止フィルム38と、下側の第3のカートリッジ37の下側の閉止フィルム39とがいずれも突き破られ、破断される。このようにして血液は、第2のカートリッジ34および第3のカートリッジ37に含まれる試薬や抗体またはその他の反応薬とも接触し、これと反応する。そして血液は上からカップ状の分離部材41の中に入り、貫通孔42を通ってそのすぐ下に位置するストリップ状の表示部材45へと流れ込み、そこで色変化を生じさせることができ、利用者はこれをハウジングの外側から窓18(図1参照)を通して観察することができる。
【0041】
閉止フィルム32,33,35,36,38および39が突き破られるときに個々のフィルム断片が剥がれた場合、このようなフィルム断片は同じくカップ状の分離部材41の中に落ち、スペーサ部材43の上に載るので、このようなフィルム断片によって貫通孔42が塞がれることが回避される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間または動物の身体の液体のための検査装置(10)において、管状のハウジング(11)を有しており、該ハウジングの中には、
事前設定された量の検査されるべき体液を供給するための供給領域(20)と、
前記供給領域(20)に後置され、閉じた分離壁(32)によって該供給領域から隔てられ、体液を少なくとも1つの試薬と化学反応させることが可能である反応領域(30)と、
前記反応領域(30)に後置され、定義された貫通孔(42)を備える分離部材(41)によって該反応領域から隔てられ、試薬との反応後に体液を前記貫通孔(42)を通して供給可能な表示部材(45)が配置された表示領域(40)とが構成されており、
前記分離壁(32)を破断可能である切断装置(19)が設けられている検査装置。
【請求項2】
前記供給領域(20)は検査されるべき体液を毛管力によって採取可能な毛細管(24)を有していることを特徴とする、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記毛管(24)にはキャップ(25)を被せることが可能であり、該キャップによって前記毛管(24)の中にある体液をこれから押し出し可能であることを特徴とする、請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記切断装置(19)は、前記ハウジング(11)に回転可能および/または軸方向へスライド可能に支承され、切断カッター(23)を有する切断部(22)を有していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記切断部分(22)の運動は前記ハウジング(11)に構成されたゲート(14)を介して制御されることを特徴とする、請求項4記載の検査装置。
【請求項6】
前記切断部分(22)はキャップ(25)と嵌合式に係合させることが可能であり、該キャップによって位置調節可能であることを特徴とする、請求項4または5に記載の検査装置。
【請求項7】
試薬はカートリッジ(31,34,37)の中に配置されており、該カートリッジは前記ハウジング(11)に挿入されており、前記切断装置(19)によって破断可能な少なくとも1つの閉止フィルム(32,33,35,36,38,39)を有していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項8】
前記カートリッジ(31,34,37)は、密接な嵌め合いのもとで前記ハウジング(11)に挿入され、前記ハウジング(11)の軸方向を向く端部でそれぞれ前記閉止フィルム(32,33,35,36,38,39)により閉止された管状のハウジング部分(31a,34a,37a)を有していることを特徴とする、請求項7に記載の検査装置。
【請求項9】
複数のカートリッジ(31,34,37)が前記ハウジング(11)の軸方向で相前後して配置されていることを特徴とする、請求項7または8に記載の検査装置。
【請求項10】
前記カートリッジ(31,34,37)はクランプ部材(15)によって相互にクランプされていることを特徴とする、請求項9に記載の検査装置。
【請求項11】
前記分離部材(41)はカップ状に構成されており、密接な嵌め合いのもとで前記ハウジング(11)に着座していることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項12】
前記貫通孔(42)は前記分離部材(41)の底面に構成されていることを特徴とする、請求項11に記載の検査装置。
【請求項13】
前記貫通孔(42)はスペーサ部材(43)で取り囲まれていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項14】
前記表示領域(40)のほうを向いている前記分離部材(42)の側には前記表示部材(45)のための収容部(44)が構成されていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項15】
前記表示部材(45)は前記貫通孔(42)の連通部に直接配置されていることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項16】
前記表示部材(42)は前記分離部材(41)と反対を向いているほうの端部で保持部(13)に着座していることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−517006(P2012−517006A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548599(P2011−548599)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000663
【国際公開番号】WO2010/089102
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(511188738)ガウトリッツ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】GAUDLITZ GMBH
【Fターム(参考)】