説明

介在物除去装置及び介在物除去方法

【課題】浮上分離や濾過により除去できない微小介在物を効率良く除去するとともに、簡便に設置可能で、かつ、装置を構成する各部材や各手段の交換が可能な介在物除去装置及び介在物除去方法を提供する。
【解決手段】介在物除去装置10は、溶融金属80が水平方向に流れる主流路11の途中に湯溜まり部(凹部)12が配置されている。湯溜まり部12の外側に、溶融金属80に対して高周波磁場を印加する高周波コイル14が配置されている。湯溜まり部12の内部には、多穴管13の長手方向が鉛直方向となるように、かつ、底部空間路17を残して、多穴管13が埋め込まれている。多穴管13の上部の水平方向の中心位置近傍に、主流路堰15が、主流路11に対して概ね垂直に、主流路11を遮断するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属中の介在物を除去する介在物除去装置及び介在物除去方法に関する。特に、浮上分離や濾過により除去できない微小介在物を効率良く除去するとともに、簡便に設置可能で、かつ、装置を構成する各部材や各手段の交換が可能な介在物除去装置及び介在物除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料の高品質、高信頼性の要求から、金属材料の鋳造工程における介在物の分離除去が必要不可欠である。従来、鋳造工程における介在物の分離除去方法として、浮上分離、濾過等の技術が実用化されている。
【0003】
浮上分離による介在物の分離除去方法は、溶融金属と介在物の密度差により浮上させて分離するものであるが、数十ミクロン以下のサイズの介在物は浮上速度が小さく、浮上しないのが現状である。また、濾過による介在物の分離除去方法は、濾過媒体の細孔の大きさで、捕捉できる介在物の大きさが決まってしまう。そのため、溶湯処理量や閉塞の観点から現実的な細孔の大きさには下限があり、必ずしも対象とする微小介在物を除去できるとは限らなかった。
【0004】
そこで、新しい技術として電磁力を利用して溶融金属中の介在物を所定の方向に移動させて捕捉、除去する方法が種々提案されている。電磁力を利用して介在物を捕捉する方法として、例えば以下の方法が提案されている。
【0005】
特許文献1では、連続鋳造において、ノズルあるいはホットトップ部に高周波磁場を印加し介在物をノズル内壁あるいはホットトップ部内壁に捕捉する方法が提案されている。
【0006】
また、特許文献2では、流動拘束媒体(格子状フィルター、細管束、細孔を有するフィルター、小型耐火物片からなる充填層)中の溶融金属に回転誘導磁界を作用させ、電磁力により溶融金属がマクロ的に回転方向に流動しようとするのを、流動拘束媒体により流動を拘束し、溶融金属が流動しようとする方向とは逆向きに介在物を移動させて補足する方法が提案されている。
【0007】
また、非特許文献1では、交流磁場と細管束を用いた溶融金属中の非金属介在物の除去方法について基本理論が説明されている。
【特許文献1】特許第3127736号公報
【特許文献2】特許第3357886号公報
【非特許文献1】山尾文孝、佐々健介、岩井一彦、浅井滋生、「鉄と鋼」、83(1997)1、p.30
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、電磁力を利用する方法の実際の鋳造工程への適用を考えた場合、除去効果が不十分であったり、捕捉した介在物の処理方法に問題があったり、装置構成が複雑であったり等の理由により、実際の鋳造工程への導入は困難であるものばかりである。
【0009】
例えば、上述した特許文献1の方法では、ノズルにおいて、一般にノズル内は非常に大きな流速であるから、電磁力が介在物を壁面に移動させようとする力よりも溶湯の流れが介在物を押し流す力が勝り、介在物除去効率が著しく低下するという問題があった。また、スライディングゲート等による流量調整によりノズル内の流速は変動することが考えられるが、この時一旦壁面に捕捉された介在物が脱落し再び溶湯中に巻き込まれてしまい、脱落した介在物を再度捕捉する手段もなくそのまま鋳型内に流入し、鋳塊中に混入してしまうという問題もあった。
【0010】
また、ホットトップ部において、高周波磁場の表皮厚さ領域は鋳型内の断面積に比べ非常に小さいため、溶湯流動による介在物の移動を考慮したとしても介在物除去効率としては低いものになってしまう。また、鋳型内の溶湯流動の変動や凝固条件の変動により、捕捉された介在物が脱落したり、凝固殻に付着して鋳塊中に巻き込まれたりするという問題もあった。
【0011】
また、上述した特許文献2の方法では、ノズルの途中に装置を設置する場合、特許文献1の理由と同様に、溶湯流速が非常に大きいために介在物除去効率が著しく低下してしまうという問題があった。解決策として、流動拘束媒体部分の流路総断面積を大きくして流速を小さくすることが考えられるが、重力の影響を大きく受けるこのような構成においては、流速を減少させることは容易ではない。また、ノズルから流動拘束媒体にかけての流路総断面積の拡大においては、流動拘束媒体内において溶湯流速に偏りが生じ易く、均一な溶湯流れが形成されず、介在物の除去効率を低下させる要因となってしまう。
【0012】
また、介在物が流動拘束媒体内に蓄積した場合には流動拘束媒体の交換が必要となるが、その点についてはまったく考慮されていない。このような装置を単に溶融金属流路に直線的に配置した場合、連続鋳造途中に装置内流路が閉塞した時の対処が非常に困難となってしまうという問題がある。また、鋳造休止時に交換するにしても、非常に大掛かりな施工が必要となり実現性に乏しい。また、ノズル内の溶湯流速の変動の影響を大きく受け、捕捉した介在物が脱落した場合にはそのまま鋳型内溶湯中に巻き込まれることになってしまう。
【0013】
また、上述した非特許文献1の方法では、溶融金属に交流磁場を印加するとき、表皮効果により電磁力の作用する領域が溶融金属表層部に限定される。また、非導電性の細束管を使用することで、個々の流路内の溶融金属にほぼ均等に交流磁場が作用するため、全体として電磁力作用領域の占める割合を増加させることができ、介在物除去効率が向上するが、実工程に導入するためにはすでに述べたとおり、設置方法、交換方法、などが重要な事項であり、本文献においてはそれらについての提案はなされていない。
【0014】
また、上述したように、実工程に導入可能な電磁力を利用した溶融金属中の介在物の除去方法は未だ確立されてはいない。
【0015】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、浮上分離や濾過により除去できない微小介在物を効率良く除去するとともに、簡便に設置可能で、かつ、装置を構成する各部材や各手段の交換が可能な介在物除去装置及び介在物除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した従来の問題点を解決すべく下記の発明を提供する。
本発明の第1の態様にかかる介在物除去装置は、溶融金属に含まれている介在物を除去する介在物除去装置であって、前記溶融金属が通過する主流路と、当該主流路に対して概ね垂直となるように配置された多穴管状部が内部に設けられたU字型流路部と、を有する溶融金属の流路を備え、前記U字型流路部の外側に、当該U字型流路部を流れる前記溶融金属に対して高周波磁場を印加する高周波磁場印加手段を更に備えていることを特徴とする。
【0017】
この手段により、多穴管を使用するため、多穴管内を流れる個々の流路の溶融金属に対して高周波磁場を作用させることができ、介在物除去能力を向上させることができる。また、高周波コイルはU字型流路部の外側に配置されるため、設置および移動が可能である。
【0018】
本発明の第2の態様にかかる介在物除去装置は、本発明の第1の態様にかかる介在物除去装置において、前記U字型流路部の入口に、前記主流路に概ね垂直に着脱可能に配置され、前記溶融金属の流れを前記主流路から前記U字型流路部へ誘導する主流路堰を備えていることを特徴とする。
【0019】
この手段により、U字型流路部の凹部(湯溜まり部)の内部に多穴管を配置し、多穴管の主流路側に主流路堰を設け、U字型流路部の外側から高周波磁場を印加するというように、簡単な構成となっており、設置が容易である。また、主流路堰は取り外しが可能で、交換が容易である。
【0020】
したがって、以上のことから、装置の設置が容易で、優れた介在物除去効果が得られるとともに、介在物捕捉部材の交換が可能で常に高い介在物除去効果を保つことができる。その結果、介在物の少ない清浄な鋳塊を得ることができる。
【0021】
本発明の第3の態様にかかる介在物除去装置は、本発明の第2の態様にかかる介在物除去装置において、前記主流路に設けられたn個(n≧2)の前記主流路堰と、当該主流路堰の配置方向に対して隣り合う前記主流路堰の間に位置し、かつ、前記U字型流路部の底部の隙間の流路に概ね垂直に配置され、前記底部の隙間の流路を遮断する(n−1)個の底部堰と、を備え、前記溶融金属の流れ方向に接続されたn個の前記U字型流路部を形成することを特徴とする。
【0022】
この手段により、主流路堰と底部堰を多穴管の上下に(U字型流路部内で多穴管を上下方向に配置した場合に)複数箇所設置して高周波磁界内にて溶湯を複数回往復させることにより、即ち、介在物の捕捉に必要な時間を長くすることにより、複数のコイルを設置することなく一つの装置でタンデム設置と同等の除去効率を実現することができる。
【0023】
本発明の第4の態様にかかる介在物除去装置は、本発明の第1から3のいずれか1つの態様にかかる介在物除去装置において、前記多穴管の穴の寸法は、等価円直径で、5mm〜25mmの範囲であることを特徴とする。
【0024】
等価円直径を5mm〜25mmの範囲にすることにより、介在物の除去効率が向上する。ここで、等価円直径とは、穴断面と断面積が等価な円の直径をいう。これは、等価円直径が5mm未満においても適切な周波数を選定することで介在物の除去は可能であるが、捕捉された介在物による多穴管の閉塞の危険が増すため、望ましくないためである。また、等価円直径が25mmより大きい場合も介在物の除去は可能であるが、前述のように表皮効果によって電磁力作用領域の占める割合が小さくなるため除去効率は著しく低下するためである。
【0025】
本発明の第5の態様にかかる介在物除去装置は、本発明の第1から4のいずれか1つの態様にかかる介在物除去装置において、前記高周波磁場印加手段によって印加される磁場は、印加する高周波磁場の周波数をF(Hz)とし、前記溶融金属の導電率をσ(S/m)とし、前記多穴管の穴の等価円直径をD(m)としたとき、
1.01×10×(σ×D−1≦F≦1.24×10×(σ×D−1
を満足する高周波磁場であることを特徴とする。
【0026】
上述した磁場の条件により、介在物の除去効率が向上する。一般に、周波数が低いほど電磁力作用領域は大きくなるが溶融金属の流動に与える影響が大きくなり、電磁力による介在物の移動を阻害する。周波数を高くするにつれて表層における電磁力は大きくなり介在物を移動させる力が大きくなるが、電磁力作用領域は小さくなり、除去効率が低下する。これらのことから、溶融金属および介在物の種別に応じて、最適な多穴管の穴の寸法および高周波磁場の周波数を選定することが重要である。
【0027】
本発明の第6の態様にかかる介在物除去装置は、本発明の第1から5のいずれか1つの態様にかかる介在物除去装置において、前記U字型流路部は、前記主流路と着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【0028】
この手段により、U字型流路部および多穴管は取り外しが可能で、捕捉された介在物がU字型流路部や多穴管を閉塞させる前に交換することが容易となり、常に高い介在物除去効果を保つことができる。その結果、介在物の少ない清浄な鋳塊を得ることができる。
【0029】
本発明の第7の態様にかかる介在物除去装置は、本発明の第1から6のいずれか1つの態様にかかる介在物除去装置において、前記主流路が概ね水平に、前記U字型流路部が概ね鉛直方向に設けられていることを特徴とする。
【0030】
この手段により、U字型流路部、多穴管、主流路堰、高周波コイルなどの介在物捕捉部材の交換がきわめて容易となり、常に高い介在物除去効果を保つことができる。その結果、介在物の少ない清浄な鋳塊を得ることができる。
【0031】
本発明の第1の態様にかかる介在物除去方法は、溶融金属に含まれている介在物を除去する介在物除去方法であって、(a)流路に沿って前記溶融金属を通過させる工程と、(b)前記溶融金属の流れの方向を変化させる工程と、(c)流れの方向が変化した前記溶融金属を複数の経路に分流させる工程と、(d)分流された前記溶融金属に高周波磁場を印加して前記溶融金属に含有される介在物を前記複数の経路の内壁に移動させて捕捉する工程と、(e)前記高周波磁場が印加された上記溶融金属を次の工程に送る工程と、を備えていることを特徴とする。
【0032】
この手段により、複数の経路に分流された溶融金属に対して効果的に高周波磁場を作用させることができ、介在物除去能力を向上させることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、多穴管が内部に設けられたU字型流路部を使用するため、多穴管内を流れる個々の流路の溶融金属に対して高周波磁場を作用させることができ、介在物除去能力を向上させることができる。また、装置構成が簡単で、介在物捕捉部材の交換がきわめて容易となり、常に高い介在物除去効果を保つことができる。その結果、介在物の少ない清浄な鋳塊を得ることができる。
【0034】
また、介在物除去装置を鋳型周辺の溶湯流動の変動の影響を受けにくい上流に配置することにより、変動による捕捉介在物の脱落の危険は極めて小さく、安定した介在物除去処理が可能である。また、溶融金属の主流路にU字型流路部をタンデムに複数個設置して高周波コイル内にて溶湯を複数回往復させることにより、即ち、介在物の捕捉に必要な時間を長くすることにより、介在物の除去効率を向上させることができる。
【0035】
また、本装置の上流側もしくは下流側の溶湯移送部の溶湯高さをモニターすることにより、連続鋳造の途中に多穴管の閉塞が生じた場合でも瞬時に把握することが可能である。
【0036】
したがって、以上のことから、装置の設置が容易で、優れた介在物除去効果が得られるとともに、介在物捕捉部材の交換が可能で常に高い介在物除去効果を保つことができる。その結果、介在物の少ない清浄な鋳塊を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
この発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと同等なもので置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0038】
図1は、本発明を適用可能な介在物除去装置10の断面模式図の一例である。図1では、溶融金属の流路が概ね水平である場合を示し、多穴管の穴の断面寸法および形状がすべての穴で同一である場合を示している。図1に示すように、介在物除去装置10は、溶融金属80が水平方向(x方向)に流れる溶融金属の主流路(以下、単に主流路とする)11の途中に湯溜まり部(凹部)12が配置されているものである。図1において、湯溜まり部12は、U字型の流路部である。
【0039】
また、湯溜まり部12の外周に巻きつけられるように、溶融金属80に対して高周波磁場を印加する高周波コイル14が配置されている。また、湯溜まり部12の底部12aには、残湯排出口16が配置され、湯溜まり部12に残った不必要な溶融金属80を取り除くようになっている。
【0040】
また、湯溜まり部12の内部には、多穴管13の長手方向が鉛直方向(y方向)となるように、かつ、湯溜まり部12の底部12aの近傍に所定の隙間(以下、底部空間路と呼ぶ)17を残して、多穴管13が埋め込まれている。また、多穴管13の上部の水平方向の中心位置近傍に、主流路堰15が、主流路11に対して概ね垂直に、主流路11を遮断するように配置されている。ここで、主流路堰15より上流側の(図1中の主流路堰15より左側の)主流路11を上流側水平流路11aと呼び、主流路堰15より下流側の(図1中の主流路堰15より右側の)主流路11を下流側水平流路11bと呼ぶ。
【0041】
上述した湯溜まり部12、多穴管13及び主流路堰15によって、主流路11を通る溶融金属80は、図1の白抜き矢印85に示すように、上流側水平流路11a、主流路堰15より上流側の(図1中の主流路堰15より左側の)多穴管13の穴(以下、上流側多穴管流路と呼ぶ)13a、底部空間路17、主流路堰15より下流側の(図1中の主流路堰15より右側の)多穴管13の穴(以下、下流側多穴管流路と呼ぶ)13b、及び下流側水平流路11bを順に通る、溶融金属80のU字型流路19を形成する。
【0042】
多穴管13の材質は、溶融金属の温度に耐えうる材質である。良導電性である場合には、多穴管13自体に誘導電流が発生し、多穴管13が加熱されるとともに溶融金属80に作用する高周波磁場が弱まる。このような場合でも介在物の除去は可能であるが、より効率的な除去においては導電性の低い耐火物が望ましい。また、多穴管13は、複数この貫通する穴を有した柱状の管である。
【0043】
次に、多穴管13の穴の断面形状及び配置について説明する。図2は、多穴管13の長手方向に対して垂直な方向の断面模式図の一例である。図2(a)は、多穴管13の外形が四角柱で、多穴管13の穴の断面形状が円形である場合の穴の配列を示した図である。図2(b)は、多穴管13の外形が円柱で、多穴管13の穴の断面形状が円形である場合の穴の配列を示した図である。図2(c)は、多穴管13の外形が四角柱で、多穴管13の穴の断面形状が四角形である場合の穴の配列を示した図である。図2(d)は、多穴管13の外形が六角柱で、多穴管13の穴の断面形状が三角形である場合の穴の配列を示した図である。
【0044】
上述したように、多穴管13の外形は円柱状であっても多角柱状であっても、その他の形状であっても良い。また、多穴管13の穴の断面形状は円形であっても多角形であっても、その他の形状であっても良い。多穴管13の穴の配置は正方格子や三角格子その他でも良い。
【0045】
また、多穴管13の長さは、介在物の捕捉に必要な時間の観点からは長い方が除去効率を向上させることができる。装置の設置スペースその他の制約を受けるため無制限に長くはできないものの、望ましくは100mm以上である。
【0046】
また、等価円直径を5mm〜25mmの範囲にすることにより、介在物の除去効率が向上する。これは、等価円直径が5mm未満においても適切な周波数を選定することで介在物の除去は可能であるが、捕捉された介在物による多穴管13の閉塞の危険が増すため、望ましくないためである。また、等価円直径が25mmより大きい場合も介在物の除去は可能であるが、前述のように表皮効果によって電磁力作用領域の占める割合が小さくなるため除去効率は著しく低下するためである。
【0047】
また、溶融金属80および介在物の種別に応じて、最適な多穴管13の穴の寸法および高周波コイル14によって印加される高周波磁場の周波数を選定することが重要である。多穴管13穴の断面形状を円形と仮定し、その直径をD(m)、表皮厚さをδ(m)として、Dとδの適切な関係を考える。
【0048】
一般に、Dが2δ以下の場合、表皮効果が弱まると共に誘導電流が低下し電磁力が小さくなる。また、Dがδよりもはるかに大きい場合は、電磁力は表面のみに作用するので溶融金属80の大部分には電磁力が作用せず、介在物の除去効率は著しく低下する。
【0049】
そこで、介在物の除去効率をηとしたとき、ηはD=2δのとき最大となり、D>2δのときは、全断面積中に占める表皮厚さ領域の断面積の比で見積もることができる。すなわち、D>2δのとき、
η=4×{(δ/D)−(δ/D)} ・・・・・・(1)
と表現される。介在物の除去効率(η)とD/δとの関係式(1)をグラフ化した図が図3である。図3では、横軸にD/δを、縦軸にηを取っている。ここで、実用的な除去率としてη≧0.5を考えると、D/δの上限はおよそ7であることから、
2 ≦ D/δ ≦ 7 ・・・・・・(2)
が適切な範囲と考えられる。
【0050】
一方、表皮厚さ(δ)は、δ=(πμσF)−0.5であるから(μは透磁率で1.26×10−6H/m、F(Hz)は印加する高周波磁場の周波数、σ(S/m)は溶融金属80の導電率)、これを関係式(2)に代入し、Fについて解くと、
1.01×10×(σ×D−1≦F≦1.24×10×(σ×D−1 ・・(3)
が導かれる。
【0051】
したがって、関係式(3)を満足するような磁場を印加することにより、介在物の除去効率を向上させることができる。
【0052】
上述したように、湯溜まり部12の内部に多穴管13を配置し、多穴管13の上部に主流路堰15を設け、湯溜まり部12の外側から高周波磁場を高周波コイル14によって印加するというように、簡単な構成となっており、設置が容易である。また、高周波コイル14は湯溜まり部12の外側に配置されるため、下部空間からの設置および移動が可能である。また、多穴管13および主流路堰15はその上部空間より取り外しが可能で、交換が容易である。
【0053】
また、多穴管13を使用するため、多穴管13の内部を流れる個々の流路の溶融金属80に対して高周波磁場を作用させることができ、介在物除去能力を向上させることができる。また、介在物除去装置10を鋳型周辺の溶湯流動の変動の影響を受けにくい上流に配置することにより、変動による捕捉介在物の脱落の危険は極めて小さく、安定した介在物除去処理が可能である。
【0054】
また、介在物除去装置10の上流側もしくは下流側の溶湯移送部の溶湯高さをモニターすることにより、連続鋳造の途中に多穴管13の閉塞が生じた場合でも瞬時に把握することが可能である。
【0055】
したがって、以上のことから、装置の設置が容易で、優れた介在物除去効果が得られるとともに、介在物捕捉部材(ここでは、多穴管13、高周波コイル14及び主流路堰15である)の交換が可能で常に高い介在物除去効果を保つことができる。その結果、介在物の少ない清浄な鋳塊を得ることができる。
【0056】
次に、本発明を適用可能な図1とは別な介在物除去装置の一例を、図4から図6を参照して説明する。
【0057】
図4は、穴の断面寸法が水平方向の位置で異なる多穴管を使用した介在物除去装置20の断面模式図の一例である。図5は、穴の断面寸法が水平方向及び鉛直方向の位置で異なる多穴管を使用した介在物除去装置30の断面模式図の一例である。図6は、2個の主流路堰と1個の底部堰を使用した介在物除去装置40の断面模式図の一例である。以下、図1に示した介在物除去装置10と異なる点について説明する。また、同じ符号の部材は介在物除去装置10と同様である。
【0058】
図4に示す介在物除去装置20において、介在物除去装置10と異なる点は、多穴管13の替わりに、多穴管23を配置したところである。多穴管23は、上流側多穴管流路23aとなる主流路堰15より上流側の(図4中の主流路堰15より左側の)多穴管23の穴の断面寸法と、下流側多穴管流路23bとなる主流路堰15より下流側の(図4中の主流路堰15より右側の)多穴管23の穴の断面寸法とが異なっている。ここでは、上流側多穴管流路23aとなる多穴管23の穴の断面寸法のほうが、下流側多穴管流路23bとなる多穴管23の穴の断面寸法より大きい場合である。
【0059】
上述した湯溜まり部12、多穴管23及び主流路堰15によって、主流路11を通る溶融金属80は、図4の白抜き矢印85に示すように、上流側水平流路11a、上流側多穴管流路23a、底部空間路17、下流側多穴管流路23b、及び下流側水平流路11bを順に通る、溶融金属80のU字型流路29を形成する。
【0060】
上述したように、多穴管23の穴の寸法または形状を異なるものにすることにより、介在物の捕捉能力に違いを持たせることができ、フィルタリングにおける粗濾過と精密濾過のような効果を発現させることができる。
【0061】
図5に示す介在物除去装置30において、介在物除去装置10と異なる点は、多穴管13の替わりに、多穴管33を配置したところである。多穴管33は、上流側多穴管流路33aとなる主流路堰15より上流側の(図5中の主流路堰15より左側の)多穴管33の穴の断面寸法と、下流側多穴管流路33bとなる主流路堰15より下流側の(図5中の主流路堰15より右側の)多穴管33の穴の断面寸法とが異なっている。
【0062】
更に、上流側多穴管流路33aの上流部(図5中の上部)34aの多穴管33の穴の断面寸法と、上流側多穴管流路33aの下流部(図5中の下部)34bの多穴管33の穴の断面寸法とが異なっている。また、下流側多穴管流路33bの上流部(図5中の上部)35aの多穴管33の穴の断面寸法と、下流側多穴管流路33bの下流部(図5中の下部)35bの多穴管33の穴の断面寸法とが異なっている。
【0063】
ここでは、上流側多穴管流路33aの上流部34aの多穴管33の穴の断面寸法、上流側多穴管流路33aの下流部34bの多穴管33の穴の断面寸法、下流側多穴管流路33bの下流部35bの多穴管33の穴の断面寸法、下流側多穴管流路33bの上流部35aの多穴管33の穴の断面寸法の順に小さくなっている場合である。
【0064】
上述した湯溜まり部12、多穴管33及び主流路堰15によって、主流路11を通る溶融金属80は、図5の白抜き矢印85に示すように、上流側水平流路11a、上流側多穴管流路33aの上流部34a、上流側多穴管流路33aの下流部34b、底部空間路17、下流側多穴管流路33bの下流部35b、下流側多穴管流路33bの上流部35a、及び下流側水平流路11bを順に通る、溶融金属80のU字型流路39を形成する。
【0065】
上述したように、多穴管33の穴の寸法または形状を異なるものにすることにより、介在物の捕捉能力に違いを持たせることができ、フィルタリングにおける粗濾過と精密濾過のような効果を発現させることができる。
【0066】
図6に示す介在物除去装置40において、介在物除去装置10と異なる点は、多穴管43の上部に、主流路堰15a及び主流路堰15bが、主流路11に対して概ね垂直に、主流路11を遮断するように、概ね平行に配置されているところである。また、水平方向の主流路堰15a及び主流路堰15bの中間位置における多穴管43の下部に、底部堰18が、底部空間路17に対して概ね垂直に、底部空間路17を遮断するように配置されているところである。また、湯溜まり部12の底部12aには、底部堰18より上流側(図6中の底部堰18より左側)及び下流側(図6中の底部堰18より右側)にそれぞれ残湯排出口16a及び16bが配置されているところである。
【0067】
上述した湯溜まり部12、多穴管43、主流路堰15a、主流路堰15b、及び底部堰18によって、主流路11を通る溶融金属80は、図6の白抜き矢印85に示すように、上流側水平流路11a、主流路堰15aより上流側の(図6中の主流路堰15aより左側の)多穴管43の穴である多穴管流路43a、底部堰18より上流側の(図6中の底部堰18より左側の)底部空間路17a、主流路堰15aより下流側の(図6中の主流路堰15aより右側でかつ底部堰18より左側の)多穴管43の穴である多穴管流路43b、及び中間水平流路11cを順に通る溶融金属80のU字型流路49aと、中間水平流路11c、主流路堰15bより上流側の(図6中の主流路堰15bより左側でかつ底部堰18より右側の)多穴管43の穴である多穴管流路43c、底部堰18より下流側の(図6中の底部堰18より右側の)底部空間路17b、主流路堰15bより下流側の(図6中の主流路堰15bより右側の)多穴管43の穴である多穴管流路43d、及び下流側水平流路11bを順に通る溶融金属80のU字型流路49bと、を形成する。
【0068】
上述したように、主流路堰15a及び15bと底部堰18を多穴管43の上下に設置して高周波コイル14内にて溶湯を2回往復させることにより、即ち、介在物の捕捉に必要な時間を長くすることにより、2個の高周波コイル14を設置することなく一つの装置で、タンデム設置と同等の除去効率を実現することができる。
【0069】
また、本発明の実施形態に係る介在物除去方法は、例えば上述の介在物除去装置を用いて、以下の工程を備えた方法である。すなわち、(a)流路に沿って前記溶融金属を通過させる工程と、(b)前記溶融金属の流れの方向を変化させる工程と、(c)流れの方向が変化した前記溶融金属を複数の経路に分流させる工程と、(d)分流された前記溶融金属に高周波磁場を印加して前記溶融金属に含有される介在物を前記複数の経路の内壁に移動させて捕捉する工程と、(e)前記高周波磁場が印加された上記溶融金属を次の工程に送る工程と、を備えている。よって、複数の経路に分流された溶融金属に対して効果的に高周波磁場を作用させることができ、介在物除去能力を向上させることができる。
【実施例】
【0070】
本実施例では、溶解炉にて所定量の銅を溶解し、樋を介して鋳型に鋳込む装置において、上述した図1の介在物除去装置10及び図4の介在物除去装置20を設置した場合について、あるいは、設置しなかった場合について、介在物の除去効果を調査した。
【0071】
深さ250mm×幅150mmの寸法の主流路11の途中に、深さ200mm×長さ350mmの湯溜まり部12を設置し、湯溜まり部12の外周に高周波コイル14を巻き付けた。また、湯溜まり部12の湯溜まり部12の内部には、多穴管13の長手方向が鉛直方向(y方向)となるように、かつ、底部空間路17を残して、多穴管13が埋め込まれている。
【0072】
また、多穴管13の上部の水平方向の中心位置近傍に、主流路堰15が、主流路11に対して概ね垂直に、主流路11を遮断するように配置されている。上述した湯溜まり部12、多穴管13及び主流路堰15によって、溶融金属80のU字型流路19を形成している。
【0073】
また、1250℃で溶解した無酸素銅の溶融金属80に、介在物として−325メッシュの炭化クロム粒子を溶解炉に予め0.5mass%になるよう配合し、分散させた。高周波コイル14による交流磁場を印可したU字型流路19に溶融金属80を0.5kg/secの通過量となるよう流通させ、鋳型に鋳込んだ。
【0074】
また、1250℃で溶解したCu−8Sn−0.03P(mass%)合金、Cu−2Fe−0.1Zn−0.02P(mass%)合金、Cu−2.5Ni−0.5Si−0.03Mn(mass%)合金およびCu−0.2Cr(mass%)合金の溶融金属80に、介在物として−325メッシュの炭化クロム粒子を溶解炉に予め0.5mass%になるよう配合し、分散させた。高周波コイル14による交流磁場を印可したU字型流路19に溶融金属80を0.5kg/secの通過量となるよう流通させ、鋳型に鋳込んだ。
【0075】
上述した介在物除去装置10及び介在物除去装置20の上流側及び下流側における溶融金属80中の介在物の量の変化を測定し、測定した結果を表1に示す。尚、実施例として、下記の条件A、条件B及び条件Cに基づいた結果を示した。また、比較例として条件Dの結果も示した。ここで、介在物の量は、鋳塊の断面を研磨し、光学顕微鏡観察により、1cmあたりの粒子の個数を数えた。
【0076】
【表1】

条件Aは、図1に示した介在物除去装置10を樋に設置し、高周波コイル14による高周波磁場の周波数を3kHzとした場合である。溶湯材質を無酸素銅とし、多穴管13の穴の直径を5mmまたは10mmまたは25mmまたは35mmとし、多穴管13の穴の数を上流側多穴管流路13aと下流側多穴管流路13bでそれぞれ100個または25個または4個または2個とし、多穴管13の長さを100mmとした。また、溶湯材質をCu−8Sn−0.03P(mass%)合金またはCu−2Fe−0.1Zn−0.02P(mass%)合金とし、多穴管13の穴の直径を10mmとし、多穴管13の穴の数を上流側多穴管流路13aと下流側多穴管流路13bでそれぞれ25個とし、多穴管13の長さを100mmとした。
【0077】
条件Bは、図1に示した介在物除去装置10を樋に設置し、高周波コイル14による高周波磁場の周波数を10kHzとした場合である。溶湯材質を無酸素銅とし、多穴管13の穴の直径を5mmまたは10mmまたは25mmとし、多穴管13の穴の数を上流側多穴管流路13aと下流側多穴管流路13bでそれぞれ100個または25個または4個とし、多穴管13の長さを100mmとした。また、溶湯材質をCu−2.5Ni−0.5Si−0.03Mn(mass%)合金またはCu−0.2Cr(mass%)合金とし、多穴管13の穴の直径を5mmとし、多穴管13の穴の数を上流側多穴管流路13aと下流側多穴管流路13bでそれぞれ100個とし、多穴管13の長さを100mmとした。
【0078】
条件Cは、図4に示した介在物除去装置20を樋に設置した場合で、多穴管23の上流側多穴管流路23aの穴の直径を10mmとし、上流側多穴管流路23aの穴の数を25個とし、多穴管23の下流側多穴管流路23bの穴の直径を5mmとし、下流側多穴管流路23bの穴の数を100個とし、多穴管23の長さを100mmとし、高周波コイル14による高周波磁場の周波数を10kHzとした。
条件Dは、介在物除去装置を樋に設置しなかった場合である。
【0079】
表1に示すように、介在物除去装置10及び介在物除去装置20を設置した場合(条件A、条件B及び条件Cの場合)のうち、上述の関係式(3)を満足する条件においては、設置しなかった場合(条件Dの場合)に比較して、溶湯材質の種別にかかわらず介在物が大幅に低減されることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明を適用可能な介在物除去装置10の断面模式図の一例である。
【図2】多穴管13の長手方向に対して垂直な方向の断面模式図の一例である。
【図3】介在物の除去効率(η)とD/δとの関係式(1)をグラフ化した図である。
【図4】穴の断面寸法が水平方向の位置で異なる多穴管を使用した介在物除去装置20の断面模式図の一例である。
【図5】穴の断面寸法が水平方向及び鉛直方向の位置で異なる多穴管を使用した介在物除去装置30の断面模式図の一例である。
【図6】2個の主流路堰と1個の底部堰を使用した介在物除去装置40の断面模式図の一例である。
【符号の説明】
【0081】
10 介在物除去装置
11 溶融金属の主流路
11a 上流側水平流路
11b 下流側水平流路
12 湯溜まり部(凹部)
13 多穴管
13a 上流側多穴管流路
13b 下流側多穴管流路
14 高周波コイル
15 主流路堰
16 残湯排出口
17 底部空間路
19 U字型流路
80 溶融金属




【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属に含まれている介在物を除去する介在物除去装置であって、
前記溶融金属が通過する主流路と、当該主流路に対して概ね垂直となるように配置された多穴管状部が内部に設けられたU字型流路部と、を有する溶融金属の流路を備え、
前記U字型流路部の外側に、当該U字型流路部を流れる前記溶融金属に対して高周波磁場を印加する高周波磁場印加手段を更に備えていることを特徴とする介在物除去装置。
【請求項2】
前記U字型流路部の入口に、前記主流路に概ね垂直に着脱可能に配置され、前記溶融金属の流れを前記主流路から前記U字型流路部へ誘導する主流路堰を備えていることを特徴とする請求項1に記載の介在物除去装置。
【請求項3】
前記主流路に設けられたn個(n≧2)の前記主流路堰と、
前記主流路堰の配置方向に対して隣り合う前記主流路堰の間に位置し、かつ、前記U字型流路部の底部の隙間の流路に概ね垂直に配置され、前記底部の隙間の流路を遮断する(n−1)個の底部堰と、
を備え、前記溶融金属の流れ方向に接続されたn個の前記U字型流路部を形成することを特徴とする請求項2に記載の介在物除去装置。
【請求項4】
前記多穴管の穴の寸法は、等価円直径で、5mm〜25mmの範囲であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の介在物除去装置。
【請求項5】
前記高周波磁場印加手段によって印加される磁場は、
印加する高周波磁場の周波数をF(Hz)とし、前記溶融金属の導電率をσ(S/m)とし、前記多穴管の穴の等価円直径をD(m)としたとき、
1.01×10×(σ×D−1≦F≦1.24×10×(σ×D−1
を満足する高周波磁場であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の介在物除去装置。
【請求項6】
前記U字型流路部は、前記主流路と着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の介在物除去装置。
【請求項7】
前記主流路が概ね水平に、前記U字型流路部が概ね鉛直方向に設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の介在物除去装置。
【請求項8】
溶融金属に含まれている介在物を除去する介在物除去方法であって、
(a)流路に沿って前記溶融金属を通過させる工程と、
(b)前記溶融金属の流れの方向を変化させる工程と、
(c)流れの方向が変化した前記溶融金属を複数の経路に分流させる工程と、
(d)分流された前記溶融金属に高周波磁場を印加して前記溶融金属に含有される介在物を前記複数の経路の内壁に移動させて捕捉する工程と、
(e)前記高周波磁場が印加された上記溶融金属を次の工程に送る工程と、
を備えていることを特徴とする介在物除去方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−233700(P2009−233700A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81756(P2008−81756)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】