説明

介護着

【課題】 特に寝たきりの人や胃瘻患者の如く身体の動きの困難な人に対し、便利な介護着の提供。
【解決手段】 上着の胴廻りに対しズボンの胴廻りを凡そ一割程度大きくなるようにして別々に作成したものを、胴廻り箇所でズボン側へ適宜ギャザーを形成しながら腹部の横方向へ凡そ30cm〜40cm程度の開放部を形成するようにしてつなぎ合せ、上記開放部は適当数の端止めスナップで開閉が行われるようになし、一方該腹部のズボン側は股上中央から左右方向へ10cm〜15cm程度離れた箇所から左右脚足方向へ前身頃生地を2分するファスナーを取付け、他方上着は胸元から腹部中心に向かって前身頃生地を2分するオープンファスナーを取付ける。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、寝たきり患者や胃瘻患者を介護するのに便利な介護着に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の寝たきりの人の介護着は、図4に示すように上着1とズボン2が胴廻り箇所でつなぎ合わせになり、上着1の胸元から腹部中心に向かって前身頃生地を2分するオープンファスナー6が、一方ズボン側は腹部中央箇所から左右脚足方向へ前身頃生地を2分するファスナー12,12’が取付けられ、各ファスナー6、12、12’を閉じたときに摘みが中央pに集まるように設けられている。
そうして、ファスナーを全開することにより、寝たきりの人の着替えに便利なものであった。図5は上着1とズボン2の半分を開いた時の状態図である。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、上記従来品では着衣後腹部を大きく開放して診察したり治療したりする場合、或いはおむつの取り替えなどのさい股下寸法hが大きく取れないことから極めて不便である。
そこで、本考案は、係る問題点を解消し、特に寝たきりや胃瘻患者の身体の動きが困難な人に便利な介護着の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案に係る介護着は、上着の胴廻りに対しズボンの胴廻りを凡そ一割程度大きくなるようにして別々に作成したものを、胴廻り箇所でズボン側へ適宜ギャザーを形成しながら腹部の横方向へ凡そ30cm〜40cm程度の開放部を形成するようにしてつなぎ合せ、上記開放部は適当数の端止めスナップで開閉が行われるようになし、一方該腹部のズボン側は股上中央から左右方向へ10cm〜15cm程度離れた箇所から左右脚足方向へ前身頃生地を2分するファスナーを取付け、他方上着は胸元から腹部中心に向かって前身頃生地を2分するオープンファスナーを取付けると共に、左右肩部から同袖先に向かっては端止めスナップによる開閉が行われるようになし、また袖先及び足先は夫々れ三つ折り仕立にし緩み目のゴムを使用した筒口に形成したことを特徴とする。このさい、股上寸法を30cm〜40cmとなし、ファスナー開放時に中央下方へふんどし状の垂れ下がりが形成されるものとなす。
【0005】
【考案の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態について説明する。
図1は本考案に係る介護着の正面図で、図2は右半分と左前身頃の一部分を広げた時の状態図で、図3は上着とズボンの腹部を広げた時の状態図である。
【0006】
本考案に係る介護着は上着1とズボン2からなる。上着1は胴廻りの巾寸法L1が凡そ100cm〜120cmとなし、ズボン2は胴廻りの巾寸法L2が上記上着1の胴廻りの巾寸法L1の凡そ1割程度大きい110cm〜140cmとなし、大きめのフリーサイズとなす。そして、別々に作成した上着1とズボン2を胴廻り箇所でつなぎ合わせる。このとき、ズボン側へ適宜ギャザーmを形成し、腹部の横方向へ巾寸法L3が凡そ30cm〜40cm程度となる開放部を形成する。そして、上記開放部に適当数の端止めスナップ5を設け、該端止めスナップ5で開閉が行われるものとなし、腹部で上下方向に開放可能となす。
【0007】
一方ズボン2の股上の寸法L4は凡そ30cm〜40cm、長さ寸法L5は凡そ80cm〜90cmとなし、股上中央から左右方向へ巾寸法L6が10cm〜15cm程度離れた箇所P、P’から左右脚足方向へ左右前身頃生地10及び10’をそれぞれ2分するようにファスナー12、12’を取り付け、該左右前身頃生地10及び10’を左右に開放可能となす。さらに、該ファスナー12、12’及び上記腹部の端止めスナップ5を開放することにより、股上の中央部分nが、図3に示すように中央下方へふんどし状の大きな垂れ下がりが形成され、股下寸法がH寸法の如く長くなるようにして大きく広げることができる。これはおむつ替えや胃瘻手当て等が非常に行いやすいものとなる。
【0008】
他方上着1は、胸元から腹部中心へ向かって前身頃生地3を2分するオープンファスナー6を取り付け、該前身頃生地3を左右に開放可能となす。このさい、オープンファスナー6は下から上へ向かって開くものとする。そして、該オープンファスナー6及び上記腹部の端止めスナップ5を開放することにより、図2或いは図3に示す如く部分的に腹部のみ開放したり、或いは下腹部全体を大きく開放することができる。
【0009】
袖8の長さ寸法L7も40cm〜50cmのゆったりしたものとなし、また左右肩7、7’から左右袖先8a、8a’に向かって、適当数の端止めスナップ9を取付け、各端止めスナップ9で開閉が行われるものとなし、上着1の前面側開放が行われるようになす。かくして、端止めスナップ9及びオープンファスナー6及びファスナー12、12’を外すことにより、身体全体を大きく開放して寝たきりや胃瘻患者の着替えなどが極めて容易に行えることができるのである。
【0010】
なお、本考案に於いては袖丈や裾丈を通常より長くして全体的に大きくゆったりとしたものとなしてあり、且つ、袖先8a、8’a及び裾先10a、10’aはそれぞれ縫い止めて身頃を三つ折り仕立て筒口に形成し、該部には緩み目のゴム紐を通してある。これは丈の小さい人には適宜折り込んで調整するさいに便利なものとなる。
なお、上記の如く全体的にゆったりしたものとなしてあることは、ファスナーなどの金具が肌に触れることを極力防止してこれらによる皮膚の炎症を防ぐことにも効果がある。(老人の皮膚はオブラートのようにデリケートで直ぐに炎症を起す)
【0011】
【考案の効果】
本考案は以上の通り構成するものであって、上着の胴廻りに対しズボンの胴廻りを大きくして両者を腹部の横方向へ一定幅寸法の開放部を形成するようにしてギャザーを取りながらつなぎ合わせることは、従来品の如何なる介護着よりも腹部や下腹部を大きく開放することができる上で著効がある。従って腹部の治療やおむつの取り替えに大変便利なものとなる。
【0012】
本考案はとりわけ寝たきりや胃瘻患者などで身体を自分で思うように動かせない人のために特に有効な介護着である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本考案に係る介護着の正面図である。
【図2】図1の上着とズボンの半分と左前身頃の一部分を広げた時の状態図である。
【図3】図1の上着とズボンの腹部分を広げた時の状態図である。
【図4】従来の介護着の正面図である。
【図5】図4の上着とズボンの半分を広げた時の状態図である。
【符号の説明】
1 上着
2 ズボン
3 前身頃生地
4 後身頃生地
5 端止めスナップ
6 オープンファスナー
7 右肩
7’ 左肩
8 右袖
8’ 左袖
8a、8’a 袖先
9 端止めスナップ
10 右前身頃ズボン
10’ 左前身頃ズボン
10a、10’a 裾先
11 後身頃生地
12、12’ ファスナー

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 上着の胴廻りに対しズボンの胴廻りを凡そ一割程度大きくなるようにして別々に作成したものを、胴廻り箇所でズボン側へ適宜ギャザーを形成しながら腹部の横方向へ凡そ30cm〜40cm程度の開放部を形成するようにしてつなぎ合せ、上記開放部は適当数の端止めスナップで開閉が行われるようになし、一方該腹部のズボン側は股上中央から左右方向へ10cm〜15cm程度離れた箇所から左右脚足方向へ前身頃生地を2分するファスナーを取付け、他方上着は胸元から腹部中心に向かって前身頃生地を2分するオープンファスナーを取付けると共に、左右肩部から同袖先に向かっては端止めスナップによる開閉が行われるようになし、また袖先及び足先は夫々れ三つ折り仕立にし緩み目のゴムを使用した筒口に形成したことを特徴とする介護着。
【請求項2】 股上寸法を30cm〜40cmとなし、ファスナー開放時に中央下方へふんどし状の垂れ下がりが形成されるものとなしたことを特徴とする請求項1記載の介護着。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【登録番号】実用新案登録第3071621号(U3071621)
【登録日】平成12年6月28日(2000.6.28)
【発行日】平成12年9月14日(2000.9.14)
【考案の名称】介護着
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2000−1359(U2000−1359)
【出願日】平成12年3月9日(2000.3.9)
【出願人】(500111770)