説明

仏 壇

【課題】仏壇本体内において、仏飯器や茶台,香炉、燭台,花立て等を整然と載置させることができ、更に、仏壇本体内のスペースを有効的に使用することができる仏壇を提供する。
【解決手段】仏壇Aにおける仏壇本体1の内部に、安置物や仏具bなどを供える受体3の前側部に、仏壇本体1の手前側にガイド9に沿って引き出される載置手段10を進退自在に取り付けて、該載置手段10の前側に仏具bなどの載置体11を設けてあり、この載置体11は、受体3側へ後退したとき、該受体3の前縁部に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、仏壇本体内において、仏飯器や茶台,香炉、燭台,花立て等を整然と載置させることができる仏壇に関する。
【0002】
【従来の技術】仏壇内には、仏飯器や茶台,香炉、燭台,花立て等の様々な仏具が収納され、勤行時には、これら仏具を所定の位置に配置していた。
【0003】しかしながら、昨今の住宅事情等により、室内に設置する仏壇は小型化されたものが一般的となり、それに相応して、この仏壇内の前記仏具などの載置スペースも一層狭められざるを得なかったもので、利用者にとってはその配置に苦慮されるものであった。
【0004】例えば、この仏壇の使用に当たっては、前扉を全開し、下段部に設けた引き出し式の経机を手前に引き出して、この経机上において、中央に香炉を置き、この香炉の両側に一対の燭台を配置して、ろうそくに点灯する。更に、この経机の上部の棚に、花木を活けた花台を左右一対に備える。後必要に応じて、仏飯器や茶台を棚に並べ設ける。
【0005】また、勤行を終えれば、これら仏具を仏壇内に、前扉を閉めたとき邪魔にならない位置にしまわなければならない。
【0006】従来の仏壇は、前記したように仏壇自体がコンパクトに製作されているため、奥行き寸法はもちろんのこと、幅寸法にも十分なゆとりがなく、仏飯器や茶台,香炉、燭台,花立て等の様々な仏具は、限られた仏壇内のスペースにかたまった状態で配置せざるを得ず、厨子を開けたり、過去帳等を取ったりするなどの細かな動作に、不都合を感ずると共に、これら花台や燭台に身体が触れて、これら仏具が転倒等の事故が発生する。等の問題点を有するものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記した問題点を解決するためになされたもので、仏壇における仏壇本体の内部に、安置物や仏具などを供える受体の前側部に、仏壇本体の手前側にガイドに沿って引き出される載置手段を進退自在に取り付けて、該載置手段の前側部に仏具などの載置体を設けてあり、この載置体は、受体側へ後退したとき、該受体の前縁部に位置させることにより、仏壇本体内において、仏飯器や茶台,香炉、燭台,花立て等を整然と載置させることができ、更に、仏壇本体内のスペースを有効的に使用することができる仏壇を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記した目的を達成するための本発明の手段は、仏壇本体と、この仏壇本体の内部に安置物や仏具などを供える受体を設けた仏壇にあって、前記受体の前側部に、前記仏壇本体の手前側にガイドに沿って引き出される載置手段を進退自在に取り付けて、該載置手段の前側部に仏具などの載置体を設けてあり、この載置体は、前記受体側へ後退したとき、該受体の前縁部に位置させた仏壇の構成にある。
【0009】そして、仏壇本体と、この仏壇本体の内部に安置物や仏具などを供える受体を設けた仏壇にあって、前記受体の前側部に、前記仏壇本体の手前側にガイドに沿って引き出される載置手段を進退自在に取り付けて、該載置手段の前側部に仏具などの載置体を設けてあり、この載置体は、前記載置手段へ該載置体の中心位置を片寄せて回動軸により回動自在に支承させて、該載置体を回動させたとき、この載置手段より外方へ張り出す位置と、前記載置手段上に納まる位置とを選択的に行い、かつ、前記受体側へ後退したとき、該受体の前縁部に位置させた仏壇の構成にある。
【0010】更に、仏壇本体と、この仏壇本体の内部に設けた安置物や仏具などを供える受体と、この受体の下側に設けて引き出し自在の経机とを設けた仏壇にあって、前記受体の前側部に、前記仏壇本体の手前側にガイドに沿って引き出される載置手段を進退自在に取り付けて、該載置手段の前側部に仏具などの載置体を設けてあり、この載置体は、繰り出されたとき、前記引き出された経机の上方における外側部に位置し、前記受体側へ後退したとき、該受体の前縁部に位置させた仏壇の構成にある。
【0011】また、載置手段は、仏壇本体から前方における正面側真っ直ぐに繰り出されるか、前記仏壇本体から前方で外側へ向かって繰り出されるかのどちらか一方に作動される。
【0012】更にまた、仏壇本体と、この仏壇本体の内部に安置物や仏具などを供える受体を設けた仏壇にあって、前記仏壇本体における側板へ、ガイドに沿って進退自在に取り付けて、該載置手段の前側部に仏具などの載置体を設けてあり、この載置体は、前記載置手段へ該載置体の中心位置を片寄せて回動軸により回動自在に支承させた仏壇の構成にある。
【0013】また、仏壇本体と、この仏壇本体の内部に安置物や仏具などを供える受体を設けた仏壇にあって、前記受体の前側部に、載置手段を取り付けて、該載置手段の前側部に仏具などの載置体を設けてあり、この載置体は、前記載置手段へ該載置体の中心位置を片寄せて回動軸により回動自在に支承させて、該載置体を回動させたとき、この載置手段より外方へ張り出す位置と、前記載置手段上に納まる位置とを選択的に行い、かつ、前記受体側へ後退したとき、該受体の前縁部に位置させた仏壇の構成にある。
【0014】
【実施例】次に本発明に関する仏壇の一実施例を図面に基づいて説明する。図1においてAは仏壇で、仏壇本体1の前側における開口部には、観音開き状に開閉作動する左右一対の前扉体2,2を取り付けてある。
【0015】前記した仏壇本体1は、天板cと底板d,両側板e.f,背板gにより箱形に形成されて、その前部に開口1aを有するもので、内部に仏飯器や茶台,香炉、燭台,花立て等の仏具b等を載置する受体3や安置物を納める厨子4等が設けられる。
【0016】また、受体3の下側には、底板d部に設けた前後ガイド5に沿って移動する経机6を取り付けてあるもので、仏壇本体1内からその外側へ所定寸法が出し入れ自在となる。この経机6は、経書やその見台、あるいは、香炉や燭台等の仏具bなどを載置しておくもので、その下部に、いくつかの引き出し7やリン(図示せず)の載せ台8を付設してある。
【0017】そして、受体3の前側部には、仏壇本体1の手前側にガイド9に沿って引き出される載置手段10を進退自在に取り付けて、該載置手段10の前側に仏具bなどの載置体11をその主体12の前側部に設けてあるもので、側板e,f部の位置に対応するように左右一対設けてある。
【0018】この載置手段10は、図3に示すように、仏壇本体1から前方で外側へ向かって繰り出されるか、図5に示すように、仏壇本体1から前方における正面側へ真っ直ぐに繰り出されるかするもので、図3に示すように、外側に向かって斜めに繰り出される場合には、側板e,fの外側に載置体11が対応するため、この載置体11上に仏具bを載せた場合、該仏具bが仏壇本体1内の取り扱い等において邪魔にならず、開口1aを広く使える。
【0019】なお、該載置手段10のガイド9は、その進退運動が円滑で、かつ、上下左右方向に対して妄動しない構成であれば任意の手段が用いられるもので、例えば、図4に示すように、受体3に主体12の幅方向が摺動可能となるように挿嵌される係合溝13を設けてあり、また、受体3から垂下させた鍔14付きガイドピン15を係合溝13に係合させてある。
【0020】また、前記した載置体11は、受体3側へ後退したとき、図2に示すように、該受体3の前縁部に位置させてある。
【0021】なお、前記した載置手段10は、図9(a)に示すように、受体3の上面にガイド9に沿って進退できるように設けたり、図9(b)に示すように、受体3の下面にガイド9に沿って進退できるように設けたりすることもできるもので、受体3は、家具調仏壇の場合には棚板であったり、厨子型仏壇における下台の天板や経机の天板であったりするもので、特に、仏壇本体1にあって受体3の構成や場所・部位は限定されない。
【0022】本発明に係る一実施例の仏壇Aは、前記のように構成されるもので、以下のように作用を奏する。仏壇Aの使用に当たっては、前扉体2,2を全開して、図示してないが、この前扉体2,2は側板e,fの外側位置に収納しておく。
【0023】そして、一対の載置手段10,10を操作して、その主体12をガイド9に沿って引き出すと、図2R>2〜図4に示す場合は、それぞれ外側に向かって斜めに繰り出されるもので、図2に示す状態から図3に示す状態の広がった位置に載置体11が位置する。したがって、この載置体11,11上へ、花を活けた仏具bである花立てb1,b1をそれぞれ載せる。なお、載置体11は必要に応じて、図3に示すように、経机6の上部に設けた受け板(天板)6a上にその下面部11aを支持させることにより、花立てb1を載せたときの載置手段10の荷重を支持させることができて、該載置手段10が安定する。
【0024】また、受体3の下段部に設けた引き出し式の経机6を縦ガイド5に沿って手前に引き出して、該経机上に、中央に仏具bである香炉b2を置き、この香炉b2の両側に一対の燭台b3,b3を配置して、ろうそくに点灯する。
【0025】これで、勤行の準備ができるもので、花立てb1,b1は側板e,fの外側位置にあって、仏壇本体1の開口1aはこれら仏具bに邪魔にならず広く使えて、厨子4を開けたり、過去帳等を取ったりするなどの細かな動作を円滑に行えると共に、これら花立てb1や燭台b2などに身体が触れて、これら仏具bが転倒等の事故を未然に防止することができる。
【0026】また、勤行を終えれば、経机6上の香炉b2や一対の燭台b3,b3を少し中央に寄せ、この経机6を仏壇本体1内に押し込んでしまい、載置手段10をガイドに沿って押し込めば、図2に示すように、元の位置に戻る。
【0027】そのため、仏壇に必要な仏具b類は全て仏壇本体1内に納まると共に、前扉体2,2の閉塞にあっても、これら仏具bは全く邪魔になったり、干渉することがなく全閉される。
【0028】次に本発明実施例の仏壇Aの第二の例を説明する。この例は、載置手段10における載置体11が、該載置手段10へ該載置体11の中心位置を片寄せて回動軸20により回動自在に支承させて、該載置体11を回動させたとき、この載置手段10より外方へ張り出す位置と、該載置手段10上に納まる位置とを選択的に行うことができるものである。
【0029】この載置体11の回動式は、図6に示すように、載置手段10の主体12が仏壇本体1から前方における斜めに繰り出されるタイプや、図7に示すように、載置手段10の主体12が仏壇本体1から前方における正面側に真っ直ぐ繰り出されるタイプに採用される。
【0030】この例にあっては、載置体11が受体3の前方に繰り出されると共に、更に、仏壇本体1の側方へ張り出される位置に移動するため。仏壇Aを設置した室内スペースにゆとりがある場合には、一層、載置体11,11が幅方向に広がって、仏壇全体として、荘厳性が向上する。
【0031】なお、この載置手段10における載置体11の回動式は、主体12が進退しない、例えば、図8に示すようなタイプにも採用し得るもので、所定の張り出し量Lが得られることで、載置体11,11が幅方向に広がるもので、仏壇Aを設置した室内スペースにゆとりがない場合に有効である。
【0032】次に本発明実施例の仏壇Aの第三の例を図1010により説明する。この例は、載置手段10の取り付け位置が仏壇本体1の側板e,f(図においては側板eのみを示す。)に設けるもので、側板e,fに刻設したガイド9へ主体12を進退自在に係合させてあるもので、その主体12の前側部に載置体11を、該載置体11の中心位置を片寄せて回動軸20により回動自在に支承させてある。
【0033】そして、この載置体11を回動させたとき、その載置面が垂直位置から水平位置に回動して、該載置体11上に仏具bを載せることができるもので、ストッパー30により該載置体11を略水平に固定させれば、仏具bの支承が安定する。
【0034】なお、主体12の進退にあっては、側板e,fの係合溝13に主体12に設けた鍔付きガイドピン15を係合させてあるもので、他の例として、図示してないが、主体12に係合溝13を設けて側板e,fより突設した鍔付きガイドピン15を係合溝13に係合させてもよい。
【0035】
【発明の効果】前述したように本発明の仏壇は、仏具を載置する載置手段を、仏壇本体から進退自在に移動させることができるので、仏壇本体の開口を有効的に利用できると共に、この載置手段の載置体を、仏壇本体の側方へ斜めに移動させることで、一層仏具の載置位置が広がり、仏壇本体の開口がゆったりして仏壇としての荘厳性が得られる。
【0036】また、載置体を、載置手段へ該載置体の中心位置を片寄せて回動軸により回動自在に支承させて、該載置体を回動させたとき、この載置手段より外方へ張り出す位置と、前記載置手段上に納まる位置とを選択的に行うことにより、一層仏壇本体の開口が広がり、仏具の載置にあってゆとりが得られる。等の格別な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関する仏壇の第一の実施例を示す斜視図である。
【図2】図1における仏壇の載置手段が斜め方向へ進退運動する例の後退状態を示すもので、(a)は、概略的な要部の平面図を、(b)は、概略的な要部を示す正面図を示す。
【図3】図1における仏壇の載置手段が斜め方向へ進退運動する例の前進状態を示すもので、(a)は、概略的な要部の平面図を、(b)は、概略的な要部を示す正面図を示す。
【図4】図2における仏壇の載置手段のガイドを概略的に示すもので、(a)は、横断平面図を、(b)は、縦断正面図を示す。
【図5】図1における仏壇の載置手段が直進方向へ進退運動する例を示す概略的な要部の平面図である。
【図6】図1における仏壇の載置手段の載置体が回動式の例であって、載置手段が斜め方向へ進退運動する例を示す要部の平面図で、(a)は、回動前を、(b)は、回動後を示す。
【図7】図1における仏壇の載置手段の載置体が回動式の例であって、載置手段が直進方向へ進退運動する例を示す要部の平面図で、(a)は、回動前を、(b)は、回動後を示す。
【図8】図1における仏壇の載置手段の載置体が回動式の例であって、載置手段が固定の例を示す要部の平面図で、(a)は、回動前を、(b)は、回動後を示す。
【図9】図1における仏壇の載置手段の他の取付状態を示す説明図である。
【図10】本発明に関する仏壇の第三の実施例を示す要部の斜視図である。
【符号の説明】
A 仏壇
b 仏具
1 仏壇本体
3 受体
9 ガイド
10 載置手段
11 載置体
20 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】 仏壇本体と、この仏壇本体の内部に安置物や仏具などを供える受体を設けた仏壇にあって、前記受体の前側部に、前記仏壇本体の手前側にガイドに沿って引き出される載置手段を進退自在に取り付けて、該載置手段の前側部に仏具などの載置体を設けてあり、この載置体は、前記受体側へ後退したとき、該受体の前縁部に位置させたことを特徴とする仏壇。
【請求項2】 仏壇本体と、この仏壇本体の内部に安置物や仏具などを供える受体を設けた仏壇にあって、前記受体の前側部に、前記仏壇本体の手前側にガイドに沿って引き出される載置手段を進退自在に取り付けて、該載置手段の前側部に仏具などの載置体を設けてあり、この載置体は、前記載置手段へ該載置体の中心位置を片寄せて回動軸により回動自在に支承させて、該載置体を回動させたとき、この載置手段より外方へ張り出す位置と、前記載置手段上に納まる位置とを選択的に行い、かつ、前記受体側へ後退したとき、該受体の前縁部に位置させたことを特徴とする仏壇。
【請求項3】 仏壇本体と、この仏壇本体の内部に設けた安置物や仏具などを供える受体と、この受体の下側に設けて引き出し自在の経机とを設けた仏壇にあって、前記受体の前側部に、前記仏壇本体の手前側にガイドに沿って引き出される載置手段を進退自在に取り付けて、該載置手段の前側部に仏具などの載置体を設けてあり、この載置体は、繰り出されたとき、前記引き出された経机の上方における外側部に位置し、前記受体側へ後退したとき、該受体の前縁部に位置させたことを特徴とする仏壇。
【請求項4】 載置手段は、仏壇本体から前方における正面側真っ直ぐに繰り出されるか、前記仏壇本体から前方で外側へ向かって繰り出されるかのどちらか一方に作動されることを特徴とする請求項1,2または3記載の仏壇。
【請求項5】 仏壇本体と、この仏壇本体の内部に安置物や仏具などを供える受体を設けた仏壇にあって、前記仏壇本体における側板へ、ガイドに沿って進退自在に取り付けて、該載置手段の前側部に仏具などの載置体を設けてあり、この載置体は、前記載置手段へ該載置体の中心位置を片寄せて回動軸により回動自在に支承させたことを特徴とする仏壇。
【請求項6】 仏壇本体と、この仏壇本体の内部に安置物や仏具などを供える受体を設けた仏壇にあって、前記受体の前側部に、載置手段を取り付けて、該載置手段の前側部に仏具などの載置体を設けてあり、この載置体は、前記載置手段へ該載置体の中心位置を片寄せて回動軸により回動自在に支承させて、該載置体を回動させたとき、この載置手段より外方へ張り出す位置と、前記載置手段上に納まる位置とを選択的に行い、かつ、前記受体側へ後退したとき、該受体の前縁部に位置させたことを特徴とする仏壇。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【公開番号】特開2001−120421(P2001−120421A)
【公開日】平成13年5月8日(2001.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−304997
【出願日】平成11年10月27日(1999.10.27)
【出願人】(391021628)株式会社法月商店 (8)