説明

仏壇マット、仏具アセンブリ、及び仏壇

【課題】種々の仏具を仏壇の各壇や仏供机の載置面上に載置固定する際に、引き下げても容易に再現性良く再び元の位置に載置固定することができ、また、仏具の転倒を防止することができ、仏壇の各壇や仏供机の載置面上に載置しても滑ったり、ずれたりすることのない仏壇マット、仏具と仏壇マットとからなる仏具アセンブリ、及び仏具アセンブリを備える仏壇を提供することにある。
【解決手段】仏壇の壇、又は仏供机の載置面上に密着させて載置するためのシート状粘着性層と、粘着層上に形成されるシート状磁性層と、磁性層上に形成されるシート状防炎加工層と、を有し、磁性層は、仏具の磁性体又は被磁性体との間の磁力による吸着力によって、仏具を防炎加工層上の所定の配置位置に載置固定するものであり、防炎加工層の表面には、仏具を載置固定する所定の配置位置に関する情報が判読可能に形成されているにより達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燭台、花瓶(花立)、香炉、仏飯器、茶湯器、仏器膳、高杯、及び線香立等の種々の仏具を載置固定するための仏壇マットや経机や香机等の仏供机用マット等の仏壇マット、仏具と仏具を載置固定してなる仏壇マットとからなる仏具アセンブリ、及び仏具アセンブリを備える仏壇に関し、より具体的には、仏具内に装着または内蔵された磁性体又は被磁性体と磁力による吸着力を有する磁性層又は磁性シートを有する仏壇マット、仏壇マット上の所定の位置にその磁性層と磁性体又は被磁性体との間の磁力による吸着力によって載置固定された仏具からなる仏具アセンブリ、及びこのような仏具アセンブリを備えた仏壇に関するものである。
【背景技術】
【0002】
仏壇等においても、欄干や仏具等をその載置面に載置固定するために、欄干や仏具等にマグネット(磁石)等の磁性体を内蔵すると共に、仏壇の壇等の載置面にもマグネット等の磁性体や鋼板等の被磁性体を配置して、両者の磁力による吸着力(以下、磁性吸着力という)をよって、欄干や仏具等を所定位置に載置固定することが提案されている(特許文献1及び2等参照)。
【0003】
特許文献1には、例えば、内部の掃除や仏像や位牌の出し入れや欄干等の部品の固定を容易にするために、磁性吸着力を利用して部品を正しい取り付け方で正しい位置に取り付けられるように、仏壇内に配置される部品である欄干を、どのような形(向き)に配置すればよいかを、欄干とこの欄干が配置されるべき仏壇上の所定の配置位置のそれぞれに装備した磁石の吸着力(磁性吸着力)に基づく作用を利用して正しい位置に配置する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、仏前用具足(仏具)の受皿を大きして受皿付き具足とすると共に、受皿の底面において磁石を備えておき、薄い鋼板等の磁性板を内包してなる受皿付き具足用打ち敷き(マット)を用いることにより、具足の転倒をより一層防止すると共に、デザイン性を損なうことないことを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08-150063号公報
【特許文献2】特開2003-047553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示されているのは、仏壇内に配置される部品のうちの1つである欄干の取り付け・取り外しを容易にするための技術に関するものであり、使用者が欄干等の仏壇の部品を容易に取り外し、また、容易に元に戻して再び配置することができるが、欄干を取り付ける位置は使用者に判断し易い略決まった位置であり、微調整にはより有効であるが、再配置に困難性を伴うものではないし、毎日取り外し、又取り付けるものではない。また、欄干等の部品は通常固定されているものであり、底面の大きさに比べて高さもそれほど高くなく、転倒等の問題が生じ難いものであり、転倒しても、火災や水に濡れ等の問題が生じないものである。
【0007】
これに対し、仏壇の各壇や仏供机の載置面に載置される仏具は、比較的広い載置面に載置されるものであり、その位置は、詳細な微調整が必要となる位置ではないが、再現性が求められる位置であり、特に花立や仏飯器や茶湯器等の仏具は、毎日引き下げて、また、再び配置する必要があるが、不慣れな使用者にとっては、仏具の取り扱い(中でも、その配置)はなかなか正確に記憶することができず、常に不安を持って作業するというような状況に陥る者が多いという問題がある。
また、燭台、花立、仏飯器、高杯、及び線香立等の仏具は、底面に比し高さが高いため、ちょっと触れただけで転倒する恐れがあるものもあり、転倒による火災や水に濡れ等の発生が問題となり、配置の際にも、注意が必要となる。
【0008】
また、特許文献2に開示の技術では、仏具の受皿の底面に磁石を備えているので、打ち敷き内に内包された薄い鋼板等の磁性板上に仏具を載置固定でき、具足の転倒をより一層防止することができるが、仏具を引き下げて再び載置する場合、その配置位置を正確に再現するのに不安を抱くという問題は解消されない。
また、特許文献2に開示の打ち敷き内に内包される磁性板は、薄いとは言え、鋼板等の金属板であるため、重量が重いという問題があり、また、仏壇の各壇や仏供机の載置面に載置する際、その載置面は種々の形状であるため、その形状に応じた、磁性板を内包する打ち敷きを用意しなければならないという問題があった。
また、打ち敷きは、通常布製等であり、仏壇の各壇や仏供机の載置面上で滑りやすく、重い磁性板が滑った場合では、仏具を壊したり、使用者にけがさせたりする危険があった。
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、種々の仏具を仏壇の各壇や仏供机の載置面上に載置固定する際に、引き下げても容易に再現性良く再び元の位置に載置固定することができ、また、仏具の転倒を防止することができ、仏壇の各壇や仏供机の載置面上に載置しても滑ったり、ずれたりすることのなく、仏壇の各壇や仏供机の載置面の形状に合わせて鋏等の切断用具によって容易に切断することができる仏壇マット、仏具と仏具を載置固定してなる仏壇マットとからなる仏具アセンブリ、及び仏具アセンブリを備える仏壇を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記目的に加え、上述のような不安を持って作業する使用者に対して安心をもたらす手段を提供することにあり、より具体的には、適切な案内情報を担持する仏壇マット、このような仏壇マットに載置固定された仏具からなる仏具アセンブリ、及びこのような仏具アセンブリを備える仏壇を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、仏壇の壇又は仏供机に載置され、その上に、磁性体又は被磁性体を底面に内蔵する仏具を載置固定するための仏壇マットであって、前記仏壇の壇、又は前記仏供机の載置面上に密着させて載置するためのシート状粘着性層と、該シート状粘着層上に形成されるシート状磁性層と、該シート状磁性層上に形成されるシート状防炎加工層と、を有し、前記シート状磁性層は、前記仏具の前記磁性体又は前記被磁性体との間の磁力による吸着力によって、前記仏具を前記シート状防炎加工層上の所定の配置位置に載置固定するものであり、前記シート状防炎加工層の表面には、前記仏具を載置固定する所定の配置位置に関する情報が判読可能に形成されていることを特徴とする仏壇マットを提供するものである。
【0011】
個々で、前記シート状磁性層は、磁性体粉又は被磁性体粉が混練された樹脂層であるのが好ましい。
また、前記シート状粘着層及び前記シート状磁性層は、磁性体粉又は被磁性体粉が混練された粘着性を有する樹脂層であるのが好ましい。
また、前記シート状粘着層は、粘着シートであり、前記シート状磁性層は、磁性シートであり、前記シート状防炎加工層は、防炎シートであり、前記磁性シートは、前記粘着シート上に接着剤層を介して接着され、前記防炎シートは、前記磁性シート上に接着剤層を介して接着されたものであるのが好ましい。
【0012】
また、前記情報は、図形を含むのが好ましい。
また、前記情報は、図形並びに符号を含むのが好ましい。
また、前記情報は、図形並びに符号、文字を含むのが好ましい。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、仏壇の壇又は仏供机の載置面に載置された、本発明の第1の態様の仏壇マットと、該仏壇マットの前記シート状防炎加工層上の所定の配置位置に載置固定された、前記仏壇マットの前記シート状磁性層と磁力による吸着力を発生する磁性体又は被磁性体を底面に内蔵する仏具とを有することを特徴とする仏具アセンブリを提供するものである。
【0014】
ここで、本発明の第2の態様は、更に、前記仏壇マットのシート状粘着性層が載置される載置面を有する仏壇の壇又は仏供机とを有するのが好ましい。
また、前記仏壇の壇又は前記仏供机上において前記仏具の所定の配置位置に対応する前記仏壇の壇又は前記仏供机の内部に、前記仏具の前記磁性体又は前記被磁性体と磁力による吸着力を発生する磁性体又は被磁性体が設けられており、前記仏具の前記磁性体又は前記被磁性体と、前記仏壇の壇又は前記仏供机の内部の前記磁性体又は前記被磁性体とは、前記仏壇マットの前記シート状磁性層を介して磁力による吸着力で吸着固定されるのが好ましい。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様の仏壇マット、又は本発明の第2の態様の仏具アセンブリを有することを特徴とする仏壇を提供するものである。
【0016】
なお、本発明において、シート状磁性層、又は磁性シートとは、軟質の樹脂シート中に磁性体粉(又は、磁性体微粒子)を均一に分散したシート状のものを言い、仏壇マットは、シート状の粘着性層、磁性層及び防炎加工層を積層してなるもので、手作業による鋏等の切断用具による切断などの加工しやすさを高めたシート状のものをいう。また、磁性体とは、磁石などのように自らが磁力を持つものを言い、被磁性体とは、磁性体との間で磁力による吸着力を示す層状体に形成された材料を言い、粘着シートは、仏壇の壇又は仏供机等の載置面との密着性が高く、ずれを生じない粘着性の樹脂をシート状に形成したものを言い、防炎シートは、燭台や香炉の転倒等によってろうそくの灯や香や線香の火が直接触れても火災を発生せず、また、煙等の発生のない又は少ない燃えにくい樹脂等がシート状に加工されたものを言う。なお、被磁性体シートとは、被磁性体をシート状に形成したものを指す。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の態様によれば、種々の仏具を仏壇の各壇や仏供机の載置面上に載置固定する際に、引き下げても容易に再現性良く再び元の位置に載置固定することができ、また、仏具の転倒を防止することができ、仏壇の各壇や仏供机の載置面上に載置しても滑ったり、ずれたりすることのなく、仏壇の各壇や仏供机の載置面の形状に合わせて鋏等の切断用具によって容易に切断することができる。
本発明の第2及び第3の態様によれば、種々の仏具を仏壇の各壇や仏供机の載置面上に転倒を防止して再現性良く載置固定することができる。
【0018】
本発明に係る仏壇マットを用いれば、例えば、これを仏具の配置を示す文字・図面入りのものとした場合には、この仏壇マットを、仏壇の膳引き上にセットしておくことにより、使用者が種々の仏具を極めて速やかに、かつ、間違いなしに所定の位置に配置することが可能になる。
また、例えば、雛祭りの段飾りを行う場合等においても、雛飾りの人形あるいは諸道具類を、極めて速やかに、かつ、間違いなしに所定の位置に配置することが可能になる。
なお、上記仏壇マットを構成する主体的材料である磁性シート(または、被磁性体シート)それ自体を、粘着性を有するもので構成した場合には、製造過程を簡略化できるとともに、使用者にとっても、滑り防止の効果が得やすい等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る仏壇マットの断面図である。
【図2】図1に示した仏壇マットの表面に表示(印刷)された仏具の配置を説明する図の一例を示す平面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る仏壇マットの断面図である。
【図4】本発明に係る仏壇マットの適用対象としての本発明に係る仏壇の概略構造を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る仏壇アセンブリを示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る仏壇マットの平面図である。
【図7】(A)及び(B)は、それぞれ本発明の一実施形態に係る仏壇アセンブリに用いられる仏具を示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る仏壇アセンブリを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、図4に基づいて、仏壇、仏具ならびに膳引きについて説明する。
ここに示した本発明の第3の態様の仏壇は、比較的大型の複数の壇を有し、各壇の載置面に燭台(火立)、花瓶(花立)、香炉、仏飯器、茶湯器、湯飲み、仏器膳、仏飯器台、香炉台、高杯(高月)、須弥卓、上卓、スタン式掛軸、位牌、華鋲、火舎香炉、御華束、料具膳、及び線香立等の複数種類の仏具を多数配置可能なものであり、その中において、仏具を多数配置するためのスペースを得る目的で、仏壇の内部に、膳引きと呼ばれる面積拡大用の可動配置面を設定可能にしたものである。
なお、図示しないが、本発明の仏壇には、経机や香机等の仏供机が備えられていても良いことはもちろんである。
即ち、本発明の仏壇には、本発明の仏壇マットを載置固定する場所としては、仏壇の上段(壇)、位牌段、タイコ(中段)、下段(膳棚)、膳引き、経机や香机等の仏供机等を挙げることができる。
【0021】
より具体的に説明すれば、図4中、符号40は仏壇本体を、同40aは上部構造体を、同40bは下部構造体を、同40cは背面構造体を、また、縦の波線は扉を、それぞれ示している。
また、符号42は、仏像42aを祭る祭壇を示しており、43は、位牌43aを祭る祭壇を示しており、44は下部の供物や仏具48a、48bなどの配置位置を示している。
【0022】
ここでは、下部の供物や仏具などの配置部44が、仏壇本体40からスライドさせることによって引き出せる(膳引きの由来である)ように構成されており、この膳引き46が、本発明に係る仏壇マットの載置(セット)対象部分となっているものである。
なお、48a及び48bは、所定の配置位置44に配置されたリン及び高杯等の仏具の一例を示すものである。
【0023】
以下、図1および図2に基づいて本発明の一実施形態に係る仏壇マットについて説明する。
【0024】
図1は、本発明の第1の態様の第1の実施形態に係る仏壇マットの断面図である。本実施形態に係る仏壇マット10は、磁性体粉や被磁性体粉を樹脂等に均一に分散させてなる磁性シート14の上面に、燃え難い樹脂材料(防炎認定受けたもの)から成る、仏具の配置を示す配置図を印刷した防炎シート(以下、配置情報表示シートという)12を図示しない接着剤層を介して積層すると共に、磁性シート14の下面には支持部である仏壇の膳引き18の表面に滑らず、かつ表面を損傷しないように密着させて載置するための滑り止めシート(粘着性シート)16を積層したものである。
【0025】
なお、本発明の仏壇マット10は、シート状の粘着層上に、磁性層及び防炎加工層をシート状に積層し、防炎加工層上に仏具の配置を示す配置図を印刷したものであっても良いし、シート状の粘着層及び磁性層を粘着性のある樹脂中に磁性体粉や被磁性体粉を均一に分散させれば、シート状の粘着層及び磁性層は、一体化された層であっても良い。
【0026】
上記配置情報表示シート12は、図2にその一例を示したように、仏壇内の仏具の配置を平面図として描いたものであり、ここでは、配置に対応する様に、配置される仏具の名称を表示して、使用者に分かりやすくするように配慮されている例を示している。
具体的には、丸印(22,23a,23b,24a,24b,25a,25b,26a,26b,27)で示すのは、各仏具を配置すべき位置であり、その内部には、仏具の名称が表示(記載)されていて、使用者が、配置すべき仏具を取り違えないように注意を喚起しているものである。
【0027】
また、必要に応じて、図2中の適宜の位置に、この配置情報表示シートを、仏壇内において、どちらを向けて設置すべきかを示してもよい。なお、この主の表示は、慣れてしまえば、他の仏具の配置ほどには重要ではないので、シールのような、簡単に取り外しできるものを利用して表示しておいてもよいものである。
【0028】
本発明においては、配置情報表示シート12上に配置される各仏具の底面に磁性体又は被磁性体を内蔵させておけば、例えば、各仏具の底面に、磁性シート又は被磁性シートの小片を貼り付けておくようにすれば、仏具を配置すると同時に配置された仏具がみだりに移動したりしないように固定するとともに、地震などによる転倒・位置ずれなどから仏具を保護することができる。
【0029】
このような仏壇マット10上の所定の配置位置に載置固定される仏具について図7を参照して説明する。
図7(A)に示す仏具48bは、図4に示す高杯である仏具48bであって、その本体50の底面内に磁性体(磁石:マグネット)52を内蔵し、本体50の底面にフェルト層54で固定するものである。
図7(B)に示す仏具48cは、図7(A)に示す仏具48bの磁性体52の代わりに、磁性シート56を用いるものである。
【0030】
このように構成された図7(A)又は図7(B)に示す仏具48b又は48cを、例えば、図5に示す仏具アセンブリ60のように、図1及び図2に示す膳引き18上の仏壇マット10の所定の配置位置に載置することにより、仏具48b又は48c内の磁性体52又は磁性シート56と、仏壇マット10の磁性シート14内の磁性体粉又は被磁性体粉との間の磁力による吸着力が発生し、仏具48b又は48cは、仏壇マット10の所定の配置位置に載置固定され、転倒が防止される。
なお、仏具48b又は48cの底面には、フェルト層54が設けられているので、仏壇マット10の防炎シート12上にその表面を傷つけることなくソフトに載置することができる。
もちろん、仏具48b又は48cにおいて、フェルト層64を設けなくても良い。また、その一方の面に接着層を設けておいた磁性シート56を提供し、仏具の裏面の形状に合わせて鋏等で切断できるようにしておき、切断された磁性シート56を仏具の裏面に貼り付けて用いても良い。
【0031】
上述の仏壇マット10は、仏壇の膳引き18の上面に仏壇内における位置を合わせて配置されることにより、この仏壇内の膳引き18上における諸仏具の配置情報を、使用者に分かりやすく指示し、使用者の動作を補助するという効果を奏する。
なお、特に大型の仏壇であって、仏具の配置位置が高さの異なる他の面にもある場合には、その面に配置する仏具の配置位置を示す別の面用の配置情報表示シートを当該別の面に配置すればよい。
【0032】
上述の配置情報表示シート12を有する仏壇マット10を、仏壇の膳引き18の上面に位置を合わせて配置することにより、使用者は、仏具の配置を確認しながら、仏具の配置作業を極めて速やかに、かつ、間違いなしに所定の位置に配置することが可能になる。
即ち、上記実施形態に係るような仏壇マット10を用いることにより、使用者は、仏具を仏壇内の所定の位置に、極めて速やかに、かつ、間違いなしに所定の位置に配置することが可能になる。
【0033】
本発明の仏壇マット10に用いられる磁性シート14は、磁性体粉や被磁性体粉を樹脂等に均一に分散させてなり、軽量で柔軟性に富むもので、仏具の底面の磁性体や被磁性体との間で、仏具を仏壇マット10上に地震等においても転倒しないように載置固定できれば、特に制限的ではないが、例えば、磁性体粉として、鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性体、特に、フェライト粒子、樹脂として塩素化ポリエチレン等を用いるのが好ましい。なお、このような磁性シート14においては、磁性体粉としてストロンチウム・フェライト粒子を、含有量85〜95wt%、樹脂として塩素化ポリエチレンを5〜10wt%用いるのが好ましい。例えば、このような磁性シート14として、ニチレイマグネット株式会社製 製品番号NF06の「等方性マグネットシート」を用いることができる。なお、磁性シート14の厚みも特に制限的ではないが、1.0〜1.2mmであるのが好ましい。
【0034】
また、本発明に用いられる防炎シート12としては、燃え難い樹脂材料から成り、防炎認定されており、配置位置情報や、仏具のマーク柄や、仏壇マット10全体の木目柄等、様々な模様に自由にプリントでき、表面に透明ラミネート等により高級感のある表面に仕上げることができる防炎認定・表面特殊シートであれば、特に制限的ではない。なお、防炎シート12として、従来公知の防炎認定・表面特殊シートを用いても良い。
また、防炎シート12の厚みも特に制限的ではないが、0.2〜0.5mmであるのが好ましく、0.3mm程度であるのがより好ましい。
【0035】
また、本発明に用いられる粘着性シート16としては、磁性シート14と組み合わせることで、仏壇の膳引き18等の壇(棚)の載置面や、経机や香机等の仏供机の載置面に載置した時、載置面に密着して仏壇マット10本体のずれを防止することができれば、特に制限的ではない。例えば、ポリエステル繊維に化学発砲ポリマーをコーティングしたもの等を用いることができる。なお、粘着性シート16として、従来公知の粘着性シートを用いても良い。
また、粘着性シート16の厚みは用途に応じて選択すれば良く、特に制限的ではない。
【0036】
本発明の仏壇マット30に用いられる被磁性シート34は、特に制限的ではなく、 本発明の仏壇マット10に用いられる磁性シート14の磁性体の代わりに、磁化していない鉄粉、ニッケル粉、コバルト粉等の強磁性体粉を用いれば良い。
本発明において仏具48b等に用いられる磁性体52は、磁性体を樹脂等に混練した塊状物や所定形状の磁石等を用いることができる。磁性体52の代わりに、被磁性体の塊状物を用いることもできる。
また、本発明において仏具48c等に用いられる磁性シート56は、磁性体粉や被磁性体粉を樹脂等に均一に分散させてなり、軽量で柔軟性に富むもので、仏壇マット10の磁性シート14との間で、仏具48c等を仏壇マット10上に地震等においても転倒しないように載置固定できれば、特に制限的ではないが、鋏等でいかなる形状にも切断可能であるのが好ましく、例えば、被磁性体粉として、鉄粉、ニッケル粉、コバルト粉等の強磁性体粉、樹脂として塩素化ポリエチレン等を用いるのが好ましい。なお、このような磁性シート56においては、被磁性体粉として鉄粉を、含有量80wt%以上、樹脂として塩素化ポリエチレン、アクリル酸アルキルエステル系共重合体、紙・ポリエチレン等を残部として含むのが好ましい。例えば、このような磁性シート14として、ニチレイマグネット株式会社製 製品番号NMP901の「アイアンシート」を用いることができる。また、磁性シート14の厚みも特に制限的ではないが、0.6〜1.0mmであるのが好ましく、0.8mm程度であるのがより好ましい。
【0037】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る仏壇マットの断面図である。本実施形態に係る仏壇マット30は、第1の仏壇マットと異なり、被磁性シート34の上面に滑りにくい材料から成る防炎シート32を積層するとともに、被磁性シート34の下面には支持部である仏壇の膳引き18の表面に滑らず、かつ表面を損傷しないように密着させて載置するための滑り止めシート(粘着性シート)36を積層したものである。
【0038】
この場合、仏壇マット30は、仏壇の膳引き38の上面に仏壇内における位置を合わせて配置されることにより、この仏壇内の膳引き38上における諸仏具の配置情報を、使用者に分かりやすく指示し、使用者の動作を補助するという効果を奏する。
なお、ここで、防炎シート32及び粘着性シート36としては、先の実施形態に示した防炎シート12及び粘着性シート16と同じものが用い得る。
【0039】
また、図6は、本発明の他の実施形態に係る仏壇マットの平面図である。
本実施形態に係る仏壇マット20Aは、図2に示した仏壇マット20と同様の構成を有する仏壇マットに、さらにサイズ変更を行う場合などに便利なような、切断の際に目安となる切断線の表示、並びに切断を容易にすることができるようにするなミシン目(ここでは、横方向に20B,縦方向に20C,20D)を付加したものである。
【0040】
本実施形態に係る仏壇マット20Aのように、このような切断線の表示、あるいは切断のためのミシン目を付加しておくことにより、1枚の仏壇マット20Aを、複数の大きさの仏壇管である程度共通的に使用可能とすることが可能になり、製造する立場からは、用意しておくべき製品の種類を削減することが可能になるとともに、また、販売店においては在庫を少なくすることができるなどの利点を生ずるものである。
【0041】
上述した例では、仏壇マット10の磁性シート14と仏具48b、48cの磁性体52や磁性シート56との間の磁力による吸着力を利用するものであったが、本発明はこれに限定されず、図8に示す仏具アセンブリ70のように、仏壇の膳引き18等の壇(棚)の載置面下や、経机や香机等の仏供机の載置面下に、磁性体74や被磁性体を内蔵させて、この膳引き18等の磁性体74や被磁性体と仏具48b、48cの磁性体52や磁性シート56との間の、仏壇マット10の磁性シート14を介しての、又は介さない、磁力による吸着力を利用するものであっても良い。
【0042】
なお、上記各実施形態において仏壇マット10の磁性シート14や仏壇マット30の被磁性シート34と、仏具48b、48cの磁性体52や磁性シート56とは、一方が磁化した磁性体であり、他方が磁化していない被磁性体であっても良いし、両者が互いに異なる極性を持つ磁性体(磁石)であっても良い。なお、磁性体は、電力を供給することにより、磁化するものであっても良い。
また、磁性シート14や被磁性シート34や磁性シート56は、磁性体粉や被磁性体粉を樹脂中に混練したものであれば、いずれも特に性能上の制約を有するものではなく、一般的に用いられている軟質のもの(ないしは、ある程度硬質のもの)を、状況に応じて適宜に選択して用い得る者である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上詳細に説明したように、本発明に係る仏壇マット、仏具アセンブリ、及び仏壇は、例えば仏具の取り扱いやその配置に常に不安を持って作業するというような使用者に対して大きな安心をもたらすものであり、より広範囲の作業・業務において、転倒やずれを防止し、適宜の案内情報を担持する仏壇マット仏具アセンブリ、及び仏壇を提供できるという効果をもたらすものである。
【符号の説明】
【0044】
10、30 仏壇マット
12,12A、32 防炎シート(配置情報表示シート)
12B,12C,12D ミシン目
14 磁性シート
16 粘着性シート(滑り止めシート)
18、19、38、46 仏壇の膳引き
22 香炉
23a,23b 燭台
24a,24b 花立
25a,25b 高杯
26a,26b 仏飯器
27 茶湯器
34 被磁性シート
36 フェルト
40 仏壇本体
42 祭壇
44 (供物や仏具などの)配置部分
48a、48b、48c 仏具
50 仏具本体
52、74 磁性体
54 フェルト層
60、70 仏具アセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仏壇の壇又は仏供机に載置され、その上に、磁性体又は被磁性体を底面に内蔵する仏具を載置固定するための仏壇マットであって、
前記仏壇の壇、又は前記仏供机の載置面上に密着させて載置するためのシート状粘着性層と、
該シート状粘着層上に形成されるシート状磁性層と、
該シート状磁性層上に形成されるシート状防炎加工層と、を有し、
前記シート状磁性層は、前記仏具の前記磁性体又は前記被磁性体との間の磁力による吸着力によって、前記仏具を前記シート状防炎加工層上の所定の配置位置に載置固定するものであり、
前記シート状防炎加工層の表面には、前記仏具を載置固定する所定の配置位置に関する情報が判読可能に形成されていることを特徴とする仏壇マット。
【請求項2】
前記シート状磁性層は、磁性体粉又は被磁性体粉が混練された樹脂層である請求項1に記載の仏壇マット。
【請求項3】
前記シート状粘着層及び前記シート状磁性層は、磁性体粉又は被磁性体粉が混練された粘着性を有する樹脂層である請求項1又は2に記載の仏壇マット。
【請求項4】
前記シート状粘着層は、粘着シートであり、
前記シート状磁性層は、磁性シートであり、
前記シート状防炎加工層は、防炎シートであり、
前記磁性シートは、前記粘着シート上に接着剤層を介して接着され、
前記防炎シートは、前記磁性シート上に接着剤層を介して接着されたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の仏壇マット。
【請求項5】
前記情報は、図形を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の仏壇マット。
【請求項6】
前記情報は、図形並びに符号を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の仏壇マット。
【請求項7】
前記情報は、図形並びに符号、文字を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の仏壇マット。
【請求項8】
仏壇の壇又は仏供机の載置面に載置された、請求項1〜7のいずれか1項に記載の仏壇マットと、
該仏壇マットの前記シート状防炎加工層上の所定の配置位置に載置固定された、前記仏壇マットの前記シート状磁性層と磁力による吸着力を発生する磁性体又は被磁性体を底面に内蔵する仏具とを有することを特徴とする仏具アセンブリ。
【請求項9】
更に、前記仏壇マットのシート状粘着性層が載置される載置面を有する仏壇の壇又は仏供机とを有する請求項8に記載の仏具アセンブリ。
【請求項10】
前記仏壇の壇又は前記仏供机上において前記仏具の所定の配置位置に対応する前記仏壇の壇又は前記仏供机の内部に、前記仏具の前記磁性体又は前記被磁性体と磁力による吸着力を発生する磁性体又は被磁性体が設けられており、前記仏具の前記磁性体又は前記被磁性体と、前記仏壇の壇又は前記仏供机の内部の前記磁性体又は前記被磁性体とは、前記仏壇マットの前記シート状磁性層を介して磁力による吸着力で吸着固定される請求項8又は9に記載の仏具アセンブリ。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の仏壇マット、又は請求項8〜10のいずれか1項に記載の仏具アセンブリを有することを特徴とする仏壇。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−529(P2013−529A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137867(P2011−137867)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(500457472)株式会社はせがわ (2)