説明

仕切りパネル装置

【課題】本発明は間仕切りや目隠し等に使用するのに好適な仕切りパネル装置に関し、軽量でかつ安価であり、取扱い性の改善を図ることを目的とする。
【解決手段】仕切パネル装置は金属パイプ製等の剛性を有した枠体22と、織布若しくは編布にて構成された仕切布10とからなる。仕切布は、ジャカードからの織布若しくは編布を切り出して得られるもので、枠体の外側に沿った1重組織による第1領域12と前記枠体の内側における2重若しくは多重組織による第2領域14とを備えている。金属パイプ24A,24B,26Aより成る枠体は仕切布の第2領域における内部の空洞部に挿入位置せしめられ、空洞部内に位置する金属枠体は1重組織との境界線18に沿接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は間仕切り(パーテション)や目隠し(スクリーン)等に使用するのに好適な仕切りパネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
間仕切りや目隠し等に使用する仕切りパネル装置は、従来は、金属製の枠体(フレーム)に合板ボード等を心材とし表面にクロスを貼着したパネルを装着したものが多かった。しかしながら、この種の仕切りパネル装置はパネル自体が嵩高でありかつ重量も大きいため、輸送や組立て時における取扱性が良くなく、またコストも嵩むものとなっていた。
【0003】
そこで、枠体を金属パイプのコーナー継手による連接構造とし、他方、パネルを布帛などの弾性膜状面部材とすると共に弾性膜状面部材の外周に筒状部を形成し、この筒状部に枠体を構成する金属パイプを挿通させ、織物や編物や不織布等の弾性膜状面部材を緊張状態で枠体に張設するようにしたものが開示されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−193596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では弾性膜状面部材の外周部に筒部を縫製などにより形成し、この筒部に枠体を構成する金属パイプに挿通する構成となっている。そして、ユニット間の連結のため、隣接するユニット間において、各ユニットの筒部から外部に突出した金属パイプ同士を外部接続するジョイントを設けている。そのため、接続部(ジョイント部)の構造が複雑化し、組立てに際しても面倒な作業が必要となっていた。
【0005】
この発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、軽量でかつ安価であり、取扱性にも優れた仕切りパネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の仕切りパネル装置においては、アルミニューム等の金属パイプ製等の剛性を有しかつ軽量の枠体に、その外周を包囲するように装着される仕切布は枠体の外側に沿った1重組織による第1領域と前記枠体の内側における2重組織による第2領域とを備えている。第1領域と第2領域との境界ラインは布帛の全幅にわたるような大柄の織製若しくは編製パターンとなるため、仕切布を織製若しくは編製する織機若しくは編機はジャカードを備えていることが望ましい。即ち、枠体の外径に準じた矩形パターンの外側(第1領域)では1重組織、内側(第2領域)では上下層が離間した2重若しくは多重組織となるようにジャカードによる織製若しくは編製が行われる。織製若しくは編製後に仕切布の切り出しが行われる。そして、金属パイプなどより成る枠体は仕切布の第2領域における内部の空洞部に挿入位置せしめられる。第2領域において織布の上層若しくは下層を部分的に切除すること等により枠体を構成するパイプ部品を内部に導入し、コーナージョイントにより接合することで枠体に仕上げることができる。切り出し作業を省略するため、枠体を構成するパイプ部品の導入のための開口部を織組織若しくは編組織として織布若しくは編布に形成しておくことも可能である。そして、枠体の組み立て状態では枠体を構成するパイプ材は第2領域における第1領域との境界線に沿って係合・位置(沿接)され、織布は張った状態に維持され、間仕切り(パーテション)や目隠し(スクリーン)等として機能させることができる。
【発明の効果】
【0007】
パイプ材やジョイント等の部品を仕切布の2重若しくは多重組織の空洞に導入位置させて組立てる簡易な構造であり、織布や編布から直接切り出し、後工程としての縫製が不要であり、枠体を構成するパイプ材が真っ直ぐでな物でなくても布地のフレキシビリティにより略追従させることができ、間仕切りとして平板状、波型、アーク状などの任意な形状のものを構成することができる。また、枠体を一連に配置することで長尺の間仕切りに構成することができ、この場合仕、枠体間における仕切布の部位自体をフレキシブルな接続部材として機能させることができ、間仕切りの一連の接続構造を特別な継手なしに簡便に得ることができる。
【0008】
また、枠体としてアルミニュームパイプなどの素材を利用することにより軽量化が可能となり、強度的な負担を強いることなく建物壁面や天井から懸架するような配置も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1はこの発明の仕切りパネル装置の構成要素としての仕切布を折り込んだ織布10(織幅W)を示しており、織布10における仕切布の1ユニットは長さLの部分にて表され、この1ユニットの長さLが織布10から仕切布として切り出される最短のものとなる。即ち、1ユニットの仕切布としては隣接したラインlにて織布を切断する。そして、仕切りパネル装置として必要なユニット数が増える場合は、そのユニット数に応じて必要なユニットを備えた長さのものが仕切布として織布から切り出される。
【0010】
仕切布の1ユニットの長さLの領域において、織布は外周に沿った狭隘な幅の第1領域12と、その内側の矩形の第2領域14とから成る。図2の模式的断面図に示すように第1領域12は一重組織にて構成され、第2領域14は二重組織にて構成される。即ち、第2領域においては分離した上下層14-1, 14-2を備え、上下層14-1, 14-2の間は空洞部16を形成している。図1において、矩形の輪郭線18は1重組織の第1領域12と2重組織の第2領域との境界線(上下層接結線)である。織物構造的には輪郭線18は織布上における一種の柄パターンであり、このパターンは織布の全幅Wに及ぶ大柄のパターンであるため、織布の実質的に全幅で縦糸(綜絖)の独立的開口制御をさせる必要があるため、綜絖駆動機構としてジャカードの採用が好適である。
【0011】
図1のように構成された織布は組立てるべき仕切りパネル装置として必要なユニットを含むように切り出される。仕切パネル装置が2ユニットの場合は図3に示すように2×Lの長さが仕切布20として織布から切り出される。仕切りパネル装置を構成する枠体22はステンレスやアルミニュームなどの縦及び横の金属パイプ材24A, 24B及び26A, 26Bと、これらの縦横の金属パイプ材24A, 24B及び26A, 26B を連結するアングル材28と、下側の横金属パイプ材26Bに固定された左右一対の脚組立体30とから構成される。脚組立体30は、図4に示すように、下側横金属パイプ材26Bから一体に両側に張出した支持アーム32と、支持アーム32の下端に溶接固定されたブラケット34と、ブラケット34に取り付けられた車輪36とから構成することができる。
【0012】
次に、仕切布20と枠体22との合体による仕切りパネル装置の組み立てについて説明すると、仕切布20の内部空洞16に位置する枠体22の部品の組み立ては仕切布20の内部空洞部16内で行う。即ち、仕切布20における空洞部16を構成する上下層14-1, 14-2のうち何れかの層、例えば、図3では上層14-1が下側の両コーナーで14-1'のように部分的に切取られ、空洞部16に開口する開口部が形成される。この開口部より仕切布20の内部空洞16に位置する枠体22の部品である縦横の金属パイプ材24A, 24B及び上側の横パイプ材26A及び必要なアングル材28が挿入される。そして、作業員の手を空洞部16に入れ、仕切布20を適宜たくし上げつつアングル材28の端部に設けられた連結環28A等の連結具の操作によりパーツ間の連結を行う。このように連結完了後の枠体の部品24A, 24B, 26Aと、通常の状態において仕切布20の外側に位置する下側横パイプ材26Bとの連結が同様にアングル材28及び連結環28Aを使用することにより行われる。このような、枠体22の組み立ては各ユニットLにおいて行われ、例えば、図3に示すような2ユニットの仕切りパネル装置の組み立てが完了する。仕切りパネル装置のこの組み立て状態では枠体10の縦材24A, 24Bと縦材24A, 24B を連結する上側横材26Aは空洞部16内において境界線(二重組織における上下層14-1, 14-2(図2)の接結線)18に沿って係合位置しており、境界線18に係合する縦材24A, 24B間の間隔が仕切布20をその伸縮性により幾分緊張を受けるように設定することで、皺のない状態とすることができる。2つのユニット間においては仕切布20の一重組織の領域の織幅方向帯状部位12´が位置しており、この縦方向帯状部位12´が2つのユニット間のフレキシブルなジョイントを構成しており、従来の機械的な連結機構と比較して2つのユニット間の取り得る角度の自由度が著しく大きくなることで優れている。
【0013】
以上の実施形態では枠体22の部品である縦横の金属パイプ材の導入のための開口部の形成のため、織布の上層14-1を下側の両コーナーで14-1'のように部分的に切取る作業を行っているが、この代わりに織製時(編製時)にジャカードによる織製組織(編製組織)としての開口部を編布10の所定部位(切り出された仕切布20の下側両コーナー位置)に形成しておくことが可能である。この場合は枠体の装着時に切除作業が不要なため組立て効率向上の観点から有利である。
【0014】
仕切布20は第1領域と第2領域との間の境界領域の輪郭線18(=織製パターン)が織幅の実施的に全体にわたるため綜絖駆動機構としてジャカードが好適である。そのため、仕切布20に形成する折柄の制限がないため、適宜の織柄の選択により仕切布20の極めて高い意匠性を得ることができる。また、織布に限らず経編若しくは横編による編布として、仕切布20を構成することができ、伸縮性は優れているため緊張状態とすることで皺が出難く、仕切布20としては優れている。仕切布20を編布で構成した場合も全編み幅で選針が可能なジャカード編機の採用が必要となる。
【0015】
図6はこの発明の別実施形態の仕切りパネル装置を示しており、この実施形態においても仕切りパネル装置は仕切布120と枠体122とで構成され、仕切布120は図1で説明した織布10から外周の1重組織領域112と内側の2重組織領域114とからなる1ユニット分の長さ(図3のLにて示す領域と同様な領域)の部分を切り出したものである。枠体122は左右の縦パイプ124A, 124B及び上下のアーチ状の横パイプ126A, 126B及びこれらの連結のためのアングル材128から構成され、仕切布120における内部空洞での枠体122の組み立て方式は図3で説明した方式と同様であり、仕切布120の2重組織領域114における内部空洞(図2の空洞16と同様)において左右の縦パイプ124Aと上側の横パイプ126Aとがアングル128にて組立てられる。
【0016】
図6の実施形態の仕切りパネル装置において、アーチ状の上側の横パイプ126Aと左右の縦パイプ124Aとは仕切布120の2重組織領域114における内部空洞において1重組織の外周領域112との境界線118に密接するように位置される。即ち、仕切布120はその弾性により幾分緊張した(張られた)装着状態となっている。枠体122に対する仕切布120の装着状態において、2重布帛としての仕切布120の外側層は横パイプ126A, 126Bのアーチ形状に沿って湾曲するが、仕切布120の内側層は横パイプ126A, 126Bが直接の支えにならないため、横パイプ126A, 126Bから離間するにつれて幾分内側へ張出す立体的な湾曲形状を呈する。しかしながら、全体的に見れば、仕切布120をして枠体の湾曲形状に略沿わせた湾曲面(仕切面)を呈せしめることができる。
【0017】
図7は枠体を構成する左右の縦パイプ224A, 224Bが横断面にて示され、左右の縦パイプ224A, 224Bの対向上端を接続する図示しない上横パイプは波状をなしている。この場合、枠体への仕切布240の装着状態では、仕切布240をして横パイプの波形状に略準じた波形状を呈せしめることができる。
【0018】
図8は別実施形態を示し、この実施形態では(イ)に示すように、枠体222は両端の三角形状部222A, 222Bを上下の連結部224A, 224Bで連結した構造となっている。仕切布220は第1の実施形態における織布10からの1ユニットは長さLの部分を切り出して得られる仕切布20(図3)と同様のものである。即ち、仕切布220は両側及び上端に沿った第1領域212では一重組織であり、それ以外の第2領域214では2重組織であり、内部空洞216を形成している。そして、第2領域214の下端縁214'は開放している。そのため、下端縁214'より枠体222に仕切布220を(ロ)に示すように被せ、枠体222を仕切布220の内部空洞216に収容することで、仕切りパネル装置を簡便に構成することができる。
【0019】
この第2の実施形態において、枠体222の装着状態において枠体222の両端の三角形状をなす仕切布220の部位220Aの織組織(編組織)の設定により立体的に構成することがジャカード組織により可能であり、製造が容易であり、外見的にも優位性を持たせるようにすることができる。
【0020】
以上の実施形態の説明では仕切りパネル装置は床設置型を前提としているが、この発明では枠体はアルミニュームなどの軽量パイプ材を素材としており、これに仕切布を被せるだけの簡単構成であるため、全体として著しい軽量化が可能である。そのため、床設置型に限らず壁面若しくは天井面から懸架するような装着方式も建物側に構造上の負担を課すことなく実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1はこの発明の仕切りパネル装置を構成する仕切布を織り込んだ織布の概略図である。
【図2】図2は図1のII−II線に沿った矢視断面図で、図1の織布の概略的断面構成を示す。
【図3】図3はこの発明の仕切りパネル装置の側面図である。
【図4】図4は図3のIV方向矢視図で、仕切りパネル装置の脚部を示している。
【図5】図5は図3のV−V線に沿った矢視断面図である。
【図6】図6はこの発明の別実施形態の仕切りパネル装置の概略的斜視図である。
【図7】図7はこの発明の別実施形態の仕切りパネル装置の概略的横断面図である。
【図8】図8はこの発明の更に別の実施形態の仕切りパネル装置の概略的斜視図であり、(イ)は枠体に対する仕切布装着前、(ロ)は装着後を示す。
【符号の説明】
【0022】
10…織布
12…第1領域
14…第2領域
16…空洞部
18…輪郭線
20…仕切布
22…枠体
24A, 24B, 26A, 26B…金属パイプ材
28…アングル材
30…脚組立体
20…仕切布
22…枠体
120…仕切布
122…枠体
124A, 124B, 126A, 126B…金属パイプ材
212…第1領域
214…第2領域
220…仕切布
222…枠体
222A, 222B…三角形状部
224A, 224B …上下の連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性を有した枠体と、前記枠体に、その実質的全外周を包囲するように装着される布帛とから成る仕切りパネル装置であって、前記布帛は前記枠体の外側に沿った1重組織による第1領域と前記枠体をその内部空洞に収容した2重組織による第2領域とを備えた仕切りパネル装置。
【請求項2】
剛性を有した枠体と、前記枠体に、その実質的全外周を包囲するように装着される布帛とからなる仕切りパネル装置であって、前記枠体は複数が一連に設けられ、前記布帛は外周に沿った1重組織による第1領域と内側における2重組織の第2領域とからなる区画単位の連接により構成され、それぞれの区画における2重組織の第2領域に対応の枠体が第1領域との境界線に沿接して位置するように挿入位置された仕切りパネル装置。
【請求項3】
剛性を有した枠体と、前記枠体に、その実質的全外周を包囲するように装着される布帛とから成る仕切りパネル装置であって、前記枠体はパイプ材等の縦材及び横材をアングル連接部材で連接してなる構造をなし、前記布帛は前記枠体の外側に沿った1重組織による第1領域と前記枠体をその内側空洞に収容した2重組織による第2領域とを備え、アングル連接部材は前記第2領域内において縦材と横材とを連接している仕切りパネル装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発明において、前記横材は水平面において湾曲形状をなす仕切りパネル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−8014(P2008−8014A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−178640(P2006−178640)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(390033891)株式会社三宅デザイン事務所 (9)