説明

仕掛け収納具

【課題】収納ケースの取付部の数に制限されることなく複数の仕掛け巻きケースを収納ケース内に効率的に且つ確実に取り付け固定して収納できる取り扱い性の優れた仕掛け収納具を提供する。
【解決手段】本発明の仕掛け収納具1は、仕掛けを巻き取って収納するための仕掛け巻きケース15と、仕掛け巻きケース15を収納するための収納ケース6とを備える。収納ケース6内には、仕掛け巻きケース15を係脱自在に係合固定するための抜け落ち防止用の引掛り部10aから成る複数の取付部10が設けられる。仕掛け巻きケース15の一方側の面には、収納ケース6の取付部10と係脱自在に係合可能な第1の係合部が設けられ、仕掛け巻きケース15の他方側の面15bには、前記第1の係合部と係脱自在に係合可能な第2の係合部20が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用の仕掛けを収納するための仕掛け収納具に関する。
【背景技術】
【0002】
釣り用の仕掛けの収納形態は従来から様々なものが知られている。特に、仕掛けを巻き取って収納するリール状の仕掛け巻きケースは、携帯性および収納性に優れており、ズボンのポケットに入れて持ち歩いたり、更に別の収納ケースに収納して保管あるいは携帯することもできる。また、これに関連して、仕掛け同士を絡ませることなく複数の仕掛け巻きケースを収納ケースに収納して持ち運べるようにしたものが特許文献1で提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭55−58986号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、収納ケース内に設けられた取付部としての突起に仕掛け巻きケースが取り付けられるが、その取り付け形態は、突起と仕掛け巻きケースの取り付け穴との内外径の寸法設定による嵌め合わせであるため、突起と仕掛け巻きケースとの着脱を繰り返すうちに嵌め合いが経時的に緩み、その結果、収納ケースの蓋を開けたときに仕掛け巻きケースが不意に脱落する虞がある。
【0005】
また、特許文献1では、収納ケースに収納できる仕掛け巻きケースの数が、収納ケースに設けられる突起(取付部)の数に限られる。そのため、収納量の多い収納ケースが望まれる。また、その一方で、収納ケース内に収納できる仕掛け巻きケースの数を増やしてしまうと、収納ケースに対する仕掛け巻きケースの取り付け及び取り出しが面倒になるといった問題も生じ得る。
【0006】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、収納ケースの取付部の数に制限されることなく複数の仕掛け巻きケースを収納ケース内に効率的に且つ確実に取り付け固定して収納できる取り扱い性の優れた仕掛け収納具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の仕掛け収納具は、仕掛けを巻き取って収納するための仕掛け巻きケースと、仕掛け巻きケースを収納するための収納ケースとを備え、前記収納ケース内には、前記仕掛け巻きケースを係脱自在に係合固定するための抜け落ち防止用の引掛り部から成る複数の取付部が設けられ、前記仕掛け巻きケースの一方側の面には、前記収納ケースの前記取付部と係脱自在に係合可能な第1の係合部が設けられ、前記仕掛け巻きケースの他方側の面には、前記第1の係合部と係脱自在に係合可能な第2の係合部が設けられることを特徴とする。
【0008】
この請求項1に記載の仕掛け収納具によれば、収納ケースと仕掛け巻きケースとが抜け落ち防止用の引掛り部から成る複数の取付部によって係脱自在に係合固定されるため、複数の仕掛け巻きケースを収納ケース内に確実にガタ無く取り付け固定して収納でき、収納ケースからの仕掛け巻きケースの不意の脱落を防止できる。また、上記構成では、第1の係合部と第2の係合部とにより仕掛け巻きケース同士を係脱自在に係合させることができるため、収納ケースの取付部の数に制限されることなく複数の仕掛け巻きケースを収納ケース内に効率的に収納でき(収納ケース内で仕掛け巻きケース同士がぶつかったりすることなく効率的に配置固定でき)、収納量の多い収納ケースを実現できる。しかも、仕掛け巻きケースの第1の係合部は、収納ケースの取付部および他の仕掛け巻きケースの第2の係合部のいずれにも係合できるため、収納ケースに対する仕掛け巻きケースの取り付け性及び取り外し性が良好であり、取り扱い性に優れる。
【0009】
また、請求項2に記載の仕掛け収納具は、請求項1に記載の仕掛け収納具において、前記取付部が、前記収納ケースに回動可能に取り付けられる固定用プレートに設けられることを特徴とする。
【0010】
この請求項2に記載の仕掛け収納具によれば、請求項1に記載の仕掛け収納具と同様の作用効果が得られるとともに、前記収納ケースに回動可能に取り付けられる固定用プレートに取付部を介して仕掛け巻きケースが取り付けられるため、固定用プレートを収納ケースに対して回動させることにより、固定用プレートと共に仕掛け巻きケースを収納ケースの外側に引き出すことができ、仕掛け巻きケースの取り出し性が向上する。
【0011】
また、請求項3に記載の仕掛け収納具は、請求項2に記載の仕掛け収納具において、前記取付部が前記固定用プレートの両面に設けられることを特徴とする。
【0012】
この請求項3に記載の仕掛け収納具によれば、請求項2に記載の仕掛け収納具と同様の作用効果が得られるとともに、固定用プレートの両面に仕掛け巻きケースを取り付けることができるため、仕掛け巻きケースの取り付け性および取り外し性が向上する。
【0013】
また、請求項4に記載の仕掛け収納具は、請求項2または請求項3に記載の仕掛け収納具において、前記固定用プレートが前記収納ケースに対して着脱自在に取り付けられることを特徴とする。
【0014】
この請求項4に記載の仕掛け収納具によれば、請求項2または請求項3に記載の仕掛け収納具と同様の作用効果が得られるとともに、仕掛け巻きケースを固定用プレートと一体で収納ケースに取り付け或いは収納ケースから取り外すことができ、したがって、仕掛け巻きケースが予めセットされた固定プレート毎の交換が可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、収納ケースの取付部の数に制限されることなく複数の仕掛け巻きケースを収納ケース内に効率的に且つ確実に取り付け固定して収納できる取り扱い性の優れた仕掛け収納具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】収納ケース内に仕掛け巻きケースが2段に重ねて取り付けられた状態の本発明の第1の実施形態に係る仕掛け収納具の斜視図である。
【図2】収納ケースから仕掛け巻きケースが取り外された状態の本発明の第1の実施形態に係る仕掛け収納具の平面図である。
【図3】(a)は第1の係合部が設けられる仕掛け巻きケースの一方側の面の平面図、(b)は第2の係合部が設けられる仕掛け巻きケースの他方側の面の平面図である。
【図4】収納ケース内に仕掛け巻きケースが1段で並列に取り付けられた状態の本発明の第1の実施形態に係る仕掛け収納具の斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る仕掛け収納具の使用態様の一例を示す模式図である。
【図6】(a)は収納ケースから固定用プレート(仕掛け巻きケース)が取り外された状態の本発明の第2の実施形態に係る仕掛け収納具の斜視図、(b)は収納ケースに固定用プレート(仕掛け巻きケース)が取り付けられた状態の本発明の第2の実施形態に係る仕掛け収納具の斜視図である。
【図7】固定用プレートを収納ケースに着脱自在に取り付けるためのクリップ体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明に係る仕掛け収納具の実施形態について説明する。
【0018】
図1〜図5は本発明の第1の実施形態を示している。図1,2,4に示されるように、本実施形態の仕掛け収納具1は、仕掛けを巻き取って収納するための環状溝を有する円形リール状の仕掛け巻きケース15と、仕掛け巻きケース15を収納するための収納ケース6とを備える。収納ケース6は、仕掛け巻きケース15を収納するための収納空間Sを形成するケース本体2と、このケース本体2にヒンジ9を介して回動自在(開閉可能)に取り付けられた蓋体4とから成る。なお、ケース本体2の側壁には、蓋体4が開かないようにするロック7が設けられている。
【0019】
ケース本体2内(収納空間S内)には、複数の仕掛け巻きケース15を個別に係脱自在に係合固定するための複数(本実施形態では2つ;図2参照)の取付部10が設けられている。各取付部10は、係合突起の形態を成しており、後述する仕掛け巻きケース15の係合受部としての第1の係合部30の複数の係合溝30aに例えば弾力を利用して引掛り係合する円環状に配列された抜け落ち防止用の複数(本実施形態では3つ)の引掛り片(引掛り部)10aから成る。
【0020】
一方、仕掛け巻きケース15は、図3の(a)に明確に示されるように、一方側の面15aに、収納ケース6の取付部10と係脱自在に係合可能な第1の係合部30を有する。この第1の係合部30は、取付部10の複数の引掛り片10aが個別に引掛り係合するように円環状に配列された複数(本実施形態では3つ)の係合溝30aから成る。また、仕掛け巻きケース15は、図3の(b)に明確に示されるように、他方側の面15bに、第1の係合部30と係脱自在に係合可能な第2の係合部20を有する。この第2の係合部20は、好ましくは収納ケース6の取付部10と同一形態であり、第1の係合部30の複数の係合溝30aに例えば弾力を利用して引掛り係合する円環状に配列された抜け落ち防止用の複数(本実施形態では3つ)の引掛り片20aから成る。
【0021】
このような構成の仕掛け収納具1は、第1の係合部30を利用して仕掛け巻きケース15を収納ケース6の取付部10に係脱自在に取り付けることができるとともに、第1および第2の係合部30,20を利用して仕掛け巻きケース15同士も係脱自在に取り付けることができる。すなわち、図1に示されるように収納ケース6内に仕掛け巻きケース15を2段に重ねて取り付けることができ、また、図4に示されるように収納ケース6内に仕掛け巻きケース15を1段で並列に取り付けることもできる。
【0022】
図5には、本実施形態の仕掛け収納具1の優れた取り扱い性を実証する使用例が示されている。ここでは、図5の(a)に示されるように、2つのそれぞれの取付部10に仕掛け巻きケース15が2段に重ねて取り付けられた収納状態で、一方の取付部10の下側に取り付けられた仕掛け巻きケース15を収納ケース6から取り出すことを想定する。図5の(a)の収納状態では、一方の取付部10の上段に第1の仕掛け巻きケース15Aが、下段に第2の仕掛け巻きケース15Bがそれぞれセットされ、また、他方の取付部10の上段に第3の仕掛け巻きケース15Cが、下段に第4の仕掛け巻きケース15Dがそれぞれセットされている。そして、この状態から、図5の(b)に斜線で示される他方の取付部10の下段にセットされた第4の仕掛け巻きケース15Dを取り出す場合には、まず、図5の(c)に示されるように、第3の仕掛け巻きケース15Cを第4の仕掛け巻きケース15Dから取り外して(この場合、所定の力で第3の仕掛け巻きケース15Cを押し上げると、引掛り片20aと係合溝30aとの弾力的な係合が解除される)、その取り外した第3の仕掛け巻きケース15Cを第1の仕掛け巻きケース15Aの上に取り付け(第3の仕掛け巻きケース15Cの第1の係合部30を第1の仕掛け巻きケース15Aの第2の係合部20に係合する・・・この状態では、一方の取付部10に仕掛け巻きケース15が3段に重ねて取り付けられる)、その後、他方の取付部10から第4の仕掛け巻きケース15Dを取り外す(この場合、所定の力で第4の仕掛け巻きケース15Dを押し上げると、引掛り片10aと係合溝30aとの弾力的な係合が解除される)。そして、収納ケース6が仕掛け巻きケース15の3段積み重ね収納を許容する(そのような大きさに収納ケース6が設計されている)場合には、そのままの収納状態で放置してもよいが、収納ケース6が仕掛け巻きケース15の3段積み重ね収納を許容しない場合には、その後、図5の(d)に示されるように、第1の仕掛け巻きケース15A上の第3の仕掛け巻きケース15Cを再び他方の取付部10側に戻してこれに取り付ける。このような取り付け・取り外し形態は、特に、例えば釣竿を持った状態で仕掛け巻きケースを取り出すような場合に、仕掛け巻きケースを脱落させることなく行なえるので有益である。
【0023】
以上のように、本実施形態の仕掛け収納具1によれば、収納ケース6と仕掛け巻きケース15とが抜け落ち防止用の引掛り部10aから成る複数の取付部10によって係脱自在に係合固定されるため、複数の仕掛け巻きケース15を収納ケース6内に確実にガタ無く取り付け固定して収納でき、収納ケース6からの仕掛け巻きケース15の不意の脱落を防止できる。また、上記構成では、第1の係合部30と第2の係合部20とにより仕掛け巻きケース15,15同士を係脱自在に係合させることができるため、収納ケース6の取付部10の数に制限されることなく複数の仕掛け巻きケース15を収納ケース6内に効率的に収納でき(収納ケース6内で仕掛け巻きケース15,15同士がぶつかったりすることなく効率的に配置固定でき)、収納量の多い収納ケース6を実現できる。しかも、仕掛け巻きケース15の第1の係合部30は、収納ケース6の取付部10および他の仕掛け巻きケース15の第2の係合部20のいずれにも係合できるため、収納ケース6に対する仕掛け巻きケース15の取り付け性及び取り外し性が良好であり、取り扱い性に優れる。
【0024】
図6および図7は本発明の第2の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、取付部10が収納ケース6のケース本体2に直接に設けられておらず、その代わり、収納ケース6に回動可能に取り付けられる固定用プレート50に取付部10が設けられている。この場合、固定用プレート50は、クリップ体40を介して収納ケース6に対して着脱自在に取り付けられる。なお、クリップ体40は、例えば金属製(例えばバネ鋼)であり、図7にも示されるように、収納ケース6のヒンジ9に回動可能に取り付けられるヒンジ部40aと、固定用プレート50を弾力的に挟持できる一対の挟持片から成る着脱固定部40bとから成る。
【0025】
このような構成の仕掛け収納具1によれば、収納ケース6に回動可能に取り付けられる固定用プレート50に取付部10を介して仕掛け巻きケース15が取り付けられるため、固定用プレート50を収納ケース6に対して回動させ、固定用プレート50と共に仕掛け巻きケース15を収納ケース6の外側に引き出すことができ、仕掛け巻きケース15の取り出し性が向上する。また、仕掛け巻きケース15を固定用プレート50と一体で収納ケース6に取り付け或いは収納ケース6から取り外すことができ、したがって、仕掛け巻きケース15が予めセットされた固定プレート50毎の交換が可能である。
【0026】
また、本実施形態では、取付部50が固定用プレート50の両面に設けられることが好ましい。そのような場合、仕掛け巻きケース15の取り付け性および取り外し性が向上し有益である。
【0027】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは言うまでもない。例えば、前述した実施形態では、取付部の数が2個であったが、収納ケース6または固定用プレート50に設けられる取付部10の個数は任意に設定できる。また、前述した実施形態では、取付部10および第2の係合部20が係合突起として形成され、第1の係合部30が係合受部(溝)として形成されているが、取付部10および第2の係合部20が係合受部(溝)として形成され、第1の係合部30が係合突起として形成されていても良い。要は、第1の係合部が取付部10および第2の係合部20に係脱自在に係合できれば、その構造形態はどのようなものであっても構わない。また、前述した実施形態では、第2の係合部20の構造形態が取付部10の構造形態と同一であったが、第1の係合部30と係合できさえすれば、第2の係合部20の構造形態と取付部10の構造形態とが互いに異なっていても良い。更に、前述した実施形態では、固定用プレート50が収納ケース6に対して着脱可能に取り付けられているが、固定用プレート50が収納ケース6に対して着脱不能であっても良い。ただし、その場合でも、固定用プレート50は収納ケース6に対して回動できることが好ましい。
【符号の説明】
【0028】
1 仕掛け収納具
2 ケース本体
4 蓋体
6 収納ケース
10 取付部
10a 引掛り片(引掛り部)
15 仕掛け巻きケース
20 第2の係合部
30 第1の係合部
50 固定用プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕掛けを巻き取って収納するための仕掛け巻きケースと、
仕掛け巻きケースを収納するための収納ケースと、
を備え、
前記収納ケース内には、前記仕掛け巻きケースを係脱自在に係合固定するための抜け落ち防止用の引掛り部から成る複数の取付部が設けられ、
前記仕掛け巻きケースの一方側の面には、前記収納ケースの前記取付部と係脱自在に係合可能な第1の係合部が設けられ、
前記仕掛け巻きケースの他方側の面には、前記第1の係合部と係脱自在に係合可能な第2の係合部が設けられる、
ことを特徴とする仕掛け収納具。
【請求項2】
前記取付部は、前記収納ケースに回動可能に取り付けられる固定用プレートに設けられることを特徴とする請求項1に記載の仕掛け収納具。
【請求項3】
前記取付部が前記固定用プレートの両面に設けられることを特徴とする請求項2に記載の仕掛け収納具。
【請求項4】
前記固定用プレートが前記収納ケースに対して着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の仕掛け収納具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−155872(P2011−155872A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18920(P2010−18920)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】