説明

他動運動システム

【課題】他動運動機器に付設した表示部の表示内容の視認性を高めるとともに、運動中に姿勢を変化させることなく表示内容を確認することを可能にする。
【解決手段】他動運動機器1は赤外線通信部14を備え、赤外線通信部14は宅内網201を通して表示装置2と通信可能になっている。他動運動機器1に設けた操作表示部15の表示内容は、宅内網201を通して表示装置2の画面にも転送され、表示装置2の画面に表示される。また、表示装置2に付設したリモコン装置2aを用いて他動運動機器1の動作を指示すると、宅内網201を通して他動運動機器1に指示内容が伝送され、操作表示部15の操作時と同様に他動運動機器1が動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に筋刺激を与えることにより筋活動を誘発させる他動運動機器を備える他動運動システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、健康維持、病気治療、運動機能回復などの目的を達成するために運動を手段とすることが盛んになってきている。運動によりこの種の目的を達成するには、安全かつ効果のある運動処方が必要である。各種運動施設では、各種運動における運動能力や生理情報を数値化することにより利用者の能力レベルを専門知識によって評価し、利用者個々の能力レベルに応じた運動処方を専門知識を備える指導者が提供している。
【0003】
すなわち、安全かつ効果のある運動処方を提供するには、能力レベルを評価し運動処方を作成するための専門知識が必要であり、知識のない個人が自己流で運動処方を決めても所期の効果が得られないことが多く、身体条件によっては運動するとかえって健康に障害を生じる場合もある。
【0004】
能力レベルの低い利用者でも手軽に利用できる運動用具としては、自発的な筋力の発揮を伴わずに軽負荷で運動を行うことができる他動運動機器が提案されており、種々構成の他動運動機器が提案されている。例えば、利用者が跨いで着座する鞍状の座席部と、座席部を揺動駆動する駆動部とを備え、乗馬運動を模擬する他動運動機器(例えば、特許文献1参照)があり、また、歩行訓練を行うために左右の足載せ台を前後に相反する位置関係を保って前後移動させる構成の他動運動機器(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
【特許文献1】特開2007−21231号公報
【特許文献2】特開2003−245375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、他動運動機器には液晶表示器などの表示部が設けられ、利用者の身長、体重などの属性データを入力する際の確認表示、他動運動機器の動作モードの表示、運動量や運動時間の表示などの目的で用いられる。
【0006】
しかしながら、この種の表示部は他動運動機器の限られたスペースに配置されることから表示面積が小さく、また、ほとんど場合に、利用者の目の高さよりも低い位置に設けられるから他動運動機器を利用した運動中に表示部の内容を確認するのは困難である。さらに、他動運動機器を利用した運動中に表示部を見ると、利用者の姿勢が変化するから、運動効果が下がり、所期の運動効果を得ることができない場合もある。
【0007】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、他動運動機器に付設した表示部の表示内容を他動運動機器とは別体の表示装置に表示することにより、表示内容の視認性を高めるとともに、運動中に姿勢を変化させることなく表示内容を確認することを可能にした他動運動システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、利用者に筋刺激を与えることにより筋活動を誘発させる他動運動機器と、他動運動機器とは別体である表示装置とを備え、他動運動装置は、付設した表示部への表示内容を表示装置に表示させる信号出力部を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記表示装置に設けたワイヤレス受信部が受信するワイヤレス信号を送信するリモコン装置が表示装置に付設され、前記他動運動装置は、付設した操作部からの指示内容と同内容の指示を表示装置のワイヤレス受信部を通してリモコン装置から受け取る信号入力部を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明では、請求項1又は請求項2の発明において、前記他動運動機器を利用した運動に関する提案を登録した記憶装置が設けられており、前記表示装置は、記憶装置から与えられる提案を表示することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明では、請求項3の発明において、前記提案は、前記他動運動機器を用いた運動処方に関する動画映像として表示されることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明では、請求項1乃至請求項4のいずれかの発明において、前記他動運動機器は、利用者が着座する座席部と、座席部を揺動駆動する駆動部とを備え、乗馬運動を模擬した運動を利用者に行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明の構成によれば、他動運動機器に付設した表示部の表示内容を他動運動機器とは別体の表示装置に表示可能としているから、表示装置としてテレビジョン受像機やパーソナルコンピュータのモニタ装置を選択することができ、他動運動機器に付設されている表示部よりも画面が大型になって視認性を高めることができる。また、この種の表示装置は、他動運動機器の利用者が姿勢を変化させることなく視認できる位置に配置することが可能であるから、運動中の姿勢を変化させずに表示内容を確認することができる。
【0014】
請求項2の発明の構成によれば、表示装置に付設したリモコン装置からワイヤレス信号によって表示装置に操作内容を指示することで、他動運動機器に付設した操作部と同様の指示内容を他動運動機器に与えることができるから、他動運動機器を利用した運動中に他動運動機器に指示を与えようとする場合に、任意の位置で操作できるリモコン装置を用いることができるから、他動運動機器に付設した操作部を見る必要がない。したがって、運動中の姿勢を変化させずに他動運動機器に指示を与えることが可能になる。
【0015】
請求項3の発明の構成によれば、他動運動機器の利用の仕方などに関する提案が表示装置に表示されるから、指導者の指導を受けながら他動運動機器を利用しているのと遜色のない利用が可能になり、他動運動機器を利用した運動の運動効果を高めることになる。
【0016】
請求項4の発明の構成によれば、動画映像を表示することにより運動処方の提案を行うので、提案内容が利用者にとってわかりやすいものになる。
【0017】
請求項5の発明の構成によれば、乗馬運動を模擬する他動運動を行うことにより、他動運動により腰背部の筋群の強化を促し、バランス機能の向上とともに腰痛予防や背筋の伸びた美しい姿勢の獲得に寄与することになる。さらには、腰背部のような体積の大きい筋群を伸縮させることにより糖代謝の向上が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本実施形態では、図2に示すように、住宅A内に設置した他動運動機器1を用いて運動する場合を想定する。他動運動機器1はどのような形式のものでもよいが、以下では、鞍状の座席部に利用者が搭乗し、座席部が揺動駆動されることにより乗馬運動を模擬した運動が可能になる他動運動機器1を例示する。
【0019】
他動運動機器1は、利用者に筋刺激を与えることにより筋活動を誘発させる機器であり、乗馬運動を模擬する他動運動機器1では、座席部12に着座している利用者の腰部乃至臀部の位置を変化させたり傾斜させたりすることにより、利用者の姿勢を崩すように筋刺激を与え、このとき神経反射等により姿勢を維持しようとする作用で筋活動を誘発させるのである。本実施形態において説明する他動運動システムは、他動運動機器1を機器本体とし、他動運動機器1を後述する活動量計6及びセンターサーバ101と連携させることにより構築される。
【0020】
住宅Aの宅内には、Ethernet(登録商標)による宅内網(LAN)201が構築され、宅内網201は住宅情報盤3内に収納されたルータ(ブロードバンドルータ)3aを介してインターネットのような広域網(WAN)202に接続されている。また、広域網202には、他動運動機器1を用いる運動を含んだ運動処方を提供する事業者Bが管理するセンターサーバ101及び映像配信サーバ102が接続される。運動処方には、他動運動機器1を使用する際の姿勢の種類や時間、ストレッチングなどの他の運動の内容が含まれるが、以下では、他動運動機器1を使用するための運動処方を中心として説明する。
【0021】
センターサーバ101が提供するサービスには、利用者が自宅で運動する際の運動処方を提供するサービスがある。また、映像配信サーバ102は、センターサーバ101が提供した運動処方に応じて運動を行うときに、運動動作を示す映像を配信する。映像配信サーバ102から配信された映像は、ルータ3aから宅内網201を介して表示装置2に伝送され表示装置2の画面に表示される。
【0022】
他動運動機器1は、図3に示すように、マイクロコンピュータを主構成とする制御部11と、鞍状に形成された座席部12を揺動駆動する駆動部13と、他装置との間で赤外線を伝送媒体とするワイヤレス通信(以下では、赤外線を伝送媒体とするワイヤレス通信を単に「赤外線通信」と呼ぶ)を行う赤外線通信部14と、電源スイッチ及び制御部11への制御指示を行うとともに動作モードや運転時間などの表示を行う操作表示部15と、座席部12を様々な揺動パターンで揺動させるためのデータや揺動パターンを駆動部13に指示するプログラムなどを記憶した記憶部16とを備える。
【0023】
赤外線通信部14は、操作表示部15に表示される表示内容を外部に送信する信号出力部と、操作表示部15の操作による指示内容と同内容の指示を外部から受信する信号入力部との機能を兼ね備える。操作表示部15は、押釦スイッチのような操作部と液晶表示器のような表示部とを別体に備える構成のほか、表示部の画面に操作部としてのタッチスイッチを積層したタッチパネルであってもよい。
【0024】
表示装置2は、テレビジョンチューナを内蔵したテレビジョン受像機を用いており、さらにクライアント機能(ブラウザ機能)も内蔵し、宅内網201を構成するLANケーブルを介してルータ3aに接続される。したがって、広域網202を通してセンターサーバ101及び映像配信サーバ102との間で通信を行うことが可能である。なお、テレビジョンチューナは必須ではなく、パーソナルコンピュータのモニタ装置を用いることも可能である。
【0025】
表示装置2では、例えば、宅内網201及び広域網202を介して映像配信サーバ102に映像の配信を要求し、広域網202及び宅内網201を介して映像配信サーバ102から配信された映像を画面上に表示することができる。表示装置2には、スピーカ(図示せず)が付設され、音声付きの映像であればスピーカから音声を出力する。表示装置2は、赤外線を伝送媒体としたワイヤレス信号を受信するワイヤレス受信部(図示せず)を備える。ワイヤレス受信部では、リモコン装置2aの操作に伴ってリモコン装置2aから送信されるワイヤレス信号を受信する。リモコン装置2aでは、テレビジョンチューナのチャンネル切換、音量の調節の指示を行うのはもちろん、表示装置2のクライアント機能を用いて、映像配信サーバ102にアクセスするように指示し、映像配信サーバ102に蓄積された映像を送信させることも可能になっている。
【0026】
住宅情報盤3は、分電盤と情報盤との機能を兼ね備えている。すなわち、住宅情報盤3には、分電盤と同様に主幹開閉器及び分岐開閉器が内蔵され、分岐開閉器により分岐された宅内の各分岐回路に電力を供給する。また、住宅情報盤3には、広域網202と宅内網201との間を接続するルータ3aが内蔵され、ルータ3aには、宅内網201を介して上述した表示装置2のほかにネットアダプタ4が接続される。
【0027】
ネットアダプタ4は、無線LANのアクセスポイントとして機能し小電力無線により通信を行う。また、本実施形態では、ネットアダプタ4との間で電波を伝送媒体としたワイヤレス通信(以下では、電波を伝送媒体としたワイヤレス通信を「無線通信」という)を行うとともに、他装置との間で赤外線通信を行うワイヤレス中継器5を設けている。すなわち、ワイヤレス中継器5は、赤外線通信と無線通信との間で伝送媒体を変換し、通信内容を中継する機能を有する。
【0028】
ワイヤレス中継器5が赤外線通信を行う相手装置には、上述した他動運動機器1のほか、例えば、後述する活動量計6及び体組成計7がある。ワイヤレス中継器5は、赤外線通信が可能な範囲内に存在する相手装置(図示例では、他動運動機器1、活動量計6、体組成計7)との間で、送信元と送信先との識別情報を含むワイヤレス信号を送受信し、相手装置から赤外線を伝送媒体とするワイヤレス信号を受信すると電波を伝送媒体とするワイヤレス信号に変換してネットアダプタ4に送信し、逆にネットアダプタ4から電波を伝送媒体とするワイヤレス信号を受信すると赤外線を伝送媒体とするワイヤレス信号に変換して上述した相手装置に送信する。
【0029】
ネットアダプタ4は、宅内網201を介してルータ3aと接続されているから、宅内網201に接続された装置及び広域網202に接続された装置との間で通信が可能である。本実施形態では、ネットアダプタ4は、表示装置2との間で通信するとともに、センターサーバ101や映像配信サーバ102との間で通信が可能になっている。ワイヤレス中継器5から無線通信により情報を受信したときには、上述したワイヤレス中継器5の相手装置の識別情報を用いて表示装置2やセンターサーバ101や映像配信サーバ102との通信を行う。
【0030】
ところで、活動量計6は、利用者のベルト等に装着して使用される扁平な装置本体60を備え(図2参照)、図4に示す構成を有している。図示例では、装置本体60は、3軸(互いに直交する3方向)の加速度を検出する加速度センサ61を備え、加速度センサ61では利用者において装置本体60を装着した部位の体動を検出する。また、活動量計6には、加速度センサ61の出力をA/D変換して得た検出出力により利用者が行っている運動の運動強度や運動時の姿勢などを求める演算処理部62が設けられる。演算処理部62はマイクロコンピュータを主構成要素にしている。
【0031】
さらに、活動量計6には、演算処理部62に現在時刻の時刻データを与える時計部63と、装置本体60の外側面に露出し押操作される入力操作部64と、演算処理部62の演算結果や個人の属性データなどを記憶する記憶部65と、種々情報を表示する表示器66と、上述したワイヤレス中継器5との間で赤外線通信を行う赤外線通信部67と、電池BTを電源とし上述した各回路の動作に必要な所定の電圧を出力する定電圧回路68とを備える。記憶部65は、例えばフラッシュメモリのような不揮発性メモリからなり、表示部66には例えば液晶表示器が用いられる。なお、本実施形態では利用者の体動を検出するために加速度センサ61を具備した活動量計6を用いているが、利用者の運動状態を検出するために脈拍や心拍を検出するセンサを用いてもよい。
【0032】
入力操作部64は、活動量計6の動作モードを選択するモード切替操作、表示部66に表示される表示画面でのカーソル操作や確認操作、活動量の算出に用いる個人の属性データ(例えば年齢、性別、身長、体重、目的、健康状態(既往症歴)、地域)を入力するデータ入力操作に用いられる。活動量計6の動作モードには、計測モード、データ設定モード、出力表示処理モード等があり、属性データの入力はデータ設定モードにおいて行われる。
【0033】
活動量計6の演算処理部62は、活動量計6に予め組み込まれたプログラムに基づいて、例えば利用者が歩いた歩数や消費カロリーなどを算出するためのデータ処理を行う機能を有する。入力操作部64によりデータ設定モードが選択されると、演算処理部62は、表示部66の表示を制御してデータ入力画面を表示させ、データ入力画面において上記属性データの入力を利用者に促すためのガイダンスなどを表示させる。入力操作部64を用いて属性データが入力されると、演算処理部62は入力データを記憶部65に書き込み、以後の演算処理では記憶部65から読み込んだ属性データを活動量の演算に用いる。
【0034】
また、入力操作部64により計測モードが選択されると、演算処理部62は、加速度センサ61から入力される3次元(すなわち、3方向)の加速度の検出出力に基づいて、利用者の歩数や運動強度(Mets)の算出処理を行うとともに、算出結果を記憶部65に書き込む処理を行い、且つ、算出結果を表示部66にリアルタイムで表示する。
【0035】
入力操作部64により出力表示処理モードが選択されると、演算処理部62は、記憶部65に記憶されているデータや演算処理結果に基づいて、個人の属性データや活動量の測定結果などを表示部66に表示させる。
【0036】
一方、体組成計7は、床等に載置して使用される扁平な直方体状の装置本体70を備え(図2参照)、図5に示す構成を有している。装置本体70の上面には、装置本体70に乗せられた左右の足の足裏が当接する部位にそれぞれ足裏に接触する電極部71aが配置され、装置本体70の左右方向における中央部には測定結果などを表示するための液晶表示器からなる表示部72が配置されている。
【0037】
装置本体70は、装置本体70に乗った人の体重を測定する重量センサ73と、左右の電極部71a間に微弱な電流(高周波)を流して人体の電気抵抗(生体インピーダンス)を測定する生体インピーダンス測定部71とを備える。また、体組成計7には、生体インピーダンス測定部71の測定結果をもとに測定対象者の体脂肪率を演算により求めたり、表示部72の表示を制御して重量センサ73の検出結果や体脂肪率の演算結果を表示部72の画面に表示させたりする演算処理部75が設けられる。演算処理鵜75はマイクロコンピュータを主構成要素にしている。
【0038】
さらに、体組成計7には、動作モードを選択する操作や、個人の属性データ(例えば年齢、性別、身長など)を入力する操作を行うための入力操作部74と、演算処理部75の演算結果や個人の属性データなどを記憶するための記憶部76と、ワイヤレス中継器5との間で赤外線通信を行う赤外線通信部77と、電池を電源として上述した各回路の動作に必要な所定の電圧を出力する電池電源部78とを備えている。入力操作部74が選択する動作モードには、計測モード、設定モード等があり、属性データは設定モードにおいて入力する。また、記憶部76には、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリを用いる。
【0039】
上述したように、表示装置2は、宅内網201に接続されており、宅内網101及び広域網202を介してセンターサーバ101及び映像配信サーバ102と通信可能になっているから、センターサーバ101が提供するサービスをブラウザ機能によって享受し、また映像配信サーバ102が配信する映像と音声とを出力する。一方、他動運動機器1、活動量計6、体組成計7は、それぞれワイヤレス中継器5及びネットアダプタ4を介して宅内網201に接続されており、宅内網201及び広域網202を介してセンターサーバ101と通信可能になっているから、センターサーバ101との間でデータの送受信が可能になっている。
【0040】
なお、他動運動機器1、表示装置2、ネットアダプタ4、ワイヤレス中継器5、活動量計6、体組成計7には、それぞれ個別のローカルIPアドレスが割り当てられ、ルータ3aがグローバルIPアドレスとローカルIPアドレスとの変換を行う。
【0041】
以下では、事業者Bがホームレッスンサービスというサービスを提供し、住宅Aにおいて利用者がこのサービスを利用する場合を例として説明する。
【0042】
映像配信サーバ102には、他動運動機器1を用いた複数種類の運動処方について、各々の運動内容を示す複数種類の動画映像が蓄積されているものとする。なお、映像配信サーバ102が表示装置2に表示する動画映像を配信する際に、映像配信サーバ102(又は、センターサーバ101)は、他動運動機器1に対する制御情報を同時に送信し、宅内に配置した他動運動機器1の座席部12の揺動パターンが、表示装置2の画面に表示される他動運動機器における座席部の揺動パターンに合わせるのが望ましい。他動運動機器1の座席部12の揺動パターンを決めるデータ及び揺動パターンを駆動部13に指示するプログラムは、他動運動機器1の記憶部16に予め登録されているから、制御情報はどの揺動パターンで動作させるかを指示するだけでよい。
【0043】
また、センターサーバ101は、複数種類の運動処方を紹介するウェブページを提供しており、当該ウェブページからは映像配信サーバ102に対して各運動処方に対応する映像のファイルにリンクが張られている。したがって、表示装置2のブラウザ機能を用いてウェブページから運動処方を選択すると、映像配信サーバ102において運動処方からリンクが張られることによって関係付けられている映像のファイルが表示装置2にダウンロードされる。
【0044】
利用者が他動運動機器1を使用するにあたり、ホームレッスンサービスというサービスを享受するには、まずリモコン装置2aを操作してセンターサーバ101にアクセスする。すなわち、表示装置2は、宅内網201及び広域網202を用いてセンターサーバ101にアクセスする機能を有しており、リモコン装置2aからの指示を受けるとセンターサーバ101にアクセスする。センターサーバ101は、利用者に提供可能なサービスの選択肢を有するウェブページを表示装置2の画面に表示し、選択肢からホームレッスンサービスが選択されると、運動処方を紹介するウェブページを表示装置2の画面に表示させる。この状態で表示装置2の画面に一覧できるように提示された複数種類の運動処方から所望の運動処方をリモコン装置2aを用いて選択すると、センターサーバ101では、選択された運動処方にリンクが張られている映像(動画映像)が映像配信サーバ102からダウンロードされる。
【0045】
表示装置2では、映像配信サーバ102から広域網202及び宅内網201を介してダウンロードした動画映像のファイルを記憶するメモリ(図示せず)を有し、動画映像のファイルのダウンロードが完了すると、動画の再生準備が完了したことを示すメッセージを画面上に表示する。利用者は、表示装置2の画面に再生準備の完了を示すメッセージが表示された後に、リモコン装置2aを用いて映像の再生を開始する操作を行う。リモコン装置2aから送信された再生開始要求は表示装置2に受信され、表示装置2から宅内網201及び広域網202を介してセンターサーバ101に送信される。
【0046】
センターサーバ101では、表示装置2からの再生開始要求を受信すると、表示装置2に対してダウンロードした映像のファイルの再生を開始させる映像制御信号を送信するとともに、この映像のファイルに対応した揺動パターンで他動運動機器1を揺動させるための機器制御信号を表示装置2に対応する他動運動機器1へ送信する。センターサーバ101から広域網202を経由して送信された映像制御信号はルータ3aを介して表示装置2に送信され、センターサーバ101から広域網202を経由して送信された機器制御信号はルータ3aからネットアダプタ4及びワイヤレス中継器5を介して他動運動機器1に送信される。なお、他動運動機器1と表示装置2との対応付けは住宅情報盤3においてなされている。
【0047】
映像制御信号を受信した表示装置2は映像配信サーバ102からダウンロードした映像のファイルの再生を開始する。また、他動運動機器1では、赤外線通信部14を通して機器制御信号を受信すると、機器制御信号に基づいて記憶部16から対応する揺動パターンを読み出し、読み出した揺動パターンに従って駆動部13を制御する。すなわち、他動運動機器1の運転開始をリモコン装置2aによって指示したことになり、他動運動機器1に設けた操作表示部15を操作せずに他動運動機器1の運転を開始させることができる。
【0048】
以上の動作によって、表示装置2に示された動画映像に合わせて他動運動機器1の座席部12を揺動させることができる。すなわち、センターサーバ101では、他動運動機器1が動作を開始するタイミングを制御することにより、表示装置2に表示させる動画の運動内容に他動運動機器1を追従させることができる。言い換えると、センターサーバ101は、広域網202及び宅内網201を介して接続された他動運動機器1の動作を決める制御装置として機能する。
【0049】
表示装置2による動画の再生が終了すると、他動運動機器1も動作を停止するが、利用者が同じ運動処方での運動を再度繰り返して行うことを希望する場合には、リモコン装置2aを用いて映像のファイルの再生を開始する操作を再度行えばよい。すなわち、リモコン装置2aの操作により再生開始を要求すれば、上述した動作が再度繰り返され、表示装置2に表示された動画に合わせて他動運動機器1が運転される。
【0050】
他動運動機器1は、赤外線通信部14を信号入力部および信号出力部として宅内網201を通して表示装置2と通信可能になっている。すなわち、他動運動機器1に設けた操作表示部15の表示内容は、宅内網201を通して表示装置2の画面にも転送され、表示装置2の画面に表示される。また、表示装置2に付設したリモコン装置2aを用いて他動運動機器1の動作を指示すると、宅内網201を通して他動運動機器1に指示内容が伝送され、操作表示部15の操作時と同様に他動運動機器1が動作する。
【0051】
このように、表示装置2の画面には、動画映像が表示されるほか、他動運動機器1の操作表示部15に表示される動作モード(揺動の速さや揺動の方向)や運転時間などの情報も表示される。表示装置2の画面には他動運動機器1に設けた操作表示部15から入力可能な指示内容を選択する選択肢も表示される。これらの選択肢は、リモコン装置2aの操作により表示装置2のワイヤレス受信部にワイヤレス信号を送信することによって、選択することが可能になっている。操作表示部15の表示内容は、画面分割を行うかスーパーインポーズによって動作映像とともに表示する。
【0052】
表示装置2の画面において他動運動機器1の操作表示部15の表示内容を表示し、操作表示部15からの指示内容と同様の指示内容を表示装置2のワイヤレス受信部においてリモコン装置2aから受け付けるために、他動運動機器1は、表示装置2の表示内容を提供し、かつリモコン装置2aからの指示内容を受付可能とする処理機能を有している。この処理機能は、他動運動機器1と表示装置2との間での処理になるから、宅内網201を通して実行すればよい。ただし、この処理機能をセンターサーバ101の介在する機能としてもよい。
【0053】
利用者が異なる運動処方での運動を希望する場合には、リモコン装置2aを操作してセンターサーバ101にアクセスすればよい。センターサーバ101は、利用者に提供可能な運動処方を紹介するウェブページを表示装置2の画面に表示させるから、上述した操作と同様に、表示装置2に表示された運動処方の一覧から所望の運動処方を選択するようにリモコン装置2aを操作すると、選択した運動処方での運動を行うことが可能になる。
【0054】
上述のように、表示装置2及びリモコン装置2aを用いて所望の運動処方を選択することにより、選択した運動処方に応じた揺動パターンで他動運動機器1が動作するとともに、選択した運動処方に関連付けた動画が表示装置2に表示されるので、この動画の内容として、他動運動機器1の正しい使用法のガイダンス、使用時における見本となる姿勢の映像を示すことにより、他動運動機器1を正しく使用させることが可能になり、結果的に所期の運動効果を得ることが可能になる。
【0055】
動画映像は、他動運動機器1の運転・停止に連動させて表示開始と表示停止とを行うようにしてもよい。他動運動機器1と動画映像とを連動させる構成を採用すれば、他動運動機器1の使用時に利用者が他動運動機器1の運転を一時的に停止させようとする場合に、他動運動機器1の操作表示部15において一時停止の操作を行うことにより映像も表示状態で停止し、他動運動機器1の操作表示部15において運転再開の操作を行うことにより映像も表示を再開するという動作が可能になる。
【0056】
また、他動運動機器1を利用した運動に関して運動処方を含めた提案がなされる。この提案は、図1に示すように、センターサーバ101に設けた記憶装置103に格納されており、上述した活動量計6や体組成計7により得られる情報に応じて記憶装置103から他動運動機器1を利用した運動に関する提案が選択部104で選択される。この提案は、運動処方のほか他動運動機器1を利用する際の姿勢のアドバイスなども含まれる。要するに、他動運動機器1の利用に関する提案がなされる。選択部104により選択された提案は、サービス提案部105を通して送信され、表示装置2の画面に表示される。なお、提案の内容は、必要に応じて映像配信サーバ102に蓄積した映像と連動させるようにしてもよい。
【0057】
上述のようにして、指導者の指導を受けることができない宅内のような場所で他動運動機器1を使用する場合であっても、表示装置2に表示された動画の内容に合わせて体を動かすことで、指導を受けた場合と同様に正しい姿勢で他動運動機器1を使用することができる。
【0058】
ところで、他動運動機器1と連動させて表示装置2の画面に映像を表示することができるから、運動処方に関連付けた映像を表示するだけではなく、飽きさせずに運動を継続させるための映像や運動意欲を高める映像を表示装置2に表示してもよい。
【0059】
たとえば、座席部12の揺動の速度を変化させることができる他動運動機器1を用いる場合には、揺動速度に応じて映像の変化速度を調節する。映像の速度変化は、動画映像におけるフレーム間の時間を変化させたりフレームの間引きを行うことによって対応する。また、他動運動機器1の運転開始からの時間に応じて映像の内容を変化させてもよい。たとえば、運転開始直後には利用者をリラックスさせるように自然の景色(浜辺や森林など)を表示し、疲労してくる程度の時間が経過したときには競馬の映像を表示し興奮させて意欲を高めるようにすればよい。
【0060】
なお、本実施形態では、宅内網201に接続される他動運動機器1の台数が1台の場合を例示したが、複数台の他動運動機器1を宅内網201に接続してもよい。この場合、センターサーバ101から当該複数台の他動運動機器1に同内容の機器制御信号を与えることにより、表示装置2に表示される動画の内容にすべての他動運動機器1の動作を合わせることができ、複数の利用者が他動運動機器1を用いて同内容の運動処方の運動を行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、宅内の宅内網201に広域網202を介して接続されるセンターサーバ101を他動運動機器1の動作を決める制御装置に用いているが、広域網202を用いずに宅内網201を介して接続された制御装置により他動運動機器1及び表示装置2の動作を制御してもよい。さらには、他動運動機器1に上述した記憶装置103及び選択部104の機能を設け、宅内網201に接続せずに、他動運動機器1に表示装置2を直接接続してもよい。
【0062】
上述した本実施形態では、他動運動機器1として乗馬運動を模擬する機器を例示したが、他動運動機器1は乗馬運動を模擬するものに限らず、他動運動を行わせる運動機器であればどのような構成のものでも本発明の技術思想を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態を示す要部構成図である。
【図2】同上のシステム全体の概略構成図である。
【図3】同上に用いる他動運動機器の概略ブロック図である。
【図4】同上に用いる活動量計の概略ブロック図である。
【図5】同上に用いる体組成計の概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0064】
1 他動運動機器
2 表示装置
2a リモコン装置
14 赤外線通信部(信号入力部、信号出力部)
15 操作表示部(操作部、表示部)
103 記憶装置
104 選択部
105 サービス提供部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に筋刺激を与えることにより筋活動を誘発させる他動運動機器と、他動運動機器とは別体である表示装置とを備え、他動運動装置は、付設した表示部への表示内容を表示装置に表示させる信号出力部を備えることを特徴とする他動運動システム。
【請求項2】
前記表示装置に設けたワイヤレス受信部が受信するワイヤレス信号を送信するリモコン装置が表示装置に付設され、前記他動運動装置は、付設した操作部からの指示内容と同内容の指示を表示装置のワイヤレス受信部を通してリモコン装置から受け取る信号入力部を備えることを特徴とする請求項1記載の他動運動システム。
【請求項3】
前記他動運動機器を利用した運動に関する提案を登録した記憶装置が設けられており、前記表示装置は、記憶装置から与えられる提案を表示することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の他動運動システム。
【請求項4】
前記提案は、前記他動運動機器を用いた運動処方に関する動画映像として表示されることを特徴とする請求項3記載の他動運動システム。
【請求項5】
前記他動運動機器は、利用者が着座する座席部と、座席部を揺動駆動する駆動部とを備え、乗馬運動を模擬した運動を利用者に行わせることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の他動運動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−82429(P2009−82429A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255873(P2007−255873)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)