説明

仮締切工法、仮締切構造体

【課題】 仮締切構造体の内側に支保工のない広い作業空間を容易に確保することが可能であるとともに、より短期間及び低コストな施工が可能な仮締切工法を実現する。
【解決手段】 仮締切構造体10は、橋脚52の周囲に作業空間を形成する止水壁12と、止水壁12を補強するように止水壁12の外周面の一部に設けられた補強トラス部11とを有している。補強トラス部11は、鋼材等をいわゆるトラス形状に組み合わせた構造の補強部である。仮締切構造体10は、止水壁12の外周面の補強トラス部11が設けられていない部分と補強トラス部11の外縁とで一連の円環が形成される構成を有している。仮締切構造体10は、複数の仮設リングに分断されており、積重した仮設リングを連結部13においてそれぞれ連結することによって構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中構造物を仮締切構造体で囲繞した後、仮締切構造体内を排水して、水中構造物の周囲に作業空間を形成する仮締切工法、該仮締切構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
河川等の水中に構築された既設の橋脚等の水中構造物に対して、保守、点検、補修或いは耐震補強工事等を行う工法としては、水中構造物を仮締切構造体で囲繞した後、仮締切構造体内を排水して、水中構造物の周囲に作業空間を形成する仮締切工法が公知である(例えば、特許文献1〜3を参照)。
【特許文献1】特開平11−21908号公報
【特許文献2】特開2004−316133号公報
【特許文献3】特開2005−299222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の従来技術においては、仮締切構造体内を排水してドライアップした状態で、仮締切構造体の仮締切壁体(止水壁)が河川等の水圧や水流に耐えうるように、その内部空間の広さや形状等に応じて、仮締切壁体(止水壁)の内周面と橋脚等との間に多数の支保工(腹起、切梁等)を所定間隔で多段状に設置する必要があった。このような支保工は、仮締切構造体の内部空間を狭くし、仮締切構造体の内部空間における作業の妨げになるとともに、支保工の設置及び撤去作業の分だけ施工期間が長くなり、施工費用も増加してしまうという課題があった。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、仮締切構造体の内側に支保工のない広い作業空間を容易に確保することが可能であるとともに、より短期間及び低コストな施工が可能な仮締切工法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、水中構造物を仮締切構造体で囲繞した後、前記仮締切構造体内を排水して、前記水中構造物の周囲に作業空間を形成する仮締切工法であって、前記仮締切構造体は、前記水中構造物の周囲に作業空間を形成する止水壁と、前記止水壁を補強するように前記止水壁の外周面の一部又は全周に設けられた補強トラス部とを有している、ことを特徴とした仮締切工法である。
【0006】
ここで、補強トラス部とは、鋼材等をいわゆるトラス形状に組み合わせた構造の補強部である。本発明の第1の態様に記載の仮締切工法は、止水壁の外周面に補強トラス部を設けることによって、止水壁を外側から補強して水圧や水流等に対する止水壁の強度を向上させることができる。それによって、従来のように止水壁の内側に支保工(腹起、切梁等)を設ける必要がなくなる。
【0007】
したがって、本発明の第1の態様に記載の仮締切工法によれば、仮締切構造体の止水壁の内側に支保工のない広い作業空間を容易に確保することが可能になるという作用効果が得られる。また、支保工の設置工程及び撤去工程を削減することができるので、より短期間及び低コストな施工が可能になるという作用効果が得られる。
【0008】
本発明の第2の態様は、前述した第1の態様に記載の仮締切工法において、前記補強トラス部は、排水後の前記止水壁の外周面に作用する水圧により前記止水壁に生ずる曲げモーメントを低減させるように設けられている、ことを特徴とした仮締切工法である。
このように、止水壁の外周面に作用する水圧により止水壁に生ずる曲げモーメントを低減させるように補強トラス部を設けることによって、止水壁を外側から補強して水圧や水流等に対する止水壁の強度を向上させることができる。
【0009】
本発明の第3の態様は、前述した第1の態様又は第2の態様に記載の仮締切工法において、前記仮締切構造体は、前記止水壁の外周面の前記補強トラス部が設けられていない部分と前記補強トラス部の外縁とで一連の円環が形成される構成を有している、ことを特徴とした仮締切工法である。
【0010】
このように、本発明の第3の態様に記載の仮締切工法は、止水壁の外周面と補強トラス部の外縁とで一連の円環を形成するように補強トラス部を設けることによって、水圧や水流等に対する止水壁全体の強度を合理的に向上させることができる。したがって、本発明の第3の態様に記載の仮締切工法によれば、補強トラス部を構成する鋼材等を必要最小限にすることが可能になり、それによって、より低コストな施工が可能になるという作用効果が得られる。
【0011】
本発明の第4の態様は、前述した第1〜第3の態様のいずれかに記載の仮締切工法において、前記仮締切構造体は、複数の仮設リングを積重して連結することにより構成され、前記仮設リングを水面近傍に吊持する工程と、吊持している前記仮設リングを吊持したまま所定量だけ水中に沈降させる工程と、水中に沈降させた状態で吊持している前記仮設リングの上に次の前記仮設リングを積重して連結する工程とを繰り返すことによって、前記水中構造物を前記仮締切構造体で囲繞する、ことを特徴とした仮締切工法である。
【0012】
仮締切構造体は、複数の仮設リングに分断されており、この仮設リングを積重して連結することにより構成される。そして、本発明の第4の態様に記載の仮締切工法は、この仮設リングを水面近傍に吊持し、吊持している仮設リングを吊持したまま所定量だけ水中に沈降させ、水中に沈降させた状態で吊持している仮設リングの上に次ぎの仮設リングを積重して連結することを繰り返して、水中構造物を仮締切構造体で囲繞する。つまり、本発明の第4の態様に記載の仮締切工法は、水面近傍において複数の仮設リングを1つずつ積重して連結しながら水中に沈降させていくことによって、水中構造物を囲繞する仮締切構造体を完成させる。
【0013】
すなわち、本発明の第4の態様に記載の仮締切工法によれば、水中構造物を仮締切構造体で囲繞する工程を全て水面近傍において行うことができる。それによって、例えば、橋脚周囲の水面上において、橋脚に仮設したホイスト式クレーンや台船上のミニクレーン等で仮設リングを一ずつ順次吊持及び沈降させながら積重して連結していくことができる。したがって、作業負担の大きい水中での潜水作業工程を大幅に削減することができるので、作業者の負担を大幅に低減させることができるという作用効果が得られる。
【0014】
また、水面と橋脚上の橋桁等との間の空間は、一の仮設リングが水中構造物を囲繞することができる空間があれば足りる。したがって、例えば河川の橋脚等において、水深は深いものの水面から橋桁等までの距離が短いような場合であっても、その橋桁等から水面までの距離に応じて仮設リングの高さを設定して仮締切構造体を分断し、分断した仮設リングを積重連結することによって、水中構造物を仮締切構造体で囲繞することが可能になるという作用効果が得られる。
【0015】
本発明の第5の態様は、前述した第1〜第4の態様のいずれかに記載の仮締切工法において、前記水中構造物を前記仮締切構造体で囲繞した後、止水構造体が設けられた前記止水壁の下端を前記水中構造物のフーチングに当接させ、前記止水壁の上端に下方向への押圧力を作用させて前記止水構造体を前記フーチングに押圧することで前記止水壁内を止水する止水工程を有している、ことを特徴とした仮締切工法である。
止水壁の上端は水面上にあることから、このように、止水壁の上端を押圧することで止水構造体をフーチングに押圧して止水壁内を止水することによって、水中におけるフーチングへのアンカー設置作業等が不要になる。したがって、作業負担の大きい水中での潜水作業工程を削減することができるので、作業者の負担をより低減させることができる。
【0016】
本発明の第6の態様は、前述した第5の態様に記載の仮締切工法において、前記止水壁の下端を前記水中構造物のフーチングに当接させる際に、前記止水壁の上端と下端とを連通させる連通路を介して、前記フーチングの被当接面に高圧水を噴射して異物を除去する工程を有している、ことを特徴とした仮締切工法である。
このように、フーチングの被当接面にある異物を除去してから止水壁を当接させるので、止水壁内の止水をより確実に行うことができるという作用効果が得られる。また、止水壁の上端は水面上にあることから、止水壁の上端から連通路を介して水中のフーチングの被当接面に高圧水を噴射し、その高圧水噴射によって異物を除去することによって、その異物除去作業を潜水作業で行う必要がない。したがって、作業負担の大きい水中での潜水作業工程を削減することができるので、作業者の負担をより低減させることができる。
【0017】
本発明の第7の態様は、水中構造物を仮締切構造体で囲繞した後、前記仮締切構造体内を排水して、前記水中構造物の周囲に作業空間を形成する仮締切工法における前記仮締切構造体であって、前記水中構造物の周囲に作業空間を形成する止水壁と、前記止水壁を補強するように前記止水壁の外周面の一部又は全周に設けられた補強トラス部とを有している、ことを特徴とした仮締切構造体である。
本発明の第7の態様に記載の仮締切構造体によれば、水中構造物を仮締切構造体で囲繞した後、仮締切構造体内を排水して、水中構造物の周囲に作業空間を形成する仮締切工法において、前述した第1の態様に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0018】
本発明の第8の態様は、前述した第7の態様に記載の仮締切構造体において、前記補強トラス部は、排水後の前記止水壁の外周面に作用する水圧により前記止水壁に生ずる曲げモーメントを低減させるように設けられている、ことを特徴とした仮締切構造体である。
本発明の第8の態様に記載の仮締切構造体によれば、水中構造物を仮締切構造体で囲繞した後、仮締切構造体内を排水して、水中構造物の周囲に作業空間を形成する仮締切工法において、前述した第2の態様に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0019】
本発明の第9の態様は、前述した第7の態様又は第8の態様に記載の仮締切構造体において、前記止水壁の外周面の前記補強トラス部が設けられていない部分と前記補強トラス部の外縁とで一連の円環が形成される構成を有している、ことを特徴とした仮締切構造体である。
本発明の第9の態様に記載の仮締切構造体によれば、水中構造物を仮締切構造体で囲繞した後、仮締切構造体内を排水して、水中構造物の周囲に作業空間を形成する仮締切工法において、前述した第3の態様に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0020】
本発明の第10の態様は、前述した第7〜第9の態様のいずれかに記載の仮締切構造体において、周方向へ複数のセグメントに分割されている、ことを特徴とした仮締切構造体である。
このように、仮締切構造体は、周方向へ複数のセグメントに分割されているので、水中構造物を仮締切構造体で囲繞する際には、水中構造物を囲むように当該水中構造物の周囲に各セグメントを配置した後、各セグメントを連結することによって、水中構造物を囲繞する仮締切構造体を容易に構成することができる。
【0021】
本発明の第11の態様は、水中構造物を仮締切構造体で囲繞した後、前記仮締切構造体内を排水して、前記水中構造物の周囲に作業空間を形成する仮締切工法であって、前記仮締切構造体は、複数の仮設リングを積重して連結することにより構成され、前記仮設リングを水面近傍に吊持する工程と、吊持している前記仮設リングを吊持したまま所定量だけ水中に沈降させる工程と、水中に沈降させた状態で吊持している前記仮設リングの上に次の前記仮設リングを積重して連結する工程とを繰り返すことによって、前記水中構造物を前記仮締切構造体で囲繞する、ことを特徴とした仮締切工法である。
本発明の第11の態様に記載の発明によれば、補強トラス部を有する仮締切構造体以外の仮締切構造体で水中構造物を囲繞する仮締切工法において、前述した第4の態様に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
まず、本発明に係る「仮締切構造体」について、図1〜図5を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る仮締切構造体10の要部斜視図であり、一部を断面図示したものである。図2は、仮締切構造体10の要部斜視図であり、図1と異なる角度から観た状態を図示したものである。図3は、仮締切構造体10の要部平面図である。図4は、図3の仮締切構造体10のA−A断面矢視図であり、図5は、図3の仮締切構造体10のB−B断面矢視図である。
【0024】
「水中構造物」としての既設のT型橋脚52(以下、単に橋脚52という。)は、河川や海等の底部地盤50に施工されたフーチング51上に設置されており、橋脚上部53で橋桁54を支持している。このような橋脚52に対して、保守、点検、補修或いは耐震補強工事等を行う際に使用される工法が「仮締切工法」である。この「仮締切工法」は、図示の如く橋脚52を仮締切構造体10で囲繞した後、仮締切構造体10の内部を排水して橋脚52の周囲に作業空間を形成し、その作業空間において橋脚52の保守、点検、補修或いは耐震補強工事等を行う工法である。尚、符号Wは河川等の水面の位置であり、符号Yは河川等の水流の方向である。
【0025】
本発明に係る仮締切構造体10は、橋脚52の周囲に作業空間を形成する止水壁12と、
止水壁12を補強するように止水壁12の外周面の一部に設けられた補強トラス部11とを有している。ここで、止水壁12の強度とは、主に橋脚52が設置されている河川や海等の水中における水圧や水流等に対する止水壁12の曲げ強度等をいう。また、補強トラス部11は、鋼材等をいわゆるトラス形状に組み合わせた構造の補強部である。そして、本発明に係る仮締切構造体10は、図示の如く止水壁12の外周面の補強トラス部11が設けられていない部分と補強トラス部11の外縁とで一連の円環が形成される構成を有している。
【0026】
また、本発明に係る仮締切構造体10は、複数の仮設リング10a〜10eに分断されており、積重した仮設リング10a〜10eを連結部13においてボルト15でそれぞれ連結することによって構成される(図4、図5)。止水壁12の下端には、フーチング51との当接面を止水するための止水構造体30が配設されている。切梁16は、橋脚52に対する設置後の仮締切構造体10の位置が水流等でずれてしまわないように、止水壁12の上端近傍において位置決めするためのものである。止水壁12の内部には、止水壁12の上端から下端まで連通する注入管14が設けられている(図3)。尚、この注入管14については、後述する本発明に係る「仮締切工法」の中で説明する。
【0027】
ここで、止水壁12に補強トラス部11を設けた本発明に係る仮締切構造体10の技術的意義について、図19〜図22を参照しながら説明する。
図19〜図22は、フーチング51及び橋脚52に対する止水壁12の大きさや形状等を模式的に図示した平面図である。
【0028】
フーチング51及び橋脚52は、一般的に図示の如く長方形の断面形状を有している。それに対して、橋脚52を囲繞するように配設される止水壁12は、ドライアップ後における水圧や水流等に対する強度の面からすれば、円形の断面形状、すなわち円筒体形状とするのが最も合理的であり理想的である。そのため、図19に図示したように、橋脚52の周囲に充分な作業空間を確保可能な円筒体形状の止水壁12aとした場合には、止水壁12aの一部がフーチング51より外側の地盤上にはみ出してしまうことから、水中コンクリート打設等の大掛かりな施工をしなければ止水できないという不都合が生ずる(図19)。他方、フーチング51の外側にはみ出さない円筒体形状の止水壁12bとした場合には、図示の如くドライアップ後に橋脚52の周囲に充分な作業空間を確保できないという不都合が生ずる(図19)。
【0029】
そこで、図20に図示したように、フーチング51及び橋脚52の長方形形状に合わせた形状の止水壁12cとすれば、フーチング51からはみ出さないようにしつつ橋脚52の周囲に一定の作業空間を確保することが可能である。しかし、このような形状の止水壁12cは、ドライアップ後における水圧や水流等に対する強度面で円筒体形状の止水壁12a、12bより劣るため、何らかの補強が必要となる場合が多い(図20)。
【0030】
そのため、従来は、図21に図示したように、ドライアップ後に水圧や水流等に止水壁12cが充分耐えうるように、止水壁12cの内周面と橋脚52との間に複数の支保工S(腹起、切梁等)を所定間隔で多段状に設置する必要があった。このような支保工Sは、橋脚52の周囲の作業空間を狭くするとともに、その作業空間における作業の妨げにもなる。また、支保工Sの設置及び撤去作業の分だけ施工期間が長くなり、施工費用も増加してしまうこととなる。
【0031】
このようなことから、本発明に係る仮締切構造体10は、図22に図示したように、止水壁12をフーチング51及び橋脚52の長方形形状に合わせた形状としつつ、その止水壁12の外周面の一部に補強トラス部11を設けることによって、止水壁12を外側から補強したものである。より具体的には、補強トラス部11は、排水(ドライアップ)後の止水壁12の外周面に作用する水圧により止水壁12に生ずる曲げモーメントを低減させるように設けられている。それによって、従来のように止水壁12の内周面と橋脚52との間に支保工S(図21)を設ける必要がなくなる。
【0032】
このようにして、本発明に係る仮締切構造体10は、橋脚52の周囲に支保工Sのない広い作業空間を容易に確保することが可能になる。また、本発明に係る仮締切構造体10は、支保工Sの設置工程及び撤去工程を削減することができるので、より短期間及び低コストな施工が可能になる。さらに、止水壁12内の作業空間の広狭による制約が生じなくなるので、例えば、RC巻立、鉄板巻立、炭素繊維巻立等、橋脚補強工法の選択幅が広がるというメリットがある。
【0033】
そして、補強トラス部11は、橋脚52の周囲の作業空間を形成する止水壁12の外側にあるため、フーチング51の面積や形状等に関わりなく、その形状や配置等を自由に設定することが可能である。したがって、フーチング51や橋脚52の形状等に制約される止水壁12の断面形状等に応じて適切な補強効果が得られるように、補強トラス部11の形状や配置を設定することが可能であり、それによって、様々な形状のフーチング51及び橋脚52等の水中構造物に柔軟に対応した仮締切構造体10を実現することができる。
さらに、本発明に係る仮締切構造体10は、図22に図示したように、止水壁12の外周面の補強トラス部11が設けられていない部分と補強トラス部11の外縁とで一連の円環が形成される構成とするのが好ましい。このような構成とすることによって、本発明に係る仮締切構造体10は、ドライアップ後における水圧や水流等に対する止水壁12全体の強度を合理的に向上させることができるので、補強トラス部11を構成する鋼材等を必要最小限にすることが可能になり、それによって、より低コストな「仮締切工法」による施工が可能になる。
【0034】
尚、本発明に係る仮締切構造体10は、補強トラス部11を止水壁12に予め設けてから複数の仮設リング10a〜10eに分断しても良いし、止水壁12を複数の仮設リング10a〜10eに分断した後に仮設リング10a〜10eのそれぞれに補強トラス部11を設けるようにしても良い。また、止水壁12は、鋼材、その他の金属材、コンクリート、鋼材とコンクリートとの合成材等、どのような材質のものであっても本発明の実施は可能であることは言うまでもない。
【0035】
また、本発明に係る「仮締切構造体」の他の実施例としては、図23に図示したように、止水壁12の外周面の全周にわたって補強トラス部11を設けることもできる。
【0036】
図23は、本発明に係る仮締切構造体10の他の実施例を図示した要部平面図である。
例えば、フーチング51上に設置されている橋脚52が円柱体形状である場合等、止水壁12を図示の如く正方形の断面形状を有する函体とすることが可能な場合もある。このような場合には、図示の如く止水壁12の外周面の全周にわたって補強トラス部11を設けても良い。それによって、止水壁12を外側から全周にわたって四辺を均等に補強して、水圧や水流等に対する止水壁12の強度を向上させることができるので、止水壁12内に橋脚52の周囲に支保工等のない広い作業空間を容易に確保することが可能になる。また、止水壁12の外周面のうち、水深の深い川底の近傍等、一定以上の水圧が作用する範囲にだけ全周にわたって補強トラス部11を設けるようにしても良い。
尚、当該実施例における仮締切構造体10は、止水壁12が円筒体形状である点及び補強トラス部11が止水壁12の外周面の全周にわたって設けられている点以外は、図1〜図5に図示した仮締切構造体10と同じ構成である。
【0037】
つづいて、本発明に係る「仮締切工法」について、図6〜図18を参照しながら説明する。図6〜図18は、本発明に係る「仮締切工法」の各工程を図示したものである。
【0038】
図6は、設置基面の整形工程及びブラケット21の設置工程を図示した正面図であり、図7は、その平面図である。
まず、公知のポンプ浚渫船等(図示せず)によって、フーチング51の上面部分の地盤50を浚渫し、仮締切構造体10の設置基面となるフーチング51の上面を露出させる(図6)。つづいて、脚頭部(橋脚52の水面Wより上の部分)の周囲に、図示の如く複数のブラケット21を配設する。各ブラケット21には、前記の仮設リング10a〜10e(図4、図5)を吊持可能なホイスト式クレーン22が配設されている。
【0039】
図8は、仮設リング10aの組み立て工程を図示した正面図であり、図9は、その平面図である。
仮締切構造体10は、前記の通り、複数の仮設リング10a〜10eに分断されており、仮設リング10a〜10eを積重して連結することによって構成される。そして、仮設リング10aは、図9に図示したように、直交するC−C線とD−D線とで4つのセグメント101〜104にさらに等分割されており、他の仮設リング10b〜10eも同様である。尚、図面を見やすくして本発明の理解を容易にするため、仮設リング10a〜10e及びセグメント101〜104は、適宜断面図示することとし、以下同様とする。
【0040】
本発明に係る「仮締切工法」においては、まず、仮設リング10aのセグメント101〜104を台船62で橋脚52の近傍へ運搬し、ホイスト式クレーン22及び台船62上のミニクレーン61で吊持しながら、水面W上で橋脚52を囲繞するように連結して最初の仮設リング10aを組み立てる(図8)。組み立て後の仮設リング10aは、ホイスト式クレーン22で吊持状態を維持する。
【0041】
図10は、組み立て後の仮設リング10aの沈降工程を図示した正面図である。
つづいて、ホイスト式クレーン22で水面W近傍に吊持された状態にある仮設リング10aを、ホイスト式クレーン22で吊持したまま所定量だけ水中に沈降させる。より具体的には、沈降後の仮設リング10aの上で次の仮設リング10bを組み立てる作業を水面Wより上で行うことが可能なように、例えば、仮設リング10aの高さ分だけ水中に沈降させれば良い。
【0042】
図11は、次の仮設リング10bの組み立て工程を図示した正面図である。
水中に沈降させた状態で吊持している仮設リング10aの周囲に、次の仮設リング10bのセグメント101〜104を台船62で運搬する。運搬したセグメント101〜104を、ホイスト式クレーン22及び台船62上のミニクレーン61で吊持しながら橋脚52を囲繞するように連結して、仮設リング10aの上に積重するように次の仮設リング10bを組み立てる。そして、仮設リング10aとその上に組み立てた仮設リング10bとを、止水部材を介在させる等の止水処理を施してボルト連結し、ホイスト式クレーン22で吊持状態を維持する。
【0043】
図12は、組み立て後の仮設リング10bの沈降工程を図示した正面図である。
つづいて、ホイスト式クレーン22で水面W近傍に吊持された状態にある連結後の仮設リング10a及び仮設リング10bを、ホイスト式クレーン22で吊持したまま所定量だけ水中に沈降させる。より具体的には、沈降後の仮設リング10bの上で次の仮設リング10cを組み立てる作業を水面Wより上で行うことが可能なように、例えば、仮設リング10bの高さ分だけ水中に沈降させれば良い。
【0044】
以下、仮設リング10c〜10eについても同様にして、組み立て工程(図11)及び水中への沈降工程(図12)を繰り返して、橋脚52を囲繞する仮締切構造体10を完成させる。そして、完成した仮締切構造体10がホイスト式クレーン22で吊持された状態を維持する。尚、仮設リング10a〜10eは、セグメント101〜104の連結部分が千鳥組となるように構成するのが好ましく、それによって、仮締切構造体10の全体の強度及び安定性をより向上させることができる。
【0045】
図13は、完成した仮締切構造体10の沈設及び当接工程を図示した正面図である。
完成した仮締切構造体10をホイスト式クレーン22で吊持した状態のまま、仮締切構造体10の下端に配設されている止水構造体30がフーチング51の上面に当接するように沈設させる。その際に、仮締切構造体10の止水壁12に設けられている「連通路」としての注入管14(図3)を利用して、フーチング51の定着面(止水壁12の下端が当接する被当接面)を洗浄(沈殿土砂等の異物の除去)する。より具体的には、止水壁12の上端から下端まで連通する注入管14内に、符号Jで示したように上端側から水を高圧噴射することにより、止水壁12の下端側に高圧水流を発生させ、その高圧水流で前記定着面にある沈殿土砂等を吹き飛ばして除去する。
【0046】
このように、フーチング51の定着面にある異物を除去してから止水壁12を当接させるので、止水壁12内の止水をより確実に行うことができる。また、止水壁12の上端は水面Wの上にあることから、止水壁12の上端から注入管14を介してフーチング51の定着面に高圧水を噴射し、その高圧水噴射によって異物を除去することによって、その異物除去作業を水面Wより上で行うことができる。つまり、定着面の異物除去作業を潜水作業で行う必要がない。したがって、作業負担の大きい水中での潜水作業工程を削減することができるので、作業者の負担をより低減させることができる。
【0047】
図14は、フーチング51の定着面に止水構造体30を押圧する押圧工程を図示した正面図である。図15は、止水壁12の止水構造体30が配設された部分を図示した要部平面図である。
ホイスト式クレーン22で吊持した状態のまま止水構造体30がフーチング51の上面に当接するように沈設された仮締切構造体10に対して、止水壁12の上端をブラケット21に配設したジャッキ23で下方向へ押圧することで、止水構造体30をフーチング51の定着面に押圧し、それによって、止水壁12内を止水する(図14)。止水壁12の上端は水面Wより上にあることから、止水壁12の上端を押圧することで止水構造体30をフーチング51の定着面に押圧して止水壁12内を止水することによって、止水作業を水面Wより上で行うことができる。つまり、水中におけるフーチング51へのアンカー設置作業等が不要になる。したがって、作業負担の大きい水中での潜水作業工程を削減することができるので、作業者の負担をより低減させることができる。
【0048】
止水構造体30は、止水壁12の下端に沿って配設される第1環状弾性体32と第1環状弾性体32の外側に配設される第2環状弾性体33とからなる二重環止水構造を有している(図15(a))。止水壁12の下端にある注入管14の出口は、第1環状弾性体32と第2環状弾性体33との間に設けられている(図15(a))。第1環状弾性体32及び第2環状弾性体33は、ゴム材等の弾性体を環状に成形する等した止水パッキンであり、フーチング51の定着面に押圧されることによって、押しつぶされるように柔軟に変形しながら定着面に密着し、その内側が密閉される。また、第1環状弾性体32及び第2環状弾性体33は、セグメント101〜104に対応して分割されており、その継ぎ目部分は、図15(b)及び図15(c)に図示したように、一端側の凹部に他端側の凸部が嵌合して接合されるようになっている。
【0049】
このように、弾性体(第1環状弾性体32及び第2環状弾性体33)からなる止水構造体30をフーチング51の定着面に押圧することによって止水壁12の下端とフーチング51の定着面との間の止水を行うので、水中コンクリート打設等を行う必要がなく、作業負担が大きく工期の長期化要因となる潜水作業工程を大幅に削減することができる。したがって、作業者の作業負担を軽減することができるとともに工期を短縮することができる。また、止水構造体30を第1環状弾性体32と第2環状弾性体33とからなる二重環止水構造とすることによって、止水壁12の下端とフーチング51の定着面との間の止水をより確実に行うことができる。
【0050】
図16は、押圧状態の第1環状弾性体32と第2環状弾性体33との間に充填材を注入する注入工程を図示した正面図である。図17は、仮締切構造体10の止水構造体30の一部を拡大図示した正面図である。
止水構造体30は、図示の如く、止水壁12の下端に配設される支持フレーム31に第1環状弾性体32及び第2環状弾性体33がボルト結合されて配設された構成を有している(図17)。フーチング51の定着面に押圧された状態の第1環状弾性体32及び第2環状弾性体33は、図示の如く下端が押しつぶされるように柔軟に変形してフーチング51の定着面に密着する。
【0051】
止水構造体30をフーチング51の定着面に押圧した状態で、止水壁12の最上部の内周面と橋脚52との間に切梁16を設置し、橋脚52に対する設置後の仮締切構造体10の位置が水流等でずれてしまわないように位置決めする(図16)。この状態から、符号Eで示したように、止水壁12の上端側から注入管14を介して、止水壁12の下端側にある止水構造体30の第1環状弾性体32と第2環状弾性体33との間の空間34に充填材を注入する。
【0052】
ここで、充填材とは、パイプ等を介して注入可能な液体状やペースト状の材料であり、水と反応する等によってゴム状に固化するものである。注入後の充填材は、第1環状弾性体32と第2環状弾性体33との間の空間34において、フーチング51の表面凹凸に沿った形状でゴム状に固化するので、第1環状弾性体32及び第2環状弾性体33と一体的に止水効果を発揮し、極めて高い止水効果が得られる。それによって、止水壁12の下端とフーチング51の定着面との間の止水をより確実かつ強固に行うことができるので、適用水深の深い仮締切工法を実現することができる。
【0053】
また、第1環状弾性体32と第2環状弾性体33との間の密閉された空間34には水が存在することから、そのままでは充填材の注入がスムーズに行えない可能性がある。そこで、第1環状弾性体32と第2環状弾性体33との間の空間34に充填材を注入する前に、或いは空間34に充填材を注入しながら、水排出管17を介して空間34にある水を排出する作業を行う。それによって、よりスムーズで確実な充填材の注入が可能になる。尚、空間34の水排出作業は、専用の水排出管17を設けずに複数ある注入管14の一部を利用して行うようにしても良い。
【0054】
図18は、止水壁12内のドライアップ工程を図示した正面図である。
止水構造体30の第1環状弾性体32と第2環状弾性体33との間の空間34に充填材を注入した後、止水壁12内を排水(符号F)してドライアップする。それによって、止水壁12内の橋脚52の周辺に作業空間を形成することができる。
【0055】
以上説明したように、本発明に係る「仮締切工法」によれば、水面W上で橋脚52を囲繞するように仮設リング10a〜10eを順次1つずつ組み立てて吊持して水中に沈降させる工程(図8〜図12)を繰り返すことによって、橋脚52を囲繞するように仮締切構造体10を完成させるので、橋脚52を仮締切構造体10で囲繞する作業工程を全て水面Wの近傍において行うことができる。したがって、作業負担の大きい水中での潜水作業工程を大幅に削減することができるので、作業者の負担を大幅に低減させることができる。
【0056】
また、水面Wから橋桁54までの空間は、一の仮設リングが橋脚52を囲繞することができる空間があれば足りる。したがって、例えば、水深は深いものの水面Wから橋桁54までの距離が短いような場合であっても、橋桁54から水面Wまでの距離に応じて仮設リング10a〜10eの高さを設定して仮締切構造体10を分断し、分断した仮設リング10a〜10eを積重連結することによって、橋脚52を仮締切構造体10で囲繞する作業工程を全て水面Wの近傍において行うことができる。
【0057】
さらに、仮締切構造体10を構成する仮設リング10a〜10eは、周方向へ4つのセグメント101〜104に分割されているので、橋脚52を仮締切構造体10で囲繞する際には、橋脚52を囲むように橋脚52の周囲にセグメント101〜104を配置した後にセグメント101〜104を連結することによって、橋脚52を囲繞する仮締切構造体10を容易に構成することができる。
【0058】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る仮締切構造体の要部斜視図である。
【図2】本発明に係る仮締切構造体の要部斜視図である。
【図3】仮締切構造体の要部平面図である。
【図4】仮締切構造体のA−A断面矢視図である。
【図5】仮締切構造体のB−B断面矢視図である。
【図6】設置基面の整形工程及びブラケットの設置工程を図示した正面図である。
【図7】設置基面の整形工程及びブラケットの設置工程を図示した平面図である。
【図8】仮設リングの組み立て工程を図示した正面図である。
【図9】仮設リングの組み立て工程を図示した平面図である。
【図10】組み立て後の仮設リングの沈降工程を図示した正面図である。
【図11】次の仮設リングの組み立て工程を図示した正面図である。
【図12】組み立て後の仮設リングの沈降工程を図示した正面図である。
【図13】完成した仮締切構造体の沈設及び当接工程を図示した正面図である。
【図14】フーチングの定着面に止水構造体を押圧する押圧工程の正面図である。
【図15】止水壁の止水構造体が配設された部分を図示した要部平面図である。
【図16】止水構造体に充填材を注入する注入工程を図示した正面図である。
【図17】仮締切構造体の止水構造体の一部を拡大図示した正面図である。
【図18】止水壁内のドライアップ工程を図示した正面図である
【図19】フーチング及び橋脚に対する止水壁の形状等を図示した平面図である。
【図20】フーチング及び橋脚に対する止水壁の形状等を図示した平面図である。
【図21】フーチング及び橋脚に対する止水壁の形状等を図示した平面図である。
【図22】フーチング及び橋脚に対する止水壁の形状等を図示した平面図である。
【図23】本発明に係る仮締切構造体の他の実施例を図示した要部平面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 仮締切構造体、11 補強トラス部、12 止水壁、13 連結部、14 注入管、17 水排出管、21 ブラケット、22 ホイスト式クレーン、23 ジャッキ、30 止水構造体、32 第1環状弾性体、33 第2環状弾性体、50 地盤、51 フーチング、52 橋脚、61 ミニクレーン、62 台船、101〜104 セグメント、10a〜10e 仮設リング、W 水面、Y 水流方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中構造物を仮締切構造体で囲繞した後、前記仮締切構造体内を排水して、前記水中構造物の周囲に作業空間を形成する仮締切工法であって、
前記仮締切構造体は、前記水中構造物の周囲に作業空間を形成する止水壁と、前記止水壁を補強するように前記止水壁の外周面の一部又は全周に設けられた補強トラス部とを有している、ことを特徴とした仮締切工法。
【請求項2】
請求項1に記載の仮締切工法において、前記補強トラス部は、排水後の前記止水壁の外周面に作用する水圧により前記止水壁に生ずる曲げモーメントを低減させるように設けられている、ことを特徴とした仮締切工法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の仮締切工法において、前記仮締切構造体は、前記止水壁の外周面の前記補強トラス部が設けられていない部分と前記補強トラス部の外縁とで一連の円環が形成される構成を有している、ことを特徴とした仮締切工法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の仮締切工法において、前記仮締切構造体は、複数の仮設リングを積重して連結することにより構成され、
前記仮設リングを水面近傍に吊持する工程と、
吊持している前記仮設リングを吊持したまま所定量だけ水中に沈降させる工程と、
水中に沈降させた状態で吊持している前記仮設リングの上に次の前記仮設リングを積重して連結する工程とを繰り返すことによって、前記水中構造物を前記仮締切構造体で囲繞する、ことを特徴とした仮締切工法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の仮締切工法において、前記水中構造物を前記仮締切構造体で囲繞した後、止水構造体が設けられた前記止水壁の下端を前記水中構造物のフーチングに当接させ、前記止水壁の上端に下方向への押圧力を作用させて前記止水構造体を前記フーチングに押圧することで前記止水壁内を止水する止水工程を有している、ことを特徴とした仮締切工法。
【請求項6】
請求項5に記載の仮締切工法において、前記止水壁の下端を前記水中構造物のフーチングに当接させる際に、前記止水壁の上端と下端とを連通させる連通路を介して、前記フーチングの被当接面に高圧水を噴射して異物を除去する工程を有している、ことを特徴とした仮締切工法。
【請求項7】
水中構造物を仮締切構造体で囲繞した後、前記仮締切構造体内を排水して、前記水中構造物の周囲に作業空間を形成する仮締切工法における前記仮締切構造体であって、
前記水中構造物の周囲に作業空間を形成する止水壁と、前記止水壁を補強するように前記止水壁の外周面の一部又は全周に設けられた補強トラス部とを有している、ことを特徴とした仮締切構造体。
【請求項8】
請求項7に記載の仮締切構造体において、前記補強トラス部は、排水後の前記止水壁の外周面に作用する水圧により前記止水壁に生ずる曲げモーメントを低減させるように設けられている、ことを特徴とした仮締切構造体。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の仮締切構造体において、前記止水壁の外周面の前記補強トラス部が設けられていない部分と前記補強トラス部の外縁とで一連の円環が形成される構成を有している、ことを特徴とした仮締切構造体。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載の仮締切構造体において、周方向へ複数のセグメントに分割されている、ことを特徴とした仮締切構造体。
【請求項11】
水中構造物を仮締切構造体で囲繞した後、前記仮締切構造体内を排水して、前記水中構造物の周囲に作業空間を形成する仮締切工法であって、前記仮締切構造体は、複数の仮設リングを積重して連結することにより構成され、前記仮設リングを水面近傍に吊持する工程と、吊持している前記仮設リングを吊持したまま所定量だけ水中に沈降させる工程と、水中に沈降させた状態で吊持している前記仮設リングの上に次の前記仮設リングを積重して連結する工程とを繰り返すことによって、前記水中構造物を前記仮締切構造体で囲繞する、ことを特徴とした仮締切工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−297748(P2008−297748A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143132(P2007−143132)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000148346)株式会社錢高組 (67)
【出願人】(000231110)JFE建材株式会社 (150)