説明

会計処理装置、会計処理方法およびプログラム

【課題】 仕訳明細データを管理単位別に把握し、財務会計帳票や管理会計帳票などを短時間で出力できるようにすること。
【解決手段】 入出力部1から入力された仕訳明細から、データ処理部2が明細データを作成するための管理単位別明細作成キーを設定し、管理単位別明細作成キーで、補助記憶部3の各情報を参照しながら、仕訳明細から実績明細を作成し、蓄積して明細データを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕訳明細データを容易に集計できるように管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の管理会計および財務会計システムでは、財務会計および管理会計の各帳票を作成する際に、必要な明細を作成する必要があった。
【0003】
一方、近年、経営分析や事業遂行状況を把握するために、即時に管理会計や財務会計の帳票を出力することに対する要望が増えてきた。
【0004】
また、コンピュータの記憶容量が増大し、会計期間内の管理会計明細や財務会計明細などの膨大なデータを記憶することが可能となってきている。
【0005】
ここで、金額データと、医業収入・医業外収入の別、保険の適用・不適用の別等の金額の属性を示す属性情報とからなる単位データを格納する第1ファイルと、複数の金額データ及び該複数の金額データと同じ単位データに含まれる属性情報に基づいて、入金時期を設定しつつ指標別に会計処理して第1指標別金額を算出するCPUと、この算出結果を算出に用いた単位データに対応付けて格納する第2ファイルとを備えることで、財務会計のみならず管理会計を効率よく実行し、しかも診療科、診療行為等にブレークダウンしての収益・損益分析を行うことができる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−325354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来例においては次のような問題点があった。
【0007】
財務会計および管理会計の各帳票を作成する際に、必要な明細を作成するため、帳票出力に時間が掛かっていた。
【0008】
本発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、仕訳明細データを管理単位別に把握し、財務会計帳票や管理会計帳票などを短時間で出力できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、明細データを作成するための管理単位別明細作成キーを設定する手段と、
管理単位別明細作成キーで、組織の識別と上下組織間の関係、科目の識別や上下科目間の関係、科目内訳の識別や科目内訳間の関係、管理項目の識別や管理項目間の関係、データ種別などの各情報を参照しながら、仕訳明細から実績明細データを作成する手段と、
前記実績明細データを蓄積して前記明細データを作成する手段と
を備える会計処理装置を提供する。
【0010】
また、本発明は、管理会計明細と財務会計明細を作成するための管理単位別明細作成キーを設定する手段と、
管理単位別明細作成キーで、組織の識別と上下組織間の関係、科目の識別や上下科目間の関係、科目内訳の識別や科目内訳間の関係、管理項目の識別や管理項目間の関係、データ種別などの各情報を参照しながら、仕訳明細から管理会計実績明細と財務会計実績明細を作成する手段と、
前記管理会計実績明細を蓄積して前記管理会計明細を作成する手段と、
前記財務会計実績明細を蓄積して前記財務会計明細を作成する手段と
を備える会計処理装置を提供する。
【0011】
また、本発明は、明細データを作成するための管理単位別明細作成キーを設定するステップと、
管理単位別明細作成キーで、組織の識別と上下組織間の関係、科目の識別や上下科目間の関係、科目内訳の識別や科目内訳間の関係、管理項目の識別や管理項目間の関係、データ種別などの各情報を参照しながら、仕訳明細から実績明細データを作成するステップと、
前記実績明細データを蓄積して前記明細データを作成するステップと
を有する会計処理方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、管理会計明細と財務会計明細を作成するための管理単位別明細作成キーを設定するステップと、
管理単位別明細作成キーで、組織の識別と上下組織間の関係、科目の識別や上下科目間の関係、科目内訳の識別や科目内訳間の関係、管理項目の識別や管理項目間の関係、データ種別などの各情報を参照しながら、仕訳明細から管理会計実績明細と財務会計実績明細を作成するステップと、
前記管理会計実績明細を蓄積して前記管理会計明細を作成するステップと、
前記財務会計実績明細を蓄積して前記財務会計明細を作成するステップと
を有する会計処理方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、コンピュータに、
明細データを作成するための管理単位別明細作成キーを設定させる機能と、
管理単位別明細作成キーで、組織の識別と上下組織間の関係、科目の識別や上下科目間の関係、科目内訳の識別や科目内訳間の関係、管理項目の識別や管理項目間の関係、データ種別などの各情報を参照しながら、仕訳明細から実績明細データを作成させる機能と、
前記実績明細データを蓄積して前記明細データを作成させる機能と
を実現させるプログラムを提供する。
【0014】
また、本発明は、コンピュータに、
管理会計明細と財務会計明細を作成するための管理単位別明細作成キーを設定させる機能と、
管理単位別明細作成キーで、組織の識別と上下組織間の関係、科目の識別や上下科目間の関係、科目内訳の識別や科目内訳間の関係、管理項目の識別や管理項目間の関係、データ種別などの各情報を参照しながら、仕訳明細から管理会計実績明細と財務会計実績明細を作成するステップと、
前記管理会計実績明細を蓄積して前記管理会計明細を作成させる機能と、
前記財務会計実績明細を蓄積して前記財務会計明細を作成させる機能と
を実現させるプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、仕訳明細データを管理単位別に把握し、財務会計帳票や管理会計帳票などを短時間で出力できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には、同一の符号が付されている。
【0017】
図1を参照すると、本実施の形態における会計処理装置は、入出力部1と、データ処理部2と、補助記憶部3とから構成されている。
【0018】
入出力部1は、マスタの入力処理や処理の指示および通知を行う機能を有している。
【0019】
データ処理部2は、読込んだデータを処理する機能を有している。キーマスタ登録処理(ST21)で管理単位別明細作成キーを設定し、仕訳明細データを使って、実績明細作成処理(ST22)、管理会計明細作成処理(ST23)および財務会計明細作成処理(ST24)の一連の処理をすることにより、管理単位別明細を作成し、会計期間蓄積する。
【0020】
補助記憶部3は、処理したデータを記憶する機能を有している。キーマスタ31と、組織・組織情報マスタ32と、科目・科目情報マスタ33と、補助・補助情報マスタ34と、管理・管理情報マスタ35とを備え、さらに、仕訳明細データ36と、管理会計実績明細データ37と、財務会計実績明細データ38と、管理会計明細データ39と、財務会計明細データ40とが格納されている。
【0021】
なお、会計処理装置は、既知の構成として、操作入力部と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、通信インタフェースと、表示部と、HD(Hard Disk)と、CPU(Central Processing Unit)とを備え、これらの各部はバスによって接続されている。
【0022】
操作入力部は、キーボードやマウスなどを備え、これらのキーボードやマウスの操作に応じた操作信号をCPUに出力する。ROMには、装置各部の基本制御を司るプログラムが格納されている。また、RAMは、CPUのワークエリアとして用いられ、CPUにより実行されるプログラムや、各種データが一時的に格納される。
【0023】
通信インタフェースは、ネットワークに接続されると、当該会計処理装置とインターネットなどを介した通信装置との間で行われるデータ通信を制御する。また、表示部は、CRT(Cathode-Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などである。
【0024】
HDには、オペレーティングシステムなどの当該会計処理装置を制御するための各種ソフトウェアが格納されている。
【0025】
次に、本実施形態の動作について説明する。図2に示すような各種の取引がなされた場合を前提とする。
【0026】
まず、上記のキーマスタ登録処理(ST21)では、図3に示すように、キーマスタ登録画面より管理会計用と財務会計用の明細作成のための明細作成キーとして、「取引年月日」は会計期間、「科目」は管理する科目の条件、「補助」は得意先・仕入先・組織名等の科目内訳の条件、「管理」は商品・担当者等の科目内訳の条件、「データ種別」は会計・予算・配賦データ種別などの管理するデータ区分の条件等をキーマスタ31に登録する。
【0027】
キーマスタ31は、管理単位別のキー情報を持つものである。ここで、<管理単位別明細作成キー>は、管理単位として明細作成キー項目があり、管理会計用には、取引年月日/組織/科目/補助/管理/データ種別があり、また、財務会計用には、取引年月日/組織/科目/補助/データ種別分がある。このように複数の項目(属性)をキーとして定義する。
【0028】
図3に示す例では、管理会計用明細の「科目」は全て、「補助」は全て、「管理」は全て、「データ種別」は会計・予算・配賦、「取引年月日」は会計期間がそれぞれ設定登録されている。また、財務会計用明細の「科目」は内部取引勘定以外の科目、「補助」は得意先・仕入先のみ、「管理」は未使用、「データ種別」は会計・配賦のみ、「取引年月日」は会計期間がそれぞれ設定登録されている。
【0029】
次に、上記の実績残高作成処理(ST22)では、図4に示すように、キーマスタ31に設定した管理単位別明細作成キーで、仕訳明細データ36を集計・加工し、財務会計実績明細データ38および管理会計実績明細データ37を作成する。
【0030】
仕訳明細データ36で発生しない売上総利益、PL当期純利益などの集計科目は、科目マスタ33−1や科目情報マスタ33−2で科目識別や科目間の関係を参照して、また、得意先計・仕入先計・組織計などの仕訳集計項目は、補助マスタ34−1や補助情報マスタ34−2で補助識別や補助間の関係を参照して、また、商品計・担当者計などの管理集計項目は、管理マスタ35−1や管理情報マスタ35−2の管理識別や管理間の関係を参照しながら、仕訳明細データ36を集計し、財務会計実績明細データ38および管理会計実績明細データ37を作成する。
【0031】
次に、上記の管理会計明細作成処理(ST23)では、図5に示すように、管理会計実績明細データ37を会計期間、累積し、管理会計明細データ39を作成する。
【0032】
ステップST23と同様に、上記の財務会計明細作成処理(ST24)では、図6に示すように、財務会計実績明細データ38を会計期間、累積し、財務会計明細データ40を作成する。
【0033】
上記の実施の形態によれば、取引・費用・予算・配賦・決算などの仕訳データが発生する都度、リアルタイムで仕訳明細データが作成され、管理会計用と財務会計用の明細が準備されることにより、即時に管理会計や財務会計の帳票出力が可能となる。
【0034】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、上記の実施の形態における会計処理装置の機能を実現するためのプログラムを各部に読込ませて実行することにより本装置の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線などを介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0035】
上述する各実施の形態は、各機能が1つのコンピュータシステムとして実現されている構成について説明したが、機能毎に複数のサーバ装置などが追加されたシステム構成にも適用可能であることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態における会計処理装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態における会計処理の基礎となる取引の概要を示す図である。
【図3】キーマスタ登録処理について説明する図である。
【図4】実績明細作成処理について説明する図である。
【図5】管理会計明細作成処理について説明する図である。
【図6】財務会計明細作成処理について説明する図である。
【符号の説明】
【0037】
1 入出力部
2 データ処理部
3 補助記憶部
31 キーマスタ
32 組織・組織情報マスタ
33 科目・科目情報マスタ
34 補助・補助情報マスタ
35 管理・管理情報マスタ
36 仕訳明細データ
37 管理会計実績明細データ
38 財務会計実績明細データ
39 管理会計明細データ
40 財務会計明細データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細データを作成するための管理単位別明細作成キーを設定する手段と、
管理単位別明細作成キーで、組織の識別と上下組織間の関係、科目の識別や上下科目間の関係、科目内訳の識別や科目内訳間の関係、管理項目の識別や管理項目間の関係、データ種別などの各情報を参照しながら、仕訳明細から実績明細データを作成する手段と、
前記実績明細データを蓄積して前記明細データを作成する手段と
を備えることを特徴とする会計処理装置。
【請求項2】
管理会計明細と財務会計明細を作成するための管理単位別明細作成キーを設定する手段と、
管理単位別明細作成キーで、組織の識別と上下組織間の関係、科目の識別や上下科目間の関係、科目内訳の識別や科目内訳間の関係、管理項目の識別や管理項目間の関係、データ種別などの各情報を参照しながら、仕訳明細から管理会計実績明細と財務会計実績明細を作成する手段と、
前記管理会計実績明細を蓄積して前記管理会計明細を作成する手段と、
前記財務会計実績明細を蓄積して前記財務会計明細を作成する手段と
を備えることを特徴とする会計処理装置。
【請求項3】
仕訳明細が発生する都度、設定された前記管理単位別明細作成キーで前記仕訳明細を集計し、前記管理会計用明細と前記財務会計用明細を作成し、会計期間管理単位別に明細を蓄積することを特徴とする請求項2記載の会計処理装置。
【請求項4】
明細データを作成するための管理単位別明細作成キーを設定するステップと、
管理単位別明細作成キーで、組織の識別と上下組織間の関係、科目の識別や上下科目間の関係、科目内訳の識別や科目内訳間の関係、管理項目の識別や管理項目間の関係、データ種別などの各情報を参照しながら、仕訳明細から実績明細データを作成するステップと、
前記実績明細データを蓄積して前記明細データを作成するステップと
を有することを特徴とする会計処理方法。
【請求項5】
管理会計明細と財務会計明細を作成するための管理単位別明細作成キーを設定するステップと、
管理単位別明細作成キーで、組織の識別と上下組織間の関係、科目の識別や上下科目間の関係、科目内訳の識別や科目内訳間の関係、管理項目の識別や管理項目間の関係、データ種別などの各情報を参照しながら、仕訳明細から管理会計実績明細と財務会計実績明細を作成するステップと、
前記管理会計実績明細を蓄積して前記管理会計明細を作成するステップと、
前記財務会計実績明細を蓄積して前記財務会計明細を作成するステップと
を有することを特徴とする会計処理方法。
【請求項6】
仕訳明細が発生する都度、設定された前記管理単位別明細作成キーで前記仕訳明細を集計し、前記管理会計用明細と前記財務会計用明細を作成し、会計期間管理単位別に明細を蓄積することを特徴とする請求項5記載の会計処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
明細データを作成するための管理単位別明細作成キーを設定させる機能と、
管理単位別明細作成キーで、組織の識別と上下組織間の関係、科目の識別や上下科目間の関係、科目内訳の識別や科目内訳間の関係、管理項目の識別や管理項目間の関係、データ種別などの各情報を参照しながら、仕訳明細から実績明細データを作成させる機能と、
前記実績明細データを蓄積して前記明細データを作成させる機能と
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
管理会計明細と財務会計明細を作成するための管理単位別明細作成キーを設定させる機能と、
管理単位別明細作成キーで、組織の識別と上下組織間の関係、科目の識別や上下科目間の関係、科目内訳の識別や科目内訳間の関係、管理項目の識別や管理項目間の関係、データ種別などの各情報を参照しながら、仕訳明細から管理会計実績明細と財務会計実績明細を作成するステップと、
前記管理会計実績明細を蓄積して前記管理会計明細を作成させる機能と、
前記財務会計実績明細を蓄積して前記財務会計明細を作成させる機能と
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
仕訳明細が発生する都度、設定された前記管理単位別明細作成キーで前記仕訳明細を集計させ、前記管理会計用明細と前記財務会計用明細を作成させ、会計期間管理単位別に明細を蓄積させることを特徴とする請求項8記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−11567(P2007−11567A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189848(P2005−189848)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(390001395)エヌイーシーシステムテクノロジー株式会社 (438)