会計情報収集・分析システム及びその方法並びにプログラム
【課題】各種取引データを収集し、統一した構造化言語のデータ形式に変換・蓄積し、経営指標の随時算出を行い、財務諸表の勘定科目に関する原取引データとの連係を可能とする会計情報収集・分析システムを提供する。
【解決手段】本発明のシステムは、財務情報の取引データを統一した構造化言語のデータ形式に変換・蓄積し、経営状況分析を支援するものであり、財務諸表構造ルール記憶部と、財務諸表の勘定科目と同一要素を含むデータ変換構造ルールを記憶するデータ変換構造ルール記憶部と、取引データの項目名とデータ変換構造ルールの要素名の対応を記憶するマッピングファイル記憶部と、マッピングファイルを参照し、取引データから財務情報データを生成するデータ変換部と、分析対象の勘定科目の要素をキーとし、財務情報データ記憶部から対応する財務情報データを読出し、分析対象の勘定科目に関連する取引データとして出力する財務諸表連携部とを有する。
【解決手段】本発明のシステムは、財務情報の取引データを統一した構造化言語のデータ形式に変換・蓄積し、経営状況分析を支援するものであり、財務諸表構造ルール記憶部と、財務諸表の勘定科目と同一要素を含むデータ変換構造ルールを記憶するデータ変換構造ルール記憶部と、取引データの項目名とデータ変換構造ルールの要素名の対応を記憶するマッピングファイル記憶部と、マッピングファイルを参照し、取引データから財務情報データを生成するデータ変換部と、分析対象の勘定科目の要素をキーとし、財務情報データ記憶部から対応する財務情報データを読出し、分析対象の勘定科目に関連する取引データとして出力する財務諸表連携部とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会計情報に関する財務処理を行うシステムに関し、詳しくは、各種取引データを収集・分析して経営指標を随時算出することを可能とするとともに、財務諸表の分析を支援する会計情報収集・分析システム及びその方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業が経営状況の把握を行う場合、経営状況を把握する指標として用いる経営指標により把握を行っていた。たとえば、図16に示すように会計システムにおいて、会計処理を行うための取引データを、他の業務システム(例えば、販売管理システム,経理システムや給与システム)から入力し、決算処理などの会計処理を行い、利益や資産や負債の額等を明確にし、決算の結果として財務諸表を作成し、その財務諸表の勘定科目の数値を用いて経営分析に用いる経営指標の算出を行っていた。
【0003】
また、近年は、財務情報の電子的フォーマットとして、XBRL(eXtensible Business Reporting Language)が利用され始めており、XBRL仕様での財務諸表出力機能を有する会計システムも増えてきた。このXBRLとは、標準化されたXML(eXtensible Markup Language)ベースの構造化言語であり、財務情報をXML形式で記述するための標準仕様である。XBRLは、インスタンス文書の構造を定義したXMLスキーマと、各項目間の関係や、各項目に対する追加情報などをXLinkの外部リンク機能を利用して定義されたリンクベースによって構成されたタクソノミからなり、標準化された財務諸表タクソノミが提供されている。
【0004】
しかしながら、従来の会計システムにおいては、月次または半期毎などの一定のサイクル毎における実績の集計しかできず、リアルタイムに日々の経営状況を把握する場合には不向きである。
すなわち、経営指標に関して、目標値を設定し、経営状況の把握を行う企業が多いが、上述した経営指標の算出において、会計システムにては予め設定されたサイクル毎の取引データを集計して算出しているため、日々変化する経営方針や経営環境などにより、重視される経営指標の変化に柔軟に対応することができない。
【0005】
そのため、経営状況を随時把握することが可能なシステムとして、計画情報に基づいて経営指標を計算する際、計算対象とする経営指標や計算ロジックを柔軟にユーザが変更することができる経営指標計算システムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−11278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1においては、算出された経営指標に関して、その数値の増減要因を調査しようとする際、会計システムにて保有している仕訳情報では調査に必要な情報(例えば、部署単位の売り上げや仕入れなど)が不足しており、詳細の調査に多くの手間がかかり、決算数値の詳細分析に必要以上に多くの時間が必要となる。
また、上記特許文献1は、経営指標の計算手順と、計算ロジックのつながりとの定義を、ユーザが登録、削除及び検索などの編集処理が行えるように構成されており、ユーザが指定した経営指標の計算を設定した定義情報を用いて行うが、複数の業務システムからのデータを用いる構成とはなっておらず、必要な情報が不足してる。
【0008】
また、経営者としては、会計システムにおいて決算処理を行った後、得られた財務諸表の分析を行い、利害関係者に対して経営状況の報告を行っている。
上記財務諸表の情報は、会計の仕訳情報レベルであり、仕訳情報には原取引データの詳細内容に関する情報(取引の属性データであり、例えば、売り上げがいずれの事業部によるものか、どの顧客に対する売り上げか等)が少ない。
すなわち、従来の会計システムは、上述したように、現取引の情報が記憶されている上記業務システムと連携しておらず、上述した分析を行う際、現取引の内容を業務システムから抽出する必要があり、分析に必要以上に時間がかかることとなる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、複数の業務システムと連携し、各種取引データを収集し、統一化した構造化言語のデータ形式に変換蓄積し、該データにより、経営指標の随時算出を可能にするとともに、財務諸表の勘定科目に関する原取引データとの連携を可能とし、経営指標に対する詳細分析が行える情報が得られ、かつ経営方針や経営環境の変化を容易に反映し、変化に柔軟に対応する経営指標を求める会計情報収集・分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の会計情報収集・分析システムは、標準化された財務諸表の勘定科目に関する原取引データである複数の業務システムから入力される取引データを統一した構造化言語のデータ形式に変換し、データベースに蓄積することにより、経営状況の分析を支援する会計情報収集・分析システムであって、前記取引データを前記構造化言語のデータ形式の財務情報データに変換した財務情報データを生成するための前記財務情報データの要素名を定義するルールであって、当該要素名が勘定科目の要素名の場合、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素名と同一の要素名を用いるデータ変換構造ルールを、取引の種類毎にあらかじめ記憶するデータ変換構造ルール記憶部と、前記取引データの項目名と、前記データ変換構造ルールの要素名との対応関係を示すマッピングファイルをあらかじめ取引の種類毎に記憶するマッピングファイル記憶部と、前記複数の業務システムから入力される取引データを読み込み、該取引データの取引の種類に対応したマッピングファイルを前記マッピングファイル記憶部から読み出し、該種類に対応したデータ変換構造ルールを前記データ変換構造ルール記憶部から読み出し、読み出したマッピングファイルに対応する項目を前記取引データから検出し、検出した取引データの項目を読み出したデータ変換構造ルールに定義された要素名に対応させて変換することにより、前記財務情報データを生成し、財務情報データ記憶部に順次記憶させるデータ変換部と、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素と、当該要素の演算及びこの演算に用いる下位の要素とを前記データ形式用に定義した財務諸表構造ルールを、あらかじめ財務諸表の種類毎に記憶する財務諸表構造ルール記憶部と、経営指標算出に必要な要素とその演算式を前記データ形式用に定義する経営指標算出ルールであって、前記要素が勘定科目の要素名である場合は、前記財務諸表構造ルールの勘定科目の要素と同一の要素名を用いる経営指標算出ルールを経営指標の種類毎にあらかじめ記憶する経営指標算出ルール記憶部と、経営指標の種類と、前記経営指標算出ルールと、該経営指標算出ルールにより演算される対象の演算対象要素とが対応付けられた経営指標対比テーブルを記憶する経営指標対比テーブル記憶部と、選択された経営指標について、前記経営指標対比テーブルを用いて対応する前記経営指標算出ル
ールと演算対象要素を抽出し、前記経営指標算出ルール記憶部から該当する経営指標算出ルールを読み出し、読み出した経営指標算出ルールから前記演算対象要素に関連する要素を第1勘定科目として抽出する経営指標用勘定科目抽出部と、前記第1勘定科目を要素に含む財務諸表構造ルールを、前記財務諸表構造ルール記憶部から読み出し、読み出した該財務諸表構造ルールから、前記第1勘定科目の要素を演算するために用いる要素を第2勘定科目として抽出する財務諸表勘定科目抽出部と、前記財務情報データ記憶部より前記財務諸表勘定科目抽出部により抽出された第2勘定科目を要素名に含む財務情報データを読み出し、勘定科目毎に財務情報データを積算し、積算データとして出力する勘定科目積算部と、 前記勘定科目積算部より出力された前記積算データを、前記財務諸表構造ルールの演算式に基づき演算し、第1勘定科目のデータを算出した財務指標データを生成して出力する財務指標データ生成部と、前記財務指標データ生成部から出力された財務指標データを、前記経営指標算出ルールの演算式に基づき演算することにより前記選択された経営指標の値を算出し、該経営指標算出ルールに対応した経営指標データを生成する経営指標データ生成部とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の会計情報収集・分析システムは、前記勘定科目積算部が、演算対象要素の演算に用いる要素を含む財務情報データを、ユーザにより入力される処理範囲にて、前記財務情報データ記憶部から読み出し、要素毎に積算し、積算結果を前記財務指標データ生成部へ出力することを特徴とする。
【0012】
本発明の会計情報収集・分析システムは、標準化された財務諸表の勘定科目に関する原取引データである複数の業務システムから入力される取引データを、統一した構造化言語のデータ形式に変換し、データベースに蓄積することにより、経営状況の分析を支援する会計情報収集・分析システムであって、前記取引データを前記構造化言語のデータ形式の財務情報データに変換した財務情報データを生成するための前記財務情報データの要素名を定義するルールであって、当該要素名が勘定科目の要素名の場合、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素名と同一の要素名を用いるデータ変換構造ルールを、取引の種類毎にあらかじめ記憶するデータ変換構造ルール記憶部と、前記取引データの項目名と、前記データ変換構造ルールの要素名との対応関係を示すマッピングファイルを取引の種類毎にあらかじめ記憶するマッピングファイル記憶部と、前記複数の業務システムから入力される取引データを読み込み、該取引データの取引の種類に対応したマッピングファイルを前記マッピングファイル記憶部から読み出し、該種類に対応したデータ変換構造ルールを前記データ変換構造ルール記憶部から読み出し、読み出したマッピングファイルに対応する項目を前記取引データから検出し、検出した取引データの項目を読み出したデータ変換構造ルールに定義された要素名に対応させて変換することにより、財務情報データを生成し、財務情報データ記憶部に順次記憶させるデータ変換部と、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素と、当該要素を求める演算処理が定義された演算式及びこの演算式に用いる下位の要素とを前記データ形式用に定義した財務諸表構造ルールを、財務諸表の種類毎にあらかじめ記憶した財務諸表構造ルール記憶部と、外部から前記構造化言語のデータ形式の財務諸表データを読み込み、分析対象の勘定科目の選択を受付け、選択された分析対象の勘定科目を出力させる分析科目入力部と、前記分析科目入力部から出力された前記分析対象の勘定科目を要素に含む財務諸表構造ルールを前記財務諸表構造ルール記憶部から読み出し、該財務諸表構造ルールから前記分析対象の勘定科目に対応する勘定科目の要素を抽出し、抽出した勘定科目の要素に該勘定科目の要素の演算式が定義されているか否かを解析し、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されている場合は、該演算式に用い
られている下位の要素を分析対象要素とし、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されていない場合は、該勘定科目の要素を分析対象要素とし、前記分析対象要素をキーとして前記財務情報データ記憶部から対応する財務情報データを読み出し、前記分析対象の勘定科目に関連する取引データとして出力する財務諸表連携部とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の会計情報収集・分析システムは、前記財務諸表連携部が、分析対象の財務情報データを、ユーザが入力する処理範囲にて、前記財務情報データ記憶部から読み出すことを特徴とする。
【0014】
本発明の会計情報収集・分析システムは、前記データ変換構造ルールには、要素間の関係を定義した演算式を含み、前記データ変換部は、前記取引データから検出された項目のデータを前記データ変換構造ルールの前記演算式に基づき要素の値を演算した上で財務情報データを生成することを特徴とする。
【0015】
本発明の会計情報収集・分析システムは、 データ変換構造ルール記憶部とマッピングファイル記憶部とデータ変換部と財務諸表構造ルール記憶部と経営指標算出ルール記憶部と経営指標対比テーブル記憶部と経営指標用勘定科目抽出部と財務諸表勘定科目抽出部と勘定科目積算部と財務指標データ生成部と経営指標データ生成部からなる、標準化された財務諸表の勘定科目に関する原取引データである複数の業務システムから入力される取引データを統一した構造化言語のデータ形式に変換し、データベースに蓄積することにより、経営状況の分析を支援する会計情報収集・分析システムにおける会計情報収集・分析方法であって、前記取引データを前記構造化言語のデータ形式の財務情報データに変換した財務情報データを生成するための前記財務情報データの要素名を定義するルールであって、当該要素名が勘定科目の要素名の場合、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素名と同一の要素名を用いるデータ変換構造ルールを、取引の種類毎にあらかじめデータ変換構造ルール記憶部に記憶する過程と、前記取引データの項目名と、前記データ変換構造ルールの要素名との対応関係を示すマッピングファイルをあらかじめ取引の種類毎にマッピングファイル記憶部に記憶する過程と、データ変換部が前記複数の業務システムから入力される取引データを読み込み、該取引データの取引の種類に対応したマッピングファイルを前記マッピングファイル記憶部から読み出し、該種類に対応したデータ変換構造ルールを前記データ変換構造ルール記憶部から読み出し、読み出したマッピングファイルに対応する項目を前記取引データから検出し、検出した取引データの項目を読み出したデータ変換構造ルールに定義された要素名に対応させて変換することにより、財務情報データを生成し、財務情報データ記憶部に順次記憶させる過程と、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素と、当該要素の演算及びこの演算に用いる下位の要素とを前記データ形式用に定義した財務諸表構造ルールを、財務諸表の種類毎にあらかじめ財務諸表構造ルール記憶部に記憶する過程と、経営指標算出に必要な要素とその演算式を前記データ形式用に定義する経営指標算出ルールであって、前記要素が勘定科目の要素名である場合は、前記財務諸表構造ルールの勘定科目の要素と同一の要素名を用いる経営指標算出ルールを経営指標
の種類毎にあらかじめ経営指標算出ルール記憶部に記憶する過程と、経営指標の種類と、前記経営指標算出ルールと、該経営指標算出ルールにより演算される対象の演算対象要素とが対応付けられた経営指標対比テーブルを経営指標対比テーブル記憶部に記憶する過程と、経営指標用勘定科目抽出部が選択された経営指標について、前記経営指標対比テーブルを用いて対応する前記経営指標算出ルールと演算対象要素を抽出し、前記経営指標算出ルール記憶部から該当する経営指標算出ルールを読み出し、読み出した経営指標算出ルールから前記演算対象要素に関連する要素を第1勘定科目として抽出する過程と、財務諸表勘定科目抽出部が前記第1勘定科目を要素に含む財務諸表構造ルールを、前記財務諸表構造ルール記憶部から読み出し、読み出した財務諸表構造ルールから、前記第1勘定科目の要素を演算するために用いる要素を第2勘定科目として抽出する過程と、勘定科目積算部が前記財務情報データ記憶部より前記財務諸表勘定科目抽出部により抽出された第2勘定科目を要素名に含む財務情報データを、前記財務情報データ記憶部から読み出し、勘定科目毎に財務情報データを積算し、積算データとして出力する過程と、財務指標データ生成部が、前記勘定科目積算部より出力された前記積算データを、前記財務諸表構造ルールの演算式に基づき演算し、第1勘定科目のデータを算出し、該財務諸表構造ルールに対応した財務指標データを生成して出力する過程と、経営指標データ生成部が前記財務指標データ生成部から出力された財務指標データを、前記経営指標算出ルールの演算式に基づき演算することにより前記選択された経営指標の値を算出し、該経営指標算出ルールに対応した経営指標データを生成する過程とを有することを特徴とする。
【0016】
本発明の会計情報収集・分析方法は、データ変換構造ルール記憶部とマッピングファイル記憶部とデータ変換部と財務諸表構造ルール記憶部と分析科目入力部と財務諸表連携部からなる、標準化された財務諸表の勘定科目に関する原取引データである複数の業務システムから入力される取引データを、統一した構造化言語のデータ形式に変換し、データベースに蓄積することにより、経営状況の分析を支援する会計情報収集・分析システムにおける会計情報収集・分析方法であって、前記取引データを前記構造化言語のデータ形式の財務情報データに変換した財務情報データを生成するための前記財務情報データの要素名を定義するルールであって、当該要素名が勘定科目の要素名の場合、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素名と同一の要素名を用いるデータ変換構造ルールを、取引の種類毎にあらかじめデータ変換構造ルール記憶部に記憶する過程と、前記取引データの項目名と、前記データ変換構造ルールの要素名との対応関係を示すマッピングファイルを取引の種類毎にあらかじめマッピングファイル記憶部に記憶する過程と、データ変換部が、前記複数の業務システムから入力される取引データを読み込み、該取引データの取引の種類に対応したマッピングファイルを前記マッピングファイル記憶部から読み出し、該種類に対応したデータ変換構造ルールを前記データ変換構造ルール記憶部から読み出し、読み出したマッピングファイルに対応する項目を前記取引データから検出し、検出した取引データの項目を読み出したデータ変換構造ルールに定義された要素名に対応させて変換することにより、財務情報データを生成し、財務情報データ記憶部に順次記憶させる過程と、 前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素と、当該要素を求める演算処理が定義された演算式及びこの演算式に用いる下位の勘定科目の要素とを前記データ形式用に定義した財務諸表構造ルールを、財務諸表の種類毎にあらかじめ財務諸表構造ルール記憶部に記憶する過程と、分析科目入力部が、外部から前記構造化言語のデータ形式の財務諸表データを読み込み、分析対象の勘定科目の選択を受付け、選択された分析対象の勘定科目を出力する過程と、財務諸表連携部が前記分析科目入力部から出力された前記分析対象の勘定科目を要素に含む財務諸表構造ルールを前記財務諸表構造ルール記憶部から読み出し、該財務諸
表構造ルールから前記分析対象の勘定科目に対応する勘定科目の要素を抽出し、抽出した勘定科目の要素に該勘定科目の要素の演算式が定義されているか否かを解析し、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されている場合は、該演算式に用いられている下位の要素を分析対象要素とし、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されていない場合は、該勘定科目の要素を分析対象要素とし、前記分析対象要素をキーとして前記財務情報データ記憶部から対応する財務情報データを読み出し、前記分析対象の勘定科目に関連する取引データとして出力する過程とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明のプログラムは、上記いずれかに記載の会計情報収集・分析システムとして、コンピュータを機能させるための会計情報収集・分析プログラムである。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、外部の業務システムから入力される取引データを、標準化された財務諸表構造ルールの勘定科目名と同一名称を含むデータ変換構造ルールを用いて統一化した構造化言語(XBRL等)に変換し、財務情報データとして蓄積することにより、OS(オペレーティングシステム)やプラットフォームに依存せずにデータの再利用が可能となる。
例えば、ユーザがあらかじめ、設定したい経営指標とその演算式について、財務諸表構造ルールの要素名と同一名称を用いて経営指標算出ルールとして定義しておくことにより、財務諸表が完成していない場合でも、この蓄積した財務情報データを用いてユーザが所望の経営指標を随時算出することが可能となる。
【0019】
また、本発明によれば、経営指標を演算する際、この演算に必要な勘定科目について、財務諸表構造ルールと連携し、財務諸表構造ルールの詳細な勘定科目、すなわち、演算式にて用いられる勘定科目に関する取引を財務データから収集し、経営指標値を算出するため、財務諸表構造ルールの詳細な勘定科目までを意識せずに経営指標算出ルールの定義が可能である。
【0020】
また、本発明によれば、財務諸表構造ルールを用いることによって、外部の会計システムにより作成された財務諸表と蓄積された財務データとについて、勘定科目の要素名をキーとした連携が財務諸表連携部において可能となり、これにより財務諸表の各勘定科目の原取引データを収集することなどが可能となるため、従来は不可能であった財務諸表のより詳細な経営分析が可能となる。
【0021】
また、本発明によれば、上記データ変換構造ルールの演算式に、要素間のビジネスルールや計算式を定義することにより、内部統制環境として検証機能を構築する事も可能である。この結果、本発明によれば、上記演算式が外部ファイルとして与えられる情報のため、財務報告に対する金額的及び質的影響の重要性の変化に伴い、柔軟に検証項目・内容の変更が可能になる。
さらに、本発明によれば、既存の業務システムの出力する取引データに対する修正を行う必要がないため、業務システムへの影響なく、経営方針や経営環境の変化への対応が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態による会計情報収集・分析システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】データ変換部2におけるデータ変換処理を説明する概念図である。
【図3】財務諸表タクソノミの構造定義部分(スキーマ)のXBRL記述の例を示す概念図である。
【図4】財務諸表タクソノミの構造定義部分(リンクベース)のXBRL記述の例を示す概念図である。
【図5】マッピングテーブルの構造を説明する概念図である。
【図6】業務システムにおける表形式のデータの構成を示す概念図である。
【図7】分析科目入力部4及び財務諸表連携処理部5による財務諸表連携処理の動作を説明する概念図である。
【図8】財務諸表連携処理部5の動作を説明する概念図である。
【図9】経営指標タクソノミ対比テーブルの構造を説明する概念図である。
【図10】経営指標算出タクソノミ及び財務諸表タクソノミの構成を説明する概念図である。
【図11】会計情報収集・分析システムの動作の流れを説明するための概念図である。
【図12】データ変換部2におけるデータ変換処理を説明する概念図である。
【図13】経営指標算出タクソノミ及び財務諸表タクソノミの解析処理の動作を説明する概念図である。
【図14】財務情報インスタンスから対応する勘定科目の積算を行う勘定科目積算部7の処理を説明する概念図である。
【図15】経営指標算出タクソノミ及び財務諸表タクソノミを用いた経営指標インスタンスの生成処理を説明する概念図である。
【図16】販売管理システム100,経理システム101及び給与システム102等の業務システムから入力される取引データを用いて会計処理を行う会計システムの処理を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、販売管理システム,経理システム及び給与システムなどの業務システムから入力される取引データ(例えば、販売管理システムであれば、売上高、売上日、商品名、価格などのデータ)を、各取引毎に、コンピュータ上にて再利用可能な構造化ファイル(XML形式であるXBRL仕様)であるインスタンス文書(本実施形態における財務情報インスタンス)に変換し、インスタンスデータベース(財務情報インスタンスデータベース)に順次蓄積しておく。そして、経営指標の算出が必要な際には、インスタンスデータベースから算出したい経営指標に必要なインスタンス文書を検索し、あらかじめ作成した経営指標算出タクソノミにより経営指標を算出して経営指標インスタンスを作成可能とするものである。すなわち、経営指標算出タクソノミの下位要素を抽出し、この勘定科目の要素名をキーに標準的に用いられている財務諸表タクソノミの勘定科目の要素名を抽出し、この勘定科目の要素名をキーに財務情報インスタンスデータベースを検索し、財務指標インスタンス及び経営指標インスタンスを作成するものである。さらに、財務情報インスタンスを蓄積した財務情報インスタンスデータベースを用い、財務諸表タクソノミにおける勘定科目の要素名をキーとして、インスタンスデータベースから対応するインスタンス文書を検索することにより、財務諸表の各勘定科目と、その勘定科目に対応する現取引データとを連携させ、会計情報の詳細な分析を支援する。
【0024】
以下、本発明の一実施形態による会計情報収集・分析システムを図面を参照して説明する。図1は同実施形態による会計情報収集・分析システムの構成例を示すブロック図である。この図において、上記実施形態の会計情報収集・分析システム50は、データ変換タクソノミデータベース1,データ変換部2,財務情報インスタンスデータベース3,分析科目入力部4,財務諸表連携部5,経営指標演算部8,財務諸表タクソノミデータベース9,経営指標タクソノミ対比データベース10,経営指標入力部11,経営指標算出タクソノミデータベース12及びマッピングファイルデータベース15を有している。また、経営指標演算部8は経営指標算出タクソノミ抽出部70,財務指標抽出・算出部20,経営指標抽出・算出部21及び勘定科目積算部81から構成されている。さらに、財務指標抽出・算出部20は財務諸表用勘定科目抽出部72及び財務指標用インスタンス生成部82から構成され、経営指標抽出・算出部21は経営指標用勘定科目抽出部71及び経営指標用インスタンス生成部83から構成されている。また、図1において、会計情報収集・分析システム50には、業務システムとして販売管理システム100,経理システム101及び給与システム102と、取引データを用いて会計処理を行う会計システム200とが接続されている。
【0025】
なお、上記データ変換タクソノミデータベース1,財務諸表タクソノミデータベース9及び経営指標算出タクソノミデータベース12には、それぞれXBRL仕様でのデータ構造を定義するタクソノミが記憶されている。このタクソノミは、XBRLインスタンス(以下、インスタンスと記述)の構造を定義したXBRLスキーマ(以下、スキーマと記述)と、このスキーマに関連づけられ、計算リンクやフォーミュラリンクなどの演算処理を行う情報が記述されたリンクベースとの2種類のファイルから構成されている。
【0026】
スキーマとはインスタンスの構造を定義し、具体的な勘定科目や注記事項などの項目が定義されているものである。また、このスキーマの中において、リンクベースの参照も定義されている。また、上記リンクベースの1つである計算リンクとは、要素の値の加減算式を定義したものであり、例えば、勘定科目の各要素間の数値の単純な加算及び減算のみを行う処理が定義されている。リンクベースの他の1つであるフォーミュラリンクとは、数式により要素間の論理構造及び該要素の要素データ(人や物の名称や種別など)の論理演算を行う演算が定義されたものであり、例えば、数式や論理演算式により、各要素の要素データにより得られる結果の判定を行うビジネスルール等を定義したものである。
すなわち、計算リンクやフォーミュラリンクは、スキーマとは異なる外部ファイルとして設定されるものであり、必要となる財務報告に対する金額的及び質的影響の重要性の変化に伴い、柔軟に評価対象の要素の演算に必要な計算式やパラメータとしての要素、論理演算式の内容を変更することができる。
【0027】
データ変換タクソノミデータベース1には、入力される販売管理システム100,経理システム101及び給与システム102等の業務システムから入力される取引データを、財務情報インスタンス(XBRLインスタンス)に変更する際に用いるデータ変換タクソノミが業務システム毎、かつ業務システムにおける取引の種類毎に予め作成され、業務システム及び取引の種類毎を示す識別情報に対応して記憶されている。
図2(a)は、上記データ変換タクソノミの構成例を示した概念図である。この図2(a)におけるスキーマから、このスキーマに記載された要素を有する財務情報インスタンスが生成される。すなわち、図2(a)に記載されているデータ変換タクソノミのスキーマには、販売管理システム100から入力される取引の種類として、「売上」に対する取引データを、財務情報インスタンス(売上)に変換するための要素が定義されている。すなわち、要素としては「売上」、「日付」、「事業部」、「担当」、「承認」、「顧客」、「商品」、「単価」、「個数」、「ビジネスルール1」、「ビジネスルール2」が記載されている。
【0028】
このデータ変換タクソノミに用いる要素のうち、勘定科目の要素名(例えば、「売上」)については、標準仕様として提供されている財務諸表タクソノミに用いられている要素名(例えば、「売上」)と同一のものを用いる。この標準の財務諸表XBRLタクソノミは、例えば、「http://www.xbrl-jp.org/download/index.htm#税務用財務諸表XBRLタクソノミー(2006年12月12日参照)」に記載されているものである。
図2(b)は、上記財務諸表タクソノミの構成の1例を示した概念図である。上述した標準の財務諸表の勘定科目を要素名として規定したスキーマと、該スキーマにリンクされ、要素間の加算及び減算の処理を定義した計算リンクから構成されている。また、図3にXBRL仕様にて記載された財務諸表スキーマファイルの例を示し、図4に同様にXBRL仕様にて記載された計算リンクの例を示す。このように、タクソノミにおいて、スキーマファイルの外部ファイルとしてリンクベースのファイルが設定されている。
【0029】
ここで、販売管理システム100,経理システム101及び給与システム102等の業務システムから入力される取引データは、例えば図6に示されるような表形式のデータであり、表計算ソフト(例えばEXCEL(登録商標)など)のフォーマットや、固定長のビットデータ列などである。ユーザの操作により、各業務システムから上記取引データがデータ変換部2に対して出力される。
【0030】
マッピングファイルデータベース15は、データ変換タクソノミスキーマに記述されている要素と、取引データファイルにて用いられている項目との対応関係を示しているマッピングファイルが蓄積されている。ここで、マッピングファイルは、予めユーザにより、業務システムからの取引データの種類毎に作成されており、種類を示す識別情報に対応して記憶されている。例えば、図5に示すマッピングファイルは、取引の種類として「売上」の取引データにおける項目と、売上げの取引データ用のデータ変換スキーマに記載された要素とを対応付ける「売上」の取引データ用として準備されているものである。
【0031】
データ変換部2は、販売管理システム100,経理システム101及び給与システム102から入力される取引データを読み込み、この取引の種類の識別情報に対応する上記マッピングファイルを読み出して参照し、スキーマに記載された要素に対応する項目を、この取引データから検出し、この項目と対応する項目データを読み出す(抽出する)。また、データ変換部2は、データ変換タクソノミデータベース1から、入力される取引データの種類に対応する識別情報に対応したデータ変換タクソノミを読み出し、このデータ変換タクソノミのスキーマに記述された定義に対応し、要素とこの要素に対応する要素データとを対応付けて記述することでインスタンス文書を生成、例えば、図8に示す構成の財務情報インスタンスRを生成する。図8は、「売上」に対応するデータ変換タクソノミに基づいて生成された財務情報インスタンスを蓄積する財務情報インスタンスデータベース3の構成を示す概念図である。
【0032】
経営指標入力部11は、経営指標演算部8に経営指標の演算処理を実行させるため、図9(a)に示す経営指標選択画面を表示部に表示し、ユーザに演算対象の経営指標の項目を選択させ、ユーザの選択した経営指標名を経営指標算出タクソノミ抽出部70へ出力する。このとき、ユーザは、上記経営指標入力部11に対し、経営指標の処理範囲、たとえば算出期間、及び算出対象の事業部などの演算処理を行う期間や部署または人名などを、処理範囲として特定することができる。この処理範囲は、経営指標算出タクソノミ抽出部70、経営指標用勘定科目抽出部71及び財務諸表用勘定科目抽出部72を介して勘定科目積算部81へ入力される。この図9(a)において、ユーザが選択した経営指標として、「売上高総利益率」が選択欄に表示されている。
なお、この経営指標は、予めユーザに設定されるものであり、ユーザの設定した算出対象となる複数の異なる経営指標各々に対応した経営指標算出タクソノミが、経営指標算出タクソノミデータベース12に蓄積されている。
【0033】
例えば、図10(a)に示す経営指標算出タクソノミは「売上高総利益率」を算出するために定義されたタクソノミであり、スキーマには要素として「売上高利益率」、「売上」及び「売上総利益」が設定されている。そして、このスキーマに対応付けられたリンクベース(フォーミュラリンク)には、スキーマにおける要素である「売上高総利益率」を算出するための演算式が定義されている。図10(a)におけるフォーミュラリンクは、「売上総利益」を「売上」により除算し、この除算結果に対して100を乗じることにより、「売上高総利益率」を算出する構成となっている。
なお、データ変換タクソノミと同様に、上記経営指標算出タクソノミにおいても、スキーマの要素が勘定科目の場合、財務諸表タクソノミの要素名と同一の名称を用いる。
【0034】
経営指標タクソノミ対比データベース10には、経営指標入力部11から入力される経営指標(経営指標名)と、この経営指標(経営指標名)に対応した経営指標算出タクソノミと、そのスキーマにて算出対象の要素として定義されている要素名との対応関係を示す経営指標タクソノミ対比テーブルが記憶されている。この経営指標タクソノミ対比テーブルはユーザが予め設定しておくものであり、図9(b)にその経営指標タクソノミ対比テーブルの具体的な一例を示す。
【0035】
経営指標算出タクソノミ抽出部70は、上記経営指標により経営指標タクソノミ対比データベース10に記憶されている経営指標タクソノミ対比テーブルを参照し、ユーザが選択した経営指標に対応する経営指標算出タクソノミのファイル名及び算出対象の要素を読み出し、経営指標用勘定科目抽出部71へ出力する。
経営指標用勘定科目抽出部71は、経営指標算出タクソノミ抽出部70から入力されたファイル名に対応した経営指標算出タクソノミを読み出し、またこの経営指標算出タクソノミのスキーマから算出対象の要素を検出して読み出す。
また、経営指標用勘定科目抽出部71は、上記スキーマにリンクベースが記述されている場合は、そのリンクベースを参照し、算出対象要素の演算が定義されているか否かを解析する。経営指標用勘定科目抽出部71は、リンクベースに算出対象要素の演算が定義されていない場合、またはリンクベースが記述されていない場合、この算出対象要素を「第1の下位勘定科目」として抽出し、財務諸表用勘定科目抽出部72へ出力する。一方、経営指標用勘定科目抽出部71は、リンクベースに算出対象要素の演算が定義されている場合、リンクベースの演算に用いられている下位要素を「第1の下位勘定科目」として抽出し、財務諸表用勘定科目抽出部72へ出力する。
【0036】
財務諸表用勘定科目抽出部72は、経営指標用勘定科目抽出部71において抽出された「第1の下位勘定科目」に対応する財務諸表タクソノミを、財務諸表タクソノミデータベース9から抽出し、財務諸表タクソノミのスキーマから第1の下位勘定科目を抽出する。
また、財務諸表勘定科目抽出部72は、財務諸表タクソノミのスキーマにリンクベースが記述されている場合、そのリンクベースを参照し、第1の下位勘定科目の演算が定義されているか否かを解析する。財務諸表勘定科目抽出部72は、リンクベースに、第1の下位勘定科目の演算が定義されていない場合、またはリンクベースが記述されていない場合、この第1の下位勘定科目をそのまま「第2の下位勘定科目」として抽出し、勘定科目積算部81へ出力する。一方、財務諸表勘定科目抽出部72は、リンクベースに第1の下位勘定科目の演算が定義されている場合、リンクベースの演算に用いられている下位要素を「第2の下位勘定科目」として抽出し、勘定科目積算部81へ出力する。
【0037】
勘定科目積算部81は、財務情報インスタンスデータベース3から財務諸表用勘定科目抽出部72から入力される第2の下位勘定科目の要素のインスタンス(データ)を抽出し(読み出し)、各要素毎にデータの積算を行い、積算データとして財務指標用インスタンス生成部82に出力する。このとき、経営指標入力部11から入力された、ユーザが指定した処理範囲が存在する場合、勘定科目積算部81は、その処理範囲の該当財務情報インスタンスを抽出し、各要素毎にその処理範囲内におけるデータの積算を行う。
【0038】
財務指標用インスタンス生成部82は、勘定科目積算部81から入力される第2の下位勘定科目の積算データについて、財務諸表タクソノミのリンクベースが定義されている場合はその計算リンクまたはフォーミュラリンクにより、第1の下位勘定科目の値を算出し、財務諸表タクソノミのスキーマの要素(第1の下位勘定科目)に対応させて、該第1の下位勘定科目の値を書き込むことにより、財務指標インスタンスを生成するとともに、第1の下位勘定科目のデータを経営指標用インスタンス生成部83へ出力する。
【0039】
経営指標用インスタンス生成部83は、財務指標用インスタンス生成部82から入力される第1の下位勘定科目の値を用い、経営指標算出タクソノミのリンクベースが定義されている場合にはその計算リンク及びフォーミュラリンクにより、算出対象の経営指標の値を演算する。
さらに、経営指標用インスタンス生成部83は、経営指標算出タクソノミのスキーマに記述された要素に対応させて、上記経営指標の値を書き込むことにより、経営指標インスタンスを生成する。
【0040】
分析科目入力部4は、図7の表示部Sに示すように、外部の会計システム200から入力される財務諸表インスタンスを表示し、この選択画面においてユーザにより選択された分析対象の勘定科目を財務諸表を財務諸表連携部5へ出力する。
【0041】
財務諸表連携部5は、分析科目入力部4から入力される勘定科目の項目をキーとして、その項目に対応する財務諸表タクソノミを、財務諸表タクソノミデータベース9から読み出す。また、財務諸表連携部5は、読み山した財務諸表タクソノミのスキーマから、選択された勘定科目に対応する要素を抽出(検出)する。さらに、財務諸表連携部5は、読み出した財務諸表タクソノミのスキーマにリンクベースが記述されている場合、そのリンクベースを参照し、その勘定科目の要素の演算が定義されているか否かを解析する。財務諸表連携部5は、リンクベースにその勘定科目の要素の演算が定義されていない場合、この勘定科目の要素を含む取引データの財務情報インスタンスを財務情報インスタンスデータベース3から読み出して出力する。一方、財務諸表連携部5は、リンクべースにその勘定科目の要素の演算が定義されている場合、リンクベースの演算に用いられている下位の勘定科目の要素を含む取引データの財務情報インスタンスを財務情報インスタンスデークベース3から読み出して出力する。
上述したように、財務諸表連携部5の処理により、勘定科目の項目名をキーとして、財務諸表タクソノミの各項目と各取引データから生成した財務情報インスタンスとの関連付けが行え、会計システム200にて分析できなかった事項まで分析することが可能となる。
【0042】
次に、図を参照して本実施形態による会計情報収集・分析システムにおける、データ変換処理、経営状況分析処理及び財務諸表連携処理の各動作を説明する。
<データ変換処理>
図1、図2、図5、図6、図11及び図12を用い、本実施形態における上記データ変更処理の動作説明を行う。ここで、図11は、本実施形態の全体的なシステムの動作を説明する概念図である。また、図12は、データ変換処理の流れを示す概念図である。
販売管理システム100、経理システム101及び給与システム102は、それぞれ取引が行われると、その取引結果を示す取引データを、会計情報収集・分析システムに出力する。
【0043】
データ変換部2は、販売管理システム100、経理システム101及び給与システム102から取引データが入力されると、取引の種類を示す識別情報により、マッピングファイルデータベース15から、この取引の種類に対応するマッピングファイルを読み出すとともに、同様に識別情報により、データ変換タクソノミデータベース1から、入力された取引データに対応するデータ変換タクソノミを読み出す。
【0044】
そして、データ変換部2は、読み出したマッピングファイルに基づき、読み出したデータ変換タクソノミのスキーマに記載されている要素のデータであるインスタンスを、対応する取引データの項目のデータから読み出し、あるいは読み出したデータから生成し、財務情報インスタンスを生成する。
このとき、データ変換部2は、データ変換タクソノミに記載されているリンクベースの定義する計算リンクまたはフォーミュラリンクにより、勘定科目の要素やその他の要素のデータから異なる要素のデータ生成を行う場合もある。
【0045】
例えば、図12においては、財務情報インスタンスにて定義される要素であるビジネスルール1及び2のデータの演算を行うフォーミュラリンクが示されている。
このフォーミュラリンクにおけるビジネスルール1は、「売上」が「100」以上であれば担当以外の承認が必要であり、未満であれば承認の必要の有無を判定するものである。 ここで、売上が「100」以上であり、承認が本人と異なる人間が行っていることが示されているため、財務情報インスタンスにおけるビジネスルール1の要素は、フォーミュラリンクの演算結果として「OK」が記述されている。
【0046】
また、ビジネスルール2は、要素「売上」のデータが要素「単価」のデータに要素「個数」のデータを乗じた数値に等しいかを判定するものである。ここで、「売上」の「100」が、「単価」の「100」に対し、「個数」の「1」を乗算したものと等しいため、財務情報インスタンスにおけるビジネスルール2の要素は、フォーミュラリンクの演算結果として「OK」が記述されている。
そして、データ変換部2は、計算リンク及びフォーミュラリンクにて得られた項目のを含め、図8に示すように、勘定項目「売上」及び「仕入」等に対応する財務情報インスタンスRを、取引毎に財務情報インスタンスデータベース3に対して順次蓄積する。
【0047】
<経営状況分析処理>
図1、図9、図11、図13、図14及び図15を用い、本実施形態における上記財務諸表連携処理の動作説明を行う。
経営指標入力部11は、経営指標演算部8に経営指標の算出処理を実行させるため、図9(a)に示す経営指標選択画面を表示部に表示し、ユーザに演算対象の経営指標の項目を選択させる。そして、ユーザがこの経営指標選択画面において経営指標を選択すると、経営指標入力部11は、選択された経営指標、例えば図9(a)における「売上高高利益率」を経営指標算出タクソノミ抽出部70へ出力する。このとき、ユーザは、上記経営指標入力部11に対して、経営指標の処理範囲、例えば、算出期間及び算出対象の事業部を入力する。この処理範囲は、経営指標算出タクソノミ抽出部70,経営指標用勘定科目抽出部71及び財務諸表用勘定科目抽出部72を介して、勘定科目積算部81へ入力される。
【0048】
経営指標算出タクソノミ抽出部70は、経営指標入力部11から入力された経営指標の項目をキーとして、経営指標タクソノミ対比データベース10を参照し、使用する経営指標算出タクソノミ名及び勘定科目の要素名を抽出する(読み出す)。
すなわち、経営指標算出タクソノミ抽出部70は、図9の経営指標タクソノミ対比テーブルにおいて、「売上高総利益率.xsd」の経営指標算出タクソノミのファイル名と、「売上高利益率」という勘定科目の要素名とを抽出する。(ステップS11)。
【0049】
次に、経営指標用勘定科目抽出部71は、経営指標算出タクソノミ抽出部70により抽出された経営指標算出タクソノミのファイル名により、対応するファイル名の経営指標算出タクソノミを経営指標算出タクソノミデータベース12から読み出し、この経営指標算出タクソノミのスキーマにリンクベースが定義されているか否かを検出し、リンクベースが定義されている場合、このリンクベースを参照し、算出対象要素の演算が定義されているか否かを解析する。経営指標用勘定科目抽出部71は、リンクベースに算出対象の要素が定義されていないことを検出した場合、またはリンクベースが記述されていない場合、この算出対象要素を「第1の下位勘定科目」として抽出し、財務諸表用勘定科目抽出部72へ出力する。一方、経営指標用勘定科目抽出部71は、リンクベースに算出対象要素の演算が定義されていることを検出した場合、リンクベースの演算に用いられている下位要素を「第1の勘定科目」として抽出し、財務諸表用勘定科目抽出部72へ出力する(ステップS12)。
すなわち、経営指標用勘定科目抽出部71は、図13の経営指標算出タクソノミのスキーマから、「売上」及び「売上総利益」の要素が第1の下位勘定科目として抽出される。
【0050】
次に、財務諸表用勘定科目抽出部72は、経営指標用勘定科目抽出部71で抽出された「第1の下位勘定科目」を含む財務諸表タクソノミを、財務諸表タクソノミデータベース9から抽出し、第1の下位勘定科目(図13において、「売上」「売上総利益」)に対して、財務諸表タクソノミのスキーマを参照する。そして、財務諸表用勘定科目抽出部72は、この財務諸表タクソノミのスキーマにリンクベースが定義されているか否かを検出し、リンクベースが定義されている場合、このリンクベースを参照し、「第1の勘定科目」の演算が定義されているか否かを解析する。財務諸表用勘定科目抽出部72は、リンクベースに「第1の勘定科目」が定義されていないことを検出した場合、またはリンクベースが記述されていない場合、この「第1の勘定科目」をそのまま「第2の下位勘定科目」として抽出し、勘定科目積算部81へ出力する。一方、財務諸表用勘定科目抽出部72は、リンクベースに「第1の勘定科目」の演算が定義されていることを検出した場合、リンクベースの演算に用いられている下位要素を「第2の勘定科目」として抽出し、勘定科目積算部81へ出力する(ステップS13)。
すなわち、財務諸表用勘定科目抽出部72は、図13において、「売上」及び「仕入」が第2の下位勘定科目として抽出される。
【0051】
次に、勘定科目積算部81は、財務諸表用勘定科目抽出部72から入力された勘定科目(第2の下位勘定科目)及び処理範囲に対応する財務情報インスタンスを、財務情報インスタンスデータベース3から読み出す。(ステップS14)
例えば、勘定科目積算部81は、図14において、「売上」が100、200、300のインスタンスと、「仕入」が80、160、240のインスタンスとがそれぞれ抽出される。
次に、勘定科目積算部81は、抽出された上記インスタンスを、第2の勘定科目毎に積算し、積算結果を積算データとして、財務指標用インスタンス生成部82に対して出力する(ステップS15)。
例えば、勘定科目積算部81は、図14において、積算結果として「売上」の勘定科目のインスタンスの積算データを「600」とし、「仕入」の勘定科目のインスタンスの積算データを「480」として出力する。
【0052】
次に、財務指標用インスタンス生成部82は、勘定科目積算部81から入力された勘定科目の積算データを用い、図15で示すように、財務諸表タクソノミを用い、計算リンクを参照して上位の第1の下位勘定科目の数値を算出する。ここで、財務指標用インスタンス生成部82は、計算リンクが設定されていない場合、第2の下位勘定科目の積算データを第1の下位勘定科目の算出値として出力する。すなわち、「売上総利益」の算出値として「120」を算出する。
そして、財務指標用インスタンス生成部82は、積算データおよびこの積算データから算出した算出値を、財務諸表タクソノミのスキーマの対応する各要素に対応して書き込むことにより、財務指標インスタンスを作成する。
次に、財務指標用インスタンス生成部82は、経営指標算出タクソノミの下位の勘定科目として経営指標用勘定科目抽出部71より入力された第1の下位勘定科目と、その第1の下位勘定科目の算出値とを経営指標用インスタンス生成部83へ出力する(例えば、「売上」として「600」、「売上総利益」として「120」)。
【0053】
次に、経営指標用インスタンス生成部83は、財務指標用インスタンス生成部82より入力された経営指標算出タクソノミの第2の下位勘定科目の値により、リンクべース(計算リンクまたはフォーミュラリンク)を参照して経営指標を算出する(例えば、「売上高利益率」として「20」)。
そして、経営指標用インスタンス生成部83は、積算データおよびリンクベースにより算出した数値を、経営指標算出タクソノミのインスタンスにおける要素に対応して書き込むことにより、経営指標インスタンスを作成して、外部システムに対して出力する(ステップS16)。
【0054】
上述したように、本実施形態の会計情報収集・分析システム50は、原取引データの情報そのまま、すなわち日付,事業部,担当者などの属性データを含めた財務情報インスタンスを作成し、財務情報インスタンスデータベース3に記憶させているので、仕訳情報として属性データを用いることができ、経営指標の算出に必要な勘定科目(経営指標算出タクソノミの勘定科目の要素名)毎に、経営指標の算出対象の期間(例えば、最初から集計時点まで、や直近の一ヶ月分など)や対象取引(全社分の売上,所定の事業部の売上のみ,所定の商品の売り上げのみなど)により、財務情報インスタンス及び経営指標インスタンスを読み出すことができるので、より詳細な経営状況の把握を行う情報を演算することができる。
【0055】
<財務諸表連携処理>
図1,図7,図8及び図11を用い、本実施形態における上記財務諸表連携処理の動作説明を行う。
分析科目入力部4は、従来例に示した会計システム200から出力される財務諸表のデータを、XBRL形式に変換したインスタンス文書がユーザにより入力されると、このインスタンス文書から各勘定科目の要素とこの要素の要素データとを抽出して表示部に表示する。
【0056】
そして、ユーザが図7に示す表示部に表示された勘定科目のなかから、ポインティングデバイスなどで選択すると、分析科目入力部4は、上記した勘定科目の項目、例えば「売上総利益」を財務諸表連携部5へ出力する(ステップS1)。
次に、財務諸表連携部5は、この「売上総利益」に関する財務諸表タクソノミを、財務諸表タクソノミデータベース9から読み出す。
そして、対応する財務諸表タクソノミを読み込むと、財務諸表連携部5は、読み出した財務諸表タクソノミのスキーマの勘定項目の要素である「売上総利益」を参照し、それにリンクベースが定義されている場合、リンクベースに用いられている下位の勘定科目を読み出す。例えば、財務諸表連携部5は、図7の財務諸表タクソノミのスキーマから、勘定科目の「売上」と「仕入」とが読み出される(ステップS2)。
【0057】
そして、財務諸表連携部5は、読み出された(抽出された)下位の勘定科目、すなわち「売上」及び「仕入」とを含む財務情報インスタンスを、財務情報インスタンスデータベース3から読み出し、この勘定科目「売上」及び「仕入」のデータを出力する。(ステップS3)。
これにより、財務諸表連携部5は、会計システムにて算出された財務諸表において、各勘定科目の要素データが、どのような取引データから求められたのかを、現取引データ(取引に関する属性のデータを含む)が記載された財務情報インスタンスを、財務諸表タクソノミとデータ変換タクソノミとの要素名を同一とすることにより、容易に関連付けることができ、会計システムにて得られる仕訳情報のみでは分析ができなかった詳細な事項を含む財務諸表分析資料として、読み出された財務情報インスタンスを出力することとなる。
また、本実施形態においては、XBRLによりシステムを構築したが、このXBRLに限るものではなく、XML等の他の構造化言語によって構築しても良い。
【0058】
なお、図1における会計情報収集・分析システムの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、データ変換処理,財務諸表連携処理及び経営状況分析処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0059】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0060】
1…データ変換タクソノミデータベース
2…データ変換部
3…財務情報インスタンスデータベース
4…分析科目入力部
5…財務諸表連携部
8…経営指標演算部
9…財務諸表タクソノミデータベース
10…経営指標タクソノミ対比データベース
11…経営指標入力部
12…経営指標算出タクソノミデータベース
15…マッピングファイルデータベース
20…財務指標抽出・算出部
21…経営指標抽出・算出部
50…会計情報収集・分析システム
70…経営指標算出タクソノミ抽出部
71…経営指標用勘定科目抽出部
72…財務諸表用勘定科目抽出部
81…勘定科目積算部
82…財務指標用インスタンス生成部
83…経営指標用インスタンス生成部
100…販売管理システム
101…経理システム
102…給与システム
200…会計システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、会計情報に関する財務処理を行うシステムに関し、詳しくは、各種取引データを収集・分析して経営指標を随時算出することを可能とするとともに、財務諸表の分析を支援する会計情報収集・分析システム及びその方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業が経営状況の把握を行う場合、経営状況を把握する指標として用いる経営指標により把握を行っていた。たとえば、図16に示すように会計システムにおいて、会計処理を行うための取引データを、他の業務システム(例えば、販売管理システム,経理システムや給与システム)から入力し、決算処理などの会計処理を行い、利益や資産や負債の額等を明確にし、決算の結果として財務諸表を作成し、その財務諸表の勘定科目の数値を用いて経営分析に用いる経営指標の算出を行っていた。
【0003】
また、近年は、財務情報の電子的フォーマットとして、XBRL(eXtensible Business Reporting Language)が利用され始めており、XBRL仕様での財務諸表出力機能を有する会計システムも増えてきた。このXBRLとは、標準化されたXML(eXtensible Markup Language)ベースの構造化言語であり、財務情報をXML形式で記述するための標準仕様である。XBRLは、インスタンス文書の構造を定義したXMLスキーマと、各項目間の関係や、各項目に対する追加情報などをXLinkの外部リンク機能を利用して定義されたリンクベースによって構成されたタクソノミからなり、標準化された財務諸表タクソノミが提供されている。
【0004】
しかしながら、従来の会計システムにおいては、月次または半期毎などの一定のサイクル毎における実績の集計しかできず、リアルタイムに日々の経営状況を把握する場合には不向きである。
すなわち、経営指標に関して、目標値を設定し、経営状況の把握を行う企業が多いが、上述した経営指標の算出において、会計システムにては予め設定されたサイクル毎の取引データを集計して算出しているため、日々変化する経営方針や経営環境などにより、重視される経営指標の変化に柔軟に対応することができない。
【0005】
そのため、経営状況を随時把握することが可能なシステムとして、計画情報に基づいて経営指標を計算する際、計算対象とする経営指標や計算ロジックを柔軟にユーザが変更することができる経営指標計算システムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−11278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1においては、算出された経営指標に関して、その数値の増減要因を調査しようとする際、会計システムにて保有している仕訳情報では調査に必要な情報(例えば、部署単位の売り上げや仕入れなど)が不足しており、詳細の調査に多くの手間がかかり、決算数値の詳細分析に必要以上に多くの時間が必要となる。
また、上記特許文献1は、経営指標の計算手順と、計算ロジックのつながりとの定義を、ユーザが登録、削除及び検索などの編集処理が行えるように構成されており、ユーザが指定した経営指標の計算を設定した定義情報を用いて行うが、複数の業務システムからのデータを用いる構成とはなっておらず、必要な情報が不足してる。
【0008】
また、経営者としては、会計システムにおいて決算処理を行った後、得られた財務諸表の分析を行い、利害関係者に対して経営状況の報告を行っている。
上記財務諸表の情報は、会計の仕訳情報レベルであり、仕訳情報には原取引データの詳細内容に関する情報(取引の属性データであり、例えば、売り上げがいずれの事業部によるものか、どの顧客に対する売り上げか等)が少ない。
すなわち、従来の会計システムは、上述したように、現取引の情報が記憶されている上記業務システムと連携しておらず、上述した分析を行う際、現取引の内容を業務システムから抽出する必要があり、分析に必要以上に時間がかかることとなる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、複数の業務システムと連携し、各種取引データを収集し、統一化した構造化言語のデータ形式に変換蓄積し、該データにより、経営指標の随時算出を可能にするとともに、財務諸表の勘定科目に関する原取引データとの連携を可能とし、経営指標に対する詳細分析が行える情報が得られ、かつ経営方針や経営環境の変化を容易に反映し、変化に柔軟に対応する経営指標を求める会計情報収集・分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の会計情報収集・分析システムは、標準化された財務諸表の勘定科目に関する原取引データである複数の業務システムから入力される取引データを統一した構造化言語のデータ形式に変換し、データベースに蓄積することにより、経営状況の分析を支援する会計情報収集・分析システムであって、前記取引データを前記構造化言語のデータ形式の財務情報データに変換した財務情報データを生成するための前記財務情報データの要素名を定義するルールであって、当該要素名が勘定科目の要素名の場合、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素名と同一の要素名を用いるデータ変換構造ルールを、取引の種類毎にあらかじめ記憶するデータ変換構造ルール記憶部と、前記取引データの項目名と、前記データ変換構造ルールの要素名との対応関係を示すマッピングファイルをあらかじめ取引の種類毎に記憶するマッピングファイル記憶部と、前記複数の業務システムから入力される取引データを読み込み、該取引データの取引の種類に対応したマッピングファイルを前記マッピングファイル記憶部から読み出し、該種類に対応したデータ変換構造ルールを前記データ変換構造ルール記憶部から読み出し、読み出したマッピングファイルに対応する項目を前記取引データから検出し、検出した取引データの項目を読み出したデータ変換構造ルールに定義された要素名に対応させて変換することにより、前記財務情報データを生成し、財務情報データ記憶部に順次記憶させるデータ変換部と、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素と、当該要素の演算及びこの演算に用いる下位の要素とを前記データ形式用に定義した財務諸表構造ルールを、あらかじめ財務諸表の種類毎に記憶する財務諸表構造ルール記憶部と、経営指標算出に必要な要素とその演算式を前記データ形式用に定義する経営指標算出ルールであって、前記要素が勘定科目の要素名である場合は、前記財務諸表構造ルールの勘定科目の要素と同一の要素名を用いる経営指標算出ルールを経営指標の種類毎にあらかじめ記憶する経営指標算出ルール記憶部と、経営指標の種類と、前記経営指標算出ルールと、該経営指標算出ルールにより演算される対象の演算対象要素とが対応付けられた経営指標対比テーブルを記憶する経営指標対比テーブル記憶部と、選択された経営指標について、前記経営指標対比テーブルを用いて対応する前記経営指標算出ル
ールと演算対象要素を抽出し、前記経営指標算出ルール記憶部から該当する経営指標算出ルールを読み出し、読み出した経営指標算出ルールから前記演算対象要素に関連する要素を第1勘定科目として抽出する経営指標用勘定科目抽出部と、前記第1勘定科目を要素に含む財務諸表構造ルールを、前記財務諸表構造ルール記憶部から読み出し、読み出した該財務諸表構造ルールから、前記第1勘定科目の要素を演算するために用いる要素を第2勘定科目として抽出する財務諸表勘定科目抽出部と、前記財務情報データ記憶部より前記財務諸表勘定科目抽出部により抽出された第2勘定科目を要素名に含む財務情報データを読み出し、勘定科目毎に財務情報データを積算し、積算データとして出力する勘定科目積算部と、 前記勘定科目積算部より出力された前記積算データを、前記財務諸表構造ルールの演算式に基づき演算し、第1勘定科目のデータを算出した財務指標データを生成して出力する財務指標データ生成部と、前記財務指標データ生成部から出力された財務指標データを、前記経営指標算出ルールの演算式に基づき演算することにより前記選択された経営指標の値を算出し、該経営指標算出ルールに対応した経営指標データを生成する経営指標データ生成部とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の会計情報収集・分析システムは、前記勘定科目積算部が、演算対象要素の演算に用いる要素を含む財務情報データを、ユーザにより入力される処理範囲にて、前記財務情報データ記憶部から読み出し、要素毎に積算し、積算結果を前記財務指標データ生成部へ出力することを特徴とする。
【0012】
本発明の会計情報収集・分析システムは、標準化された財務諸表の勘定科目に関する原取引データである複数の業務システムから入力される取引データを、統一した構造化言語のデータ形式に変換し、データベースに蓄積することにより、経営状況の分析を支援する会計情報収集・分析システムであって、前記取引データを前記構造化言語のデータ形式の財務情報データに変換した財務情報データを生成するための前記財務情報データの要素名を定義するルールであって、当該要素名が勘定科目の要素名の場合、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素名と同一の要素名を用いるデータ変換構造ルールを、取引の種類毎にあらかじめ記憶するデータ変換構造ルール記憶部と、前記取引データの項目名と、前記データ変換構造ルールの要素名との対応関係を示すマッピングファイルを取引の種類毎にあらかじめ記憶するマッピングファイル記憶部と、前記複数の業務システムから入力される取引データを読み込み、該取引データの取引の種類に対応したマッピングファイルを前記マッピングファイル記憶部から読み出し、該種類に対応したデータ変換構造ルールを前記データ変換構造ルール記憶部から読み出し、読み出したマッピングファイルに対応する項目を前記取引データから検出し、検出した取引データの項目を読み出したデータ変換構造ルールに定義された要素名に対応させて変換することにより、財務情報データを生成し、財務情報データ記憶部に順次記憶させるデータ変換部と、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素と、当該要素を求める演算処理が定義された演算式及びこの演算式に用いる下位の要素とを前記データ形式用に定義した財務諸表構造ルールを、財務諸表の種類毎にあらかじめ記憶した財務諸表構造ルール記憶部と、外部から前記構造化言語のデータ形式の財務諸表データを読み込み、分析対象の勘定科目の選択を受付け、選択された分析対象の勘定科目を出力させる分析科目入力部と、前記分析科目入力部から出力された前記分析対象の勘定科目を要素に含む財務諸表構造ルールを前記財務諸表構造ルール記憶部から読み出し、該財務諸表構造ルールから前記分析対象の勘定科目に対応する勘定科目の要素を抽出し、抽出した勘定科目の要素に該勘定科目の要素の演算式が定義されているか否かを解析し、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されている場合は、該演算式に用い
られている下位の要素を分析対象要素とし、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されていない場合は、該勘定科目の要素を分析対象要素とし、前記分析対象要素をキーとして前記財務情報データ記憶部から対応する財務情報データを読み出し、前記分析対象の勘定科目に関連する取引データとして出力する財務諸表連携部とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の会計情報収集・分析システムは、前記財務諸表連携部が、分析対象の財務情報データを、ユーザが入力する処理範囲にて、前記財務情報データ記憶部から読み出すことを特徴とする。
【0014】
本発明の会計情報収集・分析システムは、前記データ変換構造ルールには、要素間の関係を定義した演算式を含み、前記データ変換部は、前記取引データから検出された項目のデータを前記データ変換構造ルールの前記演算式に基づき要素の値を演算した上で財務情報データを生成することを特徴とする。
【0015】
本発明の会計情報収集・分析システムは、 データ変換構造ルール記憶部とマッピングファイル記憶部とデータ変換部と財務諸表構造ルール記憶部と経営指標算出ルール記憶部と経営指標対比テーブル記憶部と経営指標用勘定科目抽出部と財務諸表勘定科目抽出部と勘定科目積算部と財務指標データ生成部と経営指標データ生成部からなる、標準化された財務諸表の勘定科目に関する原取引データである複数の業務システムから入力される取引データを統一した構造化言語のデータ形式に変換し、データベースに蓄積することにより、経営状況の分析を支援する会計情報収集・分析システムにおける会計情報収集・分析方法であって、前記取引データを前記構造化言語のデータ形式の財務情報データに変換した財務情報データを生成するための前記財務情報データの要素名を定義するルールであって、当該要素名が勘定科目の要素名の場合、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素名と同一の要素名を用いるデータ変換構造ルールを、取引の種類毎にあらかじめデータ変換構造ルール記憶部に記憶する過程と、前記取引データの項目名と、前記データ変換構造ルールの要素名との対応関係を示すマッピングファイルをあらかじめ取引の種類毎にマッピングファイル記憶部に記憶する過程と、データ変換部が前記複数の業務システムから入力される取引データを読み込み、該取引データの取引の種類に対応したマッピングファイルを前記マッピングファイル記憶部から読み出し、該種類に対応したデータ変換構造ルールを前記データ変換構造ルール記憶部から読み出し、読み出したマッピングファイルに対応する項目を前記取引データから検出し、検出した取引データの項目を読み出したデータ変換構造ルールに定義された要素名に対応させて変換することにより、財務情報データを生成し、財務情報データ記憶部に順次記憶させる過程と、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素と、当該要素の演算及びこの演算に用いる下位の要素とを前記データ形式用に定義した財務諸表構造ルールを、財務諸表の種類毎にあらかじめ財務諸表構造ルール記憶部に記憶する過程と、経営指標算出に必要な要素とその演算式を前記データ形式用に定義する経営指標算出ルールであって、前記要素が勘定科目の要素名である場合は、前記財務諸表構造ルールの勘定科目の要素と同一の要素名を用いる経営指標算出ルールを経営指標
の種類毎にあらかじめ経営指標算出ルール記憶部に記憶する過程と、経営指標の種類と、前記経営指標算出ルールと、該経営指標算出ルールにより演算される対象の演算対象要素とが対応付けられた経営指標対比テーブルを経営指標対比テーブル記憶部に記憶する過程と、経営指標用勘定科目抽出部が選択された経営指標について、前記経営指標対比テーブルを用いて対応する前記経営指標算出ルールと演算対象要素を抽出し、前記経営指標算出ルール記憶部から該当する経営指標算出ルールを読み出し、読み出した経営指標算出ルールから前記演算対象要素に関連する要素を第1勘定科目として抽出する過程と、財務諸表勘定科目抽出部が前記第1勘定科目を要素に含む財務諸表構造ルールを、前記財務諸表構造ルール記憶部から読み出し、読み出した財務諸表構造ルールから、前記第1勘定科目の要素を演算するために用いる要素を第2勘定科目として抽出する過程と、勘定科目積算部が前記財務情報データ記憶部より前記財務諸表勘定科目抽出部により抽出された第2勘定科目を要素名に含む財務情報データを、前記財務情報データ記憶部から読み出し、勘定科目毎に財務情報データを積算し、積算データとして出力する過程と、財務指標データ生成部が、前記勘定科目積算部より出力された前記積算データを、前記財務諸表構造ルールの演算式に基づき演算し、第1勘定科目のデータを算出し、該財務諸表構造ルールに対応した財務指標データを生成して出力する過程と、経営指標データ生成部が前記財務指標データ生成部から出力された財務指標データを、前記経営指標算出ルールの演算式に基づき演算することにより前記選択された経営指標の値を算出し、該経営指標算出ルールに対応した経営指標データを生成する過程とを有することを特徴とする。
【0016】
本発明の会計情報収集・分析方法は、データ変換構造ルール記憶部とマッピングファイル記憶部とデータ変換部と財務諸表構造ルール記憶部と分析科目入力部と財務諸表連携部からなる、標準化された財務諸表の勘定科目に関する原取引データである複数の業務システムから入力される取引データを、統一した構造化言語のデータ形式に変換し、データベースに蓄積することにより、経営状況の分析を支援する会計情報収集・分析システムにおける会計情報収集・分析方法であって、前記取引データを前記構造化言語のデータ形式の財務情報データに変換した財務情報データを生成するための前記財務情報データの要素名を定義するルールであって、当該要素名が勘定科目の要素名の場合、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素名と同一の要素名を用いるデータ変換構造ルールを、取引の種類毎にあらかじめデータ変換構造ルール記憶部に記憶する過程と、前記取引データの項目名と、前記データ変換構造ルールの要素名との対応関係を示すマッピングファイルを取引の種類毎にあらかじめマッピングファイル記憶部に記憶する過程と、データ変換部が、前記複数の業務システムから入力される取引データを読み込み、該取引データの取引の種類に対応したマッピングファイルを前記マッピングファイル記憶部から読み出し、該種類に対応したデータ変換構造ルールを前記データ変換構造ルール記憶部から読み出し、読み出したマッピングファイルに対応する項目を前記取引データから検出し、検出した取引データの項目を読み出したデータ変換構造ルールに定義された要素名に対応させて変換することにより、財務情報データを生成し、財務情報データ記憶部に順次記憶させる過程と、 前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素と、当該要素を求める演算処理が定義された演算式及びこの演算式に用いる下位の勘定科目の要素とを前記データ形式用に定義した財務諸表構造ルールを、財務諸表の種類毎にあらかじめ財務諸表構造ルール記憶部に記憶する過程と、分析科目入力部が、外部から前記構造化言語のデータ形式の財務諸表データを読み込み、分析対象の勘定科目の選択を受付け、選択された分析対象の勘定科目を出力する過程と、財務諸表連携部が前記分析科目入力部から出力された前記分析対象の勘定科目を要素に含む財務諸表構造ルールを前記財務諸表構造ルール記憶部から読み出し、該財務諸
表構造ルールから前記分析対象の勘定科目に対応する勘定科目の要素を抽出し、抽出した勘定科目の要素に該勘定科目の要素の演算式が定義されているか否かを解析し、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されている場合は、該演算式に用いられている下位の要素を分析対象要素とし、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されていない場合は、該勘定科目の要素を分析対象要素とし、前記分析対象要素をキーとして前記財務情報データ記憶部から対応する財務情報データを読み出し、前記分析対象の勘定科目に関連する取引データとして出力する過程とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明のプログラムは、上記いずれかに記載の会計情報収集・分析システムとして、コンピュータを機能させるための会計情報収集・分析プログラムである。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、外部の業務システムから入力される取引データを、標準化された財務諸表構造ルールの勘定科目名と同一名称を含むデータ変換構造ルールを用いて統一化した構造化言語(XBRL等)に変換し、財務情報データとして蓄積することにより、OS(オペレーティングシステム)やプラットフォームに依存せずにデータの再利用が可能となる。
例えば、ユーザがあらかじめ、設定したい経営指標とその演算式について、財務諸表構造ルールの要素名と同一名称を用いて経営指標算出ルールとして定義しておくことにより、財務諸表が完成していない場合でも、この蓄積した財務情報データを用いてユーザが所望の経営指標を随時算出することが可能となる。
【0019】
また、本発明によれば、経営指標を演算する際、この演算に必要な勘定科目について、財務諸表構造ルールと連携し、財務諸表構造ルールの詳細な勘定科目、すなわち、演算式にて用いられる勘定科目に関する取引を財務データから収集し、経営指標値を算出するため、財務諸表構造ルールの詳細な勘定科目までを意識せずに経営指標算出ルールの定義が可能である。
【0020】
また、本発明によれば、財務諸表構造ルールを用いることによって、外部の会計システムにより作成された財務諸表と蓄積された財務データとについて、勘定科目の要素名をキーとした連携が財務諸表連携部において可能となり、これにより財務諸表の各勘定科目の原取引データを収集することなどが可能となるため、従来は不可能であった財務諸表のより詳細な経営分析が可能となる。
【0021】
また、本発明によれば、上記データ変換構造ルールの演算式に、要素間のビジネスルールや計算式を定義することにより、内部統制環境として検証機能を構築する事も可能である。この結果、本発明によれば、上記演算式が外部ファイルとして与えられる情報のため、財務報告に対する金額的及び質的影響の重要性の変化に伴い、柔軟に検証項目・内容の変更が可能になる。
さらに、本発明によれば、既存の業務システムの出力する取引データに対する修正を行う必要がないため、業務システムへの影響なく、経営方針や経営環境の変化への対応が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態による会計情報収集・分析システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】データ変換部2におけるデータ変換処理を説明する概念図である。
【図3】財務諸表タクソノミの構造定義部分(スキーマ)のXBRL記述の例を示す概念図である。
【図4】財務諸表タクソノミの構造定義部分(リンクベース)のXBRL記述の例を示す概念図である。
【図5】マッピングテーブルの構造を説明する概念図である。
【図6】業務システムにおける表形式のデータの構成を示す概念図である。
【図7】分析科目入力部4及び財務諸表連携処理部5による財務諸表連携処理の動作を説明する概念図である。
【図8】財務諸表連携処理部5の動作を説明する概念図である。
【図9】経営指標タクソノミ対比テーブルの構造を説明する概念図である。
【図10】経営指標算出タクソノミ及び財務諸表タクソノミの構成を説明する概念図である。
【図11】会計情報収集・分析システムの動作の流れを説明するための概念図である。
【図12】データ変換部2におけるデータ変換処理を説明する概念図である。
【図13】経営指標算出タクソノミ及び財務諸表タクソノミの解析処理の動作を説明する概念図である。
【図14】財務情報インスタンスから対応する勘定科目の積算を行う勘定科目積算部7の処理を説明する概念図である。
【図15】経営指標算出タクソノミ及び財務諸表タクソノミを用いた経営指標インスタンスの生成処理を説明する概念図である。
【図16】販売管理システム100,経理システム101及び給与システム102等の業務システムから入力される取引データを用いて会計処理を行う会計システムの処理を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、販売管理システム,経理システム及び給与システムなどの業務システムから入力される取引データ(例えば、販売管理システムであれば、売上高、売上日、商品名、価格などのデータ)を、各取引毎に、コンピュータ上にて再利用可能な構造化ファイル(XML形式であるXBRL仕様)であるインスタンス文書(本実施形態における財務情報インスタンス)に変換し、インスタンスデータベース(財務情報インスタンスデータベース)に順次蓄積しておく。そして、経営指標の算出が必要な際には、インスタンスデータベースから算出したい経営指標に必要なインスタンス文書を検索し、あらかじめ作成した経営指標算出タクソノミにより経営指標を算出して経営指標インスタンスを作成可能とするものである。すなわち、経営指標算出タクソノミの下位要素を抽出し、この勘定科目の要素名をキーに標準的に用いられている財務諸表タクソノミの勘定科目の要素名を抽出し、この勘定科目の要素名をキーに財務情報インスタンスデータベースを検索し、財務指標インスタンス及び経営指標インスタンスを作成するものである。さらに、財務情報インスタンスを蓄積した財務情報インスタンスデータベースを用い、財務諸表タクソノミにおける勘定科目の要素名をキーとして、インスタンスデータベースから対応するインスタンス文書を検索することにより、財務諸表の各勘定科目と、その勘定科目に対応する現取引データとを連携させ、会計情報の詳細な分析を支援する。
【0024】
以下、本発明の一実施形態による会計情報収集・分析システムを図面を参照して説明する。図1は同実施形態による会計情報収集・分析システムの構成例を示すブロック図である。この図において、上記実施形態の会計情報収集・分析システム50は、データ変換タクソノミデータベース1,データ変換部2,財務情報インスタンスデータベース3,分析科目入力部4,財務諸表連携部5,経営指標演算部8,財務諸表タクソノミデータベース9,経営指標タクソノミ対比データベース10,経営指標入力部11,経営指標算出タクソノミデータベース12及びマッピングファイルデータベース15を有している。また、経営指標演算部8は経営指標算出タクソノミ抽出部70,財務指標抽出・算出部20,経営指標抽出・算出部21及び勘定科目積算部81から構成されている。さらに、財務指標抽出・算出部20は財務諸表用勘定科目抽出部72及び財務指標用インスタンス生成部82から構成され、経営指標抽出・算出部21は経営指標用勘定科目抽出部71及び経営指標用インスタンス生成部83から構成されている。また、図1において、会計情報収集・分析システム50には、業務システムとして販売管理システム100,経理システム101及び給与システム102と、取引データを用いて会計処理を行う会計システム200とが接続されている。
【0025】
なお、上記データ変換タクソノミデータベース1,財務諸表タクソノミデータベース9及び経営指標算出タクソノミデータベース12には、それぞれXBRL仕様でのデータ構造を定義するタクソノミが記憶されている。このタクソノミは、XBRLインスタンス(以下、インスタンスと記述)の構造を定義したXBRLスキーマ(以下、スキーマと記述)と、このスキーマに関連づけられ、計算リンクやフォーミュラリンクなどの演算処理を行う情報が記述されたリンクベースとの2種類のファイルから構成されている。
【0026】
スキーマとはインスタンスの構造を定義し、具体的な勘定科目や注記事項などの項目が定義されているものである。また、このスキーマの中において、リンクベースの参照も定義されている。また、上記リンクベースの1つである計算リンクとは、要素の値の加減算式を定義したものであり、例えば、勘定科目の各要素間の数値の単純な加算及び減算のみを行う処理が定義されている。リンクベースの他の1つであるフォーミュラリンクとは、数式により要素間の論理構造及び該要素の要素データ(人や物の名称や種別など)の論理演算を行う演算が定義されたものであり、例えば、数式や論理演算式により、各要素の要素データにより得られる結果の判定を行うビジネスルール等を定義したものである。
すなわち、計算リンクやフォーミュラリンクは、スキーマとは異なる外部ファイルとして設定されるものであり、必要となる財務報告に対する金額的及び質的影響の重要性の変化に伴い、柔軟に評価対象の要素の演算に必要な計算式やパラメータとしての要素、論理演算式の内容を変更することができる。
【0027】
データ変換タクソノミデータベース1には、入力される販売管理システム100,経理システム101及び給与システム102等の業務システムから入力される取引データを、財務情報インスタンス(XBRLインスタンス)に変更する際に用いるデータ変換タクソノミが業務システム毎、かつ業務システムにおける取引の種類毎に予め作成され、業務システム及び取引の種類毎を示す識別情報に対応して記憶されている。
図2(a)は、上記データ変換タクソノミの構成例を示した概念図である。この図2(a)におけるスキーマから、このスキーマに記載された要素を有する財務情報インスタンスが生成される。すなわち、図2(a)に記載されているデータ変換タクソノミのスキーマには、販売管理システム100から入力される取引の種類として、「売上」に対する取引データを、財務情報インスタンス(売上)に変換するための要素が定義されている。すなわち、要素としては「売上」、「日付」、「事業部」、「担当」、「承認」、「顧客」、「商品」、「単価」、「個数」、「ビジネスルール1」、「ビジネスルール2」が記載されている。
【0028】
このデータ変換タクソノミに用いる要素のうち、勘定科目の要素名(例えば、「売上」)については、標準仕様として提供されている財務諸表タクソノミに用いられている要素名(例えば、「売上」)と同一のものを用いる。この標準の財務諸表XBRLタクソノミは、例えば、「http://www.xbrl-jp.org/download/index.htm#税務用財務諸表XBRLタクソノミー(2006年12月12日参照)」に記載されているものである。
図2(b)は、上記財務諸表タクソノミの構成の1例を示した概念図である。上述した標準の財務諸表の勘定科目を要素名として規定したスキーマと、該スキーマにリンクされ、要素間の加算及び減算の処理を定義した計算リンクから構成されている。また、図3にXBRL仕様にて記載された財務諸表スキーマファイルの例を示し、図4に同様にXBRL仕様にて記載された計算リンクの例を示す。このように、タクソノミにおいて、スキーマファイルの外部ファイルとしてリンクベースのファイルが設定されている。
【0029】
ここで、販売管理システム100,経理システム101及び給与システム102等の業務システムから入力される取引データは、例えば図6に示されるような表形式のデータであり、表計算ソフト(例えばEXCEL(登録商標)など)のフォーマットや、固定長のビットデータ列などである。ユーザの操作により、各業務システムから上記取引データがデータ変換部2に対して出力される。
【0030】
マッピングファイルデータベース15は、データ変換タクソノミスキーマに記述されている要素と、取引データファイルにて用いられている項目との対応関係を示しているマッピングファイルが蓄積されている。ここで、マッピングファイルは、予めユーザにより、業務システムからの取引データの種類毎に作成されており、種類を示す識別情報に対応して記憶されている。例えば、図5に示すマッピングファイルは、取引の種類として「売上」の取引データにおける項目と、売上げの取引データ用のデータ変換スキーマに記載された要素とを対応付ける「売上」の取引データ用として準備されているものである。
【0031】
データ変換部2は、販売管理システム100,経理システム101及び給与システム102から入力される取引データを読み込み、この取引の種類の識別情報に対応する上記マッピングファイルを読み出して参照し、スキーマに記載された要素に対応する項目を、この取引データから検出し、この項目と対応する項目データを読み出す(抽出する)。また、データ変換部2は、データ変換タクソノミデータベース1から、入力される取引データの種類に対応する識別情報に対応したデータ変換タクソノミを読み出し、このデータ変換タクソノミのスキーマに記述された定義に対応し、要素とこの要素に対応する要素データとを対応付けて記述することでインスタンス文書を生成、例えば、図8に示す構成の財務情報インスタンスRを生成する。図8は、「売上」に対応するデータ変換タクソノミに基づいて生成された財務情報インスタンスを蓄積する財務情報インスタンスデータベース3の構成を示す概念図である。
【0032】
経営指標入力部11は、経営指標演算部8に経営指標の演算処理を実行させるため、図9(a)に示す経営指標選択画面を表示部に表示し、ユーザに演算対象の経営指標の項目を選択させ、ユーザの選択した経営指標名を経営指標算出タクソノミ抽出部70へ出力する。このとき、ユーザは、上記経営指標入力部11に対し、経営指標の処理範囲、たとえば算出期間、及び算出対象の事業部などの演算処理を行う期間や部署または人名などを、処理範囲として特定することができる。この処理範囲は、経営指標算出タクソノミ抽出部70、経営指標用勘定科目抽出部71及び財務諸表用勘定科目抽出部72を介して勘定科目積算部81へ入力される。この図9(a)において、ユーザが選択した経営指標として、「売上高総利益率」が選択欄に表示されている。
なお、この経営指標は、予めユーザに設定されるものであり、ユーザの設定した算出対象となる複数の異なる経営指標各々に対応した経営指標算出タクソノミが、経営指標算出タクソノミデータベース12に蓄積されている。
【0033】
例えば、図10(a)に示す経営指標算出タクソノミは「売上高総利益率」を算出するために定義されたタクソノミであり、スキーマには要素として「売上高利益率」、「売上」及び「売上総利益」が設定されている。そして、このスキーマに対応付けられたリンクベース(フォーミュラリンク)には、スキーマにおける要素である「売上高総利益率」を算出するための演算式が定義されている。図10(a)におけるフォーミュラリンクは、「売上総利益」を「売上」により除算し、この除算結果に対して100を乗じることにより、「売上高総利益率」を算出する構成となっている。
なお、データ変換タクソノミと同様に、上記経営指標算出タクソノミにおいても、スキーマの要素が勘定科目の場合、財務諸表タクソノミの要素名と同一の名称を用いる。
【0034】
経営指標タクソノミ対比データベース10には、経営指標入力部11から入力される経営指標(経営指標名)と、この経営指標(経営指標名)に対応した経営指標算出タクソノミと、そのスキーマにて算出対象の要素として定義されている要素名との対応関係を示す経営指標タクソノミ対比テーブルが記憶されている。この経営指標タクソノミ対比テーブルはユーザが予め設定しておくものであり、図9(b)にその経営指標タクソノミ対比テーブルの具体的な一例を示す。
【0035】
経営指標算出タクソノミ抽出部70は、上記経営指標により経営指標タクソノミ対比データベース10に記憶されている経営指標タクソノミ対比テーブルを参照し、ユーザが選択した経営指標に対応する経営指標算出タクソノミのファイル名及び算出対象の要素を読み出し、経営指標用勘定科目抽出部71へ出力する。
経営指標用勘定科目抽出部71は、経営指標算出タクソノミ抽出部70から入力されたファイル名に対応した経営指標算出タクソノミを読み出し、またこの経営指標算出タクソノミのスキーマから算出対象の要素を検出して読み出す。
また、経営指標用勘定科目抽出部71は、上記スキーマにリンクベースが記述されている場合は、そのリンクベースを参照し、算出対象要素の演算が定義されているか否かを解析する。経営指標用勘定科目抽出部71は、リンクベースに算出対象要素の演算が定義されていない場合、またはリンクベースが記述されていない場合、この算出対象要素を「第1の下位勘定科目」として抽出し、財務諸表用勘定科目抽出部72へ出力する。一方、経営指標用勘定科目抽出部71は、リンクベースに算出対象要素の演算が定義されている場合、リンクベースの演算に用いられている下位要素を「第1の下位勘定科目」として抽出し、財務諸表用勘定科目抽出部72へ出力する。
【0036】
財務諸表用勘定科目抽出部72は、経営指標用勘定科目抽出部71において抽出された「第1の下位勘定科目」に対応する財務諸表タクソノミを、財務諸表タクソノミデータベース9から抽出し、財務諸表タクソノミのスキーマから第1の下位勘定科目を抽出する。
また、財務諸表勘定科目抽出部72は、財務諸表タクソノミのスキーマにリンクベースが記述されている場合、そのリンクベースを参照し、第1の下位勘定科目の演算が定義されているか否かを解析する。財務諸表勘定科目抽出部72は、リンクベースに、第1の下位勘定科目の演算が定義されていない場合、またはリンクベースが記述されていない場合、この第1の下位勘定科目をそのまま「第2の下位勘定科目」として抽出し、勘定科目積算部81へ出力する。一方、財務諸表勘定科目抽出部72は、リンクベースに第1の下位勘定科目の演算が定義されている場合、リンクベースの演算に用いられている下位要素を「第2の下位勘定科目」として抽出し、勘定科目積算部81へ出力する。
【0037】
勘定科目積算部81は、財務情報インスタンスデータベース3から財務諸表用勘定科目抽出部72から入力される第2の下位勘定科目の要素のインスタンス(データ)を抽出し(読み出し)、各要素毎にデータの積算を行い、積算データとして財務指標用インスタンス生成部82に出力する。このとき、経営指標入力部11から入力された、ユーザが指定した処理範囲が存在する場合、勘定科目積算部81は、その処理範囲の該当財務情報インスタンスを抽出し、各要素毎にその処理範囲内におけるデータの積算を行う。
【0038】
財務指標用インスタンス生成部82は、勘定科目積算部81から入力される第2の下位勘定科目の積算データについて、財務諸表タクソノミのリンクベースが定義されている場合はその計算リンクまたはフォーミュラリンクにより、第1の下位勘定科目の値を算出し、財務諸表タクソノミのスキーマの要素(第1の下位勘定科目)に対応させて、該第1の下位勘定科目の値を書き込むことにより、財務指標インスタンスを生成するとともに、第1の下位勘定科目のデータを経営指標用インスタンス生成部83へ出力する。
【0039】
経営指標用インスタンス生成部83は、財務指標用インスタンス生成部82から入力される第1の下位勘定科目の値を用い、経営指標算出タクソノミのリンクベースが定義されている場合にはその計算リンク及びフォーミュラリンクにより、算出対象の経営指標の値を演算する。
さらに、経営指標用インスタンス生成部83は、経営指標算出タクソノミのスキーマに記述された要素に対応させて、上記経営指標の値を書き込むことにより、経営指標インスタンスを生成する。
【0040】
分析科目入力部4は、図7の表示部Sに示すように、外部の会計システム200から入力される財務諸表インスタンスを表示し、この選択画面においてユーザにより選択された分析対象の勘定科目を財務諸表を財務諸表連携部5へ出力する。
【0041】
財務諸表連携部5は、分析科目入力部4から入力される勘定科目の項目をキーとして、その項目に対応する財務諸表タクソノミを、財務諸表タクソノミデータベース9から読み出す。また、財務諸表連携部5は、読み山した財務諸表タクソノミのスキーマから、選択された勘定科目に対応する要素を抽出(検出)する。さらに、財務諸表連携部5は、読み出した財務諸表タクソノミのスキーマにリンクベースが記述されている場合、そのリンクベースを参照し、その勘定科目の要素の演算が定義されているか否かを解析する。財務諸表連携部5は、リンクベースにその勘定科目の要素の演算が定義されていない場合、この勘定科目の要素を含む取引データの財務情報インスタンスを財務情報インスタンスデータベース3から読み出して出力する。一方、財務諸表連携部5は、リンクべースにその勘定科目の要素の演算が定義されている場合、リンクベースの演算に用いられている下位の勘定科目の要素を含む取引データの財務情報インスタンスを財務情報インスタンスデークベース3から読み出して出力する。
上述したように、財務諸表連携部5の処理により、勘定科目の項目名をキーとして、財務諸表タクソノミの各項目と各取引データから生成した財務情報インスタンスとの関連付けが行え、会計システム200にて分析できなかった事項まで分析することが可能となる。
【0042】
次に、図を参照して本実施形態による会計情報収集・分析システムにおける、データ変換処理、経営状況分析処理及び財務諸表連携処理の各動作を説明する。
<データ変換処理>
図1、図2、図5、図6、図11及び図12を用い、本実施形態における上記データ変更処理の動作説明を行う。ここで、図11は、本実施形態の全体的なシステムの動作を説明する概念図である。また、図12は、データ変換処理の流れを示す概念図である。
販売管理システム100、経理システム101及び給与システム102は、それぞれ取引が行われると、その取引結果を示す取引データを、会計情報収集・分析システムに出力する。
【0043】
データ変換部2は、販売管理システム100、経理システム101及び給与システム102から取引データが入力されると、取引の種類を示す識別情報により、マッピングファイルデータベース15から、この取引の種類に対応するマッピングファイルを読み出すとともに、同様に識別情報により、データ変換タクソノミデータベース1から、入力された取引データに対応するデータ変換タクソノミを読み出す。
【0044】
そして、データ変換部2は、読み出したマッピングファイルに基づき、読み出したデータ変換タクソノミのスキーマに記載されている要素のデータであるインスタンスを、対応する取引データの項目のデータから読み出し、あるいは読み出したデータから生成し、財務情報インスタンスを生成する。
このとき、データ変換部2は、データ変換タクソノミに記載されているリンクベースの定義する計算リンクまたはフォーミュラリンクにより、勘定科目の要素やその他の要素のデータから異なる要素のデータ生成を行う場合もある。
【0045】
例えば、図12においては、財務情報インスタンスにて定義される要素であるビジネスルール1及び2のデータの演算を行うフォーミュラリンクが示されている。
このフォーミュラリンクにおけるビジネスルール1は、「売上」が「100」以上であれば担当以外の承認が必要であり、未満であれば承認の必要の有無を判定するものである。 ここで、売上が「100」以上であり、承認が本人と異なる人間が行っていることが示されているため、財務情報インスタンスにおけるビジネスルール1の要素は、フォーミュラリンクの演算結果として「OK」が記述されている。
【0046】
また、ビジネスルール2は、要素「売上」のデータが要素「単価」のデータに要素「個数」のデータを乗じた数値に等しいかを判定するものである。ここで、「売上」の「100」が、「単価」の「100」に対し、「個数」の「1」を乗算したものと等しいため、財務情報インスタンスにおけるビジネスルール2の要素は、フォーミュラリンクの演算結果として「OK」が記述されている。
そして、データ変換部2は、計算リンク及びフォーミュラリンクにて得られた項目のを含め、図8に示すように、勘定項目「売上」及び「仕入」等に対応する財務情報インスタンスRを、取引毎に財務情報インスタンスデータベース3に対して順次蓄積する。
【0047】
<経営状況分析処理>
図1、図9、図11、図13、図14及び図15を用い、本実施形態における上記財務諸表連携処理の動作説明を行う。
経営指標入力部11は、経営指標演算部8に経営指標の算出処理を実行させるため、図9(a)に示す経営指標選択画面を表示部に表示し、ユーザに演算対象の経営指標の項目を選択させる。そして、ユーザがこの経営指標選択画面において経営指標を選択すると、経営指標入力部11は、選択された経営指標、例えば図9(a)における「売上高高利益率」を経営指標算出タクソノミ抽出部70へ出力する。このとき、ユーザは、上記経営指標入力部11に対して、経営指標の処理範囲、例えば、算出期間及び算出対象の事業部を入力する。この処理範囲は、経営指標算出タクソノミ抽出部70,経営指標用勘定科目抽出部71及び財務諸表用勘定科目抽出部72を介して、勘定科目積算部81へ入力される。
【0048】
経営指標算出タクソノミ抽出部70は、経営指標入力部11から入力された経営指標の項目をキーとして、経営指標タクソノミ対比データベース10を参照し、使用する経営指標算出タクソノミ名及び勘定科目の要素名を抽出する(読み出す)。
すなわち、経営指標算出タクソノミ抽出部70は、図9の経営指標タクソノミ対比テーブルにおいて、「売上高総利益率.xsd」の経営指標算出タクソノミのファイル名と、「売上高利益率」という勘定科目の要素名とを抽出する。(ステップS11)。
【0049】
次に、経営指標用勘定科目抽出部71は、経営指標算出タクソノミ抽出部70により抽出された経営指標算出タクソノミのファイル名により、対応するファイル名の経営指標算出タクソノミを経営指標算出タクソノミデータベース12から読み出し、この経営指標算出タクソノミのスキーマにリンクベースが定義されているか否かを検出し、リンクベースが定義されている場合、このリンクベースを参照し、算出対象要素の演算が定義されているか否かを解析する。経営指標用勘定科目抽出部71は、リンクベースに算出対象の要素が定義されていないことを検出した場合、またはリンクベースが記述されていない場合、この算出対象要素を「第1の下位勘定科目」として抽出し、財務諸表用勘定科目抽出部72へ出力する。一方、経営指標用勘定科目抽出部71は、リンクベースに算出対象要素の演算が定義されていることを検出した場合、リンクベースの演算に用いられている下位要素を「第1の勘定科目」として抽出し、財務諸表用勘定科目抽出部72へ出力する(ステップS12)。
すなわち、経営指標用勘定科目抽出部71は、図13の経営指標算出タクソノミのスキーマから、「売上」及び「売上総利益」の要素が第1の下位勘定科目として抽出される。
【0050】
次に、財務諸表用勘定科目抽出部72は、経営指標用勘定科目抽出部71で抽出された「第1の下位勘定科目」を含む財務諸表タクソノミを、財務諸表タクソノミデータベース9から抽出し、第1の下位勘定科目(図13において、「売上」「売上総利益」)に対して、財務諸表タクソノミのスキーマを参照する。そして、財務諸表用勘定科目抽出部72は、この財務諸表タクソノミのスキーマにリンクベースが定義されているか否かを検出し、リンクベースが定義されている場合、このリンクベースを参照し、「第1の勘定科目」の演算が定義されているか否かを解析する。財務諸表用勘定科目抽出部72は、リンクベースに「第1の勘定科目」が定義されていないことを検出した場合、またはリンクベースが記述されていない場合、この「第1の勘定科目」をそのまま「第2の下位勘定科目」として抽出し、勘定科目積算部81へ出力する。一方、財務諸表用勘定科目抽出部72は、リンクベースに「第1の勘定科目」の演算が定義されていることを検出した場合、リンクベースの演算に用いられている下位要素を「第2の勘定科目」として抽出し、勘定科目積算部81へ出力する(ステップS13)。
すなわち、財務諸表用勘定科目抽出部72は、図13において、「売上」及び「仕入」が第2の下位勘定科目として抽出される。
【0051】
次に、勘定科目積算部81は、財務諸表用勘定科目抽出部72から入力された勘定科目(第2の下位勘定科目)及び処理範囲に対応する財務情報インスタンスを、財務情報インスタンスデータベース3から読み出す。(ステップS14)
例えば、勘定科目積算部81は、図14において、「売上」が100、200、300のインスタンスと、「仕入」が80、160、240のインスタンスとがそれぞれ抽出される。
次に、勘定科目積算部81は、抽出された上記インスタンスを、第2の勘定科目毎に積算し、積算結果を積算データとして、財務指標用インスタンス生成部82に対して出力する(ステップS15)。
例えば、勘定科目積算部81は、図14において、積算結果として「売上」の勘定科目のインスタンスの積算データを「600」とし、「仕入」の勘定科目のインスタンスの積算データを「480」として出力する。
【0052】
次に、財務指標用インスタンス生成部82は、勘定科目積算部81から入力された勘定科目の積算データを用い、図15で示すように、財務諸表タクソノミを用い、計算リンクを参照して上位の第1の下位勘定科目の数値を算出する。ここで、財務指標用インスタンス生成部82は、計算リンクが設定されていない場合、第2の下位勘定科目の積算データを第1の下位勘定科目の算出値として出力する。すなわち、「売上総利益」の算出値として「120」を算出する。
そして、財務指標用インスタンス生成部82は、積算データおよびこの積算データから算出した算出値を、財務諸表タクソノミのスキーマの対応する各要素に対応して書き込むことにより、財務指標インスタンスを作成する。
次に、財務指標用インスタンス生成部82は、経営指標算出タクソノミの下位の勘定科目として経営指標用勘定科目抽出部71より入力された第1の下位勘定科目と、その第1の下位勘定科目の算出値とを経営指標用インスタンス生成部83へ出力する(例えば、「売上」として「600」、「売上総利益」として「120」)。
【0053】
次に、経営指標用インスタンス生成部83は、財務指標用インスタンス生成部82より入力された経営指標算出タクソノミの第2の下位勘定科目の値により、リンクべース(計算リンクまたはフォーミュラリンク)を参照して経営指標を算出する(例えば、「売上高利益率」として「20」)。
そして、経営指標用インスタンス生成部83は、積算データおよびリンクベースにより算出した数値を、経営指標算出タクソノミのインスタンスにおける要素に対応して書き込むことにより、経営指標インスタンスを作成して、外部システムに対して出力する(ステップS16)。
【0054】
上述したように、本実施形態の会計情報収集・分析システム50は、原取引データの情報そのまま、すなわち日付,事業部,担当者などの属性データを含めた財務情報インスタンスを作成し、財務情報インスタンスデータベース3に記憶させているので、仕訳情報として属性データを用いることができ、経営指標の算出に必要な勘定科目(経営指標算出タクソノミの勘定科目の要素名)毎に、経営指標の算出対象の期間(例えば、最初から集計時点まで、や直近の一ヶ月分など)や対象取引(全社分の売上,所定の事業部の売上のみ,所定の商品の売り上げのみなど)により、財務情報インスタンス及び経営指標インスタンスを読み出すことができるので、より詳細な経営状況の把握を行う情報を演算することができる。
【0055】
<財務諸表連携処理>
図1,図7,図8及び図11を用い、本実施形態における上記財務諸表連携処理の動作説明を行う。
分析科目入力部4は、従来例に示した会計システム200から出力される財務諸表のデータを、XBRL形式に変換したインスタンス文書がユーザにより入力されると、このインスタンス文書から各勘定科目の要素とこの要素の要素データとを抽出して表示部に表示する。
【0056】
そして、ユーザが図7に示す表示部に表示された勘定科目のなかから、ポインティングデバイスなどで選択すると、分析科目入力部4は、上記した勘定科目の項目、例えば「売上総利益」を財務諸表連携部5へ出力する(ステップS1)。
次に、財務諸表連携部5は、この「売上総利益」に関する財務諸表タクソノミを、財務諸表タクソノミデータベース9から読み出す。
そして、対応する財務諸表タクソノミを読み込むと、財務諸表連携部5は、読み出した財務諸表タクソノミのスキーマの勘定項目の要素である「売上総利益」を参照し、それにリンクベースが定義されている場合、リンクベースに用いられている下位の勘定科目を読み出す。例えば、財務諸表連携部5は、図7の財務諸表タクソノミのスキーマから、勘定科目の「売上」と「仕入」とが読み出される(ステップS2)。
【0057】
そして、財務諸表連携部5は、読み出された(抽出された)下位の勘定科目、すなわち「売上」及び「仕入」とを含む財務情報インスタンスを、財務情報インスタンスデータベース3から読み出し、この勘定科目「売上」及び「仕入」のデータを出力する。(ステップS3)。
これにより、財務諸表連携部5は、会計システムにて算出された財務諸表において、各勘定科目の要素データが、どのような取引データから求められたのかを、現取引データ(取引に関する属性のデータを含む)が記載された財務情報インスタンスを、財務諸表タクソノミとデータ変換タクソノミとの要素名を同一とすることにより、容易に関連付けることができ、会計システムにて得られる仕訳情報のみでは分析ができなかった詳細な事項を含む財務諸表分析資料として、読み出された財務情報インスタンスを出力することとなる。
また、本実施形態においては、XBRLによりシステムを構築したが、このXBRLに限るものではなく、XML等の他の構造化言語によって構築しても良い。
【0058】
なお、図1における会計情報収集・分析システムの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、データ変換処理,財務諸表連携処理及び経営状況分析処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0059】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0060】
1…データ変換タクソノミデータベース
2…データ変換部
3…財務情報インスタンスデータベース
4…分析科目入力部
5…財務諸表連携部
8…経営指標演算部
9…財務諸表タクソノミデータベース
10…経営指標タクソノミ対比データベース
11…経営指標入力部
12…経営指標算出タクソノミデータベース
15…マッピングファイルデータベース
20…財務指標抽出・算出部
21…経営指標抽出・算出部
50…会計情報収集・分析システム
70…経営指標算出タクソノミ抽出部
71…経営指標用勘定科目抽出部
72…財務諸表用勘定科目抽出部
81…勘定科目積算部
82…財務指標用インスタンス生成部
83…経営指標用インスタンス生成部
100…販売管理システム
101…経理システム
102…給与システム
200…会計システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標準化された財務諸表の勘定科目に関する原取引データである複数の業務システムから入力される取引データを、統一した構造化言語のデータ形式に変換し、データベースに蓄積することにより、経営状況の分析を支援する会計情報収集・分析システムであって、
前記取引データを前記構造化言語のデータ形式の財務情報データに変換した財務情報データを生成するための前記財務情報データの要素名を定義するルールであって、当該要素名が勘定科目の要素名の場合、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素名と同一の要素名を用いるデータ変換構造ルールを、取引の種類毎にあらかじめ記憶するデータ変換構造ルール記憶部と、
前記取引データの項目名と、前記データ変換構造ルールの要素名との対応関係を示すマッピングファイルを取引の種類毎にあらかじめ記憶するマッピングファイル記憶部と、
前記複数の業務システムから入力される取引データを読み込み、該取引データの取引の種類に対応したマッピングファイルを前記マッピングファイル記憶部から読み出し、該種類に対応したデータ変換構造ルールを前記データ変換構造ルール記憶部から読み出し、読み出したマッピングファイルに対応する項目を前記取引データから検出し、検出した取引データの項目を読み出したデータ変換構造ルールに定義された要素名に対応させて変換することにより、財務情報データを生成し、財務情報データ記憶部に順次記憶させるデータ変換部と、
前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素と、当該要素を求める演算処理が定義された演算式及びこの演算式に用いる下位の要素とを前記データ形式用に定義した財務諸表構造ルールを、財務諸表の種類毎にあらかじめ記憶した財務諸表構造ルール記憶部と、
外部から前記構造化言語のデータ形式の財務諸表データを読み込み、分析対象の勘定科目の選択を受付け、選択された分析対象の勘定科目を出力させる分析科目入力部と、
前記分析科目入力部から出力された前記分析対象の勘定科目を要素に含む財務諸表構造ルールを前記財務諸表構造ルール記憶部から読み出し、該財務諸表構造ルールから前記分析対象の勘定科目に対応する勘定科目の要素を抽出し、抽出した勘定科目の要素に該勘定科目の要素の演算式が定義されているか否かを解析し、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されている場合は、該演算式に用いられている下位の要素を分析対象要素とし、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されていない場合は、該勘定科目の要素を分析対象要素とし、前記分析対象要素をキーとして前記財務情報データ記憶部から対応する財務情報データを読み出し、前記分析対象の勘定科目に関連する取引データとして出力する財務諸表連携部と
を有することを特徴とする会計情報収集・分析システム。
【請求項2】
前記財務諸表連携部が、分析対象の財務情報データを、ユーザが入力する処理範囲にて、
前記財務情報データ記憶部から読み出すことを特徴とする請求項1に記載の会計情報収集・分析システム。
【請求項3】
前記データ変換構造ルールには、要素間の関係を定義した演算式を含み、
前記データ変換部は、前記取引データから検出された項目のデータを前記データ変換構造ルールの前記演算式に基づき要素の値を演算した上で財務情報データを生成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の会計情報収集・分析システム。
【請求項4】
データ変換構造ルール記憶部とマッピングファイル記憶部とデータ変換部と財務諸表構造ルール記憶部と分析科目入力部と財務諸表連携部からなる、標準化された財務諸表の勘定科目に関する原取引データである複数の業務システムから入力される取引データを、統一した構造化言語のデータ形式に変換し、データベースに蓄積することにより、経営状況の分析を支援する会計情報収集・分析システムにおける会計情報収集・分析方法であって、
前記取引データを前記構造化言語のデータ形式の財務情報データに変換した財務情報データを生成するための前記財務情報データの要素名を定義するルールであって、当該要素名が勘定科目の要素名の場合、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素名と同一の要素名を用いるデータ変換構造ルールを、取引の種類毎にあらかじめデータ変換構造ルール記憶部に記憶する過程と、
前記取引データの項目名と、前記データ変換構造ルールの要素名との対応関係を示すマッピングファイルを取引の種類毎にあらかじめマッピングファイル記憶部に記憶する過程と、
データ変換部が、前記複数の業務システムから入力される取引データを読み込み、該取引データの取引の種類に対応したマッピングファイルを前記マッピングファイル記憶部から読み出し、該種類に対応したデータ変換構造ルールを前記データ変換構造ルール記憶部から読み出し、読み出したマッピングファイルに対応する項目を前記取引データから検出し、検出した取引データの項目を読み出したデータ変換構造ルールに定義された要素名に対応させて変換することにより、財務情報データを生成し、財務情報データ記憶部に順次記憶させる過程と、
前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素と、当該要素を求める演算処理が定義された演算式及びこの演算式に用いる下位の勘定科目の要素とを前記データ形式用に定義した財務諸表構造ルールを、財務諸表の種類毎にあらかじめ財務諸表構造ルール記憶部に記憶する過程と、
分析科目入力部が、外部から前記構造化言語のデータ形式の財務諸表データを読み込み、分析対象の勘定科目の選択を受付け、選択された分析対象の勘定科目を出力する過程と、
財務諸表連携部が前記分析科目入力部から出力された前記分析対象の勘定科目を要素に含む財務諸表構造ルールを前記財務諸表構造ルール記憶部から読み出し、該財務諸表構造ルールから前記分析対象の勘定科目に対応する勘定科目の要素を抽出し、抽出した勘定科目の要素に該勘定科目の要素の演算式が定義されているか否かを解析し、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されている場合は、該演算式に用いられている下位の要素を分析対象要素とし、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されていない場合は、該勘定科目の要素を分析対象要素とし、前記分析対象要素をキーとして前記財務情報データ記憶部から対応する財務情報データを読み出し、前記分析対象の勘定科目に関連する取引データとして出力する過程と
を有することを特徴とする会計情報収集・分析方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の会計情報収集・分析システムとして、コンピュータを機能させるための会計情報収集・分析プログラム。
【請求項1】
標準化された財務諸表の勘定科目に関する原取引データである複数の業務システムから入力される取引データを、統一した構造化言語のデータ形式に変換し、データベースに蓄積することにより、経営状況の分析を支援する会計情報収集・分析システムであって、
前記取引データを前記構造化言語のデータ形式の財務情報データに変換した財務情報データを生成するための前記財務情報データの要素名を定義するルールであって、当該要素名が勘定科目の要素名の場合、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素名と同一の要素名を用いるデータ変換構造ルールを、取引の種類毎にあらかじめ記憶するデータ変換構造ルール記憶部と、
前記取引データの項目名と、前記データ変換構造ルールの要素名との対応関係を示すマッピングファイルを取引の種類毎にあらかじめ記憶するマッピングファイル記憶部と、
前記複数の業務システムから入力される取引データを読み込み、該取引データの取引の種類に対応したマッピングファイルを前記マッピングファイル記憶部から読み出し、該種類に対応したデータ変換構造ルールを前記データ変換構造ルール記憶部から読み出し、読み出したマッピングファイルに対応する項目を前記取引データから検出し、検出した取引データの項目を読み出したデータ変換構造ルールに定義された要素名に対応させて変換することにより、財務情報データを生成し、財務情報データ記憶部に順次記憶させるデータ変換部と、
前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素と、当該要素を求める演算処理が定義された演算式及びこの演算式に用いる下位の要素とを前記データ形式用に定義した財務諸表構造ルールを、財務諸表の種類毎にあらかじめ記憶した財務諸表構造ルール記憶部と、
外部から前記構造化言語のデータ形式の財務諸表データを読み込み、分析対象の勘定科目の選択を受付け、選択された分析対象の勘定科目を出力させる分析科目入力部と、
前記分析科目入力部から出力された前記分析対象の勘定科目を要素に含む財務諸表構造ルールを前記財務諸表構造ルール記憶部から読み出し、該財務諸表構造ルールから前記分析対象の勘定科目に対応する勘定科目の要素を抽出し、抽出した勘定科目の要素に該勘定科目の要素の演算式が定義されているか否かを解析し、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されている場合は、該演算式に用いられている下位の要素を分析対象要素とし、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されていない場合は、該勘定科目の要素を分析対象要素とし、前記分析対象要素をキーとして前記財務情報データ記憶部から対応する財務情報データを読み出し、前記分析対象の勘定科目に関連する取引データとして出力する財務諸表連携部と
を有することを特徴とする会計情報収集・分析システム。
【請求項2】
前記財務諸表連携部が、分析対象の財務情報データを、ユーザが入力する処理範囲にて、
前記財務情報データ記憶部から読み出すことを特徴とする請求項1に記載の会計情報収集・分析システム。
【請求項3】
前記データ変換構造ルールには、要素間の関係を定義した演算式を含み、
前記データ変換部は、前記取引データから検出された項目のデータを前記データ変換構造ルールの前記演算式に基づき要素の値を演算した上で財務情報データを生成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の会計情報収集・分析システム。
【請求項4】
データ変換構造ルール記憶部とマッピングファイル記憶部とデータ変換部と財務諸表構造ルール記憶部と分析科目入力部と財務諸表連携部からなる、標準化された財務諸表の勘定科目に関する原取引データである複数の業務システムから入力される取引データを、統一した構造化言語のデータ形式に変換し、データベースに蓄積することにより、経営状況の分析を支援する会計情報収集・分析システムにおける会計情報収集・分析方法であって、
前記取引データを前記構造化言語のデータ形式の財務情報データに変換した財務情報データを生成するための前記財務情報データの要素名を定義するルールであって、当該要素名が勘定科目の要素名の場合、前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素名と同一の要素名を用いるデータ変換構造ルールを、取引の種類毎にあらかじめデータ変換構造ルール記憶部に記憶する過程と、
前記取引データの項目名と、前記データ変換構造ルールの要素名との対応関係を示すマッピングファイルを取引の種類毎にあらかじめマッピングファイル記憶部に記憶する過程と、
データ変換部が、前記複数の業務システムから入力される取引データを読み込み、該取引データの取引の種類に対応したマッピングファイルを前記マッピングファイル記憶部から読み出し、該種類に対応したデータ変換構造ルールを前記データ変換構造ルール記憶部から読み出し、読み出したマッピングファイルに対応する項目を前記取引データから検出し、検出した取引データの項目を読み出したデータ変換構造ルールに定義された要素名に対応させて変換することにより、財務情報データを生成し、財務情報データ記憶部に順次記憶させる過程と、
前記標準化された財務諸表の勘定科目の要素と、当該要素を求める演算処理が定義された演算式及びこの演算式に用いる下位の勘定科目の要素とを前記データ形式用に定義した財務諸表構造ルールを、財務諸表の種類毎にあらかじめ財務諸表構造ルール記憶部に記憶する過程と、
分析科目入力部が、外部から前記構造化言語のデータ形式の財務諸表データを読み込み、分析対象の勘定科目の選択を受付け、選択された分析対象の勘定科目を出力する過程と、
財務諸表連携部が前記分析科目入力部から出力された前記分析対象の勘定科目を要素に含む財務諸表構造ルールを前記財務諸表構造ルール記憶部から読み出し、該財務諸表構造ルールから前記分析対象の勘定科目に対応する勘定科目の要素を抽出し、抽出した勘定科目の要素に該勘定科目の要素の演算式が定義されているか否かを解析し、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されている場合は、該演算式に用いられている下位の要素を分析対象要素とし、抽出した勘定科目の要素に演算式が定義されていない場合は、該勘定科目の要素を分析対象要素とし、前記分析対象要素をキーとして前記財務情報データ記憶部から対応する財務情報データを読み出し、前記分析対象の勘定科目に関連する取引データとして出力する過程と
を有することを特徴とする会計情報収集・分析方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の会計情報収集・分析システムとして、コンピュータを機能させるための会計情報収集・分析プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−123149(P2010−123149A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55785(P2010−55785)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【分割の表示】特願2006−356649(P2006−356649)の分割
【原出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【分割の表示】特願2006−356649(P2006−356649)の分割
【原出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】
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