説明

伝熱管の検査装置及び検査方法

【課題】伝熱管の経時変化の減肉状態を監視することができる伝熱管の検査装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】熱交換器内に配置された複数の伝熱管4の減肉状態を検査する伝熱管の検査装置であって、前記伝熱管4に固定される支持部14と、前記支持部14に支持され、前記伝熱管4の基準位置を示す基準マーク52Aを元にその前後左右のいずれか一箇所の伝熱管の表面形状を計測する変位センサ12と、減肉がない状態における、前記基準マークを元に計測した前記伝熱管の基準表面形状を記憶する信号処理装置16とを具備してなり、所定時間経過後に前記基準マーク52を元に、前記変位センサにより表面形状を計測してなり、その計測した表面形状と、前記信号処理装置16に記憶させた前記基準表面形状とを比較して、計測時点での前記伝熱管の減肉状態を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝熱管の経時変化の減肉状態を監視することができる伝熱管の検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばボイラ設備等からの排ガスの熱を熱交換するガスガスヒータ等の熱交換器の伝熱管等には長期間に亙って操業すると、その配管径の変化が発生する。
例えば脱硫装置用熱交換器内では脱硫プロセスにおいて生成する硫化物による伝熱管への付着による腐食および煤塵による磨耗が発生する、という問題がある。
【0003】
このため、従来では、超音波センサや高周波渦電流を用いた探傷センサ等により、その腐食状態を検査する提案がある(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−181139号公報
【特許文献2】特開平4−264256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献等の提案では、以下のような問題がある。
特許文献1及び2の提案では、配管部材中の欠陥や腐食に関する情報は得られるが、表面の位置情報を取得することは困難であるという問題がある。
また、測定の都度、壁表面にセンサ部の圧着が必須となる。
また、熱交換器内部のように循環冷却水の磨耗による減肉に関する表面位置の変化状態の取得を把握することができない、という問題がある。
【0006】
特許文献3の提案では、配管部材中の欠陥や腐食に関する情報は得られるが、渦電流が内壁表面全体に分布するため、表面の位置情報を把握することができない、という問題がある。
【0007】
また、腐食・磨耗の程度の評価は、ある定点観測点について、超音波厚さ計(UT計)により伝熱管チューブの厚みを1点ずつ計測し、その数値を評価していた。
しかしながら、1点毎のみの計測となるため、形状を把握し減肉傾向を評価することは困難であり、この結果、伝熱管チューブ長手方向の傾向について評価するのが困難である、という問題がある。
【0008】
また、計測箇所に腐食・摩耗による例えば凹凸等が発生していた場合、接触式の探傷子による計測は不可能のため、凹凸部を平滑に仕上げて計測をする必要あり、計測前の養生に時間を要する、という問題がある。
【0009】
さらに、計測を実施する計測者の熟練度合いにより、微妙に計測位置(周方向位置等)にずれが生じる懸念があり、伝熱管の経時変化の減肉状態の傾向を把握することが正確にできない、という問題がある。
【0010】
本発明は、前記問題に鑑み、伝熱管の経時変化の減肉状態を監視することができる伝熱管の検査装置及び検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、熱交換器内に配置された複数の伝熱管の減肉状態を検査する伝熱管の検査装置であって、前記伝熱管に固定される支持部と、前記支持部に支持され、前記伝熱管の基準位置を示す基準マークを元にその前後左右のいずれか一箇所の伝熱管の表面形状を計測する変位センサと、減肉がない状態における、前記基準マークを元に計測した前記伝熱管の基準表面形状を記憶する信号処理装置とを具備してなり、所定時間経過後に前記基準マークを元に、前記変位センサにより表面形状を計測してなり、その計測した表面形状と、前記信号処理装置に記憶させた前記基準表面形状とを比較して、計測時点での前記伝熱管の減肉状態を求めることを特徴とする伝熱管の検査装置にある。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、基準マークが伝熱管を束ねるチューブサポートに設けられていることを特徴とする伝熱管の検査装置にある。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、基準マークが、チューブサポートに金属板を溶接してなることを特徴とする伝熱管の検査装置にある。
【0014】
第4の発明は、第2の発明において、基準マークが、チューブサポートに凹部を形成してなることを特徴とする伝熱管の検査装置にある。
【0015】
第5の発明は、第2の発明において、基準マークが、チューブサポートに記号、文字を形成してなることを特徴とする伝熱管の検査装置にある。
【0016】
第6の発明は、第1の発明において、基準マークが、伝熱管のフィンの一部を切り欠いてなることを特徴とする伝熱管の検査装置にある。
【0017】
第7の発明は、第1乃至6のいずれか一つの伝熱管の検査装置を用い、伝熱管の基準位置を示す基準マークを元にその前後左右のいずれか一箇所の伝熱管の表面形状を変位センサで計測し、減肉がない状態における、前記基準マークを元に計測した前記伝熱管の基準表面形状を予め信号処理装置に記憶させ、次いで、所定時間経過後に前記基準マークを元に、前記変位センサにより表面形状を計測し、その計測した表面形状と、前記信号処理装置に記憶させた前記基準表面形状とを比較して、計測時点での前記伝熱管の減肉状態を求めることを特徴とする伝熱管の検査方法にある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、基準マークを元に計測した前記伝熱管の基準表面形状を信号処理装置で記憶しておき、所定時間経過後に前記基準マークを元に、前記変位センサにより表面形状を計測し、信号処理装置で記憶された前記基準表面形状と比較して、前記伝熱管の減肉状態を求め、伝熱管の減肉傾向を評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、伝熱管の検査装置の概略図である。
【図2−1】図2−1は、伝熱管へ設ける基準マークの一例を示す図である。
【図2−2】図2−2は、伝熱管への設ける基準マークの一例を示す図である。
【図2−3】図2−3は、伝熱管へ設ける基準マークの一例を示す図である。
【図3−1】図3−1は、伝熱管へ設ける基準マークの一例を示す図である。
【図3−2】図3−2は、伝熱管へ設ける基準マークの一例を示す図である。
【図3−3】図3−3は、伝熱管へ設ける基準マークの一例を示す図である。
【図4】図4は、伝熱管へ設ける他の基準マークの一例を示す図である。
【図5−1】図5−1は、屈折手段の構成例を示す図である。
【図5−2】図5−2は、屈折手段の構成例を示す図である。
【図6】図6は、信号処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】図7は、排ガス処理設備の熱交換器の概略である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例】
【0021】
本発明による実施例に係る伝熱管の検査装置及び方法について、図面を参照して説明する。図1は、伝熱管の検査装置の概略図である。
図1に示すように、伝熱管の検査装置11は、熱交換器内に配置された複数の伝熱管4の減肉状態を検査する伝熱管の検査装置であって、前記伝熱管4に固定される支持部14と、前記支持部14に支持され、前記伝熱管4の基準位置を示す基準マーク52(52A,52B、52C)を元にその前後左右のいずれか一箇所の伝熱管の表面形状を計測する変位センサ12と、減肉がない状態における、前記基準マークを元に計測した前記伝熱管の基準表面形状を記憶する信号処理装置16とを具備してなり、所定時間経過後に前記基準マーク52を元に、前記変位センサ12により表面形状を計測してなり、その計測した表面形状と、前記信号処理装置16に記憶させた前記基準表面形状とを比較して、計測時点での前記伝熱管の減肉状態を求めるものである。
【0022】
本実施例に係る伝熱管4の検査装置11によれば、基準マーク52を元に計測した前記伝熱管の基準表面形状を信号処理装置16で記憶しておき、所定時間経過後に前記基準マーク52を元に、前記変位センサ12により表面形状を計測し、信号処理装置で記憶された前記基準表面形状と比較して、前記伝熱管4の減肉状態を求め、伝熱管4の減肉傾向を評価することが可能となる。
【0023】
図7は、排ガス処理設備の熱交換器の概略である。
図7に示すように、排ガス80が導入され、熱媒体83と熱交換する熱交換器が設けられている。
熱交換器は、熱回収器81と再加熱器82とを熱媒体83が循環するための熱媒体循環通路84を有する。熱媒体83は、熱媒体循環通路84を介して熱回収器81と再加熱器82との間を循環している。熱回収器81と再加熱器82との各々の内部に伝熱管4が設けられている。この熱交換部である伝熱管4を介して、熱媒体83をスチーム87と熱交換部86で熱交換することで、熱媒体83の媒体温度を調整することができる。
【0024】
熱媒体83は、熱媒体タンク88から熱媒体循環通路84に供給される。熱媒体83は、熱媒体送給ポンプ89により熱媒体循環通路84内を循環させる。また、浄化ガス91のガス温度に応じて調節弁V1によりスチーム87の供給量を調整し、熱回収器81から排出される排ガス80のガス温度に応じて調節弁V2により再加熱器82に送給される熱媒体83を熱回収器81に供給し、再加熱器82に送給される熱媒体83の供給量を調整する。なお、再加熱器82から排出される浄化ガス91は煙突92から外部に排出される。
【0025】
本実施例では、このような熱交換器内部の伝熱管4表面の減肉状態を検査装置11により監視するようにしている。
【0026】
経年劣化を確認するために、伝熱管の検査装置を用いて、その経年変化を計測する際、同一位置にて確認する必要があるので、以下のように定点観測位置を基準マーク52を元にして計測範囲を確定する。
図2−1〜図2−3、図3−1〜図3−3は、伝熱管への設ける基準マークの一例を示す図である。
【0027】
図2−1は、フィン4aを有する伝熱管4を束ねるチューブサポート51に設けた基準マーク52Aを示しており、基準マーク52Aでは、チューブサポート51の表面に金属板を溶接により取付けている。
そして、この基準マーク52Aの左右に位置する伝熱管4の表面について変位センサ12により計測するようにしている。
【0028】
図2−2は、フィン4aを有する伝熱管4を束ねるチューブサポート51に設けた基準マーク52Bを示しており、基準マーク52Bでは、チューブサポート51の表面に凹部を設けている。
【0029】
図2−3は、フィン4aを有する伝熱管4を束ねるチューブサポート51に設けた基準マーク52Cを示しており、基準マーク52Cでは、チューブサポート51の表面に記号・文字(例えば文字「A」)等を刻印している。
【0030】
本実施例のような計測によれば、当該チューブサポート51は、伝熱管4とは異なり、製品の性能には直接関係のない部位であるので、大きくわかりやすくマーキングを実施することが可能となり、経時変化においてもマーキングが消滅するようなことがない。
【0031】
そして、基準位置を示す基準マーク52(52A、52B、52C)を元にその前後左右のいずれか一つの伝熱管の表面形状を変位センサ12で計測し、設置当初(新品時)の減肉がない状態における、前記基準マーク52(52A、52B、52C)を元に計測した前記伝熱管の基準表面形状を信号処理装置16で記憶しておき、所定時間経過後に前記基準マーク52を元に、前記変位センサ12により表面形状を計測し、信号処理装置16で記憶された前記基準表面形状と比較して、前記伝熱管の減肉状態を求めるようにしている。
【0032】
これにより、基準マークを元に伝熱管の減肉傾向を評価することが可能となる。
【0033】
本実施例では、チューブサポート51に対して基準マーク52を設け、伝熱管4に直接記号等の基準マークを直接設けるものではないので、経時変化による計測箇所に腐食・摩耗による凹凸が発生していた場合でも、計測が可能となり、計測時間の短縮を図ることができる。
また、前回(新品時)に計測した位置に、検査装置11を設置する基準が基準マークを元に行うので、前回の計測と位置がずれることなく計測が可能となる。この結果、前回との比較評価が容易となる。
なお、本実施例では、チューブサポートを例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、伝熱管4を束ねるものであれば、これに限定されるものではない。
【0034】
図3−1〜図3−3は、伝熱管4としてベアチューブの一例を示すが、フィン4aが無い以外は、図2−1〜2−3の基準マークと同様である。
【0035】
図4は、伝熱管へ設ける他の基準マークの一例を示す図である。
図4に示すように、伝熱管4のフィン4aの一部を切り欠いた切り欠き部53を形成し、これを基準マークとし、この基準マークである切り欠き部53を元にその前後左右のいずれか一つの伝熱管の表面形状を変位センサ12で計測するようにしている。
【0036】
伝熱管としては、形状に限定されるものではなく、シェルアンドチューブ形式の熱交換器における伝熱管の減肉状態を検査することができる。
【0037】
本実施例では、伝熱管の減肉状態を検査するために、次に説明する検査装置を用いる。
【0038】
次に図1を参照して、検査装置についてその内容を説明する。
図1に示すように、検査装置11は、主として、伝熱管4に固定される支持部14と、支持部14により支持され、伝熱管4の表面形状を計測する変位センサ12と、変位センサ12からの計測信号を処理する信号処理装置16(「記憶手段」及び「算出手段」に相当)とにより構成される。
【0039】
支持部14は、変位センサ12を支持することができる構成であれば、特に限定されず、例えば図1に示すように、伝熱管4に立設固定される4本の支柱20と、一対の支柱20との間に架設される梁24(24A及び24B)と、梁24の間に架設されるレール26とにより構成することができる。
この例では、梁24(24A及び24B)及びレール26とにより形成される支持枠28により変位センサ12が直接的に支持され、この支持枠28が支柱20により支持されるようになっている。
【0040】
また、支柱20の伝熱管4への取り付けは、任意の締結部材を用いて行ってもよいが、マグネット18を支柱20の端部に配置し、マグネット18の磁力を利用して支柱20を伝熱管4に取り付けることが好ましい。マグネット18を用いることで、支持部14の取り外しを容易に行うことができる。
この際、マグネット18との取り付けを確実にするために、伝熱管4の周囲に鋼部材55を巻装するようにしてもよい。
【0041】
なお、伝熱管4が鉛直軸方向(垂直方向)と直交する方向(水平方向)に配置されている状態のみならず、鉛直軸方向(垂直方向)に配置されている状態でも、マグネット18を用いることで、検査装置11を固定することができる。
なお、支柱20の下端部に、伝熱管4の表面形状に沿って円弧に形成された座面を設けて、伝熱管4に取り付けるようにしてもよい。
【0042】
支柱20は、2本の伝熱管4に対して、伝熱管4の軸方向に沿って2箇所ずつ、正方形又は矩形の角部に位置するように固定される。
【0043】
梁24(24A及び24B)は、支柱20に対して上下位置を調整可能なようにねじ機構によって構成され、上下調整つまみ部29を操作することで、スリット30形成範囲内をZ軸方向(矢印a方向)及びX軸方向(矢印b方向)に移動可能に支持される。
【0044】
変位センサ12は、伝熱管4の外表面形状を計測可能な構成であれば特に限定されず、例えば共焦点式、三角測距式、二次元三角測距式等の測定方式のものを用いることができる。
なかでも、二次元三角測距式の二次元レーザ変位センサは、測定対象物の軸方向位置に対する高さを瞬時に測定できる構成(二次元測定が可能な構成)となっているため、この二次元レーザ変位センサを伝熱管4の軸方向に沿って移動させながら、伝熱管4の表面形状の計測を行うことで、迅速に伝熱管4の検査を行うことができる。
【0045】
以下変位サンサ12として、二次元レーザ変位センサを用いる場合を例にして説明する。
【0046】
変位センサ(二次元レーザ変位センサ)12は、図1に示すように、レーザ光照射部34及び受光素子(図示せず)を有するセンサヘッド32と、センサヘッド32をレール26に沿って伝熱管4の軸方向(Y軸方向)に移動させるモータ33と、モータ33の回転角度からセンサヘッド32の移動距離信号を出力するエンコーダ36とにより構成されている。
【0047】
レーザ光照射部34は、図1に示すように、伝熱管4の径方向(X軸方向)に沿って帯状(スリット状)のレーザ光を伝熱管4に照射するようにしている。
【0048】
伝熱管4に照射された帯状のレーザ光は、伝熱管4の表面で反射し、センサヘッド32の受光素子により測定され、伝熱管4の軸方向と直交する方向(径方向、X軸方向)に沿った伝熱管4の外表面形状が計測される。
センサヘッド32をモータ33により伝熱管4の軸方向(Y軸方向)に沿って移動させながら、センサヘッド32による測定を繰る返すことで、伝熱管4の全長に亙って、伝熱管4の外表面形状を計測することができる。
【0049】
センサヘッド32のZ軸方向における位置は、上下調整つまみ部29を用いて、センサヘッド32と伝熱管4との距離がレーザ光照射部34の焦点距離に応じて決まる測定可能範囲内に収まるように調節される。
【0050】
上下調整つまみ部29の回動だけでは、センサヘッド32のZ軸方向位置を測定可能範囲内に調節することができない場合には、レーザ光を屈折される屈折手段を用いるようにしてもよい。
【0051】
図5−1及び図5−2はレーザ光を屈折される屈折手段を示す図である。
図5−1は、屈折手段としてレーザ光35を屈折させるプリズム41を用いる例を示しており、図5−2は、屈折手段としてレーザ光35を屈折(反射)させるミラー43を用いる例を示している。
このように屈折手段41、43を用いてレーザ光35を屈折させることで、上下調整つまみ部29の回動だけではセンサヘッド32のZ方向位置を測定可能範囲内に調節することができない場合であっても、センサヘッド32のZ方向位置を適切に調節することができる。
【0052】
図1に示す信号処理装置16は、変位センサ12のセンサヘッド32及びエンコーダ36に接続されており、センサヘッド32及びエンコーダ36からの信号を受け取って、伝熱管4の減肉量を算出する。
【0053】
図6は、信号処理装置16の構成例を示すブロック図である。
図6に示すように信号処理装置16は、主として変位サンサ12の出力信号を受け取るコントローラ40と、変位計測データを内部メモリに記憶するPC(検査作業者のパソコン)42と、基準表面形状が記憶された基準形状記憶部46と減肉量を算出する減肉量算出部48とにより構成される。
【0054】
信号処理装置16では、コントローラ40において、変位センサ12から変位計測データを受け取り、PC42の内部メモリに保存し、減肉量算出部48において、基準形状記憶部46に予め記憶させている基準形状データと重ね合わせて、両者の差分を求めることで減肉量を算出する。
【0055】
基準形状記憶装置46には、減肉がない状態における、基準マーク52を含む伝熱管4の基準表面形状が記憶されている。
この基準表面形状は伝熱管4のそれぞれについて記憶されており、変位センサ12により表面形状が計測された伝熱管4に対応する基準表面形状が基準形状記憶部46から減肉量算出部48に送られるようになっている。
【0056】
また変位計測データは変位センサ12の取り付け状態(位置や角度)に起因する誤差を含んでいることがあるため、図6に示すように、変位計測データの補正処理を行う補正部44を設けることが好ましい。これにより変位センサ12の取り付け状態によらず、伝熱管4の減肉量をより正確に算出することができる。
【0057】
本実施例では、計測の対象を熱交換器の伝熱管としているが、本発明はこれに限定されず、例えばボイラ設備等の蒸発管における減肉状態を監視するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
4 伝熱管
11 検査装置
12 変位センサ
14 支持部
16 信号処理装置
52、52A、52B、52C 基準マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器内に配置された複数の伝熱管の減肉状態を検査する伝熱管の検査装置であって、
前記伝熱管に固定される支持部と、
前記支持部に支持され、前記伝熱管の基準位置を示す基準マークを元にその前後左右のいずれか一箇所の伝熱管の表面形状を計測する変位センサと、
減肉がない状態における、前記基準マークを元に計測した前記伝熱管の基準表面形状を記憶する信号処理装置とを具備してなり、
所定時間経過後に前記基準マークを元に、前記変位センサにより表面形状を計測してなり、その計測した表面形状と、前記信号処理装置に記憶させた前記基準表面形状とを比較して、計測時点での前記伝熱管の減肉状態を求めることを特徴とする伝熱管の検査装置。
【請求項2】
請求項1において、
基準マークが伝熱管を束ねるチューブサポートに設けられていることを特徴とする伝熱管の検査装置。
【請求項3】
請求項2において、
基準マークが、チューブサポートに金属板を溶接してなることを特徴とする伝熱管の検査装置。
【請求項4】
請求項2において、
基準マークが、チューブサポートに凹部を形成してなることを特徴とする伝熱管の検査装置。
【請求項5】
請求項2において、
基準マークが、チューブサポートに記号、文字を形成してなることを特徴とする伝熱管の検査装置。
【請求項6】
請求項1において、
基準マークが、伝熱管のフィンの一部を切り欠いてなることを特徴とする伝熱管の検査装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一つの伝熱管の検査装置を用い、
伝熱管の基準位置を示す基準マークを元にその前後左右のいずれか一箇所の伝熱管の表面形状を変位センサで計測し、
減肉がない状態における、前記基準マークを元に計測した前記伝熱管の基準表面形状を予め信号処理装置に記憶させ、
次いで、所定時間経過後に前記基準マークを元に、前記変位センサにより表面形状を計測し、その計測した表面形状と、前記信号処理装置に記憶させた前記基準表面形状とを比較して、計測時点での前記伝熱管の減肉状態を求めることを特徴とする伝熱管の検査方法。


【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−159209(P2012−159209A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17249(P2011−17249)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)