説明

伝送装置

【課題】コンポジット信号を輝度信号と色差信号とに変換して伝送する場合に、送信側におけるフィールドシーケンスを受信側で再生することのできる伝送装置を提供。
【解決手段】送信装置側のNTSCデコーダ22は、入力されるコンポジット映像信号を輝度および色差信号からなる映像データに分離し、フィールド情報判定部26は、コンポジット映像信号からフィールド番号を判定し、これら映像データとフィールド番号とフィールド情報重畳部30にて重畳し、重畳されたデータをMPEG符号化部32にて符号化し、符号化データが伝送路側に送出される。受信装置では、受信データを映像データに復号し、復号された映像データに基づいてそのフィールド番号を検出し、送受信のフィールドシーンスを一致させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像アナログ・コンポジット信号をY/C分離し、輝度信号および色差信号からなるコンポーネント信号に変換して伝送する伝送装置に係り、たとえば、MPEG-2コーデックにて符号化・伝送を行う際に、フィールドシーケンスを正しく伝送する伝送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンポジット信号を符号化・伝送する場合、符号化前段処理として、入力信号をY/C分離し、色信号については色副搬送波(サブキャリア)で変調されているのでさらに復調を行い符号化する。復号装置側では、復号した映像信号を色信号を色副搬送波で変調し、変調色信号を輝度信号と多重してアナログコンポジット信号を出力する。
【0003】
NTSC信号は、フィールド周波数fv、水平同期周波数fh、色副搬送波周波数fscとしたとき、fsc=455×fh/2、fh=525×fv/2と決められており、前式より色副搬送波の位相は水平走査ラインごとに色副搬送波の位相が反転する関係となり、さらに後式より2フイールド(フレーム)ごとに色副搬送波の位相が反転する。
【0004】
コンポジット信号をコンポーネント信号に変換する際に、この色副搬送波の位相関係を利用して、2次元または3次元フィルタを構成してY/C分離を行うことができる。なお、色副搬送波の位相を考慮するとNTSC信号は4フィールド(2フレーム)で一巡するので、この関係を4フィールドシーケンスと呼ぶんでいる。MPEG (Moving Picture Experts Group)-2の受信側で復号する際は、コンポーネント信号から色信号の変調および輝度(Y)信号との加算をおこなってNTSC信号を再生する。
【0005】
【特許文献1】特開平7−284122号公報
【非特許文献1】松井俊也、”トランジスタ技術 SPECIAL No.52 特集 ビデオ信号処理の徹底研究 第7章 高画質化のための信号処理技術”、第101頁〜第110頁、CQ出版社、1995年10月1日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにNTSC信号は4フィールド周期で色信号の位相が変化する(4フィールドシーケンス)。NTSC信号を一度Y/C分離してコンポーネント信号に変換した後、再度NTSC信号に戻す際、Y/C分離が完全に行えた場合は問題にならない。しかしながら、NTSC信号を完全にY/C分離することは困難であり、Y信号のC信号への漏れやC信号のY信号への漏れが発生する。
【0007】
復号装置側で符号化装置側と一致する4フィールドシーケンスが再現できた場合に、これらの漏れ信号はほぼそのまま再現することができ、画質の劣化はあまり発生しない。しかし、復号装置側にて4フィールドシーケンスが符号化装置側と不一致となり再現できなかった場合には、発生した漏れ信号は妨害となり、大きな画質の劣化につながるという問題があった。
【0008】
テレビ信号などは、複数の信号源(番組)などを切り替えて運用するため、フィールドシーケンスの連続性は保たれないのが通常である。よって、符号化装置側のフィールドシーケンスに合わせて、番組によっては画質が良かったり悪かったりというように変わってしまうという問題があった。
【0009】
また従来では、奇数フィールド(第1、第3フイールド)と偶数フィールド(第2、第4フィールド)は容易に判定することができるが、復号装置側で復号されたコンポーネント信号から、符号化側入力のNTSC信号の第1フィールドと第3フイールド、第2フィールドと第4フィールドをそれぞれ判定することは非常に困難であった。
【0010】
またMPEG-2規格では、ピクチャ符号化拡張子中のフィールドシーケンス(field sequence)で4フィールドシーケンスを伝送することが可能であるが、これらのシンタックスを完全にサポートしている符号化/復号LSIは非常に少なく、またサポートしていたとしても映像復号部でバッファが存在するため、フィールドシーケンスがどのフイールドに対応するのかを判定することが困難である場合が多い。
【0011】
本発明はこのような従来技術の欠点を解消し、NTSC信号やPAL信号などのコンポジット信号を輝度信号と色差信号とに変換して伝送する場合に、送信側におけるフィールドシーケンスを受信側で再生することのできる伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上述の課題を解決するために、コンポジット映像信号をコンポーネント信号に変換し、コンポーネント信号を符号化して伝送する送信装置および受信装置からなる伝送装置において、送信装置は、コンポジット映像信号からフィールド番号を判定する判定手段と、コンポジット映像信号を輝度および色差信号からなる映像データに分離するデコード手段と、映像データに前記フィールド番号または前記カラーバースト位相の情報を重畳する重畳手段と、重畳手段にて重畳されたデータを符号化する符号化手段とを含むことを特徴とする。
【0013】
この場合、受信装置は、送信装置から伝送されるデータを入力し、このデータを映像データに復号する復号手段と、復号手段にて復号された映像データを、コンポジット映像信号にエンコードするエンコード手段と、映像データに基づいて、伝送されてきたフィールド番号を検出し、送受信のフィールドシーンスを一致させるための制御信号を生成する検出手段とを含み、エンコード手段は、制御信号に基づいてフィールドシーケンスを一致させるとよい。
【0014】
また、判定手段は、コンポジット映像信号のカラーバースト信号から色副搬送波の位相を検出することにより、コンポジット映像信号のフィールド番号を判定するとよい。また、重畳手段は、送信する映像データ内の有意でないラインに、映像データに前記フィールド番号を重畳するとよく、さらに重畳手段は、送信する映像データ内の各ラインの有意でない部分に、映像データにフィールド番号を重畳するとよい。また重畳手段は、送信する映像データ内の各ラインの有意でない部分に、映像データにカラーバースト位相の情報を重畳するとよい。さらに、重畳手段は、フィールド番号の有効/無効を示す情報を、映像データにフィールド番号または前記カラーバースト位相の情報とともに重畳するとよい。
【0015】
また、検出手段は、復号手段にて復号した映像データより前記フィールド番号または前記カラーバースト位相の情報を検出し、映像データのカラーバーストの位相を変化させる制御情報を制御信号として生成するとよい。
【0016】
さらに、受信装置は、復号手段にて復号した映像データの画素をシフトして出力するシフト手段を含み、エンコード手段は、エンコード手段から出力す映像データのフィールド番号を出力し、検出手段は、復号手段にて復号した映像データとエンコード手段から出力されたフィールド番号のそれぞれに基づいて、映像データのフィールド番号を検出し、シフト手段は、検出手段にて検出したフィールド番号に基づいて、カラーバーストと映像データとの位相関係を合わせるとよい。また、検出手段は、受信したフィールド番号または前記カラーバースト位相の情報によりフィールドシーケンスを合わせる過程において、送信装置側における入力信号切り替え等による過渡的なショックを保護するとよい。
【0017】
このように、符号化側の送信装置に入力される映像信号のフィールドシーケンスを復号側の受信装置に伝送することにより、フィールドシーケンスを制御することことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に添付図面を参照して本発明による伝送装置の実施例を詳細に説明する。図1を参照すると、伝送装置の符号化側装置である送信装置10が示され、図2を参照すると伝送装置の復号側装置である受信装置200が示されている。なお、以下の説明において本発明に直接関係のない部分は、図示およびその説明を省略し、また、信号の参照符号はその現われる接続線の参照番号で表わす。
【0019】
図1に示すように送信装置10は、A/D変換部20、NTSCデコーダ部22、同期処理部24、フィールド情報判定部26、フィールド情報重畳部30およびMPEG符号化部32を備えている。本実施例における送信装置10は、A/D変換部20の入力100に入力される映像信号のフィールドシーケンスを出力102に接続される伝送路を介して受信装置200に伝送し、フィールドシーケンスを制御する。本実施例では、第一に、入力された映像信号からフィールドシーケンス(フィールド番号)を検出し、第二に、検出したフィールド番号を伝送し、第三に、伝送されてきたフィールド番号によって画質改善を行う。
【0020】
図1に示すA/D変換部20は、入力映像信号100をディジタル信号に変換し出力104に出力する。この出力104は、NTSCデコーダ部22、同期分離部24およびフィールド情報判定部26にそれぞれ接続されている。
【0021】
NTSCデコーダ部22は、入力映像信号100をY/C分離する復号回路であり、輝度信号および色差信号を出力106に出力する。NTSCデコーダ部22の出力106は、フィールド情報重畳部30に接続されている。
【0022】
同期分離部24は、入力された映像信号100の水平、垂直同期を検出して同期信号を生成するとともに、映像信号100の偶数/奇数(EVEN/ODD)フィールドの判定を行う。同期分離部24は、同期信号108をMPEG符号化部32に出力し、偶数/奇数フィールドの判定結果である偶数/奇数フィールド情報を出力110に接続されたフィールド情報判定部26に供給する。
【0023】
フィールド情報判定部26は、映像信号100を入力し、サブキャリアの位相を判定するために、各ラインのカラーバースト信号を監視し、位相を判定したのち、偶数/奇数フィールド情報とともにフィールド番号を決定する。入力される映像信号のフィールドがフィールド1〜4のどれに当てはまるかを、偶数/奇数フィールドの情報およびカラーバースト位相の2つ情報に基づいて判定する。フィールド情報判定部26は、偶数/奇数フィールド情報およびフィールド番号を含むフィールド情報を出力112に接続されたフィールド情報重畳部30に供給する。
【0024】
ここで図4を参照すると同図には、あるカラーバースト位相Aに対して反転の位相にある位相Bとを並べた波形図が示されている。フィールド情報判定部26は、まず、水平同期信号400の立下りを基準(サンプル0)として数ヶ所のサンプル値を取り出し、その値がペデスタル値よりも大きいか否かの判定を行い、そのパターンによって位相Aであるか、位相Bであるかを判定する。
【0025】
たとえば、フィールド情報判定部26が、"80","82","84","97","99","101"サンプル目(13.5 MHz)を取り出して判定する場合、同図からわかるようにそれぞれのサンプル値がペデスタル値に対して順番に、「大・小・大・小・大・小」となっている場合はカラーバースト位相Aの場合であり、「小・大・小・大・小・大」となっている場合はカラーバースト位相Bの場合であると判定することができる。このようなパターンに識別可能であるのは、入力される映像信号の品質が良い場合である。通常、品質の悪い信号が入力されることもありうるので、その場合を考慮に入れる。
【0026】
カラーバーストの位相を検出する際に関係する信号品質の尺度として、SCH (Sub carrier to horizontal)位相がある。図5に示すように、カラーバースト信号の周波数は約3.58 MHzであり、それに対してサンプリングは約4倍の13.5 MHzであるので、SCHが90°近傍では、上記のパターンにあてはまらなくなる。
【0027】
そこでフィールド情報判定部26は、位相が位相Aでもなく位相Bでもない場合は、判定できない位相Cとしてこれら位相AおよびBとは区別する。次にフィールド情報判定部26は、前述した位相判定を特定のラインに当てはめ、フィールド番号を決定する。たとえば監視する特定のラインを4ライン(258〜261, 520〜523)とした場合は位相の出現パターンが「A・B・A・B」となっている場合はフィールド1もしくは4であると判定し、出現パターンが「B・A・B・A」となっている場合はフィールド2もしくは3であると判定する。フィールド1、4の判別およびフィールド2、3の判別は、偶数/奇数フィールド情報により判別可能である。
【0028】
このように、フィールド情報判定部26にて4ライン全ての位相を検出できており、かつ上記のパターンに当てはまっている場合には、フィールド情報判定部26は、フィールド番号と、この情報が有効であることを示す有効情報を付加してフィールド情報を生成する。しかし、4ラインのいずれかでも位相Cがあったり、上記パターンに当てはまっていない場合は、フィールド情報が無効であることを示す無効情報をフィールド情報に付加する。
【0029】
以上、フィールド情報判定部26ではフィールド番号の検出と、そのフィールド番号が有効であるか否かの情報(有効/無効情報)とを含むフィールド情報を生成する。フィールド情報判定部26の出力112は、フィールド情報重畳部30に接続されている。
【0030】
フィールド情報重畳部30はフィールド情報判定部26で判定したフィールド番号およびその有効/無効情報を含むフィールド情報を、送信する映像データに重畳する回路である。重畳する箇所としては最終的に出力されるアナログ信号に影響のない箇所もしくは影響の少ない箇所が望ましい。フィールド情報重畳部30は、たとえば、テレビモニタ上では通常見えず、さらに有意な信号ではないライン(7〜9、270〜272)のいずれかにフィールド番号および有効/無効情報をフイールド毎に重畳する。ライン内にフィールド番号およびフィールド情報の有効/無効をどのように重畳するかは、復号側で検出がし易いように決定する。
【0031】
これらフィールド情報を重畳する重畳イメージの一例を図6に示す。また、各フィールド1〜4におけるフィールド番号 MSBおよびLSBのレベルを図7に示す。図7に示すように、フィールド1では、フィールド番号 MSBおよびLSBともにペデスタルレベルとする。フィールド2では、フィールド番号 MSBをペデスタルレベル、フィールド番号 LSBを100%ホワイト相当レベルとする。フィールド3では、フィールド番号 MSBを100%ホワイト相当レベルとし、フィールド番号 LSBをペデスタルレベルとする。フィールド4では、フィールド番号 MSBおよびLSBともに100%ホワイト相当レベルとする。また、図6に示した有効/無効情報は、有効の場合に100%ホワイト相当レベルとし、無効情報の場合にペデスタルレベルとする。
【0032】
図1に戻って、フィールド情報重畳部30は、フィールド情報を重畳した映像データを出力114に出力する。この出力114はMPEG符号化部32に接続され、MPEG符号化部32は、映像データをMPEG-2規格に従って圧縮符号化し、生成した符号化データを出力102側に接続される伝送路に送出する。
【0033】
この映像データを伝送路を介して受信する受信装置200は、図2に示すように、MPEG復号部40、NTSCエンコーダ42、フィールド番号検出部44およびD/A変換部46を含み、受信したデータをもとに、重畳されたフィールド情報を検出し、検出したフィールド番号にサブキャリアもしくはカラーバーストの位相を合わせて出力するように構成されている。
【0034】
伝送路側にその入力202が接続されたMPEG復号部40は、入力される映像データを輝度信号および色差信号に復号し、復号した映像データを出力204に出力する。この出力204には、NTSCエンコーダ42およびフィールド番号検出部44が接続されている。
【0035】
NTSCエンコーダ42は、輝度データおよび色差データをディジタル・コンポジット信号に変換し、生成したコンポジット信号を出力206に出力する変換回路である。本実施例におけるNTSCエンコーダ42は、とくにフィールド番号検出部44から供給されるカラーバースト位相制御信号208に従って変換処理を行う。
【0036】
フィールド番号検出部44は、入力204に入力される復号映像データからフイールド情報を検出する検出回路である。フィールド番号検出部44は、フォールド情報内の有効/無効情報に基づいてフィールド番号の有効/無効を判定する。また、フィールド番号検出部44は、有効の場合にはフィールド番号情報を検出し、無効の場合は前フィールドからフィールド番号を推測し、推測結果をフィールド番号とする。フィールド番号検出部44は、得られたフィールド番号より、サブキャリアもしくはカラーバースト位相を合わせるためのカラーバースト位相制御信号208を生成する。この場合、フィールド番号検出部44は、符号化側に入力された映像信号を切り替える等の過渡的なショックより、不用意なサブキャリアもしくはカラーバースト位相合わせを行わないように、保護を設ける。
【0037】
以上のように、上記実施例によれば、送信装置10に設けられる映像符号化回路などにおいて、カラーバーストをサンプリングして得られたデータのパターンを解析する回路を設けることでフィールド番号を生成することができる。また映像信号自身にフィールド番号を重畳することで、新たな信号線を用いることなく、受信装置200の復号回路側にフィールド番号を正しく伝送することができる。
【0038】
受信装置200に復号側においては、映像に重畳されたフィールド番号を検出する回路を設け、サブキャリアもしくはカラーバーストの位相を変更することで、MPEG復号部40の出力する映像データとサブキャリアの位相関係を、送信装置20側のMPEG復号部32に入力された映像データ114とサブキャリアの位相関係に一致させて、フィールドシーケンスを一致することができ、画質の劣化を防ぐことが可能である。
【0039】
なお、上記第1の実施例では、映像信号より検出したフィールド番号を有意な信号でないラインにフィールド毎に重畳することで、検出したフィールド番号の伝送をしているがこれに限らず、たとえば、ライン毎にそのラインのカラーバースト位相もしくはフィールド番号を重畳し伝送するように構成してもよい。
【0040】
具体的には、たとえば図1に示したフィールド情報判定部26は、入力されるコンポジット信号104について、各ラインのカラーバーストの位相を判定し、その位相情報もしくは偶数/奇数フィールド情報とともに、判定したフィールド番号の情報をフィールド情報112としてフィールド情報重畳部30に供給するとよい。
【0041】
ここで図8を参照すると、アナログ・コンポジット信号とディジタル信号との関係が示されている。図示するように、アナログコンポジット信号のアナログ・ライン・ブランキング(Analog line blanking)に対してMPEG-2にて伝送されるデータ(SAV (start of active video timing reference code)からEAV (end of active video timing reference code)の間)と重なる部分がある。つまり、SAVから後ろ10サンプル分(27 MHz)もしくはEAVより前8サンプル分(27 MHz)は、テレビ画面では通常、見えない部分であるので映像データとしては有意なデータではない。そこで、フィールド情報重畳部30は、このアナログ・ライン・ブランキング部分を利用して、そのラインのカラーバースト位相情報もしくはそのラインのフィールド番号情報を情報の有効/無効情報と合わせて重畳する。なお、図8において"T"は、37 nsecのクロックタイミングである。
【0042】
以上のように、本構成例によれば、受信装置200の復号側へフィールドシーケンスを伝送する方法として、各ラインの映像データとしては有意でない部分を利用し、ライン毎に重畳する回路を設けることで、新たな信号線を用いることなく復号側に正しく伝送することができる。また、MPEG-2の422P@MLではライン7〜9、270〜272は伝送されるが、MP@ML、SP@MLなどでは伝送されない。そのため設定によらず伝送が可能な方法である。
【0043】
次に、受信装置の実施例を図3を参照して説明する。この場合、送信装置は図1を参照して説明した送信装置20と同様の構成でよい。本実施例では、図2で参照して説明した受信装置200とは、伝送されてきたフィールド番号によって画質を改善する点で異なる。
【0044】
図3に示すように、本実施例における受信装置300は、伝送路側に接続されたMPEG復号部40と、MPEG復号部40の出力204に接続された画素シフト部52およびフィールド番号検出部54と、画素シフト部52の出力310に接続されたNTSCエンコーダ56と、NTSCエンコーダ56の出力に接続されたD/A変換部46とを含む。
【0045】
フィールド番号検出部54は、MPEG復号部40より出力された映像データからフィールド番号を検出し、NTSCエンコーダ56から供給される映像信号のフィールド番号314を受信する。入力204および入力314に入力される双方のフィールド番号が一致している場合は、フィールド番号検出部54は、画素シフト部52に対して、画素をずらさないように制御する制御信号を生成し、双方のフィールド番号が異なっている場合には画素をずらすように制御する制御信号を生成する。フィールド番号検出部54は、生成した制御信号を出力312に接続した画素シフト部52に供給する。なお、画素をずらすということは、本実施例では映像データを2サンプリング分ずらすことである。画素シフト部52は、入力312に入力される制御信号に基づいて画素をずらす処理を行う。
【0046】
これは映像データのサンプリング周波数が13.5 MHzであることに対して、カラーバーストの周波数が約1/4の3.58 MHzであることを利用している。フィールド番号が一致していない場合、映像データに対してサブキヤリアの位相が180°ずれていることなので、図9にサンプルAを示すように、たとえば映像データを2サンプリング分遅らすことでおおよそ180°位相がずれ、映像データはサブキャリアに対して位相がずれたことになる。
【0047】
なお、フィールド番号の不一致毎にデータを遅らせていると、画素がずれていく一方であるので、遅らせた次は元に戻す処理を行うというように交互に処理をする。また、符号化側に入力された映像信号を切り替える等の過渡的なショックによる不用意な画素ずらしを行わないように、保護を設ける。
【0048】
このように本実施例では、NTSCエンコーダ56から出力される映像信号のフィールド番号と、MPEG復号部40から出力される映像データから直接検出したフィールド番号とを比較して、異なっている場合に画素シフト部52へ画素をずらす制御を行う構成となっている。
【0049】
以上のように図3に示した実施例によれば、受信装置300内のMPEG復号部40の出力する映像信号とサブキャリアとの位相関係を、送信装置20のMPEG符号化部32に入力された映像信号とサブキャリアとの位相関係に一致させて、フィールドシーケンスを一致させる。本構成により、受信装置300に映像データを2サンプリング分遅らす回路を設けて、NTSCエンコーダ56によってサブキャリアもしくはカラーバーストの位相を変更することができない場合や、変更することによるショックが許容できない場合でも効果が得られて、これらの代替手段として有効である。なお、上記各実施例においてNTSC信号について説明をしたが、PAL信号についても、4フィールドシーケンスが8フィールドシーケンス変わることで適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明が適用された伝送装置における送信装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明が適用された伝送装置における受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】受信装置の他の実施例を示すブロック図である。
【図4】カラーバースト位相と各サンプルポイントを示す図である。
【図5】SCH位相の違いによる各サンプルポイントを示す図である。
【図6】フィールド情報の重畳イメージを示す図である。
【図7】各フィールド番号のフィールドにおける信号レベルを示す図である。
【図8】アナログ信号とディジタル信号との関係を示す図。
【図9】画素ずらしによるサブキャリア位相変化を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
10 送信装置
22 NTSCデコーダ
26 フィールド情報判定部
30 フィール情報重畳部
32 MPEG符号化部
40 MPEG復号部
42 NTSCエンコーダ
44 フィールド番号検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンポジット映像信号をコンポーネント信号に変換し、コンポーネント信号を符号化して伝送する送信装置および受信装置からなる伝送装置において、前記送信装置は、
前記コンポジット映像信号からフィールド番号を判定する判定手段と、
前記コンポジット映像信号を輝度および色差信号からなる映像データに分離するデコード手段と、
前記映像データに前記フィールド番号を重畳する重畳手段と、
該重畳手段にて重畳されたデータを符号化する符号化手段とを含むことを特徴とする伝送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の伝送装置において、前記受信装置は、
前記送信装置から伝送されるデータを入力し、該データを映像データに復号する復号手段と、
該復号手段にて復号された映像データを、コンポジット映像信号にエンコードするエンコード手段と、
前記映像データに基づいて、伝送されてきたフィールド番号を検出し、送受信のフィールドシーンスを一致させるための制御信号を生成する検出手段とを含み、
前記エンコード手段は、前記制御信号に基づいて前記フィールドシーケンスを一致させることを特徴とする伝送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の伝送装置において、前記判定手段は、前記コンポジット映像信号のカラーバースト信号から色副搬送波の位相を検出することにより、該コンポジット映像信号のフィールド番号を判定することを特徴とする伝送装置。
【請求項4】
請求項1に記載の伝送装置において、前記重畳手段は、送信する映像データ内の有意でないラインに、該映像データに前記フィールド番号を重畳することを特徴とする伝送装置。
【請求項5】
請求項1に記載の伝送装置において、前記重畳手段は、送信する映像データ内の各ラインの有意でない部分に、該映像データに前記フィールド番号を重畳することを特徴とする伝送装置。
【請求項6】
請求項1に記載の伝送装置において、前記重畳手段は、送信する映像データ内の各ラインの有意でない部分に、該映像データに前記カラーバースト位相の情報を重畳することを特徴とする伝送装置。
【請求項7】
請求項1に記載の伝送装置において、前記重畳手段は、前記フィールド番号または前記カラーバースト位相の情報の有効/無効を示す情報を、前記映像データに前記フィールド番号または前記カラーバースト位相の情報とともに重畳することを特徴とする伝送装置。
【請求項8】
請求項2に記載の伝送装置において、前記検出手段は、前記復号手段にて復号した映像データより前記フィールド番号または前記カラーバースト位相の情報を検出し、該映像データのカラーバーストの位相を変化させる制御情報を前記制御信号として生成することを特徴とする伝送装置。
【請求項9】
請求項2に記載の伝送装置において、前記受信装置は、前記復号手段にて復号した映像データの画素をシフトして出力するシフト手段を含み、
前記エンコード手段は、該エンコード手段から出力する映像データのフィールド番号を出力し、
前記検出手段は、前記復号手段にて復号した映像データと前記エンコード手段から出力されたフィールド番号とのそれぞれに基づいて、該映像データのフィールド番号を検出し、
前記シフト手段は、前記検出手段にて検出したフィールド番号に基づいて、カラーバーストと映像データとの位相関係を合わせることを特徴とする伝送装置。
【請求項10】
請求項2に記載の伝送装置において、前記検出手段は、受信したフィールド番号または前記カラーバースト位相の情報によりフィールドシーケンスを合わせる過程において、前記送信装置側における入力信号切り替え等による過渡的なショックを保護することを特徴とする伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−270358(P2006−270358A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−83832(P2005−83832)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(399035766)エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 (321)
【Fターム(参考)】