説明

伸張性を有するストランドを組み込んだ材料要素

【課題】材料要素の数を減らすことにより、履物のかさおよび廃棄物を減らしつつ、製造効率および再生処理のしやすさを増加させる。
【解決手段】履物製品または他の製品は、第1層、第2層、第3層および少なくとも1つのストランドを有する材料要素を含んでいてもよい。第2層は第1層と第3層との間に配置されており、第2層は熱可塑性のポリマー材料で形成されている。ストランドは第1層と第2層との間に配置されており、ストランドは、少なくとも5センチメートルの距離だけ第2層と実質的に平行にされている。この構成では、熱可塑性のポリマー材料が、第1層および第3層を第2層に接合していてもよい。熱可塑性のポリマー材料はまた、ストランドを第2層に接合していてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物製品、履物製品等に用いる材料要素、および材料要素を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本特許出願は、2009年7月20日に米国特許商標庁に出願され、Material Elements Incorporating Tensile Strandと題する米国特許出願第12/505,740号の優先権を主張する。かかる先願の米国特許出願は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。米国特許出願第12/505,740号は一部継続出願であり、2006年5月25日に米国特許商標庁に出願され、Article Of Footwear Having An Upper With Thread Structural Elementsと題する米国特許出願第11/441,924号の優先権を主張する。かかる先願の米国特許出願は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
履物製品は一般に、アッパーおよびソール(履物の底)構造という2つの主要な要素を含んでいる。アッパーはしばしば、複数の材料要素(例えば、織物、ポリマーシート層、発泡層、革、合成皮革)で形成されており、これらは、互いに縫製または接着剤で結合されて、快適にかつしっかりと足を受け入れるために、履物の内部に空洞を形成する。より詳しくは、アッパーは、足の甲および指区域にわたり足の内側側部および外側側部に沿い足のかかと区域を巡って延びる構造を形成する。アッパーはまた、履物の履き心地を調節し、かつ、足をアッパー内の空洞に入れることおよびアッパー内の空洞から出すことを可能にするひもシステムが組み込まれていてもよい。くわえて、アッパーはまた、履物の調節しやすさおよび快適性を高めるために、ひもシステムの下方を延びているベロを含んでいてもよく、アッパーはかかと革(ヒールカウンタ)が組み込まれていてもよい。
【0004】
アッパーを形成するさまざまな材料要素は、アッパーの異なる区域に異なる特性を付与する。例えば、織物要素は、通気性を提供してもよく、かつ、足からの湿気を吸収してもよく、発泡層は、快適性を付与するために圧縮されてもよく、革(レザー)は耐久性および耐摩耗性を付与してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
材料要素の数が増えると、それに比例して履物の全体的なかさ(質量)が増える場合がある。材料要素の輸送、保管、裁断および接合に関連した時間および費用もまた増える場合がある。くわえて、アッパーに組み込まれる材料要素の数が増えると、裁断および縫製処理からの廃棄材料がかなりの程度に積み上がる場合もある。さらに、材料要素の数がより多い製品は、より少ない材料要素で形成された製品よりも、再生処理が困難な場合がある。ゆえに、材料要素の数を減らすことにより、履物のかさおよび廃棄物を減らしつつ、製造効率および再生処理のしやすさを増加させることができる場合がある。
【0006】
ソール構造は、足と地面との間に配置されるよう、アッパーの下側部分に固定される。例えば運動用の履物では、ソール構造はミッドソールおよびアウトソールを含んでいる。ミッドソールは、ポリマー発泡材料で形成されていてもよい。ポリマー発泡材料は、歩くこと、走ること、および他の歩行活動の最中に、地面の反力を減じる(すなわち緩衝を提供する)。ミッドソールはまた、流体を満たしたチャンバ、プレート、調節器、または、他の要素を含んでいてもよい。当該他の要素は、例えば、さらに力を減じる、安定性を高める、もしくは足の動きに影響するものである。アウトソールは、地面と接触する履物の要素を形成し、通常は、牽引力(トラクション)を付与する生地を含む、丈夫で耐磨耗性のゴム材料で形成されている。ソール構造はまた、履物の快適性を高めるために、アッパー内に足の下面に近接して配置された中敷を含んでいてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
要約
履物製品または他の製品は、伸張性を有するストランドを有する材料要素を組み込んでいてもよい。より詳しくは、材料要素は、第1層、第2層、第3層および少なくとも1つのストランド(ひも)を含んでいてもよい。第2層は第1層と第3層との間に配置されており、第2層は、熱可塑性のポリマー材料で形成されている。ストランドは第1層と第2層との間に配置されており、ストランドは、少なくとも5センチメートルの距離だけ第2層と実質的に平行にされている。熱可塑性のポリマー材料は、第1層および第3層を第2層に接合している。熱可塑性のポリマー材料はまた、ストランドを第2層に接合していてもよい。
【0008】
履物に使用することができる要素を製造する方法も以下に説明されている。この方法は、少なくとも1つのストランドを、熱可塑性のポリマー材料を組み込んだポリマーシートの表面に、このストランドが少なくとも5センチメートルの距離だけ上記表面と実質的に平行にされた状態で、隣接して配置することを含んでいる。第1層がこの表面に隣接して配置され、ストランドはポリマーシートと第1層との間に配置される。第1層、ストランドおよびポリマーシートは加熱される。加熱する際、ポリマーシートからの熱可塑性のポリマー材料が、第1層およびストランドの少なくとも一方に浸透して、ポリマーシートと第1層およびストランドのそれぞれとの間に結合を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】履物製品の外側側部立面図である。
【図2】履物製品の内側側部立面図である。
【図3】図2の3-3断面線に沿った、履物製品の断面図である。
【図4】履物製品のアッパーに使用される伸張性のストランド材料要素の平面図である。
【図5】図4に示す伸張性のストランド材料要素の一部の斜視図である。
【図6】伸張性のストランド材料要素の一部の分解斜視図である。
【図7A】図5の断面線7Aに沿った、伸張性のストランド材料要素の一部の断面図である。
【図7B】図5の断面線7Bに沿った、伸張性のストランド材料要素の一部の断面図である。
【図8A】図1に対応し、履物製品のさらなる構成を示す外側側部立面図である。
【図8B】図1に対応し、履物製品のさらなる構成を示す外側側部立面図である。
【図8C】図1に対応し、履物製品のさらなる構成を示す外側側部立面図である。
【図8D】図1に対応し、履物製品のさらなる構成を示す外側側部立面図である。
【図8E】図1に対応し、履物製品のさらなる構成を示す外側側部立面図である。
【図9A】図3に対応し、履物製品のさらなる構成を示す断面図である。
【図9B】図3に対応し、履物製品のさらなる構成を示す断面図である。
【図9C】図3に対応し、履物製品のさらなる構成を示す断面図である。
【図9D】図3に対応し、履物製品のさらなる構成を示す断面図である。
【図9E】図3に対応し、履物製品のさらなる構成を示す断面図である。
【図10A】伸張性のストランド材料要素の製造方法の第1例の模式的な斜視図である。
【図10B】伸張性のストランド材料要素の製造方法の第1例の模式的な斜視図である。
【図10C】伸張性のストランド材料要素の製造方法の第1例の模式的な斜視図である。
【図10D】伸張性のストランド材料要素の製造方法の第1例の模式的な斜視図である。
【図11A】図10Aの断面線11Aに沿った、第1例示製造方法の模式的な断面図である。
【図11B】図10Bの断面線11Bに沿った、第1例示製造方法の模式的な断面図である。
【図11C】図10Cの断面線11Cに沿った、第1例示製造方法の模式的な断面図である。
【図11D】図10Dの断面線11Dに沿った、第1例示製造方法の模式的な断面図である。
【図12A】伸張性のストランド材料要素の製造方法の第2例の模式的な斜視図である。
【図12B】伸張性のストランド材料要素の製造方法の第2例の模式的な斜視図である。
【図12C】伸張性のストランド材料要素の製造方法の第2例の模式的な斜視図である。
【図12D】伸張性のストランド材料要素の製造方法の第2例の模式的な斜視図である。
【図13A】図12Aの断面線13Aに沿った、製造方法の第2例の模式的な断面図である。
【図13B】図12Bの断面線13Bに沿った、製造方法の第2例の模式的な断面図である。
【図13C】図12Cの断面線13Cに沿った、製造方法の第2例の模式的な断面図である。
【図13D】図12Dの断面線13Dに沿った、製造方法の第2例の模式的な断面図である。
【図14】伸張性のストランド材料要素の別の構成の断面図である。
【図15】伸張性のストランド材料要素の別の構成の一部の斜視図である。
【図16】伸張性のストランド材料要素の別の構成の一部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の局面を特徴付ける新規な利点および特徴を、添付の特許請求の範囲において詳細に指摘する。しかし、新規な利点および特徴の理解を向上させるために、本発明に関連したさまざまな構成および概念を説明および例示する以下の説明および添付図面を参照してもよい。
上記の要約および以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読むと、よりよく理解できるであろう。
【0011】
以下の説明および添付図面は、伸張性のストランドを組み込んだ材料要素を開示している。この材料要素は、歩くまたは走るのに適切な一般的な構成を有する履物製品に組み込まれたものとして開示されている。この材料要素に関連した概念はまた、野球靴、バスケットボールシューズ、クロストレーニングシューズ、サイクリングシューズ、フットボール用の靴、テニスシューズ、サッカーシューズ、ハイキング用のブーツなどを含む、他の種類のさまざまな運動用の履物に適用されてもよい。この概念はまた、ドレスシューズ、ローファー、サンダルおよび作業靴を含む、一般に非運動用とみなされる種類の履物に適用されてもよい。ゆえに、本明細書に開示された概念は、幅広い種類の履物に適用される。履物に加えて、材料要素または材料要素に関連した概念を、他のさまざまな製品に組み込んでもよい。
全体的な履物構造
履物製品10は、図1〜図3に示されており、ソール構造20およびアッパー30を含んでいる。参照を目的として、履物10は、図1および図2に示すように、爪先領域11、中間領域12およびかかと領域13という、3つの一般的な領域に分割されてもよい。履物10は、外側側部14および内側側部15をも含んでいる。爪先領域11は一般に、足指と、中足骨を指骨に接続する関節とに対応する履物10の部分を含んでいる。中間領域12は一般に、足の土踏まず区域に対応する履物10の部分を含んでおり、かかと領域13は、踵骨を含む足の後部に対応している。外側側部14および内側側部15は各領域11〜13を通って延びており、履物10の両側に対応している。領域11〜13および側部14、15は、履物10の厳密な区域を区分することを意図していない。むしろ、領域11〜13および側部14、15は、以下の説明の助けとなるように、履物10の一般的な区域を示すことを意図している。履物10に加えて、領域11〜13および側部14、15はまた、ソール構造20、アッパー30およびそれらの個々の要素に適用されてもよい。
【0012】
ソール構造20はアッパー30に固定されており、履物10を履いたときに、足と地面との間に延びる。ソール構造20の主要な要素は、ミッドソール21、アウトソール22および中敷23である。ミッドソール21は、アッパー30の下面に固定されており、歩くこと、走ること、または他の歩行活動の最中に足と地面との間で圧縮されたときに地面の反力を減じる(すなわち緩衝を提供する)圧縮可能なポリマー発泡要素(例えば、ポリウレタンまたはエチルビニルアセテート発泡体)で形成されていてもよい。さらなる構成では、ミッドソール21は、流体を満たしたチャンバ、プレート、調節器、または、他の要素(さらに力を減じる、安定性を高める、もしくは足の動きに影響するもの)を組み込んでいてもよく、または、ミッドソール21は主に、流体を満たしたチャンバで形成されていてもよい。アウトソール22は、ミッドソール21の下面に固定されており、牽引力を付与するように織られた耐磨耗性のゴム材料で形成されていてもよい。中敷23はアッパー30内に配置されており、足の下面の下方を延びるよう配置されている。ソール構造20用のこの構成は、アッパー30とともに使用できるソール構造の例を提供するが、ソール構造20用の従来の、または従来のものでない他のさまざまな構成も使用してもよい。したがって、ソール構造20またはアッパー30とともに使用されるソール構造20の構造および特徴には、かなりの変化があってもよい。
【0013】
アッパー30は、ソール構造20に対して足を受け入れ、かつ固定するために、履物10内に空洞を画定している。この空洞は、足を収容する形状とされており、足の外側側部に沿い、足の内側側部に沿い、足を覆い、かかとを巡り、足の下方に延びている。空洞に到達するために、少なくともかかと領域13に配置されたくるぶし開口部31が設けられている。ひも32が、さまざまなひも開口部33を通って延びており、着用者が、足の形に合うようにアッパー30の寸法を調節できるようにする。より詳しくは、ひも32は、着用者が、アッパー30を足の周りに締め付けることができるようにし、ひも32は、着用者が、アッパー30を緩めて、(くるぶし開口部31を介して)空洞に足を入れること、および、空洞から足を出すことを容易にする。くわえて、アッパー30は、ひも32の下方を延びるベロ(図示せず)を含んでいてもよい。
【0014】
アッパー30のさまざまな部分は、互いに縫製または結合されて履物10内に空洞を形成する複数の材料要素(例えば、織物、ポリマーシート、発泡層、革、合成皮革)の1つ以上で形成されていてもよい。アッパー30はまた、かかと領域13でのかかとの動きを規制するかかと革、または、爪先領域11に配置される耐磨耗性の足指保護具を組み込んでいてもよい。さまざまな材料要素または他の要素をアッパーに組み込んでもよいが、外側側部14および内側側部15の一方または両方の区域は、さまざまなストランド34が組み込まれている。図1および図2を参照して、複数のストランド34が、ひも開口部33とソール構造20との間を大略的に垂直な方向に延びており、さまざまなストランド34が、外側側部14および内側側部15の両方で、爪先領域11とかかと領域13との間を大略的に水平な方向に延びている。図3も参照して、さまざまなストランド34が、ベース層41とカバー層42との間に配置されている。ベース層41が、アッパー30内の空洞の表面を形成しているのに対し、カバー層42は、アッパー30の外面または露出面の一部を形成している。ゆえに、ストランド34、ベース層41およびカバー層42の組み合わせは、いくつかの区域で、アッパー30の厚みの全体を実質的に形成していてもよい。
【0015】
歩くこと、走ること、または他の歩行活動の最中に、履物10の空洞内にある足は、アッパー30を広げる傾向にある場合がある。すなわち、アッパー30を形成する材料要素の多くは、足の動きによって張った状態に置かれる場合がある。ストランド34も伸張するかもしれないが、ストランド34は一般に、アッパー30を形成する他の材料要素(例えば、ベース層41およびカバー層42)よりも伸張する程度が小さい。ゆえに、各ストランド34は、特定の方向への伸張に抵抗する、または、力が集中する部分を強化する、アッパー30の構造部品を形成するよう配置されていてもよい。一例として、ひも開口部33とソール構造20との間を延びているさまざまなストランド34は、内側側部‐外側側部方向への(すなわち、アッパー30を巡って延びる方向への)伸張に抵抗する。これらのストランド34も、ひも開口部33に隣接して配置され、ひも開口部33から径方向外側に向かって突出して、ひも32の張りによって伸張に抵抗する。これらのストランドも互いに交差しているので、ひも32の張りによる、または足の動きによる力を、アッパー30のさまざまな区域に分散することができる。別の例として、爪先領域11とかかと領域13との間を延びているさまざまなストランド34は、長手方向への(すなわち、各領域11〜13を通って延びる方向への)伸張に抵抗する。したがって、ストランド34は、伸張に抵抗するアッパー30の構造部品を形成するよう配置される。
伸張性のストランド材料要素
アッパー30に組み込むことができる伸張性のストランド材料要素40を、図4に示す。くわえて、材料要素40の一部を、図5〜図7Bのそれぞれに示す。材料要素40は、例えば外側側部14の大部分を形成していてもよい。その結果、材料要素40は、(a)外側側部14の上側から下側にかけての区域から、領域11〜13のそれぞれを通って延び、(b)外側側部14にさまざまなひも開口部33を画定し、(c)内面(すなわち、履物10を着用したときに、足または足に着用したソックスに接触する面)と、外面(すなわち、履物10の外側の露出面)との両方を形成する構成を有している。実質的に類似した要素を、内側側部15用に使用してもよい。履物10のいくつかの構成では、材料要素40は、外側側部14の一部のみを通って延びていても(例えば、中間領域12に限定されていても)よく、または、拡張されて外側側部14および内側側部15の大部分を形成していてもよい。すなわち、材料要素40の一般的な構成を有し、ストランド34ならびに層41および42を含む単一の要素が、外側側部14および内側側部15の両方を通って延びていてもよい。別の構成では、追加の要素が材料要素40に接合されて、外側側部14の一部を形成していてもよい。
【0016】
材料要素40は、ベース層41およびカバー層42を含んでおり、ストランド34が層41と層42との間に配置されている。ストランド34は、ベース層41の表面に隣接しており、ベース層41の表面に実質的に平行にされている。一般に、ストランド34はまた、カバー層42の表面に隣接しており、カバー層42の表面に実質的に平行にされている。上述したように、ストランド34は、伸張に抵抗するアッパー30の構造部品を形成している。ベース層41およびカバー層42の表面に実質的に平行にされていることにより、ストランド34は、層41および42の表面に対応する方向への伸張に抵抗する。ストランド34は、いくつかの箇所で、(例えば縫製の結果として)ベース層41を通って延びていてもよいが、ストランド34がベース層41を通って延びている区域は、伸張を許容してもよく、それによりストランド34の全体的な能力を低減して、伸張を制限してもよい。その結果、各ストランド34は全体として、少なくとも12ミリメートルの距離だけ、ベース層41の表面に隣接しベース層41の表面に実質的に平行にされていてもよく、少なくとも5センチメートルの距離にわたって、ベース層41の表面に隣接しベース層41の表面に実質的に平行にされていてもよい。
【0017】
ベース層41およびカバー層42は、互いに同一の広がりを持つものとして示されている。すなわち、層41および42は、ベース層41の縁部がカバー層42の縁部に対応しカバー層42の縁部とそろうように、同一の形状および寸法を有していてもよい。いくつかの製造処理では、(a)ストランド34はベース層42の上に配置され、(b)カバー層42はベース層41およびストランド34に結合され、(c)材料要素40は、所望の形状および寸法を有するようにこの組み合わせから裁断されて、ベース層41およびカバー層42用の共通の縁部を形成する。この処理では、ストランド34の端部も、層41および42の縁部へと延びていてもよい。したがって、層41および42の縁部ならびにストランド34の端部はすべて、材料要素40の縁部に配置されていてもよい。
【0018】
ベース層41およびカバー層42のそれぞれは、一般的な2次元の材料で形成することができる。本発明に関して使用される場合、「2次元の材料」という用語またはその変化形は、厚みよりも実質的に大きな長さおよび幅を持つ全体として平坦な材料を包含することを意図している。したがって、ベース層41およびカバー層42用の適切な材料は例えば、さまざまな織物、ポリマーシート、または、織物とポリマーシートとの組み合わせを含んでいる。織物は一般に、線維(ファイバー)、フィラメント、またはヤーン(織り糸)で製造される。これらは、例えば、(a)不織布もしくは不織のフェルトを構成するために、結合、融解もしくは絡み合わせにより、線維の網から直接に製造される、もしくは、(b)織り生地もしくは編み生地を製造するためにヤーンの機械的な操作により形成される織物は、一方向に伸張する、または複数方向に伸張するように配置された線維を組み込んでいてもよく、織物は、例えば通気性および耐水性の障壁を形成するコーティングを含んでいてもよい。ポリマーシートは、全体として平坦な外観を有するよう、押出成形、圧延または他のやり方でポリマー材料から形成されていてもよい。2次元の材料はまた、織物、ポリマーシート、または、織物とポリマーシートとの組み合わせの2つ以上の層を含む、積層された、または他のやり方で層状にされた材料を包含していてもよい。織物およびポリマーシートにくわえて、他の2次元の材料をベース層41およびカバー層42用に使用してもよい。2次元の材料は、滑らかな、または全体として不織の表面を有していてもよいが、2次元の材料の中には、へこみ、突起、凸条またはさまざまなパターンなどの織り組織または他の表面特性を示すものもある。表面特性があるものの、2次元の材料は一般に、平坦であり、厚みよりも実質的に大きな長さおよび幅を持っている。いくつかの構成では、メッシュ材料または孔あき材料が層41および42のいずれかまたは両方に使用されて、より大きな通気性または浸透性を付与してもよい。
【0019】
ストランド34は、一般の1次元材料で形成されていてもよい。本発明に関して使用される場合、「1次元の材料」という用語またはその変化形は、幅および厚みよりも実質的に大きな長さを持つ、全体として長尺の材料を包含することを意図している。したがって、ストランド34用の適切な材料は例えば、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリル、絹、綿、炭素、ガラス、アラミド(例えばパラアラミド繊維およびメタアラミド繊維)超高分子量ポリエチレン、液晶ポリマー、銅、アルミニウムならびに鋼で形成された、さまざまなフィラメント、線維、ヤーン、糸、ケーブルまたはロープを含んでいる。フィラメントが不定の長さを有し、個別にストランド34として使用してもよいのに対し、線維は比較的長さが短く、適切な長さのストランドを製造するために、一般に紡績処理または撚り処理がされる。ストランド34に使用される個々のフィラメントは、単一の材料(すなわち単一成分のフィラメント)で形成されていても、または、複数の材料(すなわち多成分のフィラメント)で形成されていてもよい。同様に、異なるフィラメントが異なる材料で形成されていてもよい。一例として、ストランド34として使用されるヤーンは、それぞれが共通の材料で形成されたフィラメントを含んでいてもよく、それぞれが2種以上の異なる材料で形成されたフィラメントを含んでいてもよく、または、それぞれが2種以上の異なる材料で形成されたフィラメントを含んでいてもよい。類似の概念が、糸、ケーブルまたはロープにも適用される。ストランド34の厚みも、例えば0.03ミリメートル〜5ミリメートル以上の範囲で大きく変化してもよい。1次元材料はしばしば、幅と厚みとが実質的に等しい断面(例えば、円形または正方形の断面)を有しているが、1次元材料の中には、厚みよりも大きな幅(例えば、矩形、楕円形、または他の長尺の断面)を有するものがあってもよい。幅がより大きいとしても、材料の長さが、材料の幅および厚みよりも実質的に大きければ、材料は1次元とみなすことができる。
【0020】
例として、ベース層41は織物材料で形成されていてもよく、カバー層42は、織物材料に結合されたポリマーシートで形成されていてもよく、または、層41および42のそれぞれが、互いに結合されたポリマーシートで形成されていてもよい。ベース層41が織物材料で形成されている場合、カバー層42は、ベース層41の織物材料と結合する熱可塑性のポリマー材料(例えば、熱可塑性ポリウレタン)を組み込んでいてもよい。すなわち、カバー層42を加熱することにより、カバー層42の熱可塑性のポリマー材料がベース層41の織物材料と結合してもよい。代わりに、カバー層42と結合するために、熱可塑性のポリマー材料が浸透しても、またはベース層41の織物材料と結合してもよい。すなわち、ベース層41は、織物材料と熱可塑性のポリマー材料との組み合わせであってもよい。この構成の長所は、ベース層41上にストランド34を配置するステップを含む製造工程の部分を含めて、材料要素40の製造工程中に、熱可塑性のポリマー材料が、ベース層41の織物材料を堅固にする、または他のやり方で安定させることができる点にある。この構成の別の長所は、いくつかの構成で、支援層(図9Dの支援層37を参照のこと)を、熱可塑性のポリマー材料を使用して、カバー層42の反対側でベース層41と結合することができる点にある。この一般的な概念が、2008年7月25日に米国特許商標庁に出願され、Composite Element With A Polymer Connecting Layerと題する米国特許出願第12/180,235号に開示されており、かかる先願の米国特許出願は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。さらに代わりとして、ベース層41が、材料要素40の製造中にカバー層42およびストランド34と結合する熱可塑性のポリマー材料(例えば熱可塑性ポリウレタン)のシートであってもよい。すなわち、ベース層41を加熱することにより、ベース層41の熱可塑性のポリマー材料がカバー層42およびストランド34のいずれかまたは両方と結合してもよい。
【0021】
上記説明に基づき、材料要素40は一般に、少なくとも層41および42を、ストランド34を間に配置した状態で含んでいる。ストランド34は、層41および42の一つを貫通していてもよいが、ストランド34は一般に、層41および42の表面に隣接しており、12ミリメートルよりも多く、そして、さらには5センチメートルよりも多く、層41および42の表面に実質的に平行である。さまざまな1次元の材料をストランド34用に使用することができるが、1種以上の2次元の材料を層41および42用に使用してもよい。さらに、ベース層41を熱可塑性のポリマー材料のシートとして形成する場合、熱可塑性のポリマー材料を加熱することで、ベース層41とカバー層42およびストランド34のいずれかまたは両方との間の結合を生じさせてもよい。
構造部品
従来のアッパーは、それぞれがアッパーのさまざまな区域に異なる特性を付与する複数の材料層で形成されているかもしれない。使用中、アッパーは著しい張力を受ける場合があり、材料の1つ以上の層が、張力に抵抗するためにアッパーの区域に配置されている。すなわち、個々の層が、アッパーの特定の部分に組み込まれて、履物の使用中に生じる張力に抵抗してもよい。一例として、織り生地をアッパーに組み込んで、長手方向の伸張抵抗を付与してもよい。織り生地は、互いに直角に折り合わせたヤーンで形成されている。織り生地が、長手方向の伸張抵抗を目的としてアッパーに組み込まれている場合には、長手方向に向けられたヤーンのみが、長手方向の伸張抵抗を与えることになり、長手方向に直交する方向に向けられたヤーンは一般に、長手方向の伸張抵抗を与えないことになる。ゆえに、織り生地中のヤーンの約半分は、長手方向の伸張抵抗にとって不必要である。この例を拡張すると、アッパーの異なる区域で必要とされる伸張抵抗の程度が異なっている場合がある。アッパーのいくつかの区域は、程度が比較的大きな伸張抵抗を必要とする場合があるが、アッパーの他の区域は、程度が比較的小さい伸張抵抗を必要とする場合がある。織り生地は、程度が比較的大きな伸張抵抗と程度が比較的小さい伸張抵抗との両方を必要とする区域で使用することもあるため、織り生地中のヤーンの中には、比較的小さい伸張抵抗を必要とする区域で不必要なものがある。この例では、不必要なヤーンが、履物に有益な特性を付加することなく、履物の全体的なかさを大きくしている。類似の概念が、耐摩耗性、柔軟性、空気浸透(透過)性、緩衝性および吸湿性などの1つ以上のために使用される革およびポリマーシートなどの他の材料にも適用される。
【0022】
上記説明をまとめると、複数の層の材料で形成された従来のアッパーに使用される材料は、アッパーの所望の特性に大して貢献しない不必要な部分を有している場合がある。例えば伸張抵抗に関し、層は、必要とされる、または望まれるよりも(a)多くの方向の伸張抵抗、または、(b)大きな程度の伸張抵抗を付与する材料を有している場合がある。ゆえに、これらの材料の不必要な部分は、履物に重要な有益な特性を与えることなく、履物の全体的なかさおよびコストを大きくしている場合がある。
【0023】
上述した従来の層構成に対し、アッパー30は、不必要な材料の存在を最小限にするよう構成されている。ベース層41およびカバー層42は足を覆うが、かさは比較的小さい。ストランド34は、特定の方向および箇所で伸張抵抗を与えるように配置されており、ストランド34の数は、所望の伸張抵抗を付与するよう選択されている。したがって、ストランド34の方位、配置および量は、特定の目的に合わせた構造部品を提供するよう選択されている。
【0024】
以下の説明で参照することを目的として、6つのストランドグループ51〜56が図4に示されている。ストランドグループ51は、くるぶし開口部31の最近傍のひも開口部33から下方に延びたさまざまなストランド34を含んでいる。ストランドグループ52は、くるぶし開口部31に二番目に近いひも開口部33から下方に延びたさまざまなストランド34を含んでいる。同様に、ストランドグループ53〜55は、他のひも開口部33から下方に延びたさまざまなストランド34を含んでいる。くわえて、ストランドグループ56は、爪先領域11とかかと領域13との間に延びたさまざまなストランド34を含んでいる。
【0025】
上述したように、ひも開口部33とソール構造20との間に延びたさまざまなストランド34は、内側側部‐外側側部方向の伸張に抵抗し、ひも32からの力を分散する。より詳しくは、ストランドグループ51のさまざまなストランド34は、くるぶし開口部31の最近傍のひも開口部33を通って延びたひも32の部分からの伸張に抵抗する。ストランドグループ51はまた、ひも開口部33から延びるときに外に向かって放射状に広がっており、それによってひも32からの力をアッパー30の区域にわたって分散する。類似の概念がストランドグループ52〜55にも適用される。追加事項として、ストランドグループ51〜55のストランド34のいくつかは、他のストランドグループ51〜55のストランド34と交差している。より詳しくは、(a)ストランドグループ51のストランド34は、ストランドグループ52のストランド34と交差しており、(b)ストランドグループ52のストランド34は、ストランドグループ51および53それぞれのストランド34と交差しており、(c)ストランドグループ53のストランド34は、ストランドグループ52および54それぞれのストランド34と交差しており、(d)ストランドグループ54のストランド34は、ストランドグループ53および55それぞれのストランド34と交差しており、(e)ストランドグループ55のストランド34は、ストランドグループ54のストランド34と交差している。したがって、隣接するストランドグループ51〜55のストランド34は互いに交差していてもよい。ストランドグループ51〜55の1つの、1つのストランド34は、いくつかの構成で、ストランドグループ51〜55の異なる1つの別のストランドと交差していてもよいが、ある場合、少なくとも2つのストランド34または少なくとも3つのストランド34が交差していてもよい。この構成の利点は、さまざまなひも開口部33でのひも32からの力を、アッパー30全体を通じて、より広く分散することができ、隣接したひも開口部33でのひも32からの力を、別のひも開口部33のストランド34により覆われた区域に分散できることにある。ゆえに、全体として、異なるストランドグループ51〜55のストランド34の交差により、ひも32からの力を、アッパー30の区域にわたって、より均一に分散することができる。
【0026】
ひも開口部33は、ストランド34が延びているひも受け要素の一例である。履物10の他の構成では、金属または織物のループがひも開口部33の代わりに使用されてもよく、フックがひも開口部33の代わりに使用されてもよく、または、金属環がひも開口部33を画定していてもよい。したがって、ストランド34は、さまざまなひも受け要素の間を延びていてもよく、ソール構造20は、内側側部−外側側部方向の伸張に抵抗し、ひも32からの力を分散する。
【0027】
これも上述したように、爪先領域11とかかと領域13との間に延びたさまざまなストランド34は、長手方向の伸張に抵抗する。より詳しくは、ストランドグループ56のさまざまなストランド34は、協働して長手方向の伸張に抵抗し、ストランドグループ56のストランド34の数は、領域11〜13を通じて、一定の伸張抵抗を示すように選択される。くわえて、ストランドグループ56のストランド34も、ストランドグループ51〜55の各ストランド34に対して交差し、領域11〜13を通じて、比較的連続した伸張抵抗を付与する。
【0028】
履物10の特定の構成および履物10の使用目的に応じて、層41および42は、例えば、非伸張性の材料、一方向に伸張する材料、または、二方向に伸張する材料であってもよい。一般に、二方向に伸張する材料で層41および42を形成することで、アッパー30に、足の外形に適合する能力がより多く付与され、それにより履物10の快適性が高まる。層41および42が二方向の伸張性を有している構成では、ストランド34を層41および42と組み合わせることで、特定の箇所でのアッパー30の伸張特性が効果的に変化する。アッパー30に関し、ストランド34を二方向の伸張性を有する層41および42と組み合わせることで、異なる伸張特性を有する区域がアッパー30に形成され、この区域は、(a)ストランド34が存在し、アッパー30が二方向に伸張する第1区域、(b)ストランド34が存在するが互いに交差し合っておらず、アッパー30が、ストランド34に直交する(すなわち垂直である)方向へ、一方向に伸張する第2区域、および、(c)ストランド34が存在し互いに交差し合っており、アッパー30が実質的に伸張しない、または限られた伸張しかしない第3区域を含んでいる。したがって、アッパー30の特定の区域の全体的な伸張特性は、ストランド34の存在により、および、ストランド34が互いに交差し合っているかにより、制御することができる。
【0029】
上記説明に基づき、ストランド34を、アッパー30の構造部品を形成するために使用してもよい。一般に、ストランド34は、伸張に抵抗してアッパー30の全体的な伸張を制限する。ストランド34はまた、アッパー30の異なる区域に力(例えば、ひも32およびひも開口部33からの力)を分散するために使用されてもよい。したがって、ストランド34の方位、配置および量は、特定の目的に合わせた構造部品を提供するように選択されている。さらに、互いに対するストランド34の方位、および、ストランド34が互いに交差し合っているかということを、アッパー30の異なる部分で、伸張の方向を制御するために使用することもできる。
さらなる履物構成
図1および図2のストランド34の方位、配置および量は、履物10用の適切な構成の例を示すことを意図している。履物10用の別の構成では、さまざまなストランド34もしくはストランドグループ51〜56がなくてもよく、または、追加のストランド34もしくはストランドグループが存在して、履物10におけるさらなる構造部品を提供してもよい。図8Aを参照して、爪先領域11とかかと領域13との間に延びたストランド34が存在せず、それにより、履物10の長手方向の伸張を増すことができる。ひも開口部33とソール構造20との間に延びたストランド34が、外側に、より大きく放射状に広がっており、隣接したストランドグループおよびさらに空間を空けられたストランドグループのストランド34と交差している構成を、図8Bに示している。この構成は例えば、ひも32からの力を、アッパー30のさらに広い区域に分散することができる。図8Cを参照して、ストランド34は、いくつかのひも開口部33のみから下方に延びているが、他のストランドグループのストランド34とやはり交差している。かかと領域13に追加のストランド34を含んでいる構成は、かかと革を効率よく形成できる場合があり、図8Dに示されている。ストランド34は大略的に直線状であるが、ストランド34の一部が波状、または他の非直線形状である構成が図8Eに示されている。上述したように、ストランド34はアッパー30の伸張に抵抗してもよいが、ストランド34の非直線状の区域は、アッパー30の伸張をいくらか許容してもよい。しかし、伸張によりストランド34が直線になると、そのときストランド34はアッパー30の伸張に抵抗してもよい。
【0030】
ストランド34ならびに層41および42に関連した図3のさまざまな特徴は、履物10に適切である構成の例を示すことを意図している。履物10の別の構成では、追加の層、または、層41および42に対するストランド34の位置が変化してもよい。図9Aを参照して、ストランド34をアッパー30の外側に露出させるために、カバー層42が存在していない。この構成では、上述したように、ベース層41に浸透する接着剤または熱可塑性のポリマー材料が、ストランド34をベース層41に固定するために使用されていてもよい。図3では、ベース層41は実質的に平坦であるが、カバー層42はストランド34の区域で外部に突出している。図9Bを参照して、ストランド34があるために、層41および42の両方が外部に突出している。図9Cに示す別の構成では、追加の層35および36が、空洞に隣接したアッパー30の内側部分を形成するよう配置されている。層35および36はさまざまな材料で形成されていてもよいが、層35は、履物10の全体的な快適性を高めるポリマー発泡材料で形成されていてもよく、層36は、足に直接隣接する区域からの汗または他の湿気を除去する吸湿性の織物で形成されていてもよい。図9Cを参照して、ストランド34の追加のセットが、支援層37がストランド34の追加のセットにわたって延びた状態で、ベース層41の反対側に配置されている。ストランド34を配置するために刺繍処理を使用したときに、この構成が現れる場合がある。類似の構成が図9Eに示されている。図9Eでは、支援層37が平坦な構成を有しており、ストランド34が履物10から外側へ、より大きく突出している。
【0031】
個人の走るスタイルまたは好みも、ストランド34の方位、配置および量を決定する場合がある。例えば、比較的高い回内運動(すなわち、足の内側に向かう回転)をする人がいる可能性があり、外側側部14のストランド34の数を多くすることで、回内運動の程度が減少する場合がある。長手方向の伸長抵抗がより大きいことを好む人がいる可能性もあり、履物10を修正して、両側部14および15の領域11〜13の間に延びたさらなるストランド34を含めてもよい。アッパー30がより心地よくフィットすることを好む人がいる可能性もあり、これにはアッパー30を通じてストランド34をもっと追加することが必要である場合がある。したがって、ストランド34の方位、場所および量の変更を通じて、履物10を個人の走るスタイルまたは好みに合わせて特注(カスタマイズ)してもよい。
製造方法の第1例
アッパー30および特に材料要素40を製造するために、さまざまな方法を使用してもよい。一例として、ベース層41に対してストランド34を配置するために、刺繍処理を使用してもよい。ストランド34が配置されると、カバー層42がベース層41およびストランド34に結合されて、ストランド34を材料要素40内に固定してもよい。この一般的な処理が、2006年5月25日に米国特許商標庁に出願され、Article Of Footwear Having An Upper With Thread Structural Elementsと題する米国特許出願第11/442,679号に記載されており、かかる先願の米国特許出願は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。刺繍処理の代わりとして、コンピュータ縫製などの他の縫製処理を使用して、ベース層41に対してストランド34を配置してもよい。くわえて、ベース層41の周りのフレーム上の杭の周りにストランド34を巻き付けることを含む処理を使用して、ストランド34をベース層41にわたって配置してもよい。したがって、ストランド34をベース層41に対して配置するために、さまざまな方法を使用することができる。
【0032】
一般に、空洞を形成するアッパー30の表面が、比較的滑らかな構造または他の連続した構造を有していると、履物の快適性が高められる。すなわち、縫い目、突起、凸条および他の不連続性が、足に不快感を与える場合がある。図3を参照して、ベース層41が比較的滑らかな特徴を有しているのに対し、カバー層42はストランド34の区域において外部に突出している。同様に、図9Eを参照して、支援層37が比較的滑らかな特徴を有しているのに対し、カバー層42はストランド34の区域において外部に突出している。それに対し、図9Bおよび図9Dは、ベース層41およびカバー層42が、ストランド34の区域において、履物10の内部に向けて突出している構成を示している。一般に、図3および図9Eの構成は、アッパー30内の空洞を形成する表面での滑らかさがより大きいために、より大きな履物快適性を付与することができる。
【0033】
図3の構成を形成するために使用することのできる成型処理を、以下に説明する。図10Aおよび図11Aを参照して、鋳型60は、第1鋳型部分61および第2鋳型部分62を含むものとして示されている。鋳型部分61および62はそれぞれ、以下に説明するようにストランド34ならびに層41および42を圧縮する対向面を有している。材料要素40の構成要素を圧縮する鋳型部分61および62の表面はそれぞれ、異なる密度および硬度を有する材料を含んでいる。より詳しくは、第1鋳型部分61は材料63を含んでおり、第2鋳型部分62は材料64を含んでいる。比較すると、材料63は、材料64よりも低い硬度および低い密度を有しており、その結果、材料63は、材料64よりも容易に圧縮される。適切な材料の一例として、材料63は、ショアA硬度で15の硬度を有するシリコンであってもよく、材料64は、ショアA硬度で70の硬度を有するシリコンであってもよい。鋳型60のいくつかの構成では、材料63は、40未満のショアA硬度を有していてもよく、材料64は、40よりも大きいショアA硬度を有していてもよい。鋳型60の別の構成では、材料63は、5〜20のショアA硬度を有していてもよく、材料64は、40〜80のショアA硬度を有していてもよい。エチルビニルアセテートおよびゴムなどのさまざまなポリマーおよび発泡体を含む、他のさまざまな材料を使用してもよい。しかし、シリコンの利点は圧縮永久歪みにある。より詳しくは、シリコンは、圧縮の繰り返しによるぎざぎざまたは他の表面凹凸を形成することなく、繰り返し成型処理に耐えることができる。
【0034】
材料63および64の密度および硬度の違いに加えて、厚みも変化してもよい。例えば図11A〜図11Dを参照して、材料63は材料64よりも大きな厚みを有している。材料63がショアA硬度で15の硬度を有するシリコンであり、材料64がショアA硬度で70の硬度を有するシリコンである構成では、材料63は5ミリメートルの厚みを有していてもよく、材料64は2ミリメートルの厚みを有していてもよい。鋳型60の他の構成では、材料63は3〜10ミリメートルまたはそれ以上の厚みを有していてもよく、材料64は1〜4ミリメートルの厚みを有していてもよい。
【0035】
鋳型60を使用して、材料要素40をストランド34ならびに層41および42で形成する。まず、材料要素40の構成要素を、図10Aおよび図11Aに示すように、鋳型部分61および62の間に配置する。構成要素を適切に配設するために、シャトルフレームまたは他の装置を使用してもよい。次いで、ストランド34ならびに層41および42を、層41および42に使用された特定の材料に応じて、構成要素の間の結合を促進する温度まで加熱する。材料要素40の構成要素を加熱するために、さまざまな放射加熱器または他の装置を使用することができる。いくつかの製造処理では、鋳型60と材料要素40の構成要素との間の接触部が、結合を促進する水準まで構成要素の温度を上げるよう、鋳型60を加熱してもよい。材料要素40の構成要素を加熱するために、高周波加熱を使用してもよい。
【0036】
配置され加熱されると、図10Bおよび図11Bに示すように、(a)材料63を有する第1鋳型部分61の表面が、カバー層42と接触し始め、(b)材料64を有する第2鋳型部分62が、ベース層41と接触し始めるように、鋳型部分61および62は互いに向かって移動し構成要素を覆い始める。次いで、鋳型部分61および62は、図10Cおよび図11Cに示すように、互いに向かってさらに移動し、材料要素40の構成要素を圧縮し、それにより構成要素を互いに結合する。
【0037】
材料要素40の構成要素はさまざまな材料で形成されていてもよいが、ベース層41が熱可塑性のポリマーシート(例えば熱可塑性ポリウレタン)で形成されている場合に、有利な構成となる。熱可塑性のポリマーシートで形成されている場合、ベース層41を、カバー層42およびストランド34の両方に接合するために使用してもよい。より詳しくは、ベース層41の熱可塑性のポリマー材料は、カバー層42およびストランド34の両方またはいずれかと結合してもよい。
【0038】
熱可塑性のポリマー材料ベース層41を、材料要素40の構成要素を互いに固定するために使用してもよい。熱可塑性のポリマー材料は、加熱されると融解または軟化し、十分に冷却されると固体の状態に復帰する。熱可塑性のポリマー材料のこの特性に基づき、材料要素40の部分を接合する熱結合を形成するために、熱結合処理を使用してもよい。本明細書で使用する際、「熱結合ステップ」という用語またはその変化形は、熱可塑性のポリマー材料を少なくとも1つの要素内で軟化または融解させて、冷却されたときに要素の材料が互いに固定されるようにすることを含む、2つの要素の間の固定技術と定義される。同様に、「熱結合」という用語またはその変化形は、熱可塑性のポリマー材料を少なくとも1つの要素内で軟化または融解させて、冷却されたときに要素の材料が互いに固定されるようにすることを含む処理を通じて2つの要素を接合する、結合、連結または構造と定義される。例として、熱結合ステップは、(a)熱可塑性のポリマー材料が互いに混ざり合い(例えば、熱可塑性のポリマー材料の間の境界層を越えて拡散し)、冷却されたときに互いに固定されるように、熱可塑性のポリマー材料を組み込んだ、2つの要素の融解または軟化、(b)熱可塑性のポリマー材料が、ストランドの構造内へと延びまたは浸透し(例えば、ストランド内のフィラメントもしくは線維の周りに延び、または、ストランド内のフィラメントもしくは線維と結合し)、冷却されたときに要素を互いに固定するように、熱可塑性のポリマー材料を組み込んだ、要素の融解または軟化、(c)熱可塑性のポリマー材料が、織物要素の構造内へと延びまたは浸透し(例えば、織物要素内のフィラメントもしくは線維の周りに延び、または、ストランド内のフィラメントもしくは線維と結合し)、冷却されたときに要素を互いに固定するように、熱可塑性のポリマー材料を組み込んだ、要素の融解または軟化、(d)熱可塑性のポリマー材料が、隙間または別の要素(例えば、ポリマー発泡体もしくはシート、プレート、構造的な装置)に形成された隙間内へと延びまたは浸透し、冷却されたときに要素を互いに固定するように、熱可塑性のポリマー材料を組み込んだ、要素の融解または軟化を含んでいてもよい。熱結合ステップは、1つの要素のみが熱可塑性のポリマー材料を含んでいる場合に、または、両方の要素が熱可塑性のポリマー材料を含んでいる場合に起きてもよい。くわえて、熱結合ステップは一般に、縫製または接着剤の使用を含んでいないが、熱によって要素を互いに直接結合することを含んでいる。しかし、ある場合、熱結合、または、熱結合ステップによる要素の接合を補完するために、縫製または接着剤を使用してもよい。
【0039】
熱結合処理を使用して、ベース層41をカバー層42およびストランド34に接合する熱結合を形成してもよいが、熱結合の構成は少なくとも部分的に、材料要素40の構成要素に依存している。第1例として、カバー層42が織物である場合、ベース層41の熱可塑性のポリマー材料は、カバー層42のフィラメントの周りに延びて、または、カバー層42のフィラメントと結合して、冷却されたときに構成要素同士を固定してもよい。第2例として、カバー層42が、熱可塑性のポリマー材料で形成されたポリマーシートである場合、ポリマー材料が互いに混ざり合って、冷却されたときに構成要素を互いに固定してもよい。しかし、カバー層42の熱可塑性のポリマー材料が、ベース層41の熱可塑性のポリマー材料よりも著しく高い融点を有している場合、ベース層41の熱可塑性のポリマー材料がカバー層42の構造、隙間または空洞内へと延びて、冷却されたときに構成要素を互いに固定してもよい。第3例として、ストランド34は、複数の個々のフィラメントまたは繊維を有する糸で形成されていてもよく、ベース層41の熱可塑性のポリマー材料は、フィラメントもしくは繊維の周りに延びて、または、フィラメントもしくは繊維と結合して、冷却されたときに構成要素を互いに固定してもよい。第4例として、ストランド34は、単一のフィラメントの構成を有するように形成されていてもよく、ベース層41の熱可塑性のポリマー材料は、フィラメントの周りに延びて、または、フィラメントと結合して、冷却されたときに構成要素を互いに固定してもよい。しかし、フィラメントの少なくとも一部が熱可塑性のポリマー材料で形成されている場合、ポリマー材料が互いに混ざり合って、冷却されたときに構成要素を互いに固定してもよい。したがって、材料要素40の構成要素が、多様な範囲の材料で形成されている、または、さまざまな構造の1つを有しているとしても、熱結合を使用して、構成要素を互いに接合することができる。
【0040】
上述したように、材料63は、材料64よりも低い硬度、低い密度および大きな厚みを有しており、その結果、材料63は、材料64よりも容易に圧縮する。図10Cおよび図11Cを参照して、カバー層42がストランド34の区域で材料63内へと突出しているのに対し、ベース層41は実質的に平坦なままである。材料63と材料64との間の圧縮性の違いのために、材料63は、ストランド34が存在する区域で圧縮する。この段階で、ベース層41が材料64内へと突出する深さは、カバー層42が材料63内へと突出する深さよりも小さい。鋳型60の圧縮力は、圧縮された構成要素の高くなった温度とともに、(a)層41と層42とを互いに結合し、(b)ストランド34を層41および42のいずれかと結合してもよく、(c)ベース層41が実質的に平坦なままとなり、カバー層42がストランド34の区域内で外部に突出するように、材料要素40を鋳造する。
【0041】
(硬度、密度および厚みの違いからくる)材料63および64の異なる圧縮性により、カバー層42がストランド34の区域内で、ベース層41よりも大きく外部に突出することが確実になる。いくつかの構成では、材料63および64の相対的な圧縮性により、ベース層41がある程度、ストランド34の区域内で外部に突出することができてもよい。しかし、一般に、ベース層41は、カバー層42よりも少なく外部へ突出しており、いくつかの構成では、ベース層41は、まったく外部に突出していなくてもよい。結合および成形が完了すると、図10Dおよび図11Dに示すように、鋳型60が開かれて、材料要素40が取り出されて冷却される。処理の最終ステップとして、材料要素40が、履物10のアッパー30に組み込まれてもよい。
【0042】
鋳型60の表面の間に異なる圧縮性を与えるために、材料63と材料64との間の相対的な硬度、密度および厚みは、かなり変化してもよい。硬度、密度および厚みを変化させることにより、表面の圧縮性を、特定の鋳造操作または材料に適合させてもよい。硬度、密度および厚みをそれぞれ考慮してもよいが、鋳型60のいくつかの構成では、硬度のみ、密度のみ、または、厚みのみが異なる材料63および64を有していてもよい。くわえて、鋳型60のいくつかの構成では、(a)異なる硬度および密度、しかし異なる厚み、(b)異なる硬度および厚み、しかし異なる密度、(c)異なる密度および厚み、しかし異なる硬度の材料63および64を有していてもよい。したがって、材料63および64のさまざまな特性をさまざまな仕方で調整して、鋳型60の表面の間で異なる相対的な圧縮性を実現してもよい。
製造方法の第2例
材料要素40の他の構成用に、類似の製造方法を使用してもよい。例えば、図9Eを参照して、追加のセットのストランド34にわたって支援層37が延びている状態で、2セットのストランド34が、ベース層41の両側に配置されている。ストランド34を配置するために刺繍処理が使用されたときに、この構成が現れてもよい。くわえて、支援層37は平坦な構成を有している。
【0043】
図9Eの構成を形成するために使用してもよい鋳造処理について説明する。上述した製造方法の第1例と同様に、鋳型60が使用される。まず、ベース層41、カバー層42、ストランド34および支援層37を含む材料要素40の構成要素を、図12Aおよび図13Aに示すように、鋳型部分61と鋳型部分62との間に配置する。配設され加熱されると、図12Bおよび図13Bに示すように、(a)材料63を有する第1鋳型部分61の表面が、カバー層42と接触し始め、(b)材料64を有する第2鋳型部分62が、支援層37と接触し始めるように、鋳型部分61および62は互いに向かって移動し構成要素を覆い始める。次いで、鋳型部分61および62は、図12Cおよび図13Cに示すように、互いに向かってさらに移動し、材料要素40の構成要素を圧縮し、それにより構成要素を互いに結合する。
【0044】
材料要素40の構成要素はさまざまな材料で形成されていてもよいが、ベース層41が熱可塑性のポリマーシート(例えば熱可塑性ポリウレタン)で形成されている場合に、有利な構成となる。熱可塑性のポリマーシートで形成されている場合、ベース層41を、カバー層42、ストランド34および支援層37のそれぞれに接合するために使用してもよい。より詳しくは、ベース層41の熱可塑性のポリマー材料は、カバー層42、ストランド34および支援層37のそれぞれと熱結合してもよい。第1例として、支援層37が織物である場合、ベース層41の熱可塑性のポリマー材料は、支援層47のフィラメントの周りに延びて、または、支援層47のフィラメントと結合して、冷却されたときに構成要素同士を固定してもよい。第2例として、支援層37が、熱可塑性のポリマー材料で形成されたポリマーシートである場合、ポリマー材料が互いに混ざり合って、冷却されたときに構成要素を互いに固定してもよい。しかし、支援層37の熱可塑性のポリマー材料が、ベース層41の熱可塑性のポリマー材料よりも著しく高い融点を有している場合、ベース層41の熱可塑性のポリマー材料が支援層37の構造、隙間または空洞内へと延びて、冷却されたときに構成要素を互いに固定してもよい。したがって、材料要素40の構成要素が、多様な範囲の材料で形成されている、または、さまざまな構造の1つを有しているとしても、熱結合を使用して、構成要素を互いに接合することができる。さらに、ベース層41の熱可塑性のポリマー材料を使用して、材料要素40の構成要素すべて(例えば、ベース層41、カバー層42、ストランド34および支援層37)を互いに接合してもよい。
【0045】
上述した製造方法の第1例に示すように、材料63は、材料64よりも低い硬度、低い密度および大きな厚みを有しており、その結果、材料63は、材料64よりも容易に圧縮する。図12Cおよび図13Cを参照して、カバー層42がストランド34の区域で材料63内へと突出しているのに対し、支援層37は実質的に平坦なままである。結合および形成が完了すると、図12Dおよび図13Dに示すように、鋳型60が開かれて、材料要素40が取り出されて冷却される。鋳型60における材料の硬度、密度または厚みの違いのために、支援層37は実質的に平坦なままである。いくつかの製造処理では、ベース層41の両側のストランド34が、図14に示すようにオフセットされて(ずらされて)いてもよい。処理の最終ステップとして、材料要素40が、履物10のアッパー30に組み込まれてもよい。
透過性の構成
透過性は一般に、空気、水および(気体または液体を問わず)他の流体が材料要素40を通過する、または他のやり方で材料要素40に浸透する能力と関連する。透過性を持つよう材料要素40を形成することの利点は、例えば発汗、湿気の多い空気、および熱せられた空気が、アッパー30内の足の周りの区域から出て行くようにしながら、冷たい空気がアッパー30に入ってくるようにできることにある。ベース層41は、上述した多くの構成の熱可塑性のポリマーシートであってもよい。同様に、支援層37およびカバー層43のいずれかが、ポリマー材料のシートであってもよい。材料要素40がポリマー材料のシートを含んでいる構成では、材料要素40の透過性が低下する場合がある。
【0046】
材料要素40の透過性を向上するため、複数の孔または開口部が、ベース層41、支援層37およびカバー層43の1つ以上を貫通して延びていてもよい。例えば、図15を参照して、複数の開口部38が材料要素40を貫通して(すなわち、各層37、41および43を貫通して)延びている。開口部38は、材料要素40用の製造処理に続いて、材料要素40に形成されていてもよいが、開口部38はまた、製造処理の前に、各層37、41および43に形成されてもよい。
【0047】
透過性の構成の別の例として、開口部38は、図16で、ベース層41のみを貫通して延びている。上述したように、支援層37およびカバー層43は織物で形成されていてもよく、ベース層41は熱可塑性のポリマーシートで形成されていてもよい。織物は本来的に透過性を有していてもよいため、材料要素40の全体的な透過性を高めるために、開口部38がベース層41に形成される。この構成では、ベース層41は、材料要素40の製造処理の前に、開口部38を設けられてもよい。
結び
さまざまな構成を参照しながら、上および添付図面に本発明を開示した。しかし、この開示の目的は、本発明に関連したさまざまな特徴および概念の例を示すことであり、本発明の範囲を限定することではない。添付の特許請求の範囲に規定する本発明の範囲を逸脱することなく、多くの変更および修正を上記構成に行うことができることを、当業者は理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッパーおよび前記アッパーに固定されたソール構造を有する履物製品であって、前記アッパーの少なくとも一部が、
第1層、第2層および第3層であって、前記第2層は前記第1層と前記第3層との間に配置され、前記第2層は熱可塑性のポリマー材料で形成されている第1層、第2層および第3層と、
前記第1層と前記第2層との間に配置された少なくとも1つのストランドであって、少なくとも5センチメートルの距離だけ前記第2層と実質的に平行にされているストランドと、を備え、
前記熱可塑性のポリマー材料は、前記第1層および前記第3層を前記第2層に接合している、履物製品。
【請求項2】
前記熱可塑性のポリマー材料が、前記第2層を前記ストランドに接合している、請求項1に記載の履物製品。
【請求項3】
前記第1層が、前記アッパーの外面の少なくとも一部を形成している、請求項1に記載の履物製品。
【請求項4】
前記第1層および前記第3層の少なくとも一方が、織物材料である、請求項1に記載の履物製品。
【請求項5】
前記ストランドが、前記アッパーのひも区域から、前記ソール構造が前記アッパーを接合している区域まで延びている、請求項1に記載の履物製品。
【請求項6】
別のストランドが、かかと領域から前記アッパーの爪先領域まで延びており、前記ストランドと交差している、請求項5に記載の履物製品。
【請求項7】
前記ストランドが、かかと領域から前記アッパーの爪先領域まで延びている、請求項1に記載の履物製品。
【請求項8】
前記ストランドの材料が、炭素繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレンおよび液晶ポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の履物製品。
【請求項9】
前記ストランドの端部が、前記第1層の縁部および前記第2層の縁部に配置されている、請求項1に記載の履物製品。
【請求項10】
アッパーおよび前記アッパーに固定されたソール構造を有する履物製品であって、前記アッパーの少なくとも一部が要素を含み、前記要素は、
第1層、第2層および第3層であって、前記第1層、前記第2層および前記第3層のそれぞれが当該要素の縁部を画定し、前記第2層は前記第1層と前記第3層との間に配置され、前記第2層は熱可塑性のポリマー材料のシートである第1層、第2層および第3層と、
前記第1層と前記第2層との間に配置された複数のストランドであって、少なくとも5センチメートルの距離だけ前記第1層および前記第2層と実質的に平行にされており、当該ストランドの少なくともいくつかは、前記縁部に配置された端部を有している複数のストランドと、を備え、
前記熱可塑性のポリマー材料と前記第1層および前記第3層それぞれとの間の熱結合が、前記第2層を前記第1層および前記第3層に接合している、履物製品。
【請求項11】
前記熱可塑性のポリマー材料と前記ストランドとの間の熱結合が、前記第2層を前記ストランドに接合している、請求項10に記載の履物製品。
【請求項12】
前記第1層が、前記アッパーの外面の少なくとも一部を形成している、請求項10に記載の履物製品。
【請求項13】
前記ストランドの第1グループが、前記アッパーのひも区域から、前記ソール構造が前記アッパーを接合している区域まで延びており、前記ストランドの第2グループが、かかと領域から前記アッパーの爪先領域まで延びている、請求項10に記載の履物製品。
【請求項14】
前記ストランドの第1グループが、前記ストランドの第2グループと交差している、請求項10に記載の履物製品。
【請求項15】
前記第1層および前記第2層が、互いに同一の広がりを有している、請求項10に記載の履物製品。
【請求項16】
第1層、第2層および第3層であって、前記第2層は前記第1層と前記第3層との間に配置され、前記第2層は熱可塑性のポリマー材料で形成されている第1層、第2層および第3層と、
前記第1層と前記第2層との間に配置された複数のストランドであって、少なくとも5センチメートルの距離だけ前記第1層および前記第2層の表面と実質的に平行にされているストランドと、を備えた材料要素であって、
前記熱可塑性のポリマー材料と前記第1層および前記第3層それぞれとの間の熱結合が、前記第2層を前記第1層および前記第3層に接合している、材料要素。
【請求項17】
前記熱可塑性のポリマー材料と前記ストランドとの間の熱結合が、前記第2層を前記ストランドに接合している、請求項16に記載の材料要素。
【請求項18】
前記第1層および前記第3層の少なくとも一方が織物材料である、請求項16に記載の材料要素。
【請求項19】
前記ストランドの第1グループが、前記ストランドの第2グループと交差している、請求項16に記載の材料要素。
【請求項20】
前記ストランドの材料が、炭素繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレンおよび液晶ポリマーからなる群から選択される、請求項16に記載の材料要素。
【請求項21】
前記ストランドの端部が、前記第1層の縁部および前記第2層の縁部に配置されている、請求項16に記載の材料要素。
【請求項22】
材料要素を製造する方法であって、
少なくとも1つのストランドを、熱可塑性のポリマー材料を組み込んだポリマーシートの表面に隣接して配置するステップであって、前記ストランドは、少なくとも5センチメートルの距離だけ前記表面と実質的に平行にされるステップと、
第1層を前記表面に隣接して配設するステップであって、前記ストランドは前記ポリマーシートと前記第1層との間に配置されるステップと、
前記第1層、前記ストランドおよび前記ポリマーシートを加熱するステップであって、前記ポリマーシートの前記熱可塑性のポリマー材料が、前記第1層および前記ストランドの少なくとも一方に浸透して、前記ポリマーシートと前記第1層および前記ストランドのそれぞれとの間に結合を形成するステップとを含む、方法。
【請求項23】
前記配置するステップが、前記ポリマーシートに前記ストランドで刺繍するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記配置するステップが、前記ポリマーシートを、熱可塑性のポリマー材料の層であるように選択するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記配設するステップが、第2層を前記ポリマー層の反対側の面に隣接して配備するステップを含み、前記加熱するステップが、前記第2層を前記ポリマーシートに結合するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
要素を製造する方法であって、
複数のストランドを、熱可塑性のポリマー材料を組み込んだポリマーシートに隣接して配置するステップであって、前記ストランドは、少なくとも5センチメートルの距離だけ前記ポリマーシートと実質的に平行にされるステップと、
第1層および第2層を前記ポリマーシートの両側に配設するステップであって、前記ストランドは前記ポリマーシートと前記第1層との間に配置されるステップと、
前記ストランド、前記ポリマーシート、前記第1層および前記第2層を、プレスの第1面および第2面の間に配備するステップであって、前記第1面および前記第2面は異なる材料で形成されているステップと、
前記ストランド、前記ポリマーシート、前記第1層および前記第2層を、
(a)前記ストランドと接触した、前記第1層の部分が、第1深さまで前記第1面へと突出し、
(b)前記ストランドに隣接した、前記第2層の部分が、第2深さまで前記第2面へと突出し、前記第1深さは前記第2深さよりも大きく、
(c)前記ポリマーシートの前記熱可塑性のポリマー材料が、少なくとも前記第1層および前記第2層と結合するように、
前記第1面と前記第2面との間で圧縮および加熱するステップとを含む、方法。
【請求項27】
前記配設するステップが、織物およびポリマーシートの一方となるように前記第1層を選択するステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記配備するステップが、異なる硬度、異なる密度および異なる厚みの少なくとも1つを有するように異なる材料を選択するステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記圧縮および加熱するステップが、前記ポリマーシートの前記熱可塑性のポリマー材料を前記ストランドに結合するステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
(a)前記ストランド、前記ポリマーシート、前記第1層および前記第2層を履物製品に組み込むステップと、(b)前記履物製品の外面の一部を形成するように前記第1層を配設するステップとをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
(a)前記ストランド、前記ポリマーシート、前記第1層および前記第2層を、履物製品に組み込むステップと、(b)前記第2層を、前記第1層よりも、前記履物製品の内部に近くなるように配設するステップとをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
アッパーおよび前記アッパーに固定されたソール構造を有する履物製品であって、前記アッパーの少なくとも一部が、
第1層および第2層であって、少なくとも前記第2層が、複数の開口部を区画するポリマーシートである第1層および第2層と、
前記第1層と前記第2層との間に配置された少なくとも1つのストランドであって、少なくとも5センチメートルの距離だけ前記第2層と実質的に平行にされているストランドとを備えた、履物製品。
【請求項33】
前記第2層が、前記第1層を前記第2層に接合する熱可塑性のポリマー材料である、請求項32に記載の履物製品。
【請求項34】
前記第2層の前記開口部が、前記第1層を貫通して延びている、請求項32に記載の履物製品。
【請求項35】
前記第1層が織物材料である、請求項32に記載の履物製品。
【請求項36】
第3層が前記第2層に固定されており、前記第2層が前記第1層と前記第3層との間に配置されている、請求項32に記載の履物製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−533404(P2012−533404A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521658(P2012−521658)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/040607
【国際公開番号】WO2011/011176
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】