伸縮レール装置
【課題】収縮状態の可動レールの位置が延長直交方向にずれない伸縮レール装置を提供する。
【解決手段】固定レール1の下部フランジ7上には、延長方向に所定間隔を置いた複数箇所の左右に、可動レール本体10の下縁を載せて転動する送りローラ13a,b,cが設けられ、また、延長途上の1箇所の左右に水平位置決めローラ14が設けられる。可動レールの本体10には、前後に離れた2箇所の左右の下縁部に、固定レール1の水平位置決めローラ14と協働して、可動レール2と固定レール1との延長直交方向の相対位置を規制するガイドブロック15a,bが設けられる。このガイドブロック15a,bは、水平位置決めローラ14が転接する垂直のガイド面15cを有し、可動レール2が固定レール1上の所定の収縮位置にあるときに、水平位置決めローラ14がガイド面15cに接して水平方向の位置を規制する。
【解決手段】固定レール1の下部フランジ7上には、延長方向に所定間隔を置いた複数箇所の左右に、可動レール本体10の下縁を載せて転動する送りローラ13a,b,cが設けられ、また、延長途上の1箇所の左右に水平位置決めローラ14が設けられる。可動レールの本体10には、前後に離れた2箇所の左右の下縁部に、固定レール1の水平位置決めローラ14と協働して、可動レール2と固定レール1との延長直交方向の相対位置を規制するガイドブロック15a,bが設けられる。このガイドブロック15a,bは、水平位置決めローラ14が転接する垂直のガイド面15cを有し、可動レール2が固定レール1上の所定の収縮位置にあるときに、水平位置決めローラ14がガイド面15cに接して水平方向の位置を規制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道線路における本線レールの脇に設けられた作業車両の保管場所から本線レールまで作業車両を移動させるために、本線レールとほぼ直交方向に交差するように伸縮可能に設けられるレール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道作業車両用の伸縮レール装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。伸縮レール装置は、常時は、作業車両の保管場所に固定された固定レールの上に可動レールが載せ置かれた収縮状態にあり、その上に、作業車両が置かれて保管される。必要時に、作業車両をジャッキアップしたうえ、モータ駆動で可動レールを引き出して本線レールに到達する所定位置まで延長する。固定レールの両端部にはスプロケットが取り付けられ、このスプロケットに掛け回されるチェーンの途上が可動レールに係止される。このチェーンをモータ駆動で引き回すことにより、可動レールを固定レール上で移動させる。伸長したレール上へ作業車両を降ろして本線上へ送り出す。作業車両は、伸長したレール上を本線レールまで移動し、本線レールに移って所要の作業を行う。本線上での作業終了後、再び伸長したレール装置上を所定の保管場所まで戻り、そこでジャッキアップされる。この状態で、可動レールが後退して収縮位置に復帰した後、作業車両が可動レール上に乗せ置かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開3001−146701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
伸縮レール装置において、収縮状態の可動レールが固定レールに対して延長直交方向にずれた位置にあると、作業車両の車輪を可動レール上の適正位置に降ろすことができない。このため、固定レール上における可動レールの延長直交方向の位置を適正に位置決めする手段が必要である。そこで、可動レール本体の延長方向に連続する側面を、固定レールに設けられたガイド部に対面させることにより、延長直交方向のずれを防止する構成になっている。ところが、可動レールの本体は、固定レールを跨ぐように下方に開放した断面コ字状の長尺の部材からなり、その幅を延長方向に均一に製作することが困難である。このため、固定レールに対する幅方向(延長直交方向)の位置決めのために常時可動レールの側面に接近して対向するガイド部は、食いつきを生じないように、可動レールの側面との幅方向のクリアランスを大きく設定する必要がある。このため、収縮状態の可動レールの幅方向に上記クリアランスに対応する遊びが生じ、位置が延長直交方向にずれやすいという問題点がある。
したがって、この出願に係る発明は、収縮状態の可動レールの位置が延長直交方向にずれない伸縮レール装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、この出願に係る発明の伸縮レール装置は、本線レールの側方に設けられた作業車両の保管場所から本線レールまで作業車両を移動させるために、本線レールとほぼ直交する延長方向にレールが伸縮可能に設けられるレール装置であって、固定レール1と可動レール2とを有する。固定レール1は、延長方向の基端とその反対側の先端1bとを有し、本線レールに対しほぼ直交方向に延びるように保管場所のベース上に固定される。可動レール2は、延長方向の基端2aとその反対側の先端とを有し、固定レール1上を収縮位置と伸長位置との間を往復移動可能で、収縮位置において基端2a側を固定レール1の基端部上に、また先端側を固定レールの先端部1b上に配置して、固定レール1上に載せ受けられ、伸長位置においては基端2a側が固定レール1の先端1b側と走行面を一致させて延長方向に固定レール1と連続する。チェーン5の引き回しにより可動レール2を固定レール1上で伸長方向へ前進させ、または収縮方向へ後退させる伸縮駆動機構が設けられる。可動レール2は、収縮状態において固定レール1を跨ぐように下方に開放する断面ほぼコ字状の本体10と、本体10の上部に延長方向に延びるように設けられる軌条体11とを具備する。固定レール1における下部フランジ7上には、延長方向に所定間隔を置いた複数箇所の左右に、可動レール本体2の下縁を載せて転動する送りローラ13a,b,cが設けられると共に、延長途上の1箇所の左右に水平位置決めローラ14が設けられる。可動レールの本体10には、前後に離れた2箇所の左右の下縁部に、固定レール1の水平位置決めローラ14と協働して、可動レール2と固定レール1との延長直交方向の相対位置を規制するガイドブロック15が設けられる。このガイドブロック15は、水平位置決めローラ14が転接する垂直のガイド面15cを有し、可動レール2が固定レール1上の所定の収縮位置にあるときに、水平位置決めローラ14がガイド面15に接して水平方向の位置を規制する。
【発明の効果】
【0006】
この出願に係る発明の伸縮レール装置によれば、固定レール1上の水平位置決めローラ14が、所定の位置のみにおいて可動レール2の垂直のガイド面15cに接して水平方向の位置を規制する。水平位置決めローラ14は、可動レール本体10の側面自体には当接しないので、可動レール2の幅が延長方向不均一でも、支障を来さない。収縮状態における可動レール2の延長直交方向の位置が適正位置に規制されるので、可動レール2上に作業車両Aの車輪W1を降ろすときに、車輪のフランジWbが可動レール2に当たるような不都合を生じない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る伸縮レール装置の概略的正面図で、(a)は収縮状態、(b)は伸長状態を示す。
【図2】図1の伸縮レール装置における固定レールの正面図である。
【図3】図1の伸縮レール装置における固定レールの平面図である。
【図4】図2におけるIV部の拡大図である。
【図5】図3におけるV部の拡大図である。
【図6】図2におけるVI部の拡大図である。
【図7】図3におけるVII部の拡大図である。
【図8】図4におけるVIII−VIII矢視図である。
【図9】図6におけるIX−IX矢視図である。
【図10】図1の伸縮レール装置における可動レールの正面図である。
【図11】図1の伸縮レール装置における可動レールの平面図である。
【図12】図10の一部を省略した拡大図である。
【図13】図11の一部を省略した拡大図である。
【図14】図12におけるXIV−XIV矢視図である。
【図15】図12におけるXV−XV矢視図である。
【図16】図1の伸縮レール装置の収縮状態における一部を省略した正面図である。
【図17】図16におけるXVII−XVII矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1において、作業車両Aの保管場所Bには、本線レールRとほぼ直交方向に固定レール1が敷設される。固定レール1は、基端1aと先端1bとを有する。可動レール2は、基端2aと先端2bとを有し、図1(a),図16に示す収縮位置と、図1(b)に示す伸長位置の間で、固定レール1の上を延長方向前後に往復移動させることができる。すなわち、可動レール2は、不使用時には、図1(a)に示すように、固定レール1の上に重ね置かれた収縮位置にあり、使用時には、図1(b)に示すように伸長位置にある。可動レール2は、伸長位置において、基端2a側が固定レール1の先端1b側に接続し、横行車輪W1の走行面が固定レール1の走行面と同じ高さに連続しており、本線レールR上にこれと交差するように延びる。
【0009】
固定レール1の基端1a側には、モータMに接続される駆動スプロケット3が、また先端1b側には、従動スプロケット4が設けられる。駆動スプロケット3と従動スプロケット4との間には、チェーン5が掛け回され、それの途上が可動レール2の基端2a側に係止される。チェーン5は、モータMの駆動で引き回すことができる。チェーン5の引き回しにより、可動レール2を固定レール1上で伸長方向へ前進させ、または収縮方向へ後退させることができる。
【0010】
図8,9に示すように、固定レール1は、作業車両の車輪W1を載せ受ける上部フランジ6と、ベース20に固定される下部フランジ7と、両フランジの中央間を接続する垂直のウェブ8とを具備する。上部フランジ6上には、それの幅より狭い幅で延長方向に延びるように突条9が設けられる。この突条9の上面に、車輪W1が転動する走行面が形成される。
【0011】
図10〜15に示すように、可動レール2は、収縮状態において固定レール1を跨ぐように下方に開放した断面ほぼコ字状の本体10と、本体の上部に延長方向に延びるように設けられる軌条体11とを具備する。
【0012】
図14,15に示すように、可動レールの軌条体11は、延長方向に延びる突条部12を具備する。突条部12の上面には、伸長状態において固定レール1の走行面と連続して車輪W1が転動する走行面が形成される。
【0013】
図2,3に示すように、固定レール1の下部フランジ7上には、延長方向に所定間隔を置いた左右の3箇所に可動レール本体10の下縁を載せて転動する送りローラ13a,b,cが設けられ、また、延長途上の1箇所(送りローラ13bと同位置)の左右に水平位置決めローラ14が設けられる。先端側の左右一対のローラ13aを除き、他の2箇所の左右一対のローラ13b・13c,14は、それぞれ左右のものが、平面視でハ字型に並ぶようにわずかに前後に位置をずらして設けられる。
【0014】
一方、図10,11に示すように、可動レールの本体10には、延長方向に離れた2箇所の左右の下縁部に、固定レールのローラ13b,14,13cと上下方向に対応する位置の左右に、ガイドブロック15a,15bが設けられる。ガイドブロック15a,15bは、水平位置決めローラ14と協働して、固定レール1と可動レール2の左右方向相対位置を、また送りローラ13b,13cと協働して収縮位置における前後方向相対位置を規制する。
【0015】
すなわち、図12〜14に示すように、ガイドブロック15a,15bは、水平位置決めローラ14が転接する垂直のガイド面15cと、送りローラ13b,13cが落ち込む位置決め凹部15dとを有する。ガイド面15cは、可動レール本体10の側面より左右方向外側に位置する。可動レール2が固定レール1上の所定の位置にあるときに、水平位置決めローラ14がガイド面15cに接して左右方向の位置を規制する。また、可動レール2が収縮位置にあるとき、ローラ13b,13cが位置決め凹部15dに落ち込んで、可動レール2の前後方向相対位置を規制する。
【0016】
可動レール2の基端2a側における本体10の内側天面部には、所定の延長方向長さにわたって、固定レール1の突条9の基端側を受け入れるガイド溝16が設けられる。
【0017】
図1に示すように、この実施形態の鉄道作業車両用伸縮レール装置は、本線レールR上を通過する電車の障害にならないように、不使用時には収縮状態(図1(a),図16)にある。収縮状態においては、可動レール2が固定レール1の上に重ね置かれる(図17a)。この状態において、作業車両Aは、保管場所Bにあって、横行用の車輪W1を可動レール2の上に載せて保管される。
【0018】
使用時には、まず車両Aを付設のリフト装置により持ち上げ、可動レール2を自由にした状態で、チェーン5をモータ Mにより引き回す。チェーン5は、その途上において可動レール2の基端側に連結されているから、可動レール2が固定レール1の上を延長方向に前進し、図1(b)に示すように、本線レールR上に交差するように延出し、可動レール2と固定レール1とが連続する。
【0019】
レールを伸長させたら、作業車両Aの車体を下降させ、横行用の車輪W1を固定レール1の上に降ろし、これを固定レール1上から可動レール2上へと転動させて本線レールRの上まで移動させる(図1(b))。 ここで再び車体を持ち上げ、チェーン5を反対方向に引き回して可動レール2を収縮位置へ復帰させる。
【0020】
可動レール2が収縮位置(図1(a),図16)まで来たら、作業車両Aを下降させて、走行用車輪W2を本線レールR上に降ろす。そして、作業車両Aを本線レールR上で所定の作業場所まで走行させる。作業車両Aを保管場所Bに戻すときにはこれと反対の手順で作業を行う。
【0021】
可動レール2を後退させるとき、図17(b)に示すように、送りローラ13a,b,c上に可動レールの下縁を乗せて転動させる。
【0022】
後退途上で基端2a側の位置決めブロック15bが水平位置決めローラ14を通過するとき、このローラ14が垂直ガイド面15cに当接して可動レール2の基端2a側を左右方向の適正位置に配置する。さらに後退して、図16に示すように、収縮位置に到ると、送りローラ13b,cが、ガイドブロック15の凹部15dに落ち込んで、可動レール2が固定レール1の突条9と重なる(図17(a))とともに、突条9が可動レール2のガイド溝16に嵌合し、送りローラ13a,b,cが無負荷状態となる。このとき水平位置決めローラ14がガイドブロック15の垂直ガイド面15cに当接して、可動ローラ2の先端2b側の左右位置を適正位置に規制する。
【0023】
上記のように、可動レール2が収縮位置(図16)において適正位置に配置されるので、作業用車両を降ろすときに車輪W1と可動レール2との間に位置ずれが生じることがなく、作業が円滑に行われる。
【符号の説明】
【0024】
1 固定レール
1a 基端
1b 先端
2 可動レール
2a 基端
2b 先端
3 駆動スプロケット
4 従動スプロケット
5 チェーン
6 上部フランジ
7 下部フランジ
8 ウェブ
9 突条
10 可動レールの本体
11 軌条体
12 突条部
13a,b,c 送りローラ
14 水平位置決めローラ
15a,b ガイドブロック
15c ガイド面
15d 凹部
16 ガイド溝
20 ベース
A 作業用車両
B 保管場所
R 本線レール
M モータ
W1 横行用車輪
W2 走行用車輪
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道線路における本線レールの脇に設けられた作業車両の保管場所から本線レールまで作業車両を移動させるために、本線レールとほぼ直交方向に交差するように伸縮可能に設けられるレール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道作業車両用の伸縮レール装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。伸縮レール装置は、常時は、作業車両の保管場所に固定された固定レールの上に可動レールが載せ置かれた収縮状態にあり、その上に、作業車両が置かれて保管される。必要時に、作業車両をジャッキアップしたうえ、モータ駆動で可動レールを引き出して本線レールに到達する所定位置まで延長する。固定レールの両端部にはスプロケットが取り付けられ、このスプロケットに掛け回されるチェーンの途上が可動レールに係止される。このチェーンをモータ駆動で引き回すことにより、可動レールを固定レール上で移動させる。伸長したレール上へ作業車両を降ろして本線上へ送り出す。作業車両は、伸長したレール上を本線レールまで移動し、本線レールに移って所要の作業を行う。本線上での作業終了後、再び伸長したレール装置上を所定の保管場所まで戻り、そこでジャッキアップされる。この状態で、可動レールが後退して収縮位置に復帰した後、作業車両が可動レール上に乗せ置かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開3001−146701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
伸縮レール装置において、収縮状態の可動レールが固定レールに対して延長直交方向にずれた位置にあると、作業車両の車輪を可動レール上の適正位置に降ろすことができない。このため、固定レール上における可動レールの延長直交方向の位置を適正に位置決めする手段が必要である。そこで、可動レール本体の延長方向に連続する側面を、固定レールに設けられたガイド部に対面させることにより、延長直交方向のずれを防止する構成になっている。ところが、可動レールの本体は、固定レールを跨ぐように下方に開放した断面コ字状の長尺の部材からなり、その幅を延長方向に均一に製作することが困難である。このため、固定レールに対する幅方向(延長直交方向)の位置決めのために常時可動レールの側面に接近して対向するガイド部は、食いつきを生じないように、可動レールの側面との幅方向のクリアランスを大きく設定する必要がある。このため、収縮状態の可動レールの幅方向に上記クリアランスに対応する遊びが生じ、位置が延長直交方向にずれやすいという問題点がある。
したがって、この出願に係る発明は、収縮状態の可動レールの位置が延長直交方向にずれない伸縮レール装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、この出願に係る発明の伸縮レール装置は、本線レールの側方に設けられた作業車両の保管場所から本線レールまで作業車両を移動させるために、本線レールとほぼ直交する延長方向にレールが伸縮可能に設けられるレール装置であって、固定レール1と可動レール2とを有する。固定レール1は、延長方向の基端とその反対側の先端1bとを有し、本線レールに対しほぼ直交方向に延びるように保管場所のベース上に固定される。可動レール2は、延長方向の基端2aとその反対側の先端とを有し、固定レール1上を収縮位置と伸長位置との間を往復移動可能で、収縮位置において基端2a側を固定レール1の基端部上に、また先端側を固定レールの先端部1b上に配置して、固定レール1上に載せ受けられ、伸長位置においては基端2a側が固定レール1の先端1b側と走行面を一致させて延長方向に固定レール1と連続する。チェーン5の引き回しにより可動レール2を固定レール1上で伸長方向へ前進させ、または収縮方向へ後退させる伸縮駆動機構が設けられる。可動レール2は、収縮状態において固定レール1を跨ぐように下方に開放する断面ほぼコ字状の本体10と、本体10の上部に延長方向に延びるように設けられる軌条体11とを具備する。固定レール1における下部フランジ7上には、延長方向に所定間隔を置いた複数箇所の左右に、可動レール本体2の下縁を載せて転動する送りローラ13a,b,cが設けられると共に、延長途上の1箇所の左右に水平位置決めローラ14が設けられる。可動レールの本体10には、前後に離れた2箇所の左右の下縁部に、固定レール1の水平位置決めローラ14と協働して、可動レール2と固定レール1との延長直交方向の相対位置を規制するガイドブロック15が設けられる。このガイドブロック15は、水平位置決めローラ14が転接する垂直のガイド面15cを有し、可動レール2が固定レール1上の所定の収縮位置にあるときに、水平位置決めローラ14がガイド面15に接して水平方向の位置を規制する。
【発明の効果】
【0006】
この出願に係る発明の伸縮レール装置によれば、固定レール1上の水平位置決めローラ14が、所定の位置のみにおいて可動レール2の垂直のガイド面15cに接して水平方向の位置を規制する。水平位置決めローラ14は、可動レール本体10の側面自体には当接しないので、可動レール2の幅が延長方向不均一でも、支障を来さない。収縮状態における可動レール2の延長直交方向の位置が適正位置に規制されるので、可動レール2上に作業車両Aの車輪W1を降ろすときに、車輪のフランジWbが可動レール2に当たるような不都合を生じない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る伸縮レール装置の概略的正面図で、(a)は収縮状態、(b)は伸長状態を示す。
【図2】図1の伸縮レール装置における固定レールの正面図である。
【図3】図1の伸縮レール装置における固定レールの平面図である。
【図4】図2におけるIV部の拡大図である。
【図5】図3におけるV部の拡大図である。
【図6】図2におけるVI部の拡大図である。
【図7】図3におけるVII部の拡大図である。
【図8】図4におけるVIII−VIII矢視図である。
【図9】図6におけるIX−IX矢視図である。
【図10】図1の伸縮レール装置における可動レールの正面図である。
【図11】図1の伸縮レール装置における可動レールの平面図である。
【図12】図10の一部を省略した拡大図である。
【図13】図11の一部を省略した拡大図である。
【図14】図12におけるXIV−XIV矢視図である。
【図15】図12におけるXV−XV矢視図である。
【図16】図1の伸縮レール装置の収縮状態における一部を省略した正面図である。
【図17】図16におけるXVII−XVII矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1において、作業車両Aの保管場所Bには、本線レールRとほぼ直交方向に固定レール1が敷設される。固定レール1は、基端1aと先端1bとを有する。可動レール2は、基端2aと先端2bとを有し、図1(a),図16に示す収縮位置と、図1(b)に示す伸長位置の間で、固定レール1の上を延長方向前後に往復移動させることができる。すなわち、可動レール2は、不使用時には、図1(a)に示すように、固定レール1の上に重ね置かれた収縮位置にあり、使用時には、図1(b)に示すように伸長位置にある。可動レール2は、伸長位置において、基端2a側が固定レール1の先端1b側に接続し、横行車輪W1の走行面が固定レール1の走行面と同じ高さに連続しており、本線レールR上にこれと交差するように延びる。
【0009】
固定レール1の基端1a側には、モータMに接続される駆動スプロケット3が、また先端1b側には、従動スプロケット4が設けられる。駆動スプロケット3と従動スプロケット4との間には、チェーン5が掛け回され、それの途上が可動レール2の基端2a側に係止される。チェーン5は、モータMの駆動で引き回すことができる。チェーン5の引き回しにより、可動レール2を固定レール1上で伸長方向へ前進させ、または収縮方向へ後退させることができる。
【0010】
図8,9に示すように、固定レール1は、作業車両の車輪W1を載せ受ける上部フランジ6と、ベース20に固定される下部フランジ7と、両フランジの中央間を接続する垂直のウェブ8とを具備する。上部フランジ6上には、それの幅より狭い幅で延長方向に延びるように突条9が設けられる。この突条9の上面に、車輪W1が転動する走行面が形成される。
【0011】
図10〜15に示すように、可動レール2は、収縮状態において固定レール1を跨ぐように下方に開放した断面ほぼコ字状の本体10と、本体の上部に延長方向に延びるように設けられる軌条体11とを具備する。
【0012】
図14,15に示すように、可動レールの軌条体11は、延長方向に延びる突条部12を具備する。突条部12の上面には、伸長状態において固定レール1の走行面と連続して車輪W1が転動する走行面が形成される。
【0013】
図2,3に示すように、固定レール1の下部フランジ7上には、延長方向に所定間隔を置いた左右の3箇所に可動レール本体10の下縁を載せて転動する送りローラ13a,b,cが設けられ、また、延長途上の1箇所(送りローラ13bと同位置)の左右に水平位置決めローラ14が設けられる。先端側の左右一対のローラ13aを除き、他の2箇所の左右一対のローラ13b・13c,14は、それぞれ左右のものが、平面視でハ字型に並ぶようにわずかに前後に位置をずらして設けられる。
【0014】
一方、図10,11に示すように、可動レールの本体10には、延長方向に離れた2箇所の左右の下縁部に、固定レールのローラ13b,14,13cと上下方向に対応する位置の左右に、ガイドブロック15a,15bが設けられる。ガイドブロック15a,15bは、水平位置決めローラ14と協働して、固定レール1と可動レール2の左右方向相対位置を、また送りローラ13b,13cと協働して収縮位置における前後方向相対位置を規制する。
【0015】
すなわち、図12〜14に示すように、ガイドブロック15a,15bは、水平位置決めローラ14が転接する垂直のガイド面15cと、送りローラ13b,13cが落ち込む位置決め凹部15dとを有する。ガイド面15cは、可動レール本体10の側面より左右方向外側に位置する。可動レール2が固定レール1上の所定の位置にあるときに、水平位置決めローラ14がガイド面15cに接して左右方向の位置を規制する。また、可動レール2が収縮位置にあるとき、ローラ13b,13cが位置決め凹部15dに落ち込んで、可動レール2の前後方向相対位置を規制する。
【0016】
可動レール2の基端2a側における本体10の内側天面部には、所定の延長方向長さにわたって、固定レール1の突条9の基端側を受け入れるガイド溝16が設けられる。
【0017】
図1に示すように、この実施形態の鉄道作業車両用伸縮レール装置は、本線レールR上を通過する電車の障害にならないように、不使用時には収縮状態(図1(a),図16)にある。収縮状態においては、可動レール2が固定レール1の上に重ね置かれる(図17a)。この状態において、作業車両Aは、保管場所Bにあって、横行用の車輪W1を可動レール2の上に載せて保管される。
【0018】
使用時には、まず車両Aを付設のリフト装置により持ち上げ、可動レール2を自由にした状態で、チェーン5をモータ Mにより引き回す。チェーン5は、その途上において可動レール2の基端側に連結されているから、可動レール2が固定レール1の上を延長方向に前進し、図1(b)に示すように、本線レールR上に交差するように延出し、可動レール2と固定レール1とが連続する。
【0019】
レールを伸長させたら、作業車両Aの車体を下降させ、横行用の車輪W1を固定レール1の上に降ろし、これを固定レール1上から可動レール2上へと転動させて本線レールRの上まで移動させる(図1(b))。 ここで再び車体を持ち上げ、チェーン5を反対方向に引き回して可動レール2を収縮位置へ復帰させる。
【0020】
可動レール2が収縮位置(図1(a),図16)まで来たら、作業車両Aを下降させて、走行用車輪W2を本線レールR上に降ろす。そして、作業車両Aを本線レールR上で所定の作業場所まで走行させる。作業車両Aを保管場所Bに戻すときにはこれと反対の手順で作業を行う。
【0021】
可動レール2を後退させるとき、図17(b)に示すように、送りローラ13a,b,c上に可動レールの下縁を乗せて転動させる。
【0022】
後退途上で基端2a側の位置決めブロック15bが水平位置決めローラ14を通過するとき、このローラ14が垂直ガイド面15cに当接して可動レール2の基端2a側を左右方向の適正位置に配置する。さらに後退して、図16に示すように、収縮位置に到ると、送りローラ13b,cが、ガイドブロック15の凹部15dに落ち込んで、可動レール2が固定レール1の突条9と重なる(図17(a))とともに、突条9が可動レール2のガイド溝16に嵌合し、送りローラ13a,b,cが無負荷状態となる。このとき水平位置決めローラ14がガイドブロック15の垂直ガイド面15cに当接して、可動ローラ2の先端2b側の左右位置を適正位置に規制する。
【0023】
上記のように、可動レール2が収縮位置(図16)において適正位置に配置されるので、作業用車両を降ろすときに車輪W1と可動レール2との間に位置ずれが生じることがなく、作業が円滑に行われる。
【符号の説明】
【0024】
1 固定レール
1a 基端
1b 先端
2 可動レール
2a 基端
2b 先端
3 駆動スプロケット
4 従動スプロケット
5 チェーン
6 上部フランジ
7 下部フランジ
8 ウェブ
9 突条
10 可動レールの本体
11 軌条体
12 突条部
13a,b,c 送りローラ
14 水平位置決めローラ
15a,b ガイドブロック
15c ガイド面
15d 凹部
16 ガイド溝
20 ベース
A 作業用車両
B 保管場所
R 本線レール
M モータ
W1 横行用車輪
W2 走行用車輪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本線レールの側方に設けられた作業車両の保管場所から本線レールまで作業車両を移動させるために、本線レールとほぼ直交する延長方向にレールが伸縮可能に設けられるレール装置であって、
延長方向の基端とその反対側の先端とを有し、前記本線レールに対しほぼ直交方向に伸びるように前記保管場所のベース上に固定される固定レールと、
延長方向の基端とその反対側の先端とを有し、前記固定レール上を収縮位置と伸長位置との間で往復移動可能で、収縮位置において基端側を前記固定レールの基端部上にまた先端側を固定レールの先端部上に配置して前記固定レール上に載せ受けられ、伸長位置において基端側が前記固定レールの先端側と走行面を一致させて延長方向に固定レールと連続する可動レールと、
チェーンの引き回しにより前記可動レールを前記固定レール上で伸長方向へ前進させ、または収縮方向へ後退させる伸縮駆動機構とを具備する伸縮レール装置において、
前記固定レールは、作業車両の車輪を載せ受ける上部フランジと、前記ベースに固定される下部フランジと、両フランジの中央間を接続する垂直のウェブと、上部フランジ上に延長方向に延びるように設けられる突条とを具備し、
前記可動レールは、収縮状態において前記固定レールを跨ぐように下方に開放する断面ほぼコ字状の本体と、本体の上部に延長方向に延びるように設けられる軌条体とを具備し、
前記固定レールにおける下部フランジ上には、延長方向に所定間隔を置いた左右の複数箇所に前記可動レール本体の下縁を載せて転動する送りローラが設けられると共に、延長途上の1箇所の左右に水平位置決めローラが設けられ、
前記可動レールの本体には、延長方向に離れた2箇所の左右の下縁部に、前記固定レールの水平位置決めローラと協働して、前記固定レールとの相対位置を規制するガイドブロックが設けられ、
このガイドブロックは、前記水平位置決めローラが転接する垂直のガイド面を有し、前記可動レールが前記固定レール上の所定の位置にあるときに、水平位置決めローラが先端側のガイドブロックのガイド面に接して水平方向の位置を規制することを特徴とする伸縮レール装置。
【請求項2】
前記固定レールにおける下部フランジ上には、さらに、延長方向前後に離れた2箇所の左右に垂直位置決めローラが設けられ、
前記可動レールのガイドブロックは、前記固定レールの垂直位置決めローラが転接して落ち込む位置決め凹部を下面に有し、
前記可動レールが前記固定レール上の所定の収縮位置にあるときに、固定レールの前記垂直位置決めローラが前記ガイドブロックの位置決め凹部に落ち込んで可動レールの延長方向の位置を規制することを特徴とする請求項1に記載の伸縮レール装置。
【請求項3】
前記可動レールの基端側における本体の内側天面部には、所定の延長方向長さにわたって、前記固定レールの突条における基端側を移動自在に受け入れるガイド溝が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の伸縮レール装置。
【請求項1】
本線レールの側方に設けられた作業車両の保管場所から本線レールまで作業車両を移動させるために、本線レールとほぼ直交する延長方向にレールが伸縮可能に設けられるレール装置であって、
延長方向の基端とその反対側の先端とを有し、前記本線レールに対しほぼ直交方向に伸びるように前記保管場所のベース上に固定される固定レールと、
延長方向の基端とその反対側の先端とを有し、前記固定レール上を収縮位置と伸長位置との間で往復移動可能で、収縮位置において基端側を前記固定レールの基端部上にまた先端側を固定レールの先端部上に配置して前記固定レール上に載せ受けられ、伸長位置において基端側が前記固定レールの先端側と走行面を一致させて延長方向に固定レールと連続する可動レールと、
チェーンの引き回しにより前記可動レールを前記固定レール上で伸長方向へ前進させ、または収縮方向へ後退させる伸縮駆動機構とを具備する伸縮レール装置において、
前記固定レールは、作業車両の車輪を載せ受ける上部フランジと、前記ベースに固定される下部フランジと、両フランジの中央間を接続する垂直のウェブと、上部フランジ上に延長方向に延びるように設けられる突条とを具備し、
前記可動レールは、収縮状態において前記固定レールを跨ぐように下方に開放する断面ほぼコ字状の本体と、本体の上部に延長方向に延びるように設けられる軌条体とを具備し、
前記固定レールにおける下部フランジ上には、延長方向に所定間隔を置いた左右の複数箇所に前記可動レール本体の下縁を載せて転動する送りローラが設けられると共に、延長途上の1箇所の左右に水平位置決めローラが設けられ、
前記可動レールの本体には、延長方向に離れた2箇所の左右の下縁部に、前記固定レールの水平位置決めローラと協働して、前記固定レールとの相対位置を規制するガイドブロックが設けられ、
このガイドブロックは、前記水平位置決めローラが転接する垂直のガイド面を有し、前記可動レールが前記固定レール上の所定の位置にあるときに、水平位置決めローラが先端側のガイドブロックのガイド面に接して水平方向の位置を規制することを特徴とする伸縮レール装置。
【請求項2】
前記固定レールにおける下部フランジ上には、さらに、延長方向前後に離れた2箇所の左右に垂直位置決めローラが設けられ、
前記可動レールのガイドブロックは、前記固定レールの垂直位置決めローラが転接して落ち込む位置決め凹部を下面に有し、
前記可動レールが前記固定レール上の所定の収縮位置にあるときに、固定レールの前記垂直位置決めローラが前記ガイドブロックの位置決め凹部に落ち込んで可動レールの延長方向の位置を規制することを特徴とする請求項1に記載の伸縮レール装置。
【請求項3】
前記可動レールの基端側における本体の内側天面部には、所定の延長方向長さにわたって、前記固定レールの突条における基端側を移動自在に受け入れるガイド溝が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の伸縮レール装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−214308(P2011−214308A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83241(P2010−83241)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001890)三和テッキ株式会社 (134)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001890)三和テッキ株式会社 (134)
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