伸縮性シートの製造方法
【課題】複数方向に対して良好な伸縮性を示す伸縮性シートを、簡易な設備により連続して効率よく製造できる伸縮性シートの製造方法が提供すること。
【解決手段】シート搬送方向と直交する方向に離間した一対の糸搬送用長手構造体１２，１３に巻回して搬送した糸状弾性体７を帯状シート５０，６０間に挟んで固定する工程を備え、糸状弾性体７における一方の長手構造体１２に接触した部分が、最初に接触した場所Ｐ１から帯状シートに対する固定部Ｐ３に搬送されるまでの時間と、糸状弾性体７における他方の長手構造体１３に接触した部分が、最初に接触した場所Ｐ２から前記固定部Ｐ３に搬送されるまでの時間とを異ならせて、シート搬送方向に直交する方向に対する傾斜角度が０〜３０度の第１糸状弾性体７Ａと、該傾斜角度が第１糸状弾性体より大きい第２糸状弾性体７Ｂとを備えた伸縮性シート３Ａを得る。
【解決手段】シート搬送方向と直交する方向に離間した一対の糸搬送用長手構造体１２，１３に巻回して搬送した糸状弾性体７を帯状シート５０，６０間に挟んで固定する工程を備え、糸状弾性体７における一方の長手構造体１２に接触した部分が、最初に接触した場所Ｐ１から帯状シートに対する固定部Ｐ３に搬送されるまでの時間と、糸状弾性体７における他方の長手構造体１３に接触した部分が、最初に接触した場所Ｐ２から前記固定部Ｐ３に搬送されるまでの時間とを異ならせて、シート搬送方向に直交する方向に対する傾斜角度が０〜３０度の第１糸状弾性体７Ａと、該傾斜角度が第１糸状弾性体より大きい第２糸状弾性体７Ｂとを備えた伸縮性シート３Ａを得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、伸縮性シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
資材をできる限り省き、廃棄物をできる限り抑え、環境に優しく、コストを抑えるという観点から、ファスニングテープを備えたウエストパネル材を別工程で製造しておき、吸収体を含む長方形状の吸収性本体にこのウエストパネル材を付加して製造される展開型の使い捨ておむつが知られている。ウエストパネル材は、装着性の観点から、伸縮性の部材であることが好ましく、ウエストパネル材としては、一般的に伸縮性のフィルムを用いて形成されたものが用いられる。しかし、伸縮性のフィルムはコストがかかるため、汎用の弾性部材である所謂糸ゴムを用いてウエストパネル材を形成することが好ましい。但し、糸ゴムを用いてウエストパネル材を得る工程と、そのウエストパネル材を吸収性本体に付加して展開型の使い捨ておむつを得る工程とを一連の流れで連続して行う場合、糸ゴムを用いて形成したウエストパネル材の伸縮方向は、一般的に吸収性本体の搬送方向と同方向となり、展開型の使い捨ておむつの着用時に求められるウエストパネル材の伸縮方向と直交する方向となる。従って、糸ゴムを用いて形成したウエストパネル材をインライン工程で吸収性本体に付加して展開型の使い捨ておむつを製造する場合、糸ゴムを用いて形成したウエストパネル材を９０度反転させて吸収性本体に付加する必要がある。このようにウエストパネル材を９０度反転させる装置が別途必要となるため、設備投資の増大を招いてしまう。
【０００３】
上述のような９０度反転させる装置を使用しない方法として、例えば、特許文献１，特許文献２には、長さ方向に走行中の透水性シートに接着剤を塗布し、該接着剤塗布面に、テンションの与えられた糸状弾性体を、走行するシートのシート面に沿って且つシート走行方向に向けてジグザグ状態で平行移動させ、該糸状弾性体を伸張させた状態でシートに接着する工程と、前記糸状弾性体を両端で切断する工程とを行う伸縮性シートの製造方法が記載されている。また、特許文献１には、ジグザグ状態の糸状弾性体を、平行に配置し直す方法も記載されている。
【０００４】
しかし、特許文献１，２で得られる伸縮性シートは、糸状弾性体が伸縮性シートの幅方向に対する傾斜角度を一定にしてジグザグ状態に配置されていたり、互いに平行に配置されているものであり、収縮応力が略一定の方向にしか作用しない。
これに対して、弾性体巻回手段を用いて糸状弾性体を、シートの搬送方向と直交する方向に離間した一対の搬送ベルトに巻回して、該糸状弾性体を、該シートの搬送方向と交差する方向に固定する技術を用いて、伸縮性シートの幅方向に対する傾斜角度が異なる複数の態様で糸状弾性体を固定できれば、該伸縮性シートをウエストパネルの形成材に用いることにより、配向方向が異なる糸状弾性体に応じた複数の機能を有するウエストパネルを備えた高性能の使い捨ておむつを得ることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開昭６３−２４３３０９号公報
【特許文献２】特開２０１０−２２５８８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
したがって、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る伸縮性シートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、一対の帯状シートの間に糸状弾性体を該帯状シートの搬送方向と交差する方向に伸長した状態に固定した伸縮性シートを連続的に製造する伸縮性シートの製造方法であって、弾性体巻回手段を用いて糸状弾性体を、シートの搬送方向と直交する方向に離間した一対の搬送ベルトに巻回し、巻回した該糸状弾性体を、一対の該搬送ベルトにより搬送した後、前記帯状シート間に挟んで固定する工程を備えており、前記糸状弾性体における一方の前記搬送ベルトに接触した部分が、該一方の搬送ベルトに最初に接触した場所から前記帯状シートに対する固定部に搬送されるまでの時間と、該糸状弾性体における他方の前記搬送ベルトに接触した部分が、該他方の搬送ベルトに最初に接触した場所から前記帯状シートに対する固定部に搬送されるまでの時間とを異ならせることにより、シートの搬送方向に直交する方向に対する傾斜角度が０〜３０度の第１糸状弾性体と、該傾斜角度が第１糸状弾性体より大きい第２糸状弾性体とを備えた伸縮性シートを得る、伸縮性シートの製造方法を提供するものである。
【０００８】
また、本発明は、吸収性本体と、該吸収性本体の長手方向の左右両側に連設された左右のウエストパネルを有する使い捨ておむつの製造方法であって、前記の伸縮性シートの製造方法により伸縮性シートを製造する工程、及び該伸縮性シートを、前記ウエストパネルの形成材に用いて前記使い捨ておむつを製造する工程を具備する、使い捨ておむつの製造方法を提供するものである。
【０００９】
また、本発明は、２枚のシートの間に、複数の糸状弾性体が伸長した状態で固定された伸縮性シートであって、前記糸状弾性体として、前記シートの１辺と直交する方向に対する傾斜角度が０〜３０度で固定されている第１糸状弾性体と、該傾斜角度が第１糸状弾性体より大きい第２糸状弾性体とを、前記１辺と沿う方向に交互に備えた伸縮性シートを提供するものである。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の伸縮性シートの製造方法によれば、弾性体巻回手段を用いて糸状弾性体を、シートの搬送方向と直交する方向に離間した一対の搬送ベルトに巻回して、該糸状弾性体を、該シートの搬送方向と交差する方向に固定する技術を用いて、該糸状弾性体を、シートの搬送方向に直交する方向に対する傾斜角度が異なる複数の態様で固定することができ、複数方向に対して良好な伸縮性を示す伸縮性シートを、比較的簡易な設備により連続して効率よく製造することができる。
また、本発明の伸縮性シートによれば、複数方向に対して良好な伸縮性を示し、例えば、使い捨ておむつのウエストバンド形成材等として用いることにより、フィット性に優れたおむつ等を得られる。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】図１は、本発明の一実施態様により得られるウエストパネル材及び展開型使い捨ておむつを示す平面図である。
【図２】図２は、本発明の一実施態様の製造方法の実施に好適に用いられる伸縮性シートの製造装置を示す斜視図である。
【図３】図３は、図２に示す装置の回転ドラム（弾性体巻回手段）より上流側の構成を示す斜視図である。
【図４】図４は、図２に示す装置の糸状弾性体の搬送部を上方から見た模式図である。
【図５】図５は、本発明の一実施態様で製造する伸縮性シートを示す模式平面図である。
【図６】図６は、第２実施態様に用いた装置の図４相当図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、本発明の伸縮性シートの製造方法を、その好ましい実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
本実施態様で製造する伸縮性シートは、図１に示すように、例えば、展開型の使い捨ておむつ１のウエストパネル３に用いられる。従って、先ず、本実施態様により製造される伸縮性シートをウエストパネルに用いた展開型の使い捨ておむつ１について説明する。
【００１３】
展開型の使い捨ておむつ１（以下、「おむつ１」ともいう。）は、図１に示すように、装着時に装着者の腹側に位置する腹側部Ａ、背側に位置する背側部Ｂ、及び腹側部Ａと背側部Ｂとの間に位置する股下部Ｃを有する吸収性本体２と、背側部Ｂの左右両外方に連設された左右一対のウエストパネル３，３とを有する。おむつ１は、図１に示すように、腹側部Ａの左右両外方に連設された左右一対のパネル材４，４を有している。尚、おむつ１の吸収性本体２は、図１に示すように、平面状に拡げた状態において、長方形状である。また、おむつ１のパネル材４は、図１に示すように、平面状に拡げた状態において、台形状であり、長さの長い下底側が、接着剤や融着等の手段により吸収性本体２に固定されている。
以下の説明では、吸収性本体２の長手方向（おむつ１の長手方向でもある）をＹ方向、吸収性本体２の幅方向（おむつ１の幅方向でもある）をＸ方向として説明する。
【００１４】
一対のウエストパネル３，３それぞれは、平面状に拡げた状態において、矩形状である。各ウエストパネル３は、２枚のシート５，６と、２枚のシート５，６の間に伸長した状態で配された複数本の糸状弾性体７とを有している。各ウエストパネル３は、糸状弾性体７を、接着剤や融着等の手段により一体的に固定して形成されている。各ウエストパネル３は、一対のシート５，６の間に糸状弾性体７をＹ方向と交差する方向に伸長した状態で固定された伸縮性シートからなる。具体的には、各ウエストパネル３においては、図１に示すように、同形同大の矩形状の２枚のシート５，６の間に、糸状弾性体７として、第１糸状弾性体７Ａと第２糸状弾性体７Ｂとが固定されている。第１糸状弾性体７Ａと第２糸状弾性体７Ｂとは、Ｘ方向に対する傾斜角度が異なり、また、Ｙ方向に交互に配されている。ウエストパネル３において、Ｙ方向を矩形状のシート５，６の１辺に沿う方向とし、Ｘ方向を当該１辺に直交する方向とする。
【００１５】
本おむつ１においては、第１糸状弾性体７Ａは、Ｘ方向に延びており、第１糸状弾性体７ＡのＸ方向に対する傾斜角度θは０度である。他方、第２糸状弾性体７Ｂは、Ｘ方向に対して傾斜した方向に延びており、第２糸状弾性体７ＢのＸ方向に対する傾斜角度θは２０度程度である。図１中の直線ＬＸは、Ｘ方向と平行な直線である。
なお、本おむつ１において、ウエストパネル３を構成する伸縮性シートは、製造時におけるシートの搬送方向ｙがＹ方向と平行となり、製造時におけるシートの搬送方向に直交する方向ｘがＸ方向と一致するように固定されている。そのため、ウエストパネル３に用いた伸縮性シートのＸ方向に対する第１糸状弾性体７Ａの傾斜角度θは、その伸縮性シートの搬送方向に直交する方向ｘに対する第１糸状弾性体７Ａの傾斜角度と一致し、ウエストパネル３に用いた伸縮性シートのＸ方向に対する第２糸状弾性体７Ｂの傾斜角度θは、その伸縮性シートの搬送方向に直交する方向ｘに対する第２糸状弾性体７Ｂの傾斜角度と一致している。
【００１６】
なお、図１に示すおむつ１において、図中の左側のウエストパネル３と右側のウエストパネル３とでは、第２糸状弾性体７Ｂの傾斜方向が左右対称の逆向きとなっているが、両糸状弾性体の、伸縮性シートの搬送方向に直交する方向ｘに対する傾斜角度θは同じと考える。また、図１においては、第１糸状弾性体７Ａの前記傾斜角度θは０度であるため、第２糸状弾性体７Ｂの傾斜角度θのみ図示している。
【００１７】
このように形成された矩形状のウエストパネル３には、そのＸ方向外方側の端部にファスニングテープ８が接着剤や融着等の手段により固定されている。また、矩形状のウエストパネル３は、そのＸ方向内方側の端部が接着剤や融着等の手段により吸収性本体２の背側部Ｂに固定され、背側部ＢのＸ方向外方に連設されている。
【００１８】
吸収性本体２は、図１に示すように、液透過性の表面シート２１と、液不透過性又は撥水性の裏面シート２２と、これら両シート２１，２２間に介在された液保持性の吸収体２３とを有している。吸収性本体２は、図１に示すように、おむつ１の内面をなす表面シート２１と、おむつ１の外面をなす裏面シート２２とを、これら両シート２１，２２間に吸収体２３を介在させて接合することにより形成されている。また、吸収性本体２は、図１に示すように、Ｙ方向の両側部に沿って立体ガード形成用シート２４，２４を配設してなる。立体ガード形成用シート２４は、吸収性本体２のＹ方向両側部に沿って表面シート２１に固定されている。各立体ガード形成用シート２４は、Ｘ方向内方側の端縁近傍に沿って立体ガード形成用の弾性部材２５を有しており、着用時には、その弾性部材２５の収縮力により、該端縁から所定幅の部分が表面シート２１から離間して立体ガードを形成する。また、吸収性本体２の長手方向両側部の脚廻りに配される部分には、レッグギャザー形成用の弾性部材２６が配されている。着用時には、弾性部材２６の収縮によりレッグギャザーが形成され、脚廻りに対して良好にフィットする。
【００１９】
おむつ１の形成材料について説明する。
ウエストパネル３を構成するシート５，６及びパネル材４としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、シート５，６及びパネル材４としては、不織布、織物、フィルムまたはそれらの積層シート等を用いることができる。吸収性本体２を構成する表面シート２１、裏面シート２２としては、それぞれ、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート２１としては、親水性且つ液透過性の不織布等を用いることができ、裏面シート２２としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体２３としては、パルプ繊維等の繊維の集合体（不織布であっても良い）又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したもの等を用いることができる。立体ガードを構成する立体ガード形成用シート２４としては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。
【００２０】
糸状弾性体７及び立体ガードを構成する弾性部材２５としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料を用いることができる。本発明における糸状弾性体には、断面が円形、正方形状のものの他、楕円形、断面矩形等の細幅帯状のものも含まれ、マルチフィラメントタイプのものも用いることができる。糸状弾性部材の幅（又は径）は、例えば、０．１〜３ｍｍであり、好ましくは１ｍｍ以下である。ファスニングテープ８としては、例えば、不織布等のテープ基材の一方の面上にメカニカルファスナーのフック部材を熱融着や接着剤等により貼り付けてなるものを用いることができる。
【００２１】
次に、本発明の伸縮性シートの製造方法の好ましい実施態様を、上述したおむつ１のウエストパネル３（伸縮性シート）を製造する場合を例にとり図面を参照しながら説明する。
図２は、本実施態様のウエストパネル３（伸縮性シート）の製造方法に好適に用いられる製造装置を模式的に示したものである。
【００２２】
製造装置１１は、図２に示すように、ウエストパネル３に使用される伸縮性シート３Ａを連続的に製造する装置であり、シートの搬送方向（ｙ方向）と直交する方向（ｘ方向）に離間した一対の搬送ベルト１２，１３に、糸状弾性体７を連続的に巻回する弾性体巻回用の回転アーム（弾性体巻回手段）１４を備えている。また、製造装置１１は、図２及び図３に示すように、糸状弾性体７を連続して繰り出し、回転アーム１４に糸状弾性体７を伸長状態で導入する弾性体供給手段１５と、前述の一対の搬送ベルト１２，１３により糸状弾性体７を一対の帯状シート５０，６０の間に搬送する搬送手段１６と、一対のニップローラー１７１，１７２を用いて一対の帯状シート５０，６０の間に伸長状態の糸状弾性体７を固定する一体化手段１７と、帯状シート５０，６０の幅方向両端部それぞれから延出している糸状弾性体７を切断する切断手段１８とを備えている。
本実施態様においては、一対の搬送ベルト１２，１３が、本発明における一対の糸搬送用長手構造体であり、該糸搬送用長手構造体の長手方向は、両搬送ベルト１２，１３の延設方向（ｙ方向）である。
【００２３】
シートの搬送方向は、一対の搬送ベルト１２，１３に巻回された糸状弾性体７の搬送方向又はその糸状弾性体７と一体化されたシート（帯状シート５０及び／又は６０）の搬送方向である。
図２中矢印のｙ方向は、シートの搬送方向であり、糸状弾性体７や一対の帯状シート５０，６０の搬送方向を示し、最終的に本実施態様により製造されるウエストパネル３（伸縮性シート）の搬送方向及び該ウエストパネル３（伸縮性シート）を取り付けたおむつ１の連続体の搬送方向とも同じ方向である。また、図２中矢印のｘ方向は、帯状シート５０，６０の幅方向であり、シートの搬送方向と直交する方向である。また、図２中矢印のｚ方向は、後述する一対のニップローラー１７１，１７２どうしが対向する方向である。
【００２４】
搬送手段１６の搬送ベルト１２は、図２に示すように、無端状の回転ベルトである。搬送ベルト１２は、回転軸方向がｚ方向に配されたプーリー１２１，１２２間に架け渡されている。プーリー１２１は、一対の帯状シート５０，６０の間に伸長状態の糸状弾性体７を固定する一対のニップローラー１７１，１７２の下流側に位置し、プーリー１２２は、ニップローラー１７１，１７２の上流側に位置している。また、プーリー１２２は、帯状シート５０，６０のｘ方向端部よりもｘ方向外方に位置している。プーリー１２１には、その駆動部にサーボモーター（不図示）が連設されており、搬送ベルト１２の回転速度を変更することができる。
【００２５】
搬送手段１６の搬送ベルト１３は、図２に示すように、搬送ベルト１２と同様に、無端状の回転ベルトである。搬送ベルト１３は、回転軸方向がｚ方向に配されたプーリー１３１，１３２間に架け渡されている。プーリー１３１は、一対のニップローラー１７１，１７２の下流側に位置し、プーリー１３２は、ニップローラー１７１，１７２の上流側に位置している。また、プーリー１３２は、帯状シート５０，６０のｘ方向端部よりもｘ方向外方に位置している。プーリー１３１は、その駆動部にサーボモーター（不図示）が連設されており、搬送ベルト１３の回転速度を変更することができる。
【００２６】
図２に示すように、上述のように配されたプーリー１２１及び１２２に架け渡されることにより搬送ベルト１２は、一対のニップローラー１７１，１７２の上流側から下流側に亘って配される。また、上述のように配されたプーリー１３１及び１３２に架け渡されることにより搬送ベルト１３は、一対のニップローラー１７１，１７２の上流側から下流側に亘って配される。更に、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３は、帯状シート５０，６０のｘ方向外方に位置し、互いに左右対称に配されている。搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３は、それぞれの外周側がｙ方向に移動するように回転する。搬送ベルト１２，１３に巻回された糸状弾性体７は、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３それぞれの外周側の移動により搬送されるようになっており、それぞれの外周側の移動速度が、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３それぞれの送り速度である。
搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３は、何れもタイミングベルトであることが好ましい。搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の回転速度ないし送り速度、即ち、プーリー１２１及びプーリー１３１それぞれの駆動部に配されたサーボモーター（不図示）の回転速度は、製造装置１１の備える制御部（不図示）により、制御されている。
【００２７】
回転アーム１４は、図２に示すように、軸部１４２、周回部１４３及び連結部１４４を有するアーム部１４１と、軸部１４２の中心線を回転軸として、アーム部１４１を回転させる駆動機構１４７とを備えている。連結部１４４は、軸部１４２及び周回部１４３のそれぞれに対して角度をなして結合しており、周回部１４３と軸部１４２とは略平行となっている。軸部１４２は、その一端に糸状弾性体７の導入口１４５を有し、周回部１４３は、その一端に、糸状弾性体７の導出口１４６を有しており、導入口１４５から導入された糸状弾性体７が、軸部１４２、連結部１４４及び周回部１４３を通って導出口１４６からスムーズに導出される。アーム部１４１の屈曲部や導出口１４６等には、糸状弾性体７との間の摩擦を低減し得る各種公知の部材（従動ロールや低摩擦部材等）を配置することもできる。
【００２８】
周回部１４３は、導出口１４６の位置が、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の上流側の端部より下流側に配されている。回転アーム１４は、その駆動部（軸部１４２）にサーボモーター１４８が取り付けられており、該サーボモーター１４８の回転により、周回部１４３が、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の外周を周回する。導出口１４６が回転する軌跡の直径は、一対の搬送ベルト１２，１３の外面間の距離より大きい。
このような回転アーム１４により、取り込んだ糸状弾性体７を、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の上流側の端部であって且つそれぞれの外周側に連続的に巻回することができる。回転アーム１４の回転速度、即ち、サーボモーター１４８の回転速度は、製造装置１１の備える制御部（不図示）により、制御されている。
【００２９】
弾性体供給手段１５は、図３に示すように、糸状弾性体７を巻き付けたボビン７０の下流側に位置して糸状弾性体７にブレーキによりテンションをかけるテンサー１５１と、テンサー１５１の下流側に位置してボビン７０から糸状弾性体７を繰り出す繰り出しローラー１５２と、繰り出しローラー１５２の下流側に位置してテンションを測定するためのテンション測定器１５３とを備えている。繰り出しローラー１５２は、その回転軸方向がｘ方向に配されている。繰り出しローラー１５２には、その駆動部にサーボモーター（不図示）が取り付けられている。繰り出しローラー１５２は、その外周に糸状弾性体７が２回巻き付けられて使用される。製造装置１１の備える制御部（不図示）により、テンション測定器１５３による検出出力に基づき、サーボモーター（不図示）の回転速度、即ち繰り出しローラー１５２の回転速度を制御し、所定のテンションで糸状弾性体７をボビン７０から巻き出すことができる。
【００３０】
弾性体供給手段１５は、図３に示すように、繰り出しローラー１５２の下流側に位置するフィードローラー１５６を備えている。フィードローラー１５６は、回転アーム１４と繰り出しローラー１５２との間に配され、その回転軸方向がｘ方向に配されている。フィードローラー１５６は、その駆動部にサーボモーター（不図示）が取り付けられている。サーボモーター（不図示）の回転速度、即ちフィードローラー１５６の回転速度は、製造装置１１の備える制御部（不図示）により、制御されている。
【００３１】
一体化手段１７は、図２，図４に示すように、一対のニップローラー１７１，１７２を備えている。一対のニップローラー１７１，１７２としては、金属製の円筒形のローラーや、低硬度シリコンゴム製の円筒形のローラーを用いることができる。一対のニップローラー１７１，１７２は、何れか一方の駆動部にサーボモーター（不図示）が取り付けられており、製造装置１１が備える制御部（不図示）により回転速度が制御されている。一対のニップローラー１７１，１７２それぞれの回転軸には駆動伝達用のギヤが取り付けられている。この駆動手段（不図示）により、伸縮性シートの生産速度に基づき、サーボモーター（不図示）の回転速度、即ち一方のニップローラー１７１，１７２の回転速度をコントロールすることができる。その際、駆動伝達用のギヤが噛み合うことによって、他方のニップローラー１７２，１７１にも駆動力が伝達され、一対のニップローラー１７１，１７２を回転させることができる。一対のニップローラー１７１，１７２の軸受け部分は、一対の帯状シート５０，６０の間に伸長状態の糸状弾性体を確実に固定する為に、油圧、空圧、バネ等の力を利用して、それぞれの軸受け部分が加圧されている。
【００３２】
一対のニップローラー１７１，１７２は、図２に示すように、搬送ベルト１２の内周側と搬送ベルト１３の内周側との間に位置している。
【００３３】
切断手段１８は、図２に示すように、搬送されてくる糸状弾性体７が当たる部分が先鋭な切断刃となされたカッター１８０を備えている（搬送ベルト１３側のカッター１８０は図示略）。カッター１８０は、支持体（不図示）により、糸状弾性体７が当たる位置に配置されており、糸状弾性体７が、搬送ベルト１２，１３により搬送されてカッター１８０に押しつけられることにより切断される。切断手段１８は、ｙ方向においては、一対のニップローラー１７１，１７２と、搬送ベルト１２のプーリー１２１及び搬送ベルト１３のプーリー１３１との間に位置している。切断手段１８により糸状弾性体７を切断するｘ方向の位置は、ニップローラー１７１，１７２と搬送ベルト１２，１３との間であっても良いし、搬送ベルト１２，１３それぞれの内周部と外周部との間であっても良いし、搬送ベルト１２，１３それぞれの外周部の外側であっても良い。また、切断手段１８としては、糸状弾性体７を切断し得る各種公知のものを特に制限なく使用することができ、例えば、外周面に周方向に亘る切断刃を備えたカッターローラーと該切断刃を受けるアンビルローラーとを備えたローラーカッター等を用いることもできる。また、レーザーや熱等により切断してもよい。
【００３４】
次に、上述した製造装置１１を用いて伸縮性シートを製造する方法について説明する。
【００３５】
先ず、図３に示すように、糸状弾性体７を連続して繰り出し、繰り出された糸状弾性体７を伸長状態で弾性体巻回手段としての回転アーム１４に導入する。
詳述すると、繰り出しローラー１５２を用いて、糸状弾性体７を巻き付けたボビン７０から糸状弾性体７を連続して引き出す。本実施態様では、ボビン７０は、回転しないものであるが、回転するものであっても良い。引き出す際には、テンション測定器１５３による糸状弾性体７のテンションの検出出力に基づき、製造装置１１の備える制御部（不図示）によって、巻き出しローラー１５２の回転速度やテンサー１５１のブレーキを調整し、所定のテンション（所定の伸長倍率）でボビン７０から糸状弾性体７を引き出す。
【００３６】
テンションを調整した製造された伸縮性シート中の糸状弾性体の伸長倍率の好ましい範囲は、１．５〜４．０倍であり、より好ましくは１．８〜３．５倍、更に好ましくは２．０〜３．０倍である。
伸長倍率は下記の式で求められる。
伸長倍率＝（伸ばされた糸状弾性体の長さ）÷（伸ばされていない糸状弾性体の長さ（糸状弾性体の自然長さ））
【００３７】
そして、その糸状弾性体７を回転アーム１４に導入するのであるが、導入する際には、前述したフィードローラー１５６により、回転アーム１４（弾性体巻回手段）に導入する糸状弾性体７の速度を一定の速度に調整して導入する。導入速度は、一対の搬送ベルト１２，１３に巻回させる巻回速度に応じた速度とする。
【００３８】
そして、図２，図４に示すように、回転アーム１４を用いて伸長状態の糸状弾性体７を一対の搬送ベルト１２，１３に連続的に巻回し、一対の搬送ベルト１２，１３を用いて、その糸状弾性体７を、一対の帯状シート５０，６０の間に搬送する。詳述すると、伸長状態で回転アーム１４内に供給された糸状弾性体７は、導入口１４５から、アーム部１４１内に導入され、軸部１４２、連結部１４４及び周回部１４３内を通って、導出口１４６から導出される。導出口１４６から導出される糸状弾性体７は、回転アーム１４が回転しながら導出されることによって、搬送ベルト１２の上流側の端部における外周側及び搬送ベルト１３の上流側の端部における外周側に巻回する。ここで、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の回転走行により、搬送ベルト１２の外周側及び搬送ベルト１３の外周側に糸状弾性体７を連続的に螺旋状に巻きかけられる。この連続的に巻きかけられた糸状弾性体７を下流側の一対の帯状シート５０，６０の間に搬送する。
【００３９】
本実施態様においては、一対の搬送ベルト１２，１３に巻回した糸状弾性体７を、それらの搬送ベルト１２，１３により、帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３まで搬送する際に、図４に示すように、糸状弾性体７における一方の搬送ベルト１２に接触した部分７１が、該一方の搬送ベルトに最初に接触した場所Ｐ１から帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３に搬送されるまでの時間（Ｔ１）と、該糸状弾性体７における他方の搬送ベルト１３に接触した部分７２が、該他方の搬送ベルト１３に最初に接触した場所Ｐ２から帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３に搬送されるまでの時間（Ｔ２）とを異ならせている。
具体的には、前記時間Ｔ２を前記時間Ｔ１よりも短くしており、その手段として、一方の搬送ベルト１２の送り速度Ｖ１よりも、他方の搬送ベルト１３の送り速度Ｖ２を速くしている（Ｖ２＞Ｖ１）。
【００４０】
そして、それにより、回転ドラム４の近傍においては、シートの搬送方向ｙに直交するｘ方向に対する傾斜角度がほぼ等しかった、糸状弾性体７の上側配置部分７ａと下側配置部分７ｂの該傾斜角度を、搬送中に徐徐に変化させている。より具体的には、帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３に到達したときには、糸状弾性体７の上側配置部分７ａについては、シートの搬送方向に直交するｘ方向と平行となり、糸状弾性体７の下側配置部分７ｂについては、該ｘ方向に対する傾斜角度が、回転ドラム４の近傍における同傾斜角度に比して増大（例えば２倍）するようにしている。
【００４１】
糸状弾性体７の上側配置部分７ａは、一対の搬送ベルト１２，１３に巻回された糸状弾性体７の部分のうち、搬送ベルト１２，１３の上側に配された部分であり、下側配置部分７ｂは、一対の搬送ベルト１２，１３の下側に配された部分である。また、帯状シートに対する固定部Ｐ３は、シートの搬送方向（ｙ方向）において、糸状弾性体７が、少なくとも一方の帯状シートに最初に固定される部位である。本実施態様においては、糸状弾性体７の搬送方向（ｙ方向）における同位置において、帯状シート５０，６０が合流しており、ニップローラー１７１，１７２どうし間でそれらの積層体が加圧されることにより、糸状弾性体７が、帯状シート５０，６０の両者に固定されるため、ニップローラー１７１，１７２どうし間で、前記の積層体を加圧する部位が、帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３である。
【００４２】
本実施態様の方法によれば、一方の搬送ベルト１２の送り速度Ｖ１と他方の搬送ベルト１３の送り速度Ｖ２とに速度差を設けるだけで、一対の帯状シート５０，６０間に、糸状弾性体７が、複数の傾斜状態で固定された伸縮性シート３Ａを得ることができる。
本発明で製造する伸縮性シート３Ａ（３）は、図１に示すように、シートの搬送方向に直交する方向（ｘ方向）に対する傾斜角度０〜３０度の第１糸状弾性体７Ａと、同傾斜角度が第１糸状弾性体７Ａより大きい第２糸状弾性体７Ｂとを備えた伸縮性シートである。
このような伸縮性シートは、例えば、図１に示すように、その長手方向（製造時の搬送方向ｙ）を、おむつ１の吸収性本体の長手方向Ｙと一致させてウエストバンド３の形成材として用いることにより、第１糸状弾性体７Ａにより得られる、おむつ幅方向（Ｘ方向）の伸縮性により装着時の操作性及びフィット性に優れると共に、第２糸状弾性体７Ｂにより得られる、おむつ長手方向及び幅方向の両方向に対して傾斜した方向の伸縮性によりフィット性に優れるおむつ１を得ることができる。
【００４３】
また、本実施形態のように、糸状弾性体７を回転アーム１４に導入する速度を一定に調整する場合には、シート搬送方向と直交するｘ方向に対する傾斜角度が第１糸状弾性体７Ａよりも第２糸状弾性体７Ｂの方が大きいため、第１糸状弾性体７Ａのテンションよりも第２糸状弾性体７Ｂのテンションの方が高い状態で帯状シート５０，６０と一体化される。よっておむつ１は、おむつ幅方向の伸縮力よりも長手方向及び幅方向に対して傾斜した方向の伸縮力の方が大きく、これにより幅方向のみに伸縮力を有する場合よりも高いフィット性を有する。
【００４４】
複数の方向に対して良好な伸縮性を有する伸縮性シートやそれを用いた各種の物品（ウエストバンドを備えたおむつ等）を得る観点から、第１糸状弾性体７Ａは、シートの搬送方向に直交する方向（ｘ方向）に対する傾斜角度が０〜３０度であることが好ましく、より好ましくは０〜１５度である。他方、第２糸状弾性体７Ｂは、シートの搬送方向に直交する方向（ｘ方向）に対する傾斜角度が、９０度未満であり且つ第１糸状弾性体７Ａの前記傾斜角度よりも大きいことを前提として、０〜９０度であることが好ましく、より好ましくは０〜４５度である。また、第２糸状弾性体７Ｂは、シートの搬送方向に直交する方向（ｘ方向）に対する傾斜角度が、第１糸状弾性体７Ａの対応する傾斜角度よりも、５度以上大きいことが好ましく、１０〜４５度大きいことがより好ましい。
【００４５】
一方の搬送ベルト１２の送り速度Ｖ１と他方の搬送ベルト１３の送り速度Ｖ２の比は、第１糸状弾性体７Ａ及び第２糸状弾性体７Ｂが所望の傾斜角度となるように適宜に設定すれば良い。一方の搬送ベルト１２の送り速度Ｖ１に対する他方の搬送ベルト１３の送り速度Ｖ２の比（Ｖ２／Ｖ１）は、例えば、１〜２とすることができ、１〜１．５とすることがより好ましい。
【００４６】
本実施態様においては、図２に示すように、帯状シート５０は、予め、セーラー（不図示）等により、ｘ方向の両端部それぞれが外面側に折られており、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の上段側から一対のニップローラー１７１，１７２の間に供給されている。また、図２に示すように、帯状シート６０は、予め、セーラー（不図示）等により、ｘ方向の両端部それぞれが外面側に折られており、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の下段側から一対のニップローラー１７１，１７２の間に供給されている。尚、帯状シート５０及び／又は帯状シート６０は、一対のニップローラー１７１，１７２の間に供給される前に、その内面側に接着剤が塗布されている。接着剤はストライプ状、スパイラル状、サイン波形状等に塗布されていてもよいし、全面にスプレーしたりベタ状に塗布されていてもよい。
【００４７】
そして、ニップローラー１７１，１７２を用いて、一対の帯状シート５０，６０及びその間に挟まれた糸状弾性体７を加圧することで、これらが一体化される。詳述すると、連続的に巻きかけられた糸状弾性体７が一対の帯状シート５０，６０の間に配された連続体を、一対のニップローラー１７１，１７２間に供給し、一対の帯状シート５０，６０の間に糸状弾性体７を伸長状態で固定する。
【００４８】
次いで、一対の帯状シート５０，６０の幅方向（ｘ方向）両端部それぞれから延出している糸状弾性体７を前述したカッター１８０で切断する。
【００４９】
次いで、図５に示すように、外面側に折られた帯状シート５０，６０それぞれのｘ方向の両端部を、セーラー（不図示）等により、折り直し、一対の帯状シート５０，６０の間に糸状弾性体７をｙ方向と交差する方向に伸長した状態に固定した帯状の伸縮性シート３Ａを連続的に製造することができる。この製造された帯状の伸縮性シートを、公知の切断手段（図示せず）により、間欠的にｘ方向に亘って切断する。間欠的に切断する間隔は、おむつ１の備えるウエストパネル３の寸法と同じである。これにより、ウエストパネル３（伸縮性シート）を連続的に製造することができる。
【００５０】
ウエストパネル３を備えるおむつ１の製造方法としては、公知の方法により、表面シート２１の連続体、裏面シート２２の連続体、及び両シート２１，２２の連続体間に、搬送方向（ｙ方向）に間欠的に複数個の吸収体２３，２３・・・を配し、表面シート２１の連続体の搬送方向（ｙ方向）の両側部に伸張した複数本の弾性部材２５及び立体ガード形成用シート２４の連続体を配した吸収性本体２の連続体を別工程で製造する。
この製造された吸収性本体２の連続体を、搬送方向（ｙ方向）に搬送しながら、ｘ方向両外方に突出するように一対のウエストパネル３を、吸収性本体２の連続体に含まれる吸収体３３毎に配したおむつ１の連続体を製造する。ここで、吸収性本体２の連続体の搬送方向（ｙ方向）と、ウエストパネル３（伸縮性シート）を製造する際の搬送方向（ｙ方向）は、同方向であり、ウエストパネル３（伸縮性シート）を９０°反転する必要はない。その後、その連続体を、公知の切断手段（図示せず）により、個々のおむつ１の寸法に切断して、おむつ１を製造することができる。
【００５１】
次に、本発明の第２実施態様について説明する。第２実施態様については、上述した実施態様と異なる点について主として説明し、同様の点については、同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、上述した実施態様と同一とすることができる。
【００５２】
第２実施態様においては、図６に示すように、一方の搬送ベルト１２の搬送経路に、シートの搬送方向と直交するｘ方向の外側に突出する屈曲部７５を設けて、一方の搬送ベルト１２の搬送経路と他方の搬送ベルト１３の搬送経路の長さを異ならせており、それによって、糸状弾性体７における一方の搬送ベルト１２に接触した部分７１が、該一方の搬送ベルトに最初に接触した場所Ｐ１から帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３に搬送されるまでの時間（Ｔ１）と、該糸状弾性体７における他方の搬送ベルト１３に接触した部分７２が、該他方の搬送ベルト１３に最初に接触した場所Ｐ２から帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３に搬送されるまでの時間（Ｔ２）とを異ならせている。
即ち、搬送ベルト１２の搬送経路に、糸状弾性体７における搬送ベルト１２に接触した部分７１が、該搬送ベルト１２に最初に接触した場所Ｐ１から帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３まで搬送するための搬送経路の長さを長くするための屈曲部７５を設けて、前記時間（Ｔ１）を前記時間（Ｔ２）より長くしている。屈曲部７５は、搬送ベルト１３の外周部を、３つの従動ガイドローラー７４によって、ｘ方向の外方に膨出させて形成されている。
他方、一方の搬送ベルト１２の送り速度Ｖ１と、他方の搬送ベルト１３の送り速度Ｖ２とは、同じ速度（Ｖ１＝Ｖ２）としてある。
【００５３】
ここで従動ガイドローラー７４は、搬送ベルト１２の搬送経路の長さをある程度変化できるように変動可能に設定されることが好ましい。例えば３つの従動ガイドローラー７４のうち真ん中のローラーのｘ方向位置を変動させたり、両端に位置する２つの従動ガイドローラーのｙ方向位置を変動させてもよい。このように従動ガイドローラー７４の位置を変動させることで前記時間（Ｔ１）を変更することができる。なお、位置変動の手段としては、シリンダ式、長穴式（従動ガイドローラー７４の固定箇所を緩めてスライドさせる）等を挙げることができる。
また、第２実施形態では屈曲部７５は搬送ベルト１２の搬送経路をｘ方向外側に突出させるが、ｘ方向内側に突出させるようにしてもよい。
なお、屈曲部７５の頂点（真ん中のガイドローラー７４と接する部分）に向かい搬送される糸状弾性体７が、搬送ベルト１２表面を滑らずに当該頂点を確実に乗り越えるための矯正プレートを設けることも好ましい。当該矯正プレートは、糸状弾性体７の搬送ピッチをずらさないための歯溝を有するロール様の円板等で構成でき、当該円板等に糸状弾性体７を係合して搬送する。
【００５４】
第２実施態様においても、回転ドラム４の近傍においては、シートの搬送方向に直交するｘ方向に対する傾斜角度がほぼ等しかった、糸状弾性体７の上側配置部分７ａと下側配置部分７ｂの該傾斜角度を、搬送中に徐徐に変化させ、帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３に到達したときには、糸状弾性体７の上側配置部分７ａについては、シートの搬送方向に直交するｘ方向と平行となり、糸状弾性体７の下側配置部分７ｂについては、該ｘ方向に対する傾斜角度が、回転ドラム４の近傍における同傾斜角度に比して増大（例えば２倍）するようにしている。
第２実施態様によっても、上述した実施態様と同様の伸縮性シート３Ａを得ることができ、それを用いて、図１に示すような、ウエストバンド３を備えたおむつ１等を効率よく製造することもできる。
【００５５】
本発明の伸縮性シートの製造方法及び使い捨ておむつの製造方法は、上述の実施態様に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、上記の時間（Ｔ１）と時間（Ｔ２）を異ならせる方法としては、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の回転速度や搬送経路の長さは変えずに、片方の搬送ベルト側のみに上述した矯正プレートを取り付けることにより機械的に搬送ピッチをずらす方法も挙げられる。
また上記の矯正プレートは一方の搬送ベルト側だけでなく、他側にも設けられる。例えば歯溝付円板の径又は歯溝の数を異ならせた２つの矯正プレートを、それぞれ搬送ベルト１２側及び搬送ベルト１３側に設けることにより、機械的に搬送ピッチをずらす方法も挙げられる。
また、搬送経路の長さを異ならせる場合には、搬送ベルト１２側及び搬送ベルト１３側の両方に従動ガイドローラー７４を有する屈曲部７５を設け、２つの屈曲部７５の大きさを異ならせることも可能である。また第２実施形態ではｘ方向に突出する屈曲部７５等によって搬送経路の長さを平面方向に変更していたが、垂直方向（ｚ方向）に変更することも可能である。
【００５６】
また、一方の搬送ベルトの送り速度と他方の搬送ベルトの送り速度とに速度差を設けると共に、一方の搬送ベルトの搬送経路に、第２実施形態のような屈曲部を設けても良い。
また、糸搬送用長手構造体として、特開２００２−１９２６４１号公報の図４〜６に記載されているスクリュー溝が設けられた糸支持部材を用いてもよい。
また、一対のニップロール１７０，１７１間に、幅方向両端部をそれぞれの外面側に折り返して細幅にした帯状シートを導入し、その帯状シート間に糸状弾性体を固定するのに代えて、一対のニップロール１７０，１７１間に、幅方向両端部が折り返していない帯状シートを導入し、その帯状シート間に糸状弾性体を固定しても良い。また、折り返す場合には、片側のシートの幅方向端部だけでもよく、一方の帯状シートの端部のみでもよい。
【００５７】
本発明の製造方法により製造される伸縮性シートは、使い捨ておむつ１のウエストパネル３以外に、展開型又はパンツ型の使い捨ておむつの胴回り部、パンツ型の生理用ナプキン、使い捨ての下着、使い捨てマスクの耳掛け部、お掃除用シート、包帯などにも使用することができる。
【符号の説明】
【００５８】
１ 展開型の使い捨ておむつ
２ 吸収性本体
２１ 表面シート
２２ 裏面シート
２３ 吸収体
２４ 立体ガード形成用シート
２５ 弾性部材
３ ウエストパネル
３Ａ ウエストパネルに使用される伸縮性シート
４ パネル材
５，６ シート
５０，６０ 帯状のシート
７ 糸状弾性体
７０ ボビン
８ ファスニングテープ
１１ 製造装置
１２ 搬送ベルト（糸搬送用長手構造体）
１２１，１２２ プーリー
１３ 搬送ベルト（糸搬送用長手構造体）
１３１，１３２ プーリー
１４ 回転アーム（弾性体巻回手段）
１４１，１４２，１４３ ガイド
１５ 供給手段
１７ 一体化手段
１７１，１７２ ニップローラー
１８ 切断手段
１８０ カッター
Ａ 腹側部，Ｂ 背側部，Ｃ 股下部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、伸縮性シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
資材をできる限り省き、廃棄物をできる限り抑え、環境に優しく、コストを抑えるという観点から、ファスニングテープを備えたウエストパネル材を別工程で製造しておき、吸収体を含む長方形状の吸収性本体にこのウエストパネル材を付加して製造される展開型の使い捨ておむつが知られている。ウエストパネル材は、装着性の観点から、伸縮性の部材であることが好ましく、ウエストパネル材としては、一般的に伸縮性のフィルムを用いて形成されたものが用いられる。しかし、伸縮性のフィルムはコストがかかるため、汎用の弾性部材である所謂糸ゴムを用いてウエストパネル材を形成することが好ましい。但し、糸ゴムを用いてウエストパネル材を得る工程と、そのウエストパネル材を吸収性本体に付加して展開型の使い捨ておむつを得る工程とを一連の流れで連続して行う場合、糸ゴムを用いて形成したウエストパネル材の伸縮方向は、一般的に吸収性本体の搬送方向と同方向となり、展開型の使い捨ておむつの着用時に求められるウエストパネル材の伸縮方向と直交する方向となる。従って、糸ゴムを用いて形成したウエストパネル材をインライン工程で吸収性本体に付加して展開型の使い捨ておむつを製造する場合、糸ゴムを用いて形成したウエストパネル材を９０度反転させて吸収性本体に付加する必要がある。このようにウエストパネル材を９０度反転させる装置が別途必要となるため、設備投資の増大を招いてしまう。
【０００３】
上述のような９０度反転させる装置を使用しない方法として、例えば、特許文献１，特許文献２には、長さ方向に走行中の透水性シートに接着剤を塗布し、該接着剤塗布面に、テンションの与えられた糸状弾性体を、走行するシートのシート面に沿って且つシート走行方向に向けてジグザグ状態で平行移動させ、該糸状弾性体を伸張させた状態でシートに接着する工程と、前記糸状弾性体を両端で切断する工程とを行う伸縮性シートの製造方法が記載されている。また、特許文献１には、ジグザグ状態の糸状弾性体を、平行に配置し直す方法も記載されている。
【０００４】
しかし、特許文献１，２で得られる伸縮性シートは、糸状弾性体が伸縮性シートの幅方向に対する傾斜角度を一定にしてジグザグ状態に配置されていたり、互いに平行に配置されているものであり、収縮応力が略一定の方向にしか作用しない。
これに対して、弾性体巻回手段を用いて糸状弾性体を、シートの搬送方向と直交する方向に離間した一対の搬送ベルトに巻回して、該糸状弾性体を、該シートの搬送方向と交差する方向に固定する技術を用いて、伸縮性シートの幅方向に対する傾斜角度が異なる複数の態様で糸状弾性体を固定できれば、該伸縮性シートをウエストパネルの形成材に用いることにより、配向方向が異なる糸状弾性体に応じた複数の機能を有するウエストパネルを備えた高性能の使い捨ておむつを得ることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開昭６３−２４３３０９号公報
【特許文献２】特開２０１０−２２５８８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
したがって、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る伸縮性シートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、一対の帯状シートの間に糸状弾性体を該帯状シートの搬送方向と交差する方向に伸長した状態に固定した伸縮性シートを連続的に製造する伸縮性シートの製造方法であって、弾性体巻回手段を用いて糸状弾性体を、シートの搬送方向と直交する方向に離間した一対の搬送ベルトに巻回し、巻回した該糸状弾性体を、一対の該搬送ベルトにより搬送した後、前記帯状シート間に挟んで固定する工程を備えており、前記糸状弾性体における一方の前記搬送ベルトに接触した部分が、該一方の搬送ベルトに最初に接触した場所から前記帯状シートに対する固定部に搬送されるまでの時間と、該糸状弾性体における他方の前記搬送ベルトに接触した部分が、該他方の搬送ベルトに最初に接触した場所から前記帯状シートに対する固定部に搬送されるまでの時間とを異ならせることにより、シートの搬送方向に直交する方向に対する傾斜角度が０〜３０度の第１糸状弾性体と、該傾斜角度が第１糸状弾性体より大きい第２糸状弾性体とを備えた伸縮性シートを得る、伸縮性シートの製造方法を提供するものである。
【０００８】
また、本発明は、吸収性本体と、該吸収性本体の長手方向の左右両側に連設された左右のウエストパネルを有する使い捨ておむつの製造方法であって、前記の伸縮性シートの製造方法により伸縮性シートを製造する工程、及び該伸縮性シートを、前記ウエストパネルの形成材に用いて前記使い捨ておむつを製造する工程を具備する、使い捨ておむつの製造方法を提供するものである。
【０００９】
また、本発明は、２枚のシートの間に、複数の糸状弾性体が伸長した状態で固定された伸縮性シートであって、前記糸状弾性体として、前記シートの１辺と直交する方向に対する傾斜角度が０〜３０度で固定されている第１糸状弾性体と、該傾斜角度が第１糸状弾性体より大きい第２糸状弾性体とを、前記１辺と沿う方向に交互に備えた伸縮性シートを提供するものである。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の伸縮性シートの製造方法によれば、弾性体巻回手段を用いて糸状弾性体を、シートの搬送方向と直交する方向に離間した一対の搬送ベルトに巻回して、該糸状弾性体を、該シートの搬送方向と交差する方向に固定する技術を用いて、該糸状弾性体を、シートの搬送方向に直交する方向に対する傾斜角度が異なる複数の態様で固定することができ、複数方向に対して良好な伸縮性を示す伸縮性シートを、比較的簡易な設備により連続して効率よく製造することができる。
また、本発明の伸縮性シートによれば、複数方向に対して良好な伸縮性を示し、例えば、使い捨ておむつのウエストバンド形成材等として用いることにより、フィット性に優れたおむつ等を得られる。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】図１は、本発明の一実施態様により得られるウエストパネル材及び展開型使い捨ておむつを示す平面図である。
【図２】図２は、本発明の一実施態様の製造方法の実施に好適に用いられる伸縮性シートの製造装置を示す斜視図である。
【図３】図３は、図２に示す装置の回転ドラム（弾性体巻回手段）より上流側の構成を示す斜視図である。
【図４】図４は、図２に示す装置の糸状弾性体の搬送部を上方から見た模式図である。
【図５】図５は、本発明の一実施態様で製造する伸縮性シートを示す模式平面図である。
【図６】図６は、第２実施態様に用いた装置の図４相当図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、本発明の伸縮性シートの製造方法を、その好ましい実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
本実施態様で製造する伸縮性シートは、図１に示すように、例えば、展開型の使い捨ておむつ１のウエストパネル３に用いられる。従って、先ず、本実施態様により製造される伸縮性シートをウエストパネルに用いた展開型の使い捨ておむつ１について説明する。
【００１３】
展開型の使い捨ておむつ１（以下、「おむつ１」ともいう。）は、図１に示すように、装着時に装着者の腹側に位置する腹側部Ａ、背側に位置する背側部Ｂ、及び腹側部Ａと背側部Ｂとの間に位置する股下部Ｃを有する吸収性本体２と、背側部Ｂの左右両外方に連設された左右一対のウエストパネル３，３とを有する。おむつ１は、図１に示すように、腹側部Ａの左右両外方に連設された左右一対のパネル材４，４を有している。尚、おむつ１の吸収性本体２は、図１に示すように、平面状に拡げた状態において、長方形状である。また、おむつ１のパネル材４は、図１に示すように、平面状に拡げた状態において、台形状であり、長さの長い下底側が、接着剤や融着等の手段により吸収性本体２に固定されている。
以下の説明では、吸収性本体２の長手方向（おむつ１の長手方向でもある）をＹ方向、吸収性本体２の幅方向（おむつ１の幅方向でもある）をＸ方向として説明する。
【００１４】
一対のウエストパネル３，３それぞれは、平面状に拡げた状態において、矩形状である。各ウエストパネル３は、２枚のシート５，６と、２枚のシート５，６の間に伸長した状態で配された複数本の糸状弾性体７とを有している。各ウエストパネル３は、糸状弾性体７を、接着剤や融着等の手段により一体的に固定して形成されている。各ウエストパネル３は、一対のシート５，６の間に糸状弾性体７をＹ方向と交差する方向に伸長した状態で固定された伸縮性シートからなる。具体的には、各ウエストパネル３においては、図１に示すように、同形同大の矩形状の２枚のシート５，６の間に、糸状弾性体７として、第１糸状弾性体７Ａと第２糸状弾性体７Ｂとが固定されている。第１糸状弾性体７Ａと第２糸状弾性体７Ｂとは、Ｘ方向に対する傾斜角度が異なり、また、Ｙ方向に交互に配されている。ウエストパネル３において、Ｙ方向を矩形状のシート５，６の１辺に沿う方向とし、Ｘ方向を当該１辺に直交する方向とする。
【００１５】
本おむつ１においては、第１糸状弾性体７Ａは、Ｘ方向に延びており、第１糸状弾性体７ＡのＸ方向に対する傾斜角度θは０度である。他方、第２糸状弾性体７Ｂは、Ｘ方向に対して傾斜した方向に延びており、第２糸状弾性体７ＢのＸ方向に対する傾斜角度θは２０度程度である。図１中の直線ＬＸは、Ｘ方向と平行な直線である。
なお、本おむつ１において、ウエストパネル３を構成する伸縮性シートは、製造時におけるシートの搬送方向ｙがＹ方向と平行となり、製造時におけるシートの搬送方向に直交する方向ｘがＸ方向と一致するように固定されている。そのため、ウエストパネル３に用いた伸縮性シートのＸ方向に対する第１糸状弾性体７Ａの傾斜角度θは、その伸縮性シートの搬送方向に直交する方向ｘに対する第１糸状弾性体７Ａの傾斜角度と一致し、ウエストパネル３に用いた伸縮性シートのＸ方向に対する第２糸状弾性体７Ｂの傾斜角度θは、その伸縮性シートの搬送方向に直交する方向ｘに対する第２糸状弾性体７Ｂの傾斜角度と一致している。
【００１６】
なお、図１に示すおむつ１において、図中の左側のウエストパネル３と右側のウエストパネル３とでは、第２糸状弾性体７Ｂの傾斜方向が左右対称の逆向きとなっているが、両糸状弾性体の、伸縮性シートの搬送方向に直交する方向ｘに対する傾斜角度θは同じと考える。また、図１においては、第１糸状弾性体７Ａの前記傾斜角度θは０度であるため、第２糸状弾性体７Ｂの傾斜角度θのみ図示している。
【００１７】
このように形成された矩形状のウエストパネル３には、そのＸ方向外方側の端部にファスニングテープ８が接着剤や融着等の手段により固定されている。また、矩形状のウエストパネル３は、そのＸ方向内方側の端部が接着剤や融着等の手段により吸収性本体２の背側部Ｂに固定され、背側部ＢのＸ方向外方に連設されている。
【００１８】
吸収性本体２は、図１に示すように、液透過性の表面シート２１と、液不透過性又は撥水性の裏面シート２２と、これら両シート２１，２２間に介在された液保持性の吸収体２３とを有している。吸収性本体２は、図１に示すように、おむつ１の内面をなす表面シート２１と、おむつ１の外面をなす裏面シート２２とを、これら両シート２１，２２間に吸収体２３を介在させて接合することにより形成されている。また、吸収性本体２は、図１に示すように、Ｙ方向の両側部に沿って立体ガード形成用シート２４，２４を配設してなる。立体ガード形成用シート２４は、吸収性本体２のＹ方向両側部に沿って表面シート２１に固定されている。各立体ガード形成用シート２４は、Ｘ方向内方側の端縁近傍に沿って立体ガード形成用の弾性部材２５を有しており、着用時には、その弾性部材２５の収縮力により、該端縁から所定幅の部分が表面シート２１から離間して立体ガードを形成する。また、吸収性本体２の長手方向両側部の脚廻りに配される部分には、レッグギャザー形成用の弾性部材２６が配されている。着用時には、弾性部材２６の収縮によりレッグギャザーが形成され、脚廻りに対して良好にフィットする。
【００１９】
おむつ１の形成材料について説明する。
ウエストパネル３を構成するシート５，６及びパネル材４としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、シート５，６及びパネル材４としては、不織布、織物、フィルムまたはそれらの積層シート等を用いることができる。吸収性本体２を構成する表面シート２１、裏面シート２２としては、それぞれ、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート２１としては、親水性且つ液透過性の不織布等を用いることができ、裏面シート２２としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体２３としては、パルプ繊維等の繊維の集合体（不織布であっても良い）又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したもの等を用いることができる。立体ガードを構成する立体ガード形成用シート２４としては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。
【００２０】
糸状弾性体７及び立体ガードを構成する弾性部材２５としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料を用いることができる。本発明における糸状弾性体には、断面が円形、正方形状のものの他、楕円形、断面矩形等の細幅帯状のものも含まれ、マルチフィラメントタイプのものも用いることができる。糸状弾性部材の幅（又は径）は、例えば、０．１〜３ｍｍであり、好ましくは１ｍｍ以下である。ファスニングテープ８としては、例えば、不織布等のテープ基材の一方の面上にメカニカルファスナーのフック部材を熱融着や接着剤等により貼り付けてなるものを用いることができる。
【００２１】
次に、本発明の伸縮性シートの製造方法の好ましい実施態様を、上述したおむつ１のウエストパネル３（伸縮性シート）を製造する場合を例にとり図面を参照しながら説明する。
図２は、本実施態様のウエストパネル３（伸縮性シート）の製造方法に好適に用いられる製造装置を模式的に示したものである。
【００２２】
製造装置１１は、図２に示すように、ウエストパネル３に使用される伸縮性シート３Ａを連続的に製造する装置であり、シートの搬送方向（ｙ方向）と直交する方向（ｘ方向）に離間した一対の搬送ベルト１２，１３に、糸状弾性体７を連続的に巻回する弾性体巻回用の回転アーム（弾性体巻回手段）１４を備えている。また、製造装置１１は、図２及び図３に示すように、糸状弾性体７を連続して繰り出し、回転アーム１４に糸状弾性体７を伸長状態で導入する弾性体供給手段１５と、前述の一対の搬送ベルト１２，１３により糸状弾性体７を一対の帯状シート５０，６０の間に搬送する搬送手段１６と、一対のニップローラー１７１，１７２を用いて一対の帯状シート５０，６０の間に伸長状態の糸状弾性体７を固定する一体化手段１７と、帯状シート５０，６０の幅方向両端部それぞれから延出している糸状弾性体７を切断する切断手段１８とを備えている。
本実施態様においては、一対の搬送ベルト１２，１３が、本発明における一対の糸搬送用長手構造体であり、該糸搬送用長手構造体の長手方向は、両搬送ベルト１２，１３の延設方向（ｙ方向）である。
【００２３】
シートの搬送方向は、一対の搬送ベルト１２，１３に巻回された糸状弾性体７の搬送方向又はその糸状弾性体７と一体化されたシート（帯状シート５０及び／又は６０）の搬送方向である。
図２中矢印のｙ方向は、シートの搬送方向であり、糸状弾性体７や一対の帯状シート５０，６０の搬送方向を示し、最終的に本実施態様により製造されるウエストパネル３（伸縮性シート）の搬送方向及び該ウエストパネル３（伸縮性シート）を取り付けたおむつ１の連続体の搬送方向とも同じ方向である。また、図２中矢印のｘ方向は、帯状シート５０，６０の幅方向であり、シートの搬送方向と直交する方向である。また、図２中矢印のｚ方向は、後述する一対のニップローラー１７１，１７２どうしが対向する方向である。
【００２４】
搬送手段１６の搬送ベルト１２は、図２に示すように、無端状の回転ベルトである。搬送ベルト１２は、回転軸方向がｚ方向に配されたプーリー１２１，１２２間に架け渡されている。プーリー１２１は、一対の帯状シート５０，６０の間に伸長状態の糸状弾性体７を固定する一対のニップローラー１７１，１７２の下流側に位置し、プーリー１２２は、ニップローラー１７１，１７２の上流側に位置している。また、プーリー１２２は、帯状シート５０，６０のｘ方向端部よりもｘ方向外方に位置している。プーリー１２１には、その駆動部にサーボモーター（不図示）が連設されており、搬送ベルト１２の回転速度を変更することができる。
【００２５】
搬送手段１６の搬送ベルト１３は、図２に示すように、搬送ベルト１２と同様に、無端状の回転ベルトである。搬送ベルト１３は、回転軸方向がｚ方向に配されたプーリー１３１，１３２間に架け渡されている。プーリー１３１は、一対のニップローラー１７１，１７２の下流側に位置し、プーリー１３２は、ニップローラー１７１，１７２の上流側に位置している。また、プーリー１３２は、帯状シート５０，６０のｘ方向端部よりもｘ方向外方に位置している。プーリー１３１は、その駆動部にサーボモーター（不図示）が連設されており、搬送ベルト１３の回転速度を変更することができる。
【００２６】
図２に示すように、上述のように配されたプーリー１２１及び１２２に架け渡されることにより搬送ベルト１２は、一対のニップローラー１７１，１７２の上流側から下流側に亘って配される。また、上述のように配されたプーリー１３１及び１３２に架け渡されることにより搬送ベルト１３は、一対のニップローラー１７１，１７２の上流側から下流側に亘って配される。更に、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３は、帯状シート５０，６０のｘ方向外方に位置し、互いに左右対称に配されている。搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３は、それぞれの外周側がｙ方向に移動するように回転する。搬送ベルト１２，１３に巻回された糸状弾性体７は、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３それぞれの外周側の移動により搬送されるようになっており、それぞれの外周側の移動速度が、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３それぞれの送り速度である。
搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３は、何れもタイミングベルトであることが好ましい。搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の回転速度ないし送り速度、即ち、プーリー１２１及びプーリー１３１それぞれの駆動部に配されたサーボモーター（不図示）の回転速度は、製造装置１１の備える制御部（不図示）により、制御されている。
【００２７】
回転アーム１４は、図２に示すように、軸部１４２、周回部１４３及び連結部１４４を有するアーム部１４１と、軸部１４２の中心線を回転軸として、アーム部１４１を回転させる駆動機構１４７とを備えている。連結部１４４は、軸部１４２及び周回部１４３のそれぞれに対して角度をなして結合しており、周回部１４３と軸部１４２とは略平行となっている。軸部１４２は、その一端に糸状弾性体７の導入口１４５を有し、周回部１４３は、その一端に、糸状弾性体７の導出口１４６を有しており、導入口１４５から導入された糸状弾性体７が、軸部１４２、連結部１４４及び周回部１４３を通って導出口１４６からスムーズに導出される。アーム部１４１の屈曲部や導出口１４６等には、糸状弾性体７との間の摩擦を低減し得る各種公知の部材（従動ロールや低摩擦部材等）を配置することもできる。
【００２８】
周回部１４３は、導出口１４６の位置が、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の上流側の端部より下流側に配されている。回転アーム１４は、その駆動部（軸部１４２）にサーボモーター１４８が取り付けられており、該サーボモーター１４８の回転により、周回部１４３が、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の外周を周回する。導出口１４６が回転する軌跡の直径は、一対の搬送ベルト１２，１３の外面間の距離より大きい。
このような回転アーム１４により、取り込んだ糸状弾性体７を、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の上流側の端部であって且つそれぞれの外周側に連続的に巻回することができる。回転アーム１４の回転速度、即ち、サーボモーター１４８の回転速度は、製造装置１１の備える制御部（不図示）により、制御されている。
【００２９】
弾性体供給手段１５は、図３に示すように、糸状弾性体７を巻き付けたボビン７０の下流側に位置して糸状弾性体７にブレーキによりテンションをかけるテンサー１５１と、テンサー１５１の下流側に位置してボビン７０から糸状弾性体７を繰り出す繰り出しローラー１５２と、繰り出しローラー１５２の下流側に位置してテンションを測定するためのテンション測定器１５３とを備えている。繰り出しローラー１５２は、その回転軸方向がｘ方向に配されている。繰り出しローラー１５２には、その駆動部にサーボモーター（不図示）が取り付けられている。繰り出しローラー１５２は、その外周に糸状弾性体７が２回巻き付けられて使用される。製造装置１１の備える制御部（不図示）により、テンション測定器１５３による検出出力に基づき、サーボモーター（不図示）の回転速度、即ち繰り出しローラー１５２の回転速度を制御し、所定のテンションで糸状弾性体７をボビン７０から巻き出すことができる。
【００３０】
弾性体供給手段１５は、図３に示すように、繰り出しローラー１５２の下流側に位置するフィードローラー１５６を備えている。フィードローラー１５６は、回転アーム１４と繰り出しローラー１５２との間に配され、その回転軸方向がｘ方向に配されている。フィードローラー１５６は、その駆動部にサーボモーター（不図示）が取り付けられている。サーボモーター（不図示）の回転速度、即ちフィードローラー１５６の回転速度は、製造装置１１の備える制御部（不図示）により、制御されている。
【００３１】
一体化手段１７は、図２，図４に示すように、一対のニップローラー１７１，１７２を備えている。一対のニップローラー１７１，１７２としては、金属製の円筒形のローラーや、低硬度シリコンゴム製の円筒形のローラーを用いることができる。一対のニップローラー１７１，１７２は、何れか一方の駆動部にサーボモーター（不図示）が取り付けられており、製造装置１１が備える制御部（不図示）により回転速度が制御されている。一対のニップローラー１７１，１７２それぞれの回転軸には駆動伝達用のギヤが取り付けられている。この駆動手段（不図示）により、伸縮性シートの生産速度に基づき、サーボモーター（不図示）の回転速度、即ち一方のニップローラー１７１，１７２の回転速度をコントロールすることができる。その際、駆動伝達用のギヤが噛み合うことによって、他方のニップローラー１７２，１７１にも駆動力が伝達され、一対のニップローラー１７１，１７２を回転させることができる。一対のニップローラー１７１，１７２の軸受け部分は、一対の帯状シート５０，６０の間に伸長状態の糸状弾性体を確実に固定する為に、油圧、空圧、バネ等の力を利用して、それぞれの軸受け部分が加圧されている。
【００３２】
一対のニップローラー１７１，１７２は、図２に示すように、搬送ベルト１２の内周側と搬送ベルト１３の内周側との間に位置している。
【００３３】
切断手段１８は、図２に示すように、搬送されてくる糸状弾性体７が当たる部分が先鋭な切断刃となされたカッター１８０を備えている（搬送ベルト１３側のカッター１８０は図示略）。カッター１８０は、支持体（不図示）により、糸状弾性体７が当たる位置に配置されており、糸状弾性体７が、搬送ベルト１２，１３により搬送されてカッター１８０に押しつけられることにより切断される。切断手段１８は、ｙ方向においては、一対のニップローラー１７１，１７２と、搬送ベルト１２のプーリー１２１及び搬送ベルト１３のプーリー１３１との間に位置している。切断手段１８により糸状弾性体７を切断するｘ方向の位置は、ニップローラー１７１，１７２と搬送ベルト１２，１３との間であっても良いし、搬送ベルト１２，１３それぞれの内周部と外周部との間であっても良いし、搬送ベルト１２，１３それぞれの外周部の外側であっても良い。また、切断手段１８としては、糸状弾性体７を切断し得る各種公知のものを特に制限なく使用することができ、例えば、外周面に周方向に亘る切断刃を備えたカッターローラーと該切断刃を受けるアンビルローラーとを備えたローラーカッター等を用いることもできる。また、レーザーや熱等により切断してもよい。
【００３４】
次に、上述した製造装置１１を用いて伸縮性シートを製造する方法について説明する。
【００３５】
先ず、図３に示すように、糸状弾性体７を連続して繰り出し、繰り出された糸状弾性体７を伸長状態で弾性体巻回手段としての回転アーム１４に導入する。
詳述すると、繰り出しローラー１５２を用いて、糸状弾性体７を巻き付けたボビン７０から糸状弾性体７を連続して引き出す。本実施態様では、ボビン７０は、回転しないものであるが、回転するものであっても良い。引き出す際には、テンション測定器１５３による糸状弾性体７のテンションの検出出力に基づき、製造装置１１の備える制御部（不図示）によって、巻き出しローラー１５２の回転速度やテンサー１５１のブレーキを調整し、所定のテンション（所定の伸長倍率）でボビン７０から糸状弾性体７を引き出す。
【００３６】
テンションを調整した製造された伸縮性シート中の糸状弾性体の伸長倍率の好ましい範囲は、１．５〜４．０倍であり、より好ましくは１．８〜３．５倍、更に好ましくは２．０〜３．０倍である。
伸長倍率は下記の式で求められる。
伸長倍率＝（伸ばされた糸状弾性体の長さ）÷（伸ばされていない糸状弾性体の長さ（糸状弾性体の自然長さ））
【００３７】
そして、その糸状弾性体７を回転アーム１４に導入するのであるが、導入する際には、前述したフィードローラー１５６により、回転アーム１４（弾性体巻回手段）に導入する糸状弾性体７の速度を一定の速度に調整して導入する。導入速度は、一対の搬送ベルト１２，１３に巻回させる巻回速度に応じた速度とする。
【００３８】
そして、図２，図４に示すように、回転アーム１４を用いて伸長状態の糸状弾性体７を一対の搬送ベルト１２，１３に連続的に巻回し、一対の搬送ベルト１２，１３を用いて、その糸状弾性体７を、一対の帯状シート５０，６０の間に搬送する。詳述すると、伸長状態で回転アーム１４内に供給された糸状弾性体７は、導入口１４５から、アーム部１４１内に導入され、軸部１４２、連結部１４４及び周回部１４３内を通って、導出口１４６から導出される。導出口１４６から導出される糸状弾性体７は、回転アーム１４が回転しながら導出されることによって、搬送ベルト１２の上流側の端部における外周側及び搬送ベルト１３の上流側の端部における外周側に巻回する。ここで、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の回転走行により、搬送ベルト１２の外周側及び搬送ベルト１３の外周側に糸状弾性体７を連続的に螺旋状に巻きかけられる。この連続的に巻きかけられた糸状弾性体７を下流側の一対の帯状シート５０，６０の間に搬送する。
【００３９】
本実施態様においては、一対の搬送ベルト１２，１３に巻回した糸状弾性体７を、それらの搬送ベルト１２，１３により、帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３まで搬送する際に、図４に示すように、糸状弾性体７における一方の搬送ベルト１２に接触した部分７１が、該一方の搬送ベルトに最初に接触した場所Ｐ１から帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３に搬送されるまでの時間（Ｔ１）と、該糸状弾性体７における他方の搬送ベルト１３に接触した部分７２が、該他方の搬送ベルト１３に最初に接触した場所Ｐ２から帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３に搬送されるまでの時間（Ｔ２）とを異ならせている。
具体的には、前記時間Ｔ２を前記時間Ｔ１よりも短くしており、その手段として、一方の搬送ベルト１２の送り速度Ｖ１よりも、他方の搬送ベルト１３の送り速度Ｖ２を速くしている（Ｖ２＞Ｖ１）。
【００４０】
そして、それにより、回転ドラム４の近傍においては、シートの搬送方向ｙに直交するｘ方向に対する傾斜角度がほぼ等しかった、糸状弾性体７の上側配置部分７ａと下側配置部分７ｂの該傾斜角度を、搬送中に徐徐に変化させている。より具体的には、帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３に到達したときには、糸状弾性体７の上側配置部分７ａについては、シートの搬送方向に直交するｘ方向と平行となり、糸状弾性体７の下側配置部分７ｂについては、該ｘ方向に対する傾斜角度が、回転ドラム４の近傍における同傾斜角度に比して増大（例えば２倍）するようにしている。
【００４１】
糸状弾性体７の上側配置部分７ａは、一対の搬送ベルト１２，１３に巻回された糸状弾性体７の部分のうち、搬送ベルト１２，１３の上側に配された部分であり、下側配置部分７ｂは、一対の搬送ベルト１２，１３の下側に配された部分である。また、帯状シートに対する固定部Ｐ３は、シートの搬送方向（ｙ方向）において、糸状弾性体７が、少なくとも一方の帯状シートに最初に固定される部位である。本実施態様においては、糸状弾性体７の搬送方向（ｙ方向）における同位置において、帯状シート５０，６０が合流しており、ニップローラー１７１，１７２どうし間でそれらの積層体が加圧されることにより、糸状弾性体７が、帯状シート５０，６０の両者に固定されるため、ニップローラー１７１，１７２どうし間で、前記の積層体を加圧する部位が、帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３である。
【００４２】
本実施態様の方法によれば、一方の搬送ベルト１２の送り速度Ｖ１と他方の搬送ベルト１３の送り速度Ｖ２とに速度差を設けるだけで、一対の帯状シート５０，６０間に、糸状弾性体７が、複数の傾斜状態で固定された伸縮性シート３Ａを得ることができる。
本発明で製造する伸縮性シート３Ａ（３）は、図１に示すように、シートの搬送方向に直交する方向（ｘ方向）に対する傾斜角度０〜３０度の第１糸状弾性体７Ａと、同傾斜角度が第１糸状弾性体７Ａより大きい第２糸状弾性体７Ｂとを備えた伸縮性シートである。
このような伸縮性シートは、例えば、図１に示すように、その長手方向（製造時の搬送方向ｙ）を、おむつ１の吸収性本体の長手方向Ｙと一致させてウエストバンド３の形成材として用いることにより、第１糸状弾性体７Ａにより得られる、おむつ幅方向（Ｘ方向）の伸縮性により装着時の操作性及びフィット性に優れると共に、第２糸状弾性体７Ｂにより得られる、おむつ長手方向及び幅方向の両方向に対して傾斜した方向の伸縮性によりフィット性に優れるおむつ１を得ることができる。
【００４３】
また、本実施形態のように、糸状弾性体７を回転アーム１４に導入する速度を一定に調整する場合には、シート搬送方向と直交するｘ方向に対する傾斜角度が第１糸状弾性体７Ａよりも第２糸状弾性体７Ｂの方が大きいため、第１糸状弾性体７Ａのテンションよりも第２糸状弾性体７Ｂのテンションの方が高い状態で帯状シート５０，６０と一体化される。よっておむつ１は、おむつ幅方向の伸縮力よりも長手方向及び幅方向に対して傾斜した方向の伸縮力の方が大きく、これにより幅方向のみに伸縮力を有する場合よりも高いフィット性を有する。
【００４４】
複数の方向に対して良好な伸縮性を有する伸縮性シートやそれを用いた各種の物品（ウエストバンドを備えたおむつ等）を得る観点から、第１糸状弾性体７Ａは、シートの搬送方向に直交する方向（ｘ方向）に対する傾斜角度が０〜３０度であることが好ましく、より好ましくは０〜１５度である。他方、第２糸状弾性体７Ｂは、シートの搬送方向に直交する方向（ｘ方向）に対する傾斜角度が、９０度未満であり且つ第１糸状弾性体７Ａの前記傾斜角度よりも大きいことを前提として、０〜９０度であることが好ましく、より好ましくは０〜４５度である。また、第２糸状弾性体７Ｂは、シートの搬送方向に直交する方向（ｘ方向）に対する傾斜角度が、第１糸状弾性体７Ａの対応する傾斜角度よりも、５度以上大きいことが好ましく、１０〜４５度大きいことがより好ましい。
【００４５】
一方の搬送ベルト１２の送り速度Ｖ１と他方の搬送ベルト１３の送り速度Ｖ２の比は、第１糸状弾性体７Ａ及び第２糸状弾性体７Ｂが所望の傾斜角度となるように適宜に設定すれば良い。一方の搬送ベルト１２の送り速度Ｖ１に対する他方の搬送ベルト１３の送り速度Ｖ２の比（Ｖ２／Ｖ１）は、例えば、１〜２とすることができ、１〜１．５とすることがより好ましい。
【００４６】
本実施態様においては、図２に示すように、帯状シート５０は、予め、セーラー（不図示）等により、ｘ方向の両端部それぞれが外面側に折られており、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の上段側から一対のニップローラー１７１，１７２の間に供給されている。また、図２に示すように、帯状シート６０は、予め、セーラー（不図示）等により、ｘ方向の両端部それぞれが外面側に折られており、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の下段側から一対のニップローラー１７１，１７２の間に供給されている。尚、帯状シート５０及び／又は帯状シート６０は、一対のニップローラー１７１，１７２の間に供給される前に、その内面側に接着剤が塗布されている。接着剤はストライプ状、スパイラル状、サイン波形状等に塗布されていてもよいし、全面にスプレーしたりベタ状に塗布されていてもよい。
【００４７】
そして、ニップローラー１７１，１７２を用いて、一対の帯状シート５０，６０及びその間に挟まれた糸状弾性体７を加圧することで、これらが一体化される。詳述すると、連続的に巻きかけられた糸状弾性体７が一対の帯状シート５０，６０の間に配された連続体を、一対のニップローラー１７１，１７２間に供給し、一対の帯状シート５０，６０の間に糸状弾性体７を伸長状態で固定する。
【００４８】
次いで、一対の帯状シート５０，６０の幅方向（ｘ方向）両端部それぞれから延出している糸状弾性体７を前述したカッター１８０で切断する。
【００４９】
次いで、図５に示すように、外面側に折られた帯状シート５０，６０それぞれのｘ方向の両端部を、セーラー（不図示）等により、折り直し、一対の帯状シート５０，６０の間に糸状弾性体７をｙ方向と交差する方向に伸長した状態に固定した帯状の伸縮性シート３Ａを連続的に製造することができる。この製造された帯状の伸縮性シートを、公知の切断手段（図示せず）により、間欠的にｘ方向に亘って切断する。間欠的に切断する間隔は、おむつ１の備えるウエストパネル３の寸法と同じである。これにより、ウエストパネル３（伸縮性シート）を連続的に製造することができる。
【００５０】
ウエストパネル３を備えるおむつ１の製造方法としては、公知の方法により、表面シート２１の連続体、裏面シート２２の連続体、及び両シート２１，２２の連続体間に、搬送方向（ｙ方向）に間欠的に複数個の吸収体２３，２３・・・を配し、表面シート２１の連続体の搬送方向（ｙ方向）の両側部に伸張した複数本の弾性部材２５及び立体ガード形成用シート２４の連続体を配した吸収性本体２の連続体を別工程で製造する。
この製造された吸収性本体２の連続体を、搬送方向（ｙ方向）に搬送しながら、ｘ方向両外方に突出するように一対のウエストパネル３を、吸収性本体２の連続体に含まれる吸収体３３毎に配したおむつ１の連続体を製造する。ここで、吸収性本体２の連続体の搬送方向（ｙ方向）と、ウエストパネル３（伸縮性シート）を製造する際の搬送方向（ｙ方向）は、同方向であり、ウエストパネル３（伸縮性シート）を９０°反転する必要はない。その後、その連続体を、公知の切断手段（図示せず）により、個々のおむつ１の寸法に切断して、おむつ１を製造することができる。
【００５１】
次に、本発明の第２実施態様について説明する。第２実施態様については、上述した実施態様と異なる点について主として説明し、同様の点については、同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、上述した実施態様と同一とすることができる。
【００５２】
第２実施態様においては、図６に示すように、一方の搬送ベルト１２の搬送経路に、シートの搬送方向と直交するｘ方向の外側に突出する屈曲部７５を設けて、一方の搬送ベルト１２の搬送経路と他方の搬送ベルト１３の搬送経路の長さを異ならせており、それによって、糸状弾性体７における一方の搬送ベルト１２に接触した部分７１が、該一方の搬送ベルトに最初に接触した場所Ｐ１から帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３に搬送されるまでの時間（Ｔ１）と、該糸状弾性体７における他方の搬送ベルト１３に接触した部分７２が、該他方の搬送ベルト１３に最初に接触した場所Ｐ２から帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３に搬送されるまでの時間（Ｔ２）とを異ならせている。
即ち、搬送ベルト１２の搬送経路に、糸状弾性体７における搬送ベルト１２に接触した部分７１が、該搬送ベルト１２に最初に接触した場所Ｐ１から帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３まで搬送するための搬送経路の長さを長くするための屈曲部７５を設けて、前記時間（Ｔ１）を前記時間（Ｔ２）より長くしている。屈曲部７５は、搬送ベルト１３の外周部を、３つの従動ガイドローラー７４によって、ｘ方向の外方に膨出させて形成されている。
他方、一方の搬送ベルト１２の送り速度Ｖ１と、他方の搬送ベルト１３の送り速度Ｖ２とは、同じ速度（Ｖ１＝Ｖ２）としてある。
【００５３】
ここで従動ガイドローラー７４は、搬送ベルト１２の搬送経路の長さをある程度変化できるように変動可能に設定されることが好ましい。例えば３つの従動ガイドローラー７４のうち真ん中のローラーのｘ方向位置を変動させたり、両端に位置する２つの従動ガイドローラーのｙ方向位置を変動させてもよい。このように従動ガイドローラー７４の位置を変動させることで前記時間（Ｔ１）を変更することができる。なお、位置変動の手段としては、シリンダ式、長穴式（従動ガイドローラー７４の固定箇所を緩めてスライドさせる）等を挙げることができる。
また、第２実施形態では屈曲部７５は搬送ベルト１２の搬送経路をｘ方向外側に突出させるが、ｘ方向内側に突出させるようにしてもよい。
なお、屈曲部７５の頂点（真ん中のガイドローラー７４と接する部分）に向かい搬送される糸状弾性体７が、搬送ベルト１２表面を滑らずに当該頂点を確実に乗り越えるための矯正プレートを設けることも好ましい。当該矯正プレートは、糸状弾性体７の搬送ピッチをずらさないための歯溝を有するロール様の円板等で構成でき、当該円板等に糸状弾性体７を係合して搬送する。
【００５４】
第２実施態様においても、回転ドラム４の近傍においては、シートの搬送方向に直交するｘ方向に対する傾斜角度がほぼ等しかった、糸状弾性体７の上側配置部分７ａと下側配置部分７ｂの該傾斜角度を、搬送中に徐徐に変化させ、帯状シート５０，６０に対する固定部Ｐ３に到達したときには、糸状弾性体７の上側配置部分７ａについては、シートの搬送方向に直交するｘ方向と平行となり、糸状弾性体７の下側配置部分７ｂについては、該ｘ方向に対する傾斜角度が、回転ドラム４の近傍における同傾斜角度に比して増大（例えば２倍）するようにしている。
第２実施態様によっても、上述した実施態様と同様の伸縮性シート３Ａを得ることができ、それを用いて、図１に示すような、ウエストバンド３を備えたおむつ１等を効率よく製造することもできる。
【００５５】
本発明の伸縮性シートの製造方法及び使い捨ておむつの製造方法は、上述の実施態様に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、上記の時間（Ｔ１）と時間（Ｔ２）を異ならせる方法としては、搬送ベルト１２及び搬送ベルト１３の回転速度や搬送経路の長さは変えずに、片方の搬送ベルト側のみに上述した矯正プレートを取り付けることにより機械的に搬送ピッチをずらす方法も挙げられる。
また上記の矯正プレートは一方の搬送ベルト側だけでなく、他側にも設けられる。例えば歯溝付円板の径又は歯溝の数を異ならせた２つの矯正プレートを、それぞれ搬送ベルト１２側及び搬送ベルト１３側に設けることにより、機械的に搬送ピッチをずらす方法も挙げられる。
また、搬送経路の長さを異ならせる場合には、搬送ベルト１２側及び搬送ベルト１３側の両方に従動ガイドローラー７４を有する屈曲部７５を設け、２つの屈曲部７５の大きさを異ならせることも可能である。また第２実施形態ではｘ方向に突出する屈曲部７５等によって搬送経路の長さを平面方向に変更していたが、垂直方向（ｚ方向）に変更することも可能である。
【００５６】
また、一方の搬送ベルトの送り速度と他方の搬送ベルトの送り速度とに速度差を設けると共に、一方の搬送ベルトの搬送経路に、第２実施形態のような屈曲部を設けても良い。
また、糸搬送用長手構造体として、特開２００２−１９２６４１号公報の図４〜６に記載されているスクリュー溝が設けられた糸支持部材を用いてもよい。
また、一対のニップロール１７０，１７１間に、幅方向両端部をそれぞれの外面側に折り返して細幅にした帯状シートを導入し、その帯状シート間に糸状弾性体を固定するのに代えて、一対のニップロール１７０，１７１間に、幅方向両端部が折り返していない帯状シートを導入し、その帯状シート間に糸状弾性体を固定しても良い。また、折り返す場合には、片側のシートの幅方向端部だけでもよく、一方の帯状シートの端部のみでもよい。
【００５７】
本発明の製造方法により製造される伸縮性シートは、使い捨ておむつ１のウエストパネル３以外に、展開型又はパンツ型の使い捨ておむつの胴回り部、パンツ型の生理用ナプキン、使い捨ての下着、使い捨てマスクの耳掛け部、お掃除用シート、包帯などにも使用することができる。
【符号の説明】
【００５８】
１ 展開型の使い捨ておむつ
２ 吸収性本体
２１ 表面シート
２２ 裏面シート
２３ 吸収体
２４ 立体ガード形成用シート
２５ 弾性部材
３ ウエストパネル
３Ａ ウエストパネルに使用される伸縮性シート
４ パネル材
５，６ シート
５０，６０ 帯状のシート
７ 糸状弾性体
７０ ボビン
８ ファスニングテープ
１１ 製造装置
１２ 搬送ベルト（糸搬送用長手構造体）
１２１，１２２ プーリー
１３ 搬送ベルト（糸搬送用長手構造体）
１３１，１３２ プーリー
１４ 回転アーム（弾性体巻回手段）
１４１，１４２，１４３ ガイド
１５ 供給手段
１７ 一体化手段
１７１，１７２ ニップローラー
１８ 切断手段
１８０ カッター
Ａ 腹側部，Ｂ 背側部，Ｃ 股下部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
一対の帯状シートの間に糸状弾性体を該帯状シートの搬送方向と交差する方向に伸長した状態に固定した伸縮性シートを連続的に製造する伸縮性シートの製造方法であって、
弾性体巻回手段を用いて糸状弾性体を、シートの搬送方向と直交する方向に離間した一対の糸搬送用長手構造体に巻回し、巻回した該糸状弾性体を、一対の該糸搬送用長手構造体により搬送した後、前記帯状シート間に挟んで固定する工程を備えており、
前記糸状弾性体における一方の前記糸搬送用長手構造体に接触した部分が、該一方の糸搬送用長手構造体に最初に接触した場所から前記帯状シートに対する固定部に搬送されるまでの時間と、該糸状弾性体における他方の前記糸搬送用長手構造体に接触した部分が、該他方の糸搬送用長手構造体に最初に接触した場所から前記帯状シートに対する固定部に搬送されるまでの時間とを異ならせることにより、
シートの搬送方向に直交する方向に対する傾斜角度が０〜３０度の第１糸状弾性体と、該傾斜角度が第１糸状弾性体より大きい第２糸状弾性体とを備えた伸縮性シートを製造する、伸縮性シートの製造方法。
【請求項２】
前記一対の糸搬送用長手構造体が、一対の搬送ベルトである、請求項１記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項３】
一方の前記糸搬送用長手構造体の送り速度と他方の前記糸搬送用長手構造体の送り速度に速度差を設ける、請求項１又は２記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項４】
一方の前記搬送ベルトの搬送経路と他方の前記搬送ベルトの搬送経路の長さを異ならせる請求項２記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項５】
何れか一方の前記搬送ベルトの搬送経路に、シートの搬送方向と直交する方向に突出する屈曲部を設ける、請求項４記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項６】
吸収性本体と、該吸収性本体の長手方向の左右両側に連設された左右のウエストパネルを有する使い捨ておむつの製造方法であって、
請求項１〜４の何れかに記載の方法により伸縮性シートを製造する工程、及び該伸縮性シートを、前記ウエストパネルの形成材に用いて前記使い捨ておむつを製造する工程を具備する、使い捨ておむつの製造方法。
【請求項７】
２枚のシートの間に、複数の糸状弾性体が伸長した状態で固定された伸縮性シートであって、
前記糸状弾性体として、前記シートの１辺と直交する方向に対する傾斜角度が０〜３０度で固定されている第１糸状弾性体と、該傾斜角度が第１糸状弾性体より大きい第２糸状弾性体とを、前記１辺と沿う方向に交互に備えた伸縮性シート。
【請求項１】
一対の帯状シートの間に糸状弾性体を該帯状シートの搬送方向と交差する方向に伸長した状態に固定した伸縮性シートを連続的に製造する伸縮性シートの製造方法であって、
弾性体巻回手段を用いて糸状弾性体を、シートの搬送方向と直交する方向に離間した一対の糸搬送用長手構造体に巻回し、巻回した該糸状弾性体を、一対の該糸搬送用長手構造体により搬送した後、前記帯状シート間に挟んで固定する工程を備えており、
前記糸状弾性体における一方の前記糸搬送用長手構造体に接触した部分が、該一方の糸搬送用長手構造体に最初に接触した場所から前記帯状シートに対する固定部に搬送されるまでの時間と、該糸状弾性体における他方の前記糸搬送用長手構造体に接触した部分が、該他方の糸搬送用長手構造体に最初に接触した場所から前記帯状シートに対する固定部に搬送されるまでの時間とを異ならせることにより、
シートの搬送方向に直交する方向に対する傾斜角度が０〜３０度の第１糸状弾性体と、該傾斜角度が第１糸状弾性体より大きい第２糸状弾性体とを備えた伸縮性シートを製造する、伸縮性シートの製造方法。
【請求項２】
前記一対の糸搬送用長手構造体が、一対の搬送ベルトである、請求項１記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項３】
一方の前記糸搬送用長手構造体の送り速度と他方の前記糸搬送用長手構造体の送り速度に速度差を設ける、請求項１又は２記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項４】
一方の前記搬送ベルトの搬送経路と他方の前記搬送ベルトの搬送経路の長さを異ならせる請求項２記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項５】
何れか一方の前記搬送ベルトの搬送経路に、シートの搬送方向と直交する方向に突出する屈曲部を設ける、請求項４記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項６】
吸収性本体と、該吸収性本体の長手方向の左右両側に連設された左右のウエストパネルを有する使い捨ておむつの製造方法であって、
請求項１〜４の何れかに記載の方法により伸縮性シートを製造する工程、及び該伸縮性シートを、前記ウエストパネルの形成材に用いて前記使い捨ておむつを製造する工程を具備する、使い捨ておむつの製造方法。
【請求項７】
２枚のシートの間に、複数の糸状弾性体が伸長した状態で固定された伸縮性シートであって、
前記糸状弾性体として、前記シートの１辺と直交する方向に対する傾斜角度が０〜３０度で固定されている第１糸状弾性体と、該傾斜角度が第１糸状弾性体より大きい第２糸状弾性体とを、前記１辺と沿う方向に交互に備えた伸縮性シート。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１２−１００８３２（Ｐ２０１２−１００８３２Ａ）
【公開日】平成２４年５月３１日（２０１２．５．３１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２５１２１１（Ｐ２０１０−２５１２１１）
【出願日】平成２２年１１月９日（２０１０．１１．９）
【出願人】（００００００９１８）花王株式会社 (8,290)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年５月３１日（２０１２．５．３１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年１１月９日（２０１０．１１．９）
【出願人】（００００００９１８）花王株式会社 (8,290)
【Ｆターム（参考）】
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