説明

位牌

【課題】、家にいるときは遺灰を収納でき、長期外出等のときに遺灰を携帯することのできる位牌を提供する。
【解決手段】台座2と竿部1とからなる位牌において、竿部1の内部に遺灰を納める遺灰ケース7の収納部6を設け、竿部1の前方に、収納部6を覆うように、開閉可能な扉板3を設ける。扉板3は、竿部1と、磁石4によって分離、着脱可能とすることができる。また、台座2に、小物を収納できる引き出し8を設けることができる。扉板3の前面には遺影を飾る遺影飾り部11を設けることができる。長期外出時などに、遺灰ケース7を取り出す場合には、扉板3を開くことにより、収納部6が開放されるので、遺灰ケース7を容易に取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親族やペットの遺灰を納めたケースを収納できる位牌に関する。
【背景技術】
【0002】
位牌(本位牌)は、死者の霊をまつるため法名や忌日などを書き、仏壇に安置する、台座と竿部からなる仏具である。
位牌の中には、台座の部分に遺骨や遺灰、遺品等を納める収納部を設けたものもある(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−346908号公報
【特許文献2】特開2004−33595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のオーソドックスな位牌や特許文献1,2に記載された位牌は、遺灰の収納部を有するものの、遺灰を持ち歩くような用途としては考慮されていない。
例えば、毎朝、毎晩、位牌に手を合わせている習慣を守っている人は、旅行や緊急時に、家に位牌を残したままにすることを忍びない。そのような人は、一緒に遺灰を連れて行って、その外出先で、同じく手を合わせたいという思いを持っている。その場合、かなり大きな位牌を持ち歩くには不便である。
そこで本発明は、家にいるときは遺灰を収納でき、長期外出等のときに遺灰を携帯することのできる位牌を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明の第1の構成は、台座と竿部とからなる位牌において、前記竿部の内部に遺灰を納める遺灰ケースの収納部を設け、前記竿部の前方または後方に、前記収納部を覆うように、開閉可能な扉板を設けたことを特徴とする。
この第1の構成において、竿部の内部には、遺灰ケースの収納部が設けられており、通常は、扉板によりその収納部は外観からは見えないように閉じられていて、通常の位牌として仏壇等に祀られている。長期外出時などに、遺灰ケースを取り出す場合には、扉板を開くことにより、収納部が開放されるので、遺灰ケースを容易に取り出すことができる。
【0006】
本発明の第2の構成は、前記扉板は、前記竿部と、磁石によって分離、着脱可能であることを特徴とする。
この第2の構成において、扉板を竿部に着脱可能にするには、ヒンジを設けたり、蟻と蟻溝により、スライド式に装着してもよく、また、面ファスナーを用いてもよいが、磁石の吸着力を用いることにより、簡単な構造で扉板を竿部から分離することができ、また装着することができる。
【0007】
本発明の第3の構成は、前記遺灰ケースは、ペンダント状に、装身具として首に装着可能としたことを特徴とする。
この第3の構成において、遺灰ケースは、単なる蓋付きの容器でもいいが、旅行などに携帯するときには、ペンダント状とすることで、肌身離さず持ち歩くことができ、入れ場所を忘れたり、置き忘れたりすることが無くなる。
【0008】
本発明の第4の構成は、前記台座に、引き出し式の物品収納部を設けたことを特徴とする。
この第4の構成において、引き出し式の物品収納部には、例えばペンダント状の遺灰ケースの鎖などの小物を入れることができ、引き出し式とすることにより、前方に引き出して、容易に小物を取り出すことができる。
【0009】
本発明の第5の構成は、前記扉板の前面に遺影を飾る遺影飾り部を設けたことを特徴とする。
この第5の構成において、扉板の前面に、亡くなった親族やペットの写真を飾ることにより、愛する者の顔や姿を思い出すことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、台座と竿部とからなる位牌において、竿部の内部に遺灰を納める遺灰ケースの収納部を設け、竿部の前方または後方に、収納部を覆うように、開閉可能な扉板を設けたことにより、家にいるときは、遺灰ケースを位牌に収納でき、長期外出等のときに遺灰ケースを携帯することができる。
また、扉板は、竿部と、磁石によって分離、着脱可能とすることにより、磁石の吸着力を用いて、簡単な構造で扉板を竿部から分離、装着することができる。
【0011】
前記遺灰ケースは、ペンダント状に、装身具として首に装着可能とすることにより、旅行などに携帯するときには、肌身離さず持ち歩くことができ、また入れ場所を忘れたり、置き忘れたりすることが無くなる。
前記台座に、引き出し式の物品収納部を設けることにより、例えばペンダント状の遺灰ケースの鎖などの小物を入れることができ、引き出し式とすることにより、前方に引き出して、容易に小物を取り出すことができる。
扉板の前面に遺影を飾る遺影飾り部を設けることにより、愛する者の顔や姿を思い出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る位牌の分解斜視図、図2はその断面図、図3はペンダント状の遺灰ケースの正面図である。
【0013】
図1および図2において、本実施の形態の位牌は、竿部1と台座2とからなり、竿部1の前面には、扉板3が磁石4,5により分離、着脱可能に構成されている。竿部1には、前方が開放した収納部6が設けられており、その収納部6に遺灰ケース7が収納できるようになっている。金属製の遺灰ケース7には、亡くなった人やペットの遺骨や遺灰を収納する。台座2には、引き出し8が設けられており、そこに、小物を収納できるようになっている。引き出し8には、取手9が設けられている。
【0014】
扉板3には、穴10がくり抜いてあり、そこに、遺影を飾る遺影飾り部11が装着できるようになっている。この遺影飾り部11は、枠と、裏板と、透明シートからなっており、裏板と透明シートの間に、亡くなった人やペットの写真を装着して飾るようになっている。
本実施の形態では、竿部1、台座2、扉板3、引き出し8は、材質は高級な木で作られており、通常の位牌としても遜色のないものとする。
【0015】
本実施の形態において、通常は、遺灰ケース7は竿部1の収納部6に安置し、仏壇等に祀っておく。長期外出や緊急時には、扉板3を竿部1から分離し、収納部6から遺灰ケース7を取り出して携帯する。これにより、大切な遺灰を守ることができる。
なお、遺灰ケース7としては、蓋のついた容器以外にも、図3に示すように、鎖13付きのペンダント状遺灰ケース12とすることができる。このペンダント状遺灰ケース12を収納部6に収納する際には、鎖13を外して、鎖13を引き出し8に収納しておくことができる。また、遺灰ケース7とペンダント状遺灰ケース12を両方設け、通常時は収納部に一緒に収納することもできる。
【0016】
なお、本実施の形態においては、扉板3を竿部1の前面に取り付けるようにしているが、竿部1の裏側に扉板を設けることもできる。その場合は、収納部6は竿部の裏側に設け、また遺影飾り部11は竿部1の前面に設けることになる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、家にいるときは位牌に収納でき、長期外出等のときに遺灰を携帯することのできる遺灰ケースを有する位牌として、宗教用具の分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る位牌の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る位牌の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るペンダント状の遺灰ケースの正面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 竿部
2 台座
3 扉板
4,5 磁石
6 収納部
7 遺灰ケース
8 引き出し
9 取手
10 穴
11 遺影飾り部
12 ペンダント状遺灰ケース
13 鎖

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と竿部とからなる位牌において、前記竿部の内部に遺灰を納める遺灰ケースの収納部を設け、前記竿部の前方または後方に、前記収納部を覆うように、開閉可能な扉板を設けたことを特徴とする位牌。
【請求項2】
前記扉板は、前記竿部と、磁石によって分離、着脱可能であることを特徴とする請求項1記載の位牌。
【請求項3】
前記遺灰ケースは、ペンダント状に、装身具として首に装着可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載の位牌。
【請求項4】
前記台座に、引き出し式の物品収納部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の位牌。
【請求項5】
前記扉板の前面に遺影を飾る遺影飾り部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の位牌。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−212159(P2006−212159A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27013(P2005−27013)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(503176505)有限会社ティ・アール・ジィ (2)